JP2015220152A - 負極活物質、アルカリイオン二次電池及び電気キャパシタ - Google Patents
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Abstract
Description
また、炭素骨格が無秩序であるため炭素骨格自体の導電性が低下するところ、本発明の低結晶性炭素材料は芳香族系樹脂成分が残存しているため、この芳香族系樹脂成分が充電時に励起される。すると、励起された芳香族系樹脂成分が導電性を発現する結果、低結晶性炭素材料の可逆容量が飛躍的に高められる。
従って、本発明によれば、従来よりも可逆容量が高い負極活物質が得られる。
本実施形態に係る負極活物質は、リチウムイオン二次電池の負極に用いられる。本実施形態に係る負極活物質は、芳香族系樹脂成分を残存させた低結晶性炭素材料から構成されることを特徴とする。ここで、芳香族系樹脂成分とは、後述する芳香族構造を有する樹脂12を意味する。
これに対して芳香族構造を有する樹脂12は、黒鉛のような規則的に並んだ層状構造を有さず、元の原料由来の芳香族構造を維持している。
図1に示す炭素層間挿入リチウム21は、積層し始めた炭素構造11の層間に挿入されて吸蔵されるリチウムである。この炭素層間挿入リチウム21は、従来の黒鉛構造の炭素材料に吸蔵されるリチウムと同様に、吸蔵と脱離を繰り返すことが可能な可逆性のリチウムである。
また、図1に示す共有結合性リチウム22は、複数の積層し始めた炭素構造11と芳香族構造を有する樹脂12の間でこれらの構造の近傍に吸蔵されるリチウムである。この共有結合性リチウム22は、吸蔵と脱離を繰り返すことが可能な可逆性のリチウムであるとともに、本実施形態に特有のものであり、これにより高い可逆容量が得られるようになっている。
また、図1に示す残存リチウム23は、積層し始めた炭素構造11と芳香族構造を有する樹脂12から離隔した位置に吸蔵され、導電性が無いため脱離できずに残存するリチウムである。
また、上記式(2)中の(Iq1+Iq2)/Icは、芳香族由来のピーク強度に対するキノイド構造のピーク強度比を表しており、キノイド構造を有する樹脂の含有量(残存量)の指標となるパラメータである。
また、上記式(3)中のId/Icは、芳香族由来のピーク強度に対する格子欠陥由来のピーク強度比を表しており、非黒鉛成分である低結晶性炭素の含有量(残存量)の指標となるパラメータである。
先ず、従来公知のKovacic法により、低結晶性炭素材料の前駆体樹脂を合成する。例えば、所定温度及び湿度下で、ベンゼン、無水塩化アルミニウム及び無水塩化銅(II)を、所定の質量比で混合し、所定時間撹拌する。
次いで、沸騰純水で洗浄した後、高温で一晩乾燥させることで、低結晶性炭素材料の前駆体樹脂であるポリパラフェニレン(PPP)樹脂を得る。
次に、本実施形態に係る負極活物質を含む負極を備えるリチウムイオン二次電池について説明する。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、電解質と、セパレータで構成される。電池形状としては、角型、ペーパー型、積層型、円筒型、コイン型等が例示される。
正極活物質としては、遷移金属リン酸塩、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)、二硫化チタン、二酸化マンガン、スピネル型リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)、五酸化バナジウム、三酸化モリブデン、ニッケル/マンガン/コバルト三元系酸化物、リチウム過剰型遷移金属酸化物等が用いられる。
導電材としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等が用いられる。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン等が用いられる。
負極活物質としては、上述した本実施形態の低結晶性炭素材料1から構成される負極活物質が用いられる。
導電材としては、導電性カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等が用いられる。
結着剤としては、SBR(スチレン−ブタジエン共重合体)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン等が用いられる。
増粘剤としては、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PAA(ポリアクリル酸)及びPAA塩等が用いられる。
塩類としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、LiCl、LiBr等が用いられる。
有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、フロロエチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4メチル1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等が用いられる。
上記塩類を上記有機溶媒に溶解させてなる電解液は、通常、後述のセパレータに含浸又は充填させて用いられる。
固体電解質としては、ポリエチレンオキシド、ポリホスファゼン、ポリアジリジン、ポリエチレンスルフィド、ポリビニルアルコール等の誘導体、混合物又は複合体が用いられる。
本実施形態では、負極に用いられる負極活物質を、芳香族構造を有する樹脂12を残存させた低結晶性炭素材料1で構成した。これにより、リチウムイオン二次電池の充電時、即ちリチウムイオンドープ時において、低結晶性で黒鉛とは異なり十分積層されていない無秩序構造の炭素骨格内にリチウムイオンをより多く吸蔵でき、高い容量が得られる。
また、炭素骨格が無秩序であるため炭素骨格自体の導電性が低下するところ、本実施形態の低結晶性炭素材料1は芳香族構造を有する樹脂12が残存しているため、この芳香族構造を有する樹脂12が充電時に励起される。すると、励起された芳香族構造を有する樹脂12が導電性を発現する結果、低結晶性炭素材料1の可逆容量が飛躍的に高められる。
従って、本実施形態によれば、従来よりも可逆容量が高い負極活物質が得られる。
例えば上記実施形態では、本発明の負極活物質をリチウムイオン二次電池に適用したが、これに限定されない。他のアルカリイオン二次電池や電気キャパシタに適用することもできる。
[負極活物質の調製]
低結晶性炭素材料から構成される各実施例の負極活物質を、次のようにして調製した。
先ず、従来公知のKovacic法により、低結晶性炭素材料の前駆体樹脂を合成した。具体的には、25℃のドライ雰囲気下にて、ベンゼン、無水塩化アルミニウム及び無水塩化銅(II)を、質量比2.35:1:1で混合し、温度31℃〜32℃で2時間、撹拌した。
次いで、沸騰純水で洗浄した後、110℃で一晩乾燥させた。これにより、低結晶性炭素材料の前駆体樹脂であるポリパラフェニレン(PPP)樹脂を得た。
最後に、得られた焼成物を粉砕することで、平均粒径9〜10μmの低結晶性炭素材料から構成される各実施例の負極活物質を得た。
上述のようにして調製した各実施例の負極活物質について、HORIBA JOBIN YVON製のレーザーラマン分光測定装置「LabRAM ARAMIS」(2006年)を用いて、ラマン分光測定を実施した。このとき、励起波長は532nmとした。このラマン分光測定により、各ラマン強度パラメータを求めた。
上述のようにして調製した各実施例の負極活物質を含む負極を作製した。
具体的には、上述のようにして調製した各実施例の負極活物質80質量部に対して、導電材としての導電性カーボンブラック13質量部、結着剤としてのSBR(スチレン−ブタジエン共重合体)3質量部、増粘剤としてのCMC(カルボキシメチルセルロース)4質量部を混合することで、スラリーを調製した。
先ず、上述のようにして作製した各実施例の負極を用いて、直径が20mmで高さが3.2mmの簡易型のリチウムイオン二次電池セル(CR−2032)を作製した。セルは、作用極ケース及び対極ケースそれぞれをSUS製とし、集電体から導通をとれる構造とした。具体的には、作用極に上述のようにして作製した負極を用い、対極には金属リチウムを用いた。これに塩類としてLiPF6(濃度1mol/L)を用いるとともに、有機溶媒としてプロピレンカーボネート液をセパレータに含浸させて用いた。
図3に示すように、芳香族構造を有する樹脂が残存した低結晶性炭素材料を負極に用いた実施例1〜7のリチウムイオン二次電池は、いずれも従来よりも高い可逆容量を有していることが確認された。
11…積層し始めた炭素構造
12…芳香族構造を有する樹脂
21…炭素層間挿入リチウム
22…共有結合性リチウム
23…残存リチウム
Claims (4)
- 負極に用いられる負極活物質であって、
結晶性の低い低結晶性炭素材料から構成され、
前記低結晶性炭素材料は、芳香族系樹脂成分を残存させたことを特徴とする負極活物質。 - 請求項1又は2に記載の負極活物質を含む負極を備えることを特徴とするアルカリイオン二次電池。
- 請求項1又は2に記載の負極活物質を含む負極を備えることを特徴とする電気キャパシタ。
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