JP2015215080A - 炭酸ガス発生装置 - Google Patents
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Abstract
Description
熱源にヒーターを用いる強制加熱方式は、一般に、一時に大量のガスを発生させる必要がある大規模プラントや、外気を熱源としにくい寒冷地で採用されている。例えば前者は深冷分離プラントであり、後者は北海道・東北地方である。
熱源に外気を用いる空気加熱方式は、中小規模の設備で採用される。例えば産業ガスの充填所やガスユーザに設置された設備などである。
低温容器に充填された液化炭酸ガスの圧力を、一般的に用いられる1.8MPaとすると、その液温は−21℃程度である。
ここで熱交換能力は一般に次式で表すことができる。
熱交換能力=単位面積・単位温度差あたりの熱交換率×面積×温度差
このため、外気温と液化ガスの温度の温度差が小さくなると、同等の熱交換能力を得るための面積は、温度差に反比例して大きくする必要がある。
例えば液温−21℃の液化炭酸ガスの場合、外気温が0℃であれば、温度差は21℃である。液温−186℃の液体酸素や液温−196℃の液体窒素のように液温が低いものと比べ、その温度差は圧倒的に小さい。単純計算では、熱交換に必要な面積は、液体酸素や液体窒素の約9倍にもなる。特に0℃以下になる可能性が大いにある北海道では、この計算値よりもさらに巨大な熱交換面積が必要となる。したがって、外気を熱源とする空気加熱方式の気化器を使用するのは現実的でない。
本発明は上記課題を解決するものであり、つぎの目的でなされたものである。
たとえば寒冷地のような外気温の低いところでも、ヒーターを用いずに空気を熱源として有効に液化炭酸ガスから炭酸ガスを発生させることができる炭酸ガス発生装置を提供する。
上記目的を達成するため、請求項1の炭酸ガス発生装置は、つぎの構成をとる。
液化炭酸ガスを空気との熱交換によって気化させる気化器と、
液化炭酸ガスの供給源から供給された上記液化炭酸ガスを、上記気化器に導入するまえに減圧する減圧手段とを備えた。
請求項2の炭酸ガス発生装置は、請求項1の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記減圧手段は、上記液化炭酸ガスを0.5〜0.8MPaに減圧する。
請求項3の炭酸ガス発生装置は、請求項1または2の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記気化器には、熱交換に寄与させる空気を送風する送風機が付設されている。
請求項4の炭酸ガス発生装置は、請求項1〜3のいずれか一項の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記液化炭酸ガスの供給源が、液化炭酸ガスが充填された容器であり、
上記容器の内圧が所定値以上に上昇したときに、上記容器内の上部の気相から取り出した炭酸ガスを上記気化器より下流の炭酸ガス路にバイパスするパイパス路を備えている。
請求項5の炭酸ガス発生装置は、請求項4の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記炭酸ガス路とバイパス路の少なくともいずれかには、炭酸ガスを一時的に貯留するバッファタンクが設けられている。
請求項1の炭酸ガス発生装置は、液化炭酸ガスの供給源から供給された上記液化炭酸ガスを、上記気化器に導入するまえに減圧手段で減圧する。減圧手段による減圧で温度の下がった液化炭酸ガスを、空気との熱交換によって気化させる気化器に導入して気化させる。
減圧手段による減圧で温度低下した液化炭酸ガスは、外気温との温度差が大きくなる。したがって、空気との熱交換によって気化させる気化器で充分に気化することができる。このように、たとえば寒冷地のような外気温の低いところでも、ヒーターを用いずに空気を熱源として有効に液化炭酸ガスから炭酸ガスを発生させることができる。
請求項2の炭酸ガス発生装置は、上記液化炭酸ガスを上記減圧手段により0.5〜0.8MPaに減圧する。
減圧手段によって0.5〜0.8MPaまで減圧された液化炭酸ガスは、約−53℃〜−43℃程度まで温度が低下する。たとえば外気温が0℃程度の寒冷環境であっても、有効に熱交換できるだけの温度差を確保できる。したがって、空気との熱交換によって気化させる気化器で充分に気化させることができる。
請求項3の炭酸ガス発生装置は、上記気化器に対して熱交換に寄与させる空気を送風機で送風する。
このため、液化炭酸ガスと送風された空気との熱交換が促進され、外気温との温度差が小さい液化炭酸ガスを効率よく気化し、炭酸ガスを効率よく発生させることができる。
請求項4の炭酸ガス発生装置は、液化炭酸ガスが充填された容器の内圧が所定値以上に上昇したとき、上記容器内の上部の気相から取り出した炭酸ガスを上記気化器より下流の炭酸ガス路にバイパスする。
このため、液化炭酸ガスの消費が少ないときでも、炭酸ガスをロスさせずに有効利用しながら、容器内圧の異常上昇を防止できる。
請求項5の炭酸ガス発生装置は、上記炭酸ガス路とバイパス路の少なくともいずれかに設けたバッファタンクに炭酸ガスを一時的に貯留する。
このため、液化炭酸ガスの消費が少ないときでも、炭酸ガスをロスさせずにバッファタンクに貯留しながら、容器内圧の異常上昇を防止できる。バッファタンクに貯留した炭酸ガスは有効利用することができる。
この装置は、液化炭酸ガスを空気との熱交換によって気化させる気化器1と、
ボンベ3から供給された上記液化炭酸ガスを、上記気化器1に導入するまえに減圧する減圧手段としての第1減圧弁11を備えている。
この例では、上記ボンベ3は、液化炭酸ガスの供給源であり、液化炭酸ガスが充填された容器である。上記ボンベ3には液体取出路17が接続されている。上記液体取出路17は気化器1に液化炭酸ガスを導入する。気化器1で気化された炭酸ガスは炭酸ガス路19により、図示しない炭酸ガスの消費設備に送られる。炭酸ガスの消費設備とは、例えばトンネル掘削現場から排出される掘削排水の中和設備をあげることができる。もちろん、本実施形態の炭酸ガス発生装置は、他の炭酸ガスの消費設備に適用することができる。
上記気化器1は、ボンベ3から取り出されて液体取出路17を介して導入された液化炭酸ガスを空気との熱交換によって気化させる。上記気化器1で気化させた炭酸ガスは、炭酸ガス路19により炭酸ガスの消費設備に送られる。
上記気化器1としては、たとえば、放熱フィンがついたフィン付き管を用いることができる。上記フィン付き管を、たとえば所定寸法で交互に屈曲したりらせん状にしたりする配管構造で、全体として直方体状や円柱状にパッケージ化した気化器1を使用することができる。放熱フィンとしては、たとえば、液化炭酸ガスを流通させる管の周囲に放射状になるように長手方向に配置される放射状のフィンや、管の周囲にらせん状に配置されるらせん状のフィンを適用することができる。
本実施形態の装置では、ボンベ3から供給された上記液化炭酸ガスを、上記気化器1に導入するまえに減圧する減圧手段として第1減圧弁11を備えている。
上記第1減圧弁11は、上記液化炭酸ガスを上記気化器1に導入するまえに0.5〜0.8MPaまで減圧するのが好ましい。このときのより好ましい圧力範囲は0.58〜0.62MPaである。
このように、第1減圧弁11による減圧で温度低下した液化炭酸ガスは、外気温との温度差が大きくなる。たとえば外気温が0℃程度の寒冷環境であっても、有効に熱交換できるだけの温度差を確保できる。したがって、空気との熱交換によって気化させる気化器1で充分に気化することができる。
この装置では、上記ボンベ3の内圧が所定値以上に上昇したときに、上記ボンベ3内の上部の気相から取り出した炭酸ガスを上記気化器1より下流の炭酸ガス路19にバイパスするパイパス路18を備えている。
上記バイパス路18は、ボンベ3の上部の気相部分に接続され、ボンベ3内で気化した炭酸ガスを取り出すようになっている。
上記炭酸ガス路19とバイパス路18の少なくともいずれかには、炭酸ガスを一時的に貯留するバッファタンク4が設けられている。この例では、上記炭酸ガス路19とバイパス路18がいずれもバッファタンク4に接続され、バッファタンク4において炭酸ガス路19とバイパス路18が合流するように配管されている。
上記制御部7は、液体取出路17に設けられた圧力センサ10の検知信号を受けて、バイパス路18に設けられた第2電磁弁16の開閉制御を行う。上記制御部7は、液体取出路17に設けられた圧力センサ10が所定の上限値以上の圧力になった検知信号を受信し、その検知信号を受けて上記第2電磁弁16を開くように制御する。これにより、ボンベ3の内圧が所定値以上に上昇したときに、上記ボンベ3内の上部の気相から炭酸ガスを取り出してパイパス路18に流し、ボンベ3内の内圧を低下させる。パイパス路18に流れた炭酸ガスは、後述するバッファタンク4を介して炭酸ガスの消費設備で利用される。
上述した装置の具体例として、例えばつぎの装置で炭酸ガスを発生させることができる。
この気化器1は、空温式アルミフィン蒸発器である。一般に液体酸素、液体窒素、液体アルゴン等の気化や蒸発に用るものである。表面積は32m2、処理能力は80m3/hのものとした。
上記送風機5は、気化器1の上部に配置している。上記送風機5は、放熱フィン21の板面に沿って空気を移動させるよう送風方向が設定される。また、放熱フィン21を介した熱交換により冷やされた空気は上から下に移動するため、上記送風機5の送風方向もそれに合わせて、空気は上から下に移動させるように設定されている。このような送風方向の設定により、放熱フィン21の間の空気が速やかに入れ替わり、熱交換効率がよくなる。
すなわち、ボンベ3の内圧が上がると、圧力センサ10があらかじめ設定した上限値以上を検知する。このとき、制御部7は第2電磁弁16を開いて、ボンベ3の気相部のガスを炭酸ガスの使用設備に供給することができる。使用設備で使用を停止している場合は、バッファタンク4に一時貯留する。これにより、炭酸ガスの供給と停止を切り替えるときに生じる圧力変動を吸収する。例えば、ボンベ3の内圧が、1.8〜2.0MPaまで上昇すれば、第2電磁弁16が開いて、ボンベ3の気相から炭酸ガスが取り出されて使用設備に供給される。
(1)気化器1に導入する前に減圧工程を設けた。この時の最適な圧力は0.58〜0.62MPaである。
(2)気化器1の上部に送風機5を備えた。
(3)圧力センサ10、バッファタンク4、第2電磁弁16を備えた。
(1)外気との熱交換により気化させる方式の気化器1で、外気温が低い寒冷地でも、外気温と液化炭酸ガスの温度差を確保し、液化炭酸ガスを気化させることができた。有圧換気扇を使った送風機5の効果で熱交換能力が向上した。寒冷地で一般に使用されていた従来のヒーターで加熱する強制加熱方式の蒸発器に比べて、93.75%の電力削減が可能となった。ここで、消費電力は、炭酸ガス供給量60kg/hの場合で、強制加熱方式が8kW/h、本具体例(有圧換気扇のみ)が0.5kW/hである。
(2)ボンベ3の圧力上昇を抑えながら、炭酸ガスの無駄な廃棄が少なくなった。
本実施形態の炭酸ガス発生装置は、つぎの作用効果を奏する。
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明したが、本発明は図示した実施形態に限定する趣旨ではなく、各種の態様に変形して実施することができ、本発明は各種の変形例を包含する趣旨である。
2:加温器
3:ボンベ
4:バッファタンク
5:送風機
6:安全弁
7:制御部
8:流量調節弁
9:流量計
10:圧力センサ
11:第1減圧弁
12:第2減圧弁
13:第3減圧弁
14:排出路
15:第1電磁弁
16:第2電磁弁
17:液体取出路
18:バイパス路
19:炭酸ガス路
20:管
21:放熱フィン
Claims (5)
- 液化炭酸ガスを空気との熱交換によって気化させる気化器と、
液化炭酸ガスの供給源から供給された上記液化炭酸ガスを、上記気化器に導入するまえに減圧する減圧手段とを備えた
ことを特徴とする炭酸ガス発生装置。 - 上記減圧手段は、上記液化炭酸ガスを0.5〜0.8MPaに減圧する
請求項1記載の炭酸ガス発生装置。 - 上記気化器には、熱交換に寄与させる空気を送風する送風機が付設されている
請求項1または2記載の炭酸ガス発生装置。 - 上記液化炭酸ガスの供給源が、液化炭酸ガスが充填された容器であり、
上記容器の内圧が所定値以上に上昇したときに、上記容器内の上部の気相から取り出した炭酸ガスを上記気化器より下流の炭酸ガス路にバイパスするパイパス路を備えている
請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭酸ガス発生装置。 - 上記炭酸ガス路とバイパス路の少なくともいずれかには、炭酸ガスを一時的に貯留するバッファタンクが設けられている
請求項4記載の炭酸ガス発生装置。
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