JP2015213567A - 無針注射器 - Google Patents

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Abstract

【課題】無針注射器において注射液等の注射目的物質の充填が容易であり、また注射準備の際に注射目的物質の漏出が生じにくく、更には充填後の充填室に残った空気を容易に外部に排出する。【解決手段】注射針を介することなく、注射目的物質を射出することで該注射目的物質を注射対象領域に注射する無針注射器であって、外部供給装置が接続される充填孔と、該充填孔を介して供給される注射目的物質を収容可能な充填室と、充填室内で摺動可能なプランジャと、射出口から該注射目的物質を射出するノズル部と、を有する充填部と、射出エネルギーをプランジャに付与する駆動部とを備える。そして、外部供給装置から充填孔を介して充填室へ注射目的物質の供給が行われた該充填孔に対して、該充填孔内に存在する該注射目的物質を押圧するように栓体が挿入される。【選択図】図5

Description

本発明は、注射針を介することなく、注射目的物質を注射対象領域に注射する無針注射器に関する。
注射針を介することなく注射液を射出し、対象物に注射を行う無針注射器が広く知られている。例えば、特許文献1に示す無針注射器(インジェクタ)では、圧縮空気により駆動されるピストンの力を利用して、カートリッジ内に封入されている注射液の射出が行われる。具体的には、インジェクタの先端にカートリッジが取り付けられる。カートリッジには、例えば、充填室の一端開口部にピストンシールが取り付けられており、他端部には射出用の流路であるオリフィスが設けられている。そして、カートリッジの側方には充填室に連通する充填通路が形成されており、充填液を充填するときには、ピストンシールを最遠位端に位置させた状態で充填を行い、その後、充填通路を塞ぐようにピストンシールを移動させる。この状態で、圧縮空気による加圧が行われ、注射液が射出されることになる。
米国特許第6213980号明細書
従来技術によれば、無針注射器において、充填室に注射液を充填し、その後、ピストンシールを移動させて、充填に使用した充填通路を塞ぐ準備完了状態を形成した上で、圧縮空気により射出のためのエネルギー付与が行われることになる。ここで、このような従来技術の構成では、ピストンシールを最遠位端に置いた状態で充填室に充填液を満たした後、準備完了状態に至るまで該ピストンシールを進めると、射出用のオリフィスの径よりも充填通路の径が十分に大きいため、注射液の一部が充填通路を通って外部に漏れ出しやすく、注射液の浪費や周囲の汚染を招いてしまう。
従来技術の構成に従って準備完了状態を形成した場合、上記のように充填通路に注射液が移動しやすく、オリフィス側への注射液の移動は生じにくい。このため、オリフィスの先端部分には空気が残ったままの状態である可能性が高い。一般に無針注射器では、注射液に外部から高エネルギーを付与することで、注射液を対象物に向かって射出させるが、オリフィスの先端部分に多くの空気が残っていると、注射液の射出状態を、対象物への注射が好適に行い得る状態に制御しにくくなり、例えば、注射液を対象物の正しい位置(深さ)へ到達させることが困難となるものと考えられる。
そこで、本発明は、上記した問題に鑑み、無針注射器において注射液等の注射目的物質の充填が容易であり、また注射準備の際に注射目的物質の漏出が生じにくく、更には充填後の充填室に残った空気を容易に外部に排出することができるよう、取り扱いが簡単な無針注射器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、注射針を介することなく注射目的物質(例えば、注射液)を射出する無針注射器において、外部から注射目的物質の充填を行う充填孔に対して、充填後に栓体を挿入し注射目的物質を封入する構成を採用する。このとき、栓体
で充填孔内の注射目的物質を押圧し、それを押し込むことで、注射目的物質の漏出や空気残存の抑制を図ることが可能となる。
具体的には、本発明は、注射針を介することなく、注射目的物質を射出することによって該注射目的物質を注射対象領域に注射する無針注射器であって、前記注射目的物質を保持している外部供給装置が接続される充填孔と、該充填孔を介して該外部供給装置から供給される該注射目的物質を収容可能な充填室と、該充填室内で摺動可能なプランジャと、該プランジャの摺動により加圧された該充填室内の該注射目的物質が流れ該充填室よりも内径が細い流路を含み、該流路の先端に形成された射出口から該注射目的物質を射出するノズル部と、を有する充填部と、前記注射目的物質を前記ノズル部から射出するための射出エネルギーを前記プランジャに付与する駆動部と、を備える。そして、前記充填孔は、前記外部供給装置が接続可能となるように前記充填部の側面に開口し、その開口部から前記充填室に向かって形成されることで前記充填室と連通している。また、前記外部供給装置から前記充填孔を介して前記充填室へ前記注射目的物質の供給が行われた該充填孔に対して、該充填孔内に存在する該注射目的物質を押圧するように栓体が挿入されることで、該充填孔が封止される。
本発明に係る無針注射器において、駆動部は、注射目的物質に当該エネルギーを伝えることが可能であれば、エネルギー源としては、様々な公知のエネルギー発生態様を採用することができる。例えば、点火装置によって点火される点火薬や、燃焼によりガスを発生させるガス発生剤を採用することができる。また、上記以外の駆動部の態様として、バネ等の弾性部材のエネルギーや圧縮ガスのエネルギーの開放を、注射目的物質の射出エネルギーとして利用してもよい。あるいは電源回路からの電圧印加によって駆動される電磁バルブやソレノイドアクチュエータ等を利用してもよく、またこれらの駆動源によって付勢バネで固定されているピストンを係止状態から開放し、蓄積されていた付勢バネの弾性エネルギーを、射出エネルギーとして利用してもよい。
なお、火薬の燃焼エネルギーを射出エネルギーとして利用する場合、点火薬としては、例えば、ジルコニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬、水素化チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬、チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬、アルミニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬、アルミニウムと酸化ビスマスを含む火薬、アルミニウムと酸化モリブデンを含む火薬、アルミニウムと酸化銅を含む火薬、アルミニウムと酸化鉄を含む火薬のうち何れか一つの火薬、又はこれらのうち複数の組み合わせからなる火薬であってもよい。これらの点火薬の特徴としては、その燃焼生成物が高温状態では気体であっても常温では気体成分を含まないため、点火後燃焼生成物が直ちに凝縮を行う結果、本発明の注射器を生体に対する注射に用いた場合、生体の注射対象領域のより浅い部位への効率的な注射が可能となる。また、ガス発生剤の発生エネルギーを射出エネルギーとして利用する場合、ガス発生剤としては、シングルベース無煙火薬や、エアバッグ用ガス発生器やシートベルトプリテンショナ用ガス発生器に使用されている各種ガス発生剤を用いることも可能である。
上記駆動部による射出エネルギーはプランジャに伝えられ、プランジャが充填室内を摺動することで、充填室に収容されている注射目的物質がノズル部に形成された流路に沿って押し出され、最終的に射出口から注射対象領域に向けて射出される。ここで、本発明に係る無針注射器では、充填室には当初から注射目的物質が収容されているのではなく、ユーザによる無針注射器の使用に際して、外部供給装置から注射目的物質が充填孔を介して充填室に供給される。このように、充填室への充填操作を必要とする構成を採用することで、必要とする任意の注射目的物質を、無針注射器を利用して注射することが可能となり、無針注射器の利便性は向上する。なお、充填孔は、充填部の側面に開口し、そこから充填室に貫通するように形成される。そのため、外部供給装置と充填孔との接続が容易となり、これも利便性の向上に資する。
一方で、上記のように外部供給装置から充填孔に注射目的物質を供給する場合、当該充填孔及び充填室に注射目的物質が存在することになる。なお、駆動部からプランジャに対して射出エネルギーが付与された際に充填孔が開口したままの状態であると、当然に、充填室内の注射目的物質が、充填孔の開口部から噴出することになる。そこで、本発明に係る無針注射器においては、外部供給装置からの注射目的物質の供給が行われた充填孔に対して栓体が挿入され、注射目的物質の外部への噴出が規制されることになる。そして、この栓体が充填孔に挿入される際には、充填孔内に存在する該注射目的物質を押圧するように該挿入が行われる。すなわち、栓体が挿入される際に、栓体の先端部が、充填孔内に存在する注射目的物質と接触しながら充填孔内を進んでいく。この結果、充填され充填孔に存在している注射目的物質は、充填孔の開口部側に戻ることなく充填室側に押し出されることになる。
このとき、ノズル部に形成され充填室ともつながっている流路は、射出口で無針注射器の外部に開口しているため、充填孔の注射目的物質が押し出されることで、外部供給装置から注射目的物質が供給された後に充填室内に残っていた空気(残存空気)を射出口から排出することが可能となる。この結果、駆動部からプランジャを介して射出エネルギーが付与された注射目的物質の射出を制御しやすくなり、以て、注射対象領域により正確に注射目的物質を到達させることが可能となる。なお、好ましくは、上記無針注射器において、前記栓体が前記充填孔に挿入された際に該栓体が前記注射目的物質を前記充填室側に押し込んだ該注射目的物質の所定容積は、前記外部供給装置から該充填孔を介して該充填室へ前記注射目的物質の供給が行われた該充填室において形成される、残存空気の容積以上に設定される。これにより、充填室内の残存空気を好適に排出することができ、無針注射器の注射性能の更なる向上を図ることができる。なお栓体を充填孔にはめ込む際に空気が入っても、充填部を傾けることで流路部分に空気を移動させることで、同様に残存空気を排出することが出来る。
なお、本発明に係る無針注射器においては、注射目的物質は、注射対象領域の目的部位で効能が期待される成分を含むものである。そのため、少なくとも駆動部によるエネルギーでの射出が可能であれば、収容部における注射目的物質の収容状態や、液体やゲル状等の流体、粉体、粒状の固体等の注射目的物質の具体的な物理的形態は問われない。たとえば、注射目的物質は液体であり、また固体であっても射出を可能とする流動性が担保されればゲル状の固体であってもよい。そして、注射目的物質には、目的部位に送り込むべき成分が含まれ、当該成分は注射目的物質の内部に溶解した状態で存在してもよく、又は当該成分が溶解せずに単に混合された状態であってもよい。一例を挙げれば、送りこむべき成分として、抗体増強のためのワクチン、美容のためのタンパク質、毛髪再生用の培養細胞等があり、これらが射出可能となるように、液体、ゲル状等の流体に含まれることで注射目的物質が形成される。
ここで、上述までの無針注射器において、前記栓体は、前記充填孔に挿入された際に、該栓体の先端に該充填孔の内周壁と非接触状態で、該充填孔内に延びる延在部を有してもよい。このように構成される延在部を栓体が有することで、延在部の容積分だけ更に、充填孔内に存在している注射目的物質を充填室側に押圧することができる。そして、栓体の基端は充填孔を封止するためにその内周壁と接触しているが、延在部は当該内周壁に対して非接触状態であるため、延在部に対して摩擦力が作用せず、ユーザによる栓体の挿入負荷を過度に高めてしまうことを回避することができる。
また、上述までの無針注射器において、前記充填部は、その側面から突出し、前記充填孔が配置されている突出部を有してもよく、その場合、前記栓体は、該栓体の外側端面が前記突出部の端面と面一の状態となるまで前記充填孔に挿入される。このように充填部の
側面に突出部を設け、その突出部内に充填孔を配置することで、充填孔内の容積を比較的大きく設定することができる。これにより、栓体自体も大きくでき、以て、栓体を充填孔に挿入した際に、充填室側に押し出す注射目的物質量をより多くすることができる。この結果、栓体挿入により、充填室内の残存空気をより確実に排出することが可能となる。また、栓体の外側端面と突出部の端面とが面一となることで、無針注射器における側方への突出量を抑制でき、その小型化を図ることが可能となる。
また、同じように前記充填部の側面に前記突出部が設置されている構成において、前記栓体は、前記充填孔に挿入される本体部と、該本体部が固定される面であって該本体部が該充填孔への挿入時に前記突出部の端面と接触する接触面を含む蓋部と、を有してもよい。このように蓋部が設けられることで、ユーザはこの蓋部を把持して栓体の本体部を充填孔に挿入できるため、挿入操作が容易となる。また、蓋部と突出部との間に何らかの係合手段を設けることで、充填孔との摩擦力だけでなく当該係合手段による係合力も利用して、栓体を充填孔に対して固定でき、駆動部による射出エネルギーの付与時に、その加圧力により栓体が充填孔から外れてしまうことを抑制することができる。
ここで、上述までの無針注射器において、前記充填部及び前記駆動部を保持する注射器本体を、更に備えてもよい。その場合、前記充填部及び前記駆動部が前記注射器本体に保持された際に、前記栓体が、該栓体の外側端面が前記注射器本体に接触する、又は、該栓体の外側端面と該注射器本体との距離が、該栓体の前記充填孔からの離脱が妨げられる所定距離となる、所定配置状態が形成されるのが好ましい。このように無針注射器が構成されることで、充填部及び駆動部が注射器本体に保持された状態では、栓体の動きが注射器本体によって妨げられることになる。そのため、駆動部による射出エネルギーの付与時に、その加圧力により栓体が充填孔から外れてしまうことを確実に抑制することができる。
また、上記無針注射器において、前記駆動部は、外部からの電力供給により火薬を燃焼させる点火装置と、該点火装置による燃焼エネルギーを前記プランジャに伝えるピストンと、を有し、前記充填部と前記駆動部は、互いを固定するための係合部を有してもよい。そして、前記係合部によって前記充填部と前記駆動部とが互いに固定された状態において、前記ピストンが前記プランジャに対して対向するように配置されてもよい。このように無針注射器が構成されることで、ユーザによる無針注射器の注射準備を簡便なものとすることができる。
また、前記注射器本体は、前記点火装置に電力供給する電源部を含んでもよい。その場合、前記充填部及び前記駆動部は、前記注射器本体に対して着脱自在に構成され、前記充填部及び前記駆動部が前記注射器本体に装着された際に、該駆動部側の電極と、該注射器本体に含まれる前記電源部側の電極とが接触した状態となってもよい。なお電源部にはスイッチを含むことが出来、電極同士が接触してもスイッチを入れない限りは作動しないようにするのが好ましい。このような構成を採用することで、ユーザは、充填部と駆動部を注射器本体に装着する操作のみで、駆動部への電力供給を可能とする状態を形成することができるため、無針注射器の操作性を向上することができる。
また、上記の無針注射器において、前記充填部及び前記駆動部が前記注射器本体に対して装着されたときに、前記所定配置状態を形成するとともに、該駆動部側の電極と前記電源部側の電極との相対位置関係を決定する、位置決め手段を有してもよい。位置決め手段によって充填部と駆動部との相対位置関係が決定され、且つ駆動部と注射器本体に配置される電源部との相対位置関係が決定されることで、ユーザにより充填部と駆動部が注射器本体に装着されると、所定配置状態の形成と、駆動部への電力供給を可能とする状態の形成が自動的に行われることになる。このことは、無針注射器の操作性向上に大きく資するものである。
また、上述までの無針注射器において、前記充填部及び前記駆動部が、前記注射器本体から脱離しないように該充填部及び該駆動部の動きを拘束する拘束部を、更に備えてもよい。この結果、ユーザは無針注射器を安定して操作することが可能となる。
無針注射器において注射液等の注射目的物質の充填が容易であり、また注射準備の際に注射目的物質の漏出が生じにくく、更には充填後の充填室に残った空気を容易に外部に排出することができる。
本発明に係る無針注射器の外観を示す図である。 本発明に係る無針注射器の概略構成を示す図である。 本発明に係る無針注射器の充填部への注射液充填に関する操作を示す図である。 本発明に係る無針注射器において、注射液の充填後における封止操作を示す図である。 図4に示す封止操作による充填室内の注射液の状態を示す第1の図である。 図4に示す封止操作による充填室内の注射液の状態を示す第2の図である。
以下に、図面を参照して本願発明の実施形態に係る無針注射器1(以下、単に「注射器1」という)について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本願発明はこの実施の形態の構成に限定されるものではない。
<注射器1の構成>
ここで、図1、図2に注射器1の概略構成を示す。図1は注射器1の外観を示す斜視図であり、図2は、注射器1のその長手方向に沿った断面図である。注射器1は、後述する充填部3と駆動部4で構成されるシリンジユニット5が、ハウジング2(注射器本体)内に装填されることで形成される。なお、本願の以降の記載においては、注射器1によって注射対象領域に注射される注射目的物質を「注射液」と総称する。しかし、これには注射される物質の内容や形態を限定する意図は無い。注射目的物質では、注射対象領域である皮膚構造体等に届けるべき成分が溶解していても溶解していなくてもよく、また注射目的物質も、加圧することでノズル16から注射対象領域に対して射出され得るものであれば、その具体的な形態は不問であり、液体、ゲル状等様々な形態が採用できる。
注射器1は、ハウジング2にシリンジユニット5が脱着自在となるように構成されている。シリンジユニット5は、注射液の射出を行う度に使い捨てられるユニットであり、一方で、ハウジング2側には、シリンジユニット5の駆動部4に含まれる点火器11に電力供給するバッテリ40が含まれている。バッテリ40からの電力供給は、配線41を介してハウジング2側の電極40aと、駆動部4の点火器11側の電極11aとの間で行われる(図2の状態では、電極40aと11aは各構成を示すため離しているが、シリンジユニット5をハウジング2に装着したときには、電極40aと11aは接触している)。またハウジング2は、バッテリ40に点火器11に供給し得る電力が残っている限りにおいて、繰り返し使用することができるユニットである。なお、ハウジング2においては、バッテリ40の電力が無くなった場合には、バッテリ40のみを交換しハウジング2は引き続き使用してもよい。また図2ではバッテリ40と点火器11が電極と配線41の間に介在する起動スイッチを省略している。
ここで、シリンジユニット5に含まれる駆動部4は、そのボディが筒状に形成され、そ
の内部に、火薬成分を燃焼させて射出のためのエネルギーを発生させる電気式点火器である点火器11を有し、点火器11によるエネルギーを充填部3側に伝えるピストン14が組み込まれた状態となっている。詳細には、駆動部4のボディは、樹脂の射出成形によって製造され、当該射出成形については、公知の方法を使用することができる。このとき、点火器11での火薬の燃焼によって生成される燃焼ガスが放出される向きに、ピストン14が位置するように、ボディにおける点火器11の位置決めがなされ、点火器11がボディと一体となるように、インサート成形される。なお、駆動部4のボディの樹脂材料としては、例えば、公知のナイロン6−12、ポリアリレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド又は液晶ポリマー等が使用できる。また、これら樹脂にガラス繊維やガラスフィラー等の充填物を含ませてもよく、ポリブチレンテレフタレートにおいては20〜80質量%のガラス繊維を、ポリフェニレンサルファイドにおいては20〜80質量%のガラス繊維を、また液晶ポリマーにおいては20〜80質量%のミネラルを含ませることができる。更に、耐熱性や耐圧性が必要な部分は金属を併用してもよい。
ここで、点火器11において用いられる点火薬として、好ましくは、ジルコニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(ZPP)、水素化チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(THPP)、チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(TiPP)、アルミニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(APP)、アルミニウムと酸化ビスマスを含む火薬(ABO)、アルミニウムと酸化モリブデンを含む火薬(AMO)、アルミニウムと酸化銅を含む火薬(ACO)、アルミニウムと酸化鉄を含む火薬(AFO)、もしくはこれらの火薬のうちの複数の組合せからなる火薬が挙げられる。これらの火薬は、点火直後の燃焼時には高温高圧のプラズマを発生させるが、常温となり燃焼生成物が凝縮すると気体成分を含まないために発生圧力が急激に低下する特性を示す。適切な注射が可能な限りにおいて、これら以外の火薬を点火薬として用いても構わない。
なお、点火器11の前方(燃焼ガスが放出される方向)には燃焼室12が形成され、その燃焼室12に繋がる、軸方向に沿って径が一定である貫通孔13が設けられている。そして、貫通孔13の残りの一端は、充填部3側へと繋がっている。そして、この貫通孔13には、金属製のピストン14が、貫通孔13内を軸方向に沿って推進可能となるように配置され、その一端が燃焼室12側を向いており、また、残りの他端は、充填部3に配置されたプランジャ15に対向している。なおピストンは樹脂でもよく、耐熱性や耐圧性が要求される部分は金属を併用してもよい。
次に、充填部3について説明する。充填部3は、注射液を収容可能な空間である充填室16aを含むノズル部16を有しているとともに、上記の通り、駆動部4と連結され一体となることで、シリンジユニット5が形成される。この充填部3と駆動部4との連結は、充填部3側のスナップフィット部材3aと駆動部4側のスナップフィット部材4aが互いに係合することで実現される。これらのスナップフィット部材によって充填部3と駆動部4が連結されると、図2に示すように、自動的に、駆動部4側のピストン14の端面と充填部3側のプランジャ15の端面が対向する、又は、両端面が接触する相対位置関係が形成される。なお、駆動部4に対して充填部3の円周方向の位置決めをする凹凸が、各々のスナップフィット部3aおよび4aに形成されていてもよい。
充填部3のボディは、駆動部4と同じ樹脂材料で形成されている。そして、そのボディの内部に形成された空間においてプランジャ15がノズル部16方向に摺動可能となるように配置されており、プランジャ15と充填部3のボディとの間に形成される空間が、注射液が収容されることになる充填室16aとなる。ここで、充填室16a内をプランジャ15が摺動することで、充填室16aに収容されている注射液が押圧されてノズル部16の先端側に設けられた流路16bより射出されることになる。そのため、プランジャ15は、充填室16a内での摺動が円滑であり、且つ、注射液がプランジャ15側から漏出し
ないような材質で形成される。具体的なプランジャ15の材質としては、例えば、ブチルゴムやシリコンゴムが採用できる。更には、スチレン系エラストマー、水添スチレン系エラストマーや、これにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンや流パラ、プロセスオイル等のオイルやタルク、キャスト、マイカ等の粉体無機物を混合したものがあげられる。さらにポリ塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーや天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムのような各種ゴム材料(特に加硫処理したもの)や、それらの混合物等を、プランジャ15の材質として採用することもできる。
なお、充填部3側のノズル部16に設けられた流路16bの内径は、充填室16aの内径よりも細く形成されている。このような構成により、点火器11での火薬の燃焼で生成された燃焼ガスにより燃焼室12内が高温高圧の状態となると、ピストン14が加圧により貫通孔13を推進し、充填室16aに収容されていた注射液がプランジャ15を介して加圧され、流路16bの射出口から外部に注射液が射出されることになる。また、ノズル部16においては、当該射出口の周囲を囲むように環状のシールド部16cが設けられている。例えば、ヒトの皮膚に射出口を押し当てて注射液の射出を行う場合、射出された注射液がその周囲に飛散しないように、シールド部16cによって遮蔽することができる。なお、射出口を皮膚に押し当てた時に皮膚がある程度凹むことで、射出口と皮膚との接触性を高め、注射液の飛散を抑制することができる。そこで、図2に示すように、射出口が位置するノズル部16の先端は、シールド部16cの端面よりも若干量突出しているのが好ましい。
なお、図2に示す燃焼室12内には、特に追加的な火薬成分は配置されていないが、ピストン14を介して注射液にかける圧力推移を調整するために、燃焼室12内に点火器11での火薬燃焼によって生じる燃焼生成物によって燃焼しガスを発生させるガス発生剤等を配置することもできる。ガス発生剤の一例としては、ニトロセルロース98質量%、ジフェニルアミン0.8質量%、硫酸カリウム1.2質量%からなるシングルベース無煙火薬が挙げられる。また、エアバッグ用ガス発生器やシートベルトプリテンショナ用ガス発生器に使用されている各種ガス発生剤を用いることも可能である。燃焼室12内に配置されるときのガス発生剤の寸法や大きさ、形状、特に表面形状を調整することで、該ガス発生剤の燃焼完了時間を変化させることが可能であり、これにより、注射液にかける圧力推移を所望の推移、すなわち注射対象領域に注射液が適切に到達し得る推移とすることができる。本発明では燃焼室12に配置される点火器11を駆動部とし、必要に応じて使用されるガス発生剤なども駆動部に含まれるものである。
また、充填部3は、図3に示すように、シリンジユニット5がハウジング2に装着される前において、ユーザにより充填室16aへの注射液の充填操作を行う必要がある。すなわち、ハウジング2への装着前の段階では、充填部3の充填室16aには注射液は存在しておらず、空洞状態となっている。そこで、充填部3への注射液の充填は、外部供給装置30が別途保持している注射液を充填室16a側へ移動させることで行われる。このように外部供給装置30から注射液を移す構成を採用することのメリットとしては、ユーザは、必要なときに必要に応じて所定種類、および所定量の注射液を選択してフレキシブルな注射処理を実現できる。このため注射液を長期間充填部に保持することがなく、衛生面での課題を排除できる。
このような注射液の充填を可能とするために、図2、図3に示すように、充填部3の側部(プランジャ15の摺動方向に沿って延在する充填部3のボディ側面部分)には、外部供給装置30から注射液を流すための充填孔19が配置された突出部17が設けられている。充填孔19は充填室16aと連通している。突出部17は、その内部に充填孔19が
形成されており、その一端は、外部供給装置30が接続可能となるように充填部3の外部に開口し、もう一端は、充填室16aに開口している。なお、外部供給装置30から注射液が充填室16aに流れ込めるように、充填孔19の充填室16a側の開口部は、使用前の状態においてプランジャ15と干渉しない位置とされる。更に、充填孔19は、第1充填孔19aと第2充填孔19bの二段構成となっており、第1充填孔19aの内径は、外部供給装置30が接続されるため、第2充填孔19bの内径よりも大きい。いずれにせよ、第1充填孔19aと第2充填孔19bの内径は、流路16bの内径よりも相当に大きい。これは、流路16bは、注射液を加圧して射出する必要があるため、その加圧状態を形成するために必要な流路内径とされる一方で、充填孔19の内径は、外部供給装置30から注射液が円滑に流れ込む必要があるため、比較的大きな内径とされる。
ここで、外部供給装置30は、図3に示すようにボディ31の内部の保持室35に注射液を保持しており、ユーザがピストン32を押圧操作することで内部の注射液を吐出させることができる。具体的には、注射液の充填に際しては、外部供給装置30の先端部33を、注射器1側の充填孔19(第1充填孔19a)側に挿入する。なお、先端部33にはストッパ34が設けられており、充填孔19に先端部33が挿入されたときに、突出部17の端面17a(図5を参照)にストッパ34が突き当り、先端部33のそれ以上の挿入が阻害される。このとき、充填孔19の深さL1(端面17aからの距離)の位置まで、先端部33が挿入された状態となる。そして、その状態で、ユーザがピストン32を押し込むことで、保持室35に保持された注射液を充填孔19側に吐出させ、その注射液が充填孔19を経て充填室16aに収容されることになる。なお、充填部3においては流路16bが開口しているため、上記注射液の充填作業において特段の労力は要しない。
そして、外部供給装置30から注射液を充填部3に供給した後は、その注射液が充填孔19から漏出しないように、図4に示すように栓体18が充填孔19に挿入されその封止が行われる。この栓体18は、ゴム等の弾性部材で形成され、図4に示すように充填孔19に挿入される本体部18aと蓋部18bを有している。蓋部18bの内側には、図2に示すようにネジが形成されており、当該ネジが突出部17の外側に形成されたネジと係合することで、本体部18aの挿入および栓体18の突出部17への固定が行われることになる。なお、本体部18aの充填孔19への挿入は、本体部18aが接続されている蓋部18bの裏面が、突出部17の端面17aに突き当たるまで行われる。
ここで、栓体18が充填孔19に挿入された状態を、図5に基づいて詳細に説明する。なお、図5においては、図面の記載を簡便にするために、栓体18の蓋部18bの記載は省略している。そして、図5の上段(a)は、外部供給装置30による充填部3への注射液の充填が完了した状態であって栓体18が挿入される前の状態を示しており、下段(b)は、栓体18の本体部18aが完全に充填孔19に挿入された状態を示している。図5(a)に示すように、注射液の充填完了直後は、充填孔19の深さL1の位置から奥、すなわち充填室16a側に注射液が存在する状態となる。これは、注射液の充填時において、外部供給装置30の先端部33が深さL1だけ充填孔19に挿入された状態で注射液の吐出が行われるからである。この状態では、比較的多くの注射液が充填孔19内に存在しているため、充填室16aの一部(図5(a)に示す状態では、流路16b近くの空間)に、空気が残存した状態となっており、その残存空気をVrで表す。
ここで、本体部18aの長さ(充填孔19に挿入される方向の長さ)は、上記深さL1よりも長いL2に設計されている。したがって、図5(b)に示すように栓体18が充填孔19に挿入されると、本体部18aは、注射液の深さL1と本体部18aの長さL2の差分ΔL(=L2−L1)に相当する量だけ注射液を充填室16a側に押圧することになる。このように押し込まれた注射液の容積ΔVは、以下の式1に従う。
ΔV = S・ΔL ・・・(式1)
ただし、Sは、第1充填孔19aの断面積である。
そして、この容積ΔVは、上記残存空気の容積Vr以上となるように、本体部18aの長さL2が設計される。なお、残存空気の容積Vrは、予め把握できる、外部供給装置30から供給される注射液の容積、充填孔19及び充填室16aの容積に基づいて算出される。保持されている注射液の容積にばらつきが存在する場合には、最も注射液の容積が少なくなるケースを考慮して、残存空気Vrの容積が採り得る最大値を利用して、本体部18aの長さL2を決定するのが好ましい。なお外部供給装置30は、図3に示すもの以外の構成であってもよい。
なお、容積ΔVが、残存空気Vrの容積より大きい場合、本体部18aが充填孔19に挿入されると、注射液の一部が流路16bの射出口から外部に漏れ出すことになる。しかし、その漏出した注射液は、ノズル16の先端から外部に出ることになるため、栓体18の挿入操作を行っているユーザ側には飛散して来ず、ユーザが飛散注射液に晒される可能性は低い。一方で、本挿入操作によって注射液が充填室16a内に完全に充填され、充填室16内の空気を完全に排除することができるため、駆動部4による加圧力を好適に注射液に伝えることができ、以て目的とする対象領域に注射液を安定して注射することが可能となる。また図4、図5に示す実施例では栓体18が突出部17に対してねじ込まれて固定されるので、作動時にプランジャ15によって注射液に圧力が掛かっても栓体18は外れることがない。
<変形例1>
上記実施例の栓体18は、本体部18aと蓋部18bから形成されていたが、その態様に代えて本体部18aのみからなる栓体18を採用してもよい。この場合、図5(b)に示す状態と同じ状態となるように、本体部18aの端面が突出部17の端面17aと面一になるまで栓体18を挿入するのが好ましい。そのように栓体18を挿入することで、当初の設計通りにΔVの注射液を充填室16a側に押し込み、上記の通り充填室16a内の残存空気Vrを排出させることが可能となる。また、面一になるまで栓体18を挿入することで、注射器1への側方への突出量を抑制でき、以て注射器1の小型化を図ることができる。
<変形例2>
図6に、栓体18の変形例を示す。当該変形例では、栓体18の本体部18aが、第1充填孔19aに接触する外径を有する第1本体部18a1と、第1本体部18a1よりも小さい外径を有する第2本体部(延在部)18a2とを有するように構成される。そして、第2本体部18a2は、充填孔19への挿入状態において、第1本体部18a1よりも充填室16a側に配置されるとともに、第1本体部18a1の長さは上記L1とされる。このように構成される栓体18が充填孔19に挿入されると、充填孔19に対する栓体18の固定は、接触している第1本体部18a1と充填孔19の内周面との間の摩擦力に委ねられる。一方で、この摩擦力は、栓体18を充填孔19に挿入する際の抵抗力となる。しかし、第2本体部18a2は充填孔19の内周面とは接触しないように設計されるため、栓体18の挿入時における抵抗力が増加することを回避できる。また、第1本体部18a1の長さがL1であるため、図6に示す形態では、第2本体部18a2が注射液を押圧することになる。したがって、第2本体部18a2が占める容積が残存空気Vrの容積より大きくなるように設計されることで、上記の通り充填室16a内の残存空気Vrを排出させることが可能となる。なお、第2本体部18a2は、その先端が充填孔19の内周面に接触しない限りにおいて、栓体18の充填孔19への挿入時に第2充填孔19bに到達するまでの長さを有していてもよい。
充填部3及び駆動部4からなるシリンジユニット5のハウジング2への装着について説明する。ハウジング2には、図1に示すようにシリンジユニット5がはまり込む空間2aが形成されており、当該空間2aに対してシリンジユニットの脱着が行われることになる。ここで、充填部3の突出部17は、シリンジユニット5の側部から突出するように位置している。そのため、図2から理解できるように、連結された充填部3と駆動部4の側面と、突出部17端面(図2に示す状態では、突出部17に挿入された栓体18の外表面)とはステップ状に位置することになる。そこで、シリンジユニット5のハウジング2への装着時には、充填部3と駆動部4の側面と、突出部17端面とのそれぞれが、ハウジング2において異なる面で支持されるように構成される。つまり空間2aにおいても突出部17の突出量に相当する凹部が形成され、ハウジング2のうち充填部3および駆動部4の側面が当接する部分に対して段差を形成している。
ここで、注射器1の前方(ノズル16が位置する方向)から見たときに、突出部17は所定の幅を有している。そこで、空間2aの突出部17が嵌まり込む部分においては、突出部17の注射器1の幅方向への移動が制限されるように、当該部分の幅(上記凹部の深さ)が決定される。したがって、ユーザにおいては、シリンジユニット5を、ハウジング2の前方から注射器1の軸方向(長手方向)にスライドさせるように滑り込ませて、ハウジング2に装着させることになる。このとき、スライドされたシリンジユニット5の後端部に位置する点火器11の電極11aは、ハウジング2側に設けられたバッテリ40側の電極40aに自動的に接触するように、両電極11a、30aの位置、あるいはシリンジユニット5とハウジング2との配向を規制する手段(例えば互いに嵌りあう凹凸を形成するなど)がそれぞれ設計されている。
このようなシリンジユニット5の装着構成によれば、ユーザは、充填部3と駆動部4をスナップフィット部材3a、4aで係合させた後に、いわば突出部17と空間2aとをガイド機構としてシリンジユニット5をハウジング2に対してスライドさせて嵌め込むことで、バッテリ40から点火器11への電力供給が可能な状態を自動的に形成することができる。なお、注射器1には、電極11a、40aが接触した状態を維持するように、スライドさせたシリンジユニット5をハウジング2に対して固定する、図示しない固定部材が設けられている。
また、図2に示す状態では、栓体18の蓋部18bの端面が、ハウジング2の空間2aの底面に概ね接触した状態となっている。この結果、仮に注射液の射出が行われたときに、注射液に掛けられた圧力によって栓体18が充填孔19から押し出されるような力が発生しても、栓体18と突出部17との間のネジによる締結力に加えて、栓体18が充填孔19から離脱することが物理的に不可能な状態、すなわち、本発明に係る所定配置状態が形成されている。このため、万が一の場合でも、栓体18による周囲への干渉を確実に抑制することができる。特に上述の変形例1や変形例2のように栓体18に蓋部がなく、本体部を充填孔19に単に押し込む場合には、作動時に栓体18の本体部18aに対して外向きに力が発生したときに、栓体18が充填孔17から抜けやすくなることから、このような固定方法は有用である。
以上より、注射器1においては、スナップフィット部材3a、4a、及び空間2aによる突出部17の幅方向での移動制限構成によって、ユーザが、充填部3及び駆動部4の連結、およびシリンジユニット5のハウジング2への挿入を行うことで、上述したようにバッテリ40から点火器11への電力供給可能状態の形成、及び所定配置状態の形成が自動的に行われることになる。したがって、スナップフィット部材3a、4a、及び当該移動制限構成は、本発明に係る位置決め手段に相当する。
なお、図2に示す構成では、上記の通りシリンジユニット5をハウジング2にスライド
させるように装着し、固定する。また、注射器1のノズル16の先端は、ハウジング2の先端面よりやや突出している。そのため、仮にユーザが手を引っ掛けるなどして、ノズル16の先端に対してシリンジユニット5を持ち上げるような力が作用してしまった場合、シリンジユニット5がハウジング2から外れてしまう可能性がある。そこで、シリンジユニット5の意図しない脱離を防止するために、例えば、図1に示す注射器の上部(シリンジユニットが露出している部分)に固定用のバンド(帯)を掛けるなど、シリンジユニット5の動きを拘束するような手段を採用してもよい。
<その他の実施例>
本願発明に係る注射器1によれば、上述した注射液を皮膚構造体に注射する場合以外にも、例えば、ヒトに対する再生医療の分野において、注射対象となる細胞や足場組織・スキャフォールドに培養細胞、幹細胞等を播種することが可能となる。例えば、特開2008−206477号公報に示すように、移植される部位及び再細胞化の目的に応じて当業者が適宜決定し得る細胞、例えば、内皮細胞、内皮前駆細胞、骨髄細胞、前骨芽細胞、軟骨細胞、繊維芽細胞、皮膚細胞、筋肉細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、腸管細胞、幹細胞、その他再生医療の分野で考慮されるあらゆる細胞を、注射器1により注射することが可能である。
さらには、特表2007−525192号公報に記載されているような、細胞や足場組織・スキャフォールド等へのDNA等の送達にも、本願発明に係る注射器1を使用することができる。この場合、針を用いて送達する場合と比較して、本願発明に係る注射器1を使用した方が、細胞や足場組織・スキャフォールド等自体への影響を抑制できるためより好ましいと言える。
さらには、各種遺伝子、癌抑制細胞、脂質エンベロープ等を直接目的とする組織に送達させたり、病原体に対する免疫を高めるために抗原遺伝子を投与したりする場合にも、本願発明に係る注射器1は好適に使用される。その他、各種疾病治療の分野(特表2008−508881号公報、特表2010−503616号公報等に記載の分野)、免疫医療分野(特表2005−523679号公報等に記載の分野)等にも、当該注射器1は使用することができ、その使用可能な分野は意図的には限定されない。
1・・・・注射器
2・・・・ハウジング
2a・・・・空間
3・・・・充填部
4・・・・駆動部
5・・・・シリンジユニット
11・・・・点火器
14・・・・ピストン
15・・・・プランジャ
16・・・・ノズル
16a・・・・充填室
16b・・・・流路
17・・・・突出部
18・・・・栓体
18a・・・・本体部
18b・・・・蓋部
19・・・・充填孔
30・・・・外部供給装置
40・・・・バッテリ

Claims (11)

  1. 注射針を介することなく、注射目的物質を射出することによって該注射目的物質を注射対象領域に注射する無針注射器であって、
    前記注射目的物質を保持している外部供給装置が接続される充填孔と、該充填孔を介して該外部供給装置から供給される該注射目的物質を収容可能な充填室と、該充填室内で摺動可能なプランジャと、該プランジャの摺動により加圧された該充填室内の該注射目的物質が流れ該充填室よりも内径が細い流路を含み、該流路の先端に形成された射出口から該注射目的物質を射出するノズル部と、を有する充填部と、
    前記注射目的物質を前記ノズル部から射出するための射出エネルギーを前記プランジャに付与する駆動部と、
    を備え、
    前記充填孔は、前記外部供給装置が接続可能となるように前記充填部の側面に開口し、その開口部から前記充填室に向かって形成されることで前記充填室と連通しており、
    前記外部供給装置から前記充填孔を介して前記充填室へ前記注射目的物質の供給が行われた該充填孔に対して、該充填孔内に存在する該注射目的物質を押圧するように栓体が挿入されることで、該充填孔が封止される、
    無針注射器。
  2. 前記栓体は、前記充填孔に挿入された際に、該栓体の先端に該充填孔の内周壁と非接触状態で、該充填孔内に延びる延在部を有する、
    請求項1に記載の無針注射器。
  3. 前記充填部は、その側面から突出し、前記充填孔が配置されている突出部を有し、
    前記栓体は、該栓体の外側端面が前記突出部の端面と面一の状態となるまで前記充填孔に挿入される、
    請求項1又は請求項2に記載の無針注射器。
  4. 前記充填部は、その側面から突出し、前記充填孔が配置されている突出部を有し、
    前記栓体は、前記充填孔に挿入される本体部と、該本体部が固定される面であって該本体部が該充填孔への挿入時に前記突出部の端面と接触する接触面を含む蓋部と、を有する、
    請求項1又は請求項2に記載の無針注射器。
  5. 前記栓体が前記充填孔に挿入された際に該栓体が前記注射目的物質を前記充填室側に押し込んだ該注射目的物質の所定容積は、前記外部供給装置から該充填孔を介して該充填室へ前記注射目的物質の供給が行われた該充填室において形成される、残存空気の容積以上に設定される、
    請求項1から請求項4の何れか1項に記載の無針注射器。
  6. 前記充填部及び前記駆動部を保持する注射器本体を、更に備え、
    前記充填部及び前記駆動部が前記注射器本体に保持された際に、前記栓体が、該栓体の外側端面が前記注射器本体に接触する、又は、該栓体の外側端面と該注射器本体との距離が、該栓体の前記充填孔からの離脱が妨げられる所定距離となる、所定配置状態が形成される、
    請求項1から請求項5の何れか1項に記載の無針注射器。
  7. 前記駆動部は、外部からの電力供給により火薬を燃焼させる点火装置と、該点火装置による燃焼エネルギーを前記プランジャに伝えるピストンと、を有し、
    前記充填部と前記駆動部は、互いを固定するための係合部を有し、
    前記係合部によって前記充填部と前記駆動部とが互いに固定された状態において、前記ピストンが前記プランジャに対して対向するように配置される、
    請求項6に記載の無針注射器。
  8. 前記注射器本体は、前記点火装置に電力供給する電源部を含む、
    請求項7に記載の無針注射器。
  9. 前記充填部及び前記駆動部は、前記注射器本体に対して着脱自在に構成され、
    前記充填部及び前記駆動部が前記注射器本体に装着された際に、該駆動部側の電極と、該注射器本体に含まれる前記電源部側の電極とが接触した状態となる、
    請求項8に記載の無針注射器。
  10. 前記充填部及び前記駆動部が前記注射器本体に対して装着されたときに、前記所定配置状態を形成するとともに、該駆動部側の電極と前記電源部側の電極との相対位置関係を決定する、位置決め手段を有する、
    請求項9に記載の無針注射器。
  11. 前記充填部及び前記駆動部が、前記注射器本体から脱離しないように該充填部及び該駆動部の動きを拘束する拘束部を、更に備える、
    請求項9又は請求項10に記載の無針注射器。
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