JP2015218145A - TNF−α産生抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価かつ経口投与可能なTNF−α阻害剤を提供すること。【解決手段】ジオウの含有成分、サンシュユの含有成分、サンヤクの含有成分、タクシャの含有成分、ブクリョウの含有成分、ボタンピの含有成分、ケイヒの含有成分、ブシの含有成分、ゴシツの含有成分およびシャゼンシの含有成分からなる群より選択される一種または二種以上の成分を含有するTNF−α産生抑制剤。【選択図】なし

Description

本発明は、TNF−α産生抑制剤に関するものであり、詳細には、生薬またはその成分を含有するTNF−α産生抑制剤に関するものである。
1980年代から1990年代にかけての免疫学、分子生物学の研究により、TNF−α(Tumor Necrosis Factor−α:腫瘍壊死因子)は、炎症において中心的な役割を果たすサイトカインであることが明らかになった。TNF−αの持続的かつ過剰な産生は組織障害やさまざまな病気を引き起こす原因となることが知られており、TNF−αが関与する病態例として、例えば関節リウマチ、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、悪液質、急性感染症、アレルギー、発熱、貧血、糖尿病などが挙げられる。現在では、TNF−α阻害治療は、関節リウマチ、炎症性腸疾患などの各種炎関連性疾患において中心的な役割を果たしている。2014年現在、日本においてはTNF−α阻害薬として5剤が承認されている。TNF−α阻害治療の登場以後、関節リウマチの治療戦略は早期介入による寛解を目指すものに変化している。
しかし、TNF−α阻害治療はいくつか問題点を有している。1つ目の問題点は、TNF−α阻害薬として承認されている5剤がすべて抗体製剤であり、非常に高価であるという点である。それゆえ、安価なTNF−α阻害薬の開発が望まれている。2つ目の問題点は、5剤すべてが注射剤であることから点滴または皮下注射で投与する必要があり、利便性に欠けるという点である。それゆえ、経口投与可能なTNF−α阻害薬の開発が望まれている。しかしながら、現在のところ、安価なTNF−α阻害薬および経口投与可能なTNF−α阻害薬のどちらも開発に成功していない。
本発明は、安価かつ経口投与可能なTNF−α阻害剤を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1]ジオウの含有成分、サンシュユの含有成分、サンヤクの含有成分、タクシャの含有成分、ブクリョウの含有成分、ボタンピの含有成分、ケイヒの含有成分、ブシの含有成分、ゴシツの含有成分およびシャゼンシの含有成分からなる群より選択される一種または二種以上の成分を含有することを特徴とするTNF−α産生抑制剤。
[2]サンシュユの含有成分、タクシャの含有成分、ブクリョウの含有成分、ボタンピの含有成分、ケイヒの含有成分、ブシの含有成分およびシャゼンシの含有成分からなる群より選択される一種または二種以上の成分を含有することを特徴とする前記[1]に記載のTNF−α産生抑制剤。
[3]ジオウ、サンシュユ、サンヤク、タクシャ、ブクリョウ、ボタンピ、ケイヒ、ブシ、ゴシツおよびシャゼンシからなる群より選択される一種または二種以上の生薬を含有することを特徴とする前記[1]に記載のTNF−α産生抑制剤。
[4]サンシュユ、タクシャ、ブクリョウ、ボタンピ、ケイヒ、ブシおよびシャゼンシからなる群より選択される一種または二種以上の生薬を含有することを特徴とする前記[3]に記載のTNF−α産生抑制剤。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のTNF−α産生抑制剤を含有する医薬。
[6]TNF−αが関与する疾患の予防および/または治療用である前記[5]に記載の医薬。
[7]牛車腎気丸、桂枝加朮附湯、麻黄附子細辛湯または十全大補湯である前記[5]または[6]に記載の医薬。
[8]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のTNF−α産生抑制剤を含有する飲食品。
[9]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のTNF−α産生抑制剤を含有するサプリメント。
本発明により、安価かつ経口投与可能なTNF−α阻害剤を提供することができる。本発明のTNF−α阻害剤は、TNF−αが関与する疾患の予防または改善用の医薬、飲食品、サプリメント等として非常に有用である。
老化促進モデルマウス(SAMP8)を用いた牛車腎気丸投与試験における、試験開始時(8週齢)の平均体重と試験終了時(38週齢)の平均体重の変化を示す図である。 老化促進モデルマウス(SAMP8)を用いた牛車腎気丸投与試験における、13週齢〜14週齢時の1週間の1日1匹当たりの食事摂取量を示す図である。 老化促進モデルマウス(SAMP8)を用いた牛車腎気丸投与試験終了時(38週齢)のマウスのヒラメ筋をヘマトキシリン・エオジン染色して観察した結果を示すである。 老化促進モデルマウス(SAMP8)を用いた牛車腎気丸投与試験終了時(38週齢)のマウスのヒラメ筋の筋線維面積を測定した結果を示す図である。 老化促進モデルマウス(SAMP8)を用いた牛車腎気丸投与試験終了時(38週齢)のマウス筋肉中のTNF−α発現量をウエスタンブロッティングで解析した結果を示す図である。 疼痛モデルマウスを用いた牛車腎気丸投与試験における、フォンフライ試験の結果を示す図である。 疼痛モデルマウスを用いた牛車腎気丸投与試験における、コールドプレート試験の結果を示す図である。 疼痛モデルマウスを用いた牛車腎気丸投与試験における、ホットプレート試験の結果を示す図である。 疼痛モデルマウスおよびShamマウスに牛車腎気丸を投与し、脊髄中のTNF−α発現量を解析した結果を示す図であり、(A)はSham/普通食群、(B)はCCI/普通食群、(C)はSham/牛車腎気丸群、(D)はCCI/牛車腎気丸群の結果である。 疼痛モデルマウスにTNF―α髄腔内投与し、コールドプレート試験により痛覚過敏を評価した結果を示す図である。 TNF−αを髄腔内投与した疼痛モデルマウスに対する牛車腎気丸の効果を検討した結果を示す図である。
本発明は、ジオウの含有成分、サンシュユの含有成分、サンヤクの含有成分、タクシャの含有成分、ブクリョウの含有成分、ボタンピの含有成分、ケイヒの含有成分、ブシの含有成分、ゴシツの含有成分およびシャゼンシの含有成分からなる群より選択される一種または二種以上の成分を含有するTNF−α産生抑制剤を提供する。本発明のTNF−α産生抑制剤は、既存のTNF−α阻害薬(抗体製剤)と比較して安価に提供することができ、さらに経口投与が可能である点で非常に有用である。
ジオウ(地黄)はゴマノハグサ科ジオウ属植物の根茎である。ジオウの含有成分としては、カタルポール等のイリドイド配糖体、マンニノトリオース、ラフィノース、スタキオース等の糖類、マンニトール等の糖アルコール、アルギニン等のアミノ酸、リン酸類などが挙げられる。
サンシュユ(山茱萸)は、ミズキ科サンシュユの種子を除いた果実を乾燥したものである。サンシュユの含有成分としては、モロニサイド、ロガニン、スウェロサイド等のイリドイド配糖体、没食子酸、リンゴ酸などが挙げられる。
サンヤク(山薬)は、ヤマノイモ科ヤマノイモの皮を薄く剥いて乾燥したものである。サンヤクの含有成分としては、デンプン、糖蛋白質、アミノ酸、コリン、アラントイン、ジアスターゼ、カタラーゼ、ムチンなどが挙げられる。
タクシャ(沢瀉)はオモダカ科サジオモダカの根茎を乾燥したものである。タクシャの含有成分としては、四環性トリテルペノイドのアリソールA、B、C、それらのアセチル化合物などが挙げられる。
ブクリョウ(茯苓)は、サルノコシカケ科のマツホド菌の菌核を乾燥し外皮を除いたものである。ブクリョウの含有成分としては、パキマン等の多糖類、パキマ酸、エブリコ酸、デハイドロエブリコ酸、ツムロース酸等の四環性トリテルペンカルボン酸、エルゴステロールなどが挙げられる。
ボタンピ(牡丹皮)は、ボタン科ボタンの根の皮を乾燥したものである。ボタンピの含有成分としては、ペオニフロリン、ペオノール、ペオノサイド、ペオノライド、安息香酸、ベンゾイルオキシペオニフロリン、カンペステロールなどが挙げられる。
ケイヒ(桂皮)は、クスノキ科、ニッケイの樹皮、または周皮の一部を除いたものである。ケイヒの含有成分としては、精油、ケイヒアルデヒド、ジテルペノイド、カテキン類、タンニンなどが挙げられる。
ブシ(附子)は、キンポウゲ科トリカブトの塊根を減毒加工したものである。ブシの含有成分としては、強毒性のブシジエステルアルカロイドとしてアコニチン、ジェサコニチン、ヒバコニチン、メサコニチン、低毒性のアチシン系としてアチシン、コブシン、イグナビン、ソンゴリン、強心成分としてハイゲナミン、コリネインなどが挙げられる。
ゴシツ(牛膝)は、ヒユ科ヒナタイノコズチまたはトウイノコズチの根である。ゴシツの含有成分としては、オレアノン酸、エクジソン、イノコステロンなどが挙げられる。
シャゼンシ(車前子)は、オオバコ科オオバコの種子である。シャゼンシの含有成分としてはイリドイド、粘液性多糖であるプランタサン、プランタゴームシラーゲA、フラバノン配糖体であるプランタゴシドなどが挙げられる。
本発明のTNF−α産生抑制剤は、サンシュユの含有成分、タクシャの含有成分、ブクリョウの含有成分、ボタンピの含有成分、ケイヒの含有成分、ブシの含有成分およびシャゼンシの含有成分からなる群より選択される一種または二種以上の成分を含有することが好ましく、ケイヒの含有成分およびブシの含有成分からなる群より選択される一種または二種以上の成分を含有することがより好ましい。
本発明のTNF−α産生抑制剤は、ジオウ、サンシュユ、サンヤク、タクシャ、ブクリョウ、ボタンピ、ケイヒ、ブシ、ゴシツおよびシャゼンシからなる群より選択される一種または二種以上の生薬を含有するものであってもよい。本発明のTNF−α産生抑制剤は、サンシュユ、タクシャ、ブクリョウ、ボタンピ、ケイヒ、ブシおよびシャゼンシからなる群より選択される一種または二種以上の生薬を含有することが好ましく、ケイヒおよび/またはブシを含有することがより好ましい。
生薬は生薬の粉砕物または生薬の抽出エキスであることが好ましい。生薬の抽出エキスは、例えば原料生薬を単独または混合し、生薬の合計質量に対して約5〜約25倍量の水を加えて、通常約80〜約100℃で約30分間〜約2時間加熱してエキスを煎出し、濾過等を行って固形成分を除去することにより製造することができる。得られた抽出エキスを、例えばスプレードライ、減圧濃縮乾燥、凍結乾燥等により乾燥し、乾燥エキス粉末としてもよい。
本発明のTNF−α産生抑制剤は、TNF−αが関与する疾患の予防、改善および/または治療の用途に非常に有用である。本発明のTNF−α産生抑制剤は、医薬、飲食品、サプリメント、食品添加物、飼料、飼料添加物等の形態で実施することができる。本発明の組成物に含有される生薬またはその含有成分は、漢方薬として広く使用されているので、ヒトや他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して、安全に長期間摂取させることができる。
TNF−αが関与する疾患とは、TNF−αの存在により発症または増悪し、TNF−αの抑制効果を介して予防、改善または治療される疾患を意味する。このような疾患としては、例えば炎症性疾患(網膜症、腎症、神経障害、大血管障害等の糖尿病性合併症、糖尿病性腎症;関節リウマチ、変形性関節炎、リウマチ様脊髄炎、骨膜炎等の関節炎;手術・外傷後の炎症;腫脹の緩解;咽頭炎;膀胱炎;肺炎;心筋炎;心筋症;アトピー性皮膚炎;クローン病、潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患;髄膜炎;炎症性眼疾患;肺炎、珪肺、肺サルコイドーシス、肺結核等の炎症性肺疾患等)、循環器系疾患(不整脈、狭心症、心筋梗塞、心不全、うっ血性心不全を含む慢性心不全、アテローム性を含む動脈硬化症、高血圧症、深部静脈血栓症、閉塞性末梢循環障害、虚血性脳循環障害、播種性血管内凝固症候群、レイノー病、バージャー病等)、門脈圧亢進症、肺高血圧症、アレルギー疾患(喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、消化管アレルギー、花粉症、アナフィラキシー等)、慢性閉塞性肺疾患、膠原病(全身性エリテマトーデス、強皮症、混合性結合組織病、多発動脈炎等)、クローン病、潰瘍性大腸炎、ベーチェット病、自己免疫性溶血性貧血、乾癬、肝臓疾患(慢性を含む肝炎、肝硬変等)、膵臓疾患(膵炎等)、神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、エイズ脳症等)、中枢神経障害(脳出血および脳梗塞等の脳血管障害およびその後遺症、頭部外傷、脊椎損傷、脳浮腫、痴呆症、記憶障害、意識障害、多発性硬化症等)、毒血症(敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性敗血症、トキシンショック症候群等)、更年期障害、妊娠中毒、肥満症、高脂血症、高コレステロール血症、耐糖能異常、固形腫瘍、腫瘍(悪性黒色腫、悪性リンパ腫、消化器(例、胃、腸など)癌等)、癌およびそれに伴う悪液質、内分泌疾患(アジソン病、クッシング症候群、褐色細胞種、原発性アルドステロン症等)、クロイツフェルト−ヤコブ病、ウイルス感染症(サイトメガルウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス等のウイルス感染症)、急性感染症、経皮的冠動脈形成術後の血管肥厚または閉塞、PTCA・ステント留置・バイパス手術後の血管再閉塞・再狭窄、インターベンション後の血管肥厚または閉塞、移植時の血管障害および拒絶反応の抑制、透析低血圧、緑内障、高眼圧症、重症筋無力症、慢性疲労症候群、骨疾患(例、骨折、再骨折、骨粗鬆症、骨軟化症、骨ペーチェット病、硬直性脊髄炎、関節リウマチ、乾癬、強直性脊椎炎、変形性膝関節炎およびそれらの類似疾患における関節組織の破壊等)、サルコペニアなどが挙げられる。本発明のTNF−α産生抑制剤は、炎症性疾患の予防、改善および/または治療に用いることが好ましく、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、強直性脊椎炎、またはベーチェット病の予防、改善および/または治療に用いることがより好ましい。
本発明は、上記本発明のTNF−α産生抑制剤を含有する医薬を提供する。本発明の医薬は、TNF−αが関与する疾患、なかでも炎症性疾患の予防および/または治療用の医薬として好適である。本発明の医薬は、上記本発明の組成物に、薬学的に許容される担体、さらに添加剤を適宜配合して製剤化することができる。具体的には錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤;注射剤、輸液、坐剤、軟膏、パッチ剤等の非経口剤とすることができる。担体または添加剤の配合割合については、医薬品分野において通常採用されている範囲に基づいて適宜設定すればよい。配合できる担体または添加剤は特に制限されないが、例えば、水、生理食塩水、その他の水性溶媒、水性または油性基剤等の各種担体;賦形剤、結合剤、pH調整剤、崩壊剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の各種添加剤が挙げられる。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は通常の製剤手順(例えば有効成分を注射用水、天然植物油等の溶媒に溶解または懸濁させる等)に従って調製することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。
本発明の医薬は、牛車腎気丸、桂枝加朮附湯、麻黄附子細辛湯または十全大補湯であることが好ましい。本発明の医薬の1日当たりの投与量は、市販の牛車腎気丸、桂枝加朮附湯、麻黄附子細辛湯または十全大補湯の1日当たりの投与量に準じて設定することが好ましい。
牛車腎気丸は、例えば通常質量比で、ジオウ(地黄)5.0、サンシュユ(山茱萸)3.0、サンヤク(山薬)3.0、タクシャ(沢瀉)3.0、ブクリョウ(茯苓)3.0、ボタンピ(牡丹皮)3.0、ケイヒ(桂皮)1.0、ブシ(附子)1.0、ゴシツ(牛膝)3.0、シャゼンシ(車前子)3.0からなる混合生薬から得られる濃縮エキスまたは乾燥エキス粉末が挙げられる。牛車腎気丸は、市販の漢方製剤(例えば、株式会社ツムラの「ツムラ牛車腎気丸エキス顆粒(医療用)」など)を好適に用いることができる。
桂枝加朮附湯は、例えば通常質量比で、ケイヒ(桂皮)4.0、シャクヤク(芍薬)4.0、ソウジュツ(蒼朮)4.0、タイソウ(大棗)4.0、カンゾウ(甘草)2.0、ショウキョウ(生姜)1.0、ブシ(附子)0.5からなる混合生薬から得られる濃縮エキスまたは乾燥エキス粉末が挙げられる。桂枝加朮附湯は、市販の漢方製剤(例えば、株式会社ツムラの「ツムラ桂枝加朮附湯エキス顆粒(医療用)」など)を好適に用いることができる。
麻黄附子細辛湯は、例えば通常質量比で、マオウ(麻黄)4.0、サイシン(細辛)3.0、ブシ(附子)1.0からなる混合生薬から得られる濃縮エキスまたは乾燥エキス粉末が挙げられる。麻黄附子細辛湯は、市販の漢方製剤(例えば、株式会社ツムラの「ツムラ麻黄附子細辛湯エキス顆粒(医療用)」など)を好適に用いることができる。
十全大補湯は、ケイヒ(桂皮)3.0、ジオウ(地黄)3.0、シャクヤク(芍薬)3.0、センキュウ(川きゅう)3.0、ソウジュツ(蒼朮)3.0、トウキ(当帰)3.0、ブクリョウ(茯苓)3.0、カンゾウ(甘草)1.5、オウギ(黄耆)3.0、ニンジン(人参)3.0からなる混合生薬から得られる濃縮エキスまたは乾燥エキス粉末が挙げられる。十全大補湯は、市販の漢方製剤(例えば、株式会社ツムラの「ツムラ十全大補湯エキス顆粒(医療用)」など)を好適に用いることができる。
本発明は、上記本発明のTNF−α産生抑制剤を含有する飲食品を提供する。本発明の飲食品は、TNF−αが関与する疾患、なかでも炎症性疾患の予防および/または改善用の飲食品として好適である。飲食品には、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、病者用食品等が含まれる。飲食品の形態は特に限定されない。例えば茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料、そば、うどん、中華麺、即席麺等の麺類、飴、キャンディー、ガム、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子およびパン類、かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品、加工乳、発酵乳等の乳製品、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂および油脂加工食品、ソース、たれ等の調味料、カレー、シチュー、丼、お粥、雑炊等のレトルトパウチ食品、アイスクリーム、シャーベット、かき氷等の冷菓などを挙げることができる。
本発明は、上記本発明のTNF−α産生抑制剤を含有するサプリメントを提供する。本発明のサプリメントは、TNF−αが関与する疾患、なかでも炎症性疾患の予防および/または改善用のサプリメントとして好適である。サプリメントは、例えば錠剤、顆粒剤、散剤、ドリンク剤等の形態で提供することができる。
さらに本発明は、上記本発明の組成物を含有する食品添加物、飼料、飼料添加物等としても好適に実施することができる。
本発明には、以下の各発明が含まれる。
哺乳動物に対してジオウの含有成分、サンシュユの含有成分、サンヤクの含有成分、タクシャの含有成分、ブクリョウの含有成分、ボタンピの含有成分、ケイヒの含有成分、ブシの含有成分、ゴシツの含有成分およびシャゼンシの含有成分からなる群より選択される一種または二種以上の成分の有効量を投与することを特徴とするTNF−αが関与する疾患の予防および/または治療方法。
哺乳動物に対してジオウ、サンシュユ、サンヤク、タクシャ、ブクリョウ、ボタンピ、ケイヒ、ブシ、ゴシツおよびシャゼンシからなる群より選択される一種または二種以上の生薬の有効量を投与することを特徴とするTNF−αが関与する疾患の予防および/または治療方法。
TNF−αが関与する疾患の予防および/または治療用医薬を製造するための、ジオウの含有成分、サンシュユの含有成分、サンヤクの含有成分、タクシャの含有成分、ブクリョウの含有成分、ボタンピの含有成分、ケイヒの含有成分、ブシの含有成分、ゴシツの含有成分およびシャゼンシの含有成分からなる群より選択される一種または二種以上の成分の使用。
TNF−αが関与する疾患の予防および/または治療用医薬を製造するための、ジオウ、サンシュユ、サンヤク、タクシャ、ブクリョウ、ボタンピ、ケイヒ、ブシ、ゴシツおよびシャゼンシからなる群より選択される一種または二種以上の生薬の使用。
TNF−αが関与する疾患の予防および/または治療に使用するための、ジオウの含有成分、サンシュユの含有成分、サンヤクの含有成分、タクシャの含有成分、ブクリョウの含有成分、ボタンピの含有成分、ケイヒの含有成分、ブシの含有成分、ゴシツの含有成分およびシャゼンシの含有成分からなる群より選択される一種または二種以上の成分。
TNF−αが関与する疾患の予防および/または治療に使用するための、ジオウ、サンシュユ、サンヤク、タクシャ、ブクリョウ、ボタンピ、ケイヒ、ブシ、ゴシツおよびシャゼンシからなる群より選択される一種または二種以上の生薬。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1:老化促進モデルマウスの骨格筋に対する牛車腎気丸の効果〕
(1)使用動物
老化促進モデルマウスであるSAMP8(7週齢、雄)および正常老化マウスであるSAMR(7週齢、雄)を日本エスエルシーから入手し、1週間の馴化後に試験に供した。動物は12時間明暗周期を持つ特定の病原体フリーの条件下で飼育した。
(2)実験方法
(2-1)飼育および投与
実験プロトコールと飼育条件は大阪大学動物実験委員会によって承認され、「実験動物の管理と使用のための国立衛生研究所・ガイド」に従って、実験を実施した。
SAMP8およびSAMRを、それぞれ普通食(MF、オリエンタル酵母工業株式会社)のみを与える群(普通食群、n=6)および普通食に4質量%の牛車腎気丸(ツムラ牛車腎気丸;株式会社ツムラ)を加えた混合食を与える群(牛車腎気丸群、n=6)の2群に分け、38週齢まで給餌を行った。給餌期間中2週間に1回、全てのマウスについて全身状態を観察した。13週齢〜14週齢時に1週間の食事摂取量を測定した。体重測定は、試験開始時(8週齢)および試験終了時(38週齢)に行った。
(2-2)サンプル採取
38週齢時にマウスを安楽死させ、下肢(大腿骨および脛骨を含む)を摘出した。大腿骨および脛骨を組織標本作製に供した。また、ヒラメ筋および大腿直筋を摘出し、直ちに液体窒素で凍結させ、その後−80℃で保存した。凍結保存したヒラメ筋および大腿直筋は、後日融解し、ホモジナイズしてウエスタンブロッティングに供した。
(2-3)組織標本
ヒラメ筋を観察するために、定法に従い脛骨の組織標本を作製してヘマトキシリン・エオジン染色を施した。
(2-4)筋線維面積測定
ヒラメ筋のヘマトキシリン・エオジン染色標本を用いて、1標本当たり300線維をランダムに選び、二次元画像解析ソフトWinROOF(三谷商事)を用いて筋線維面積を測定した。解析は、一元配置分散分析で行った。
(2-5)ウエスタンブロッティングによる筋肉中のTNF−α発現量の解析
凍結保存した筋肉を、RIPAバッファーにプロテアーゼ阻害薬のカクテル(ナカライテスク)を追加したものでホモジナイズした。4℃で14000回転×5分間遠心分離し、上清を採取した。BCAプロテインアッセイキット(Thermo Fisher Scientific Inc.)を使って、タンパク質の定量を行った。等量のたんぱく質を用い、95℃で5分間熱し、SDS−PAGEに供した。SDS−PAGEには、15%ポリアクリルアミドゲルを用いた。PVDF膜に転写後、抗TNF−α抗体(Cell Signaling Technology)を500倍に希釈し、4℃で16時間インキュベーションし、ホースラディッシュペルオキシダーゼ標識二次抗体(GE Healthcare Bio-Sciences Corp.)を用い、イムノスターゼータ(和光純薬)を用いて発色させ、RX−Uフィルム(フジフィルム)で撮影し、GT−X970で画像を取り込み、評価を行った。内部標準として、GAPDHの発現量を抗GAPDH抗体(GAPDH (14C10) Rabbit mAb #2118, Cell Signaling Technology)を用いて、同様に検出した。
(3)結果
(3-1)体重
8週齢時の各群の平均体重と38週齢時の各群の平均体重の変化を図1に示した。SAMRの体重増加量と比較してSAMP8の体重増加量は著しく低かった。しかし、38週齢時において、SAMRおよびSAMP8ともに、牛車腎気丸群の方が普通食群より平均体重が重い傾向が認められたが、牛車腎気丸群と普通食群との間に有意差はなかった。
(3-2)食事摂取量
1週間の食事摂取量を測定し、各群の1日1匹当たりの食事摂取量を算出した。結果を図2に示した。SAMRとSAMP8との間に食事摂取量の差は認められなかった。また、SAMRおよびSAMP8ともに、牛車腎気丸群の方が普通食群より食事摂取量が少ない傾向が認められたが、牛車腎気丸群と普通食群との間に有意差はなかった。
(3-3)ヒラメ筋のヘマトキシリン・エオジン染色像
ヒラメ筋のヘマトキシリン・エオジン染色像を図3に示した。上段のSAMR、下段SAMP8であり、左が普通食群、右が牛車腎気丸群である。左下のSAMP8普通食群のマウスのヒラメ筋は、上段のSAMRのヒラメ筋と比較して筋委縮の進行が認められた。一方、右下のSAMP8牛車腎気丸群のマウスのヒラメ筋は、筋委縮が明らかに改善していることが認められた。
(3-4)筋線維面積
各群のヒラメ筋の筋線維面積の測定結果を図4に示した。図中、*はP<0.0001で有意差があることを表す。図4から明らかなように、SAMP8普通食群は筋線維面積が顕著に減少していたが、SAMP8牛車腎気丸群は筋線維面積が普通食群より有意に大きく、SAMRと同等であることが示された。
炎症性サイトカインのTNF−αは、骨格筋に存在する各受容体を介してNFκBを活性化し、骨格筋の主要なタンパク分解系であるユビキチン・プロテオソーム系のユビキチンリガーゼを増加させることにより筋分解を促進させることが知られている(Petersen AM, Pedersen BK: The anti-inflammatory effect of exercise. J Appl Physiol 2005; 98: 1154―1162.)。そこで、各群のマウスの筋肉中のTNF−αの発現量をウエスタンブロッティングで解析した。結果を図5に示した。図5から明らかなように、SAMP8普通食群ではTNF−α発現量がSAMRより顕著に増加していたが、SAMP8牛車腎気丸群ではTNF−α発現量が抑制されていることが示された。これらの結果から、TNF−αの発現量を抑制することにより、サルコペニアを改善できることが明らかになった。
〔実施例2:疼痛モデルマウスに対する漢方薬の効果〕
(1)実験方法
(1-1)疼痛モデルマウスの作製
実験プロトコールと飼育条件は大阪大学動物実験委員会によって承認され、「実験動物の管理と使用のための国立衛生研究所・ガイド」に従って、実験を実施した。
中枢性感作をおこす代表モデルであるCCIモデル(chronic constriction injury model、坐骨神経結紮モデル)を作製して実験に用いた。CCIモデルマウスは、Bennettらの方法(Bennett GJ, et al: A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of pain sensation like those seen in man. Pain 33: 87-107, 1988.)に準じて作製した。具体的には、C57/BL(8週齢、雄)を購入し、1週間の馴化を行った。動物は12時間明暗周期を持つ特定の病原体フリーの条件下で飼育した。9週齢のマウスに、ミダゾラム、ブトルファノールおよびメデトミジンの混液を腹腔内投与し、全身麻酔下で左側坐骨神経を露出し、4−0クロミックガットを用いて3か所緩く結紮し、絞扼性神経痛モデルマウスを作製した。この疼痛モデルマウスは、術後3日頃から痛覚過敏が発生し、術後10〜14日で痛覚過敏の程度が最大となる。
(1-2)被験薬および実験スケジュール
牛車腎気丸、桂枝加朮附湯、麻黄附子細辛湯および十全大補湯(いずれも株式会社ツムラ製)を使用した。市販のマウス飼料(MF、オリエンタル酵母工業株式会社)に各漢方薬を2質量%添加した飼料を摂取させた(混餌投与)。コントロール群には、漢方薬を加えていない飼料を与えた。1群あたり4匹の疼痛モデルマウスを用いた。
CCIモデルマウス作製手術の当日から混餌投与を開始した。投与開始3週間後に鎮痛効果を評価した。鎮痛効果の評価は、以下の3種類の試験(フォンフライ試験、コールドプレート試験、ホットプレート試験)により行った。
(1-3)フォンフライ試験(Von Frey Test)
ワイヤーメッシュ床を有するプラスチックケージにマウスを入れ、約5分間自由に行動させこの環境に順応させた。機械的アロディニア(脊髄反射)の評価は、フォンフライフィラメント(Ugo Basile Biological Research Apparatus, Varese, Italy)を用いて測定した。ワイヤーメッシュ床を介してフォンフライフィラメントを操作し、フィラメントが曲がるまでマウス後肢の足底の中央部表面を刺激した。刺激開始からマウスが足をあげるまでの時間を測定した。測定結果について、一元配置分散分析法を用いて統計解析を行った。
(1-4)コールドプレート試験(Cold Plate Test)
コールド/ホットプレート鎮痛計(IITC)を用いて、冷的アロディニア(脊髄反射)の評価を行った。2℃に設定されたコールドプレート上に置き、後足をなめる、揺らす、またはプレートから飛び降りるまでの時間を測定した。
(1-5)ホットプレート試験(Hot Plate Test)
コールド/ホットプレート鎮痛計(IITC)を用いて、温刺激に対する上位中枢を介した痛覚過敏の評価を行った。54.5℃に設定されたホットプレート上に置き、後足をなめる、揺らす、またはプレートから飛び降りるまでの時間を測定した。
(2)結果
結果を表1に示した。牛車腎気丸群は3つの評価項目すべてにおいて、コントロール群に対して有意に痛覚過敏を抑制した。桂枝加朮附湯群、麻黄附子細辛湯群および十全大補湯群についても、1つまたは2つの評価項目において、コントロール群に対して有意に痛覚過敏を抑制した。この結果から、これらの漢方薬は鎮痛効果を有することが明らかになった。
〔実施例3:疼痛モデルマウスに対する牛車腎気丸の効果〕
実施例2で最も有効であった牛車腎気丸について、用量依存性の検討を行った。
(1)実験方法
(1-1)疼痛モデルマウスの作製
実施例2と同じ方法でCCIモデルマウスを作製した。
(1-2)実験スケジュール
CCIモデルマウス作製手術の当日から、牛車腎気丸(株式会社ツムラ)の混餌投与を開始した。普通食(MF、オリエンタル酵母工業株式会社)のみ与える群(牛車腎気丸0質量%、コントロール群、n=4)、牛車腎気丸を0.5、1、2または4質量%を加えた混合食をそれぞれ与える群の合計5群(各n=4)を設けた。鎮痛効果の評価は、実施例2と同じ3種類の試験(フォンフライ試験、コールドプレート試験、ホットプレート試験)により行った。手術当日の混餌投与開始前、投与開始1週間後、2週間後および3週間後に鎮痛効果を評価した。各評価日における測定結果について、一元配置分散分析法を用いて統計解析を行った。
(2)結果
(2-1)フォンフライ試験
結果を図6に示した。縦軸は秒(s)を表す。牛車腎気丸2%群は1,2および3週間後において、牛車腎気丸4%群は2および3週間後において、コントロール群に対して有意に鎮痛効果を示した。この結果から、牛車腎気丸の用量依存的な鎮痛効果が示された。
(2-2)コールドプレート試験
結果を図7に示した。縦軸は秒(s)を表す。牛車腎気丸1%群は1週間後において、牛車腎気丸2%群は1および3週間後において、牛車腎気丸4%群は2および3週間後において、コントロール群に対して有意に鎮痛効果を示した。この結果から、牛車腎気丸の用量依存的な鎮痛効果が示された。
(2-3)ホットプレート試験
結果を図8に示した。縦軸は秒(s)を表す。牛車腎気丸2%群および4%群は2および3週間後において、コントロール群に対して有意に鎮痛効果を示した。この結果から、牛車腎気丸の用量依存的な鎮痛効果が示された。
〔実施例4:牛車腎気丸投与疼痛モデルマウスの脊髄中TNF−α量の解析〕
(1)実験方法
(1-1)疼痛モデルマウスの作製
実施例2と同じ方法でCCIモデルマウスを作製した。Shamマウスには坐骨神経の露出操作のみを同様に施した。
(1-2)実験スケジュール
CCIモデルマウスおよびShamマウスを、それぞれ普通食(MF、オリエンタル酵母工業株式会社)のみを与える群(普通食群)および普通食に4質量%の牛車腎気丸(株式会社ツムラ)を加えた混合食を与える群(牛車腎気丸群)の2群に分け、合計4群(CCI/普通食群、CCI/牛車腎気丸群、Sham/普通食群、Sham/牛車腎気丸群)を設けた。手術の当日から混餌投与を開始した。投与開始1日後および3日後に各群3匹のマウスを安楽死させ、脊髄椎弓切除術によりL2−6脊髄領域を採取した。
(1-3)ウエスタンブロッティングによる脊髄中のTNF−α発現量の解析
採取した脊髄を試料として実施例1と同じ方法で、ホモジナイズ、タンパク質定量、SDS−PAGEおよびウエスタンブロッティングを行い、脊髄中のTNF−α発現量を解析した。
(2)結果
結果を図9(A)〜(D)に示した。(A)はSham/普通食群、(B)はCCI/普通食群、(C)はSham/牛車腎気丸群、(D)はCCI/牛車腎気丸群の結果である。CCI/普通食群では脊髄中のTNF−α発現量が顕著に増加していたが、CCI/牛車腎気丸群では、脊髄中のTNF−α発現量がSham/普通食群またはSham/牛車腎気丸群と同レベルに抑制されていた。Sham群は、牛車腎気丸の摂取によるTNF−α発現量の変化は認められなかった。この結果から、牛車腎気丸は、脊髄中のTNF−α発現量を抑制することにより、CCIモデルマウスの疼痛を改善できることが示唆された。
〔実施例5:疼痛モデルマウスに対するTNF―α髄腔内投与が疼痛に及ぼす影響〕
(1)実験方法
(1-1)疼痛モデルマウスの作製
実施例2と同じ方法でCCIモデルマウスを作製した。
(1-2)実験スケジュール
手術の1日後にTNF−αをマウスの髄腔内に投与した。25μLハミルトンシリンジに31ゲージの注射針を接続し、針先を髄腔内に挿入し、液量4μLを投与した。TNF−αの投与量は1,10および30pgとし、投与液量が4μLになるようにPBSでTNF−α溶液を調製した。コントロールには、PBSのみ4μL投与した(TNF−α:0pg)。1群の匹数は4匹とした。TNF−α投与前、TNF−α投与1週間後および2週間後にコールドプレート試験を実施し、痛覚過敏を評価した。
(2)結果
結果を図10に示した。図10から明らかなように、TNF−αを疼痛モデルマウスの髄腔内に投与することにより、疼痛モデルマウスの痛覚過敏は用量依存的に亢進することが示された。したがって、牛車腎気丸のCCIモデルマウスに対する鎮痛効果は、脊髄中のTNF−α発現量を抑制することにより奏されることが明らかになった。
〔実施例6:TNF−αを髄腔内投与した疼痛モデルマウスに対する牛車腎気丸の効果〕
(1)実験方法
(1-1)疼痛モデルマウスの作製
実施例2と同じ方法でCCIモデルマウスを作製した。
(1-2)実験スケジュール
手術の1日後に10pgのTNF−αを、実施例5と同じ方法でマウスの髄腔内に投与した。別途、PBSのみを髄腔内に投与したマウスを準備した。TNF−α投与マウスおよびPBS投与マウスを、それぞれ普通食(MF、オリエンタル酵母工業株式会社)のみを与える群(普通食群)および普通食に4質量%の牛車腎気丸(株式会社ツムラ)を加えた混合食を与える群(牛車腎気丸群)の2群に分け、合計4群(TNF−α/普通食群、TNF−α/牛車腎気丸群、PBS/普通食群、PBS/牛車腎気丸群)を設けた。1群の匹数は4匹とした。TNF−α投与前、TNF−α投与1週間後および2週間後にコールドプレート試験を実施し、痛覚過敏を評価した。
(2)結果
結果を図11に示した。図11から明らかなように、TNF−αを髄腔内投与していないCCIモデルマウスに牛車腎気丸を投与すると顕著に痛覚過敏が改善したが、TNF−αを髄腔内投与したCCIモデルマウスに牛車腎気丸を投与しても痛覚過敏は改善しなかった。したがって、牛車腎気丸のCCIモデルマウスに対する鎮痛効果は、脊髄中のTNF−α発現量を抑制することにより奏されることが明らかになった。
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

Claims (9)

  1. ジオウの含有成分、サンシュユの含有成分、サンヤクの含有成分、タクシャの含有成分、ブクリョウの含有成分、ボタンピの含有成分、ケイヒの含有成分、ブシの含有成分、ゴシツの含有成分およびシャゼンシの含有成分からなる群より選択される一種または二種以上の成分を含有することを特徴とするTNF−α産生抑制剤。
  2. サンシュユの含有成分、タクシャの含有成分、ブクリョウの含有成分、ボタンピの含有成分、ケイヒの含有成分、ブシの含有成分およびシャゼンシの含有成分からなる群より選択される一種または二種以上の成分を含有することを特徴とする請求項1に記載のTNF−α産生抑制剤。
  3. ジオウ、サンシュユ、サンヤク、タクシャ、ブクリョウ、ボタンピ、ケイヒ、ブシ、ゴシツおよびシャゼンシからなる群より選択される一種または二種以上の生薬を含有することを特徴とする請求項1に記載のTNF−α産生抑制剤。
  4. サンシュユ、タクシャ、ブクリョウ、ボタンピ、ケイヒ、ブシおよびシャゼンシからなる群より選択される一種または二種以上の生薬を含有することを特徴とする請求項3に記載のTNF−α産生抑制剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のTNF−α産生抑制剤を含有する医薬。
  6. TNF−αが関与する疾患の予防および/または治療用である請求項5に記載の医薬。
  7. 牛車腎気丸、桂枝加朮附湯、麻黄附子細辛湯または十全大補湯である請求項5または6に記載の医薬。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載のTNF−α産生抑制剤を含有する飲食品。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載のTNF−α産生抑制剤を含有するサプリメント。
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