JP6215582B2 - 注射器、およびシリンジに注射目的物質を充填する方法 - Google Patents

注射器、およびシリンジに注射目的物質を充填する方法 Download PDF

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本発明は、注射目的物質を注射対象領域に注射する注射器、およびその注射目的物質をシリンジに充填する方法に関する。
注射器では、加圧ガスやばね等により注射液が収容された収容室に圧力を加えて注射成分を射出する構成が採られている。例えば、特許文献1は、無針注射器を開示しており、特に、薬液バイアルから無針注射器に対して薬液を移すための構成を開示している。当該構成は、薬液バイアルを収容する容器収容室を形成するホルダと中空針を備えており、容器収容室とは反対側の注射器嵌合室に無針注射器の先端部を装着している。そして注射器のピストンを下げることで注射器のシリンジ内部(注射液室)が負圧になり、バイアルから薬液がシリンジ内に入り込むことで薬液の充填が行われる。
特開平11−188094号公報
注射器における注射目的物質(注射液等)を注射する際の駆動源として、火薬成分の燃焼によって生じるエネルギーを利用する形態が挙げられる。このように火薬成分の燃焼によって発生する圧力でピストンを駆動させて注射液を射出するような注射器では、その出力(圧力)の調整を行うためのパラメータが、火薬の量、火薬の形状、火薬を充填する燃焼室の容積、火薬の燃焼速度など多岐にわたり、各パラメータが変化すると注射器の注射特性を変化させることになる。
たとえば、燃焼室に対して直接的にあるいは間接的にピストンの他端面が対向している場合、ピストンの位置によって作動前の燃焼室の空容積が変化することになる。このピストンの位置が変化することは、主として注射目的物質の射出量の違いから発生するものであり、さらには収容部であるシリンジに充填されている注射目的物質の量によって生じるものである。一般に、シリンジ内の注射目的物質を気密に維持すること、また作動時に異物が混入することを防ぐため、通常は弾性体で形成されたプランジャを介している。よって注射目的物質の量によってプランジャの位置を変更すると、ピストンの位置も変更され、上述のような課題が発生する。このため注射器の出力特性の安定化という点では、作動前のピストンやプランジャの位置が、注射目的物質の量等によって変化しないようにするのが好ましい。
上述した従来技術に係る構成は、駆動源として火薬成分を使用するものではないが、当該構成では、バイアルからの吸入量によりシリンジ内部におけるピストンの位置が変化するため、当該構成をそのまま火薬成分を駆動源として使用する注射器に適用すると、上述した課題の発生が懸念される。
また、ヒトなどの生体に対して注射を行う場合、その注射目的物質が到達すべき生体の皮膚における深さが異なる。個体差によっても皮膚の硬さなどが変化するため、同じ条件で注射を行うには、注射の再現性および薬液効果の再現性という点で、注射条件が維持されることが好ましい。つまり同一目的で類似箇所に注射を行う場合は、同一の条件で注射を行うことが好ましく、そのため注射器側の条件も一定にするのが好ましい。しかしなが
ら従来技術では、上記の通り、注射器側の条件を一定に維持することは容易ではない。
そこで、本発明は、上記した問題に鑑み、所定量の注射目的物質を容易にシリンジに移すことができ、さらに充填量によらず出力が安定した注射器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本願発明者は、特に、注射目的物質を封入するためのプランジャの構成に着目するとともに、そのプランジャを利用した注射目的物質の充填方法を考案した。まず、注射器に関する本願発明について説明する。具体的には、本発明は、注射対象領域に注射される注射目的物質を封入するシリンジと、火薬成分の燃焼により、前記シリンジに封入された前記注射目的物質に対して射出のためのエネルギーを付与する駆動部と、を備える注射器である。そして、前記シリンジは、前記シリンジの一端部に形成された、前記注射目的物質を注射対象領域に射出するためのノズルと、前記シリンジ内部に配置された弾性体からなるプランジャであって、該プランジャと前記シリンジの内壁により、前記注射目的物質を封入する密閉空間を形成するとともに、前記駆動部によって付与されるエネルギーで該シリンジの内部を前記ノズルに向かって推進可能なプランジャと、を有する。更に、前記プランジャは、前記プランジャが前記シリンジに取り付けられたときに、該シリンジの外部と内部を繋ぐように形成された貫通孔を有する胴部と、前記胴部に接続され、前記貫通孔において前記シリンジの内部に開口するシリンジ側開口部を覆うように形成された蓋部であって、該シリンジの内部に前記注射目的物質を充填するときは、充填のための所定器具が該貫通孔を経由して該シリンジの内部に挿入可能となるように開き、且つ、該注射目的物質を射出するために前記駆動部によって付与されるエネルギーで前記プランジャが推進するときは、該シリンジ内部からの荷重により、該シリンジ側開口部を封止する蓋部と、を有する。
本発明に係る注射器は、注射目的物質の射出の駆動源に火薬成分を使用するものである。そして、上記駆動部として、例えばZPP(ジルコニウムと過塩素酸カリウムの混合物からなる火薬)等の火薬成分を含む公知の電気式点火器のみでもよいし、該電気式点火器とともに公知の黒色火薬(ボロン硝石等)や公知のガス発生剤(例えばニトロセルロース系)を併用することが出来る。また、注射器としては、注射目的物質を注射対象領域に送り込む針を有する注射器であってもよいが、好ましくはそのような針がない無針注射器であってもよい。
ここで、注射目的物質はシリンジに充填され、そこに封入されるが、そのシリンジは一端部にノズルが形成され、このノズルを通って注射目的物質が射出されることになる。そして、シリンジの内部には弾性体からなるプランジャが配置されている。プランジャは駆動部のエネルギーにより、シリンジ内部を推進可能なものであって、且つ、注射器の作動前、すなわち、駆動部による当該エネルギー付与が行われる前には、所定の位置に配置され、シリンジ内部に密閉空間を気密に形成している。したがってプランジャのシリンジ内における位置は、駆動部からのエネルギーを授受可能な位置であって、且つシリンジ内を推進可能な位置であればよく、必ずしもシリンジにおいてノズルに対して反対側の他端部ちょうどに配置される必要はなく、その他端部からノズル側に寄ったシリンジ内の位置であってもよい。
上記のようにシリンジに配されるプランジャは、胴部と蓋部を有している。胴部には、シリンジに取り付けられたときにそのシリンジの内外を連通させる貫通孔、換言すれば、シリンジの軸方向の一端面側から他端面側にかけて貫通する貫通孔が形成されている。そして、貫通孔の開口部のうちシリンジの内部側に開口するシリンジ側開口部を覆うように蓋部が、胴部に対して接続されて、これによりプランジャが形成されている。そして、こ
の蓋部は、注射目的物質をシリンジ内に充填する際には所定器具の挿入によりシリンジ側開口部が開くように、且つ、注射目的物質の射出時にはプランジャの推進によって生じるシリンジ内部からの荷重によってシリンジ開口部が閉じるように、開閉可能に形成されている。よってシリンジ側開口部が開口するときには、蓋部はシリンジ内部側のみに移動する。
このようなプランジャを使用することで、プランジャの位置で決まるシリンジ内の注射目的物質を封入可能な最大容量以下であれば、プランジャの位置を変更することなく、シリンジ内部の収容空間に任意の量の注射目的物質を充填させることが可能となる。このことは、燃料成分の燃焼が行われる駆動部に対するプランジャの相対的な位置関係を変えることなく、必要量の注射目的物質を任意に調整できることを意味し、この結果、注射目的物質に対する注射器の出力特性を一定に維持することが可能であり、注射器として再現性の高い注射を実現することができる。また、注射目的物質の充填に際して、プランジャの貫通孔に所定器具を挿入、取り出すだけで、注射目的物質を密閉空間に封入することができ、その充填作業に要する労力も極めて小さいと言える。
ここで、上記の注射器において、前記蓋部は、前記胴部と一体に形成され、該蓋部の周縁部分の一部において該胴部と接続されてもよい。このようにプランジャが構成されることで、プランジャの製造を容易にでき、その製造コストを抑えることができる。
また、上述までの注射器において、前記蓋部の先端形状が、前記シリンジにおけるノズルへの流出口に対して補完される形状とするのが好ましい。シリンジはノズル部分にかけて緩やかな曲線を形成している場合がほとんどであり、プランジャがノズル側まで完全に移動したとき、すなわち射出完了時にプランジャの先端部とそのノズルへの流出口との間に空間が形成されると、その空間に注射目的物質が残留しやすい。そこで、上記のように蓋部の先端形状を形成することで、プランジャがノズル側に移動したときに、蓋部の先端形状が上記流出口に対して好適に嵌まり込み上記空間が可及的に排除され、以て、そこに残留する注射目的物質の量を少なくすることができる。なお、この点からも、蓋部が弾性体から形成されることで、プランジャがノズル側に移動したときに蓋部が流出口やその近傍の形状に合わせて好適に変形することにより上記空間を可及的に排除する形態も、上記の「補完する形状」に相当する。
ここで、上述までの注射器において、前記プランジャは、前記駆動部によって付与されるエネルギーで前記プランジャが推進するときに前記注射目的物質が該プランジャとシリンジとの間から漏出するのを防止するために設けられた複数の環状突起部を、該プランジャの外側面に有するように形成してもよい。この場合、前記複数の環状突起部は、前記注射目的物質に面するプランジャの一端面からその反対端面である他端面にわたって、前記外側面上に形成され、且つ、前記胴部における前記蓋部と該胴部との接触面が、前記複数の環状突起部のうち、前記一端面に最も近い第1突起部と該第1突起部に対して前記他端面側に隣接する第2突起部との間の環状凹部に形成されるのが好ましい。複数の環状突起部を外側面上に有するプランジャにおいて、上記の通り胴部と蓋部の接触面を画定することで、注射目的物質から見たときに、当該接触面と注射目的物質との間に、少なくとも第1突起部が存在することになる。そのため、この第1突起部が、注射目的物質が漏れ出しやすい当該接触面に対して進入することを抑制でき、以て好適な注射目的物質の射出が実現することができる。
また、胴部と蓋部の接触面の形成に関し、上記の形態に代えて、前記胴部における前記蓋部と該胴部との接触面が、前記複数の環状突起部のうち前記一端面に最も近い第1突起部に形成されるようにしてもよい。このような構成を有するプランジャでは、蓋部の厚さを可及的に薄くできるため、注射目的物質を充填するための所定器具が貫通孔に挿入され
たときに容易に蓋部を開けることが可能となる。
ここで、上述までの注射器において、前記貫通孔は、該貫通孔の中心軸が、前記胴部の中心軸に対して、該胴部と前記蓋部との接続部位とは反対側の位置に配置されてもよい。このように貫通孔を中心から偏在させることで、注射目的物質を充填するための所定器具が貫通孔に挿入されたときに、てこの原理により容易に蓋部を開けることが可能となる。
ここで、本願発明を、シリンジに注射目的物質を充填する方法の側面から捉えることもできる。具体的には、本願発明は、注射対象領域に注射される注射目的物質を封入するシリンジと、火薬成分の燃焼により、該シリンジに封入された該注射目的物質に対して射出のためのエネルギーを付与する駆動部と、を備える注射器において、該シリンジに注射目的物質を充填する方法である。そして、当該方法は、一端部に形成された、前記注射目的物質を注射対象領域に射出するためのノズルを有する前記シリンジを準備するステップと、弾性体からなり前記シリンジに取り付けられるプランジャであって、その取り付けられた状態で該シリンジの外部と内部を繋ぐように形成された貫通孔を有する胴部と、該胴部に接続され、該貫通孔において該シリンジの内部に開口するシリンジ側開口部を覆うように形成された蓋部とを有するプランジャを準備するステップと、前記プランジャと前記シリンジの内壁により、前記注射目的物質を封入する密閉空間を形成するとともに、前記駆動部によって付与されるエネルギーで該プランジャが該シリンジの内部を前記ノズルに向かって推進可能となるように、前記シリンジにおける前記一端部と反対側の他端部に該プランジャを取り付けるステップと、先端に吸引口が形成され吸引装置に繋がれたスポイトを、該先端から前記貫通孔に挿入し、前記シリンジ側開口部を覆っている前記蓋部を押し開けて、該先端を前記密閉空間に挿入するステップと、前記シリンジの前記ノズルを前記注射目的物質が充填されているバイアルに入れた状態で、前記吸引装置で前記スポイトを介して前記密閉空間内を吸引し、該密閉空間内に該注射目的物質を充填するステップと、前記スポイトを前記貫通孔から取り外し、前記蓋部によって前記シリンジ側開口部を閉じるステップと、を含む。
上記本願発明に係る充填方法では、先端に吸引口が形成され吸引装置に繋がれたスポイトを使用して、注射器のシリンジ内への注射目的物質の充填が行われる。なお、当該方法が適用される注射器については、上述した注射器に関する技術思想が適用される。そのため、本願発明に係る充填方法の説明において、注射器に関する説明は割愛する。本願発明に係る充填方法では、シリンジにプランジャを装着した後に、スポイトの先端をプランジャの胴部の貫通孔に通し、先端が蓋を押し下げるまでシリンジ内に挿入する。この状態を維持したまま吸引装置で吸引すると、シリンジ内の密閉空間の気体が吸引され負圧になる。このとき、シリンジのノズルを注射目的物質が充填されたバイアルに入れておけば、そこから所要量の注射目的物質が密閉空間に吸引することができる。そして、吸引が終了すれば、スポイトを貫通孔から外すことで蓋部が貫通孔のシリンジ側開口部を閉塞する。
このような充填方法により注射目的物質がシリンジ内に充填されると、注射目的物質の容量にかかわらずプランジャの位置には変動はない。そのため、燃焼成分の燃焼により生じるエネルギーを注射目的物質の射出に利用する注射器においては、駆動部に対するプランジャの相対的な位置関係も常に一定に維持することができ、注射器における燃焼室の容積も常に一定となることから、再現性の高い注射が可能となる。特に従来技術による充填方法では、プランジャの位置をずらしながら注射目的物質をシリンジ内部に吸引することになるので、注射目的物質の吸引量によってプランジャの位置が変化することになる。そのためそれに付随するピストンの位置も変化することになり、燃焼室の容積が変わり、駆動部の出力特性にばらつきが発生する可能性を排除できない。この点からも、本願発明に係る充填方法の有用性が理解できる。
ここで、上記本願発明に係る充填方法において、前記吸引口は、前記スポイトの前記先端において、前記挿入するステップで前記蓋部と接触する部位の周囲に位置するように設けられてもよい。スポイトの先端をプランジャの貫通孔に入れたときに、スポイトの先端が蓋部を押し下げる。このときスポイトの先端のみに吸引孔が形成されていると、蓋部と吸引口が干渉して効率的な吸引が困難となる。そこで、上記のように蓋部との接触部位を避けるようにその周囲に吸引口を設けることで、蓋部との干渉を回避でき、効率的な注射目的物質の充填が可能となる。
ここで、上述までの充填方法において、前記貫通孔は、前記シリンジ側開口部とは反対側の開口部であって、前記シリンジの外部に開口する外側開口部を有し、また、前記スポイトは、前記吸引のための管部を有するとともに、該管部の途中に板状の閉塞部が設けられてもよい。この場合、前記密閉空間内を吸引し、該密閉空間内に該注射目的物質を充填するステップにおいて、前記閉塞部により前記貫通孔の前記外側開口部を塞いだ状態で該吸引を行う。スポイトに形成された板状の閉塞部は、貫通孔の外側開口部を閉塞できる大きさであり、この閉塞部によって外側開口部を密閉する。このように外側開口部を閉塞することで注射目的物質の密閉空間への充填が確実に行える。管部は貫通孔に挿入できる一定の径を有してもよい。またスポイトを所定位置まで挿入した状態でプランジャの貫通孔と管部外周部との気密が維持できる構造としてもよい。この場合スポイトの先端から閉塞部側にかけて径を徐々に大きくし、スポイトを貫通孔に挿入するときにプランジャが移動しないようにする。なお、スポイトの閉塞部によって貫通孔の外側開口部が閉塞されていれば確実に吸引が行えるため、貫通孔の内径は、スポイトの外径よりも大きくても構わない。
上記の場合において、前記密閉空間内を吸引し、該密閉空間内に該注射目的物質を充填するステップで、前記貫通孔に前記スポイトを挿入し、前記閉塞部が記貫通孔の前記外側開口部を塞いだときに、前記スポイトの先端によって前記蓋部が押し開けられ、前記スポイトを前記貫通孔から取り外すと、前記蓋部の弾性力により、該蓋部が前記シリンジ側開口部を閉じてもよい。このように蓋部の開閉が行われることで、ユーザは、貫通孔にスポイトを挿入、取り出しをするだけで、その開閉を実現でき、以て、容易な注射目的物質の充填が実現される。
所定量の注射目的物質を容易にシリンジに移すことができ、さらに充填量によらず出力が安定した注射器を提供することが可能となる。
本発明に係る注射器の概略構成を示す図である。 図1に示す注射器に含まれるイニシエータの構成を示す図である。 図1に示す注射器に含まれるシリンジの構成の一つであるプランジャの構成を示す図である。 図1に示す注射器に含まれるシリンジの構成を示す図である。 図4に示すシリンジに注射液を充填するためのスポイトの構成を示す図である。 図5に示すスポイトを用いてシリンジに注射液を充填する流れを示す図である。 本発明に係る注射器に使用されるプランジャの構成を示す第二の図である。 本発明に係る注射器に使用されるプランジャの構成を示す第三の図である。 本発明に係る注射器に使用されるプランジャの構成を示す第四の図である。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る無針注射器1(以下、単に「注射器1」という)について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこの実施の形態の構成に限定されるものではない。
<注射器1の構成>
ここで、図1は注射器1の断面図である。なお、本願の以降の記載においては、注射器1によって注射対象領域に注射される注射目的物質を「注射液」と総称する。しかし、これには注射される物質の内容や形態を限定する意図は無い。注射目的物質では、注射対象領域である皮膚構造体等に届けるべき成分が溶解していても溶解していなくてもよく、また注射目的物質も、加圧することでノズル3aから注射対象領域に対して射出され得るものであれば、その具体的な形態は不問であり、液体、ゲル状等様々な形態が採用できる。
ここで、注射器1は、注射器本体2を有し、該注射器本体2の中央部には、その軸方向に延在し、軸方向に沿った径が一定である貫通孔7が設けられている。そして、貫通孔7の一端は、該貫通孔7の径より大きい径を有する燃焼室6に連通し、残りの一端は、注射液MLを封入しているシリンジ3側に至る。更に、燃焼室6の、貫通孔7との連通箇所とは反対側に、イニシエータ20が、該連通箇所に対向するように設置される。
ここで、イニシエータ20の例について図2に基づいて説明する。イニシエータ20は電気式の点火装置であり、表面が絶縁カバーで覆われたカップ21によって、点火薬22を配置するための空間が該カップ21内に画定される。そして、その空間に金属ヘッダ24が配置され、その上面に筒状のチャージホルダ23が設けられている。該チャージホルダ23によって点火薬22が保持される。この点火薬22の底部には、片方の導電ピン28と金属ヘッダ24を電気的に接続したブリッジワイヤ26が配線されている。なお、二本の導電ピン28は互いが絶縁状態となるように、絶縁体25を介して金属ヘッダ24に固定される。さらに、絶縁体25で支持された二本の導電ピン28が延出するカップ21の開放口は、樹脂27によって導電ピン28間の絶縁性を良好に維持した状態で保護されている。
このように構成されるイニシエータ20においては、外部電源によって二本の導電ピン28間に電圧印加されるとブリッジワイヤ26に電流が流れ、それにより点火薬22が燃焼する。このとき、点火薬22の燃焼による燃焼生成物はチャージホルダ23の開口部から噴出されることになる。そこで、本発明においては、イニシエータ20での点火薬22の燃焼生成物が燃焼室6内に流れ込むように、注射器本体2に対するイニシエータ20の相対位置関係が設計されている。また、イニシエータ用キャップ12は、イニシエータ20の外表面に引っ掛かるように断面が鍔状に形成され、且つ注射器本体2に対してネジ固定される。これにより、イニシエータ20は、イニシエータ用キャップ12によって注射器本体2に対して固定され、以てイニシエータ20での点火時に生じる圧力で、イニシエータ20自体が注射器本体2から脱落することを防止できる。
なお、注射器1において用いられる点火薬22として、好ましくは、ジルコニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(ZPP)、水素化チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(THPP)、チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(TiPP)、アルミニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(APP)、アルミニウムと酸化ビスマスを含む火薬(ABO)、アルミニウムと酸化モリブデンを含む火薬(AMO)、アルミニウムと酸化銅を含む火薬(ACO)、アルミニウムと酸化鉄を含む火薬(AFO)、もしくはこれらの火薬のうちの複数の組合せからなる火薬が挙げられる。これらの火薬は、点火直後の燃焼時には高温高圧のプラズマを発生させるが、常温となり燃焼生成物が凝縮すると気体成分を含まないために発生圧力が急激に低下する特性を示す。適切な注射が可能な限りにおいて、これら以外の火薬を点火薬として用いても構わない。
ここで、燃焼室6内には、点火薬22の燃焼によって生じる燃焼生成物によって燃焼しガスを発生させる、円柱状のガス発生剤30が配置されている。ガス発生剤30の一例としては、ニトロセルロース98質量%、ジフェニルアミン0.8質量%、硫酸カリウム1.2質量%からなるシングルベース無煙火薬が挙げられる。また、エアバッグ用ガス発生器やシートベルトプリテンショナ用ガス発生器に使用されている各種ガス発生剤を用いることも可能である。このガス発生剤30は、上記点火薬22と異なり、燃焼時に発生した所定のガスは常温においても気体成分を含むため、発生圧力の低下率は上記点火薬22と比べて小さい。さらに、ガス発生剤30の燃焼時の燃焼完了時間は、上記点火薬22と比べて長いが、燃焼室6内に配置されるときの該ガス発生剤30の寸法や大きさ、形状、特に表面形状を調整することで、該ガス発生剤30の燃焼完了時間を変化させることが可能である。これは、燃焼室6内に流れ込む点火薬22の燃焼生成物との接触状態が、ガス発生剤30の表面形状や、また燃焼室6内でのガス発生剤30の配置に起因する該ガス発生剤30と点火薬22との相対位置関係によって変化すると考えられるからである。
次に、貫通孔7には、金属製のピストン5が、貫通孔7内を軸方向に沿って推進可能となるように配置され、その一端が燃焼室6側を向いており、また、残りの他端はシリンジ3に含まれるプランジャ4に接触するように配置されている。
<シリンジ3の構成>
ここで、シリンジ3の構成について説明する。図4に、シリンジ3の概略構成をその断面図で示すとともに、図3に、シリンジ3を構成する部品の一つである上記プランジャ4の概略構成をその断面図で示す。プランジャ4は、樹脂で形成され、胴部41と蓋部43を有している。プランジャ4の材質としては、例えば、ブチルゴムやシリコンゴムが採用できる。更には、スチレン系エラストマー、水添スチレン系エラストマーや、これにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、α−オレフィン共重合体などのポリオレフィンや流パラ、プロセスオイルなどのオイルやタルク、キャスト、マイカなどの粉体無機物を混合したものがあげられる。さらにポリ塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーや天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムのような各種ゴム材料(特に加硫処理したもの)や、それらの混合物等を、プランジャの材質として採用することもできる。
また、胴部41は概ね柱状の形状を有し、その中心軸に沿って胴部41を図中の上下方向に貫通する貫通孔42が設けられている。この貫通孔42の下方向の端部をシリンジ側開口部42aと称し、上方向の端部を外側開口部42bと称する。そして、胴部41においてシリンジ側開口部42a側の接続部位44で、胴部41と蓋部43が接続されることで、プランジャ4が形成されている。このような構成により、蓋部43が接続部位44を支点として移動することで、貫通孔42のシリンジ側開口部42aを閉じたり開いたりする開閉動作が可能となる。なお、図3は、蓋部43によってシリンジ側開口部42aを閉じた状態であって、そのときの胴部41と蓋部43の接触面が、参照番号45で表されている。なお、プランジャ4は胴部41と蓋部43が一体になったものであり、図3においける下方向の蓋部43側を、本発明での一端面側とし、その反対端に位置する外側開口部42b側を、本発明での他端面側とする。
ここで、プランジャ4の具体的な製造方法について説明する。先ず、胴部41と蓋部43が完全に一体的の物として樹脂の射出成形により製造される。このとき、樹脂成形物の外側面、すなわち図3に示すプランジャ4となったときの胴部41と蓋部23の連続した外側面上に、複数の環状の突起部46が形成される。図3に示す例では、蓋部43には、上記一端面に最も近い第1環状突起部46aが形成され、胴部41には順次、第2環状突
起部46b、第3環状突起部46cが形成されている。第2環状突起部46bは第1環状特許部46aと軸方向に隣接しており、両者間に環状の凹部を形成している。そして胴部41と蓋部43の接触面45が、この環状の凹部に形成されている。更に、上記射出成形時において、樹脂成形物の中心軸に沿って貫通孔42を含む所定の深さを有する孔部も形成される。この孔部は、他端面(すなわち、上記外側開口部42bを含む端面)から、後に蓋部43となる部位であって、第1環状突起部46aと第2環状突起部46bの間の環状凹部を超えて第1環状突起部46a寄りの位置まで到達する。すなわち、当該孔部の底は、後に蓋部43となる部位に位置する。
そして、上記接触面45を形成するように、第1環状突起部46aと第2環状突起部46bの間の環状凹部から、上記樹脂成形物を切断するが、このとき接続部位44を残すようにする。この結果、樹脂成形物から胴部41と蓋部43が形成されるとともに、最終的なプランジャ4が完成する。なお、上記貫通孔42は、切断面でもある接触面45によって形成されるシリンジ側開口部42aと、外側開口部42bによって、胴部41内を貫通する孔として形成されるものである。また、本実施例では、貫通孔42を形成するために蓋部43にまで届く孔部を樹脂成形時に作成したが、その孔部の深さを、外側開口部42bから接触面45の位置までに留めることで、蓋部43に図3に示すような孔部を設けないようにしても構わない。
このように構成されるプランジャ4は、図4に示すように、プランジャ4の貫通孔42の外側開口部42bが、樹脂製、あるいはガラス製のシリンジ本体31の端部と概ね面一となるように、該シリンジ本体31の中空部分に挿入される。この中空部分は、プランジャ4が蓋部43を頭にして挿入可能となるように、且つ該プランジャが注射液MLを射出するために該中空部分を推進可能なるように、プランジャ4の大きさ、形状を考慮して設けられている。なお、プランジャ4の外側面に設けられた複数の環状突起部46は、樹脂製のため中空部分に挿入されると弾性変形し、プランジャ4とシリンジ本体31との密着度を高めることができる。特に、複数の突起部が設けられているため、注射時に加圧された注射液MLがプランジャ4とシリンジ本体31との間から漏れ出すことを抑制することができる。
このようにシリンジ本体31にプランジャ4が挿入されることで、シリンジ本体31内に注射液MLを封入するための密閉空間34が形成される。本願発明に係る注射器1では、射出すべき注射液MLの量にかかわらず、注射液MLの充填時のプランジャ4の挿入位置は図4に示す位置に維持され、そのため密閉空間34の容積も維持される。また、シリンジ本体31の先端、すなわちプランジャ4が挿入される端部とは反対側の端部には、密閉空間34に注射液MLを充填し、また、その注射液MLを外部に射出するためのノズル3aが形成されている。注射液MLの充填の詳細については後述する。
更に、シリンジ本体31においてプランジャ4が挿入される部位近傍の外周部には、プランジャ4が挿入されたシリンジ3を、注射器本体2に取り付けるためのネジ部32が形成されている。図1に示すように、ピストン5が配された注射器本体2側にも、ネジ部32に対応するネジ部が形成されており、これらにより、後述する注射液の充填方法に従って注射液MLが充填されたシリンジ3が注射器本体2に取り付けられ、注射液MLの射出可能な状態が形成される。なお、ネジ部32によりシリンジ3を注射器本体2に取り付けると、注射器本体2に配されているピストン5の端面が、シリンジ3内のプランジャ4に接触した状態になるか、もしくはわずかな隙間を挟んでピストン5の端面がプランジャ4に対向した状態になる。
<スポイトの構成>
次に、シリンジ本体31にプランジャ4が挿入された状態で、すなわち、図4に示す状
態で、密閉空間34への注射液の充填について説明する。上述したように、注射液MLの充填時のプランジャ4の挿入位置は、図4に示す位置に維持される。このようなシリンジ3において注射液MLを充填するための所定器具として、図5に示すスポイト50が使用される。図5(a)はスポイト50の斜視図であり、図5(b)はその断面図である。スポイト50は、その先端に設けられた吸引口55と繋がる吸引通路54を含む管部53を有している。この管部53は、ピペッターやピペットポンプ等の吸引装置に繋がれており、吸引口55と吸引通路54を介して、管部53の先端から空気の吸引が可能となっている。
また、吸引口55は、管部53の先端における最先端位置P1に設けられるとともに、その最先端位置P1から離れた管部53の外周部分P2にも、90度間隔で4つ設けられている。このように複数の吸引口55を設けることで、後述するように注射液MLの充填時における吸引を確実に行うことができる。更に、管部53において、全部の吸引口55よりも管部53の基端側(先端側とは反対の側)に位置する部位に、円板状の円板部51と、該円板部51の、管部53の先端寄りの面に樹脂部材が一体的に貼り付けられて形成されたシール部52が設けられ、本発明の閉塞部を形成している。この円板部51およびシール部52も、後述するように注射液MLの良好な充填に寄与するものである。
<注射液MLの充填方法>
次に、スポイト50を用いた注射液MLの充填方法について、図6に基づいて説明する。先ず、図6(a)に示すように、シリンジ本体31にプランジャ4を挿入した状態(図4に示す状態)において、外側開口部42bが露呈しているプランジャ4の貫通孔42に、スポイト50の先端を挿入する。スポイト50の先端が、プランジャ4の蓋部43の内面に接触すると、スポイト50の管部53に設けられたシール部52が、貫通孔42の外側開口部42bを閉塞するようにプランジャ4に接触するまで、更にスポイト50を押し込む。この結果、図6(b)に示すように、接続部位44を介して胴部41に接続されている蓋部43は、その接続部位44を支点として開き、貫通孔42と密閉空間34が連通された状態となる。この状態においては、スポイト50の先端に位置する複数の吸引口55が、密閉空間34に露呈された状態となる。特に、最先端位置P1に設けられた吸引口55は、蓋部43の内面と接触する可能性があるため、その蓋部43によって吸引が阻害される可能性があるが、外周部分P2に設けられた吸引口55はそのような蓋部43との接触の可能性は極めて低い。そのため、スポイト50による吸引を好適に行い得る状態が形成されている。
そして、この図6(b)に示す状態において、シリンジ3の先端に位置するノズル3aを注射液MLのバイアルの中に沈めた状態で、スポイト50を介して密閉空間34内の空気を吸引する。その結果、図6(c)に示すように密閉空間34内が負圧状態となり、ノズル3aを介して密閉空間34内に注射液MLが充填されていく。そして、注射目的に応じた量の注射液MLが充填された時点で、スポイト50による吸引を停止することで、必要量の注射液MLの、シリンジ3への充填が終了する。この一連の注射液MLの充填において、シリンジ3のプランジャ4の位置は一切変動せず、また、密閉空間34内に充填される注射液MLの量にかかわらず、プランジャ4の位置を変動させる必要はないことが、十分に理解できる。
注射液MLの充填が完了すると、貫通孔42に挿入されていたスポイト50が取り外される。ここで、蓋部43と胴部41は弾性力を有する樹脂部材で形成されているため、スポイト50が取り外されると、その接続部位44における弾性力によって、蓋部43は貫通孔42のシリンジ側開口部42aを塞ぐように、図6(a)に示す元の位置に戻っていく。
このように注射液MLが充填されたシリンジ3は、シリンジ本体31のネジ部32により注射器本体2に取り付けられる。そして、注射液の射出のためにイニシエータ20が作動すると、そこで生じた燃焼ガス、および連鎖的に燃焼するガス発生剤30によって生じた燃焼ガスが、燃焼室6内に充満し、その燃焼室6内の圧力によりピストン5がシリンジ3側に推進し始める。その結果、ピストン5によってプランジャ4が押し込まれ、密閉空間34内に充填されている注射液MLがノズル3aから射出されることになる。このようにプランジャ4がピストン5に押されて、シリンジ本体31内を推進している状態が、図6(d)に記載されている。このとき、プランジャ4の推進にともなって、密閉空間34内の圧力が上昇する。この上昇圧力は、注射液MLを加圧するとともに、プランジャ4の推進を妨げる方向に作用するが、当該上昇圧力は、プランジャ4の蓋部43を胴部41に押しつけるようにも作用する。この結果、胴部41と蓋部43の接触面45における密閉性が高められ、射出時に注射液MLが、この接触面45から貫通孔42を通って漏れ出すのを抑制することができる。なお図6においては、蓋部43の上面(貫通孔42に面する側)に形成された貫通孔42に連続する窪みの底面が、接続部位44から半径方向反対部分にかけて傾斜しており、スポイト50を挿入したときに最先端位置P1によって蓋部43が開きやすいようになっている。
また、プランジャ4の蓋部43の外表面(プランジャ4の一端面側の表面)は、密閉空間34のノズル3aにかけた流出口33(図4を参照)の形状を、補完する形状となっている。すなわち、蓋部43の外表面の形状と流出口33の形状は概ね一致する形状となっている。そのため、注射液MLの射出の完了時において、密閉空間34に取り残される注射液量を可及的に少なくすることができる。
このように構成される注射器1では、注射液MLの射出すべき量にかかわらず、シリンジ3におけるプランジャ4の位置は維持される。そして、スポイト50を用いた上記注射液MLの充填方法によれば、このようなシリンジ3に対して、好適に所望の量の注射液MLを充填できる。これらのことは、シリンジ3が注射器本体2に取り付けられ、注射液MLの射出が可能となった状態において、燃焼室6の容積を変更するものではないから、注射液MLの量にかかわらず常に一定の、イニシエータ20による加圧条件を容易に再現することができる。
<変形例1>
ここで、プランジャ4の第一の変形例について、図7に基づいて説明する。図7に示す変形例では、接触面45を、プランジャ4のシリンジ装着時に注射液MLに最も近い第1環状突起部46aの近傍に形成する。このとき、貫通孔42のシリンジ側開口部42aは、接触面45と面一に位置する。このような構成では、蓋部43の厚みが比較的薄くなる。そのため、図6(b)に示すようにスポイト50が貫通孔42に挿入されて蓋部43を開こうとするとき、蓋部43がシリンジ本体31の内壁面、すなわちプランジャ4が挿入されている中空部分の内壁面に干渉しにくくなるため、密閉空間34の吸引および図6(d)に示すような蓋部43の復元を円滑に行うことができる。
<変形例2>
更に、プランジャ4の第一の変形例について、図8に基づいて説明する。図8に示す変形例では、胴部41と蓋部43の接触面45がステップ状に形成される。具体的には、貫通孔42は、外側開口部42bから第1環状突起部46a近傍に至るまで延びており、そして、貫通孔42のシリンジ側開口部42aは、接触面45と面一に位置する。そして、接触面45の一部は、貫通孔42の側方でステップ状に形成され、第1環状突起部46aと第2環状突起部46bとの間の環状凹部に至っている。このような構成では、接触面45がステップ状に形成されているため、図6(d)に示すように蓋部43が復元したときに蓋部43と胴部41との接触面積が増え、注射液MLの漏出を効果的に抑制することが
できる。また、接触面45の一端が、第1環状突起部46aと第2環状突起部46bとの間の環状凹部に至っているため、プランジャ4の推進時に第1環状突起部46aの後方に接触面45が位置することになるため、第1環状突起部46aによる注射液漏出の抑制効果も重ねて享受することができる。
<変形例3>
更に、プランジャ4の第一の変形例について、図9に基づいて説明する。図9に示す変形例では、図3に示すプランジャ4と比較して、胴部41内に形成されている貫通孔42の中心軸L2の位置を、胴部41の中心軸L1よりΔXだけ、中心軸L1に対して接続部位44とは反対の方向に位置させている。このような構成では、スポイト50を挿入して接続部位44を支点として蓋部43を開くとき、図3に示すように中心軸L2が中心軸L1と重なっている場合と比べて、てこの原理により蓋部43を容易に開くことができる。なお、変位量ΔXは、プランジャ4の強度等を考慮して適宜設定すれば良い。
<その他の実施例>
本発明に係る注射器1によれば、上述した注射液を皮膚構造体に注射する場合以外にも、例えば、ヒトに対する再生医療の分野において、注射対象となる細胞や足場組織・スキャフォールドに培養細胞、幹細胞等を播種することが可能となる。例えば、特開2008−206477号公報に示すように、移植される部位及び再細胞化の目的に応じて当業者が適宜決定し得る細胞、例えば、内皮細胞、内皮前駆細胞、骨髄細胞、前骨芽細胞、軟骨細胞、繊維芽細胞、皮膚細胞、筋肉細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、腸管細胞、幹細胞、その他再生医療の分野で考慮されるあらゆる細胞を、注射器1により注射することが可能である。
さらには、特表2007−525192号公報に記載されているような、細胞や足場組織・スキャフォールド等へのDNA等の送達にも、本発明に係る注射器1を使用することができる。この場合、針を用いて送達する場合と比較して、本発明に係る注射器1を使用した方が、細胞や足場組織・スキャフォールド等自体への影響を抑制できるためより好ましいと言える。
さらには、各種遺伝子、癌抑制細胞、脂質エンベロープ等を直接目的とする組織に送達させたり、病原体に対する免疫を高めるために抗原遺伝子を投与したりする場合にも、本発明に係る注射器1は好適に使用される。その他、各種疾病治療の分野(特表2008−508881号公報、特表2010−503616号公報等に記載の分野)、免疫医療分野(特表2005−523679号公報等に記載の分野)等にも、当該注射器1は使用することができ、その使用可能な分野は意図的には限定されない。
1・・・・注射器
2・・・・注射器本体
3・・・・シリンジ
4・・・・プランジャ
5・・・・ピストン
6・・・・燃焼室
7・・・・貫通孔
20・・・・イニシエータ
30・・・・ガス発生剤
31・・・・シリンジ本体
32・・・・ネジ部
34・・・・密閉空間
41・・・・胴部
42・・・・貫通孔
42a・・・・シリンジ側開口部
42b・・・・外側開口部
43・・・・蓋部
44・・・・接続部位
45・・・・接触面
46a・・・・第1環状突起部
46b・・・・第2環状突起部
46c・・・・第3環状突起部
50・・・・スポイト
51・・・・円板部
52・・・・シール部
53・・・・管部
54・・・・吸引通路
55・・・・吸引口

Claims (11)

  1. 注射対象領域に注射される注射目的物質を封入するシリンジと、
    火薬成分の燃焼により、前記シリンジに封入された前記注射目的物質に対して射出のためのエネルギーを付与する駆動部と、
    を備える注射器であって、
    前記シリンジは、
    前記シリンジの一端部に形成された、前記注射目的物質を注射対象領域に射出するためのノズルと、
    前記シリンジ内部に配置された弾性体からなるプランジャであって、該プランジャと前記シリンジの内壁により、前記注射目的物質を封入する密閉空間を形成するとともに、前記駆動部によって付与されるエネルギーで該シリンジの内部を前記ノズルに向かって推進可能なプランジャと、
    を有し、
    前記プランジャは、
    前記プランジャが前記シリンジに取り付けられたときに、該シリンジの外部と内部を繋ぐように形成された貫通孔を有する胴部と、
    前記胴部に接続され、前記貫通孔において前記シリンジの内部に開口するシリンジ側開口部を覆うように形成された蓋部であって、該シリンジの内部に前記注射目的物質を充填するときは、充填のための所定器具が前記貫通孔を経由して該シリンジの内部に挿入可能となるように開き、且つ、該注射目的物質を射出するために前記駆動部によって付与されるエネルギーで前記プランジャが推進するときは、該シリンジ内部からの荷重により、該シリンジ側開口部を封止する蓋部と、
    を有し、
    前記シリンジの内部に前記注射目的物質を充填するとき、該シリンジにおける前記プランジャの位置は変動しない、
    注射器。
  2. 前記蓋部は、前記胴部と一体に形成され、該蓋部の周縁部分の一部において該胴部と接続されている、
    請求項1に記載の注射器。
  3. 前記蓋部の先端形状は、前記シリンジにおけるノズルへの流出口に対して補完される形状である、
    請求項1又は請求項2に記載の注射器。
  4. 前記プランジャは、前記駆動部によって付与されるエネルギーで前記プランジャが推進するときに前記注射目的物質が該プランジャとシリンジとの間から漏出するのを防止するために設けられた複数の環状突起部を、該プランジャの外側面に有し、
    前記複数の環状突起部は、前記注射目的物質に面するプランジャの一端面からその反対端面である他端面にわたって、前記外側面上に形成され、
    前記胴部における前記蓋部と該胴部との接触面が、前記複数の環状突起部のうち、前記一端面に最も近い第1突起部と該第1突起部に対して前記他端面側に隣接する第2突起部との間の環状凹部に形成される、
    請求項1から請求項3の何れか1項に記載の注射器。
  5. 前記プランジャは、前記駆動部によって付与されるエネルギーで前記プランジャが推進するときに前記注射目的物質が該プランジャとシリンジとの間から漏出するのを防止するために設けられた複数の環状突起部を、該プランジャの外側面に有し、
    前記複数の環状突起部は、前記注射目的物質に面するプランジャの一端面からその反対端面である他端面にわたって、前記外側面上に複数形成され、
    前記胴部における前記蓋部と該胴部との接触面が、前記複数の環状突起部のうち前記一端面に最も近い第1突起部に形成される、
    請求項1から請求項3の何れか1項に記載の注射器。
  6. 前記貫通孔は、該貫通孔の中心軸が、前記胴部の中心軸に対して、該胴部と前記蓋部との接続部位とは反対側の位置に配置される、
    請求項1から請求項5の何れか1項に記載の注射器。
  7. 注射対象領域に注射される注射目的物質を封入するシリンジと、火薬成分の燃焼により、該シリンジに封入された該注射目的物質に対して射出のためのエネルギーを付与する駆動部と、を備える注射器において、該シリンジに注射目的物質を充填する方法であって、
    一端部に形成された、前記注射目的物質を注射対象領域に射出するためのノズルを有する前記シリンジを準備するステップと、
    弾性体からなり前記シリンジに取り付けられるプランジャであって、その取り付けられた状態で該シリンジの外部と内部を繋ぐように形成された貫通孔を有する胴部と、該胴部に接続され、該貫通孔において該シリンジの内部に開口するシリンジ側開口部を覆うように形成された蓋部とを有するプランジャを準備するステップと、
    前記プランジャと前記シリンジの内壁により、前記注射目的物質を封入する密閉空間を形成するとともに、前記駆動部によって付与されるエネルギーで該プランジャが該シリンジの内部を前記ノズルに向かって推進可能となるように、前記シリンジにおける前記一端部と反対側の他端部に該プランジャを取り付けるステップと、
    先端に吸引口が形成され吸引装置に繋がれたスポイトを、該先端から前記貫通孔に挿入し、前記シリンジ側開口部を覆っている前記蓋部を押し開けて、該先端を前記密閉空間に挿入するステップと、
    前記シリンジの前記ノズルを前記注射目的物質が充填されているバイアルに入れた状態で、前記吸引装置で前記スポイトを介して前記密閉空間内を吸引し、該密閉空間内に該注射目的物質を充填するステップと、
    前記スポイトを前記貫通孔から取り外し、前記蓋部によって前記シリンジ側開口部を閉じるステップと、
    を含む、シリンジに注射目的物質を充填する方法。
  8. 前記充填するステップにおいて、前記ノズルを前記バイアルに入れた状態で前記吸引装置で前記密閉空間内を吸引し、前記プランジャの位置を前記シリンジにおいて変動させずに該密閉空間内に該注射目的物質を充填する、
    請求項7に記載の、シリンジに注射目的物質を充填する方法。
  9. 前記吸引口は、前記スポイトの前記先端において、前記挿入するステップで前記蓋部と接触する部位の周囲に位置するように設けられる、
    請求項8に記載の、シリンジに注射目的物質を充填する方法。
  10. 前記貫通孔は、前記シリンジ側開口部とは反対側の開口部であって、前記シリンジの外部に開口する外側開口部を有し、
    前記スポイトは、前記吸引のための管部を有するとともに、該管部の途中に板状の閉塞部が設けられ、
    前記密閉空間内を吸引し、該密閉空間内に該注射目的物質を充填するステップにおいて、前記閉塞部により前記貫通孔の前記外側開口部を塞いだ状態で該吸引を行う、
    請求項7から請求項9の何れか1項に記載の、シリンジに注射目的物質を充填する方法。
  11. 前記密閉空間内を吸引し、該密閉空間内に該注射目的物質を充填するステップにおいて、前記貫通孔に前記スポイトを挿入し、前記閉塞部が記貫通孔の前記外側開口部を塞いだときに、前記スポイトの先端によって前記蓋部が押し開けられ、
    前記スポイトを前記貫通孔から取り外すと、前記蓋部の弾性力により、該蓋部が前記シリンジ側開口部を閉じる、
    請求項10に記載の、シリンジに注射目的物質を充填する方法。
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