JP2015224882A - フッ素ゴム架橋剤の定量方法 - Google Patents

フッ素ゴム架橋剤の定量方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリオール架橋されたフッ素ゴム中の架橋剤の含有量を効率よくで定量できる、フッ素ゴム架橋剤の定量方法を提供する。
【解決手段】フッ素ゴムの主鎖と架橋点の双方を分解可能な、アルキル基含有アミン化合物を用いて、架橋点由来のアルキル誘導体を生成するステップと、当該アルキル誘導体の生成量をガスクロマトグラフィを用いて測定し、その測定結果から架橋剤の含有量を定量するステップとを含む。アミン化合物としては、アルキル基含有第4級アンモニウム塩の水酸化物が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、架橋されたフッ素ゴム中の架橋剤の含有量を定量するための定量方法であって、特に、ポリオール架橋されたフッ素ゴム中の架橋剤を定量方法に関する。
フッ素ゴムは、優れた耐薬品性や耐熱性等を示すことから、自動車分野、半導体分野、及び化学工業分野等の各種分野において広く使用されている。例えば自動車においては、エンジン及びその周辺装置に用いるガスケット、シャフトシール、バルブステムシール、オイルシール等の各種シール材や、AT装置の各種シール材に用いられている。燃料系統及びその周辺装置では、O(角)−リング、パッキン、ダイアフラム等として使用され、具体的には、エンジンヘッドガスケット、メタルガスケット、オイルパンガスケット、クランクシャフトシール、カムシャフトシール、バルブステムシール、マニホールドパッキン、酸素センサー用シール、インジェクターO−リング、インジェクターパッキン、燃料ポンプO−リング、ダイアフラム、クランクシャフトシール、ギアボックスシール、パワーピストンパッキン、シリンダーライナーのシール、バルブステムのシール、自動変速機のフロントポンプシール、リアーアクスルピニオンシール、ユニバーサルジョイントのガスケット、スピードメーターのピニオンシール、フートブレーキのピストンカップ、トルク伝達のO−リング、オイルシール、排ガス再燃焼装置のシール、ベアリングシール、キャブレターのセンサー用ダイアフラム等として用いられている。
このような種々の部材として使用するには、フッ素ゴムの架橋(加硫)が必須となる。フッ素ゴムの架橋方法としては、ポリオール架橋、過酸化物架橋(パーオキサイド架橋)、アミン架橋が挙げられるが、自動車分野においては耐熱性に優れるポリオール架橋が主流である。このとき、架橋剤の使用量、すなわち架橋密度はフッ素ゴムの物性に大きく影響する。そのため、製造したフッ素ゴム製品の品質チェックや既存のフッ素ゴム製品の物性評価等のためには、フッ素ゴムにおける架橋剤の含有量を効率よく定量できる方法の開発が求められている。
また、フッ素ゴムには架橋剤以外にも各種物性を向上させるため種々の添加剤が添加されており、不純物が混入している場合もある。そこで特許文献1では、フッ素ゴム中の添加剤や不純物の種類を特定(定性)するための分析方法が開示されている。具体的には、フッ素ゴムをジメチルホルムアミドで溶解した後、この溶液をジメチルホルムアミドを移動相とするゲルパーミェーションクロマトグラフに付し、その分子量ピークからフッ素ゴム中の添加剤や不純物の種類を特定している。
特開平5−26861号公報
しかしながら、特許文献1ではあくまでフッ素ゴムに含まれる添加剤や不純物の種類を特定するものであって、その含有量を定量することはできない。したがって、フッ素ゴム製品の架橋密度も当然評価できない。
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、ポリオール架橋されたフッ素ゴム中の架橋剤の含有量を効率よくで定量できる、フッ素ゴム架橋剤の定量方法を提供することを目的とする。
そのための手段として、本発明は、ポリオール架橋されたフッ素ゴム中の架橋剤の含有量を定量するための定量方法であって、前記フッ素ゴムの主鎖と架橋点の双方を分解可能な、アルキル基含有アミン化合物を用いて、前記架橋点由来のアルキル誘導体を生成するステップと、前記アルキル誘導体の生成量をガスクロマトグラフィを用いて測定し、その測定結果から前記架橋剤の含有量を定量するステップとを含む。前記アミン化合物としては、アルキル基含有第4級アンモニウム塩の水酸化物が好ましい。なお、本発明においてフッ素ゴムとは、フッ素ゴム成形品を含む概念である。
これによれば、フッ素ゴムの架橋点をアルキル基含有アミン化合物によって分解し、その際にアルキル基含有アミン化合物が架橋点と反応してアルキル誘導体化する。このとき、使用した架橋剤とアルキル基含有アミン化合物の種類によって、生成されるアルキル誘導体の種類も自ずと定まっている。そこで、このアルキル誘導体の生成量を測定すれば、その想定値から換算して架橋剤の含有量を定量することができる。
しかし、架橋点の分解だけではアルキル誘導体が効率よく生成されず、架橋剤含有量の定量精度にも影響してくる。そこで、本発明では架橋点の分解と共に、フッ素ゴムの主鎖も分解可能なアルキル基含有アミン化合物を使用している。これにより、フッ素ゴム主鎖の分解と架橋点の分解が競争的に起こるため、アルキル誘導体を効率よく生成させることができ、延いては架橋剤含有量の定量精度も向上する。
アルキル基含有第4級アンモニウム塩の水酸化物は、フッ素ゴムの架橋の際に架橋促進剤としても使用されているものである。したがって、当該アルキル基含有第4級アンモニウム塩の水酸化物を使用すれば、フッ素ゴムを構成するポリマー主鎖の脱フッ化水素(脱フッ酸)反応による分解が迅速に生じることで、アルキル誘導体化も促進され、架橋剤含有量をより効率良く且つ高精度で定量することができる。
なお、フッ素ゴム100重量部に対して、アルキル基含有アミン化合物を2,000重量部以上反応させることが好ましく、フッ素ゴムとアルキル基含有アミン化合物とは、5時間以上反応させることが好ましい。これにより、架橋剤の含有量をほぼ確実に定量できる。
本発明によれば、ポリオール架橋されたフッ素ゴム中の架橋剤の含有量を効率よく定量することができる。これにより、フッ素ゴムの架橋密度を評価することもでき、製造したフッ素ゴム製品の品質チェックや既存のフッ素ゴム製品の物性評価等を的確に行うことができる。
フッ素ゴムに対するアルキル基含有アミン化合物量の相違に基づく架橋剤回収率変化を示すグラフである。 フッ素ゴムとアルキル基含有アミン化合物との反応時間を示すグラフである。 架橋剤定量結果を示すグラフである。
本発明において定量対象となるフッ素ゴムは、ポリオール架橋されたフッ素ゴムであれば特に制限はない。具体的には、含フッ素オレフィンの重合体又は共重合体(ポリマー)を用いることができる。含フッ素オレフィンとしては、例えばフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニル、パーフルオロアクリル酸エステル、アクリル酸パーフルオロアルキル、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテル等を挙げることができる。これらの含フッ素オレフィンは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これにより得られるフッ素ゴム(ポリマー)としては、具体的にはビニリデンフルオライド(VdF)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン/ビニリデンフルオライド共重合体、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド共重合体、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)共重合体、及び、ビニリデンフルオライド/クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体等を挙げることができる。中でも、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン2元共重合体(VdF−HFP)や、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン3元共重合体(VdF−HFP−TFE)等の、ポリオール架橋が容易な構成単位となるVdF単位を含む共重合体からなるフッ素ゴムが好ましい。これらのポリマーは、従来から公知の重合方法である溶液重合、懸濁重合または乳化重合させることにより得られる。
ポリオール架橋剤としては、ポリヒドロキシ化合物が使用される。特に、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。具体的には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン[ビスフェノールAF]、レゾルシン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、4,4'−ジヒドロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン[ビスフェノールB]、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロジクロロプロパン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3',5,5'−テトラクロロビスフェノールA、3,3',5,5'−テトラブロモビスフェノールA等を挙げることができる。ポリヒドロキシ化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などであってもよい。
また、フッ素ゴム(ポリマー)の架橋には、架橋促進剤が使用されることが多い。架橋促進剤は、フッ素ゴムポリマー主鎖の脱フッ化水素(脱フッ酸)反応における分子内二重結合の生成と、生成した二重結合へのポリヒドロキシ化合物の付加(架橋点の導入)を促進する。架橋促進剤としては、オニウム化合物が挙げられ、オニウム化合物の中でも、第4級アンモニウム塩等のアンモニウム化合物、第4級ホスホニウム塩等のホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、スルホニウム化合物、環状アミン、及び1官能性アミン化合物等が挙げられる。
第4級アンモニウム塩としては、例えば8−メチル−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムクロライド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムアイオダイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムメチルスルフェート、8−エチル−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムブロミド、8−プロピル−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムブロミド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムクロライド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−エイコシル−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムクロライド、8−テトラコシル−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムクロライド、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムクロライド、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−フェネチル−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムクロライド、8−(3−フェニルプロピル)−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムクロライド等が挙げられる。
第4級ホスホニウム塩としては、例えばテトラブチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリメチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリブチルホスホニウムクロライド、トリブチルアリルホスホニウムクロライド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロライド、ベンジルフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロライド等が挙げられる。
さらに、フッ素ゴムには、その他の配合剤として、カーボンブラック、カーボン繊維等の補強剤;ハイドロタルサイト(Mg6Al2(OH)16CO3)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、チタン酸カリウム、酸化チタン、硫酸バリウム、硼酸アルミニウム、ガラス繊維、アラミド繊維、珪藻土、ウォラストナイト等の充填剤;ワックス、金属セッケン、カルナバワックス等の加工助剤;水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の受酸剤;老化防止剤;熱可塑性樹脂;クレー等の、ゴム工業で一般的に使用されている公知の配合剤が配合されていることもある。
フッ素ゴムは、上記各成分をインターミックス、ニーダー、バンバリーミキサー等の密閉型混練機、またはオープンロール等のゴム用の一般的な混練機で混練する方法や、各成分を溶剤等で溶解して撹拌機等で分散させたフッ素ゴム組成物を、加圧・加熱・架橋(加硫)して成形して得られる。
このようなフッ素ゴムにおける架橋剤の含有量を定量するための方法について説明する。本発明では、アルキル基含有アミン化合物を用いてフッ素ゴムを分解すると共に、架橋点の分解に伴う分解生成物であるアルキル誘導体を生成するステップと、当該アルキル誘導体の生成量をガスクロマトグラフィを用いて測定するステップとを含む。
アルキル基含有アミン化合物としては、フッ素ゴム(ポリマー)をポリオール架橋する際に架橋促進剤としても使用される、アルキル基含有第4級アンモニウム塩の水酸化物を好適に使用することができる。具体的には、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトライソプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化トリオクチルメチルアンモニウム、水酸化トリドデシルメチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。なお、架橋剤含有量はこれらアルキル基含有アミン化合物由来のアルキル誘導体生成量に基づいて定量するため、分解生成物であるアルキル誘導体は特定されていなければならない。したがって、アルキル基含有アミン化合物は上に列記したもののうち1種のみを使用することが好ましい。中でも、分子量の小さい水酸化テトラメチルアンモニウムが好ましい。
フッ素ゴムとアルキル基含有アミン化合物とを反応させると、フッ素ゴムの架橋点が分解されながらアルキル基含有アミン化合物がアルキル誘導体化する。例えば、ビスフェノールAFによってポリオール架橋されたフッ素ゴムに水酸化テトラメチルアンモニウムを反応させると、2−メチル誘導体が生成される。また、アルキル基含有アミン化合物はフッ素ゴムポリマーの主鎖も分解可能なため、フッ素ゴム架橋点の分解と同時に、フッ素ゴムポリマー主鎖の分解も競争的に進行する。これにより、アルキル基含有アミン化合物のアルキル誘導体化が促進されると共に、架橋剤の定量精度も向上する。なお、アルキル基含有アミン化合物は、メタノール等の有機溶媒に溶解させた状態でフッ素ゴムと反応させることになる。また、フッ素ゴムは適宜切断や粉砕して定量に供することが好ましい。これにより、反応速度を速めることができる。
アルキル基含有アミン化合物は、固形分換算で、フッ素ゴム100重量部に対して少なくとも1,500重量部以上、好ましくは2,000重量部以上の割合で反応させる。アルキル基含有アミン化合物の使用量が1,500重量部未満では、フッ素ゴムの主鎖及び架橋点が十分に分解されず、架橋剤含有量を精度よく定量できないからである。2,000重量部以上反応させれば、フッ素ゴムの主鎖及び架橋点をほぼ確実に分解できる。一方、アルキル基含有アミン化合物使用量の上限は特に限定されないが、フッ素ゴムの主鎖及び架橋点の分解に必要な必要十分量とすることが好ましい。無駄に多くてもコストの無駄となり、ガスクロマトグラフィによる定量精度への悪影響も懸念されるからである。具体的には、固形分換算で、フッ素ゴム100重量部に対して20,000重量部以下、好ましくは18,000重量部以下を目安とすればよい。
また、フッ素ゴムとアルキル基含有アミン化合物とは、少なくとも5時間以上、好ましくは15時間以上、より好ましくは24時間以上反応させる。フッ素ゴムとアルキル基含有アミン化合物との反応時間が5時間未満では、フッ素ゴムの主鎖及び架橋点が十分に分解されず、架橋剤含有量を正確に定量できないからである。反応時間が15時間以上であればほぼ確実にフッ素ゴムが分解されており、反応時間が24時間以上であれば確実に分解される。フッ素ゴムとアルキル基含有アミン化合物との反応時間の上限は特に限定されないが、無駄に長くても意味はないので、36時間以内、好ましくは30時間以内とすればよい。
また、フッ素ゴムとアルキル基含有アミン化合物との反応は、加熱しながら行うことが好ましい。加熱により反応速度が向上し、試験時間を短縮できるからである。加熱温度は、50℃以上、好ましくは60℃以上とすればよい。加熱温度の上限は、アルキル基含有アミン化合物の分解温度未満である。
以下に、実施例に基づき本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
定量試験用の試料として、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン2元共重合体(VdF−HFP)がビスフェノールAFにより架橋された、架橋剤含有量のみが異なる複数種のフッ素ゴムを使用した。なお、架橋剤としてビスフェノールAFを2重量%含有するフッ素ゴムを標準試料とした。フッ素ゴムは、ニッパーを用いて5mm3程度に切断したうえで、冷凍粉砕機にて10分間粉砕処理して試験に供した。また、本試験では、フッ素ゴム分解用のアルキル基含有アミン化合物として、アルキル基含有第4級アンモニウム塩の水酸化物である水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を使用し、TMAH25%メタノール溶液として反応に供した。
先ず、アルキル基含有アミン化合物の使用量と架橋剤の回収率との関係について検討した。標準試料100mgに対して、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の反応量が固形分換算で113mg、225mg、1,125mg、及び2,250mgとなるようにTMAH25%メタノール溶液を混合し、バイアル瓶にて80℃で28時間反応させた。その上澄液を1.5mlバイアルに回収し、ガスクロマトグラフィ質量分析(GC/MS)して、架橋剤であるビスフェノールAFの回収率を測定した。その結果を図1に示す。
なお、GC/MS測定は次の条件で行った。
GC/MS装置:島津(株)製GC−2010Plus+GCMS−QP2010Ultra
使用カラム:Frontier Lab製Ultra Alloy+1 UA1−30M−0.25F(100%ジメチルシロキサンカラム)+Vent−Free
カラム温度:50℃〜10℃/分〜300℃ 20分保持
制御モード:線速度一定
圧力:53.6kPa
全流量:54.1ml/分
カラム流量:1.0ml/分
線速度:36.3cm/秒
パージ流量:3.0ml/分
試料注入口温度:300℃
スプリット比:50
試料量:1μl
イオン源:EI
イオン源温度:250℃
インターフェース温度:300℃
溶媒溶出時間:0℃
マイクロスキャン幅:0u
検出器電圧:チューニング結果からの相対値0kV
図1の結果から、フッ素ゴム100重量部に対してアルキル基含有アミン化合物を少なくとも1,500重量部以上、好ましくは2,000重量部以上反応させれば、架橋剤含有量を高精度に定量できることが判った。
次に、アルキル基含有アミン化合物によるフッ素ゴムの分解反応時間について検討した。標準試料30mgにTMAH25%メタノール溶液3mlをバイアル瓶にて80℃で反応させ、反応時間を10分、30分、1時間、2時間、6時間、17時間、24時間、30時間とした。その上澄液を1.5mlバイアルに回収し、上記と同じ条件でGC/MS測定した。その結果を図2に示す。
図2の結果から、アルキル基含有アミン化合物によるフッ素ゴムの分解反応は、5時間程度でほぼ完了しており、24時間以上であれば反応が完全に完了していることが確認された。これにより、フッ素ゴムとアルキル基含有アミン化合物とは、少なくとも5時間以上、好ましくは15時間以上、より好ましくは24時間以上反応させる必要があることが判った。
これを基にして、試料30mg中の架橋剤含有量が0.2mg、0.4mg、0.6mgの種類の試料を用いて、これらの架橋剤含有量を定量した(各試料のn=3)。各試料30mgに対して、TMAH25%メタノール溶液3ml(アルキル基含有アミン化合物の使用量は、固形分換算で675mg)を、バイアル瓶にて80℃で30時間反応させた。その上澄液1.5mlをバイアルに回収し、上記と同じ条件でGC/MS測定した。その結果を図3に示す。
図3の結果から、各試料30mg中の架橋剤の含有量がそれぞれ0.2mg、0.4mg、0.6mgであることが定量されており、実際の架橋剤含有量と一致していた。これにより、ポリオール架橋されたフッ素ゴムにアルキル基含有アミン化合物を反応させ、その際に生成されるアルキル誘導体の生成量を測定することで、架橋剤の含有量を効率よく且つ高精度で定量できることが確認された。

Claims (4)

  1. ポリオール架橋されたフッ素ゴム中の架橋剤の含有量を定量するための定量方法であっ
    て、
    前記フッ素ゴムの主鎖と架橋点の双方を分解可能な、アルキル基含有アミン化合物を用
    いて、前記架橋点由来のアルキル誘導体を生成するステップと、
    前記アルキル誘導体の生成量をガスクロマトグラフィを用いて測定し、その測定結果か
    ら前記架橋剤の含有量を定量するステップとを含む、フッ素ゴム架橋剤の定量方法。
  2. 前記アミン化合物は、アルキル基含有第4級アンモニウム塩の水酸化物である、請求項
    1に記載のフッ素ゴム架橋剤の定量方法。
  3. 前記フッ素ゴム100重量部に対して、前記アルキル基含有アミン化合物を2,000重量部以上反応させる、請求項1または請求項2に記載のフッ素ゴム架橋剤の定量方法。
  4. 前記フッ素ゴムと前記アルキル基含有アミン化合物とを5時間以上反応させる、請求項
    1ないし請求項3のいずれかに記載のフッ素ゴム架橋剤の定量方法。



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