JP2015214661A - 樹脂、風力発電用ブレード、電子部品、モータコイル及びケーブル - Google Patents

樹脂、風力発電用ブレード、電子部品、モータコイル及びケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】高耐熱性、高強度と、柔軟性、可塑性との両立する樹脂の提供。【解決手段】式1に表される構造、又は別途ホウ素原子を含む特定の架橋構造を有する、可逆的に解離、結合する共有結合を架橋構造を有する樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、可逆的に解離、結合する共有結合を含む樹脂に関する。
近年、共有結合でありながら可逆的な解離−結合が容易に実現できる共有結合の平衡反応へ関心が高まっており、これを活用する化学を動的共有結合化学という。動的共有結合化学に基づいて形成される構造体は、熱力学的に安定な構造をもつ一方で、温度、光、圧力、触媒や鋳型の有無等の特定の外部刺激によりその構造を変化させることができる。このような‘動的’な共有結合を利用することで、これまで実現不可能だった超分子形成や高分子構築が可能になる。
特に注目すべき点は、関与する結合が共有結合であるため、形成される結合が、従来の超分子やそのポリマーにみられる水素結合などの弱い結合に比べて格段に強く、この活用は、新規な構造体構築の重要な手段となりうることだ。
非特許文献1は、このような動的共有結合を利用した高分子として、高分子鎖中にアルコキシアミン骨格を導入した高分子の研究に関する論文である。
一方、樹脂材料等の主に炭化水素で構成されている有機材料は、金属、セラミック等で構成される無機材料と比較して強度が低い。また、樹脂材料等の有機材料は、劣化によって、質量減少を伴う不可逆的な変性、分子レベルの分解等が生じ、このような劣化を生じた有機材料を元の状態に戻すことは通常困難である。
これらの課題に対し、材料寿命を延ばす目的で、より高強度、高耐熱性の樹脂材料の開発が検討されている。エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチック等は、高強度、高耐熱の高機能性樹脂材料として開発された例である。また、樹脂材料同士の複合化(ポリマアロイ)樹脂材料と無機材料とのコンポジット化等の複合材料の研究も進み、日常生活にも普及している。
近年では、さらにこの材料寿命を延ばすために、樹脂中の微小破断部を自発的に修復する自己修復性を樹脂材料に付与する研究も行われている。例えば、樹脂中に重合剤と重合開始剤を内包したカプセルを複数含む樹脂材料がある。
特許文献1には、アルキルボランを重合開始剤に用いたリビングラジカル重合による樹脂材料により、樹脂修復部の強度を向上できると記載されている。
WO2012/137338A1
Hideyuki Otsuka et al,Macromolecules,2006,39,2121-2125
上述の樹脂の耐熱性や強度の向上に有効な手段として、熱分解し難く剛直な官能基を導入する手段や、架橋密度を高くする手法が一般的である。しかし、上述の方法で樹脂の耐熱性や強度を向上させると、樹脂の柔軟性や可塑性が失われる課題がある。そこで、本発明では、動的共有結合を架橋反応に導入し、高耐熱、高強度と樹脂の柔軟性や可塑性を両立する樹脂を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、ホウ素原子と、可逆的に解離及び結合する共有結合とを含む、所定の式に表される構造を有することを特徴とする。
本発明に拠れば、可逆的に解離、結合する共有結合(動的共有結合)を用いることで、高耐熱・高強度と可塑性を持ち合わせた樹脂を提供することができる。また、本発明の動的架橋樹脂は、樹脂の破断時には自己修復機能を発現する。
本発明の動的架橋樹脂を用いて製造した風力発電用ブレードの断面図である。 本発明の動的架橋樹脂をモールド封止材として用いた電子パッケージの図である。 本発明の動的架橋樹脂をモータコイルの保護材として用いたモータの図である。 本発明の動的架橋樹脂を用いて製造したケーブルの断面図である。 実施例の強度回復試験用の試験片を表した図である。
以下、実施例と図面を用いて説明する。
本発明の樹脂は、ホウ素原子と、可逆的に解離、結合する共有結合とを含むことを特徴とする樹脂である。以下では、「可逆的に解離、結合する共有結合」を動的共有結合と呼び説明する。なお、動的共有結合と異なる呼称を用いた共有結合であっても、可逆的に解離、結合する機能を有する共有結合であれば、同様のものと解釈することができる。
本発明の動的架橋樹脂は、ホウ素原子を有し、動的共有結合部位が式1または式2に表わせ、R1、R2’、R3がアルキル基であり、R2がフェニル基または−(CH2m−CH3で表せるアルキル基であることを特徴とする動的共有結合を含む樹脂である。
1、R2’、R3は、アルキル基であれば炭素数に限定はない。
また、式1、2において、m、nは、それぞれ独立した0以上の正の整数である。
本発明における動的共有結合の反応機構は、アルキルボラン系リビングラジカル重合法におけるドーマント種の平衡反応と同じ反応機構である。
式3にジエチルメトキシボランを開始剤に用いたスチレンのリビングラジカル重合におけるドーマント種の平衡反応の例を示す。
ドーマント種は、室温では安定な構造を有するが、加熱により結合の一部が可逆的に解離・付加を繰り返し、動的共有結合を有する分子として機能する。
<式1に示す動的共有結合部位>
動的共有結合部位が、式1において、R1、R3はそれぞれ独立した分子鎖長の一部であり、その分子を構成する原子及び分子に特に限定は無い。一方で、R2は、フェニル基またはアルキル基であることを特徴とすることで、O−R3結合が優先的に解離し、式4のような平衡反応が起こる。
<式2に示す動的共有結合部位>
動的共有結合部位が、式2において、R1、R3はそれぞれ独立した分子鎖長の一部であり、その分子を構成する原子及び分子に特に限定は無い。一方で、R2’はR1を含む分子鎖長と同じ分子鎖長の一部であることを特徴とすることで、O−R3結合が優先的に解離し、(式5)のような平衡反応が起こる。
(式2)の動的共有結合部位において、nは0以上の正の整数であり、例えば、n=0の場合、R1、R2’を含む高分子鎖長は、ポリビニルアルコールやポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(PHEMA)の分子構造に近い構造(式6)、式(7)となる。
この時、R1=R2’=−CHである。
式4及び式5に示した動的共有結合による平衡反応について、室温と加熱時に分けて説明する。
<室温>
一般的に、従来樹脂に対し引張方向に力を働かせると、分子の結合が切れた場合、従来樹脂は破断する。一方、本発明の動的架橋樹脂において、引張方向に力を作用させたとき、動的共有結合部位の存在により、従来の樹脂よりも破断時間が遅い、すなわち、可塑特性が現れる。破断により、解離した動的共有結合部位は、引張方向に流動している高分子鎖の中で、別の部分で解離した動的共有結合部位と再結合し、結合の交換反応を生じる。このように、徐々に引張方向に、結合の交換反応を起こすことによって、破断時間が遅れ、可塑特性が現れる。そして、交換可能な動的共有結合部位が無くなった時点で、最終的には破断する。
<加熱時>
従来樹脂(熱硬化系)は、高分子鎖が共有結合によって架橋されているため、一度硬化すると再度加熱しても、可塑性や流動性特性は現れない。
本発明の動的架橋樹脂における動的架橋結合は、室温では安定な構造を有するが、加熱により、結合の一部が可逆的に解離・結合を繰り返す。この性質を利用して、動的架橋樹脂では、加熱による射出成形等による再形成加工が可能である。また、動的架橋樹脂が破断した場合、破断界面を接触させ、加熱すると、界面が接合し、接着する。
この破断面の接着の方法として、破断界面に不飽和モノマーを塗布してから接触、加熱を行うと、界面強度は破断前強度のほぼ100%まで回復する。
また、動的共有結合部位を有する分子構造の設計により、加熱前後で樹脂の粘度を変化させることが可能となる。
例えば、式1において、R1を含む分子鎖長を高分子量に、R3を含む分子鎖長を低分子量に設計した樹脂(動的架橋高分子)aと、式1において、R1を含む分子鎖長を低分子量に、R3を含む分子鎖長を高分子量に設計した樹脂(動的架橋高分子)bを室温で混合した樹脂(樹脂ab)を調整する。樹脂abに対し、加熱を行うと動的共有結合部位の交換が起こり、新たに高分子量体同士の架橋結合が形成され(式8)、室温で低粘度であった樹脂abの粘度は上昇する。
式8には、式1に表わされる動的共有結合の例を示したが、動的共有結合部が式2に表わされる化合物でも良い。
式2の場合、分子設計として、R1、R2’を含む高分子鎖長とR3を含む高分子鎖長の鎖長差(分子量差)をつけることで、同様の交換反応による樹脂の粘度を変化させることができる。
本発明の動的架橋樹脂は、ホウ素原子を有する動的共有結合を含む樹脂であり、不飽和モノマーが重合した樹脂を含むことを特徴とする動的共有結合を含むことを特徴とする。
選択される不飽和モノマーとして特に限定は無いが、不飽和モノマーの具体例としては、芳香族ビニル化合物、芳香族アリル化合物、含複素環ビニル化合物、含複素環アリル化合物、アルキル(メタ)アクリレート、不飽和モノカルボン酸エステル、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、シロキサニル化合物、アルキレングリコールのモノ−(メタ)アクリレート及びジ−(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、シアノアルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル、多価アルコールのオリゴ(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種類以上の不飽和モノマーであることを特徴とする。
また、不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、不飽和アルコール、不飽和(モノ)カルボン酸、不飽和ポリカルボン酸及び不飽和ポリカルボン酸無水物;不飽和ポリカルボン酸若しくは不飽和ポリカルボン酸無水物のモノエステル及びジエステル;エポキシ基含有不飽和化合物、ジエン化合物、塩化ビニル、酢酸ビニル、イソプレンスルホン酸ナトリウム、ケイ皮酸エステル、クロトン酸エステル、ジシクロペンタジエニル及びエチリデンノルボルネンからなる群から1種類以上の不飽和モノマーであることを特徴とする。
上述のポリビニルアルコールやPHEMAに似た構造も、上述の具体例の不飽和モノマーより選択される。
本発明の動的共有結合を含む動的架橋樹脂において、動的共有結合部位とR1を含む高分子鎖長の重合比は、動的共有結合部位と高分子鎖長を構成する不飽和モノマーのモル比で表すと、式1の場合、約1:15〜1:25が好ましく、式2の場合は、約1:15〜1:30が好ましい。
動的共有結合部位と高分子鎖長を構成する不飽和モノマーのモル比が、上述のモル比よりも大き過ぎると、架橋できる動的共有結合部位の導入量が少なくなり、架橋し難くなり、樹脂の強度が低下するため、好ましくない。
一方、動的共有結合部位と高分子鎖長を構成する不飽和モノマーのモル比が、上述のモル比よりも小さ過ぎると、動的共有結合部位の導入量が多量になり、分子鎖間の空間が狭くなり、結合交換の反応が起きにくくなり、結果的に樹脂の強度は低下するため、好ましくない。
本発明の動的架橋樹脂は、粘着剤や接着剤に用いることができる。
本発明の動的架橋樹脂を用いると、粘着剤及び接着剤組成物の物性を制御することが可能となる。
1とR3を含む分子鎖長において不飽和モノマーとしてアクリレート系を選択し、分子鎖架橋構造を変化させることにより、粘着剤及び接着剤組成物の粘度、粘着力、弾性、耐熱性、耐溶剤性などを制御できる。
具体的な制御方法は、上述のように、式1において、R1を含む分子鎖長を高分子量に、R3を含む分子鎖長を低分子量に設計した動的架橋高分子aと、式1において、R1を含む分子鎖長を低分子量に、R3を含む分子鎖長を高分子量に設計した動的架橋高分子bを室温で混合した樹脂(樹脂ab)を調整する方法である。
上述の方法による本発明の動的架橋樹脂を含む粘着剤及び接着剤組成物は、加熱前の粘度は低いが、加熱後は動的共有部位の交換反応により、新たに形成された高分子量体同士の架橋構造が形成される。
従って、本発明の動的架橋樹脂による粘着剤及び接着剤は、加熱前は凹凸のある被覆面に対しても容易かつ十分に塗布し接着することができ、加熱後は糊残りすることなく容易に被着面から剥がすことができる。
この粘着剤及び接着剤は、電子部品の製造工程で用いられる粘着シートの粘着性層を形成するために利用できる。なお、本発明の動的架橋樹脂において、R1とR3を含む分子鎖長に不飽和モノマーとしてアクリレート系を選択し、これを用いた動的架橋樹脂は、車用外装材としての塗料やコーティング剤、印刷インキなどへの応用も可能である。
本発明の動的架橋樹脂は、風力発電用ブレード材に用いることができる。風力発電用ブレード材の翼長は最大で80mにもおよび高度な耐久性が要求される。
しかし、大型のブレード材は一体成形が困難であり、現在、FRPで製造されている大型ブレード材は、分割成形後、接着剤等で接合されているため、接合部の高信頼性が要求される。そこで、本発明の動的架橋樹脂を用いた場合、異種材の接着剤を使用せずに、接合界面を加熱するだけで、成形が可能となる。
風力発電用ブレード材は大型化するについて、耐圧に対し、適度な柔軟性を有している必要がある。本発明の動的架橋樹脂は、強度と柔軟性を両立する特性があるため、大型のブレード材の耐久性を向上することができる。
図1は本発明の動的架橋樹脂を用いて製造した風力発電用ブレードの断面図である。図1(a)は一体成形前のブレード材を、図1(b)は一体成形後のブレード材を示す。一体成型前の分割成形された風力発電用ブレード材のパーツ100は、一体成形時に加熱され、界面部11が接合される。なお、接合の際は、界面部11に不飽和モノマーを塗布した後、加熱しても良い。これにより、一体化された風力発電用ブレード101が成形される。
本発明の動的架橋樹脂は、モールド封止材、モールド封止材の製造に利用されるポッティング材(モールド封止材製造用ポッティング材)、電子部品パッケージ等にも用いることができる。
モールド封止においては成形性に課題がある。パッケージ構造、金型、封止材、成型技術など多くの要因と複雑に関係している。具体的には、樹脂の硬化収縮及びその構成材料の放熱基板、樹脂、シリコンチップ等の物性の違いから、残留ひずみや反り変形が発生する。これが原因で、チップの特性変動、クラック、剥離などの原因になっている。
この課題に対し、本発明の動的架橋樹脂をモールド封止材として適用すると、動的共有結合部位の交換反応により、硬化後の残留ひずみが低減でき、クラックや剥離の発生を抑制できる。
図2は本発明の動的架橋樹脂をモールド封止材として用いた電子パッケージの図である。
図2(a)は、本発明の動的架橋樹脂をモールド封止材として適用した電子パッケージの例であり、図2(b)は、図2(a)の電子パッケージのA−A断面図である。
電子パッケージ200は、基材24a上に配置された半導体素子24と、モールド封止材23の外部へと延伸するリードフレーム22、リードフレーム22と半導体素子24を電気的に接続するボンディングワイヤ25、により構成される。そして、リードフレーム22、半導体素子24、基材24a、及びボンディングワイヤ25は、本発明の動的架橋樹脂からなるモールド封止材によって封止されている。
リードフレーム22、ボンディングワイヤ25は、いずれも良導体によって構成され、具体的には、銅、アルミニウム等からなる。また、リードフレーム22、ボンディングワイヤ25の形態は、例えばリソッド(充実)線、より線等、公知の任意の形態にすることができる。
また、半導体素子24の形状は、例えば円形、分割円形、圧縮形等が適用可能である。さらに、半導体素子24を構成する材料は、モールド封止材23によって封止可能な材料であれば、特に制限されない。
本発明の動的架橋樹脂は、モータコイルの保護材、モータコイル用ワニスとして適用可能である。モータなどの電気機器用コイルは、電気絶縁、動作時の放熱、電気振動によって発生する唸り音の吸収、構成材料の固着等を目的として、熱硬化性樹脂組成物で処理されている。動作時の放熱の条件下において、電機振動に対し、樹脂とコイルとの固着部においてクラックが入らないことが重要となる。
そこで、樹脂に要求される特性としては、長期耐熱および強度に併せ、金属で構成されているコイルの熱膨張に自由自在に応答する、可塑性または柔軟性である。
本発明の動的架橋樹脂は、放熱条件において、動的共有結合部の交換反応が起り、金属の膨張に応答して、伸びることができるため、クラックが入りにくい。
図3は、本発明の動的架橋樹脂をモータコイルの保護材として用いたモータの図である。図3(a)は、モータコイル300の上側面図、図3(b)はモータコイル300を用いたモータ301の断面構造であり、図3(b)の左側は回転子磁心32の軸方向に対して平行な方向の断面図、図3(b)の右側は回転子磁心32の軸方向に対して垂直な方向の断面図である。
モータ用のコイル300は、磁心36と、磁心36に捲回された被覆銅線37と、本発明の動的架橋樹脂からなるモータコイル保護材38と、により構成される。また、コイル300には、本実施形態による本発明の動的架橋樹脂がモータコイル保護材用ワニス材として、一様に塗布されている。
磁心36は、例えば、鉄等の金属等からなる。さらに、被覆銅線37として、直径1mmのエナメル線を用いている。
コイル300は、図3(b)に示すモータ301に用いられている。モータ301は、モータ301の内側縁部に固定されている円筒形上の固定子磁心30、固定子磁心30の内部で同軸に回転する回転子磁心32、固定子コイル39、固定子磁心30のスロット31に被覆銅線が捲回された8つのコイル300からなる。
本発明の動的架橋樹脂は、ケーブル及び被覆材に適用することができる。ケーブル及びケーブル被覆材に用いる樹脂は、樹脂強度及び耐熱性を有していなければならない。
長期使用時における外部損傷や、ケーブル同士の擦れによる擦傷、急激な熱変化によるマイクロクラック発生等の樹脂材料の損傷が発生する可能性がある。このような状況の下、本発明の動的架橋樹脂を用いた場合、動的共有結合の交換反応により、損傷や擦傷が低減できる。
図4は本発明の動的架橋樹脂を用いて製造したケーブルの断面図である。図4(a)(a)に示すケーブル400においては、本発明の動的架橋樹脂は被覆層40に用いられている。また(b)に示すケーブル401においては、本発明の動的架橋樹脂は絶縁層41に用いられている。
図4(a)に示すケーブル400は、導体43と、内部半導体層44と、絶縁層45と、外部半導体層(密着層)46と、外部半導体層(剥離層)47と、被覆層40と、外皮層49とを備えている。導体43を構成する材料としては、特に制限されないが、例えば銅、アルミニウム等の任意の良導体を用いることができる。また、導体43の形態も特に制限されず、ソリッド(充実)線、より線等、公知の任意の形態とすることができる。また、導体43の断面形状も特に制限されず、例えば円形、分割円形、圧縮形等とすることができる。
内部半導電層44を構成する材料及びその形態に特に制限は無く、公知の任意の材料を用いれば良い。
また、絶縁層45を構成する材料及びその形態に特に制限は無いが、例えば、油浸紙系、油浸半合成紙系の材料、ゴム材料、樹脂材料等を用いることができる。ゴム材料及び樹脂材料等の絶縁材料としては、例えばエチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマ、ポリエチレン、架橋した不飽和ポリエチレン等が挙げられ、絶縁ケーブルにおいて汎用されているという観点から、これらの中でも、ポリエチレン、架橋ポリエチレンが好適である。
外部半導電層(密着層)46は、導体43の周囲に発生する強い電界を緩和する目的で設けられる。外部半導電層(密着層)46に用いられる材料としては、例えばスチレン‐ブタジエン系熱可塑性エラストマ、ポリエステル系エラストマ、軟質ポリオレフィン等の樹脂材料に導電性カーボンブラックを配合した半導電性樹脂組成物、及び導電性カーボンブラックを添加した導電性塗料類等が挙げられる。ただし、要求性能を満たす材料であれば、材料に特に制限は無い。外部半導電層(密着層)46を絶縁層45の表面上に形成する方法としては特に制限は無く、部際の種類に応じて連続押出、ディッピング、スプレー塗装、塗布等が挙げられる。
外部半導電層(剥離層)47は、外部半導電層(密着層)46と同様に、導体43の周囲に発生する強い電界を緩和し、内層を保護する目的で設けられる。また、接続等の施工においては、外部半導電層(密着層)46に対して容易に剥離するものであればよく、他の層が介在するものであってもよい。外部半導電層(剥離層)47に用いられる材料としては、例えば軟質ポリオレフィン、エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム等のゴム材料、スチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマ、ポリエステル系エラストマ等のうち、少なくとも1種以上含むベース材料の100質量部当たりの30〜100質量部の導電性カーボンブラックを配合した架橋性もしくは、非架橋性の樹脂組成物等が挙げられる。ただし、要求性能を満たす材料であれば、材料に特に制限は無い。また、必要に応じて、例えばグラファイト、潤滑剤、金属、無機フィラー等の充填剤等の添加物が含有されても良い。また、外部半導電層(剥離層)47を外部半導電層(密着層)46の表面上に形成する方法としては特に制限は無いが、押出成形が好ましい。
以下、実施例を用いて説明する。実施例1−4は式1に表される構造を有する樹脂の例であり、実施例5−8は式2に表される構造を有する樹脂の例である。
<前駆体化合物a合成−ポリビニルアルコール−>
ポリビニルアルコールの隣接するヒドロキシル基とメチルボロン酸の二つのヒドロキシル基のエステル交換反応により、本発明の動的架橋樹脂の前駆体化合物aを合成した。
具体的には、ポリビニルアルコール(クラレ製、PVA205、重合度500)10g、メチルボロン酸0.05g(アルドリッチ製)、及び乾燥テトラヒドロフラン5mlを入れ、Ar雰囲気下室温で16時間撹拌した。その後、テトラヒドロフランを乾燥除去した後、残留固形分をメタノールで洗浄し、乾燥させ、隣接するオキシド基がホウ素原子に結合する化合物aを得た。核磁気共鳴測定機(JEOL製、500MHz)により、11B−NMR測定を行った結果、原料メチルボロン酸のピークが40ppmであったのに対し、化合物aでは80ppmにピークがシフトしたことを確認した。
<化合物a−スチレン>
化合物a5gとスチレンモノマー(東京化成製)10gをAr雰囲気下で5分間撹拌し、その後、撹拌しながらマイクロシリンジ(ガスタイト)で25μlの空気を注入し、60℃のオイルバスにて10時間重合した。重合物をテトラヒドロフランに溶解させ、メタノールで再沈殿を行い、乾燥させた後、12gの重合物Aを得た。重合物Aをゲル透過クロマトグラフィー(GPC、東ソー製)により数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnを測定した結果、Mn=35000、Mw/Mn=2.8であった。以上より、本発明の動的架橋樹脂として重合物Aを得た。
<化合物a−メタクリル酸メチル>
化合物a5gとメタクリル酸メチルモノマー(東京化成製)5g、乾燥テトラヒドロフランをAr雰囲気下で5分間撹拌し、その後、撹拌しながらマイクロシリンジ(ガスタイト)で25μlの空気を注入し、50℃のオイルバスにて5時間重合した。重合物をテトラヒドロフランに溶解させ、メタノールで再沈殿を行い、乾燥させた後、7gの重合物Bを得た。重合物Bをゲル透過クロマトグラフィー(GPC、東ソー製)により数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnを測定した結果、Mn=41000、Mw/Mn=2.5であった。以上より、本発明の動的架橋樹脂として重合物Bを得た。
<化合物a−共重合>
化合物a5gとスチレンモノマー8g、メタクリル酸メチルモノマー(東京化成製)2gをAr雰囲気下で5分間撹拌し、その後、撹拌しながらマイクロシリンジ(ガスタイト)で25μlの空気を注入し、60℃のオイルバスにて5時間重合した。重合物をテトラヒドロフランに溶解させ、メタノールで再沈殿を行い、乾燥させた後、11gの重合物Bを得た。重合物Bをゲル透過クロマトグラフィー(GPC、東ソー製)により数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnを測定した結果、Mn=33000、Mw/Mn=3.1であった。以上より、本発明の動的架橋樹脂として重合物Cを得た。
<前駆体化合物b合成−ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(PHEMA)>
ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(PHEMA)の隣接するヒドロキシル基とメチルボロン酸の二つのヒドロキシル基のエステル交換反応により、本発明の動的架橋樹脂の前駆体化合物bを合成した。
まず、PHEMAの調整を行った。メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(東京化成製)10gに2、2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05gを室温、Ar雰囲気下で30分ほど撹拌し、AIBNをHEMAに溶解させた。その後、Ar雰囲気下60℃にて5時間重合を行い、重合物を得た。重合物をテトラヒドロフランに溶解させ、メタノールで再沈殿を行い、乾燥させた後、8gのPHEMAを得た。得られたPHEMAをゲル透過クロマトグラフィー(GPC、東ソー製)により数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnを測定した結果、Mn=21000、Mw/Mn=2.1であった。
PHEMA5g、メチルボロン酸0.05g(アルドリッチ製)、及び乾燥テトラヒドロフラン5mlを入れ、Ar雰囲気下室温で16時間撹拌した。その後、テトラヒドロフランを乾燥除去した後、残留固形分をメタノールで洗浄し、乾燥させ、隣接するオキシド基がホウ素原子に結合する化合物bを得た。核磁気共鳴測定機(JEOL製、500MHz)により、11B−NMR測定を行った結果、原料メチルボロン酸のピークが40ppmであったのに対し、化合物aでは80ppmにピークがシフトしたことを確認した。
<化合物b−スチレン>
化合物b5gとスチレンモノマー(東京化成製)10gをAr雰囲気下で5分間撹拌し、その後、撹拌しながらマイクロシリンジ(ガスタイト)で25μlの空気を注入し、60℃のオイルバスにて10時間重合した。重合物をテトラヒドロフランに溶解させ、メタノールで再沈殿を行い、乾燥させた後、12gの重合物Aを得た。重合物Aをゲル透過クロマトグラフィー(GPC、東ソー製)により数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnを測定した結果、Mn=32000、Mw/Mn=2.9であった。以上より、本発明の動的架橋樹脂として重合物Dを得た。
<化合物b−メタクリル酸メチル>
化合物b5gとメタクリル酸メチルモノマー(東京化成製)10gをAr雰囲気下で5分間撹拌し、その後、撹拌しながらマイクロシリンジ(ガスタイト)で25μlの空気を注入し、50℃のオイルバスにて5時間重合した。重合物をテトラヒドロフランに溶解させ、メタノールで再沈殿を行い、乾燥させた後、12gの重合物Aを得た。重合物Aをゲル透過クロマトグラフィー(GPC、東ソー製)により数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnを測定した結果、Mn=40000、Mw/Mn=3.1であった。以上より、本発明の動的架橋樹脂として重合物Eを得た。
<化合物b−共重合>
化合物a5gとスチレンモノマー8g、メタクリル酸メチルモノマー(東京化成製)2gをAr雰囲気下で5分間撹拌し、その後、撹拌しながらマイクロシリンジ(ガスタイト)で25μlの空気を注入し、60℃のオイルバスにて5時間重合した。重合物をテトラヒドロフランに溶解させ、メタノールで再沈殿を行い、乾燥させた後、11gの重合物Bを得た。重合物Bをゲル透過クロマトグラフィー(GPC、東ソー製)により数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnを測定した結果、Mn=39000、Mw/Mn=3.0であった。以上より、本発明の動的架橋樹脂として重合物Fを得た。
<物性試験>
引張試験は、JISK7162に準拠して行った。
〈サンプル作製〉
実施例1〜8で得られた重合物A〜Fをトランスファー成形により、長さ100mm、幅20mm、厚み4mmのダンベル型の樹脂成形体(JIS−K7139A1型)を得た。トランスファー成形(温度は180℃、加熱時間1分、プレス圧7MPa)により、長さ100mm、幅20mm、厚み4mmのダンベル型の金型を使用して成形を行った。
〈引張試験〉
JISK7162に準拠し、島津製作所製オートグラフにて引張試験を行った。引張試験結果を表1に示した。
〈耐熱試験〉
耐熱試験は、UL−764Bに準拠して長期耐熱評価により、相対温度指数を求めた。
結果は表1に示した。
<強度回復>
重合物Aを長さ50mm幅10mm厚み3mmの短冊状の成形品を2枚用意し、図5のように一部を貼り合わせて、接着面を固定子し、100℃で3時間加熱した。その後、オートグラフにて引張強度を測定した結果を表1に示した。
図5は、強度回復試験用の試験片を表す。樹脂短冊51を2枚用意し、一部重ね合わせて固定具52により固定し、試験片500を作成した。
<重合物G、H合成>
〈重合物Gの合成〉
前駆体化合物c合成−ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(PHEMA)
ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(PHEMA)の隣接するヒドロキシル基とメチルボロン酸の二つのヒドロキシル基のエステル交換反応により、本発明の動的架橋樹脂の前駆体化合物cを合成した。
まず、PHEMAの調整を行った。メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(東京化成製)10gに2、2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.08gを室温、Ar雰囲気下で30分ほど撹拌し、AIBNをHEMAに溶解させた。その後、Ar雰囲気下60℃にて1時間重合を行い、重合物を得た。重合物をテトラヒドロフランに溶解させ、メタノールで再沈殿を行い、乾燥させた後、6gのPHEMAを得た。得られたPHEMAをゲル透過クロマトグラフィー(GPC、東ソー製)により数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnを測定した結果、Mn=2000、Mw/Mn=1.9であった。
得られたPHEMA5g、メチルボロン酸0.05g(アルドリッチ製)、及び乾燥テトラヒドロフラン5mlを入れ、Ar雰囲気下室温で16時間撹拌した。その後、テトラヒドロフランを乾燥除去した後、残留固形分をメタノールで洗浄し、乾燥させ、隣接するオキシド基がホウ素原子に結合する化合物cを得た。核磁気共鳴測定機(JEOL製、500MHz)により、11B−NMR測定を行った結果、原料メチルボロン酸のピークが40ppmであったのに対し、化合物aでは80ppmにピークがシフトしたことを確認した。
化合物c5gとスチレンモノマー(東京化成製)10gをAr雰囲気下で5分間撹拌し、その後、撹拌しながらマイクロシリンジ(ガスタイト)で25μlの空気を注入し、60℃のオイルバスにて10時間重合した。粘性の生成物をメタノールで洗浄し、メタノールを乾燥させた後、粘性の重合物Gを10g得た。重合物Aをゲル透過クロマトグラフィー(GPC、東ソー製)により数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnを測定した結果、Mn=15000、Mw/Mn=2.4であった。以上より、本発明の動的架橋樹脂として重合物Gを得た。
〈重合物Hの合成〉
実施例5の方法で合成した前駆体化合物b5gとスチレンモノマー(東京化成製)5gをAr雰囲気下で5分間撹拌し、その後、撹拌しながらマイクロシリンジ(ガスタイト)で25μlの空気を注入し、50℃のオイルバスにて2時間重合した。粘性の生成物をメタノールで洗浄し、メタノールを乾燥させた後、粘性の重合物Hを8g得た。重合物Aをゲル透過クロマトグラフィー(GPC、東ソー製)により数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnを測定した結果、Mn=25000、Mw/Mn=2.8であった。以上より、本発明の動的架橋樹脂として重合物Hを得た。
<ゲル化>
重合物G及びHを1gずつガラスチューブに取り、凍結脱気をした後、真空下で密封した。ガラスチューブの加熱条件は3条件で行った。30℃で48時間、80℃で10時間、また180℃で4時間加熱し、それぞれの条件において、ゲル状の重合物Iを得た。
加熱前の重合物G及びHは、それぞれトルエンに容易に溶解したが、重合物Iは、トルエンに溶解せず、膨潤しただけであった。これは、架橋ポリマーに特徴的な挙動であり、室温(25℃)〜200℃未満の温度領域において、本発明の動的共有結合により、重合物Gと重合物Hの架橋の進行を確認した。
実施例11、12の結果より、本発明の動的共有結合を有する動的架橋樹脂は、動的共有結合部位を有する分子構造の設計により、加熱前後で樹脂の粘度を変化させることが可能であることが示せた。
(比較例1)
<引張試験>
〈サンプル作製〉
重合物Hとして三菱化学社製ポリエチレン樹脂(PE)ノバテックTMHDHJ560、重合物Iとして宇部興産社製ポリアミド樹脂(PA)1011FB、重合物Jとして昭和電工社製不飽和ポリエステル樹脂(UP)リゴラック、重合物Kとしてジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂(EP)エピコート828をそれぞれ用いて、長さ100mm、幅20mm、厚み4mmのダンベル型の試験片を得た。
重合物Hは、射出成型(温度280℃、金型温度40℃、成型圧1200kgf/cm2)により、長さ100mm、幅20mm、厚み4mmのダンベル型の金型を使用し、試験片を得た。
重合物Iも同様に射出成型(成形温度260℃、金型温度60℃)により、長さ100mm、幅20mm、厚み4mmのダンベル型の金型を使用し、試験片を得た。
重合物Jは、トランスファー成形(成形温度130℃、加熱時間5分、成型圧7MPa)により、長さ100mm、幅20mm、厚み4mmのダンベル型の金型を使用し、試験片を得た。
重合物Kは、エピコート828:100重量部に対し、酸無水物系硬化剤として三菱化学社製YH306:120phr添加し、80℃/3時間+120℃/6時間の硬化条件で長さ150mm、幅100mm、厚み6mmの板状の硬化物を作製した。その後、作製した板を切削加工により、長さ100mm、幅20mm、厚み4mmのダンベル型の試験片を得た。
〈引張試験〉
JISK7162に準拠し、島津製作所製オートグラフにて引張試験を行った。引張試験結果を表1に示した。
〈耐熱試験〉
耐熱試験は、UL−764Bに準拠して長期耐熱評価により、相対温度指数を求めた。
結果は表1に示した。
比較例1の結果より、重合物Hは、引張伸び特性は優れているが引張強度が小さく、長期耐熱性も劣る。また、重合物Iは、引張強度と引張伸び特性は両立しているが、長期耐熱性に劣っている。重合物J、Kは、引張強度と長期耐熱性に優れているものの、引張伸びが非常に小さく、可塑性の無い樹脂である。比較例1の結果より、従来樹脂では、高耐熱・高強度と可塑性の両立は困難であることが分かる。
一方で、実施例9では、引張強度、引張伸び、長期耐熱を両立しており、本発明の動的高有結合有する樹脂により、高耐熱・高強度と可塑性を両立した樹脂の提供が可能であることを示せた。
(比較例2)
<強度回復>
重合物Lを長さ50mm幅10mm厚み3mmの短冊状の成形品を2枚用意し、図5のように一部を貼り合わせて、接着面を固定子し、100℃で3時間加熱したが、接着面は接着しなかった。
比較例2と実施例10の結果を比較すると、本発明による動的共有結合を有する動的架橋樹脂は、加熱により界面強度の回復が確認できた。
(比較例3)
<ゲル化、25℃以下、200℃以上>
重合物G及びHを1gずつガラスチューブに取り、凍結脱気をした後、真空下で密封した。ガラスチューブの加熱条件は、10℃で36時間、210℃で2時間の2条件で行った。その結果、10℃で36時間の条件では、ゲル化の進行は認められず、GPCの測定結果においても、そのMnとMw/Mnより、重合物G及びHの混合物であることを確認した。また、210℃で2時間の条件では、GPCの測定結果より、重合物G、Hよりも小さな分子量体を確認し、分解反応が起きていることを確認した。動的共有結合以外の結合が分解し、ゲル化は進行しなかった。
ラジカル重合物において200℃は天井温度と呼ばれ、分解反応が生じる温度である。そのため、200℃以上では、ゲル化は進行しない。
以上、比較例3と実施例12より、本発明の動的共有結合が、25℃以上、200℃未満の温度において可逆的に解離、結合する共有結合であることが示せた。
100 分割成形された風力発電用ブレード材のパーツ
101 一体化された風力発電用ブレード材
11 界面部
200 電子パッケージ
22 リードフレーム
23 モールド封止材
24 半導体素子
24a 基材
25 ボンディングワイヤ
300 コイル
301 モータ
30 固定子磁心
31 スロット
32 回転子磁心
36 磁心
37 被覆銅線
38 モータコイル保護材
39 固定子コイル
400 ケーブル
401 ケーブル
40 被覆層
41 絶縁層
43 導体
44 内部半導体層
45 絶縁層
46 外部半導電層(密着層)
47 外部半導電層(剥離層)
48 被覆層
49 外皮層
500 試験片
51 50mm×10mm×3mmの樹脂短冊
52 固定具

Claims (8)

  1. ホウ素原子と、可逆的に解離及び結合する共有結合とを含む、式1または式2に表される構造を有することを特徴とする樹脂。
    ここで、R1、R2’、R3がアルキル基であり、R2がフェニル基または−O−(CH2m−CH3で表せるアルキル基であり、
    m、nがそれぞれ独立した0以上の正の整数である。
  2. 請求項1に記載の樹脂において、
    前記共有結合は、25℃以上、200℃未満の温度において、可逆的に解離及び結合する共有結合であることを特徴とする樹脂。
  3. 請求項1に記載の樹脂において、
    不飽和モノマーの重合物を含むことを特徴とする樹脂。
  4. 請求項3に記載の樹脂において、
    前記不飽和モノマーが、芳香族ビニル化合物、芳香族アリル化合物、含複素環ビニル化合物、含複素環アリル化合物、アルキル(メタ)アクリレート、不飽和モノカルボン酸エステル、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、シロキサニル化合物、アルキレングリコールのモノ−(メタ)アクリレート及びジ−(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、シアノアルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル、多価アルコールのオリゴ(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、不飽和アルコール、不飽和(モノ)カルボン酸、不飽和ポリカルボン酸及び不飽和ポリカルボン酸無水物;不飽和ポリカルボン酸若しくは不飽和ポリカルボン酸無水物のモノエステル及びジエステル;エポキシ基含有不飽和化合物、ジエン化合物、塩化ビニル、酢酸ビニル、イソプレンスルホン酸ナトリウム、ケイ皮酸エステル、クロトン酸エステル、ジシクロペンタジエニル及びエチリデンノルボルネンからなる群より選ばれる1種類以上の不飽和モノマーであることを特徴とする樹脂。
  5. 請求項1に記載の樹脂を複数のブレード材の接合部に用いたことを特徴とする風力発電用ブレード。
  6. 請求項1に記載の樹脂をモールド封止材に用いたことを特徴とする電子部品。
  7. 請求項1に記載の樹脂を保護材またはワニス材に用いたことを特徴とするモータコイル。
  8. 請求項1に記載の樹脂を被覆層または絶縁層に用いたことを特徴とするケーブル。
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