JP2015221870A - プリント配線板材料用樹脂組成物、それを用いたプリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板 - Google Patents

プリント配線板材料用樹脂組成物、それを用いたプリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板 Download PDF

Info

Publication number
JP2015221870A
JP2015221870A JP2014106981A JP2014106981A JP2015221870A JP 2015221870 A JP2015221870 A JP 2015221870A JP 2014106981 A JP2014106981 A JP 2014106981A JP 2014106981 A JP2014106981 A JP 2014106981A JP 2015221870 A JP2015221870 A JP 2015221870A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
compound
printed wiring
wiring board
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014106981A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6485728B2 (ja
Inventor
武紀 瀧口
Takenori Takiguchi
武紀 瀧口
恵一 長谷部
Keiichi Hasebe
恵一 長谷部
大治 宮原
Taiji Miyahara
大治 宮原
義則 馬渕
Yoshinori Mabuchi
義則 馬渕
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority to JP2014106981A priority Critical patent/JP6485728B2/ja
Publication of JP2015221870A publication Critical patent/JP2015221870A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6485728B2 publication Critical patent/JP6485728B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)

Abstract

【課題】プリント配線板材料における絶縁層に使用した場合に、プリプレグの製造性に優れ、絶縁層とその表面にめっき形成される導体層との密着性に優れ、ガラス転移温度が高く、かつ吸湿時の耐熱性にも優れた樹脂組成物を得る。【解決手段】シラン化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、エポキシ化合物(C)及び無機充填材(D)を含んでなる樹脂組成物であって、該シラン化合物(A)が置換シリルチオ基及び/又はスルフィド結合を有するシラン化合物であり、該シアン酸エステル化合物(B)及びエポキシ化合物(C)の合計量に対するシラン化合物(A)の含有量が、0.01〜5質量%である、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線板の絶縁層の材料として有用な樹脂組成物、並びに斯かる樹脂組成物を用いたプリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板に関する。
近年、電子機器の小型化、高性能化が進み、多層プリント配線板は、電子部品の実装密度を向上させるため、導体配線の微細化が進んでおり、その配線形成技術が望まれている。絶縁層上に高密度の微細配線を形成する方法としては、無電解めっきのみで導体層を形成するアディティブ法や、無電解めっきで全面に薄い銅層を形成した後に電解めっきで導体層を形成し、そのあとに薄い銅層をフラッシュエッチングするセミアディティブ法などが知られている。
絶縁層表面の粗度は、後工程のフラッシュエッチング処理において、物理アンカー深部のめっきを除去できなくなってしまうため、極力小さくすることが望ましい。一方、絶縁層表面の粗度が小さいことで導体層と絶縁層間の密着強度は小さくなる傾向にある。よって、絶縁層表面の粗度が小さくても導体層との界面密着強度が高い絶縁層樹脂組成物とする必要がある。
また、多層プリント配線板の小型化、高密度化により、多層プリント配線板に用いられる積層板を薄型化する検討が盛んに行なわれている。薄型化に伴い、実装信頼性の低下及び多層プリント配線板の反りの拡大という問題が生じるため、絶縁層の材料となる樹脂組成物には、高密着性、高ガラス転移温度が求められている。
特許文献1には、エポキシ樹脂、硬化剤、シリカ及びシラン化合物を用いる樹脂組成物が記載され、この樹脂組成物を硬化し、その後粗化処理された硬化体の表面にめっき処理により金属層を形成した場合に、硬化体と金属層が高い密着を示すことが開示されている。しかし、該硬化体は硬化体上のめっき金属層と硬化体の密着力には優れるものの、プリント配線板の絶縁層として求められるガラス転移温度の観点から満足いくものでなかった。
特許文献2には、シアネートエステル樹脂、エポキシ樹脂、無機充填材及びチオール基を有するシランカップリング剤を用いる樹脂組成物が記載され、この樹脂組成物を硬化し、電子部品封止用樹脂として用いた場合に、電子部品の反りを抑制でき、さらに耐熱性に優れることが開示されている。しかし、該硬化体は、プリント配線板の絶縁層の材料として用いることや、導体層と絶縁層との密着性という概念は一切記載されていない。
特許文献3には、シアネートエステル樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材及びチオール基を有するシランカップリング剤を用いる樹脂組成物が記載され、この樹脂組成物を硬化し、アンダーフィルとして用いた場合に、チップとアンダーフィルの界面密着性に優れることが開示されている。しかし、該硬化体は、めっきにより形成される導体層と絶縁層との密着性という概念は一切記載されていない。
特許第4686750号公報 特開2011−184650号公報 特開2003−342449号公報
本発明の課題は、プリント配線板材料における絶縁層に使用した場合に、プリプレグの製造性に優れ、絶縁層とその表面にめっき形成される導体層との密着性に優れ、ガラス転移温度が高く、かつ吸湿時の耐熱性にも優れた樹脂組成物を得ることであり、これを用いたプリプレグ、樹脂シート、該プリプレグを用いた金属箔張積層板及びプリント配線板を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、シラン化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、エポキシ化合物(C)及び無機充填材(D)を含有し、該シラン化合物(A)が置換シリルチオ基及び/又はスルフィド結合を有するシラン化合物であり、該シアン酸エステル化合物(B)及びエポキシ化合物(C)の合計量に対するシラン化合物(A)の含有量が0.01〜5質量%である樹脂組成物を用いることにより、上記課題が解決されることを見出し本発明に到達した。
本発明の樹脂組成物は、以下の(1)〜(4)の効果の少なくとも何れか、好ましくは全てを発揮する。
(1)プリプレグ製造性に優れる。
(2)絶縁層とその表面にめっき形成される導体層との密着性に優れる。
(3)ガラス転移温度が高い。
(4)吸湿時の耐熱性に優れる。
本発明の一態様によれば、シラン化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、エポキシ化合物(C)及び無機充填材(D)を含有し、該シラン化合物(A)が置換シリルチオ基及び/又はスルフィド結合を有するシラン化合物であり、該シアン酸エステル化合物(B)及びエポキシ化合物(C)の合計量に対するシラン化合物(A)の含有量が0.01〜5質量%である樹脂組成物である。
また、本発明の別の態様においては、前記樹脂組成物成分に加え、マレイミド化合物(E)を含有する樹脂組成物である。
さらに本発明の別の態様においては、前記樹脂組成物からなるプリプレグ及び樹脂シート並びに該プリプレグを用いた金属箔張積層板、プリント配線板も提供される。
〔I−1.シラン化合物(A)〕
本発明に使用されるシラン化合物(A)は、置換シリルチオ基及び/又はスルフィド結合を有するシラン化合物であり、式(1)又は式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2015221870
(式中、Rは各々独立に、メチル基、エチル基及びプロピル基からなる群から選択される、いずれか一種を表す。nは、1以上3以下の整数を示す。mは3以上の整数を示す。)
Figure 2015221870
(式中、Rは各々独立に、メチル基又はエチル基を表す。nは1以上3以下の整数を示す。mは3以上の整数を示す。lは2以上の整数を示す。kは3以上の整数を示す。jは1以上3以下の整数を示す。)
該置換シリルチオ基含有シラン化合物は、市販のものを使用してもよく、例えば、信越化学工業(株)製のX−12−1056ES等を好適に使用することができる。スルフィド結合含有シラン化合物は、市販のものを使用してもよく、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製のZ−6920、Z−6940等、信越化学工業(株)製のKBE−846等を好適に使用することができる。
本発明の樹脂組成物におけるシラン化合物(A)の含有量は、耐熱性及びめっき銅ピール強度の観点から、成分(B)及び(C)の合計量に対して、0.01〜5質量%の範囲である。特に、本発明の樹脂組成物中に成分(E)が存在する場合には、成分(B)、(C)及び(E)の合計量に対して、0.01〜5質量%である。
〔I−2.シアン酸エステル化合物(B)〕
本発明の樹脂組成物において、シアン酸エステル化合物(B)は、シアナト基(シアン酸エステル基)を有する化合物であり、具体的には、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物(シアナト基含有ナフトールアラルキル樹脂)、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド型シアン酸エステル化合物(シアナト基含有芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂)、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物(シアナト基含有ビフェニルアラルキル樹脂)、及びノボラック型シアン酸エステル化合物(シアナト基含有ノボラック樹脂)からなる群から選択される。
これらのシアン酸エステル化合物(B)は、本発明の樹脂組成物において耐薬品性、高ガラス転移温度、低熱膨張性等に優れた特性を付与し、本発明の樹脂組成物の成分として好適に使用することができる。
なお、上記例示に記すように、本明細書では、ある樹脂又は化合物をシアナト化(シアン酸エステル化)して得られる構造を有するシアン酸エステル化合物(B)を、その樹脂又は化合物の名称に「〜型シアン酸エステル化合物」との記載を付して表す場合がある。
これらの中でも、シアン酸エステル化合物(B)としては、難燃性に優れ、硬化性が高く、かつ硬化物のガラス転移温度が高い本発明の樹脂組成物を提供するという観点から、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド型シアン酸エステル化合物(好ましい例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素をホルムアルデヒドと重合して得られた芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を、フェノール、キシレノール等の水酸基含有芳香族炭化水素で変性し、更に当該水酸基をシアナト化した化合物や、フェノール、キシレノール等の水酸基含有芳香族炭化水素をホルムアルデヒドと重合して得られた水酸基含有芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の当該水酸基をシアナト化した化合物等)、及びビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物からなる群から選択される1種又は2種以上が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物におけるシアン酸エステル化合物(B)の樹脂組成物における含有量は特に限定されないが、耐熱性及び硬化性の観点から、成分(B)及び(C)の合計量に対し、10〜80質量%の範囲が好ましく、20〜70質量%の範囲が特に好適である。特に、本発明の樹脂組成物中に成分(E)が存在する場合には、成分(B)、(C)及び(E)の合計量に対し、10〜70質量%、中でも15〜60質量%の範囲であることが好ましい。
ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物としては、下記式(3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2015221870
(式中、Rは各々独立に水素原子又はメチル基を表し、中でも水素原子が好ましい。nは1以上の整数を示す。nの上限値は、通常は10、好ましくは6である。)
ノボラック型シアン酸エステル化合物としては、下記式(4)で表される化合物が好ましい。
Figure 2015221870
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、中でも水素原子が好ましい。nは1以上の整数を示す。nの上限値は、通常は10、好ましくは7である。)
Figure 2015221870
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、中でも水素原子が好ましい。nは1以上の整数を示す。nの上限値は、通常は10、好ましくは7である。)
シアン酸エステル化合物(B)としては、特に式(3)又は(4)の化合物が好ましい。特に式(3)のナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物を用いると、本発明の樹脂組成物の硬化性をより一層向上させ、耐燃性に優れる硬化物を得ることができるのでとりわけ好ましい。
シアン酸エステル化合物(B)としては、様々な構造の既製品が市販されており、それら適宜入手して用いることができる。また、公知の種々の製法を用いて、シアン酸エステル化合物(B)を製造してもよい。斯かる製法の例としては、所望の骨格を有する水酸基含有化合物を入手又は合成し、当該水酸基を公知の手法により修飾してシアナト化する方法等が挙げられる。水酸基をシアナト化する手法としては、例えば、Ian Hamerton, “Chemistry and Technology of Cyanate Ester Resins,” Blackie Academic & Professionalに記載の手法が挙げられる。
〔I−3.エポキシ化合物(C)〕
本発明の樹脂組成物に使用されるエポキシ化合物(C)は、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物である。エポキシ化合物(C)の1分子当たりのエポキシ基の数は、1以上である。該エポキシ基の数は2以上であることがより好ましい。
エポキシ化合物(C)は、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ化合物(C)は、1種類のみが用いられても良く、2種類以上が併用されても良い。
エポキシ化合物(C)としては、例えば、ビフェニルアラルキル型エポキシ化合物(エポキシ基含有ビフェニルアラルキル樹脂)、ナフタレン型エポキシ化合物(ナフタレン骨格を有するエポキシ基含有化合物:ナフタレン2官能型エポキシ化合物)、ビスナフタレン型エポキシ化合物(ビスナフタレン骨格を有するエポキシ基含有化合物:ナフタレン4官能型エポキシ化合物)、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド型エポキシ化合物(エポキシ基含有芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂)、アントラキノン型エポキシ化合物(アントラキノン骨格を有するエポキシ基含有化合物)、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物(エポキシ基含有ナフトールアラルキル樹脂)、ザイロック型エポキシ化合物(エポキシ基含有ザイロック樹脂)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ化合物(3官能フェノール骨格を有するエポキシ基含有化合物)、4官能フェノール型エポキシ化合物(4官能フェノール骨格を有するエポキシ基含有化合物)、ビフェニル型エポキシ樹脂(ビフェニル骨格を有するエポキシ基含有化合物)、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、トリアジン骨格エポキシ化合物(トリアジン骨格含有エポキシ樹脂)脂環式エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエステル、ブタジエン等の二重結合含有化合物の二重結合をエポキシ化した化合物、及び、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物、等が挙げられる。
なお、上記例示に記すように、本明細書では、ある樹脂又は化合物をエポキシ化して得られる構造を有するエポキシ化合物を、その樹脂又は化合物の名称に「〜型エポキシ化合物」との記載を付して表す場合がある。
これらの中でも、エポキシ化合物(C)としては、絶縁層とめっき導体層との密着性及び難燃性等の観点から、ビフェニルアラルキル型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビスナフタレン型エポキシ化合物、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド型エポキシ化合物(好ましい例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素をホルムアルデヒドと重合して得られた芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を、フェノール、キシレノール等の水酸基含有芳香族炭化水素で変性し、更に当該水酸基をエポキシ化した化合物や、フェノール、キシレノール等の水酸基含有芳香族炭化水素をホルムアルデヒドと重合して得られた芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の当該水酸基をエポキシ化した化合物等)、アントラキノン型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、及びザイロック型エポキシ化合物、からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
ビフェニルアラルキル型エポキシ化合物としては、下記式(6)で表される化合物が好ましい。この好ましいビフェニルアラルキル型エポキシ化合物樹脂の使用により、樹脂組成物の耐燃焼性を向上することができる。
Figure 2015221870
(式中、Rは各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、中でも水素原子が好ましい。nは1以上の整数を示す。nの上限値は、通常は10、好ましくは7である。)
エポキシ化合物(C)は、ビフェニルアラルキル型エポキシ化合物樹脂、ナフタレン型エポキシ化合物、ビスナフタレン型エポキシ化合物及びアントラキノン型エポキシ化合物が好ましい。この好ましいエポキシ樹脂の使用により、樹脂組成物の熱膨張率をより一層低くすることができる。
本発明の樹脂組成物におけるエポキシ化合物(C)の含有量は特に限定されないが、耐熱性及び硬化性の観点から、成分(B)及び(C)の合計量に対し、20〜80質量%の範囲が好ましく、30〜70質量%の範囲が特に好適である。特に、本発明の樹脂組成物中に成分(E)が存在する場合には、成分(B)、(C)及び(E)の合計量に対し、20〜80質量%、中でも30〜70質量%の範囲であることが好ましい。
エポキシ化合物(C)としては、様々な構造の既製品が市販されており、それら適宜入手して用いることができる。また、公知の種々の製法を用いて、エポキシ化合物(C)を製造してもよい。斯かる製法の例としては、所望の骨格を有する水酸基含有化合物を入手又は合成し、当該水酸基を公知の手法により修飾してエポキシ化(エポキシ基導入)する方法等が挙げられる。
〔I−4.無機充填材(D)〕
本発明の樹脂組成物に使用される無機充填材(D)は、特に制限されないが、例としては、シリカ(例えば天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ等)、アルミニウム化合物(例えばベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ等)、マグネシウム化合物(例えば酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等)、カルシウム化合物(例えば炭酸カルシウム等)、モリブデン化合物(例えば酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛等)、タルク(例えば天然タルク、焼成タルク等)、マイカ(雲母)、ガラス(例えば短繊維状ガラス、球状ガラス、微粉末ガラス(例えばEガラス、Tガラス、Dガラス等)等)などが挙げられる。これらの無機充填材(D)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
これらの中でも、無機充填材(D)としては、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される1種又は2種以上が好適である。
特に、低熱膨張性の観点から、無機充填材(D)としては、シリカが好ましく、その中でも溶融シリカが特に好ましい。溶融シリカの具体例としては、電気化学工業(株)製のSFP−130MC等、(株)アドマテックス製のSC2050―MB、SC2500―SQ、SC4500−SQ等が挙げられる。
また、無機充填材(D)としては、水酸化マグネシウム及び/又は酸化マグネシウムを単独で、或いはシリカ等の他の無機充填材との組み合わせで使用するのも好ましい。水酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムは、耐燃性を向上させる効果がある。水酸化マグネシウムの具体例としては、タテホ化学工業(株)製の「エコーマグZ−10」、「エコーマグPZ−1」、神島化学工業(株)製の「マグシーズN」、「マグシーズS」、「マグシーズEP」、「マグシーズEP2−A」、堺化学工業(株)製のMGZ−1、MGZ−3、MGZ−6R、協和化学工業(株)製の「キスマ5」、「キスマ5A」、「キスマ5P」等が挙げられる。酸化マグネシウムの具体例としては、タテホ化学工業(株)製のFNM−G、堺化学工業(株)製のSMO、SMO−0.1、SMO−S−0.5等が挙げられる。
無機充填材(D)の平均粒子径は、限定されるものではないが、プリプレグの製造性向上の観点からは、0.01〜5.0μmが好ましく、0.2〜2.0μmがより好ましい。なお、本明細書において無機充填材(D)の「平均粒子径」とは、無機充填材(D)のメジアン径を意味するものとする。ここでメジアン径とは、ある粒子径を基準として粉体の粒度分布を2つに分けた場合に、より粒径が大きい側の粒子の個数又は質量と、より粒径が小さい側の個数又は質量とが、全粉体の夫々50%を占めるような粒子径を意味する。無機充填材(D)の平均粒子径(メジアン径)は、湿式レーザー回折・散乱法により測定される。
本発明の樹脂組成物における無機充填材(D)の含有量は、限定されるものではないが、絶縁層の熱膨張化を低減しながら高いめっきピール強度を得る観点からは、シアン酸エステル化合物(B)、エポキシ化合物(C)及びマレイミド化合物(E)の合計量に対し、20〜300質量%とすることが好ましく、20〜200質量%とすることがより好ましい。なお、2種以上の無機充填材(D)を併用する場合には、これらの合計量が上記比率を満たすことが好ましい。
〔I−5.マレイミド化合物(E)〕
本発明においては、プリント配線板の絶縁層の吸湿耐熱性を向上させる場合に、好ましい成分としてマレイミド化合物(E)が使用される。使用されるマレイミド化合物(E)としてはマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されず、具体的には、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、式(7)で表されるマレイミド化合物、式(8)で表されるマレイミド化合物等が挙げられる。
Figure 2015221870
(式中、Rは各々独立に、水素原子又はメチル基を示す。nは平均値として1から10の範囲である。)
Figure 2015221870
(式中、nは平均値として1から30の範囲であり、好ましくは7から18である。)
この中で、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、式(7)で表されるマレイミド化合物、式(8)で表されるマレイミド化合物が特に好ましい。なお、これらマレイミド化合物のプレポリマー、もしくはマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマーなどの形で配合する事もでき、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
本発明の樹脂組成物におけるマレイミド化合物(E)の含有量は特に限定されないが、成分(B)、(C)及び(E)の合計量に対し、5〜50質量%の範囲が好ましく、5〜20質量%の範囲が特に好適である。
〔I−6.その他の成分〕
本発明の樹脂組成物は、シラン化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、エポキシ化合物(C)、無機充填材(D)及びマレイミド化合物(E)の他に、その他の1又は2種以上の成分を含有していてもよい。
例えば、本発明の樹脂組成物は、吸湿耐熱性向上の目的で、シラン化合物(A)の他に、別のシランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、限定されない。具体例としては、アミノシラン系シランカップリング剤(例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等)、エポキシシラン系シランカップリング剤(例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等)、ビニルシラン系シランカップリング剤(例えばγ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、カチオン性シラン系シランカップリング剤(例えばN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等)、フェニルシラン系シランカップリング剤等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
シランカップリング剤を使用する場合、その含有量は限定されるものではないが、吸湿耐熱性向上の観点からは、無機充填材(D)に対して、シランカップリング剤の比率を0.05〜5質量%とするのが好ましく、0.1〜3質量%とするのがより好ましい。なお、2種以上のシランカップリング剤を併用する場合には、これらの合計量が上記比率を満たすことが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、プリプレグ製造性向上等の目的で、湿潤分散剤を含有してもよい。湿潤分散剤としては、一般に塗料等に使用されている湿潤分散剤であれば、限定されない。具体例としては、ビッグケミー・ジャパン(株)製のDisperbyk−110、同−111、同−180、同−161、BYK−W996、同−W9010、同−W903等が挙げられる。これらの湿潤分散剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
湿潤分散剤を使用する場合、樹脂組成物におけるその含有量は限定されるものではないが、プリプレグ製造性向上の観点からは、無機充填材(D)に対して、湿潤分散剤の比率を0.1〜5質量%とするのが好ましく、0.5〜3質量%とするのがより好ましい。なお、2種以上の湿潤分散剤を併用する場合には、これらの合計量が上記比率を満たすことが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、硬化速度の調整等の目的で、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、エポキシ化合物やシアン酸エステル化合物等の硬化促進剤として公知であり、一般に使用されるものであれば、特に限定されない。具体例としては、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属を含む有機金属塩類(例えばオクチル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸ニッケル、オクチル酸マンガン等)、イミダゾール類及びその誘導体(例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール等)、第3級アミン(例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン等)等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
硬化促進剤を使用する場合、樹脂組成物におけるその含有量は限定されるものではないが、高いガラス転移温度を得る観点からは、シアン酸エステル化合物(B)、エポキシ化合物(C)及びマレイミド化合物(E)の合計量に対して、硬化促進剤の比率を0.01〜2質量%とするのが好ましく、0.1〜1質量%とするのがより好ましい。なお、2種以上の硬化促進剤を併用する場合には、これらの合計量が上記比率を満たすことが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、所期の特性が損なわれない範囲において、その他の種々の高分子化合物及び/又は難燃性化合物等を含有してもよい。高分子化合物及び難燃性化合物としては、一般に使用されているものであれば限定されない。高分子化合物の例としては、各種の熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂並びにそのオリゴマー、エラストマー類等が挙げられる。難燃性化合物の例としては、リン含有化合物(例えばリン酸エステル、リン酸メラミン、リン含有エポキシ樹脂等)、窒素含有化合物(例えばメラミン、ベンゾグアナミン等)、オキサジン環含有化合物、シリコーン系化合物等が挙げられる。これらの高分子化合物及び/又は難燃性化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、本発明の樹脂組成物には、所期の特性が損なわれない範囲において、種々の目的により、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤の例としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
〔I−7.その他〕
本発明の樹脂組成物は、上述の成分、シラン化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、エポキシ化合物(C)及び無機充填材(D)、マレイミド化合物(E)及びその他の成分を混合することにより調製される。必要に応じて、これらの成分を有機溶剤に溶解させた溶液の形態としてもよい。斯かる本発明の樹脂組成物の溶液は、後述する本発明のプリプレグ及び樹脂シートを作製する際のワニスとして、好適に使用することができる。有機溶剤としては、上述の成分を各々好適に溶解又は分散させることができ、且つ、本発明の樹脂組成物の所期の効果を損なわないものであれば限定されない。具体例としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アミド類(例えばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等)、芳香族炭化水素類(例えばトルエン、キシレン等)等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層の材料として用いた場合、プリプレグ製造性に優れ、絶縁層とめっき導体層との密着性に優れる。更には、ガラス転移温度が高く、更には吸湿耐熱性にも優れた絶縁層とすることができる。加えて、耐薬品性に優れる等、その他の好適な効果も発揮し得る。このように、本発明の樹脂組成物は、各種の優れた特徴を有し、特に優れた密着性と高耐熱性とを高い水準で両立させることができることから、プリント配線板の絶縁層の材料として極めて有用である。
[II.プリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板]
本発明のプリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板は、何れも上述した本発明の樹脂組成物を用いて形成される。
[II−1.プリプレグ〕
本発明のプリプレグは、上述した本発明の樹脂組成物が、基材に添着されたものである。基材としては、各種プリント配線板の材料として一般に用いられる公知の基材を使用することができる。例としては、ガラス繊維(例えばEガラス、Dガラス、Sガラス、NEガラス、Tガラス、Qガラス等)、石英(クオーツ)等の無機繊維、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル等の有機繊維が挙げられ、目的とする用途や性能により適宜選択できる。形状としては、織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等が挙げられる。これらの中でも、強度や吸水性の面からは、ガラス繊維が好ましく、電気特性の面からは、液晶ポリエステル織布が好ましい。基材の厚みは限定されないが、例えば0.01〜0.3mmの範囲が好ましい。吸湿耐熱性の面からは、エポキシシラン処理、アミノシラン処理等のシランカップリング剤などで表面処理を施したガラス織布が好適であり、寸法安定性の面からは、超開繊処理や目詰め処理を施した織布が好適である。
本発明の樹脂組成物を上述の基材と組み合わせて本発明のプリプレグを製造する方法は、限定されるものではないが、例としては、本発明の樹脂組成物を有機溶剤に溶解又は分散させた溶液又は分散液(ワニス)を基材に含浸又は塗布し、加熱(例えば100〜200℃の乾燥機中で1〜60分加熱等)及び/又は減圧下で乾燥し、溶媒を除去して半硬化させ、本発明の樹脂組成物を基材に添着させる手法等が挙げられる。基材に対する樹脂組成物の付着量は、プリプレグ全体に対する本発明の樹脂組成物の比率が、通常15〜95質量%、好ましくは20〜90質量%の範囲となるように調整することが好ましい。
本発明のプリプレグは、プリント配線板のビルドアップ材料として使用することが可能である。ここで、ビルドアップとは、プリプレグ又は樹脂シートを積層すると共に、一層毎に孔あけ加工、配線形成などを繰り返すことによって、多層構造のプリント配線板を作製することを意味する。本発明のプリプレグを用いて形成されたプリント配線板においては、本発明のプリプレグ(基材及びこれに添着された本発明の樹脂組成物)が、絶縁層を構成することになる。なお、プリント配線板については後述する。
〔II−2.樹脂シート〕
本発明の樹脂シートは、支持体を外層とし、その外層上に、上述した本発明の樹脂組成物からなる層が積層されたものである。なお、必要に応じて、支持体を樹脂シートから剥離又はエッチングしたものであってもよい。
上記外層として使用される支持体は、特に限定されないが、高分子フィルム、金属箔又は金属フィルムを使用することができる。高分子フィルムの具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリウレタン、エチレン‐酸化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブチレンテレフタレート、ポリイミド及びポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を含有するフィルム、並びにこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルムが挙げられ、これらの中でも、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、該高分子フィルムの厚さは、使用用途によって適宜調整することができるが、例えば2〜100μmの範囲が好適である。金属箔又は金属フィルムの具体例としては、銅やアルミニウム等の金属からなる箔又はフィルムが挙げられ、中でも銅箔又は銅フィルムが好ましく、特に電解銅箔、圧延銅箔、銅合金フィルム等が好適に使用できる。金属箔又は金属フィルムには、例えばニッケル処理やコバルト処理等、公知の表面処理が施されていてもよい。金属箔又は金属フィルムの厚さは、使用用途によって適宜調整することができるが、例えば5〜70μmの範囲が好適である。
上述の支持体上に、本発明の樹脂組成物からなる層(樹脂組成物層)を形成して本発明の樹脂シートを製造する方法は、限定されるものではないが、例としては、本発明の樹脂組成物を有機溶剤に溶解又は分散させた溶液(ワニス)を、上述の支持体の表面に塗工(塗布、含浸等)し、加熱及び/又は減圧下で乾燥し、溶媒を除去して本発明の樹脂組成物を固化させ、樹脂組成物層を形成する手法等が挙げられる。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層に対する有機溶剤の含有比率が通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。斯かる乾燥を達成する条件は、ワニス中の有機溶媒量によっても異なるが、例えば樹脂組成物に対して30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスの場合、50〜160℃の加熱条件下で3〜10分程度乾燥させればよい。本発明の樹脂シートにおける樹脂組成物層の厚さは限定されないが、樹脂組成物層の乾燥時に軽揮発分をより良好に除去する観点、及び樹脂シートとしての機能をより有効かつ確実に奏する観点から、0.1〜500μmの範囲が好適である。
本発明の樹脂シートも、プリント配線板のビルドアップ材料として使用可能である。本発明の樹脂シートを用いて形成されたプリント配線板においては、本発明の樹脂組成物からなる層が、絶縁層を構成することになる。プリント配線板については後述する。
〔II−3.金属箔張積層板〕
本発明の金属箔張積層板は、上述した本発明のプリプレグの片面又は両面に金属箔が積層されたものである。本発明のプリプレグは一枚でもよく、二枚以上を積層して用いてもよい。
本発明の金属箔張積層板を作製する方法は限定されないが、例えば、本発明のプリプレグを一枚、或いは二枚以上を積層した上で、その片面又は両面に金属箔を配置し、例えば温度180〜220℃、加熱時間100〜300分、面圧20〜40kgf/cm2(約2.0MPa〜約3.9MPa)等の条件で積層成形する手法等が挙げられる。
金属箔は特に限定されないが、例えば銅やアルミニウム等の金属箔が挙げられ、中でも銅箔が好ましい。特に電解銅箔、圧延銅箔等が好適に使用できる。金属箔には、例えばニッケル処理やコバルト処理等、公知の表面処理が施されていてもよい。金属箔の厚さは、プリント配線板の材料として適した範囲内で適宜調整することができるが、例えば2〜35μmの範囲が好適である。
また、金属箔のマット面を絶縁層(本発明のプリプレグからなる層)の表面に転写させ、絶縁層表面に転写された凹凸のアンカー効果によって、絶縁層上にめっき形成される導体層との密着を高める観点から、マット面の表面粗さRzが0.7μm〜2.5μmの金属箔を使用するのが好適である。ここで表面粗さRzとは、金属箔のマット面の粗さを表す指標であり、通常は、レーザー顕微鏡により測定対象面の粗さ曲線を測定し、平均線を越える山頂を高い順に5つ、平均線に届かない谷底を低い順に5つ夫々抽出し、抽出された山頂の高さ及び谷底の低さの絶対値の平均値を算出することにより求める。
本発明の金属箔張積層板も、プリント配線板のビルドアップ材料として使用することが可能である。本発明の金属箔張積層板を用いて形成されたプリント配線板においては、本発明のプリプレグ(基材及びこれに添着された本発明の樹脂組成物)が、絶縁層を構成することになる。プリント配線板については後述する。
〔II−4.プリント配線板〕
本発明のプリント配線板は、絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成された導体層とを含むプリント配線板であって、前記絶縁層が本発明の樹脂組成物を含むものである。
斯かるプリント配線板は、上述の本発明のプリプレグ、樹脂シート又は金属箔張積層板をビルドアップ材料として用いて作製される。すなわち、これらをビルドアップ材料として用いてプリント配線板を作製することにより、本発明のプリプレグ(基材及びこれに添着された本発明の樹脂組成物)、又は、本発明の樹脂シートの樹脂組成物層(本発明の樹脂組成物からなる層)が、本発明の絶縁層を構成することになる。
具体的に、本発明の樹脂シートをビルドアップ材料として用いる場合は、常法により、当該樹脂シートの樹脂組成物層(絶縁層)を表面処理し、絶縁層表面にめっきにより配線パターン(導体層)を形成することにより、本発明のプリント配線板が得られる。
本発明の金属箔張積層板をビルドアップ材料として用いる場合は、常法により、金属箔張積層板の金属箔をエッチングした後、本発明のプリプレグからなる層(絶縁層)を表面処理し、絶縁層表面にめっきにより配線パターン(導体層)を形成することにより、本発明のプリント配線板が得られる。
本発明のプリプレグをビルドアップ材料として用いる場合は、上記手順により本発明の金属箔張積層板の形態としてから使用する。或いは、後述のように多層プリント配線板の材料として用いる場合等は、そのままの形態で使用してもよい。
なお、何れの場合も、必要に応じてその他の各種の工程(例えば、ビアホール、スルーホール等を形成する穴加工処理等)を加えてもよい。
以下、本発明のプリント配線板を製造するための各工程について説明する。
穴加工処理は、ビアホール、スルーホール等の形成のために実施される。穴加工処理は、NCドリル、炭酸ガスレーザー、UVレーザー、YAGレーザー、プラズマ等の公知の方法のうち何れか1種を用い、或いは必要により2種以上を組み合わせて行う。
絶縁層に対する表面処理は、絶縁層とめっき導体層との密着性の向上や、スミア除去等の観点から実施される。表面処理としては、粗化処理、シランカップリング処理等がある。粗化処理は、孔あけ工程により生じたスミアの除去も兼ねる。この場合、樹脂組成物の硬化度の違いにより、粗化状態が異なるため、後述の積層成形の条件は、その後の粗化処理条件やめっき条件との組み合わせで最適な条件を選ぶことが好ましい。
粗化処理は、膨潤工程、表面粗化及びスミア溶解工程、及び中和工程からなる。
膨潤工程は、膨潤剤を用いて表面絶縁層を膨潤させることにより行う。膨潤剤としては、表面絶縁層の濡れ性が向上し、次の表面粗化及びスミア溶解工程において酸化分解が促進される程度にまで表面絶縁層を膨潤させることができるものであれば、制限されない。例としては、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられる。
表面粗化及びスミア溶解工程は、酸化剤を用いて行う。酸化剤としては、例えばアルカリ性の過マンガン酸塩溶液等が挙げられ、好適な具体例としては、過マンガン酸カリウム水溶液、過マンガン酸ナトリウム水溶液等が挙げられる。斯かる酸化剤処理はウェットデスミアと呼ばれるが、当該ウェットデスミアに加えて、プラズマ処理やUV処理によるドライデスミア、バフ等による機械研磨、サンドブラスト等の他の公知の粗化処理を、適宜組み合わせて実施してもよい。
中和工程は、前工程で使用した酸化剤を還元剤で中和するものである。還元剤としては、アミン系還元剤が挙げられ、好適な具体例としては、ヒドロキシルアミン硫酸塩水溶液、エチレンジアミン四酢酸水溶液、ニトリロ三酢酸水溶液等の酸性水溶液が挙げられる。
微細配線パターンを形成する上で、粗化処理後の絶縁層の表面凹凸は小さい方が好ましい。具体的には、Rz値で4.0μm以下が好ましく、より好ましくは2.0μm以下である。粗化処理後の表面凹凸は、樹脂組成物の硬化度や粗化処理の条件等に応じて決まるため、所望の表面凹凸を得るための最適条件を選ぶことが好ましい。特に、本発明の樹脂組成物を含む絶縁層は、表面粗度が低くても、めっき導体層との密着性を確保することができ、極めて好適である。
めっきにより配線パターン(導体層)を形成する方法としては、セミアディティブ法、フルアディティブ法、サブトラクティブ法等が挙げられる。中でも、微細配線パターンを形成する観点からは、セミアディティブ法が好ましい。
セミアディティブ法でパターン形成する手法の例としては、絶縁層表面に無電解めっき等により薄い導体層を形成した後、めっきレジストを用いて選択的に電解めっきを施し(パターンめっき)、その後めっきレジストを剥離し、全体を適量エッチングして配線パターン形成する手法が挙げられる。
フルアディティブ法でパターン形成する手法の例としては、絶縁層表面にめっきレジストを用いて予めパターン形成を行い、選択的に無電解めっき等を付着させることにより配線パターンを形成する手法が挙げられる。
サブトラクティブ法でパターン形成する手法の例としては、絶縁層表面にめっきにより導体層を形成した後、エッチングレジストを用いて選択的に導体層を除去することにより、配線パターンを形成する手法が挙げられる。
めっきにより配線パターンを形成する際に、絶縁層と導体層との密着強度を向上させる観点から、めっきの後に乾燥を行うことが好ましい。セミアディティブ法によるパターン形成では、無電解めっきと電解めっきとを組み合わせて行うが、その際、無電解めっきの後と、電解めっきの後に、それぞれ乾燥を行うことが好ましい。無電解後の乾燥は、例えば80〜180℃で10〜120分に亘って行うことが好ましく、電解めっき後の乾燥は、例えば130〜220℃で10〜120分に亘って行うことが好ましい。
本発明のプリント配線板は、多層プリント配線板とすることも可能である。例えば、上記手順により、本発明のプリプレグの両面に金属箔(例えば銅やアルミニウム等)を配置した本発明の金属箔張積層板を形成した後、これに内層回路を形成し、得られた回路に黒化処理を実施して、内層回路板とする。こうして得られた内層回路板、又は、金属箔(例えば銅やアルミニウム等)の片面又は両面に、本発明のプリプレグ又は樹脂シートを配置し、更に金属箔(例えば銅やアルミニウム等)又は離型フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム等の表面に離型剤を塗布したフィルム)をその外側に配置する、という操作を繰り返し、積層成形することにより、多層プリント配線板が製造される。
積層成形は、通常のプリント配線板用積層板の積層成形に一般に使用される手法、例えば、多段プレス、多段真空プレス、ラミネーター、真空ラミネーター、オートクレーブ成形機等を使用し、温度は例えば100〜300℃、圧力は例えば0.1〜100kgf/cm2(約9.8kPa〜約38MPa)、加熱時間は例えば30秒〜5時間の範囲で適宜選択して行う。また、必要に応じて、例えば150〜300℃の温度で後硬化を行い、硬化度を調整してもいい。
以下に合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.シアン酸エステル化合物の製造
・合成例1 α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物(式(3a)の化合物)の合成:
Figure 2015221870
(式中、nは平均値として3から4までの範囲である。)
温度計、攪拌器、滴下漏斗及び還流冷却器を取りつけた反応器を予め食塩水により0〜5℃に冷却しておき、そこへ塩化シアン7.47g(0.122mol)、35%塩酸9.75g(0.0935mol)、水76ml、及び塩化メチレン44mlを仕込んだ。
この反応器内の温度を−5〜+5℃、pHを1以下に保ちながら、撹拌下、下記式(1a’)で表されるα−ナフトールアラルキル樹脂(SN485、OH基当量:214g/eq.軟化点:86℃、新日鐵化学(株)製)20g(0.0935mol)、及びトリエチルアミン14.16g(0.14mol)を塩化メチレン92mlに溶解した溶液を滴下漏斗により1時間かけて滴下し、滴下終了後、更にトリエチルアミン4.72g(0.047mol)を15分間かけて滴下した。
Figure 2015221870
(式中、nは平均値として3から4までの範囲である。)
滴下終了後、同温度で15分間撹拌後、反応液を分液し、有機層を分取した。得られた有機層を水100mlで2回洗浄した後、エバポレーターにより減圧下で塩化メチレンを留去し、最終的に80℃で1時間濃縮乾固させて、上記式(3a)で表されるα−ナフトールアラルキル樹脂のシアン酸エステル化物(α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物)23.5gを得た。
2.樹脂組成物及び銅張積層板の作製
・実施例1:
シラン化合物(A)として、式(1a)で表される、置換シリルチオ基としてトリメトキシシリルチオ基を有する、置換シリルチオ基含有シラン化合物(X−12−1056ES、信越化学工業(株)製)1質量部、シアン酸エステル化合物(B)として、合成例1により得られた式(3a)のα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物(シアネート当量:261g/eq.)のメチルエチルケトン(以下「MEK」と略す場合がある。)溶液(不揮発分50質量%)60質量部(不揮発分換算で30質量部)、エポキシ化合物(C)として、ビフェニルアラルキル型エポキシ化合物(NC−3000−FH、エポキシ当量:320g/eq.、日本化薬(株)製)のMEK溶液(不揮発分75質量%)66.7質量部(不揮発分換算で50質量部)、更に第2のエポキシ化合物(C)として、ナフタレン型エポキシ化合物(HP4710、エポキシ当量240g/eq.、DIC(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)20質量部(不揮発分換算で10質量部)、マレイミド化合物(E)として、式(7)で表されるマレイミド化合物(BMI−2300、大和化成(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)20質量部(不揮発分換算10質量部)、硬化促進剤として2,4,5−トリフェニルイミダゾール(和光純薬製)のPMA溶液(不揮発分1質量%)50質量部(不揮発分換算で0.5質量部)及びオクチル酸マンガンのMEK溶液(不揮発分1質量%)5質量部(不揮発分換算で0.05質量部)をMEKに溶解又は分散させた。さらに、無機充填材(D)として、シリカ(SFP−130MC 、電気化学工業(株)製、平均粒子径0.6μm)200質量部を添加して、高速攪拌装置を用いて30分間攪拌して、ワニス(シラン化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、エポキシ化合物(C)、無機充填材(D)及びマレイミド化合物(E)を含む樹脂組成物の溶液)を得た。このワニスを更にMEKで希釈し、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、160℃で5分間加熱乾燥して、樹脂組成物含有量50質量%のプリプレグを得た。得られたプリプレグを1、4、又は8枚重ねて、3μm厚の電解銅箔(MT-Ex、三井金属鉱業(株)製)のマット面をプリプレグ側に配置し、圧力40kgf/cm2(約3.9MPa)、温度220℃で120分間の積層成形を行い、絶縁層厚さ0.1mm、0.4mm及び0.8mmの銅張積層板(それぞれプレプリグ1枚、4枚及び8枚使用)を得た。
Figure 2015221870
・実施例2:
シラン化合物(A)として、式(1a)で表される置換シリルチオ基含有シラン化合物(X−12−1056ES)の使用量を0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニス(樹脂組成物の溶液)を調整し、銅張積層板(金属箔張積層板)を得た。
・実施例3:
シラン化合物(A)として、式(1a)で表される置換シリルチオ基含有シラン化合物(X−12−1056ES)の使用量を3質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニス(樹脂組成物の溶液)を調整し、銅張積層板(金属箔張積層板)を得た。
・実施例4:
シアン酸エステル化合物(B)として、合成例1により得られた式(3a)のα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物のMEK溶液(不揮発分50質量%)の使用量を100質量部(不揮発分換算で50質量部)に変更し、エポキシ化合物(D)として、ビフェニルアラルキル型エポキシ化合物(NC−3000−FH)のMEK溶液(不揮発分75質量%)の使用量を40質量部(不揮発分換算で30質量部)に変更し、マレイミド化合物(E)である、式(7)で表されるマレイミド化合物(BMI−2300)の代わりに、式(8)で表されるマレイミド化合物(BMI−1000P、ケイ・アイ化成(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)20質量部(不揮発分換算10質量部)を使用した以外は、実施例1と同様にしてワニス(樹脂組成物の溶液)を調製し、銅張積層板(金属箔張積層板)を得た。
・実施例5:
シアン酸エステル化合物(B)として、合成例1により得られた式(3a)のα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物のMEK溶液(不揮発分50質量%)の使用量を90質量部(不揮発分換算で45質量部)に変更し、エポキシ化合物(D)として、ビフェニルアラルキル型エポキシ化合物(NC−3000−FH)のMEK溶液(不揮発分75質量%)の使用量を46.7質量部(不揮発分換算で35質量部)に変更し、マレイミド化合物(E)である、式(7)で表されるマレイミド化合物(BMI−2300)のMEK溶液(不揮発分50質量%)の使用量を10質量部(不揮発分換算5質量部)に変更し、マレイミド化合物(E)である式(8)で表されるマレイミド化合物(BMI−1000P)のMEK溶液(不揮発分50質量%)の使用量を10質量部(不揮発分換算5質量部)に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニス(樹脂組成物の溶液)を調製し、銅張積層板(金属箔張積層板)を得た。
・実施例6:
シラン化合物(A)として、式(1a)で表される置換シリルチオ基含有シラン化合物(X−12−1056ES)の代わりに、式(2a)で表されるスルフィド結合含有シラン化合物(KBE−846、信越化学工業(株)製)3質量部を使用した以外は、実施例1と同様にしてワニス(樹脂組成物の溶液)を調製し、銅張積層板(金属箔張積層板)を得た。
Figure 2015221870
・実施例7:
シアン酸エステル化合物(B)として、合成例1により得られた式(3a)のα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物の代わりに、式(4)におけるRがすべて水素原子である式(4a)で表されるシアン酸エステル化合物のMEK溶液(不揮発分50質量%)を60質量部(不揮発分換算で30質量部)使用した以外は、実施例1と同様にしてワニス(樹脂組成物の溶液)を調製し、銅張積層板(金属箔張積層板)を得た。
Figure 2015221870
(式中、nは1以上の整数を示す。)
・実施例8:
無機充填材(D)として、シリカの代わりに、ベーマイト(AOH−60、Nabaltec製、平均粒子径0.9μm)200質量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてワニス(樹脂組成物の溶液)を調製し、銅張積層板(金属箔張積層板)を得た。
・比較例1:
シラン化合物(A)として、式(1a)で表される置換シリルチオ基含有シラン化合物(X−12−1056ES)を使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてワニス(樹脂組成物の溶液)を調製し、銅張積層板(金属箔張積層板)を得た。
・比較例2:
シラン化合物(A)として、式(1a)で表される置換シリルチオ基含有シラン化合物(X−12−1056ES)の使用量を10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニス(樹脂組成物の溶液)を調整し、銅張積層板(金属箔張積層板)を得た。
・比較例3:
シラン化合物(A)として、式(1a)で表される置換シリルチオ基含有シラン化合物(X−12−1056ES)の代わりに、式(1a)のトリメトキシシリルチオ基がチオール基に置き換わった、式(9)で表されるシラン化合物(KBM−803、信越化学工業(株)製)を3質量部使用した以外は、実施例1と同様にしてワニス(樹脂組成物の溶液)を調製し、銅張積層板(金属箔張積層板)を得た。
Figure 2015221870
・比較例4:
シラン化合物(A)として、式(1a)で表される置換シリルチオ基含有シラン化合物(X−12−1056ES)の代わりに、式(10)で表されるイミダゾールシラン(IS−1000、JX日鉱日石金属(株)製、不揮発分90質量%)を3質量部(不揮発分換算0.90質量部)使用した以外は、実施例1と同様にしてワニス(樹脂組成物の溶液)を調製し、銅張積層板(金属箔張積層板)を得た。
Figure 2015221870
(式中、Rは水素又は炭素数が1〜20のアルキル基を示す。Rは水素、ビニル基又は炭素数が1〜5のアルキル基を示す。R10は各々独立に、炭素数が1〜3のアルキル基を示す。nは1〜3の整数を示す。)
・比較例5:
シラン化合物(A)として、式(1a)で表される置換シリルチオ基含有シラン化合物(X−12−1056ES)の代わりに、式(11)で表されるイミダゾールシラン(IA−100A、JX日鉱日石金属(株)製、不揮発分70質量%)を3質量部(不揮発分換算0.70質量部)使用した以外は、実施例1と同様にしてワニス(樹脂組成物の溶液)を調製し、銅張積層板(金属箔張積層板)を得た。
Figure 2015221870
(式中、R11は水素又は炭素数が1〜20のアルキル基を示す。R12は水素、ビニル基又は炭素数が1〜5のアルキル基を示す。R13は各々独立に、炭素数が1〜3のアルキル基を示す。nは1〜3の整数を示す。)
・比較例6:
合成例1により得られた式(3a)のα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物の代わりに、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂(SN495V2(SN−OH)、フェノール当量236g/eq.、新日鐵化学(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)60質量部(不揮発分換算30質量部)を使用した以外は、実施例1と同様にしてワニス(樹脂組成物の溶液)を調製し、銅張積層板(金属箔張積層板)を得た。
3.樹脂組成物の評価
・銅張積層板の湿式粗化処理と導体層めっき:
実施例1〜9及び比較例1〜5で得られた絶縁層厚さ0.1mm、0.4mm及び0.8mmの銅張積層板(それぞれプレプリグ1枚、4枚及び8枚使用)の表層銅箔をエッチングにより除去し、上村工業製の無電解銅めっきプロセス(使用薬液名:MCD−PL、MDP−2、MAT−SP、MAB−4−C、MEL−3−APEA ver.2)にて、約0.5μmの無電解銅めっきを施し、130℃で1時間の乾燥を行った。続いて、電解銅めっきをめっき銅の厚みが18μmになるように施し、180℃で1時間の乾燥を行った。こうして、厚さ0.1mm、0.2mm、0.4mm及び0.8mmの絶縁層上に厚さ18μmの導体層(めっき銅)が形成されたサンプルを作製し、以下の評価に供した。
・評価方法:
(1)ワニスゲルタイム
170℃のホットプレート上にワニスを載せ硬化するまでの時間を測定した。ワニスゲルタイムが500秒以上を○、ワニスゲルタイムが300秒以上500秒未満を△、ワニスゲルタイムが300秒未満を×で記載した。結果を表1−1及び1−2に示した。
(2)めっき銅接着力:
上記手順により作製された絶縁層厚さ0.4mmの回路配線板サンプルを用い、めっき銅の接着力をJIS C6481に準じて3回測定し、平均値を求めた。電解銅めっき後の乾燥で膨れたサンプルに関しては、膨れていない部分を用いて評価を行った。結果を表1−1及び1−2に示した。
(3)ガラス転移温度:
上記手順により作製された絶縁層厚さ0.8mmの回路配線板サンプルを用い、その表層銅箔をエッチングにより除去し、熱機械分析装置(TAインスツルメント製Q−800)で40℃から300℃まで毎分10℃で昇温し、ガラス転移温度を測定した。結果を表1−1及び1−2に示した。
(4)吸湿耐熱性:
上記手順により作製された絶縁層厚さ0.4mmの回路配線板サンプルを用い、50mm×50mm角にカットした後、片面の半分以外のめっき銅をエッチングにより除去したサンプルを作製した。そのサンプルを、プレッシャークッカー試験機(平山製作所製PC−3型)で、121℃、2気圧で1、3、5時間処理した後、260℃の半田槽に60秒間浸漬させて、外観変化の異常の有無を目視にて観察した。3枚試験を行い、一枚ごとに、異常が無いものを「良」、膨れが発生したものを「否」と表記した。結果を表1−1及び1−2に示した。なお、表中「PCT−1H」、「PCT−3H」及び「PCT−5H」とは、それぞれプレッシャークッカー試験機による1、3、5時間処理後に得られた結果を示す。
Figure 2015221870
Figure 2015221870
表1−1及び1−2より、本発明の樹脂組成物を用いて形成された絶縁層を有する実施例1〜8は、比較例1〜3及び6に比べ、めっきピール強度及びガラス転移温度が高く、吸湿耐熱性も優れていることがわかる。また、比較例4及び5はめっき銅ピール強度及びガラス転移温度は高いが、ワニスゲルタイムが短くなり、安定的にプリプレグを製造することが困難であった。
本発明の樹脂組成物は、上述のように、プリント配線板の絶縁層の材料として用いた場合、プリプレグ製造性に優れ、絶縁層とめっき導体層との密着性に優れると共に、耐熱性にも優れる等、各種の効果を発揮することから、プリント配線板の絶縁層の材料として極めて有用である。

Claims (18)

  1. シラン化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、エポキシ化合物(C)及び無機充填材(D)を含んでなる樹脂組成物であって、該シラン化合物(A)が置換シリルチオ基及び/又はスルフィド結合を有するシラン化合物であり、該シアン酸エステル化合物(B)及びエポキシ化合物(C)の合計量に対するシラン化合物(A)の含有量が、0.01〜5質量%である、樹脂組成物。
  2. 前記シラン化合物(A)が、式(1)及び/又は式(2)で表されるものである、請求項1に記載の樹脂組成物。
    Figure 2015221870
    (式中、Rは各々独立に、メチル基、エチル基及びプロピル基からなる群から選択される、いずれか一種を表す。nは1以上3以下の整数を示す。mは3以上の整数を示す。)
    Figure 2015221870
    (式中、Rは各々独立に、メチル基又はエチル基を表す。nは1以上3以下の整数を示す。mは3以上の整数を示す。lは2以上の整数を示す。kは3以上の整数を示す。jは1以上3以下の整数を示す。)
  3. 前記シアン酸エステル化合物(B)が、式(3)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル、式(4)で表されるノボラック型シアン酸エステル及び式(5)で表されるビフェニルアラルキル型シアン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
    Figure 2015221870
    (式中、Rは各々独立に水素原子又はメチル基を表す。nは1以上の整数を示す。)
    Figure 2015221870
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。nは1以上の整数を示す。)
    Figure 2015221870
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。nは1以上の整数を示す。)
  4. マレイミド化合物(E)をさらに含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記無機充填材(D)の含有量が、前記シアン酸エステル化合物(B)、エポキシ化合物(C)及びマレイミド化合物(E)の合計量に対し20〜300質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記無機充填材(D)が、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 基材と、当該基材に添着された、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物とを含むプリプレグ。
  8. 高分子フィルム、金属箔及び金属フィルムからなる群から選択される、いずれか一種である外層と、当該外層上に積層された、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる絶縁層とを含む樹脂シート。
  9. 絶縁層として請求項7に記載のプリプレグと金属箔とを積層して得られる金属箔張積層板。
  10. 前記金属箔マット面の表面粗さRzが0.7〜2.5μmである請求項9に記載の金属箔張積層板。
  11. 請求項7に記載のプリプレグをビルドアップ材料に用いて作製されたプリント配線板。
  12. 請求項9又は10に記載の金属箔張積層板の金属箔をエッチングし、表面処理してめっきによりパターン形成した、プリント配線板。
  13. 請求項8に記載の樹脂シートをビルドアップ材料に用いて作製されたプリント配線板。
  14. 請求項8に記載の樹脂シートを表面処理してめっきによりパターン形成した、プリント配線板。
  15. 前記表面処理が、膨潤剤、アルカリ性酸化剤による粗化処理、酸性還元剤による中和処理からなるデスミア処理である請求項12又は14に記載のプリント配線板。
  16. めっきによるパターン形成が、無電解銅めっき後、電解銅めっきを行い、その後、セミアディティブ法によりパターン形成を行う、請求項12又は14に記載のプリント配線板。
  17. めっきによるパターン形成が、無電解銅めっき後、電解銅めっきを行い、その後、サブトラクティブ法によりパターン形成を行う、請求項12又は14に記載のプリント配線板。
  18. 絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成された導体層とを含むプリント配線板であって、前記絶縁層が請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含むプリント配線板。
JP2014106981A 2014-05-23 2014-05-23 プリント配線板材料用樹脂組成物、それを用いたプリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板 Active JP6485728B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014106981A JP6485728B2 (ja) 2014-05-23 2014-05-23 プリント配線板材料用樹脂組成物、それを用いたプリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014106981A JP6485728B2 (ja) 2014-05-23 2014-05-23 プリント配線板材料用樹脂組成物、それを用いたプリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015221870A true JP2015221870A (ja) 2015-12-10
JP6485728B2 JP6485728B2 (ja) 2019-03-20

Family

ID=54785069

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014106981A Active JP6485728B2 (ja) 2014-05-23 2014-05-23 プリント配線板材料用樹脂組成物、それを用いたプリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6485728B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018131513A (ja) * 2017-02-14 2018-08-23 三菱瓦斯化学株式会社 樹脂組成物、プリプレグ、金属箔張積層板、樹脂シート及びプリント配線板

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007077236A (ja) * 2005-09-13 2007-03-29 Nitto Denko Corp 半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置
JP2007262243A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Sumitomo Bakelite Co Ltd 樹脂組成物及び樹脂組成物を使用して作製した半導体装置
JP2008130796A (ja) * 2006-11-21 2008-06-05 Sumitomo Bakelite Co Ltd 多層プリント配線板用絶縁樹脂組成物、基材付き絶縁シート、多層プリント配線板及び半導体装置
WO2009057530A1 (ja) * 2007-10-29 2009-05-07 Sumitomo Bakelite Co., Ltd. 半導体用接着剤組成物およびそれを用いて製造した半導体装置
JP2009191214A (ja) * 2008-02-18 2009-08-27 Sumitomo Bakelite Co Ltd 熱伝導性樹脂組成物、接着剤層、及びそれらを用いて作製した半導体装置。
JP2012001583A (ja) * 2010-06-15 2012-01-05 Sumitomo Bakelite Co Ltd プリント配線板用樹脂組成物、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板及び半導体装置
WO2013054790A1 (ja) * 2011-10-11 2013-04-18 日立化成株式会社 導体回路を有する構造体及びその製造方法並びに熱硬化性樹脂組成物
WO2013115069A1 (ja) * 2012-01-31 2013-08-08 三菱瓦斯化学株式会社 プリント配線板材料用樹脂組成物、並びにそれを用いたプリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板
JP2013216865A (ja) * 2012-03-13 2013-10-24 Taiyo Ink Mfg Ltd 熱硬化性樹脂充填材及びそれを用いて得られるプリント配線板
JP2014015608A (ja) * 2012-06-12 2014-01-30 Ajinomoto Co Inc 樹脂組成物
US20140113150A1 (en) * 2012-10-19 2014-04-24 Guangdong Shengyi Sci.Tech Co., Ltd. Cyanate ester resin composition, and a prepreg, a laminated material and a metal clad laminated material made therefrom

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007077236A (ja) * 2005-09-13 2007-03-29 Nitto Denko Corp 半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置
JP2007262243A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Sumitomo Bakelite Co Ltd 樹脂組成物及び樹脂組成物を使用して作製した半導体装置
JP2008130796A (ja) * 2006-11-21 2008-06-05 Sumitomo Bakelite Co Ltd 多層プリント配線板用絶縁樹脂組成物、基材付き絶縁シート、多層プリント配線板及び半導体装置
WO2009057530A1 (ja) * 2007-10-29 2009-05-07 Sumitomo Bakelite Co., Ltd. 半導体用接着剤組成物およびそれを用いて製造した半導体装置
JP2009191214A (ja) * 2008-02-18 2009-08-27 Sumitomo Bakelite Co Ltd 熱伝導性樹脂組成物、接着剤層、及びそれらを用いて作製した半導体装置。
JP2012001583A (ja) * 2010-06-15 2012-01-05 Sumitomo Bakelite Co Ltd プリント配線板用樹脂組成物、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板及び半導体装置
WO2013054790A1 (ja) * 2011-10-11 2013-04-18 日立化成株式会社 導体回路を有する構造体及びその製造方法並びに熱硬化性樹脂組成物
WO2013115069A1 (ja) * 2012-01-31 2013-08-08 三菱瓦斯化学株式会社 プリント配線板材料用樹脂組成物、並びにそれを用いたプリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板
JP2013216865A (ja) * 2012-03-13 2013-10-24 Taiyo Ink Mfg Ltd 熱硬化性樹脂充填材及びそれを用いて得られるプリント配線板
JP2014015608A (ja) * 2012-06-12 2014-01-30 Ajinomoto Co Inc 樹脂組成物
US20140113150A1 (en) * 2012-10-19 2014-04-24 Guangdong Shengyi Sci.Tech Co., Ltd. Cyanate ester resin composition, and a prepreg, a laminated material and a metal clad laminated material made therefrom

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018131513A (ja) * 2017-02-14 2018-08-23 三菱瓦斯化学株式会社 樹脂組成物、プリプレグ、金属箔張積層板、樹脂シート及びプリント配線板

Also Published As

Publication number Publication date
JP6485728B2 (ja) 2019-03-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6481610B2 (ja) プリント配線板材料用樹脂組成物、並びにそれを用いたプリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板、及びプリント配線板
JP6065845B2 (ja) プリント配線板材料用樹脂組成物、並びにそれを用いたプリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板
JP5999091B2 (ja) プリント配線板用樹脂組成物
JP2019173009A (ja) 硬化体、樹脂材料及び多層プリント配線板
JP2016010964A (ja) 樹脂シート及びプリント配線板
TWI636089B (zh) 樹脂組成物、預浸體、疊層片及覆金屬箔疊層板
JP2014024970A (ja) 樹脂組成物、プリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板
JP6638887B2 (ja) 樹脂シート及びプリント配線板
JP6819921B2 (ja) 樹脂組成物、プリプレグ、金属箔張積層板、樹脂シート及びプリント配線板
JP6761572B2 (ja) 樹脂組成物、プリプレグ、金属箔張積層板、樹脂シート及びプリント配線板
JP5482002B2 (ja) 樹脂組成物
JP6653065B2 (ja) 樹脂シート及びプリント配線板
JP6796276B2 (ja) 樹脂組成物、プリプレグ、金属箔張積層板、樹脂シート及びプリント配線板
JP6817529B2 (ja) 樹脂組成物、プリプレグ、金属箔張積層板、樹脂シート、樹脂複合シート及びプリント配線板
JP6485728B2 (ja) プリント配線板材料用樹脂組成物、それを用いたプリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板
JP2017039898A (ja) 樹脂組成物、プリプレグ、樹脂シート、金属箔張積層板及びプリント配線板
JP6829808B2 (ja) 樹脂組成物、プリプレグ、金属箔張積層板、樹脂シート及びプリント配線板
JP6843367B2 (ja) 樹脂シート、プリント配線板及び部品内蔵基板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170330

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20170919

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180802

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180920

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190125

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190207

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6485728

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151