JP2015224276A - 研磨液及びこの研磨液を用いた基板の研磨方法 - Google Patents

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茂 野部
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Haruaki Sakurai
治彰 桜井
友和 嶌田
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友和 嶌田
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Abstract

【課題】 研磨後の平坦性を向上させることが可能な研磨液及びこの研磨液を用いた基板の研磨方法を提供する。
【解決手段】 酸化セリウム粒子、高分子化合物及び水を含むCMP用の研磨液であって、酸化セリウム粒子は、粒子の長辺と短辺の比を指すアスペクト比の平均値が、1.5〜6.0の粒子であり、高分子化合物は、アクリル酸系重合体であり、pHが4.0以上、6.0以下である研磨液。酸化セリウム粒子の含有量が、研磨液全質量に対して、0.05〜5.0質量%であると好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、研磨液及びこの研磨液を用いた基板の研磨方法に関する。より詳細には、本発明は、半導体素子製造技術である、基板表面の平坦化工程、特に、絶縁材料、BPSG材料(ボロン、リンをドープした二酸化珪素)の平坦化工程、シャロートレンチ分離(STI)の形成工程等において使用される、研磨液及びこの研磨液を用いた基板の研磨方法に関する。
現在のULSI半導体素子製造工程では、半導体素子の高密度・微細化のための加工技術が研究開発されている。その加工技術の一つである、CMP(ケミカルメカニカルポリッシング:化学機械研磨)による平坦化技術は、半導体素子製造工程において、絶縁材料の平坦化、STI(シャロートレンチアイソレーション)形成工程、プラグ形成工程、埋め込み金属配線形成工程(ダマシン工程)等を行う際に、必須の技術となってきている。CMP工程(CMP技術を用いた平坦化工程)は、一般に、研磨パッド(研磨布)と、基体上の被研磨材料との間にCMP用研磨液を供給しながら、前記被研磨材料を研磨することによって行われる。
前記CMPに用いるCMP用研磨液は、種々のものが知られている。CMP用研磨液に含まれる砥粒(研磨粒子)によって分類すると、砥粒として酸化セリウム(セリア)粒子を含むセリア系研磨液、砥粒として酸化珪素(シリカ)粒子を含むシリカ系研磨液、砥粒として酸化アルミニウム(アルミナ)粒子を含むアルミナ系研磨液、砥粒として有機樹脂粒子を含む樹脂粒子系研磨液等が知られている。
半導体素子製造工程において、酸化珪素等の絶縁材料を研磨するための研磨液としては、シリカ系研磨液と比較して無機絶縁材料に対する研磨速度が速い点で、セリア系研磨液が注目されている。
セリア系研磨液として、下記特許文献1には、高純度酸化セリウム砥粒を用いた半導体用のCMP用研磨液が記載されている。また、下記特許文献2及び3には、セリア系研磨液の研磨速度を制御し、グローバルな平坦性を向上させるために添加剤を加える技術が記載されている。
特開平10−106994号公報 特許3278532号公報 国際公開第2012/086781号
CMPにより絶縁材料を研磨する工程の代表的なものとして、上述のSTI形成工程が挙げられる。STI形成工程では、凹部を有する基体上に堆積した絶縁材料の余分な部分を除くためにCMPが使用される。CMP用研磨液には、絶縁材料をある程度高速に研磨できることが求められるが、それ以外にも種々の特性が求められ、例えば、ディッシング量を低減し、平坦性に優れた研磨をできることが求められる。なお、ディッシングとは、前記凹部に堆積された絶縁材料が余分に除去されて、被研磨面の一部が皿のように凹む現象である。ディッシングが発生すると、研磨後の表面の平坦性に劣るため好ましくない。
このような課題に対し、特許文献3には、所定の構造を有する有機酸を研磨液に添加することで、220〜390Å(22〜39nm)程度のディッシング量に低減できる技術が開示されている。
しかしながら、配線やSTIのデザインルールの微細化の進展に伴い、更なる平坦性の向上(例えば、絶縁材料のディッシング量の低減)が求められている。また、半導体デバイスの生産のさらなる精度向上も求められており、例えば、トレンチ密度の異なる部分における絶縁材料の残膜厚差が小さいことが求められている。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、基板の表面に形成された被研磨材料を研磨するCMP技術において、研磨後の平坦性を向上させることが可能な研磨液及びこの研磨液を用いた基板の研磨方法を提供することを目的とする。
本発明は、酸化セリウム粒子、高分子化合物及び水を含むCMP用の研磨液であって、酸化セリウム粒子は、粒子の長辺と短辺の比を指すアスペクト比の平均値が、1.5〜6.0の粒子であり、高分子化合物は、アクリル酸系重合体であり、pHが4.0以上、6.0以下である研磨液を提供する。
本発明の研磨液では、基板の表面に形成された被研磨材料(例えば、絶縁材料、BPSG材料、STI材料)を研磨するCMP技術において、充分な被研磨材料の研磨速度を維持しつつ、かつ研磨後の平坦性を向上させることができる。また、研磨液の保存安定性が向上する傾向がある。
酸化セリウム粒子の含有量が、研磨液全質量に対して、0.05〜5.0質量%であることが好ましい。これにより、充分な被研磨材料の研磨速度の維持と、研磨後の平坦性向上とをより達成しやすくなる。
高分子化合物の含有量が、研磨液全質量に対して0.01〜1.0質量%であることが好ましい。これにより、充分な被研磨材料の研磨速度の維持と、研磨後の平坦性向上とをより達成しやすくなる。
高分子化合物は、アクリル酸又はメタクリル酸の単独重合体であることが好ましい。これにより、充分な被研磨材料の研磨速度の維持と、研磨後の平坦性向上とをより達成しやすくなる。
高分子化合物は、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、及び、アクリル酸又はメタクリル酸と他の共重合可能な単量体との共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これにより、充分な被研磨材料の研磨速度の維持と、研磨後の平坦性向上とをより達成しやすくなる。
本発明の研磨液は、さらに有機酸を含むことが好ましい。これにより、研磨後の平坦性向上をより達成しやすくなる。
本発明の研磨液は、さらにpH調整剤を含むことが好ましい。これにより、研磨後の平坦性向上をより達成しやすくなる。また、研磨液の保存安定性が向上する傾向がある。
本発明の研磨液は、酸化セリウム粒子及び水を含む第1の液と、高分子化合物及び水を含む第2の液と、から構成される二液式研磨液として保存しておいてもよい。これにより、研磨液を使用する直前まで酸化セリウム粒子の分散安定性をより良好に保つことができるため、より効果的な研磨速度及び平坦性を得ることが可能である。
なお、本発明の研磨液は、前記第1の液が、分散剤をさらに含むことが好ましい。
本発明は、また、基板表面に形成された被研磨材料を本発明の研磨液を用い、被研磨材料を研磨定盤の研磨パッドに押圧した状態で、前記研磨液を被研磨材料と研磨パッドとの間に供給しながら、基板と研磨定盤とを相対的に動かして被研磨材料を研磨する、基板の研磨方法を提供する。本発明の研磨液を使用する研磨方法によれば、充分な被研磨材料の研磨速度を維持しつつ、さらに研磨後の平坦性を向上させることが可能である。
本発明によれば、基板の表面に形成された被研磨材料(例えば、STI材料)を研磨するCMP技術において、研磨後の表面平坦性を向上させることが可能な研磨液及びこの研磨液を用いた基板の研磨方法を提供できる。これにより、例えば、ディッシングの低減及びトレンチ密度の異なる部分における絶縁材料の残膜厚差の低減を図ることができる。
研磨特性の評価基板を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[研磨液]
本実施形態に係る研磨液は、酸化セリウム粒子と、高分子化合物と、水とを必須として含み、さらに必要に応じて有機酸と、pH調整剤、分散剤とを含有するCMP用の研磨液である。以下、本実施形態に係る研磨液に含まれる各成分について詳細に説明する。
(酸化セリウム粒子)
酸化セリウム粒子としては、特に制限はなく、公知のものを使用できる。一般に酸化セリウムは、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、しゅう酸塩等のセリウム化合物を酸化することによって得られる。酸化セリウム粒子を作製する方法としては、焼成、過酸化水素等による酸化法等が挙げられる。
酸化セリウム粒子は、粒子の長辺と短辺の比を指すアスペクト比の平均値が、1.5〜6.0であることが好ましく、1.8〜5.0であることがより好ましく、2.0〜4.0であることが更に好ましい。アスペクト比の平均値が、1.5以上であり且つ6.0以下であれば、被研磨材料の研磨速度を向上させ、且つ研磨後の表面平坦性を向上させることができる。
酸化セリウム粒子のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で測定できる。具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)観察で得られた画像から、酸化セリウム粒子の長辺と短辺とを測定し、長辺と短辺との比率を酸化セリウム粒子のアスペクト比とする。
TEOS−CVD法等で形成される酸化珪素の研磨に酸化セリウム粒子を使用する場合、酸化セリウム粒子の結晶子径(結晶子の直径)が大きく、かつ結晶歪みが少ない程、即ち結晶性が良い程、高速研磨が可能であるが、被研磨材料に研磨傷が入りやすい傾向がある。このような観点から、酸化セリウム粒子は、2個以上の結晶子から構成され、結晶粒界を有する粒子が好ましく、結晶子径が1〜300nmの範囲内である粒子がより好ましい。
前記結晶子径は走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で測定できる。具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)観察で得られた画像から、酸化セリウム粒子の結晶子の長径と短径とを測定し、長径と短径との積の平方根を結晶子径とする。
酸化セリウム粒子中のアルカリ金属及びハロゲン類の含有率は、少ないほどよく、半導体素子の製造に係る研磨に好適に用いられることから、10ppm以下であることが好ましい。
酸化セリウム粒子の平均粒径は、10〜500nmであることが好ましく、20〜400nmであることがより好ましく、50〜300nmであることが更に好ましい。酸化セリウム粒子の平均粒径が10nm以上であれば、良好な研磨速度が得られる傾向があり、500nm以下であれば、被研磨材料に傷がつきにくくなる傾向がある。
ここで、酸化セリウム粒子の平均粒径は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(例えば、日機装株式会社製 商品名:Microtrac MT3300EXII)で測定したD50の値(体積分布のメジアン径、累積中央値)を意味する。平均粒径の測定には、適切な濃度に研磨液を希釈したサンプルを用いる。なお、酸化セリウム研磨液が、後述するように酸化セリウム粒子を水に分散させた酸化セリウムスラリと、添加剤を水に溶解させた添加液とに分けて保存されている場合は、酸化セリウムスラリを適切な濃度に希釈して測定できる。
酸化セリウム粒子の含有量は、良好な研磨速度が得られる傾向がある観点で、研磨液全質量基準で0.05質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましく、0.15質量%以上が更に好ましい。また、酸化セリウム粒子の含有量は、粒子の凝集が抑制されて被研磨材料に傷がつきにくくなる傾向がある観点で、5.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下が更に好ましい。
(高分子化合物)
高分子化合物は、アクリル酸系重合体である。ここで、アクリル酸系重合体とは、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を重合させて得られる構造を有する重合体として定義され、その製造方法は特に制限されない。
高分子化合物は、アクリル酸又はメタクリル酸の単独重合体であってもよく、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、及び、アクリル酸又はメタクリル酸と他の共重合可能な単量体(アクリル酸及びメタクリル酸を除く)との共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。共重合体における「他の共重合可能な単量体」としては、アクリル酸及び/又はメタクリル酸と共重合可能な単量体であればよく、スチレン、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
高分子化合物は、アクリル酸の単独重合体であることが好ましい。高分子化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
高分子化合物の含有量は、研磨液全質量基準で0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましい。高分子化合物の含有量は、研磨液全質量基準で1.0質量%以下が好ましく、0.75質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。高分子化合物の含有量が0.01質量%以上であり且つ1.0質量%以下であれば、被研磨材料の研磨速度を向上させ、且つ研磨後の表面平坦性を向上させることができる。
高分子化合物の重量平均分子量は、特に制限はないが、100〜150000であることが好ましく、1000〜80000であることがより好ましい。高分子化合物の重量平均分子量が100以上であれば、酸化珪素膜又は窒化珪素膜等の被研磨材料を研磨するときに、良好な研磨速度が得られやすい傾向がある。なお、重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定し、ポリアクリル酸ナトリウム標準物質で作成した検量線を用いて算出した値である。
(有機酸)
本実施形態に係る研磨液は、有機酸を含有することが好ましく、有機酸として有機酸及び/又はその塩を含有する。これにより、研磨速度を向上させ、かつ研磨終了後の被研磨材料(例えば、酸化珪素)の平坦性を向上させることができる。より詳細には、凹凸を有する被研磨面を研磨した場合に、研磨時間を短縮できることに加え、一部が過剰に研磨されて皿のように凹む現象、いわゆるディッシング(Dishing)が生じることを抑制できる。また、トレンチ密度の異なる部分における被研磨材料の残膜厚差を低減できる。この効果は、有機酸及び/又はその塩と酸化セリウム粒子とを併用することにより、より効率的に得られる。
有機酸及び/又はその塩は、−COOM基、−Ph−OM基(フェノール性−OM基)、−SOM基及び−PO基(式中、MはH、NH、Na及びKからなる群より選択されるいずれか一種であり、Phは置換基を有していてもよいフェニル基を示す)からなる群より選択される少なくとも一つの基を有するものであり、水溶性の有機化合物であることが好ましい。
有機酸は、室温(25℃)における酸解離定数pKa(pKaが2つ以上ある場合は一番低い第一段階のpKa)が9未満であるが、pKaとしては、8未満であることが好ましく、7未満であることがより好ましく、6未満であることが更に好ましく、5未満であることが特に好ましく、3未満であることが極めて好ましい。有機酸AのpKaが9未満であれば、研磨液中で少なくともその一部以上が有機酸イオンとなって水素イオンを放出し、所望するpH領域にpHを保つことができる。なお、pKaの下限値は、例えば−10であることが好ましい。
有機酸としては、
ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、o−メトキシ安息香酸、m−メトキシ安息香酸、p−メトキシ安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、ケイ皮酸、キナルジン酸、ニコチン酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、ピコリン酸、ビニル酢酸、フェニル酢酸、フェノキシ酢酸、2−フランカルボン酸、メルカプト酢酸、レブリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,15−ペンタデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、キノリン酸、キニン酸、ナフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、キナ酸、キヌレン酸、サリチル酸、酒石酸、アコニット酸、アスコルビン酸、アセチルサリチル酸、アセチルリンゴ酸、アセチレンジカルボン酸、アセトキシコハク酸、アセト酢酸、3−オキソグルタル酸、アトロパ酸、アトロラクチン酸、アントラキノンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、イソカプロン酸、イソカンホロン酸、イソクロトン酸、2−エチル−2−ヒドロキシ酪酸、エチルマロン酸、エトキシ酢酸、オキサロ酢酸、オキシ二酢酸、2−オキソ酪酸、カンホロン酸、クエン酸、グリオキシル酸、グリシド酸、グリセリン酸、グルカル酸、グルコン酸、クロコン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニル酢酸、ジ−O−ベンゾイル酒石酸、ジメチルコハク酸、ジメトキシフタル酸、タルトロン酸、タンニン酸、チオフェンカルボン酸、チグリン酸、デソキサル酸、テトラヒドロキシコハク酸、テトラメチルコハク酸、テトロン酸、デヒドロアセト酸、テレビン酸、トロパ酸、バニリン酸、パラコン酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシケイ皮酸、ヒドロキシナフトエ酸、o−ヒドロキシフェニル酢酸、m−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸、ピバル酸、ピリジンジカルボン酸、ピリジントリカルボン酸、ピルビン酸、α−フェニルケイ皮酸、フェニルグリシド酸、フェニルコハク酸、フェニル酢酸、フェニル乳酸、プロピオル酸、ソルビン酸、2,4−ヘキサジエン二酸、2−ベンジリデンプロピオン酸、3−ベンジリデンプロピオン酸、ベンジリデンマロン酸、ベンジル酸、ベンゼントリカルボン酸、1,2−ベンゼンジ酢酸、ベンゾイルオキシ酢酸、ベンゾイルオキシプロピオン酸、ベンゾイルギ酸、ベンゾイル酢酸、O−ベンゾイル乳酸、3−ベンゾイルプロピオン酸、没食子酸、メソシュウ酸、5−メチルイソフタル酸、2−メチルクロトン酸、α−メチルケイ皮酸、メチルコハク酸、メチルマロン酸、2−メチル酪酸、o−メトキシケイ皮酸、p−メトキシケイ皮酸、メルカプトコハク酸、メルカプト酢酸、O−ラクトイル乳酸、リンゴ酸、ロイコン酸、ロイシン酸、ロジゾン酸、ロゾール酸、α−ケトグルタル酸、L−アルコルビン酸、イズロン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸、ピログルタミン酸、エチレンジアミン四酢酸、シアン化三酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、N´−ヒドロキシエチル−N,N,N´−トリ酢酸及びニトリロトリ酢酸等のカルボン酸;
メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ノナンスルホン酸、デカンスルホン酸、ウンデカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、トリデカンスルホン酸、テトラデカンスルホン酸、ペンタデカンスルホン酸、ヘキサデカンスルホン酸、ヘプタデカンスルホン酸、オクタデカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ヒドロキシフェノールスルホン酸及びアントラセンスルホン酸等のスルホン酸;
デシルホスホン酸及びフェニルホスホン酸等のホスホン酸、などが挙げられる。さらに、前記のカルボン酸、スルホン酸及びホスホン酸については、これらの主鎖のプロトンを1つ又は2つ以上、F、Cl、Br、I、OH、CN及びNO等の原子又は原子団で置換した誘導体であってもよい。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
有機酸(有機酸及び又はその塩)の含有量は、研磨液全質量基準で0.001〜1質量%であることが好ましい。有機酸及び/又はその塩の含有量が0.001質量%以上であれば、研磨終了後の被研磨材料(例えば、酸化珪素)の平坦性を向上させることができる傾向があり、この観点で、有機酸及び/又はその塩の含有量は0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、0.05質量%以上が特に好ましく、0.1質量%以上が非常に好ましい。一方、含有量が1質量%以下であれば、被研磨材料の研磨速度が充分に向上する傾向があり、また酸化セリウム粒子の凝集が抑制される傾向があり、この観点で、有機酸及び/又はその塩の含有量は0.7質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。
(pH調整剤)
本実施形態に係る研磨液は、所望のpHに調整して研磨に供することができる。pH調整剤としては特に制限はないが、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホウ酸及び酢酸等の酸、並びに水酸化ナトリウム、アンモニア水、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム等の塩基が挙げられる。研磨液が半導体研磨に使用される場合には、アンモニア水、酸成分が好適に使用される。pH調整剤としては、予めアンモニアで部分的に中和された水溶性高分子のアンモニウム塩を使用できる。
なお、室温(25℃)における研磨液のpHは4.0以上、6.0以下である。pHが4.0以上であることにより研磨液の保存安定性が向上する傾向があり、被研磨材料の傷の発生数が減少する傾向があり、同様の観点で、前記pHは、4.3以上がより好ましく、4.5以上が更に好ましい。また、pHが6.0以下であることにより、平坦性の向上効果を充分に発揮できる傾向があり、同様の観点で、前記pHは5.7以下がより好ましく、5.5以下が更に好ましい。研磨液のpHは、pHメータ(例えば、横河電機株式会社製のModel PH81(商品名))で測定できる。例えば、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液pH:4.21(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液pH6.86(25℃))を用いて2点校正した後、電極を研磨液に入れて、25℃で2分以上経過して安定した後の値を測定することで、研磨液のpHを測定できる。
(水)
水としては、特に制限されないが、脱イオン水、イオン交換水及び超純水等が好ましい。水の含有量は、前記各含有成分の含有量の残部でよく、研磨液中に含有されていれば特に限定されない。なお、研磨液は、必要に応じて水以外の溶媒、例えば、エタノール、アセトン等の極性溶媒を更に含有してもよい。
(分散剤)
本実施形態に係る研磨液には、酸化セリウム粒子を分散させるための分散剤を含有させることができる。分散剤としては、水溶性陰イオン性分散剤、水溶性非イオン性分散剤、水溶性陽イオン性分散剤及び水溶性両性分散剤等が挙げられ、中でも、水溶性陰イオン性分散剤が好ましい。これらは一種類を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用できる。なお、高分子化合物として例示された前記高分子化合物の塩(例えば、ポリアクリル酸アンモニウム)を分散剤として使用することもできる。
水溶性陰イオン性分散剤としては、共重合成分としてアクリル酸を含む高分子及びその塩が好ましく、当該高分子の塩がより好ましい。共重合成分としてアクリル酸を含む高分子及びその塩としては、例えば、ポリアクリル酸及びそのアンモニウム塩、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体及びそのアンモニウム塩、並びに、アクリル酸アミドとアクリル酸との共重合体及びそのアンモニウム塩が挙げられる。
その他の水溶性陰イオン性分散剤としては、例えば、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン及び特殊ポリカルボン酸型高分子分散剤が挙げられる。
また、水溶性非イオン性分散剤としては、例えば、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及びアルキルアルカノールアミドが挙げられる。
水溶性陽イオン性分散剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ココナットアミンアセテート及びステアリルアミンアセテートが挙げられる。
水溶性両性分散剤としては、例えば、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド及び2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインが挙げられる。
分散剤の含有量は、酸化セリウム粒子の分散性を向上させて沈降を抑制し、被研磨材料の研磨傷を更に減らす観点から、研磨液全質量基準で0.001〜10質量%の範囲が好ましい。
分散剤の重量平均分子量は、特に制限はないが、100〜150000が好ましく、1000〜20000がより好ましい。分散剤の分子量が100以上であれば、酸化珪素又は窒化珪素等の被研磨材料を研磨するときに、良好な研磨速度が得られやすい傾向がある。分散剤の分子量が150000以下であれば、研磨液の保存安定性が低下しにくい傾向がある。なお、重量平均分子量は、GPCで測定し、ポリアクリル酸ナトリウム標準物質で作成した検量線を用いて算出した値である。
(その他の添加剤)
本実施形態に係る研磨液は、有機酸及び/又はその塩、並びにカルボン酸基又はカルボン酸塩基及び亜硫酸基又は亜硫酸塩基を有する水溶性有機高分子とは別の添加剤として水溶性高分子を使用できる。このような水溶性高分子としては、アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、寒天、カードラン及びプルラン等の多糖類;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマなどが挙げられる。
これら水溶性高分子の重量平均分子量は、500以上が好ましい。また、これら水溶性高分子の含有量は、研磨液全質量基準で0.01〜5質量%が好ましい。
(研磨液の調製・保存方法)
本実施形態に係る研磨液は、例えば、酸化セリウム粒子、水及び必要に応じ分散剤を配合して酸化セリウム粒子を分散させた後に、さらに高分子化合物及び必要に応じ有機酸を添加し、pHを調整することによって得ることができる。なお、本実施形態に係る研磨液は、酸化セリウム粒子、高分子化合物、水、必要に応じ分散剤有機酸及び任意に水溶性高分子を含む一液式研磨液として保存してもよく、酸化セリウム粒子、水及び必要に応じ分散剤を含む酸化セリウムスラリ(第1の液)と、高分子化合物、水、必要に応じ有機酸及び任意に水溶性高分子を含む添加液(第2の液)と、から構成される二液式研磨液として保存してもよい。
なお、二液式研磨液の場合は、高分子化合物及び有機酸以外の添加剤は、酸化セリウムスラリと添加液のいずれに含まれてもよいが、酸化セリウム粒子の分散安定性に影響がない点で、添加液に含まれることが好ましい。
酸化セリウムスラリ(第1の液)と添加液(第2の液)とを分けた二液式研磨液として保存する場合、これら二液の配合を任意に変えることにより平坦化特性と研磨速度の調整が可能となる。二液式研磨液を用いて研磨する場合、酸化セリウムスラリ及び添加液をそれぞれ別の配管で送液し、これらの配管を供給配管出口の直前で合流させて両液を混合して研磨パッド上に供給する方法や、研磨直前に酸化セリウムスラリと添加液とを混合する方法を用いることができる。
本実施形態に係る研磨液及びスラリは、貯蔵・運搬・保管等に係るコストを抑制できる観点で、使用時に水等の液状媒体で例えば2倍以上に希釈されて使用される、研磨液用貯蔵液又はスラリ用貯蔵液として保管できる。前記各貯蔵液は、研磨の直前に液状媒体で希釈されてもよいし、研磨パッド上に貯蔵液と液状媒体を供給し、研磨パッド上で希釈されてもよい。
前記貯蔵液の希釈倍率としては、倍率が高いほど貯蔵・運搬・保管等に係るコストの抑制効果が高いため、2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましい。また、上限としては特に制限はないが、倍率が高いほど貯蔵液に含まれる成分の量が多く(濃度が高く)なり、保管中の安定性が低下する傾向があるため、一般的には10倍以下が好ましく、7倍以下がより好ましく、5倍以下が更に好ましい。なお、三液以上に構成成分を分けてもよく、その場合についても同様である。なお、希釈倍率がX倍であるとは、貯蔵液が貯蔵液の質量の(X−1)倍の質量の液状媒体と混合され、最終的に全質量が貯蔵液のX倍になることを意味する。
本実施形態に係る研磨液は、所望のpHに調整して研磨に供することができる。pH調整剤としては特に制限はないが、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホウ酸及び酢酸等の酸、並びに水酸化ナトリウム、アンモニア水、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム等の塩基が挙げられる。研磨液が半導体研磨に使用される場合には、アンモニア水、酸成分が好適に使用される。pH調整剤としては、予めアンモニアで部分的に中和された水溶性高分子のアンモニウム塩を使用できる。
なお、室温(25℃)における研磨液のpHは4.0以上、6.0以下である。pHが4.0以上であることにより研磨液の保存安定性が向上する傾向があり、被研磨材料の傷の発生数が減少する傾向があり、同様の観点で、前記pHは、4.3以上がより好ましく、4.5以上が更に好ましい。また、pHが6.0以下であることにより、平坦性の向上効果を充分に発揮できる傾向があり、同様の観点で、前記pHは5.7以下がより好ましく、5.5以下が更に好ましい。研磨液のpHは、pHメータ(例えば、横河電機株式会社製のModel PH81(商品名))で測定できる。例えば、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液pH:4.21(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液pH6.86(25℃))を用いて2点校正した後、電極を研磨液に入れて、25℃で2分以上経過して安定した後の値を測定することで、研磨液のpHを測定できる。
次に、本実施形態に係る研磨液の、基板表面に形成された被研磨材料の研磨への応用(Use)について説明する。
(研磨方法)
本実施形態に係る基板の研磨方法は、基板表面に形成された被研磨材料を前記研磨液を用いて研磨する。より詳しくは、例えば、基板表面に形成された被研磨材料を研磨定盤の研磨パッドに押圧した状態で、前記研磨液を被研磨材料と研磨パッドとの間に供給しながら、基板と研磨定盤とを相対的に動かして被研磨材料を研磨する。
基板としては、回路素子及び配線パターンが形成された段階の半導体基板や、回路素子が形成された段階の半導体基板等の半導体基板上に絶縁材料が形成された基板等の半導体素子製造に係る基板などが挙げられる。
前記被研磨材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化珪素の複合材料等の無機絶縁材料などが挙げられる。このような基板上に形成された無機絶縁材料を、本実施形態に係る研磨液で研磨することによって、絶縁材料表面の凹凸を解消し、基板全面にわたって平滑な面にできる。また、本実施形態に係る研磨液は、シャロートレンチ分離にも使用できる。
以下、絶縁材料として、無機絶縁材料の膜が形成された半導体基板の場合を例に挙げて、基板の研磨方法を更に詳細に説明する。
研磨装置としては、被研磨材料を有する半導体基板等の基板を保持するホルダーと、回転数を変更可能なモータ等が取り付けてあり、研磨パッド(研磨布)を貼り付け可能な研磨定盤と、を有する一般的な研磨装置を使用できる。研磨装置としては、例えば、株式会社荏原製作所製の研磨装置:型番EPO−111、AMAT(アプライド マテリアルズ社)製MIRRA,Reflexion等を使用できる。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン及び多孔質フッ素樹脂等を特に制限なく使用できる。また、研磨パッドには、研磨液が溜まるような溝加工が施されていることが好ましい。
研磨条件に制限はないが、定盤の回転速度は、半導体基板が飛び出さないように200回転/分(min−1)以下の低回転が好ましく、半導体基板にかける圧力(加工荷重)は、研磨後に傷が発生しないように100kPa以下が好ましい。研磨している間は、研磨パッドに研磨液をポンプ等で連続的に供給する。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
研磨終了後の半導体基板は、流水中で良く洗浄後、スピンドライヤ等を用いて半導体基板上に付着した水滴を払い落として、乾燥させることが好ましい。
このように被研磨材料である無機絶縁膜を研磨液で研磨することによって、表面の凹凸を解消し、半導体基板全面にわたって平滑な面が得られる。平坦化されたシャロートレンチを形成した後は、無機絶縁膜の上にアルミニウム配線を形成し、その配線間及び配線上に再度無機絶縁膜を形成後、研磨液を用いて当該無機絶縁膜を研磨して平滑な面を得る。この工程を所定数繰り返すことにより、所望の層数を有する半導体基板を製造できる。
本実施形態に係る研磨液により研磨される無機絶縁材料としては、例えば、酸化珪素及び窒化珪素が挙げられる。酸化珪素は、リン及びホウ素等の元素がドープされていても良い。無機絶縁材料の作製方法としては、低圧CVD法、プラズマCVD法等が挙げられる。
低圧CVD法による酸化珪素膜形成は、Si源としてモノシラン:SiH、酸素源として酸素:Oを用いる。このSiH−O系酸化反応を、400℃以下の低温で行うことにより酸化珪素膜が得られる。場合によっては、CVDにより得られた酸化珪素膜は、1000℃又はそれ以下の温度で熱処理される。高温リフローによる表面平坦化を図るために、酸化珪素膜にリン:Pをドープするときには、SiH−O−PH系反応ガスを用いることが好ましい。
プラズマCVD法は、通常の熱平衡下では高温を必要とする化学反応が低温でできる利点を有する。プラズマ発生法には、容量結合型と誘導結合型の2つが挙げられる。反応ガスとしては、Si源としてSiH、酸素源としてNOを用いたSiH−NO系ガスとテトラエトキシシラン(TEOS)をSi源に用いたTEOS−O系ガス(TEOS−プラズマCVD法)が挙げられる。基板温度は、250〜400℃、反応圧力は、67〜400Paが好ましい。
低圧CVD法による窒化珪素膜形成は、Si源としてジクロルシラン:SiHCl、窒素源としてアンモニア:NHを用いる。このSiHCl−NH系酸化反応を、900℃の高温で行わせることにより窒化珪素膜が得られる。プラズマCVD法による窒化珪素膜形成は、反応ガスとしては、Si源としてSiH、窒素源としてNHを用いたSiH−NH系ガスが挙げられる。基板温度は、300〜400℃が好ましい。
本実施形態に係る研磨液及び基板の研磨方法は、半導体基板に形成された無機絶縁膜だけでなく、各種半導体装置の製造プロセス等にも適用できる。本実施形態に係る研磨液及び基板の研磨方法は、所定の配線を有する配線板に形成された酸化珪素材料、ガラス及び窒化珪素等の無機絶縁材料、ポリシリコン、Al、Cu、Ti、TiN、W、Ta及びTaN等を主として含有する材料、フォトマスク・レンズ・プリズム等の光学ガラス、ITO等の無機導電材料、ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路・光スイッチング素子・光導波路、光ファイバーの端面、シンチレータ等の光学用単結晶、固体レーザ単結晶、青色レーザLED用サファイヤ基板、SiC、GaP及びGaAs等の半導体単結晶、磁気ディスク用ガラス基板、並びに磁気ヘッドなどを研磨することにも適用できる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
(酸化セリウム粒子の作製)
市販の炭酸セリウム水和物2kgを純水の蒸気で加湿した100℃のオーブンで8時間処理した後、アルミナ製容器に入れ、830℃、空気中で2時間焼成することにより黄白色の粉末を1kg得た。この粉末の相同定をX線回折法で行ったところ酸化セリウムであることを確認した。得られた粉末状の酸化セリウムを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、結晶子サイズの粒子と、2個以上の結晶子から構成され結晶粒界を有する粒子とが含まれていた。得られたSEM画像から任意に50個の結晶子を選択し、それぞれについて長径と短径との積の平方根から粒子径を求めたところ、結晶子径はいずれも1〜300nmの範囲に含まれていた。
(高分子化合物の合成)
脱イオン水160gと2−プロパノール140gとを、撹拌機、温度計及び空気導入口を備えた1Lの合成用フラスコに投入し、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら液温を80℃に昇温した。そして、アクリル酸234.6gと、2,2´−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二硫酸塩二水和物64.8gを脱イオン水169.8gに溶解させたものとを、それぞれ別々の投入口にセットし、2時間かけて滴下が完了する滴下速度で、両者を同時に滴下した。その後、液温を80℃〜85℃で3時間保温後、室温まで冷却した後、不揮発分が40質量%となるように調整して、高分子化合物の水溶液を得た。高分子化合物は、末端に2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパンを有するポリアクリル酸であり、重量平均分子量は3000であった。
(実施例1)
前記で作製した酸化セリウム粒子200.0gと、脱イオン水795.0gとを混合し、分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム水溶液(重量平均分子量:8000、40質量%)5gを添加して、攪拌しながら超音波分散を行い、酸化セリウム分散液を得た。超音波分散は、超音波周波数400kHz、分散時間30分で行った。得られた酸化セリウム分散液を分級及び希釈し、平均粒径(D50)が150nm、固形分濃度が5質量%の酸化セリウムスラリを得た。平均粒径は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(例えば、日機装株式会社製 商品名:Microtrac MT3300EXII)で測定した。
有機酸としてp−トルエンスルホン酸一水和物2gと、脱イオン水800gとを混合し、高分子化合物として前記ポリアクリル酸(重量平均分子量:3000、40質量%)を2.5g加えた後、アンモニア水(25質量%)を加えてpH5.0(25℃)に調整した。さらに脱イオン水を加えて、全体量850gとして添加液とした。
ここに、前記の酸化セリウムスラリ100gを添加して、アンモニア水(25質量%水溶液)を加えて、pH5.6(25℃)に調整し、さらに脱イオン水を加えて、全量を1000gとし、酸化セリウム研磨液(酸化セリウム粒子含有量:0.5質量%)を作製した。
酸化セリウム研磨液中の粒子の平均粒径をレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置で測定した結果、D50の値は150nmであった。また酸化セリウム研磨液中の粒子のSEM画像から任意に20個の粒子を選択し、それぞれについて長辺と短辺を測定した結果、アスペクト比の平均値は2.1であった。
(研磨速度の評価)
ブランケットウエハの研磨速度の評価は、以下の基板(a)及び(b)をそれぞれ使用した。
ブランケットウエハ(a):CVD法で酸化珪素(厚さ:1000nm)を形成した直径200mmのシリコンウエハ。
ブランケットウエハ(b):CVD法で窒化珪素(厚さ:200nm)を形成した直径200mmのシリコンウエハ。
上記ブランケットウエハ(a)及び(b)を下記研磨条件で60秒間研磨を行い、研磨後の各ウエハは、純水で良く洗浄後、乾燥した。洗浄されたブランケットウエハ(a)及び(b)は、膜厚測定装置(大日本スクリーン製造株式会社製 製品名:ラムダエース VL−M8000LS)を用いて研磨前後での膜厚差を測定し、得られた結果から研磨速度を求めた。
(平坦性の評価)
研磨試験ウエハとして、SEMATECH社製のパタンウエハ(商品名:864ウエハ、直径:200mm)を用いた。この研磨試験ウエハとこれを用いた研磨特性の評価方法を、図1を用いて説明する。
図1(a)は、研磨試験ウエハの一部分を拡大した模式断面図である。ウエハ1の表面には複数の溝が形成されていて、ウエハ1の凸部表面には厚さ150nm(1500Å)の窒化珪素膜2が形成されている。溝の深さ(凸部の表面から凹部の底面までの段差)は500nm(5000Å)である。以下、凸部をアクティブ部、凹部をトレンチ部という。なお、図1には明示されていないが、ウエハ1には、トレンチ部/アクティブ部の断面幅が100μm/100μm、20μm/80μm及び80μm/20μmである3つの領域が形成されている。
図1(b)は、研磨試験ウエハの一部分を拡大した模式断面図である。研磨試験ウエハは、アクティブ部の表面からの酸化珪素膜3の厚さが600nm(6000Å)となるように、プラズマTEOS法によってアクティブ部及びトレンチ部に酸化珪素膜3が形成されている。研磨試験では、研磨試験ウエハの酸化珪素膜3を研磨して平坦化を行う。
図1(c)は、酸化珪素膜3を研磨した後の研磨試験ウエハの一部分を拡大した模式断面図である。アクティブ部の窒化珪素膜2表面で研磨を終了し、このときの研磨に要した時間を研磨時間とし、トレンチ部の深さ4からトレンチ部内の酸化珪素膜3の厚さ(酸化珪素膜の残膜厚)5を引いた値をディッシング量6とする。なお、研磨時間は短いほうが良く、ディッシング量6は小さい方が良い。
このような研磨試験ウエハの研磨には研磨装置(Applied Materials社製、製品名:Mirra)を用いた。基板取り付け用の吸着パッドを貼り付けたホルダーに研磨試験ウエハをセットした。研磨装置の直径600mmの研磨定盤に、多孔質ウレタン樹脂製の研磨パッド(溝形状=パーフォレートタイプ:Rohm and Haas社製、型番IC1010)を貼り付けた。更に、被研磨膜である絶縁材料(酸化珪素膜)面を下にして前記ホルダーを研磨定盤上に載せ、加工荷重を214gf/cm(21.0kPa)に設定した。
前記研磨パッド上に前記酸化セリウム研磨液を150mL/分の速度で滴下しながら、研磨定盤と研磨試験ウエハとをそれぞれ90回転/分で作動させて、研磨試験ウエハを研磨した。100μm/100μm領域のアクティブ部の窒化珪素膜が表面に露出したときの研磨時間を研磨終了時間とした。研磨後の研磨試験ウエハは、純水で良く洗浄後、乾燥した。
平坦性の評価項目として、以下の2項目について評価した。
項目1:100μm/100μm領域のトレンチ部のディッシング(Dishing)量:触針式段差計(型番P16 KLA−tencor社製)を用いて測定した。
項目2:20μm/80μm領域及び80μm/20μm領域のトレンチ部のSiO残膜厚差(SiO密度差):ナノメトリクス社製の干渉式膜厚測定装置ナノスペック/AFT5100(商品名)を用いて、それぞれの領域における酸化珪素膜(SiO膜)の残膜厚を測定し、その差を求めた。
(実施例2)
前記で作製した酸化セリウム粒子200.0gと、脱イオン水795.0gとを混合し、分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム水溶液(重量平均分子量:8000、40質量%)5gを添加して、攪拌しながら超音波分散を行い、酸化セリウム分散液を得た。超音波分散は、超音波周波数400kHz、分散時間30分で行った。得られた酸化セリウム分散液を分級及び希釈し、平均粒径(D50)が170nm、固形分濃度が5質量%の酸化セリウムスラリを得た。平均粒径は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(例えば、日機装株式会社品名:Microtrac MT3300EXII)で測定した。
有機酸としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.5gと、脱イオン水850gとを混合し、高分子化合物として前記ポリアクリル酸(重量平均分子量:3000、40質量%)を3.5g加えた後、アンモニア水(25質量%)を加えてpH5.0(25℃)に調整した。さらに脱イオン水を加えて、全体量900gとして添加液とした。
ここに、前記の酸化セリウムスラリ60gを添加して、アンモニア水(25質量%水溶液)を加えて、pH5.4(25℃)に調整し、さらに脱イオン水を加えて、全量を1000gとし、酸化セリウム研磨液(酸化セリウム粒子含有量:0.3質量%)を作製した。
酸化セリウム研磨液中の粒子の平均粒径をレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置で測定した結果、D50の値は170nmであった。また酸化セリウム研磨液中の粒子のSEM画像から任意に20個の粒子を選択し、それぞれについて長辺と短辺を測定した結果、アスペクト比の平均値は2.5であった。
(比較例1)
(酸化セリウム粒子の作製)
市販の炭酸セリウム水和物2kgをアルミナ製容器に入れ、830℃、空気中で2時間焼成することにより黄白色の粉末を1kg得た。この粉末の相同定をX線回折法で行ったところ酸化セリウムであることを確認した。得られた粉末状の酸化セリウムを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、結晶子サイズの粒子と、2個以上の結晶子から構成され結晶粒界を有する粒子とが含まれていた。得られたSEM画像から任意に50個の結晶子を選択し、それぞれについて長径と短径との積の平方根から粒子径を求めたところ、結晶子径はいずれも1〜300nmの範囲に含まれていた。
前記で作製した酸化セリウム粒子200.0gと、脱イオン水795.0gとを混合し、分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム水溶液(重量平均分子量:8000、40質量%)5gを添加して、攪拌しながら超音波分散を行い、酸化セリウム分散液を得た。超音波分散は、超音波周波数400kHz、分散時間30分で行った。得られた酸化セリウム分散液を分級及び希釈し、平均粒径(D50)が150nm、固形分濃度が5質量%の酸化セリウムスラリを得た。平均粒径は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(例えば、日機装株式会社品名:Microtrac MT3300EXII)で測定した。
有機酸としてp−トルエンスルホン酸一水和物2gと、脱イオン水800gとを混合し、高分子化合物として前記ポリアクリル酸(重量平均分子量:3000、40質量%)を2.5g加えた後、アンモニア水(25質量%)を加えてpH5.0(25℃)に調整した。さらに脱イオン水を加えて、全体量850gとして添加液とした。
ここに、前記の酸化セリウムスラリ100gを添加して、アンモニア水(25質量%水溶液)を加えて、pH5.5(25℃)に調整し、さらに脱イオン水を加えて、全量を1000gとし、酸化セリウム研磨液(酸化セリウム粒子含有量:0.5質量%)を作製した。
酸化セリウム研磨液中の粒子の平均粒径をレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置で測定した結果、D50の値は150nmであった。また酸化セリウム研磨液中の粒子のSEM画像から任意に20個の粒子を選択し、それぞれについて長辺と短辺を測定した結果、アスペクト比の平均値は1.3であった。
実施例1、2及び比較例1の研磨特性の評価結果を表1に示した。表1から、本発明により提供される研磨液により平坦性が向上し、ディッシングの低減及びSiO膜の残膜厚差の低減が達成されることが明らかとなった。
Figure 2015224276
1…ウエハ、2…窒化珪素膜、3…プラズマTEOS法によって形成された酸化珪素膜、4…トレンチ部の深さ、5…研磨後のトレンチ部の酸化珪素膜厚、6…ディッシング量。

Claims (9)

  1. 酸化セリウム粒子、高分子化合物及び水を含むCMP用の研磨液であって、
    前記酸化セリウム粒子は、粒子の長辺と短辺の比を指すアスペクト比の平均値が、1.5〜6.0の粒子であり、
    前記高分子化合物は、アクリル酸系重合体であり、
    pHが4.0以上、6.0以下である研磨液。
  2. 前記酸化セリウム粒子の含有量が、研磨液全質量に対して、0.05〜5.0質量%である、請求項1に記載の研磨液。
  3. 前記高分子化合物の含有量が、研磨液全質量に対して0.01〜1.0質量%である、請求項1又は2に記載の研磨液。
  4. 前記高分子化合物は、アクリル酸又はメタクリル酸の単独重合体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨液。
  5. 前記高分子化合物は、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、及び、アクリル酸又はメタクリル酸と他の共重合可能な単量体との共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨液。
  6. さらに、有機酸を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の研磨液。
  7. さらに、pH調整剤を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の研磨液。
  8. 前記酸化セリウム粒子及び水を含む第1の液と、前記高分子化合物及び水を含む第2の液と、から構成される二液式研磨液として保存される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の研磨液。
  9. 基板表面に形成された被研磨材料を請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨液を用い、被研磨材料を研磨定盤の研磨パッドに押圧した状態で、前記研磨液を被研磨材料と研磨パッドとの間に供給しながら、基板と研磨定盤とを相対的に動かして被研磨材料を研磨する、基板の研磨方法。
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