JP2015137290A - 研磨液の製造方法及び研磨液、並びに研磨方法 - Google Patents

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貴彬 松本
田中 孝明
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Abstract

【課題】基板の表面に形成された被研磨膜を研磨するCMP技術において、配線密度依存性が小さい上に、研磨後の表面平坦性及びオーバー研磨耐性に優れる研磨液を提供する。【解決手段】酸化セリウム粒子と、アクリル酸系重合体と、有機酸化合物と、pH調整剤と、水とを含有し、アクリル酸系重合体が、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む単量体成分を重合させて得られる重合体であり、当該アクリル酸系共重合体の研磨液の全質量に対する配合量(A質量%)と、有機酸化合物の研磨液の全質量に対する配合量(B質量%)の比(B/A)が0.5〜2.5であり、pHが4.0以上6.0以下である研磨液。【選択図】図1

Description

本発明は、研磨液の製造方法及び研磨液、並びに研磨方法に関する。より詳細には、本発明は、絶縁材料として用いられる物質を研磨するための研磨液の製造方法及び研磨液、並びに研磨方法に関する。
現在のULSI半導体素子製造工程では、半導体素子の高密度・微細化のための加工技術が研究開発されている。その加工技術の一つである、CMP(ケミカルメカニカルポリッシング:化学機械研磨)による平坦化技術は、半導体素子製造工程において、層間絶縁膜の平坦化、STI(シャロー・トレンチ・アイソレーション)形成工程、プラグ形成工程、埋め込み金属配線形成工程(ダマシン工程)等を行う際に、必須の技術となってきている。CMP工程(CMP技術を用いた平坦化工程)は、一般に、研磨パッド(研磨布)と、基体上の被研磨材料との間にCMP用研磨液を供給しながら、前記被研磨材料を研磨することによって行われる。
前記CMPに用いるCMP用研磨液は、種々のものが知られている。CMP用研磨液に含まれる砥粒(研磨粒子)によって分類すると、砥粒として酸化セリウム(セリア)粒子を含むセリア系研磨液、砥粒として酸化珪素(シリカ)粒子を含むシリカ系研磨液、及び、砥粒として酸化アルミニウム(アルミナ)粒子を含むアルミナ系研磨液、砥粒として有機樹脂粒子を含む樹脂粒子系研磨液等が知られている。
半導体素子製造工程において、酸化珪素等の絶縁材料を研磨するための研磨液としては、シリカ系研磨液と比較して無機絶縁材料に対する研磨速度が速い点で、セリア系研磨液が注目されている。
セリア系研磨液として、下記特許文献1には、高純度酸化セリウム砥粒を用いた半導体用CMP研磨液が記載されている。また、下記特許文献2には、セリア系研磨液の研磨速度を制御し、グローバルな平坦性を向上させるために高分子の添加剤を加える技術が記載されている。また、下記特許文献3には、不飽和二重結合を有するカルボン酸及びその塩の少なくとも一方を含む単量体を、還元性無機酸塩と酸素とをレドックス重合開始剤として重合してなる重合体を添加剤として用いることにより、配線パターンの密度差による影響の少ない均一な研磨を達成できることが記載されている。
特開平10−106994号公報 特許第3278532号公報 国際公開第2008/032794号
前記特許文献3に記載の技術は、密度が異なる配線に対して均一に研磨を行い、配線密度依存性を小さくすることできるとされている。しかしながら、近年、配線やSTIのデザインルールの微細化の進展に伴い、セリア系研磨液に対して更なる特性の向上が求められている。このような特性の一つに平坦性の向上があり、その指標として、ディッシング(研磨終了後の表面の一部が、皿のように凹む現象)の低減が求められている。
また、近年、STI形成においては凸部(アクティブ部)の酸化珪素膜を完全に除去するためオーバー研磨を行うことがあるが、その際、凹部(トレンチ部)の酸化珪素膜の研磨も進行してしまいやすい。そこで、オーバー研磨耐性(オーバー研磨時に凹部(トレンチ部)の酸化珪素膜の研磨が進行しないこと)の向上も求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、基板の表面に形成された被研磨膜を研磨するCMP技術において、配線密度依存性が小さい上に、研磨後の表面平坦性に優れる研磨液を提供することを目的とする。
本発明に係る研磨液の製造方法は、酸化セリウムを含む粒子と、アクリル酸系重合体と、有機酸化合物と、pH調整剤と、水とを混合して研磨液を得る工程を備え、前記アクリル酸系重合体が、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む単量体成分を重合させて得られる重合体であり、前記アクリル酸系共重合体の研磨液の全質量に対する配合量(A質量%)と、前記有機酸化合物の研磨液の全質量に対する配合量(B質量%)の比(B/A)が0.5〜2.5であり、前記研磨液は、pHが4.0以上6.0以下である。
上記の研磨液によれば、基板の表面に形成された被研磨膜(例えば層間絶縁膜、BPSG膜(ボロン、リンをドープした二酸化珪素膜)、STI膜)を研磨するCMP技術において、ディッシングや配線密度依存性を低減し、またオーバー研磨耐性を向上させ、研磨後の表面平坦性を向上させることができる。
アクリル酸系重合体の配合量は、研磨液の全質量に対して0.001〜2質量%であることが好ましい。
アクリル酸系重合体は、アクリル酸又はメタクリル酸の単独重合体であってもよく、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、及び、アクリル酸又はメタクリル酸と他の共重合可能な単量体との共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であってもよい。
有機酸化合物の配合量は、研磨液の全質量に対して0.001〜2質量%であることが好ましい。
本発明に係る研磨液は、絶縁材料の少なくとも一部をCMPによって除去するための研磨液であって、酸化セリウムを含む粒子と、アクリル酸系重合体と、有機酸化合物と、pH調整剤と、水とを含有し、アクリル酸系重合体が、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を重合させて得られる重合体であり、アクリル酸系共重合体の研磨液の全質量に対する配合量(A質量%)と、有機酸化合物の研磨液の全質量に対する配合量(B質量%)の比(B/A)が0.5〜2.5である。
本発明に係る研磨液のpHは、4.0〜6.0であることが好ましい。
本発明によれば、半導体素子製造技術である、基板表面の平坦化工程、特に、層間絶縁膜、BPSG膜、STI膜を平坦化するCMP技術において、研磨後の表面平坦性を向上させることが可能な研磨液及びこの研磨液を用いた基板の研磨方法を提供することができる。
本発明に係る研磨方法の一例を示す模式断面図である。
本発明の研磨液の製造方法の一つの実施態様は、酸化セリウム粒子を含む砥粒を得る工程と、アクリル酸化合物及びメタクリル酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む単量体成分を重合させたアクリル酸系重合体を得る工程と、前記砥粒と、前記アクリル酸系重合体と、有機酸化合物と、水とを混合して研磨液を得る工程と、を備え、前記アクリル酸系共重合体の研磨液の全質量に対する配合量(A質量%)と、前記有機酸化合物の研磨液の全質量に対する配合量(B質量%)の比(B/A)が0.5〜2.5であり、前記研磨液は、pHが4.0以上6.0以下である、研磨液の製造方法である。以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(1.アクリル酸系重合体を得る工程)
本発明の実施形態において、アクリル酸系重合体とは、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む単量体成分を重合させて得られる重合体である。前記単量体成分は、アクリル酸又はメタクリル酸と他の共重合可能な、他の単量体(アクリル酸及びメタクリル酸を除く)を含んでいてもよい。
前記アクリル酸系重合体としては、アクリル酸の単独重合体(ポリアクリル酸)、メタクリル酸の単独重合体(ポリメタクリル酸)、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、アクリル酸又はメタクリル酸と前記他の単量体との共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸と前記他の単量体との共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であってもよい。中でも前記アクリル酸系重合体は、被研磨膜(例えば層間絶縁膜、BPSG膜、STI膜)への吸着が良好である点でアクリル酸の単独重合体(ポリアクリル酸)であることが好ましい。なお、アクリル酸系重合体は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
前記他の単量体(アクリル酸又はメタクリル酸と他の共重合可能な単量体)としては、例えば、クロトン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸等の不飽和カルボン酸;エチレン、プロピレン、スチレン等のビニル化合物が挙げられる。
(2.酸化セリウム粒子を得る工程)
酸化セリウム粒子としては、特に制限はなく、公知のものを使用することができる。中でも、酸化セリウム粒子は、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩等のセリウム塩を酸化して得ることが好ましい。前記酸化の方法としては、前記セリウム塩を600〜900℃で焼成する焼成法、過酸化水素等の酸化剤を用いて前記セリウム塩を酸化する化学的酸化法等が挙げられ、中でも焼成法が好ましい。
テトラエトキシシラン(TEOS)をSi源に用いたTEOS−CVD法等で形成される酸化珪素膜の研磨に酸化セリウム粒子を使用する場合、酸化セリウム粒子の結晶子径(結晶子の直径)が大きく、且つ、結晶歪みが少ないほど(すなわち、結晶性が良いほど)、高速研磨が可能であるが、被研磨材料に研磨傷が入りやすい傾向がある。このような観点から、酸化セリウム粒子は、2個以上の結晶子から構成され、結晶粒界を有する粒子が好ましく、結晶子径が5〜300nmである粒子がより好ましい。
酸化セリウム粒子の平均粒径は、10〜500nmであることが好ましく、20〜400nmであることがより好ましく、50〜300nmであることが更に好ましい。酸化セリウム粒子の平均粒径が10nm以上であれば、良好な研磨速度が得られる傾向があり、500nm以下であれば、被研磨材料に傷がつきにくくなる傾向がある。
ここで、酸化セリウム粒子の平均粒径は、レーザ回折式粒度分布計(例えば株式会社堀場製作所製 商品名:LA−920、屈折率:1.93、光源:He−Neレーザ、吸収0)で測定したD50の値(体積分布のメジアン径、累積中央値)を意味する。平均粒径の測定には、適切な濃度(例えば、He−Neレーザに対する測定時透過率(H)が60〜70%となる濃度)に研磨液を希釈したサンプルを用いる。また、酸化セリウム粒子を含む研磨液が、酸化セリウム粒子を水に分散させた酸化セリウムスラリーと、添加液とに分けて保存されている場合は、酸化セリウムスラリーを適切な濃度に希釈して測定することができる。
本実施形態に係る研磨液の製造方法は、前記酸化セリウム粒子を含む砥粒の分散工程を備えていることが好ましい。分散工程では、前記酸化セリウム粒子を含む砥粒と、分散剤と、水とを混合して酸化セリウム粒子を含む砥粒を水中に分散させ、酸化セリウムスラリーを得る。分散剤の配合量は、上述した分散剤の含有量を有する研磨液が得られるように調整され、酸化セリウム粒子を含む砥粒の全質量に対して0.001〜4質量%が好ましい。
なお、本実施形態に係る研磨液の製造方法は、研磨液の特性を損なわない範囲で他の種類の粒子を含有してもよく、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニアが挙げられる。
(3.研磨液を得る工程)
本発明の研磨液の製造方法の実施形態の一つは、酸化セリウム粒子を含む砥粒と、有機酸化合物と、前記アクリル酸系重合体と、水とを混合して研磨液を得る工程と、を備える。
本実施形態の研磨液の製造方法において、研磨液の構成成分は、当該研磨液となるように二液以上に分けて保存されていてもよい。例えば、酸化セリウム粒子と水とを含む酸化セリウムスラリーと、それ以外の成分(例えば、アクリル酸系重合体と、有機酸化合物と水)を含む添加剤と水とを含む添加液とに分けて保存し、両者を混合することによって研磨液を得てもよい。
本実施形態の研磨液の製造方法において、さらに分散剤を混合する工程を含んでもよい。この場合、分散剤は、前記酸化セリウムスラリーを得る工程で添加されることが好ましい。すなわち、前記酸化セリウムスラリーが分散剤を含むことが好ましい。
分散剤としては例えば、水溶性陰イオン性分散剤、水溶性非イオン性分散剤、水溶性陽イオン性分散剤、水溶性両性分散剤が挙げられ、中でも静電反発力が大きく分散性が良好である点で、水溶性陰イオン性分散剤が好ましい。
研磨液中における酸化セリウム粒子の含有量は、研磨液全質量基準で0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量%が更に好ましい。酸化セリウム粒子の含有量が0.1質量%以上であれば、良好な研磨速度が得られる傾向があり、20質量%以下であれば、粒子の凝集が抑制されて被研磨材料に傷がつきにくくなる傾向がある。
(有機酸化合物)
本実施形態に係る研磨液は、有機酸化合物として、有機酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する。これにより、被研磨膜の研磨速度を向上させ、且つ研磨終了後の被研磨材料(例えば酸化珪素膜)の平坦性を向上させやすくなる。より詳細には、凹凸を有する被研磨面を研磨した場合に、研磨時間を短縮できることに加え、一部が過剰に研磨されて皿のように凹む現象、いわゆるディッシングが生じることを抑制しやすくなる。
有機酸化合物としては、−COOM基、フェノール性−OM基、−SOM基、−O・SOH基、−PO基及び−PO基からなる群より選ばれる少なくとも一種(Mは、H、NH、Na又はK)を有する水溶性有機化合物が好ましい。有機酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、o−メトキシ安息香酸、m−メトキシ安息香酸、p−メトキシ安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、ケイ皮酸、キナルジン酸、ニコチン酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、ピコリン酸、ビニル酢酸、フェニル酢酸、フェノキシ酢酸、2−フランカルボン酸、メルカプト酢酸、レブリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,15−ペンタデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、キノリン酸、キニン酸、ナフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、キナ酸、キヌレン酸、サリチル酸、酒石酸、アコニット酸、アスコルビン酸、アセチルサリチル酸、アセチルリンゴ酸、アセチレンジカルボン酸、アセトキシコハク酸、アセト酢酸、3−オキソグルタル酸、アトロパ酸、アトロラクチン酸、アントラキノンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、イソカプロン酸、イソカンホロン酸、イソクロトン酸、2−エチル−2−ヒドロキシ酪酸、エチルマロン酸、エトキシ酢酸、オキサロ酢酸、オキシ二酢酸、2−オキソ酪酸、カンホロン酸、クエン酸、グリオキシル酸、グリシド酸、グリセリン酸、グルカル酸、グルコン酸、クロコン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニル酢酸、ジ−O−ベンゾイル酒石酸、ジメチルコハク酸、ジメトキシフタル酸、タルトロン酸、タンニン酸、チオフェンカルボン酸、チグリン酸、デソキサル酸、テトラヒドロキシコハク酸、テトラメチルコハク酸、テトロン酸、デヒドロアセト酸、テレビン酸、トロパ酸、バニリン酸、パラコン酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシケイ皮酸、ヒドロキシナフトエ酸、o−ヒドロキシフェニル酢酸、m−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸、ピバル酸、ピリジンジカルボン酸、ピリジントリカルボン酸、ピルビン酸、α−フェニルケイ皮酸、フェニルグリシド酸、フェニルコハク酸、フェニル酢酸、フェニル乳酸、プロピオル酸、ソルビン酸、2,4−ヘキサジエン二酸、2−ベンジリデンプロピオン酸、3−ベンジリデンプロピオン酸、ベンジリデンマロン酸、ベンジル酸、ベンゼントリカルボン酸、1,2−ベンゼンジ酢酸、ベンゾイルオキシ酢酸、ベンゾイルオキシプロピオン酸、ベンゾイルギ酸、ベンゾイル酢酸、O−ベンゾイル乳酸、3−ベンゾイルプロピオン酸、没食子酸、メソシュウ酸、5−メチルイソフタル酸、2−メチルクロトン酸、α−メチルケイ皮酸、メチルコハク酸、メチルマロン酸、2−メチル酪酸、o−メトキシケイ皮酸、p−メトキシケイ皮酸、メルカプトコハク酸、メルカプト酢酸、O−ラクトイル乳酸、リンゴ酸、ロイコン酸、ロイシン酸、ロジゾン酸、ロゾール酸、α−ケトグルタル酸、L−アルコルビン酸、イズロン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸、ピログルタミン酸、エチレンジアミン四酢酸、シアン化三酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、N´−ヒドロキシエチル−N,N,N´−トリ酢酸、ニトリロトリ酢酸等のカルボン酸;
o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール等のフェノール類;
メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ノナンスルホン酸、デカンスルホン酸、ウンデカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、トリデカンスルホン酸、テトラデカンスルホン酸、ペンタデカンスルホン酸、ヘキサデカンスルホン酸、ヘプタデカンスルホン酸、オクタデカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ヒドロキシフェノールスルホン酸、アントラセンスルホン酸等のスルホン酸;
デシルホスホン酸、フェニルホスホン酸等のホスホン酸が好ましい。
また、上記のカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸の主鎖のプロトンを1つ又は2つ以上、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO等の原子又は原子団で置換した誘導体であってもよい。
これらの有機酸化合物は、一種類を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
有機酸化合物の含有量は、研磨液の全質量に対して0.001〜2質量%が好ましく、0.005〜1質量%がより好ましく、0.01〜0.5質量%が更に好ましい。有機酸化合物の含有量が0.001質量%以上であれば、研磨終了後の被研磨材料(例えば酸化珪素膜)の平坦性を向上させやすくなる傾向があり、1質量%以下であれば、被研磨材料の研磨速度を充分に向上させやすくなる傾向がある。
有機酸化合物のpKaは、9未満であることが好ましく、8未満であることがより好ましく、7未満であることが更に好ましく、6未満であることが特に好ましく、5未満であることが極めて好ましい。有機酸化合物のpKaが9未満であれば、研磨液中で少なくとも一部が有機酸イオンになり、水素イオンを放出し、所望するpH領域にpHを保ちやすくなる。
研磨液における前記アクリル酸系重合体の含有量は、研磨液の全質量に対して0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。分散剤の含有量は、研磨液の全質量に対して2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。アクリル酸系重合体の含有量が0.001質量%以上であり且つ2質量%以下であれば、ディッシング量や配線密度依存性等を低減し、研磨後の表面平坦性を向上させることができる。
アクリル酸系重合体の重量平均分子量は、特に制限はないが、100〜150000が好ましく、1000〜80000がより好ましい。アクリル酸系重合体の重量平均分子量が100以上であれば、酸化珪素膜又は窒化珪素膜等の被研磨材料を研磨するときに、良好な研磨速度が得られやすい傾向がある。アクリル酸系重合体の重量平均分子量が150000以下であれば、研磨液の保存安定性が低下しにくい傾向がある。なお、重量平均分子量は、ポリマー・ラボラトリー社製のポリアクリル酸ナトリウム標準物質で作製した検量線を用い、サイズ排除クロマトグラフ法で測定し、ポリアクリル酸ナトリウムに換算した値である。
アクリル酸系共重合体の研磨液の全質量に対する配合量(A質量%)と、有機酸化合物の研磨液の全質量に対する配合量(B質量%)の比(B/A)が0.5〜2.5であることが好ましい。有機酸化合物を添加することで、アクリル酸系共重合体の解離状態が変化し平坦化特性が向上すると考えられるが、配合量の比(B/A)が0.5以上であると、その効果が十分に得られる。また配合量の比(B/A)を2.5以下にすることで、十分な研磨速度を得ることができ、かつ酸化セリウム粒子が安定に存在することができる。
<研磨液>
本実施形態に係る研磨液は、絶縁材料の少なくとも一部をCMPによって除去するための研磨液である。本実施形態に係る研磨液は、酸化セリウムを含む粒子(以下、「酸化セリウム粒子」という。)と、アクリル酸系重合体と、有機酸化合物と、pH調整剤と、水とを含有し、アクリル酸系重合体が、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を重合させて得られる重合体であり、重合体の研磨液の全質量に対する配合量(A質量%)と、前記有機酸化合物の研磨液の全質量に対する配合量(B質量%)の比(B/A)が0.5〜2.5であり、pHが4.0以上6.0以下である。以下、本実施形態に係る研磨液に含まれる各成分について詳細に説明する。
(水)
水としては、特に制限されないが、脱イオン水、イオン交換水、超純水等が好ましい。水の含有量は、上記各含有成分の含有量の残部でよく、研磨液中に含有されていれば特に限定されない。なお、研磨液は、必要に応じて水以外の溶媒、例えばエタノール、アセトン等の極性溶媒を更に含有してもよい。
(pH調整剤)
本実施形態に係る研磨液は、pH調整剤を必要に応じて添加することにより所望のpHに調整することができる。pH調整剤としては、特に制限はないが、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホウ酸、酢酸等の酸成分;水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の塩基成分が挙げられる。研磨液が半導体研磨に使用される場合には、アンモニア、酸成分が好適に使用される。pH調整剤としては、予めアンモニアで部分的に中和された水溶性高分子のアンモニウム塩を使用することもできる。
(pH)
研磨液のpH(25℃)は、4.0〜6.0が好ましく、4.3〜5.2がより好ましい。pHが4.0以上であり且つ6.0以下であれば、ディッシング量や配線密度依存性等の研磨後の表面平坦性を向上させることができる。
研磨液のpHは、pHメータ(例えば、横河電機株式会社製のModel PH81(商品名))を用いて測定することができる。例えば、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液pH:4.21(25℃)、中性りん酸塩pH緩衝液pH:6.86(25℃))を用いて2点校正した後、電極を研磨液に入れて、25℃で2分以上経過して安定した後の値を測定する。
(その他の添加剤)
本実施形態に係る研磨液は、アクリル酸系重合体、pH調整剤及び有機酸化合物とは別の化合物を添加剤として含有することができる。このような添加剤としては、水溶性高分子化合物、水溶性陽イオン性化合物、水溶性陰イオン性化合物、水溶性非イオン性化合物、水溶性両性化合物等が挙げられる。研磨液を、酸化セリウムスラリーと添加液とに分けて保管する場合、これらのその他の添加剤は、添加液に含まれることが好ましい。
水溶性高分子化合物としては、アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、寒天、カードラン及びプルラン等の多糖類;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマーなどが挙げられる。
水溶性陽イオン性化合物としては、ポリビニルピロリドン、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等が挙げられる。
水溶性陰イオン性化合物としては、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、特殊ポリカルボン酸型高分子化合物等が挙げられる。
水溶性非イオン性化合物としては、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
水溶性両性化合物としては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
これらの添加剤は、一種類を単独又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記その他の添加剤の含有量は、研磨液全質量基準で0.01〜5質量%が好ましい。
<研磨方法>
本実施形態に係る研磨方法では、前記研磨液を用いて、絶縁材料の少なくとも一部をCMPによって除去する。本実施形態に係る研磨方法では、例えば、表面に絶縁材料を有する基板を研磨する(基板の研磨方法)。本実施形態に係る研磨方法は、例えば、準備工程と基板配置工程と研磨工程とを有している。準備工程では、表面に絶縁材料を有する基板を用意する。基板配置工程では、絶縁材料が研磨布に対向するように基板を配置する。研磨工程では、例えば、絶縁材料の少なくとも一部を除去する。研磨工程では、例えば、絶縁材料が形成された基板の当該絶縁材料を研磨定盤の研磨布に押圧した状態で、研磨布と絶縁材料との間に研磨液を供給して、基板と研磨定盤とを相対的に動かして絶縁材料の少なくとも一部を研磨する。絶縁材料の形状は、特に限定されず、例えば膜状(絶縁膜)である。
基板としては、半導体素子製造に係る基板、例えば回路素子と配線パターンが形成された段階の半導体基板、回路素子が形成された段階の半導体基板等の半導体基板上に絶縁材料(例えば無機絶縁材料)が形成された基板が挙げられる。そして、絶縁材料としては、例えば、酸化珪素膜、窒化珪素膜、及び、酸化珪素膜の複合膜等の無機絶縁材料が挙げられる。このような半導体基板上に形成された絶縁材料を、本実施形態に係る研磨液で研磨することによって、絶縁材料表面の凹凸を解消し、半導体基板全面にわたって平滑な面とすることができる。また、本実施形態に係る研磨液は、STIにも使用できる。
以下、絶縁材料が形成された半導体基板の場合を例に挙げて、本実施形態に係る研磨方法を更に詳細に説明する。図1は、研磨方法の一例を示す模式断面図である。まず、図1(A)に示すように、凹部及び凸部により構成される凹凸が表面に形成されたウエハ1と、ウエハ1の凸部上に形成された窒化珪素膜2とを有する基板100を準備する。次に、図1(B)に示すように、ウエハ1の表面の凹凸を埋めるように酸化珪素膜3をプラズマTEOS法等によって堆積して基板200を得る。
そして、前記研磨液を用いて、ウエハ1の凸部上の窒化珪素膜2が露出するまで酸化珪素膜3を研磨して除去する。研磨終了後の基板においては、図1(C)に示す、トレンチ部の深さ4からトレンチ部内の酸化珪素膜3の厚さ5を引いた値であるディッシング量6が小さいことが好ましい。
研磨装置としては、被研磨材料を有する半導体基板等を保持するホルダーと、回転数が変更可能なモータ等が取り付けてあり、研磨布(パッド)を貼り付け可能な研磨定盤と、を有する一般的な研磨装置が使用できる。研磨装置としては、例えば、株式会社荏原製作所製の型番:EPO−111、Applied Materials社製の商品名:MIRRA、Reflexion(「MIRRA」、「Reflexion」は登録商標)を使用できる。
研磨布としては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等を特に制限なく使用できる。また、研磨布には、研磨液が溜まるような溝加工が施されていることが好ましい。
研磨条件に制限はないが、定盤の回転速度は、半導体基板が飛び出さないように200min−1以下の低回転が好ましく、半導体基板にかける圧力(加工荷重)は、研磨後に傷が発生しないように100kPa以下が好ましい。研磨している間は、研磨布に研磨液をポンプ等で連続的に供給する。この供給量に制限はないが、研磨布の表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
研磨終了後の半導体基板は、流水中でよく洗浄後、スピンドライヤ等を用いて半導体基板上に付着した水滴を払い落として、乾燥させることが好ましい。
このように被研磨材料である絶縁材料を前記研磨液で研磨することによって、表面の凹凸を解消し、半導体基板全面にわたって平滑な面が得られる。平坦化されたシャロートレンチを形成した後は、絶縁材料の上にアルミニウム配線を形成し、その配線間及び配線上に再度絶縁材料を形成後、前記研磨液を用いて当該絶縁材料を研磨して平滑な面を得る。この工程を所定数繰り返すことにより、所望の層数を有する半導体基板を製造することができる。
本実施形態に係る研磨液により研磨される絶縁材料としては、例えば、酸化珪素膜、窒化珪素膜等の無機絶縁材料が挙げられる。酸化珪素膜は、リン、ホウ素等の元素がドープされていてもよい。無機絶縁材料の作製方法としては、低圧CVD法、プラズマCVD法等が挙げられる。
低圧CVD法による酸化珪素膜形成は、Si源としてモノシラン:SiH、酸素源として酸素:Oを用いる。このSiH−O系酸化反応を、400℃以下の低温で行うことにより酸化珪素膜が得られる。場合によっては、CVDにより得られた酸化珪素膜は、1000℃又はそれ以下の温度で熱処理される。高温リフローによる表面平坦化を図るために、酸化珪素膜にリン:Pをドープするときには、SiH−O−PH系反応ガスを用いることが好ましい。
プラズマCVD法は、通常の熱平衡下では高温を必要とする化学反応が低温でできる利点を有する。プラズマ発生法には、容量結合型と誘導結合型の2つが挙げられる。反応ガスとしては、Si源としてSiH、酸素源としてNOを用いたSiH−NO系ガスとテトラエトキシシラン(TEOS)をSi源に用いたTEOS−O系ガス(TEOS−プラズマCVD法)が挙げられる。基板温度は250〜400℃が好ましく、反応圧力は67〜400Paが好ましい。
低圧CVD法による窒化珪素膜形成は、Si源としてジクロルシラン:SiHCl、窒素源としてアンモニア:NHを用いる。このSiHCl−NH系酸化反応を、900℃の高温で行わせることにより窒化珪素膜が得られる。プラズマCVD法による窒化珪素膜形成は、反応ガスとしては、Si源としてSiH、窒素源としてNHを用いたSiH−NH系ガスが挙げられる。基板温度は、300〜400℃が好ましい。
本実施形態に係る研磨液及び研磨方法は、半導体基板に形成された絶縁材料だけでなく、各種半導体装置の製造プロセス等にも適用することができる。本実施形態に係る研磨液及び研磨方法は、例えば、所定の配線を有する配線板に形成された酸化珪素膜、ガラス、窒化珪素等の無機絶縁材料、ポリシリコン、Al、Cu、Ti、TiN、W、Ta、TaN等を主として含有する膜、フォトマスク・レンズ・プリズム等の光学ガラス、ITO(インジウムスズ酸化物)等の無機導電膜、ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路・光スイッチング素子・光導波路、光ファイバーの端面、シンチレータ等の光学用単結晶、固体レーザ単結晶、青色レーザLED用サファイヤ基板、SiC、GaP、GaAs等の半導体単結晶、磁気ディスク用ガラス基板、磁気ヘッド等を研磨することにも適用することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
(酸化セリウム粉末の作製)
市販の炭酸セリウム水和物40kgをアルミナ製容器に入れ、830℃、空気中で2時間焼成することにより黄白色の粉末を20kg得た。この粉末の相同定をX線回折法で行ったところ、酸化セリウムであることを確認した。得られた酸化セリウム粉末20kgを、ジェットミルを用いて乾式粉砕し、酸化セリウム粒子を含む酸化セリウム粉末を得た。
(アクリル酸系重合体の作製)
(ポリアクリル酸の作製)
脱イオン水250gを攪拌機、温度計、窒素導入口を備えた1リットルの合成用フラスコに投入し、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら90℃に昇温後、アクリル酸130gと2,2´−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕硫酸塩14gとをメタノール130gに溶解させたものを2時間かけてフラスコ中に注入した。その後90℃で3時間保温後、40℃以下まで冷却し不揮発分を40質量%に調整して、ポリアクリル酸B(アクリル酸の単独重合体)を得た。得られたポリアクリル酸の分子量測定を、ポリマー・ラボラトリー社製のポリアクリル酸ナトリウム標準物質で作製した検量線を用い、サイズ排除クロマトグラフ法で測定したところ、その重量平均分子量は2500(ポリアクリル酸ナトリウム換算値)であった。
(実施例1)
前記で作製した酸化セリウム200.0gと、脱イオン水795.0gとを混合し、分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム水溶液(重量平均分子量:8000、40質量%)5gを添加して、攪拌しながら超音波分散を行い、酸化セリウム分散液を得た。超音波分散は、超音波周波数400kHz、分散時間20分で行った。
その後、1リットル容器(高さ:170mm)に1kgの酸化セリウム分散液を入れて静置し、沈降分級を行った。分級時間15時間後、水面からの深さ130mmより上の上澄みをポンプでくみ上げた。得られた上澄みの酸化セリウム分散液を、次いで固形分濃度が5質量%になるように、脱イオン水で希釈して酸化セリウムスラリーを得た。
酸化セリウムスラリー中における酸化セリウムの平均粒径(D50)を測定するため、He−Neレーザに対する測定時透過率(H)が60〜70%になるように前記スラリーを希釈して、測定サンプルとした。この測定サンプルをレーザ回折式粒度分布計Mastersizer Microplus(Malvern社製、商品名(「Mastersizer」は登録商標))を用い、屈折率:1.93、吸収:0として測定したところ、D50の値は150nmであった。
有機酸化合物としてp−トルエンスルホン酸1.2gと、脱イオン水800gとを混合し、アクリル酸系重合体として重量平均分子量2500で40質量%であるポリアクリル酸水溶液5.0gを加えて、アンモニア水(25質量%)を加えてpH4.5に調整した。さらに脱イオン水を加えて、全体量850gとして添加液とした。
ここに、前記の酸化セリウムスラリー100gを添加して、アンモニア水(25質量%)を加えて、pH5.0に調整し、さらに脱イオン水を加えて、全量を1000gとし、アクリル酸系共重合体の配合量(A質量%)と有機酸化合物の配合量(B質量%)の比(B/A)が0.6である研磨液(酸化セリウム固形分:0.5質量%)を作製した。
また、前記と同様に測定サンプルを調製して、研磨液中の粒子の平均粒径をレーザ回折式粒度分布計で測定した結果、D50の値は150nmであった。
(絶縁膜の研磨)
研磨試験ウエハとして、SEMATECH社製の商品名:パタンウエハ864(直径:200mm)を用いた。この研磨試験ウエハとこれを用いた研磨特性の評価方法を、図1を用いて説明する。
図1(A)は、ウエハ1の一部分を拡大した模式断面図である。ウエハ1の表面には複数の溝が形成されていて、ウエハ1の凸部表面には厚さ150nmの窒化珪素膜2が形成されている。溝の深さ(凸部の表面から凹部の底面までの段差)は500nmである。以下、凸部をアクティブ部、凹部をトレンチ部という。なお、ウエハ1には、100μm/100μm、20μm/80μm、80μm/20μmのトレンチ部/アクティブ部が形成されている。
図1(B)は、研磨試験ウエハの一部分を拡大した模式断面図である。研磨試験ウエハは、アクティブ領域表面からの酸化珪素膜3の厚さが600nmとなるように、プラズマTEOS法によってアクティブ領域及びトレンチ部に酸化珪素膜3が形成されている。研磨試験では、研磨試験ウエハの酸化珪素膜3を研磨して平坦化を行う。
図1(C)は、酸化珪素膜3を研磨した後の研磨試験ウエハの一部分を拡大した模式断面図である。アクティブ領域の窒化珪素膜2表面で研磨を終了し、このときの研磨に要した時間を研磨時間とし、トレンチ部の深さ4からトレンチ部内の酸化珪素膜3の厚さ5を引いた値をディッシング量6とする。なお、研磨時間は短いほうが良く、ディッシング量6は小さい方が良い。
このような研磨試験ウエハの研磨には研磨装置(Applied Materials社製、商品名:MIRRA)を用いた。基板取り付け用の吸着パッドを貼り付けたホルダーに研磨試験ウエハをセットした。研磨装置の研磨定盤に、多孔質ウレタン樹脂製の研磨布(溝形状=パーフォレートタイプ:Rohm and Haas社製、型番:IC1010)を貼り付けた。更に、被研磨膜である絶縁膜(酸化珪素被膜)面を下にして前記ホルダーを研磨定盤上に載せ、加工荷重を3psi(約20.7kPa)に設定した。
前記研磨定盤上に前記で作製したセリア系研磨液を150ミリリットル/分の速度で滴下しながら、研磨定盤と研磨試験ウエハとをそれぞれ90min−1で作動させて、研磨試験ウエハを研磨した。研磨後の研磨試験ウエハは、純水で良く洗浄後、乾燥した。
研磨後の研磨試験ウエハについて、100μm/100μmのトレンチ部の残膜厚をナノメトリクス社製の干渉式膜厚測定装置ナノスペック/AFT5100(商品名)を用いて測定し、ディッシング量を評価した。
研磨後の研磨試験ウエハについて、20μm/80μm及び80μm/20μmのトレンチ部の残膜厚を上記膜厚測定装置で測定し、2箇所の残膜厚の差の絶対値を配線密度依存性の指標と定義して、配線密度依存性を評価した。なお、配線密度依存性は小さい方が良い。
研磨後の研磨試験ウエハについて、研磨時間の30%の時間追加研磨(オーバー研磨)を行い、このオーバー研磨時の100μm/100μmのトレンチ部の研磨速度をオーバー研磨耐性として評価した。なお、オーバー研磨耐性は小さい方が良い。
(実施例2〜3及び比較例1〜3)
実施例1と同様に表1の配合量及びpHとなるように、セリア系研磨液を作製した。評価結果は表1に示す。表1から、本発明により提供される研磨液により、ディッシング、配線密度依存性及びオーバー研磨耐性の向上が達成されることが明らかとなった。
Figure 2015137290
1…ウエハ、2…窒化珪素膜、3…酸化珪素膜、4…トレンチ部の溝の深さ、5…研磨後のトレンチ部酸化珪素膜厚、6…ディッシング量。

Claims (12)

  1. 酸化セリウムを含む粒子と、アクリル酸系重合体と、有機酸化合物と、pH調整剤と、水とを混合して研磨液を得る工程を備える研磨液の製造方法であって、
    前記アクリル酸系重合体が、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む単量体成分を重合させて得られる重合体であり、前記アクリル酸系共重合体の研磨液の全質量に対する配合量(A質量%)と、前記有機酸化合物の研磨液の全質量に対する配合量(B質量%)の比(B/A)が0.5〜2.5であり、前記研磨液は、pHが4.0以上6.0以下である、研磨液の製造方法。
  2. アクリル酸系重合体の配合量が、研磨液の全質量に対して0.001〜2質量%である、請求項1に記載の研磨液の製造方法。
  3. アクリル酸系重合体が、アクリル酸又はメタクリル酸の単独重合体である、請求項1又は2に記載の研磨液の製造方法。
  4. アクリル酸系重合体が、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、及び、アクリル酸又はメタクリル酸と他の共重合可能な単量体との共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の研磨液の製造方法。
  5. 有機酸化合物の配合量が、研磨液の全質量に対して0.001〜2質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の研磨液の製造方法。
  6. 絶縁材料の少なくとも一部をCMPによって除去するための研磨液であって、
    酸化セリウムを含む粒子と、アクリル酸系重合体と、有機酸化合物と、pH調整剤と、水とを含有し、
    前記アクリル酸系重合体が、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を重合させて得られる重合体であり、
    前記アクリル酸系共重合体の研磨液の全質量に対する配合量(A質量%)と、前記有機酸化合物の研磨液の全質量に対する配合量(B質量%)の比(B/A)が0.5〜2.5である、研磨液。
  7. アクリル酸系重合体の含有量が、研磨液の全質量に対して0.001〜2質量%である、請求項6に記載の研磨液。
  8. アクリル酸系重合体が、アクリル酸又はメタクリル酸の単独重合体である、請求項6又は7に記載の研磨液。
  9. アクリル酸系重合体が、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、及び、アクリル酸又はメタクリル酸と他の共重合可能な単量体との共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項6又は7に記載の研磨液。
  10. 有機酸化合物の配合量が、研磨液の全質量に対して0.001〜2質量%である、請求項6〜8のいずれかに記載の研磨液の製造方法。
  11. pHが4.0〜6.0である、請求項6〜9のいずれかに記載の研磨液。
  12. 請求項6〜10のいずれかに記載の研磨液を用いて、絶縁材料の少なくとも一部をCMPによって除去する、研磨方法。
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