JP2015223051A - 固定具付ワイヤハーネス - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数の増加や構造の複雑化を招くことなく、保持部材の長手方向で無段階に選定可能な任意の位置にクリップ部材を位置決めすることが可能な、新規な構造の固定具付ワイヤハーネスを提供すること。【解決手段】ワイヤハーネス12を車体44に固定するために用いられる固定具14を備えた固定具付ワイヤハーネス10であって、固定具14が、車体44に設けられた取付穴46に差し込まれて嵌合されるクリップ部20を備えたクリップ部材16と、ワイヤハーネス12の長手方向に延出してクリップ部材16をスライド移動可能に保持する保持部材18とを含んで構成されている一方、保持部材18が結束テープ42によりワイヤハーネス12に結束固定されており、クリップ部材16のスライド方向両側に配設された結束テープ42により、クリップ部材16が保持部材18の長手方向の任意の位置に位置決めされているようにした。【選択図】図5
Description
本発明は、ワイヤハーネスを車体に固定するために用いられる固定具を備えた固定具付ワイヤハーネスに関するものである。
従来から、自動車に配索されるワイヤハーネスの適所には、ワイヤハーネスを車体に固定するための固定具が装着されており、かかる固定具に設けられたクリップ部を、車体の適所に設けられた取付穴に嵌合することにより、ワイヤハーネスが車体に固定されるようになっている。
ところで、ワイヤハーネスの長さ寸法やワイヤハーネス上の固定具の取付位置は製品毎のばらつきが大きく、それらに起因して、ワイヤハーネス側のクリップ部の位置と車体側の取付穴の位置にずれが生じる場合がある。ワイヤハーネスに余長がある場合は、ワイヤハーネスを湾曲させることで固定具を取付孔に位置合わせして取り付けることができるが、ワイヤハーネスは硬く曲げが困難な場合もあり、作業性の悪化を招いていた。また、ワイヤハーネスの余長が足らない場合は、車体パネルの取付穴に固定具のクリップ部を取り付けることが不可能となり、作業全体のやり直しや固定具のワイヤハーネスへの付け直し等が必要となり、非常に手間を要していた。
そこで、特開2005−287276号公報(特許文献1)には、クリップ部を有するクリップ部材がワイヤハーネスの長手方向に延出する長尺状の保持部材にスライド移動可能に保持されてなる固定具を備えた、固定具付ワイヤハーネスが提案されている。特許文献1に記載の固定具付ワイヤハーネスでは、クリップ部材のクリップ部を車体の取付穴に差し込むと同時に、クリップ部材に突設された係合突起が保持部材の長手方向に連続的に設けられた係合凹部に係合することにより、クリップ部材を保持部材の任意の位置に位置決めできるようになっている。
しかしながら、特許文献1の構造では、クリップ部材を保持部材の任意の位置に位置決めするために、クリップ部材に係合突起を突設したり保持部材に連続的に係合凹部を設ける必要があり、固定具自体の構造が複雑となってコストアップが避けられないという問題があった。しかも、保持部材におけるクリップ部材の固定位置は、保持部材の係合凹部のピッチ寸法の制約を受けることから、ピッチ寸法よりも小さなクリップ部と取付穴の微妙な位置ずれを精度よく吸収するには限界があった。
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、部品点数の増加や構造の複雑化を招くことなく、保持部材の長手方向で無段階に選定可能な任意の位置にクリップ部材を位置決めすることが可能な、新規な構造の固定具付ワイヤハーネスを提供することにある。
本発明の第一の態様は、ワイヤハーネスを車体に固定するために用いられる固定具を備えた固定具付ワイヤハーネスであって、前記固定具が、前記車体に設けられた取付穴に差し込まれて嵌合されるクリップ部を備えたクリップ部材と、前記ワイヤハーネスの長手方向に延出して前記クリップ部材をスライド移動可能に保持する保持部材とを含んで構成されている一方、前記保持部材が結束テープにより前記ワイヤハーネスに結束固定されており、前記クリップ部材のスライド方向両側に配設された前記結束テープにより、前記クリップ部材が前記保持部材の長手方向の任意の位置に位置決めされていることを特徴とする。
本態様によれば、クリップ部材は保持部材にスライド移動可能に保持されていればよく、保持部材の長手方向におけるクリップ部材の位置決めは、保持部材をワイヤハーネスに結束固定する結束テープを利用して、クリップ部材のスライド方向両側に配設される結束テープを用いて行うことができる。従って、従来の固定具の如く、クリップ部材や保持部材に係合突起や係合凹部を設ける必要がなく、固定具の構造を簡素化することができる。
また、クリップ部材は保持部材の長手方向にスライド移動可能であることから、保持部材の長手方向で無段階に選定可能な任意の位置に移動することができる。従って、ワイヤハーネスを車体に取り付ける際には、車体の取付穴の位置に適合する保持部材上の任意の位置にクリップ部材を移動させ、かかる位置においてクリップ部材のスライド方向両側に結束テープを配設することで、クリップ部材を取付穴に適合する最適な位置に位置決めすることができる。それ故、従来構造の如き保持部材の係合凹部のピッチ寸法の制約を受けることなく、クリップ部材を保持部材の長手方向における最適な位置に無段階で位置決めすることが可能となる。しかも、クリップ部材の位置決めに、そもそも保持部材をワイヤハーネスに結束するために必要な結束テープを用いていることから、特別な部品や複雑な係合構造を要することもなく、部品点数の低減やコスト削減を図ることができる。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記クリップ部材が、前記クリップ部と該クリップ部の基端部が外周面に設けられた環状台座部を備えており、前記保持部材の外周面が前記環状台座部の内周面に摺接した状態で、前記保持部材が前記クリップ部材の前記環状台座部に挿通配置されているものである。
本態様によれば、クリップ部材の環状台座部の内部に保持部材が挿通配置されていることから、保持部材からのクリップ部材の離脱を有利に防止できる。また、保持部材の外周面が環状台座部の内周面に摺接した状態でクリップ部材が保持部材に組み付けられていることから、クリップ部材が安定して保持部材に保持されており、固定具の固定強度や耐久性の向上を図ることもできる。
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、複数の前記クリップ部材が、前記保持部材に組み付けられており、各前記クリップ部材のスライド方向両側に、前記結束テープが配設されているものである。
本態様によれば、ワイヤハーネスの配設場所に対応した複数のクリップ部材を保持部材に組み付けることが可能であることから、固定具付ワイヤハーネスの汎用性が向上される。しかも、各クリップ部材のスライド方向両側に結束テープが配設されることから、クリップ部材の位置決め用の結束テープを利用しつつ固定具のワイヤハーネスへの結束力を補強することができる。また保持部材の長手方向の複数箇所に結束テープが配設されることから、ワイヤハーネスを保持部材に沿った形状に安定して保持することも可能となる。
本発明によれば、保持部材の長手方向におけるクリップ部材の位置決めは、保持部材をワイヤハーネスに結束固定する結束テープを利用して、クリップ部材のスライド方向両側に配設される結束テープを用いて行うことができる。従って、従来の固定具の如く、クリップ部材や保持部材に係合突起や係合凹部を設ける必要がなく、固定具の構造を簡素化することができる。また、クリップ部材は保持部材の長手方向にスライド移動可能であることから、保持部材の長手方向で無段階に選定可能な任意の位置に移動することができる。それ故、従来構造の如き保持部材の係合凹部のピッチ寸法の制約を受けることなく、クリップ部材を保持部材の長手方向における最適な位置に無段階で位置決めすることが可能となる。しかも、クリップ部材の位置決めに、保持部材をワイヤハーネスに結束するために必要な結束テープを用いていることから、特別な部品や複雑な係合構造が不要である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜5に、本発明の一実施形態としての固定具付ワイヤハーネス10を示す。固定具付ワイヤハーネス10は、ワイヤハーネス12を後述する車体44に固定するために用いられる固定具14を備えている。固定具14は、図1に示されているように、2つのクリップ部材16と、かかるクリップ部材16をスライド移動可能に保持する保持部材18とを含んで構成されており、いずれも、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。なお、本実施形態では、理解を容易とするため、後述する結束テープ42及び車体44については仮想線で記載している。また、以下の説明において、上方とは、図1中の上方、下方とは、図1中の下方、前方とは、図1中の左方、後方とは、図1中の右方を言うものとする。
クリップ部材16は、図2に示されているように、クリップ部20と環状台座部22を備えており、クリップ部20の基端部が環状台座部22の外周面24上に設けられた構成とされている。クリップ部20は、基端部に設けられた円盤状の皿部26と先端部に設けられた係止頭28を備えて構成されている。係止頭28は、側面視においてπ型形状の係止柱30と、係止柱30の上端部に設けられ矢印状に折り返して突設された一対の係止羽32,32を備えている。ここで、皿部26は、後述する車体44への当接用とされている一方、一対の係止羽32,32は、車体44の取付穴46に挿入して抜け止めを行うために用いられる。一方、環状台座部22は、略角筒形状とされており、前後方向に貫通し且つ係止片を有しない挿通孔34が設けられている。
保持部材18は、図3に示されているように、略矩形断面形状で長手方向に延出する棒形状とされている。なお、保持部材18の外周面36の断面形状(図3(b)参照)は、環状台座部22の挿通孔34の内周面38の断面形状(図2(b)参照)よりもやや小さい相似の矩形状とされている。
このような構造とされた固定具14を用いて、固定具付ワイヤハーネス10を製造する製造方法について以下に説明する。先ず、2つのクリップ部材16の挿通孔34に保持部材18を挿通する(図4(a)参照)ことにより、固定具14を形成する。これにより、2つのクリップ部材16の環状台座部22の挿通孔34の内周面38に対して保持部材18の外周面36が摺接した状態で、保持部材18が2つのクリップ部材16の環状台座部22に挿通配置されるようになっている。すなわち、保持部材18によって2つのクリップ部材16がスライド移動可能に保持されているのである。次に、かかる固定具14をワイヤハーネス12の任意の位置に、保持部材18がワイヤハーネス12の長手方向に延出し且つ2つのクリップ部材16の環状台座部22の下面40がワイヤハーネス12に当接するように載置し、固定具14の保持部材18の両端部をワイヤハーネス12に対して結束テープ42等により結束固定する(図4(b)参照)。続いて、保持部材18の長手方向において、車体44の取付穴46に適合する最適位置にクリップ部材16を移動させ、かかる最適位置に移動されたクリップ部材16のスライド方向両側で保持部材18をワイヤハーネス12に対して結束テープ42等により結束固定する(図4(c)参照)。このように、クリップ部材16のスライド方向両側に結束された結束テープ42によって、クリップ部材16が保持部材18の長手方向で無段階に選定された任意の位置に位置決めされるのである。なお、本実施形態では、クリップ部材16の両側に配設される結束テープ42は、クリップ部材16のスライド方向(図4中、左右方向)の多少の移動を許容するように多少の隙間48を隔てて配設されているが、クリップ部材16のスライド方向の移動を完全に阻止するようにクリップ部材16の直近に配設してもよい。また、本実施形態では、クリップ部材16の両側に配設された結束テープ42のうちの一方は、当初固定具14をワイヤハーネス12に結束固定するために保持部材18の両端部に結束した結束テープ42を用いている。最後に、このように製造された固定具付ワイヤハーネス10のクリップ部20が、車体44に設けられた所望の取付穴46に差し込まれて嵌合されることにより、ワイヤハーネス12が車体44に固定されるようになっている(図5参照)。
このような構造とされた固定具付ワイヤハーネス10によれば、クリップ部材16は保持部材18にスライド移動可能に保持されていればよく、保持部材18の長手方向におけるクリップ部材16の位置決めは、保持部材18をワイヤハーネス12に結束固定する結束テープ42を利用して、クリップ部材16のスライド方向両側に結束テープ42を配設することにより行われる。それ故、従来の固定具の如く、クリップ部材や保持部材に係合突起や係合凹部を設ける必要がなくなることから、固定具14の構造を簡素化することができる。
また、クリップ部材16は保持部材18に対してスライド移動可能に挿通・保持されていることから、保持部材18の長手方向で無段階に選定可能な任意の位置に配置することができる。それ故、従来構造のように保持部材の係合凹部のピッチ寸法の制約を受けることなく、クリップ部材16を保持部材18の長手方向に対して車体44の取付穴46に適合する最適な位置に無段階で位置決めすることが可能となるのである。
さらに、ワイヤハーネス12の配設場所に対応した複数(本実施形態では2つ)のクリップ部材16を保持部材18に組み付けることが可能であることから、固定具付ワイヤハーネス10の汎用性が向上される。また、保持部材18の長手方向の複数箇所(本実施形態では3箇所)に結束テープ42が配設されていることから、ワイヤハーネス12を保持部材18に沿った形状に安定して保持することも可能となる。しかも、クリップ部材16の両側に配設された結束テープ42のうちの一方は、当初固定具14をワイヤハーネス12に結束固定するために保持部材18の両端部に結束した結束テープ42を用いていることから、テープ巻きの簡略化が図られている。
加えて、クリップ部材16の環状台座部22内に設けられた挿通孔34に保持部材18が挿通配置されていることから、保持部材18からクリップ部材16が離脱することを有利に防止できるようになっている。また、2つのクリップ部材16の環状台座部22の挿通孔34の内周面38に対して保持部材18の外周面36が摺接した状態で、保持部材18が2つのクリップ部材16の環状台座部22に挿通配置されていることから、2つのクリップ部材16が安定して保持部材18に対して保持されて固定具14の固定強度や耐久性が向上されている。
しかも、保持部材18の外周面36の断面形状が、環状台座部22の挿通孔34の内周面38の断面形状よりもやや小さい相似の矩形状とされていることから、クリップ部材16が保持部材18に対して回転することが有利に防止されていると共に、クリップ部材16が保持部材18に対してガタツキなくスムーズにスライド移動可能となっている。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでない。例えば、本実施形態では、保持部材18は略矩形断面形状で長手方向に延出する棒形状とされていたが、円形断面や楕円断面形状で延出する棒形状であってもよいし、I字状や凹字状断面で延出するレール形状であってもよい。同様に、保持部材18が挿通される環状台座部22の挿通孔34は、棒形状の保持部材18の断面形状に対応する任意の形状であればよい。また、保持部材18をレール形状にする場合は、環状台座部22はレール形状に係合可能な非環状の任意の形状で設計することができる。また、本実施形態では、保持部材18に2つのクリップ部材16が挿通配置されていたが、保持部材18に挿通配置されるクリップ部材16は1つでもよいし、3つ以上あってもよい。加えて、本実施形態では、クリップ部材16を構成するクリップ部20と環状台座部22は一体成形とされていたが、別体成形後に互いに組み付けるようにしてもよい。
10:固定具付ワイヤハーネス、12:ワイヤハーネス、14:固定具、16:クリップ部材、18:保持部材、20:クリップ部、22:環状台座部、24:外周面、36:外周面、38:内周面、42:結束テープ、44:車体、46:取付穴
Claims (3)
- ワイヤハーネスを車体に固定するために用いられる固定具を備えた固定具付ワイヤハーネスであって、
前記固定具が、前記車体に設けられた取付穴に差し込まれて嵌合されるクリップ部を備えたクリップ部材と、前記ワイヤハーネスの長手方向に延出して前記クリップ部材をスライド移動可能に保持する保持部材とを含んで構成されている一方、
前記保持部材が結束テープにより前記ワイヤハーネスに結束固定されており、
前記クリップ部材のスライド方向両側に配設された前記結束テープにより、前記クリップ部材が前記保持部材の長手方向の任意の位置に位置決めされている
ことを特徴とする固定具付ワイヤハーネス。 - 前記クリップ部材が、前記クリップ部と該クリップ部の基端部が外周面に設けられた環状台座部を備えており、前記保持部材の外周面が前記環状台座部の内周面に摺接した状態で、前記保持部材が前記クリップ部材の前記環状台座部に挿通配置されている請求項1に記載の固定具付ワイヤハーネス。
- 複数の前記クリップ部材が、前記保持部材に組み付けられており、各前記クリップ部材のスライド方向両側に、前記結束テープが配設されている請求項1又は2に記載の固定具付ワイヤハーネス。
Priority Applications (1)
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JP2014107011A JP2015223051A (ja) | 2014-05-23 | 2014-05-23 | 固定具付ワイヤハーネス |
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Cited By (2)
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JP2018001667A (ja) * | 2016-07-06 | 2018-01-11 | 大和化成工業株式会社 | スライド機構組込み式部品の製造方法 |
JP2020056483A (ja) * | 2018-10-04 | 2020-04-09 | 矢崎総業株式会社 | 固定構造 |
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2014
- 2014-05-23 JP JP2014107011A patent/JP2015223051A/ja active Pending
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