JP2015223632A - 研磨用樹脂積層成形物 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層成形物(繊維強化プラスチック)に機械部品として耐衝撃性等の機械的強度を保ちつつ、研磨砥粒を高充填する時に、充填量のバラつきなく均質に分散させ、且つ量産性(設備、装置の保全性)にも考慮した研磨用樹脂積層成形物を提供する。【解決手段】炭化珪素砥粒、アルミナ砥粒の少なくとも1種からなる砥粒充填材を不織布に付着させた砥粒付き不織布に、熱硬化性樹脂ワニスを含浸させてプリプレグとし、ここで前記砥粒付き不織布が60〜90重量%、熱硬化性樹脂ワニスの固形成分が10〜40重量%の配合量であり、前記プリプレグを複数積層して加圧加熱成形し、前記砥粒が均一に分散されている。不織布がポリアミド樹脂、熱硬化性樹脂が、エポキシ類、フェノール類から選ばれる少なくとも1種類以上の樹脂からなる。【選択図】 図5
Description
本発明は、研磨用樹脂積層成形物に係わり、更に詳しくは例えば、製鋼用圧延機のバックアップロールの微小なクラック、肌荒れ、偏摩耗を研磨除去するために使用する研磨用樹脂積層成形物に関するものである。
研磨砥粒を樹脂中に充填させた樹脂研磨材は各種提供され、砥粒を樹脂中に分散させるにはいくつかの手法がある。
その1は、積層成形物(繊維強化プラスチック)へ研磨砥粒を充填する方法がある。積層成形物の材料となるプリプレグは、平織ガラス繊維クロスやカーボン繊維クロス等の基材に、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を溶液にした樹脂(ワニス)を付着させ作製する。ここで、研磨砥粒を充填する場合は、樹脂の溶液に予め混入・分散しておき、樹脂と共に基材に付着させるのである。例えば、特許文献1には、主として合成繊維を素材とした嵩高不織布基材に、研磨砥粒を含有した熱硬化性樹脂結合剤を含浸し、研磨砥粒を基材に固着して構成した不織布研磨材が公知である点が記載されている。
しかし、この方法は、一定量を超える研磨砥粒を充填すると、研磨砥粒との比重差の影響を受けて溶液内で均質分散して安定させることが困難となり、付着量のムラが発生して充填量の分布のばらつきが生じてしまう。特に比重が重い研磨砥粒では顕著となる。その結果、充填材が過充填となり層間で剥離する等、積層成形物の品質が安定しない。
しかし、この方法は、一定量を超える研磨砥粒を充填すると、研磨砥粒との比重差の影響を受けて溶液内で均質分散して安定させることが困難となり、付着量のムラが発生して充填量の分布のばらつきが生じてしまう。特に比重が重い研磨砥粒では顕著となる。その結果、充填材が過充填となり層間で剥離する等、積層成形物の品質が安定しない。
また、特許文献2には、耐熱性樹脂で被覆した不織布の繊維に、熱硬化性樹脂からなる接着剤前駆体を塗布し、その接着剤前駆体の上に砥粒を散布して付着させ、それから接着剤前駆体から有機溶媒や水を蒸発させて乾燥させて不織布研磨材を製造する点が記載されている。そして、砥粒が接着された嵩高の不織布研磨材を複数積層し、それを加圧加熱成形し、高密度化した立体形状の研磨材を製造する点も記載されている。ここで、耐熱性樹脂は、不織布の繊維よりも少なくとも20℃高い融点又は熱分解温度を有する樹脂で、メラミン架橋アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である。しかし、この特許文献2に記載のものは、不織布の内部の繊維に至るまで均一に砥粒を付着させることが困難であるので、立体成形物の内部に砥粒を均一に分散させることは難しい。
その2は、織物に用いる繊維の紡糸プロセスで研磨砥粒を充填する方法がある。この方法は、繊維の紡糸工程で研磨砥粒を混入することで研磨砥粒を充填したガラス繊維クロス等の織物を作製する。しかし、この方法は、織物に粗密が発生して最終製品の強度が低下する、紡糸ラインの装置を摩耗・損傷するため量産時の設備保全にコストがかかる等の課題が有る。
その3は、熱硬化性樹脂にそのまま研磨砥粒を混ぜて樹脂硬化組成物にする方法がある。この方法は、研磨砥粒の含有量を自由に設計可能であるが、金型が必要な成形方法のため製造サイズに制限があること、補強材(繊維など)を均質に分散させることが出来ず衝撃に対する強度を十分に出せない課題がある。
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、積層成形物(繊維強化プラスチック)に機械部品として耐衝撃性等の機械的強度を保ちつつ、研磨砥粒を高充填する時に、充填量のバラつきなく均質に分散させ、且つ量産性(設備、装置の保全性)にも考慮した研磨用樹脂積層成形物を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、炭化珪素砥粒、アルミナ砥粒の少なくとも1種からなる砥粒充填材を不織布に付着させた砥粒付き不織布に、熱硬化性樹脂ワニスを含浸させてプリプレグとし、ここで前記砥粒付き不織布が60〜90重量%、熱硬化性樹脂ワニスの固形成分が10〜40重量%の配合量であり、前記プリプレグを複数積層して加圧加熱成形し、前記砥粒が均一に分散されていることを特徴とする研磨用樹脂積層成形物を構成した(請求項1)。
ここで、前記不織布が、ポリアミド樹脂で作製されていることが好ましい(請求項2)。
また、前記熱硬化性樹脂が、エポキシ類、フェノール類から選ばれる少なくとも1種類以上の樹脂からなるとより好ましい(請求項3)。
また、前記炭化珪素砥粒若しくはアルミナ砥粒の平均粒径が27〜75μmであることも好ましい(請求項4)。
そして、成形物全体に対して、前記不織布が36〜54重量%、前記砥粒充填材が24〜36重量%の配合量であることがより好ましい(請求項5)。
更に、加熱硬化した時の密度が0.7〜1.5g/cm3であるとより好ましい(請求項7)。
以上にしてなる請求項1に係る発明の研磨用樹脂積層成形物は、炭化珪素砥粒、アルミナ砥粒の少なくとも1種からなる砥粒充填材を不織布に付着させた砥粒付き不織布に、熱硬化性樹脂ワニスを含浸させてプリプレグとし、ここで前記砥粒付き不織布が60〜90重量%、熱硬化性樹脂ワニスの固形成分が10〜40重量%の配合量であり、前記プリプレグを複数積層して加圧加熱成形し、前記砥粒が均一に分散されているので、従来技術よりも高く安定した研磨効果を発揮する研磨材を提供できるのである。また、従来の織布に接着剤を塗布した上に砥粒を散布し、それを積層して加圧加熱成形する手法、あるいは砥粒を混合した接着剤を織布に塗布し、それを積層して加圧加熱成形する手法に比べて、研磨砥粒を高密度で均一に分散させることができる。従来のこれらの手法では、研磨砥粒、例えばアルミナを織布に対して20重量%超えて充填すると均質分散が出来なくなるが、本発明では40重量%の充填量においても砥粒充填材を均一に分散した状態を保ち、充填量の過不足無く安定した研磨用樹脂積層成形物を作製することができる。
請求項2によれば、前記不織布が、ポリアミド樹脂で作製されているので、研磨用樹脂積層成形物の耐衝撃性等の機械的強度が十分に高くなるとともに、耐摩耗性に優れる。
請求項3によれば、前記熱硬化性樹脂が、エポキシ類、フェノール類から選ばれる少なくとも1種類以上の樹脂からなると、研磨時の摺動発熱に耐えることができる研磨用樹脂積層成形物になる。
請求項4によれば、前記炭化珪素砥粒若しくはアルミナ砥粒の平均粒径が27〜75μmであると、研磨性能も十分に発揮できる。
請求項5によれば、成形物全体に対して、前記不織布が36〜54重量%、前記砥粒充填材が24〜36重量%の配合量であるので、砥粒を高密度に含有した研磨用樹脂積層成形物となる。
請求項6によれば、加熱硬化した時の密度が0.7〜1.5g/cm3であると、研磨用樹脂積層成形物として十分な硬さと耐摩耗性を備えるとともに、砥粒の高密度化によって研磨性能が高くなる。
本発明は、樹脂積層成形物へ研磨砥粒の充填量を飛躍的に向上させるとともに、充填量分布を安定化する手法を開発し、製鋼用圧延機のバックアップロールの表面を研磨するのに適した研磨用樹脂積層成形物を提供するものである。本発明は、樹脂繊維からなる基材に熱硬化性樹脂ワニスを含浸させたプリプレグを複数積層し、加圧加熱成形して硬化させ所定の立体形状に加工して樹脂積層成形物を得る技術を背景としている。そして、本発明は、耐熱性に優れた樹脂製不織布の内部に所定量の研磨砥粒を分散付着させたものを基材とし、それに熱硬化性樹脂ワニスを含浸して成形することで、研磨砥粒が高充填で均一分散し、一定の密度を有する積樹脂層成形物を得ることを特徴としている。
即ち、本発明の研磨用樹脂積層成形物は、炭化珪素(SiC)砥粒、アルミナ(Al2O3)砥粒の少なくとも1種からなる砥粒充填材を不織布に付着させた砥粒付き不織布に、熱硬化性樹脂ワニスを含浸させてプリプレグとし、ここで前記砥粒付き不織布が60〜90重量%、熱硬化性樹脂ワニスの固形成分が10〜40重量%の配合量であり、前記プリプレグを複数積層して加圧加熱成形し、前記砥粒が均一に分散されていることを特徴とする。ここで、前記不織布が、ポリアミド樹脂で作製され、前記熱硬化性樹脂が、エポキシ類、フェノール類から選ばれる少なくとも1種類以上の樹脂からなることが好ましい。ここで、研磨砥粒としては、アルミナ、炭化珪素だけでなく、ダイヤモンド粒、立方晶窒化ホウ素粒を使用することもできる。
本発明の使用する前記炭化珪素砥粒若しくはアルミナ砥粒の平均粒径が27〜75μmである。そして、成形物全体に対して、前記不織布が36〜54重量%、前記砥粒充填材が24〜36重量%の配合量とする。ここで、砥粒付き不織布において、不織布と砥粒充填材の重量比は、60:40である。このように構成した本発明の研磨用樹脂積層成形物は、密度が0.7〜1.5g/cm3の範囲になるように成形圧力を調整している。
次に、本発明の研磨用樹脂積層成形物の製造方法を以下に示す。
<製造工程>
本発明の研磨用樹脂積層成形物の製造方法の一連のフローは以下の通りである。原料を準備した後、
1.ワニスの配合作製
2.基材の含浸
3.溶剤除去
4.予備乾燥/硬化
5.加熱成形
6.素材完成
を経て、研磨砥粒が均一分散した樹脂積層成形物を得る。成形物は機械加工して最終的な部品形状になるように形状を整える。
本発明の研磨用樹脂積層成形物の製造方法の一連のフローは以下の通りである。原料を準備した後、
1.ワニスの配合作製
2.基材の含浸
3.溶剤除去
4.予備乾燥/硬化
5.加熱成形
6.素材完成
を経て、研磨砥粒が均一分散した樹脂積層成形物を得る。成形物は機械加工して最終的な部品形状になるように形状を整える。
更に、各製造工程を詳細に説明する。
ここで、使用する原料は、基材、ワニス、溶剤である。
・基材: ポリアミド樹脂繊維の不織布;重量7000g/m2±700g
研磨砥粒(充填材)を40重量%含む
・ワニス:レゾール型、若しくはノボラック型のフェノール樹脂
・溶剤: メタノール(一級)
・基材: ポリアミド樹脂繊維の不織布;重量7000g/m2±700g
研磨砥粒(充填材)を40重量%含む
・ワニス:レゾール型、若しくはノボラック型のフェノール樹脂
・溶剤: メタノール(一級)
1.ワニスの配合作製
メタノールにフェノール樹脂の所定量溶解させたワニスを調製する。調製方法は、以下の通りである。容器に必要量のメタノールを入れて、撹拌機をセットする。次に、速度を100rpm程度で攪拌を開始し、メタノールと同量のノボラック型フェノール樹脂を1kg/minのペースで静かに投入する。そして、速度を200rpmにして30分間撹拌し、樹脂の凝集が無くなった事を確認する。
メタノールにフェノール樹脂の所定量溶解させたワニスを調製する。調製方法は、以下の通りである。容器に必要量のメタノールを入れて、撹拌機をセットする。次に、速度を100rpm程度で攪拌を開始し、メタノールと同量のノボラック型フェノール樹脂を1kg/minのペースで静かに投入する。そして、速度を200rpmにして30分間撹拌し、樹脂の凝集が無くなった事を確認する。
2.研磨フェルトの含浸
基材(砥粒付き不織布)にフェノール樹脂ワニスを含浸して研磨用樹脂積層成形物の原料であるプリプレグを作製する。プリプレグの配合量は基材が60〜90重量%、フェノール樹脂ワニスが10〜40重量%であり、基材に対してフェノール樹脂ワニスを均一に含浸させる。ここで、フェノール樹脂ワニスの塗布量が、10重量%未満で樹脂不足による接着不良が発生し、40重量%を超えると加熱成形時の溶融樹脂の流出が多くなり、基材変形による不良が発生する。好ましくは、プリプレグに対してフェノール樹脂ワニスの塗布量は20〜30重量%である。
基材(砥粒付き不織布)にフェノール樹脂ワニスを含浸して研磨用樹脂積層成形物の原料であるプリプレグを作製する。プリプレグの配合量は基材が60〜90重量%、フェノール樹脂ワニスが10〜40重量%であり、基材に対してフェノール樹脂ワニスを均一に含浸させる。ここで、フェノール樹脂ワニスの塗布量が、10重量%未満で樹脂不足による接着不良が発生し、40重量%を超えると加熱成形時の溶融樹脂の流出が多くなり、基材変形による不良が発生する。好ましくは、プリプレグに対してフェノール樹脂ワニスの塗布量は20〜30重量%である。
3.溶剤除去
プリプレグを100℃設定の電気炉におよそ1時間投入して溶剤を除去する。
プリプレグを100℃設定の電気炉におよそ1時間投入して溶剤を除去する。
4.予備乾燥/硬化
成形直前にプリプレグを100℃設定の電気炉へ2時間投入して、吸湿した水分を除去するとともに、樹脂の予備硬化処理を行う。
成形直前にプリプレグを100℃設定の電気炉へ2時間投入して、吸湿した水分を除去するとともに、樹脂の予備硬化処理を行う。
5.加熱成形
予備乾燥/硬化処理を行ったプリプレグを複数枚重ね、熱間プレスで成形する。
予備乾燥/硬化処理を行ったプリプレグを複数枚重ね、熱間プレスで成形する。
また、フェノール樹脂に代えてエポキシ樹脂を用いる場合には、以下の材料を混合してエポキシ樹脂ワニスを調製する。
エポキシ樹脂・・ビスフェノールA型エポキシ樹脂
硬化剤・・・・・アミン系硬化剤(樹脂に対して当量添加)
溶剤・・・・・・MEK(ワニス調製用)
このエポキシ樹脂ワニスを用いて研磨用樹脂積層成形物を製造する工程は、前述のフェノール樹脂ベースと同様である。
エポキシ樹脂・・ビスフェノールA型エポキシ樹脂
硬化剤・・・・・アミン系硬化剤(樹脂に対して当量添加)
溶剤・・・・・・MEK(ワニス調製用)
このエポキシ樹脂ワニスを用いて研磨用樹脂積層成形物を製造する工程は、前述のフェノール樹脂ベースと同様である。
次の表1に熱間プレスの成形条件を示す。
<研磨性能評価試験>
そして、このように得られた研磨用樹脂積層成形物の研磨性能評価試験を行った。試験方法は、図1に示す形状に加工した試験片(長さ75mm、幅20mm、厚さ10mm)を、図2の摩耗試験機を用いて表2の試験条件にて試験を行い、摺動後の試験片と相手材ロールの摩耗量を測定する方法である。ここで、摩耗試験機は、図2に示すように、円柱状の相手材ロール1の回転軸を水平にして所定の回転速度で回転させ、該相手材ロール1の周面に対抗する位置に固定した支持台2に一端を上下回動可能に枢支したアーム3の先端に前記試験片4を取付けて、該試験片4の先端部を前記相手材ロール1の周面に上方から接触させ、その接触圧力を前記アーム3の中間に吊り下げた重り5で調節するものである。
そして、このように得られた研磨用樹脂積層成形物の研磨性能評価試験を行った。試験方法は、図1に示す形状に加工した試験片(長さ75mm、幅20mm、厚さ10mm)を、図2の摩耗試験機を用いて表2の試験条件にて試験を行い、摺動後の試験片と相手材ロールの摩耗量を測定する方法である。ここで、摩耗試験機は、図2に示すように、円柱状の相手材ロール1の回転軸を水平にして所定の回転速度で回転させ、該相手材ロール1の周面に対抗する位置に固定した支持台2に一端を上下回動可能に枢支したアーム3の先端に前記試験片4を取付けて、該試験片4の先端部を前記相手材ロール1の周面に上方から接触させ、その接触圧力を前記アーム3の中間に吊り下げた重り5で調節するものである。
前記相手材ロール1は、直径100mm、材質がFC20であり、周面は表面粗さRa=3μmに仕上げられたものである。回転速度は、周速で1000m/minであり、8時間連続して運転した。試験片と相手側ロールの接触圧力(線圧)は280gf/cmであり、無潤滑である。
試験片として、表3に示すように実施例1〜10、比較例1〜4を作製した。実施例1〜10の試験片は、何れもポリアミド樹脂繊維不織布を基材とし、バインダーとして実施例1〜6,9,10はフェノール樹脂を用い、実施例7,8はエポキシ樹脂を用いたものであり、そして研磨砥粒(充填材)として実施例1〜4,7,9,10は炭化珪素砥粒♯320、実施例5は炭化珪素砥粒♯220、実施例6,8はアルミナ砥粒♯320を用いたものである。また、実施例1〜10は、全てポリアミド樹脂繊維不織布と砥粒充填材を重量比で60:40に配合し、また実施例1〜8ではフェノール樹脂及びエポキシ樹脂は成形物全体に対してそれぞれ30重量%を配合し、実施例9ではフェノール樹脂を成形物全体に対して10重量%を配合し、実施例10ではフェノール樹脂を成形物全体に対して40重量%を配合した。
つまり、実施例1〜5では、ポリアミド樹脂繊維不織布42重量%、炭化珪素砥粒28重量%、フェノール樹脂30重量%である。実施例6では、ポリアミド樹脂繊維不織布42重量%、アルミナ砥粒28重量%、フェノール樹脂30重量%である。実施例7では、ポリアミド樹脂繊維不織布42重量%、炭化珪素砥粒28重量%、エポキシ樹脂30重量%である。実施例8では、ポリアミド樹脂繊維不織布42重量%、アルミナ砥粒28重量%、エポキシ樹脂30重量%である。実施例9では、ポリアミド樹脂繊維不織布54重量%、炭化珪素砥粒36重量%、フェノール樹脂10重量%である。実施例10では、ポリアミド樹脂繊維不織布36重量%、炭化珪素砥粒24重量%、フェノール樹脂40重量%である。また、実施例1〜4は、成形圧力を変えて密度に変化を持たせた。
また、比較例1,2の試験片は、何れも綿布を基材とし、バインダーとしてフェノール樹脂を用いたものであり、比較例1は砥粒充填材が無し、比較例2は砥粒充填材がアルミナ砥粒♯320である。また、比較例3の試験片は、ガラスクロスを基材とし、バインダーとしてエポキシ樹脂を用い、砥粒充填材が無しのものである。比較例4の試験片は、基材も砥粒充填材も無しで、ポリアミド樹脂そのものである。比較例1では、綿布55重量%、フェノール樹脂45重量%である。比較例2では、綿布50重量%、フェノール樹脂45重量%、アルミナ砥粒5重量%であり、綿布にアルミナ砥粒を混合したフェノール樹脂ワニスを塗布してプリプレグを作製し、それを積層して加圧加熱成形した。比較例3では、ガラス繊維織物60重量%、エポキシ樹脂40重量%である。
表3に実施例の試験結果、表4に比較例の試験結果を示す。ここで、表中の項目について説明する。
(1)研磨砥粒の番手
JISR6001にて規定された#220(75〜45μm)、#320(40±2.5μm、27μm以上)の2種類を使用している。
(2)ロール摩耗高さ
ロール研磨を想定した前述の摩耗試験機で試験を実施し、図3に示すように試験前後のロール表面の研磨量を表面粗さ測定機にて測定し、粗さ分布より摩耗高さを算出したデータを取得した(半径ベース、単位:μm)。このロール摩耗高さにより研磨効果を評価する。
(3)組成物摩耗量
前述の摩耗試験機で試験を実施し、図4に示すように試験前後の試験片(実施例1〜10、比較例1〜4)の摩耗による変化量を体積で示したデータである(単位:mm3)。図4の斜線は摩耗部位6を示し、体積が摩耗量である。つまり、摩耗量=A×B×1/2×試験片の幅である。この組成物摩耗量により耐摩耗性を評価する。
(1)研磨砥粒の番手
JISR6001にて規定された#220(75〜45μm)、#320(40±2.5μm、27μm以上)の2種類を使用している。
(2)ロール摩耗高さ
ロール研磨を想定した前述の摩耗試験機で試験を実施し、図3に示すように試験前後のロール表面の研磨量を表面粗さ測定機にて測定し、粗さ分布より摩耗高さを算出したデータを取得した(半径ベース、単位:μm)。このロール摩耗高さにより研磨効果を評価する。
(3)組成物摩耗量
前述の摩耗試験機で試験を実施し、図4に示すように試験前後の試験片(実施例1〜10、比較例1〜4)の摩耗による変化量を体積で示したデータである(単位:mm3)。図4の斜線は摩耗部位6を示し、体積が摩耗量である。つまり、摩耗量=A×B×1/2×試験片の幅である。この組成物摩耗量により耐摩耗性を評価する。
そして、研磨効果と耐摩耗性(寿命)についての判定基準は、製鋼用圧延機のバックアップロールと同等レベルの工具鋼(ハイス鋼 SKH)製からなるロールを図2の試験機にセットして効果知見のある組成(実施例3)の研磨量及び摩耗量の値であり、この良好な実施例3と比べて、相手側ロールの研磨量及び試験片の摩耗量を比較する。評価は、◎は非常に優れている、○は優れている、△は普通、×は劣っている、である。
この表3及び表4の結果から、実施例1〜10は研磨効果と耐摩耗性を総合的に評価して十分に実用に供することができ、特に実施例2,3,5は総合的に優れ、次いで実施例7,8が優れている。実施例1は研磨効果が少なく、また摩耗量も比較的多い。また、実施例4,6は、研磨効果に特に優れているが、摩耗量が多くなっている。それに対して、比較例1〜4は、実用に供することができないものばかりだった。
図5〜図7は、実施例と比較例の試験片の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した結果を示している。観察に使用したSEMは、日立ハイテクノロジーズ製のS−3400Nである。観察像は反射電子像(BSE)であり、加速電圧は15kV、低真空観察(30Pa)、無蒸着観察である。図5は実施例3、図6は実施例6、図7は比較例2の観察結果であり、各図の(a)は試験片の表層部、(b)は試験片の中心部の観察像である。SEM像において、小さな白い部分は研磨砥粒である。
実施例3(図5)及び実施例6(図6)によれば、研磨砥粒が断面において満遍なく分散していることが分かり、研磨砥粒の分布が表層部と中心部で略同じく、均一構造となっているとともに、研磨砥粒の密度も高いことが分かる。それに対して、従来製法で作製した比較例2(図7)によれば、研磨砥粒が繊維間の樹脂層に集まっていて、研磨砥粒の分布に偏りが見られ不均一構造となっているばかりでなく、研磨砥粒の密度も低いことが分かる。
最後に、図8及び図9に基づいて、本発明の研磨用樹脂積層成形物を適用する製鋼用圧延機のバックアップロールについて簡単に説明する。製鋼用圧延機には、図8に示すワークロールシフトミルと、図9に示すペアクロスミルがある。図中符号10は鋼板、11はワークロール、12はバックアップロールをそれぞれ示し、ワークロール11とバックアップロール12は対となっている。つまり、鋼板10の上下面を一対のワークロール11,11で挟み、その外側から一対のバックアップロール12,12で挟み込む構造である。
図8に示すワークロールシフトミルは、圧延中ワークロール11は動かないが、圧延バッチのたびに軸方向に位置をずらすことが特徴である。ただし、バックアップロール12と鋼板10の位置関係は変わらず、その結果、バックアップロール12が偏摩耗しやすい。図8(b)に点線で示したA部は、ワークロール11のうち、常に鋼板10と接している領域で、それに接するバックアップロール12の部分は、摩耗が大きくなる傾向がある。鋼板幅最大(点線)がバックアップロール12の摩耗範囲で、ワークロール11は左右に動くために、バックアップロール12の摩耗は、摩耗深さが一定でなくランダムな高さの摩耗が多い。
更に詳しくは、ワークロールシフトミルでのバックアップロール12の摩耗は、バックアップロール12とワークロール11の端部(鋼板端近辺)の面圧が高くなり、局部摩耗の原因となる。このため、ワークロール11がシフトすることにより摩耗位置も変わる。従って、バックアップロール12の摩耗は波打ったような形状となる。ワークロールシフトミルの最大のメリットは、クラウン制御能力のほか、エッジドロップの防止と摩耗チラシができることである。ワークロール11は傷みが激しいので、数時間で交換する。一方、バックアップロール12は、1ヶ月に1回程度しか交換しないので、できるだけ偏摩耗を抑えることで、工程を合理化できる。そこで、本発明の研磨用樹脂積層成形物で、バックアップロール12を研磨することで偏摩耗を抑制するのである。
図9に示すペアクロスミルは、ワークロール11,11がクロスしているため、中央のロール間が一番狭く、全幅では鼓形状となることが特徴である。ペアクロスミルでは、ワークロール11は位置が一定であり、ワークロール11,11がクロスしている中央部で圧下される。バックアップロール12の摩耗範囲は、ワークロール11と接触している部分であり、鋼板の通過する部分が集中的に摩耗するようになる。バックアップロール12の摩耗は、やはり鋼板端付近が大きくなるが、鋼板幅間が滑らかな摩耗なので、BOX摩耗あるいはバケツ摩耗となる。摩耗部の両端がエッジ状に高くなることがある。
ペアクロスミルで、バックアップロール12に偏摩耗を生じると、ワークロール11とは端部のみしか接触しなくなり、ロールのひずみが大きくなって割れにつながることがある。そこで、本発明の研磨用樹脂積層成形物で、バックアップロール12を研磨することで偏摩耗を抑制するのである。
1 相手材ロール
2 支持台
3 アーム
4 試験片
5 重り
6 摩耗部位
10 鋼材
11 ワークロール
12 バックアップロール
2 支持台
3 アーム
4 試験片
5 重り
6 摩耗部位
10 鋼材
11 ワークロール
12 バックアップロール
Claims (6)
- 炭化珪素砥粒、アルミナ砥粒の少なくとも1種からなる砥粒充填材を不織布に付着させた砥粒付き不織布に、熱硬化性樹脂ワニスを含浸させてプリプレグとし、ここで前記砥粒付き不織布が60〜90重量%、熱硬化性樹脂ワニスの固形成分が10〜40重量%の配合量であり、前記プリプレグを複数積層して加圧加熱成形し、前記砥粒が均一に分散されていることを特徴とする研磨用樹脂積層成形物。
- 前記不織布が、ポリアミド樹脂で作製されている請求項1記載の研磨用樹脂積層成形物。
- 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ類、フェノール類から選ばれる少なくとも1種類以上の樹脂からなる請求項1又は2記載の研磨用樹脂積層成形物。
- 前記炭化珪素砥粒若しくはアルミナ砥粒の平均粒径が27〜75μmである請求項1〜3何れか1項に記載の研磨用樹脂積層成形物。
- 成形物全体に対して、前記不織布が36〜54重量%、前記砥粒充填材が24〜36重量%の配合量である請求項1〜4何れか1項に記載の研磨用樹脂積層成形物。
- 加熱硬化した時の密度が0.7〜1.5g/cm3である請求項1〜5何れか1項に記載の研磨用樹脂積層成形物。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023145933A1 (ja) * | 2022-01-31 | 2023-08-03 | 株式会社クラレ | 3dプリンタによる樹脂シートの製造方法、及びそれにより得られた研磨層を有する研磨パッド |
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2014
- 2014-05-26 JP JP2014107720A patent/JP2015223632A/ja active Pending
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