JP2015216167A - 有機led素子及び光源装置 - Google Patents

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譲 島崎
Yuzuru Shimazaki
譲 島崎
広貴 佐久間
Hirotaka Sakuma
広貴 佐久間
正樹 松森
Masaki Matsumori
正樹 松森
荒谷 介和
Sukekazu Aratani
介和 荒谷
金子 浩規
Hironori Kaneko
浩規 金子
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Abstract

【課題】発光寿命が長く、発光効率の高い有機LED素子を提供する。【解決手段】陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に設けられた有機薄膜層とを有し、前記有機薄膜層が、燐光発光を示すドーパント材料とホスト材料とを含有する発光層と、前記発光層よりも前記陽極側に設けられた正孔輸送層と、前記発光層と前記正孔輸送層との間に設けられる、前記正孔輸送層よりも三重項エネルギー準位が高く、かつ、膜厚が1nm以上5nm未満であるエネルギー障壁層とを有する、有機LED素子を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、有機LED素子と、有機LED素子を用いた光源装置に関する。
有機LED素子は、ディスプレイや照明の光源として利用されている。現在、有機LED素子の発光効率と発光寿命の向上をめざして、研究開発が進められている。有機LED素子は、一般的に、陽極層、有機薄膜層、陰極層を有する層状構造を有し、有機薄膜層は、陽極側から順に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層を有する層状構造を有する。有機LED素子の発光効率は、励起子の発光効率と形成効率に依存する。励起子の発光効率を大きくするためには、励起子の無輻射失活を抑制する必要がある。燐光を用いた有機LED素子では、一般的に、発光層のホスト材料の三重項エネルギー(T1)準位をドーパントのT1準位よりも十分に高くすることで、ドーパント上で形成した励起子の無輻射失活を抑制することができる。
しかし、発光層に隣接する正孔輸送層のT1準位が発光層のドーパントのT1準位より低い場合、発光層中のドーパント上に形成した励起子が正孔輸送層に移動し、無輻射失活して、有機LEDの発光効率が低下する問題がある。また、ドーパントから正孔輸送層への励起子の移動によって、正孔輸送層中で励起子が無輻射失活することで、正孔輸送層が劣化し、有機LEDの発光寿命が短くなる問題も同時に生じる。これらの問題に対し、特許文献1では、発光層と正孔輸送層の間に、正孔輸送層よりT1準位が高い第二正孔輸送層を形成して、ドーパントから正孔輸送層への励起子の移動を抑制している。
特開2004−139819号公報
しかし、引用文献1に記載の技術の場合、第二正孔輸送層は高い正孔輸送性を有する必要があり、高い正孔輸送性と高いT1準位を両立する材料の選択幅は小さい。従って、ドーパントから正孔輸送層への励起子の移動を抑制することができる新しい技術が必要とされている。
そこで、発明者らは、上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本明細書は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、「陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に設けられた有機薄膜層とを有し、前記有機薄膜層が、燐光発光を示すドーパント材料とホスト材料とを含有する発光層と、前記発光層よりも前記陽極側に設けられた正孔輸送層と、前記発光層と前記正孔輸送層との間に設けられる、前記正孔輸送層よりも三重項エネルギー準位が高く、かつ、膜厚が1nm以上5nm未満であるエネルギー障壁層とを有する、有機LED素子」を提供する。また、一例として、「前記有機LED素子を有する光源装置」を提供する。
本発明により、有機LED素子の発光の高効率化と長寿命化が可能となる。その結果、当該有機LED素子を有する光源装置についても発光の高効率化と長寿命化をを可能にできる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
本発明における有機LED素子の一実施形態における断面構造を模式的に示す図。 実施例1〜8に係る有機LED素子の断面構造を模式的に示す図。 実施例と比較例で用いる正孔輸送層の材料の化学構造式を示す図。 実施例と比較例で用いるエネルギー障壁層の材料の化学構造式を示す図。 実施例と比較例で用いる発光層の材料の化学構造式を示す図。 比較例1及び2の有機LED素子の断面構造を模式的に示す図。 比較例3の有機LED素子の断面構造を模式的に示す図。 比較例4の有機LED素子の断面構造を模式的に示す図。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の実施の形態は、後述する形態例に限定されるものではなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。
図1に、本発明に係る有機LED素子の断面構造を示す。実施形態に係る有機LED素子は、陽極2と、陰極3と、陽極2と陰極3との間に設けられた有機薄膜層4とから構成される。陽極2に用いる材料は、透明性と高い仕事関数を有する材料であれば特に制限はない。陽極2の用いる材料には、例えばITO、IZOなどの導電性酸化物、薄いAgなどの仕事関数の大きい金属が挙げられる。陽極2の膜厚は、5nmから2000nmの範囲で選択することが可能である。一般に、電極2は、ガラス等の基板1上にホトリソグラフィー技術などを用いてパターン形成される。
陰極3は、有機薄膜層4に電子を注入する役割と共に、有機薄膜層4から発光した光を反射する反射電極の役割を果たす。陰極3に用いる材料には、例えばLiFとAlの積層体、MgAg合金などが用いられる。もっとも、陰極3に用いる材料は、これらの材料に限定されるものではなく、例えばLiFの代わりに、Cs化合物、Ba化合物、Ca化合物などを用いることができる。陰極3の膜厚は、5nmから2000nmの範囲で選択することが可能である。陰極3の形成には、例えば蒸着法が使用される。
有機薄膜層4は、陽極2と陰極3の間に形成される。有機薄膜層4は、陽極2の側から陰極3の側へ順番に、正孔注入層41、正孔輸送層42、エネルギー障壁層43、発光層44、電子輸送層45、電子注入層46を積層した多層膜である。正孔注入層41は、正孔輸送層42に正孔を注入できる層であれば特に制限はない。正孔注入層41を構成する材料の例として、PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)):PSS(ポリスチレンスルホネート)、ポリピロール系の高分子材料、トリフェニルアミン系の高分子材料等が挙げられる。また、低分子材料と組み合わせて用いることも可能であり、フタロシアニン類化合物やスターバーストアミン系化合物も適用可能である。正孔注入層41の膜厚は、5nmから1000nmの範囲で選択することが可能である。
正孔輸送層42は、正孔注入層41から注入された正孔を、エネルギー障壁層43を経由して発光層44に輸送できる層であれば特に制限はない。正孔輸送層42の材料には、例えばスターバーストアミン系化合物、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体、チオフェン誘導体等を用いることができる。正孔輸送層42の膜厚は、5nmから1000nmの範囲で選択することが可能である。
エネルギー障壁層43は、発光層44で形成された励起子が正孔輸送層42に移動することを抑制する機能を有する。エネルギー障壁層43のT1準位は、正孔輸送層42と発光層44のいずれに対しても高いことが望ましい。また、エネルギー障壁層43の膜厚は、1nm以上、5nm未満であることが望ましい。エネルギー障壁層43の膜厚が1nmより小さい場合、エネルギー障壁層43が、正孔輸送層42と発光層44を十分に隔離できず、発光層から正孔輸送層42に励起子の移動が生じるため好ましくない。また、エネルギー障壁層43の膜厚が5nm以上の場合、正孔移動が起こり難くなり、有機LED素子の発光効率が低下するため好ましくない。エネルギー障壁層43の材料には、例えばカルバゾール誘導体、フルオレン誘導体、アリールシラン系材料、燐酸系材料等が挙げられる。なお、前記のエネルギー障壁層43の材料は、正孔輸送層42のHOMO準位より0.9eV以上大きい材料を選択することが可能である。
発光層44は、燐光発光を示すドーパント材料(以下「ドーパント材料」と省略する。)とホスト材料とを有する。ドーパント材料は、正孔輸送層42からエネルギー障壁層43を経由して輸送される正孔と電子輸送層45から輸送される電子とを用いて三重項励起子を形成し、燐光を発しながら輻射遷移する分子であれば特に制限はない。ドーパント材料の例として、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体などが挙げられる。また、ホスト材料は、ドーパント材料まで正孔と電子を輸送する機能を有する分子である。ホスト材料のT1準位は、ドーパント材料に比べて高いことが望ましい。ホスト材料のT1準位がドーパント材料に比べて低い場合、ドーパント材料上に形成した励起子がホスト材料に移動し、無輻射失活するため好ましくない。ホスト材料の例として、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体、アリールシラン系材料、燐酸系材料等が挙げられる。また、複数種類のドーパント材料と複数種類のホスト材料を用いて、発光層を形成することも可能である。発光層の膜厚は、5nmから1000nmの範囲で選択することが可能である。
電子輸送層45は、発光層44に電子を供給する層であれば特に制限はない。電子輸送層45の材料には、例えばビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム(以下「BAlq」と省略する。)、トリス(8−キノリノラト)(以下「Alq3」と省略する。)アルミニウム、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フラーレン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体などが挙げられる。また、これらの材料を2種類以上併用しても差し支えない。電子輸送層45の膜厚は、5nmから1000nmの範囲で選択することが可能である。
電子注入層46は、陰極3から電子輸送層45への電子注入効率を向上させる層であれば特に制限はない。電子注入層46の材料には、例えばフッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。また、これらの材料を2種類以上併用しても差し支えない。電子注入層46の膜厚は、0.5nmから1000nmの範囲で選択することが可能である。
有機薄膜層4の形成方法には、例えば真空蒸着法や塗布法が挙げられる。また、必要に応じて、これらの方法を併用して有機薄膜層4を形成しても差し支えない。
以下では、実施例と比較例の具体的な構造について説明すると共に、実施例に係る有機LED素子によって実現される技術的効果を比較例に係る有機LED素子との対比しつつ説明する。もっとも、本発明は、後述する実施例に係る有機LED素子の構造に限られるものでない。
[実施例1]
図2に、実施例1に係る有機LED素子の構造例を示す。図2には、図1との対応部分に同一符号を付して表している。本実施例の場合、ガラス基板(基板1)上に蒸着法で50nmのITO薄膜を製膜し、これを陽極2とした。その後、製膜されたITO薄膜上にスピンキャスト法で、膜厚が20nmのPEDOT:PSS薄膜を作製し、これを正孔注入層41とした。その後、蒸着法により、膜厚が20nmのNPB(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル)薄膜を製膜し、これを正孔輸送層42とした。NPBの化学構造式を図3に示す。その後、蒸着法により、膜厚が1.0nmのmTSB(m−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン)薄膜を製膜し、これをエネルギー障壁層43とした。mTSBの化学構造式を図4に示す。その後、ドーパント材料である(tfmppy)2Ir(pic)とホスト材料である26DCzPPyが1:5で混合された、膜厚が30nmの発光層44を、蒸着法により製膜した。(tfmppy)2Ir(pic)と26DCzPPyの化学構造式を図5に示す。その後、膜厚がそれぞれ20nmのBAlq層とAlq3層を製膜し、電子輸送層45とした。その後、蒸着法により、膜厚が1nmのフッ化リチウム層を蒸着し、電子注入層46とした。その後、蒸着法により膜厚が500nmのAl層を蒸着し、これを陰極3とした。
[実施例2]
実施例2に係る有機LED素子として、図2に示す構造の素子を作製した。ただし、本実施例では、エネルギー障壁層43を、その膜厚が3.0nmとなるように、mTSB薄膜を蒸着法で形成した。その他の作製条件は、実施例1と同じである。
[実施例3]
実施例3に係る有機LED素子として、図2に示す構造の素子を作製した。ただし、本実施例では、エネルギー障壁層43を、その膜厚が4.9nmとなるように、mTSB薄膜を蒸着法で形成した。その他の作製条件は、実施例1と同じである。
[実施例4]
実施例4に係る有機LED素子として、図2に示す構造の素子を作製した。ただし、本実施例では、正孔輸送層42として、膜厚が20nmの3BTPD(2,2’−ビス(3−ジトリルアミノフェニル)−1,1’−ビフェニル)を蒸着法で形成した。3BTPDの化学構造式を図3に示す。また、本実施例では、エネルギー障壁層43を、その膜厚が3nmとなるように、mTSB薄膜を蒸着法で形成している。その他の作製条件は、実施例1と同じである。
[実施例5]
実施例5に係る有機LED素子として、図2に示す構造の素子を作製した。本実施例では、エネルギー障壁層43として、膜厚が3.0nmのpTSB(p−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン)薄膜を蒸着法で形成した。pTSBの化学構造式を図4に示す。その他の作製条件は、実施例1と同じである。
[実施例6]
実施例6に係る有機LED素子として、図2に示す構造の素子を作製した。本実施例の場合も、エネルギー障壁層43として、膜厚が3.0nmのpTSB薄膜を蒸着法で形成した。ただし、本実施例では、正孔輸送層42として、膜厚が20nmの3BTPD薄膜を蒸着法で形成した。その他の作製条件は、実施例1と同じである。
[実施例7]
実施例7に係る有機LED素子として、図2に示す構造の素子を作製した。本実施例では、エネルギー障壁層43として、膜厚が3.0nmのSP1薄膜を蒸着法で形成した。その他の作製条件は、実施例1と同じである。
実施例8に係る有機LED素子として、図2に示す構造の素子を作製した。本実施例でも、エネルギー障壁層43として、膜厚が3.0nmのSP1薄膜を蒸着法で形成した。また、正孔輸送層42として、膜厚が20nmの3BTPD薄膜を蒸着法で形成した。その他の作製条件は、実施例1と同じである。
[比較例1]
比較例1に係る有機LED素子として、図6に示す構造の素子を作製した。この比較例では、前述の実施例1〜8とは異なり、エネルギー障壁層43を形成していない。その他の作製条件は、実施例1と同じである。すなわち、正孔輸送層42として、膜厚が20nmのNPB薄膜を蒸着法で形成した。
[比較例2]
比較例2に係る有機LED素子として、図6に示す構造の素子を作製した。この比較例も、前述の実施例1〜8とは異なり、エネルギー障壁層43を形成しなかった。なお、正孔輸送層42については、比較例1と異なり、膜厚が20nmの3BTPD薄膜を蒸着法で形成した。その他の作製条件は、実施例1と同じである。
[比較例3]
比較例3に係る有機LED素子として、図7に示す構造の素子を作製した。この比較例では、前述の比較例1及び2と異なり、エネルギー障壁層43を形成した。この比較例の場合、エネルギー障壁膜43として、膜厚が5.5nmのmTSB薄膜を蒸着法で形成した。その他の作成条件は、実施例1と同じである。よって、この比較例と実施例1との違いは、エネルギー障壁膜43の膜厚のみである。なお、比較例3における膜厚は、前述した実施例1〜8のいずれの有機LED素子よりも厚い。
[比較例4]
比較例4に係る有機LED素子として、図8に示す構造の素子を作製した。この比較例も、前述の比較例3と同様、エネルギー障壁層43を形成した。ただし、この比較例の場合、エネルギー障壁膜43として、膜厚が3nmのDCz薄膜を蒸着法で形成した。DCzの化学構造式を図4に示す。また、この比較例では、正孔輸送層42を、膜厚が20nmの3BTPD薄膜を蒸着法で形成した。その他の作製条件は、実施例1と同じである。このため、この比較例4は、エネルギー障壁層43の膜厚、正孔輸送層42の膜厚及び材料の点で実施例4と類似する。比較例4と実施例4の違いは、エネルギー障壁層43の材料である。
[実施例と比較例の対比]
続いて、前述した各実施例に係る有機LED素子と比較例に係る有機LED素子の構造の違いによる発光効率や発光寿命の違いを説明する。なお、発明者らは、当該説明に関連して、各有機LED素子を構成する正孔輸送層42とエネルギー障壁層43のそれぞれについて、T1準位、HOMO準位、LUMO準位を評価した。T1準位は、各材料の薄膜の燐光スペクトルの長波長側の波長端の波長から求めた。HOMO準位は、光電子分光法を用いて評価した。また、各材料の薄膜の蛍光スペクトルからLUMO準位とHOMO準位の差を評価し、得られた値とHOMO準位の値からLUMO準位を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2015216167
また、上記と同様の手法により、実施例に係る有機LED素子と比較例に係る有機LED素子を構成する発光層44のホスト材料である26DCzPPyについて、T1準位、HOMO準位、LUMO準位を評価した。その結果、T1準位が2.7eV、HOMO準位が6.1eV、LUMO準位が2.6eVであることが分かった。
さらに、上記と同様の手法により、実施例に係る有機LED素子と比較例に係る有機LED素子を構成する発光層44のドーパント材料である(tfmppy)2Ir(pic)についてのT1準位を評価した。その結果、T1準位は2.6eVであった。
次に、実施例に係る有機LED素子と比較例に係る有機LED素子のそれぞれについて、発光効率を測定した。まず、有機LED素子に印加する電圧を0Vから10Vまで掃引し、有機LED素子に流れた電流量と有機LED素子の全発光量を測定して評価した。その後、各電圧における素子発光の電力効率を求めた。前述の表1では、各素子構造に対応する測定結果が示している。なお、表1では、発光効率と発光寿命を、いずれも比較例1の発光効率と発光寿命に対する相対値で表した。
まず、正孔輸送層42の組成に着目し、実施例2と比較例1を比較し、実施例4と比較例2を比較し、実施例5と比較例1を比較し、実施例6と比較例2を比較し、実施例7と比較例1を比較し、実施例8と比較例2を比較した。表1から分かるように、正孔輸送層42のT1準位よりも高いT1準位を有するエネルギー障壁層43を正孔輸送層42と発光層44の間に配置すると、エネルギー障壁層43を有しない有機LED素子に比して発光効率が向上することが分かる。その理由として、エネルギー障壁層43の存在により、発光層44中のドーパント材料から正孔輸送層42への励起子の移動が低減したことが考えられる。
次に、エネルギー障壁層43を有する有機LED素子である比較例3との比較により、最適なエネルギー障壁層43の膜厚について検討する。比較例3に係る有機LED素子の構造は、エネルギー障壁層43の膜厚を除き、実施例1、実施例2、実施例3に係る有機LED素子と同じである。因みに、実施例1、実施例2、実施例3に係る有機LED素子を構成するエネルギー障壁層43の膜厚は、1nm以上5nm未満である。一方、比較例に係る有機LED素子を構成するエネルギー障壁層43の膜厚は、5.5nmである。表1から分かるように、実施例1、実施例2、実施例3に係る有機LED素子の発光効率は、いずれも比較例3に係る有機LED素子の発光効率(0.9)よりも大きくなっている。なお、比較例3に係る有機LED素子の発光効率は、エネルギー障壁層43を有しない比較例1に係る有機LED素子の発光効率(1.0)よりも小さかった。この原因には、エネルギー障壁層43の膜厚が5nm以上になることにより、正孔移動が起こり難くなったことが考えられる。
続いて、エネルギー障壁層43を有する有機LED素子である比較例4との比較により、エネルギー障壁層43の材料のHOMO準位と正孔輸送層42の材料のHOMO準位との間の最適条件を検討する。比較例4に係る有機LED素子のエネルギー障壁層43の膜厚は、前述の実施例4、6及び8に係る有機LED素子の場合と同じ3nmである。しかし、比較例4に係る有機LED素子の発光効率は、比較例3と同様、比較例1に係る有機LED素子に比べても小さくなっている。この原因として、比較例4に係る有機LED素子の場合、エネルギー障壁層43の材料であるDCzのHOMO準位が、正孔輸送層42の材料である3BTPDのHOMO準位より0.5eVしか大きくないことが影響していると考えられる。すなわち、エネルギー障壁層43を配置する場合には、その膜厚が1nm以上5nm未満であるだけでは足りず、エネルギー障壁層43の材料のHOMO準位が、正孔輸送層42の材料のHOMO準位より0.9eV以上大きいことが必要であることが分かる。
次に、実施例に係る有機LED素子と比較例に係る有機LED素子のそれぞれについて、発光寿命を測定した。発光寿命は、各素子に対して、初期輝度が1000cd/mとなるように電流を流し、電流量一定で輝度が半減するまでの時間を測定して評価した。前述の表1には、各素子構造に対応する測定結果が示している。
まず、正孔輸送層42の組成に着目し、実施例2と比較例1を比較し、実施例4と比較例2を比較し、実施例5と比較例1を比較し、実施例6と比較例2を比較し、実施例7と比較例1を比較し、実施例8と比較例2を比較した。表1から分かるように、正孔輸送層42のT1準位よりも高いT1準位を有するエネルギー障壁層43を正孔輸送層42と発光層44の間に配置すると、エネルギー障壁層43を有しない有機LED素子に比して長寿命化することが分かる。この理由として、エネルギー障壁層43の存在により、発光層44中のドーパント材料から正孔輸送層42への励起子の移動が低減したことが考えられる。
なお、正孔輸送層42のT1準位よりも高いT1準位を有するエネルギー障壁層43を正孔輸送層42と発光層44の間に配置した比較例3と比較例4の場合、比較例3に係る有機LED素子は比較例1に係る有機LED素子よりも長寿命化したが、比較例4に係る有機LED素子は比較例1に係る有機LED素子よりも寿命が短くなった。このことから、エネルギー障壁層43の配置は長寿命化に有利である一方、エネルギー障壁層43の材料のHOMO準位が正孔輸送層42の材料のHOMO準位よりも0.9eV未満であると寿命が短くなることが分かった。
[まとめ]
以上のように、発光層44と正孔輸送層42との間に、正孔輸送層42よりも三重項エネルギー準位(T1)が高く、かつ、膜厚が1nm以上5nm未満であるエネルギー障壁層43を配置した構造を有する有機LED素子を製造することにより、従来素子に比して発光効率が高く、かつ、発光寿命の長い有機LED素子を実用化することができる。なお、エネルギー障壁層43のHOMO準位は、正孔輸送層42のHOMO準位よりも0.9eV以上大きくすることが望ましい。
[光源装置]
前述の各実施例では、専ら、単一の有機LED素子の構造について説明したが、各実施例に係る1つ又は複数の有機LED素子を基板上に配置することにより光源装置を実現することができる。1つの有機LED素子を基板上に配置した光源装置の構造は図1と同じである。なお、本明細書では、「光源装置」をいわゆる照明機器の光源のみならず、ディスプレイの光源の意味でも使用する。ここで、ディスプレイの光源は、バックライト光源、画素又はサブ画素としての光源の意味を含む。いずれの意味においても、前述の実施例に係る構造の有機LED素子によって光源装置を構成することにより、発光効率が高く、発光寿命の長い光源装置を実現することができる。
1…基板
2…陽極
3…陰極
4…有機薄膜層
41…正孔注入層
42…正孔輸送層
43…エネルギー障壁層
44…発光層
45…電子輸送層
46…電子注入層

Claims (9)

  1. 陽極と、
    陰極と、
    前記陽極と前記陰極との間に設けられる有機薄膜層とを有し、
    前記有機薄膜層が、
    燐光発光を示すドーパント材料とホスト材料とを含有する発光層と、
    前記発光層よりも前記陽極側に設けられる正孔輸送層と
    前記発光層と前記正孔輸送層との間に設けられる、前記発光層及び前記正孔輸送層よりも三重項エネルギー準位が高く、かつ、膜厚が1nm以上5nm未満であるエネルギー障壁層と
    を更に有する有機LED素子。
  2. 請求項1に記載の有機LED素子において、
    前記エネルギー障壁層のHOMO準位の絶対値が、正孔輸送層のHOMO準位より0.9eV以上大きい
    ことを特徴とする有機LED素子。
  3. 請求項2に記載の有機LED素子において、
    前記エネルギー障壁層の材料がmTSBであり、前記正孔輸送層の材料がNPBである
    ことを特徴とする有機LED素子。
  4. 請求項2に記載の有機LED素子において、
    前記エネルギー障壁層の材料がmTSBであり、前記正孔輸送層の材料が3BTPDである
    ことを特徴とする有機LED素子。
  5. 請求項2に記載の有機LED素子において、
    前記エネルギー障壁層の材料がpTSBであり、前記正孔輸送層の材料がNPBである
    ことを特徴とする有機LED素子。
  6. 請求項2に記載の有機LED素子において、
    前記エネルギー障壁層の材料がpTSBであり、前記正孔輸送層の材料が3BTPDである
    ことを特徴とする有機LED素子。
  7. 請求項2に記載の有機LED素子において、
    前記エネルギー障壁層の材料がSP1であり、前記正孔輸送層の材料がNPBである
    ことを特徴とする有機LED素子。
  8. 請求項2に記載の有機LED素子において、
    前記エネルギー障壁層の材料がSP1であり、前記正孔輸送層の材料が3BTPDである
    ことを特徴とする有機LED素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機LED素子を備える光源装置。
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