JP2015223815A - 接合方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このシート防水構造では、例えば、屋上の床部と、床部の外縁に沿って設けられた壁部との境界部に、ポリ塩化ビニルで被覆された鋼板(金属板)を配置し、床部と壁部とをかかる鋼板とともに樹脂シートを用いて覆う構成となっており、これにより、屋上に防水が施される。
ここで、防水が施工される屋上等の形状は、当然、様々である。そのため、前記鋼板としては、複数の種類の形状のものが予め用意され、実際に施工される屋上等の形状に合致するものを複数選択し、これら同士を互いに接合して用いられる。
このような鋼板同士の接合は、現状、施工現場において、接合部の形状に対応した樹脂シートを用意し、この樹脂シートを用いて施工者が接合部を覆うことにより行なっているが、部品点数が多いため時間と手間を要する問題があった。
そこで、選択された複数の鋼板のうち数点については、施工現場に搬入するのに先立って、予め鋼板同士を、樹脂シートを用いて接合することが考えられる。
しかしながら、この樹脂シートを用いた接合方法は、比較的高度な技術が必要なため、熟練した作業者しか行うことができない問題があった。
(1) 表面が樹脂で被覆されている金属板からなる第1の部材と第2の部材同士とを、樹脂シートを介して接合する接合方法であり、
前記第1の部材と前記第2の部材とを接合する接合部に、前記樹脂シートを配置する第1の工程と、
高周波加熱法によって前記第1の部材および前記第2の部材を加熱して前記樹脂シートを溶融させた後固化させることにより、前記樹脂シートを介して、前記第1の部材と前記第2の部材とを接合する第2の工程とを有し、
前記第1の部材および前記第2の部材は、それぞれ、底部と、当該底部の縁部から立設する立ち上がり面と、当該立ち上がり面の上端から前記底部と反対側に突出する平面と、を有し、
前記樹脂シートは、前記第1の部材と前記第2の部材とを接合する接合部の形状に対応したものであることを特徴とする接合方法。
(3) 前記第2の工程において、前記底部の前記立ち上がり面とは反対側の縁部が前記立ち上がり面側の縁部よりも上方になるように、前記第1の部材および前記第2の部材を傾斜させた状態で、前記第1の型と前記第2の型とで、前記樹脂シートと前記第1の部材および前記第2の部材とを挟持する上記(1)または(2)に記載の接合方法。
(4) 前記第2の工程では、前記第1の部材と前記第2の部材とが接触する部位近傍の領域において、前記樹脂シートと前記第1の部材および前記第2の部材とが溶着していない未溶着領域を形成する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の接合方法。
まず、本発明の接合方法を説明するのに先立って、本発明の接合方法を適用して得られる、表面が樹脂で被覆(コーティング)された第1の部材(金属板)と第2の部材(金属板)とが接合された接合体について説明する。
<第1実施形態>
図1は、接合体の第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す接合体の分解斜視図、図3は、図1に示す接合体を、躯体に配置した状態を示す縦断面図、図4は、第2の工程における、各部材の配置を示す縦断面図、図5は、第2の工程における、接合部分の縦断面図である。なお、以下の説明では、図1、2、3中の上側を「上」、下側を「下」とする。
この接合体1は、屋上やベランダのような躯体が有する床部と壁部との境界部付近に配置され、床部と壁部とを接合体1とともに樹脂シート(防水シート)を用いて覆うことで、躯体に防水を施すシート防水構造に用いられるものである。
なお、第1の部材10と第2の部材20とは、互いに対称な形状を有しているため、以下では、第1の部材10を例にして説明する。
第1の部材10は、表面が樹脂で被覆(コーティング)されている金属板からなり、底部11と、立ち上がり面12と、平面13とを有している。
また、第3の辺17は、第1の辺15に対して直交し、第4の辺18は、第1の辺15に対してほぼ45°となるように交差して設けられている。
また、平面13は、立ち上がり面12上端から底部11と反対側に突出しており、第1の辺15と同じ長さを長辺とする長方形状をなしている。
また、第4の辺18の途中には、第4の辺18から突出する接合板19が設けられており、この接合板19は、本実施形態では、カシメにより底部11に固定されている。
かかる構成の第1の部材10は、第2の部材20と、第4の辺18に対して、ほぼ線対称な形状をなしている。
金属板としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼板、鉄板のような鋼板、アルミ板、銅板等が挙げられるが、鋼板であるのが好ましい。これにより、第1の部材10および第2の部材20を優れた強度を有するものとすることができる。
樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニルのような塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、ポリ塩化ビニルであるのが好ましい。ポリ塩化ビニルは、溶剤溶着性や熱融着性に優れるため、金属板の腐食をより確実に防止することができる。
成形体(樹脂シート)30は、2つの部材である第1の部材10と第2の部材20とを接合した接合部140を覆うように用いられるものであり、この接合部140に対応した形状をなしている。
成形体30を、このように接合部140(接合部141および接合部142)の形状に対応した、第1の部分31および第2の部分32を有するものとすることで、成形体30により、第1の部材10と第2の部材20とを接合部140において確実に接合することができる。また、後述する接合体の製造方法(本発明の接合方法)により、一括でかつ簡便に第1の部材10と第2の部材20とを接合することができる。
また、成形体30を構成する材料には、上記樹脂の他、各種可塑剤、各種安定化剤、各種酸化防止剤、各種紫外線吸収剤、加工助剤、滑剤、充填材、難燃剤、色材等を含んでいてもよい。
接合体1の製造方法は、表面が樹脂で被覆(コーティング)されている金属板からなる第1および第2の部材10、20同士を、成形体(樹脂シート)30を介して接合する方法であり、第1の部材10と第2の部材20とを接合する接合部140に、成形体30を配置する第1の工程と、高周波加熱法によって第1の部材10および第2の部材20を加熱して成形体30を溶融させた後固化させることにより、成形体30を介して、第1の部材10と第2の部材20とを接合する第2の工程とを有する。
[A]まず、第1の部材10および第2の部材20を用意する。
これら第1および第2の部材10、20は、それぞれ、これらの展開図に相当する表面が樹脂で被覆(コーティング)された平板状をなす金属板を用意し、底部11、立ち上がり面12、平面13が形成されるように、これらを屈曲させることにより得ることができる。
まず、第1の部材10および第2の部材20の双方について、底部11の第4の辺18側の縁部に貫通孔115を形成する。
次いで、同様に貫通孔115を備える接合板19を用意し、第1の部材10と第2の部材20とを、第4の辺18同士が対向するように配置した状態で、接合板19に対して、第1の部材10および第2の部材20を、それぞれ、貫通孔115を介してカシメることで、第1の部材10と第2の部材20とを仮止する。
上記のように仮止することにより、第1および第2の部材10、20の立ち上がり面12同士が直交するように第1の部材10と第2の部材20とが配置された状態となる。
また、第1の部材10と第2の部材20とを仮止する本工程[B]は、第1の部材10および第2の部材20の大きさ、形状および構成材料の種類等によっては、省略することもできる。
[D]次に、成形体30を接合部140に配置した状態で、図4に示すように、第1の型61と第2の型62とで、第1の部材10と第2の部材20と成形体30とを挟持(プレス)する。そして、挟持した状態で高周波加熱法によって第1の部材10および第2の部材20を加熱し、成形体30を溶融させた後固化させる。これにより、固化した成形体30を介して、第1の部材10と第2の部材20とが接合される(第2の工程)。
また、第2の型62は、接合体1の下面(成形体30とは反対側の面)の表面形状に対応した形状を有している。
なお、第1の型61と第2の型62とで、第1の部材10と第2の部材20と成形体30とをプレスする場合、図4に示すように、底部11の立ち上がり面12とは反対側の縁部が立ち上がり面12側の縁部よりも上方になるように、第1の部材10および第2の部材20を傾斜させた状態でプレスする。このように傾斜した状態でプレスすることにより、成形体30全体により均一に圧力を掛けることができる。その結果、成形体30と第1の部材10および第2の部材20との溶着不良が発生するのを効果的に防止することができる。
また、第1の型61は、図5に示すように、真鍮等の導電材料で構成された高周波加熱を生じさせる領域612と、ベーク板等の絶縁材で構成された高周波加熱を生じさせない領域611とを有している。
接合体1がこのような未溶着領域70を有することにより、第1および第2の部材10、20の第4の辺18側の縁部に対応する位置では、成形体30と、第1および第2の部材10、20とは接合していない状態となる。
以上のような工程を経ることで、接合体1が製造される。
次に、本発明の接合方法を適用して得られる接合体の第2実施形態について説明する。
図6は、接合体の第2実施形態を示す斜視図である。なお、以下の説明では、図6中の上側を「上」、下側を「下」とする。
以下、第2実施形態の接合体1について、前記第1実施形態の接合体1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図6に示す接合体1では、成形体30による第1の部材10と第2の部材20との接合方法が異なること以外は、図1に示す接合体1と同様である。
なお、成形体30と、第1および第2の部材10、20との間に目地テープ40を介在させる方法としては、接合体1の製造方法において、第1および第2の部材10、20上に成形体30を配置するのに先立って、成形体30に目地テープ40を貼付するようにしてもよいし、第1および第2の部材10、20に目地テープ40を貼付するようにしてもよい。
また、このような第2実施形態の接合体1によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
次に、本発明の接合方法を適用して得られる接合体の第3実施形態について説明する。
図7は、接合体の第3実施形態を示す斜視図、図8は、図7に示す接合体の第3実施形態を示す分解斜視図である。なお、以下の説明では、図7、8中の上側を「上」、下側を「下」とする。
以下、第3実施形態の接合体1について、前記第1実施形態の接合体1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図7に示す接合体1では、第1の部材10と第2の部材20とを成形体30で接合する接合部140における、第1の部材10および第2の部材20の構成が異なること以外は、図1に示す接合体1と同様である。
すなわち、第3実施形態の接合体1では、第1の部材10と第2の部材20とは、それぞれ、接合部140の少なくとも一部に、その厚さが薄くなっている溝部185を備えている。
このような第3実施形態の接合体1によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、溝部185の深さを、成形体30の厚さとほぼ一致させて、溝部185が設けられた領域に位置する成形体30の上面と、溝部185が設けられていない領域に位置する底部11または立ち上がり面12の上面とにより、連続した平坦面を形成する場合について説明したが、かかる場合に限定されず、溝部185の深さは、溝部185が形成されていない領域よりも、その厚さが薄くなっていればよい。かかる構成とすれば、溝部185が形成された領域に、成形体30が接合されたとしても、この成形体30の貼付により形成される段差の高さを低くすることができる。そのため、この段差による液体の堰き止めを低減させることができ、その結果、液体をその流れる方向に移動させることができる。
さらに、溝部185の深さが、成形体30の厚さよりも深い場合には、溝部185と、成形体30との間に、平面視形状が溝部185の形状に対応した補強部材を介在させるようにしてもよい。このような補強部材を介在させることで、溝部185が設けられた領域に位置する成形体30の上面と、溝部185が設けられていない領域に位置する底部11または立ち上がり面12の上面とにより、連続した平坦面を形成することができる。
次に、本発明の接合方法を適用して得られる接合体の第4実施形態について説明する。
図9は、接合体の第4実施形態を示す斜視図である。なお、以下の説明では、図9中の上側を「上」、下側を「下」とする。
以下、第4実施形態の接合体1’について、前記第3実施形態の接合体1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態では、接合体1’は、躯体の角部において、床部から立設する第1の壁部と、床部から立設する第2の壁部とが、前記第3実施形態において説明した角部から突き出るようにして、直角に交差して設けられた突出し部付近上に配置して用いられる。すなわち、接合体1’は、躯体(シート防水構造)500上を流れる水が屈曲する位置に配置して用いられる。
また、第3の辺17は、第1の辺15に対して直交し、第4の辺18は、第1の辺15に対してほぼ135°となるように交差して設けられている。
かかる構成の第1の部材10’は、第2の部材20’と、第4の辺18に対して、ほぼ線対称な形状をなしている。
次に、本発明の接合方法を適用して得られる接合体の第5実施形態について説明する。
図10は、接合体の第5実施形態を示す斜視図である。なお、以下の説明では、図10中の上側を「上」、下側を「下」とする。
以下、第5実施形態の接合体1”について、前記第3実施形態の接合体1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態では、接合体1”は、躯体の床部から立設する第1の壁部(または第2の壁部)の中央部付近において、第1の壁部に沿うように設けられた凹み部に、床部の中央部側から合流するように設けられた凹み部が合流する合流部付近上に配置して用いられる。すなわち、接合体1”は、躯体(シート防水構造)500上を流れる水が合流する位置に配置して用いられる。
この接合体1”では、第1の部材10”は、前記第3実施形態で説明した第1の部材10が2つ連結されたような構成をなし、また、第2の部材20”は、前記第3実施形態で説明した第2の部材20が2つ連結されたような構成をなしている。
また、第1の部材10”は、前記第3実施形態で説明した第1の部材10における立ち上がり面12および平面13の形成が省略され、これらの形成が省略された2つの第1の部材10が有する第1の辺15を対向させた状態で、図10中に示す辺18において、3つの部材を連結したような構成となっている。
したがって、第2の部材20”において、対向する2つの第4の辺18同士の間には空間が形成されるが、この空間における2つの第4の辺18がなす角度は、ほぼ90°となっている。また、第1の部材10”において、対向する2つの第4の辺18同士の間には底部11が位置し、この底部11における2つの第4の辺18がなす角度は、ほぼ90°となっている。
接合体1”は、この状態で、第1の部材10と、第2の部材20とが、成形体30を介して接合されており、この接合体1”が、第1の壁部に沿うように設けられた凹み部に、床部の中央部側から合流するように設けられた凹み部が合流する合流部付近上に配置して用いられる。
以上、本発明の接合方法について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の接合方法において、必要に応じて、1以上の任意の目的の工程を追加してもよい。
また、底部11の構造も平部110のない傾斜部111のみの構造であってもよく、その形状に合わせた第1の部分を有する成形体30を用いることができる。
また、本発明の接合方法が適用される部材は、上記のような形状をなすものに限らず、如何なる形状をなすものであってもよく、例えば、平板状をなすものであってもよい。すなわち、かかる接合方法では、2つの平板状をなす部材同士を、成形体を介して接合することで接合体が形成される。
10、10’、10” 第1の部材
11 底部
12 立ち上がり面
13 平面
15 第1の辺
16 第2の辺
17 第3の辺
18 第4の辺
19 接合板
20、20’、20” 第2の部材
30 成形体
31 第1の部分
32 第2の部分
33 第3の部分
35 凹部
40 目地テープ
61 第1の型
611 高周波加熱を生じさせない領域
612 高周波加熱を生じさせる領域
62 第2の型
70 未溶着領域
110 平部
111 傾斜部
115 貫通孔
120 空間
140、141、142 接合部
181、182、185 溝部
500 躯体(シート防水構造)
510 床部
511 凹み部(溝)
Claims (4)
- 表面が樹脂で被覆されている金属板からなる第1の部材と第2の部材同士とを、樹脂シートを介して接合する接合方法であり、
前記第1の部材と前記第2の部材とを接合する接合部に、前記樹脂シートを配置する第1の工程と、
高周波加熱法によって前記第1の部材および前記第2の部材を加熱して前記樹脂シートを溶融させた後固化させることにより、前記樹脂シートを介して、前記第1の部材と前記第2の部材とを接合する第2の工程とを有し、
前記第1の部材および前記第2の部材は、それぞれ、底部と、当該底部の縁部から立設する立ち上がり面と、当該立ち上がり面の上端から前記底部と反対側に突出する平面と、を有し、
前記樹脂シートは、前記第1の部材と前記第2の部材とを接合する接合部の形状に対応したものであることを特徴とする接合方法。 - 前記第2の工程において、前記第1の部材と前記第2の部材とが接合した接合体の上面の表面形状に対応した形状を有する第1の型と、前記接合体の下面の表面形状に対応した形状を有する第2の型とで、前記樹脂シートと前記第1の部材および前記第2の部材とを挟持した状態で、高周波加熱法によって前記第1の部材および前記第2の部材を加熱する請求項1に記載の接合方法。
- 前記第2の工程において、前記底部の前記立ち上がり面とは反対側の縁部が前記立ち上がり面側の縁部よりも上方になるように、前記第1の部材および前記第2の部材を傾斜させた状態で、前記第1の型と前記第2の型とで、前記樹脂シートと前記第1の部材および前記第2の部材とを挟持する請求項1または2に記載の接合方法。
- 前記第2の工程では、前記第1の部材と前記第2の部材とが接触する部位近傍の領域において、前記樹脂シートと前記第1の部材および前記第2の部材とが溶着していない未溶着領域を形成する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の接合方法。
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