JP2015220964A - モータおよび圧縮機 - Google Patents

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七奈 脇坂
Nana Wakisaka
七奈 脇坂
青田 桂治
Keiji Aota
桂治 青田
明宣 石嵜
Akinobu Ishizaki
明宣 石嵜
藤井 秀樹
Hideki Fujii
秀樹 藤井
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Abstract

【課題】部品を増加することなく、渡り線と収納容器の間の絶縁規格を満たす。【解決手段】モータは、ロータと、上記ロータの外周側を囲むステータとを備え、上記ステータは、円筒部(29)と複数のティース部(30)とを有するステータコア(26)と、コイル(28)と、スロット部内に配置されて、上記ステータコア(26)と上記コイル(28)との間に挟まれるスロット絶縁体(32)とを含み、上記スロット絶縁体(32)は、上記ステータコア(26)の円筒部(29)に対向している本体部(D)と、この本体部(D)から上記ロータの軸方向に突出する先端部(C)とを含む第1領域と、上記ステータコア(26)のティース部(30)に対向している本体部を含む第2領域とを有し、上記先端部(C)は、上記円筒部(29)から上記軸方向に突出すると共に、折り返されて上記コイル(28)の渡り線(35)を包み込むようになっている。【選択図】図6

Description

この発明は、モータおよびこのモータを用いた圧縮機に関する。
電動圧縮機に使用されるモータにおいて、小型化を図る場合や、音および振動を低減するために多極化する場合には、スロット面積を稼ぐためにバックヨークの径方向の幅を薄くする必要がある。しかしながら、上記バックヨーク幅が薄い場合には、集中巻線で一般的に行われる「渡り線をコイルの径方向外側の側面(以下、背面と言う)で上記バックヨーク上に引き回す」方法において、圧縮機のケーシングと渡り線との間の絶縁距離が短くなり、絶縁規格を満たすことができなくなる。
そこで、上述の問題を回避するための電動圧縮機用の電動機として、特開2002‐44892号公報(特許文献1)に開示されているものがある。この電動機においては、固定子における固定子鉄心のティースに絶縁フィルムを介して導電性巻線を巻回し、導電性巻線の軸方向端部に縛り糸で固定している。さらに、導電性巻線の渡り線も縛り糸で固定している。
上記特許文献1に開示された従来の電動機においては、上記渡り線を縛り糸で軸方向端部に固定しているので、渡り線をコイルの上記背面でバックヨーク上に引き回す必要がない。したがって、圧縮機のケーシングと渡り線との間の絶縁規格を満たすことが可能となる。しかしながら、上記渡り線を縛り糸で巻線コイル上に固定する必要があり、部品(縛り糸)数が増加し、生産工数が増加すると言う問題がある。
特開2002‐44892号公報
そこで、この発明の課題は、縛り糸等の部品を増加することなく、渡り線と収納容器との絶縁規格を満たすことが可能なモータ、および、このモータを用いた圧縮機を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明のモータは、
ロータと、
上記ロータの外周側を囲むように配置されたステータと
を備え、
上記ステータは、
円筒部と、この円筒部の内周面から径方向内側に突出すると共に周方向に配列された複数のティース部とを有するステータコアと、
上記ステータコアの上記ティース部に巻回されたコイルと、
周方向において隣り合う上記ティース部の間の空間であるスロット部内に配置されると共に、上記ステータコアと上記コイルとの間に挟まれるスロット絶縁体と
を含んでおり、
上記スロット絶縁体は、
上記ステータコアの上記円筒部に対して上記径方向に対向している本体部と、この本体部における上記ロータの軸方向の端部から上記軸方向に突出する先端部とを含む第1領域と、
上記ステータコアの上記ティース部に対して上記周方向に対向している本体部を含む第2領域と
を有し、
上記第1領域における上記先端部は、上記スロット絶縁体が上記スロット部内に配置された場合には、上記円筒部から上記軸方向に突出すると共に、折り返されて上記コイルの渡り線を包み込むようになっている
ことを特徴としている。
上記構成によれば、上記スロット絶縁体の上記第1領域において、上記円筒部に対向する本体部から上記軸方向に突出している上記先端部によって、上記コイルの渡り線を包み込むので、上記渡り線を確実に絶縁することができる。したがって、上記円筒部の径方向の幅を薄くして小型化を図る場合に、上記渡り線を上記コイルの径方向外側の側面で上記円筒部上に引き回しても、上記円筒部を収納する容器との間の絶縁規格を十分に満たすことができる。
その場合、従来より使用されているスロット絶縁体に上記先端部を設け、この先端部で上記渡り線を包み込むだけであり、部品数が増加し、生産工数が増加することがない。
また、一実施の形態のモータでは、
上記第1領域の上記先端部が折り返される前の状態での上記第1領域における上記軸方向への長さが、上記第2領域よりも長くなっている。
この実施の形態によれば、上記スロット絶縁体において、上記コイルの渡り線を包み込むことがない上記第2領域の長さを上記第1領域よりも短くして、上記第2領域における上記円筒部からの無駄な突出を無くすことができる。
また、一実施の形態のモータでは、
上記先端部が折り返される前の状態で、上記第1領域と上記第2領域との境界における上記先端部側に、切り込みが設けられている。
この実施の形態によれば、上記切り込みによって、上記第1領域と分離された上記第2領域の先端部を、水平方向に二つ折りにして上記ティース部の上端面に引っかけることによって、上記スロット絶縁体の上から導電性巻線が巻回されて上記コイルが形成される場合に、上記スロット絶縁体における軸方向への抜けを防止することができる。
その際に、上記第2領域の長さが上記第1領域よりも短くなっている。したがって、上記第1領域と同じ長さにした場合よりも上記二つ折りの高さを低くして、コイルエンドの高さを低く抑えることができる。
また、一実施の形態のモータでは、
上記第1領域の上記先端部が折り返される前の状態での上記第1領域における上記軸方向への長さが、上記第2領域と同じ長さを有しており、
上記先端部が折り返される前の状態で、上記第1領域と上記第2領域との境界における上記先端部側に、切り込みが設けられている。
この実施の形態によれば、上記切り込みによって、上記第1領域と分離された上記第2領域の先端部を、水平方向に二つ折りにして上記ティース部の上端面に引っかけることによって、上記スロット絶縁体の上から導電性巻線が巻回されて上記コイルが形成される場合に、上記スロット絶縁体における軸方向への抜けを防止することができる。
その際に、折り返される前の状態で、上記第1領域と上記第2領域との上記軸方向への長さが同じであるので、単に矩形のシート状の絶縁体に切り込みを設けるだけの簡単な方法で、上記スロット絶縁体を得ることができる。
また、一実施の形態のモータでは、
上記渡り線は、各スロット絶縁体当たり複数あり、
上記第1領域の上記先端部は、上記複数の渡り線の夫々を個別に包み込む。
この実施の形態によれば、上記第1領域の上記先端部で上記複数の渡り線の夫々を個別に包み込むことができる。したがって、多相の渡り線の場合であっても、各渡り線を離間させたり簡易絶縁を行ったりすることなく、各相間を簡単に且つ確実に絶縁することができる。
また、この発明の圧縮機は、
密閉容器と、
この密閉容器内に配置された圧縮機構部と、
上記密閉容器内に配置されると共に、上記圧縮機構部を駆動する、上記この発明のモータと
を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、上記圧縮機構部を駆動するモータとして、上記円筒部の径方向の幅を薄くして小型化を図る場合であっても、部品点数や生産工数を増加させることなく、上記渡り線と上記円筒部を収納する容器との間の絶縁規格を十分に満たすことができるモータを用いている。したがって、部品を増加させることなく、上記圧縮機構部と上記モータと収納する上記密閉容器の小径化を図って、上記絶縁規格を十分に満たした小型の圧縮機を安価に提供することができる。
以上より明らかなように、この発明のモータは、上記スロット絶縁体の上記第1領域において、上記円筒部に対向する本体部の端部から上記軸方向に突出している上記先端部によって、上記コイルの渡り線を包み込むようにしている。したがって、上記渡り線を確実に絶縁することができる。
すなわち、この発明によれば、上記円筒部の径方向の幅を薄くして小型化を図る際に、上記渡り線を上記コイルの径方向外側の側面で上記円筒部上に引き回しても、上記円筒部を収納する容器との間の絶縁規格を十分に満たすことが可能になる。
その場合、従来より使用されているスロット絶縁体に上記先端部を設け、この先端部で上記渡り線を包み込むだけでよく、部品数が増加し、生産工数が増加することがない。
また、この発明の圧縮機は、上記圧縮機構部を駆動するモータとして、上記円筒部の径方向の幅を薄くして小型化を図る場合であっても、部品点数や生産工数を増加させることなく、上記渡り線と上記円筒部を収納する容器との間の絶縁規格を十分に満たすことができるモータを用いている。したがって、上記絶縁規格を十分に満たした小型の圧縮機を安価に提供することができる。
この発明のモータを用いた圧縮機における縦断面図である。 図1における圧縮要素の平面図である。 図1におけるモータの平面図である。 図3におけるティース部の拡大図である。 一枚のスロット絶縁体の展開図である。 図3におけるA‐A矢視断面図である。 図6とは異なるA‐A矢視断面図である。 図5とは異なるスロット絶縁体の展開図である。 図4におけるB‐B矢視断面図である。 図5および図8とは異なるスロット絶縁体の展開図である。 図9とは異なるB‐B矢視断面図である。 図5,図8および図10とは異なるスロット絶縁体の展開図である。 図6および図7とは異なるA‐A矢視断面図である。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
・第1実施の形態
図1は、本実施の形態のモータを用いた電動機器の一例である圧縮機における縦断面を示している。この圧縮機は、密閉容器1と、この密閉容器1内に配置された上記圧縮機構部である圧縮要素2と、密閉容器1内に配置されて圧縮要素2を駆動するモータ3とを備えている。
この圧縮機は、所謂縦型の高圧ドーム型のロータリ圧縮機であって、密閉容器1内に、圧縮要素2を下に、モータ3を上に配置している。このモータ3のロータ4によって、シャフト5を介して、圧縮要素2を駆動するようにしている。
上記圧縮要素2は、アキュームレータ6から吸入管7を通して冷媒ガスを吸入する。この冷媒ガスは、本圧縮機と共に、冷凍システムの一例としての空気調和機を構成する図示しない凝縮器,膨張機構,蒸発器を制御することによって得られる。この冷媒は、例えば、二酸化炭素やHCやR410A等のHFC、R22やR32等のHCFCである。
本圧縮機は、圧縮した高温高圧の冷媒ガスを、圧縮要素2から吐出して密閉容器1の内部に満たすと共に、モータ3のステータ8とロータ4との間の隙間を通して、モータ3を冷却した後に、モータ3の上側に設けられた吐出管9から外部に吐出するようになっている。
上記密閉容器1内の高圧領域の下部には、潤滑油が溜められた油溜まり部10が形成されている。この潤滑油は、油溜まり部10から、シャフト5に設けられた(図示しない)油通路を通って、圧縮要素2やモータ3のベアリング等の摺動部に移動して、この摺動部を潤滑する。この潤滑油は、例えば、(ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の)ポリアルキレングリコール油や、エーテル油や、エステル油や、鉱油である。
上記圧縮要素2は、密閉容器1の内面に取り付けられるシリンダ11と、このシリンダ11の上下の開口端の夫々に取り付けられた上側の端板部材12および下側の端板部材13とを備えている。シリンダ11,上側の端板部材12および下側の端板部材13によって、シリンダ室14を形成している。
上記上側の端板部材12は、円板状の本体部12aと、この本体部12aの中央に上方へ設けられたボス部12bとを有している。本体部12aおよびボス部12bには、シャフト5が挿通されている。
上記本体部12aには、シリンダ室14に連通する吐出口15が設けられている。本体部12aに関してシリンダ11と反対側に位置するように、本体部12aに吐出弁16が取り付けられている。この吐出弁16は、例えばリード弁であり、吐出口15を開閉する。
上記本体部12aには、シリンダ11と反対側に、吐出弁16を覆うように、カップ型のマフラカバー17が取り付けられている。このマフラカバー17は、(ボルト等の)固定部材18によって、本体部12aに固定されている。マフラカバー17には、ボス部12bが挿通されている。
上記マフラカバー17および上側の端板部材12によって、マフラ室19が形成されている。マフラ室19とシリンダ室14とは、吐出口15を介して連通されている。
上記マフラカバー17は、孔部17aを有する。この孔部17aは、マフラ室19とマフラカバー17の外側とを連通する。
上記下側の端板部材13は、円板状の本体部13aと、この本体部13aの中央に下方へ設けられたボス部13bとを有する。本体部13aおよびボス部13bには、シャフト5が挿通されている。
要するに、上記シャフト5の一端部は、シリンダ11,上側の端板部材12および下側の端板部材13に支持されている。すなわち、シャフト5は、片持ちである。シャフト5の一端部(支持端側)は、シリンダ室14の内部に進入している。
上記シャフト5の支持端側には、圧縮要素2側のシリンダ室14内に位置するように、偏心ピン20を設けている。この偏心ピン20は、ローラ21に嵌合している。このローラ21は、シリンダ室14内で公転可能に配置され、このローラ21の公転運動で圧縮作用を行うようにしている。
言い換えると、上記シャフト5の一端部は、偏心ピン20の両側において、圧縮要素2のハウジング22で支持されている。このハウジング22は、上側の端板部材12および下側の端板部材13を含む。
次に、上記シリンダ室14の圧縮作用を説明する。
図2に示すように、上記ローラ21に一体に設けられたブレード21aでシリンダ室14内を仕切っている。すなわち、ブレード21aの右側の室は、吸入管7がシリンダ室14の内面に開口して、吸入室(低圧室)14aを形成している。一方、上記ブレード21aの左側の室は、(図1に示す)吐出口15がシリンダ室14の内面に開口して、吐出室(高圧室)14bを形成している。
上記ブレード21aの両面には、半円柱状のブッシュ23,23が密着してシールを行っている。ブレード21aとブッシュ23,23との間は、上記潤滑油で潤滑を行っている。
そして、上記偏心ピン20が、シャフト5と共に偏心回転して、偏心ピン20が嵌合したローラ21が、このローラ21の外周面をシリンダ室14の内周面に接触させて公転する。
そして、上記ローラ21が、シリンダ室14内で公転するのに伴って、ブレード21aは、このブレード21aの両側面をブッシュ23,23によって保持されて進退動する。そうすると、吸入管7から低圧の冷媒ガスが吸入室14a内に吸入され、吐出室14b内で圧縮されて高圧にされた後、高圧の冷媒ガスとなって(図1に示す)吐出口15から吐出される。
その後、図1に示すように、上記吐出口15から吐出された冷媒ガスは、マフラ室19を経由して、マフラカバー17の外側に排出される。
以下、上記モータ3について、詳細に説明する。図1と図3とに示すように、モータ3は、ロータ4と、このロータ4の径方向外側にエアギャップを介して配置されたステータ8とを有している。
上記ロータ4は、ロータ本体24と、このロータ本体24に埋設された磁石25とを有している。ロータ本体24は、円筒形状であり、例えば積層された電磁鋼板からなる。ロータ本体24の中央の孔部には、シャフト5が取り付け固定されている。磁石25は、平板状の永久磁石である。6つの磁石25が、ロータ本体24の周方向に等間隔の中心角度で、配列されている。
上記ステータ8は、ステータコア26と、ステータコア26に巻き付けられたコイル28とを有している。尚、図3においては、コイル28を一部省略して描いている。
上記ステータコア26は、例えば積層された複数の鋼板からなり、密閉容器1に、焼き嵌め等によって嵌め込まれている。ステータコア26は、上記円筒部としてのバックヨーク部29と、このバックヨーク部29の内周面から径方向内側に突出すると共に周方向に略等間隔に配列された9つのティース部30とを有している。
上記コイル28は、各ティース部30に夫々巻かれて複数のティース部30に渡って巻かれていない、所謂集中巻きである。モータ3は、所謂6極9スロットである。コイル28に電流を流してステータ8に発生する電磁力によって、ロータ4をシャフト5と共に回転させる。
図4は、上記ステータコア26におけるティース部30の箇所の拡大図である。図3および図4に示すように、周方向において隣り合うティース部30の間の空間であるスロット部31内には、バックヨーク部29およびティース部30の内周面に沿って、スロット絶縁体32が設けられている。また、周方向において隣り合うコイル28の間には、2つに折り返されたコイル間絶縁体33が挿入されている。スロット絶縁体32およびコイル間絶縁体33は、樹脂製の絶縁フィルムあるいは樹脂成形物等のシート状の樹脂材料からなる。この樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いる。
上記スロット絶縁体32は、一つのスロット部31内において、ステータコア26の内面をバックヨーク部29からその両側に位置する二つのティース部30に亙って覆っている。そして、スロット絶縁体32は、バックヨーク部29とコイル28との間およびティース部30とコイル28との間に挟まれている。
図5は、一つのスロット部31内に配置される一枚のスロット絶縁体32の展開図である。図5において、スロット絶縁体32は、軸26aの方向(図中上下方向、単に軸方向と言う場合もある)に帯状に延在するする中央の上記第1領域としての領域Aと、その領域Aの両側に位置する二つの上記第2領域としての領域Bとを有している。領域Aは、バックヨーク部29の内面を覆う領域であり、バックヨーク部29に対して上記径方向に対向する本体部Dと、この本体部Dにおける上記軸方向の端部から上記軸方向に突出する先端部Cとを含んでいる。また、領域Bは、隣り合う二つのティース部30の夫々の内面を覆う領域であり、ティース部30に対して上記周方向に対向する本体部Eを含んでいる。ここで、領域Bにおける軸26aの方向の長さHは、図1におけるステータコア26の軸26aの方向の長さに略等しい長さを有している。これに対し、領域Aにおける軸26aの方向の長さは、領域Bの長さ「H」よりも長くなっており、軸26aの方向一端側が領域Bよりも上記長い分だけ突出した先端部Cを形成している。
図6は、図3におけるA‐A矢視断面図である。上記形状を有するスロット絶縁体32を、その領域Aと領域Bとの境界34で折り曲げて、領域Aの本体部Dをスロット部31内におけるバックヨーク部29の内面を覆うように、領域Bの本体部Eをスロット部31内における隣り合う二つのティース部30の夫々の内面を覆うように装着する。その場合に、領域Aにおける先端部Cが、コイル28の渡り線35が位置する側になるように配置する。そして、図6に示すように、スロット絶縁体32の上から導電性巻線を巻回してコイル28を形成し、渡り線35をコイル28の上記背面でバックヨーク部29上に引き回す。そして、スロット絶縁体32における領域Aの先端部Cを水平方向に折り返して、先端部Cで渡り線35を包み込む。そうした後、先端部Cの固定端36をバックヨーク部29とスロット絶縁体32の本体部との間に差し込んで固定する。
ここで、上記先端部Cにおける固定端36の固定方法は、バックヨーク部29とスロット絶縁体32の本体部との間に差し込む方法以外に、図7に示すような方法がある。図7においては、渡り線35を包み込んだ先端部Cの固定端36をさらに内側に巻き込んで、固定端36を渡り線35と先端部Cの基部との間に差し込んで固定している。
以上のように、本実施の形態においては、上記スロット絶縁体32におけるバックヨーク部29の内面を覆う領域Aの先端部Cで渡り線35を包み込むようにしている。したがって、渡り線35を確実に絶縁することができ、バックヨーク部29の径方向の幅を薄くして小型化を図る場合に、渡り線35をコイル28の上記背面でバックヨーク部29上に引き回しても、密閉容器1との間の絶縁規格を十分に満たすことができる。
その場合、従来より使用されているスロット絶縁体32に突出した先端部Cを形成し、この先端部Cで渡り線35を包み込むだけであるから、部品(縛り糸)数が増加し、生産工数が増加することはない。
尚、上記第1実施の形態においては、図6および図7に示すように、領域Aの先端部Cで渡り線35を包み込む際に、先端部Cをスロット部31側からバックヨーク部29側に向かって(図中左回りに)折り曲げている。しかしながら、バックヨーク部29側からスロット部31側側に向かって(図中右回りに)折り曲げても差し支えない。その場合には、図6においては、先端部Cの固定端36は、スロット絶縁体32の本体部とコイル28との間に差し込んで固定することになる。
・第2実施の形態
本実施の形態の圧縮機における基本構成は、上記第1実施の形態において図1〜図4に示す構成と同様である。そこで、上記基本構成の説明は省略し、図1〜図4を用いて説明を行う。
図8は、本実施の形態における一枚のスロット絶縁体32の展開図である。図8において、スロット絶縁体32は、上記第1実施の形態の場合と同様に、軸26aの方向(図中上下方向)に帯状に延在するする中央の領域Aと、その領域Aの両側に位置する二つの領域Bとを有している。領域Aは、バックヨーク部29の内面を覆う領域であり、バックヨーク部29に対向する本体部Dと、この本体部Dの端部から上記軸方向に突出する先端部38とを含んでいる。また、領域Bは、隣り合う二つのティース部30の夫々の内面を覆う領域であり、ティース部30に対向する本体部Eと、この本体部Eの端部から上記軸方向に突出する先端部39とを含んでいる。
本実施の形態においては、上記スロット絶縁体32の軸26aの方向一端側における領域Aと領域Bとの境界37に、ステータコア26の軸26aの方向の長さに略等しい長さ「H」を残して、切り込みを入れている。こうして、領域Aにおける上記切り込みで領域Bと分離された先端部38と、領域Bにおける上記切り込みで領域Aと分離された先端部39とが、形成されている。
上記形状を有するスロット絶縁体32を、その領域Aと領域Bとの境界37で折り曲げて、領域Aの本体部Dをスロット部31内におけるバックヨーク部29の内面を覆うように、領域Bの本体部Eをスロット部31内における隣り合う二つのティース部30の夫々の内面を覆うように装着する。その場合に、領域Aの先端部38と領域Bの先端部39とがコイル28の渡り線35が位置する側になるようにする。そして、領域Aにおける先端部38は、上記第1実施の形態における先端部Cと同様に、領域Aの先端部38を水平方向に折り返して先端部38で渡り線35を包み込み、先端部38の固定端38aを固定する。
こうして、本実施の形態の場合においても、渡り線35を確実に絶縁することができ、バックヨーク部29の径方向の幅を薄くして小型化を図る場合に、渡り線35をコイル28の上記背面でバックヨーク部29上に引き回しても、密閉容器1との間の絶縁規格を十分に満たすことができる。
図9は、図4におけるB‐B矢視断面図である。本実施の形態においては、上記領域Bも先端部39を有している。この先端部39は、スロット絶縁体32の軸26a方向への抜けを防止するものである。先端部39は、水平方向に二つ折りにされ、先端部39の端面39aがティース部30の上端面30aに乗るようにして引っかけられ、先端部39の上から導電性巻線が巻回されてコイル28が形成される。その際に、図9に示すように、ティース部30の角部において、コイル28の周方向(矢印(a)の方向)への張力によって二つ折りの先端部39が矢印(a)の方向へ撓み、先端部39の端面39aがティース部30の上端面30aにより密着する。その結果、スロット絶縁体32における軸26a方向(矢印(b)の方向)への抜けが確実に防止できるのである。
上記スロット絶縁体32の上から導電性巻線を巻回してコイル28を形成する際には、領域Aの先端部38で渡り線35が包み込まれてはおらず、スロット絶縁体32は固定されていない。この実施の形態によれば、先端部39が、二つ折りにされてティース部30の上端面30aに引っかけられて、軸26a方向に固定されている。したがって、上記導電性巻線を巻回す際や巻回した後に、スロット絶縁体32が抜け難くすることができるのである。
・第3実施の形態
本実施の形態の圧縮機における基本構成は、上記第1実施の形態において図1〜図4に示す構成と同様である。そこで、上記基本構成の説明は省略し、図1〜図4を用いて説明を行う。
図10は、本実施の形態における一枚のスロット絶縁体32の展開図である。本実施の形態のスロット絶縁体32における基本構成は、上記第2実施の形態において図8に示す構成と同様である。但し、本実施の形態においては、領域Bにおける先端部40の本体部Eからの軸26a方向への突出長さは、領域Aにおける先端部41の本体部Dからの突出長さよりも短くなっている。
したがって、図11に示すように、上記領域Bにおける先端部40が水平方向に二つ折りにされてティース部30の上端面30aに引っかけられ、先端部40の上から導電性巻線が巻回されてコイル28が形成された際に、ティース部30の上端面30aからコイル28までの距離L2を、上記第2実施の形態における領域Bの先端部39の場合のL1よりも小さくすることができる。
すなわち、本実施の形態によれば、コイルエンドの高さを上記第2実施の形態の場合よりも低く抑えることができるのである。
・第4実施の形態
本実施の形態の圧縮機における基本構成は、上記第1実施の形態において図1〜図4に示す構成と同様である。また、スロット絶縁体32における基本構成は、上記第3実施の形態において図10に示す構成と同様である。但し、図12に示すように、領域Aにおける先端部42の本体部Dからの軸26a方向への突出長さは、上記第3実施の形態における先端部41の本体部Dからの突出長さよりも長くなっている。つまり、領域Aにおける先端部42の突出長さは、上記第1実施の形態における先端部Cの突出長さよりも長くなっている。
図13は、図3におけるA‐A矢視断面図である。但し、図13(a)は、先端部42の固定端42aをバックヨーク部29とスロット絶縁体32の本体部との間に差し込んで固定する場合である。また、図13(b)は、先端部42の固定端42aを渡り線35と先端部42の基部との間に差し込んで固定する場合である。
図13(a)および図13(b)において、上記スロット絶縁体32における領域Aの先端部42を水平方向に三回折り曲げて折りたたみ、折りたたんだ部分44を2本の渡り線35,35の間に挿入する。そうした後、先端部42をもう一度折り返して渡り線35,35を包み込むようにしている。そうした後、図13(a)では、先端部42の固定端42aを、バックヨーク部29とスロット絶縁体32の本体部Dとの間に差し込んで固定する。また、図13(b)では、先端部42の固定端42aを渡り線35と先端部42の基部との間に差し込んで固定している。
また、上記領域Bにおける先端部43は、上記第3実施の形態における領域Bの先端部40と同様に、水平方向に二つ折りにされ、先端部43の端面がティース部30の上端面に引っかけられて、スロット絶縁体32における軸26a方向への抜けが確実に防止される。
このように、本実施の形態においては、上記スロット絶縁体32における領域Aの先端部42を水平方向に折りたたみ、2本の渡り線35,35の間に挿入する。その後、さらに先端部42を折り返して渡り線35,35を包み込むようにしている。したがって、上記渡り線が各スロット絶縁体32当たり複数本有る場合でも各渡り線間も絶縁することができ、各渡り線35をより確実に絶縁することができる。
上記第1実施の形態の場合には、複数本の渡り線35を一括して包み込むので、各渡り線35が異なる相である場合には、互いに離間させたり、絶縁チューブ等で簡易絶縁を行ったりする必要がある。しかしながら、本実施の形態によれば、各渡り線間も絶縁することができるので、多相の場合であっても離間させたり簡易絶縁を行ったりすることなく各相間を確実に絶縁することができる。
尚、本実施の形態においては、上記渡り線35の本数は2本としているが、特に2本に限定するものではない。領域Aの先端部42における突出長さを渡り線35の本数に応じて長くし、各渡り線35の間に先端部42を折りたたんで挿入すれば良い。
以上、この発明の具体的な実施の形態に付いて説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
また、上記各実施の形態においては、この発明のモータを用いた電動機器として、圧縮機を例に挙げて説明した。しかしながら、この発明のモータは、圧縮機に限らず、モータによって駆動される総ての電動機器に用いることが可能である。
さらに、上記各実施の形態におけるモータ3は、モータ単独で、バックヨーク部29の径方向の幅を薄くして小型化を図る場合に、渡り線35をコイル28の上記背面でバックヨーク部29上に引き回しても、バックヨーク部29を収納する容器との間の絶縁規格を十分に満たすことが可能である。したがって、上記各実施の形態によれば、上記絶縁規格を十分に満たした小型で安価なモータを提供することができる。
1…密閉容器、
2…圧縮要素、
3…モータ、
4…ロータ、
8…ステータ、
26…ステータコア、
28…コイル、
29…バックヨーク部、
30…ティース部、
31…スロット部、
32…スロット絶縁体、
33…コイル間絶縁体、
34,37…領域Aと領域Bとの境界、
35…渡り線、
36,38a,42a…固定端、
C,38,41,42…領域Aの先端部、
39,4043…領域Bの先端部、
A,B…スロット絶縁体の領域、
D…領域Aの本体部、
E…領域Bの本体部。

Claims (6)

  1. ロータ(4)と、
    上記ロータ(4)の外周側を囲むように配置されたステータ(8)と
    を備え、
    上記ステータ(8)は、
    円筒部(29)と、この円筒部(29)の内周面から径方向内側に突出すると共に周方向に配列された複数のティース部(30)とを有するステータコア(26)と、
    上記ステータコア(26)の上記ティース部(30)に巻回されたコイル(28)と、
    上記周方向において隣り合う上記ティース部(30)の間の空間であるスロット部(31)内に配置されると共に、上記ステータコア(26)と上記コイル(28)との間に挟まれるスロット絶縁体(32)と
    を含んでおり、
    上記スロット絶縁体(32)は、
    上記ステータコア(26)の上記円筒部(29)に対して上記径方向に対向している本体部(D)と、この本体部(D)における上記ロータ(4)の軸方向の端部から上記軸方向に突出する先端部(C,38,41,42)とを含む第1領域(A)と、
    上記ステータコア(26)の上記ティース部(30)に対して上記周方向に対向している本体部(E)を含む第2領域(B)と
    を有し、
    上記第1領域(A)における上記先端部(C,38,41,42)は、上記スロット絶縁体(32)が上記スロット部(31)内に配置された場合には、上記円筒部(29)から上記軸方向に突出すると共に、折り返されて上記コイル(28)の渡り線(35)を包み込むようになっている
    ことを特徴とするモータ。
  2. 請求項1に記載のモータにおいて、
    上記第1領域(A)の上記先端部(C,41,42)が折り返される前の状態での上記第1領域(A)における上記軸方向への長さが、上記第2領域(B)よりも長くなっている
    ことを特徴とするモータ。
  3. 請求項2に記載のモータにおいて、
    上記先端部(41,42)が折り返される前の状態で、上記第1領域(A)と上記第2領域(B)との境界における上記先端部(41,42)側に、切り込みが設けられている
    ことを特徴とするモータ。
  4. 請求項1に記載のモータにおいて、
    上記第1領域(A)の上記先端部(38)が折り返される前の状態での上記第1領域(A)における上記軸方向への長さが、上記第2領域(B)と同じ長さを有しており、
    上記先端部(38)が折り返される前の状態で、上記第1領域(A)と上記第2領域(B)との境界(37)における上記先端部(38)側に、切り込みが設けられている
    ことを特徴とするモータ。
  5. 請求項1から請求項4までの何れか一つに記載のモータにおいて、
    上記渡り線(35)は、各スロット絶縁体(32)当たり複数あり、
    上記第1領域(A)の上記先端部(C,38,41,42)は、上記複数の渡り線(35)の夫々を個別に包み込む
    ことを特徴とするモータ。
  6. 密閉容器(1)と、
    この密閉容器(1)内に配置された圧縮機構部(2)と、
    上記密閉容器(1)内に配置されると共に、上記圧縮機構部(2)を駆動する、請求項1から請求項5までの何れか一つに記載のモータと
    を備えたことを特徴とする圧縮機。
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