JP6955521B2 - 注射器 - Google Patents

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Description

本発明は、注射目的物質を注射対象領域に注射する注射器に関する。
注射器において注射液を射出するための準備として、注射器内に注射液を充填する作業がある。ここで、特許文献1には、注射液室内に注射液を充填する技術が開示されている。具体的には、針無注射器50は、本体としての第1グリップ(本体)GAと第1グリップGAに対して回転摺動する第2グリップGBと、第1グリップGAの先端に捩じ込まれた着脱自在の先端ノズル51とから構成されている。ノズル51には吸引された薬液が入る注射液室(シリンダ室)52とジェット噴射口(オリフィス)53が形成されており、注射液室52の内には往復摺動できるようにピストン54が配設される。ピストン54は前記第2グリップGBに連結されており、注射液を吸引するときは、ジェット噴射口53を注射液に浸した状態で、第2グリップGBが回転操作されてピストン54が基端側に引上げられる。
また、特許文献2には、射出時に注射液を加圧するピストンを引っ張ることで注射器内に負圧の状態を形成し、ノズルから注射液を注射器内に吸い込む構成が開示されている。その際にピストンを引っ張りやすくするために、ピストンの基端側の端面から延在するロッドが設けられている。ユーザは、このロッドを把持しながらピストンを引っ張ることになる。また、特許文献3にも、ピストンの基端側の端面にロッドが設けられた構成が開示されている。
特開平11−276585号公報 特表2007−514489号公報 特表2009−525094号公報
上記特許文献1に開示の従来技術によれば、ピストン54と第2グリップGBがピストンロッド56を介して接続されており、注射液の吸引時には、第2グリップGBが基端側にねじ上げられる動きに従ってピストン54を基端側に引き上げる必要があるため、ピストン54とピストンロッド56は簡単に外れないような構成にする必要がある。このためノズル51は第1グリップGAの先端に着脱可能に取り付けられるものであるが、ピストン54の存在によりノズル51の着脱が困難となり得る。
また、上記特許文献1の開示の従来技術では、注射液室52に吸引される注射液の量は、グリップに目盛られたスケールで調整することから、その読み間違いにより正確な量の注射液の充填が困難となりやすい。また、上記特許文献2、3の開示の従来技術では、正確な量の注射液の充填に関する示唆は一切されていない。
そこで、本発明は、上記した問題に鑑み、注射器の取り扱いが容易であり、且つ注射液等の注射目的物質の充填が正確に行い得る注射器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、ピストンを有する注射器本体に、注射液を収容
する充填室を有するシリンジ部を取り付けるときに、充填室内を摺動可能なプランジャの位置が、ピストンとプランジャとの接触により該ピストンの位置を基準として決定されることで、最終的に注射器が形成された状態において充填室内に収容された注射目的物質の量が自動的に所定量とされる。そのため、ユーザは、複雑な操作を行うことなく正確に所定量の注射目的物質を注射器内に準備することが可能となる。なお、本発明に係る注射器において、「先端側」とは、注射器から注射目的物質が射出される射出口が配置されている側を意味し、「基端側」とは、注射器において先端側とは反対の側を意味するものであり、これらの文言は、特定の箇所や位置を限定的に指すものではない。
具体的には、本発明は、注射目的物質を注射対象領域に注射する注射器であって、軸方向に形成された貫通孔を有する注射器本体と、前記貫通孔内を摺動可能なピストンと、前記注射目的物質を収容可能な充填室と、該充填室内で摺動可能なプランジャと、該プランジャの摺動により加圧された該充填室内の該注射目的物質が流れ該充填室よりも内径が細い流路を含み、該流路の先端に形成された射出口から該注射目的物質を射出するノズル部と、を有するシリンジ部であって、前記注射器本体の先端側に取り付けられるシリンジ部と、火薬を燃焼させる点火装置を有し、該点火装置により生成される燃焼生成物を介して前記注射目的物質を前記ノズル部から射出するための射出エネルギーを前記ピストンを伝って前記プランジャに付与する駆動部と、を備える。そして、前記プランジャは、前記シリンジ部の前記注射器本体への取付状態において、基端側の端面から該注射器本体の前記貫通孔に配置されている前記ピストンに向かって延在するロッド部を有し、前記プランジャが前記充填室内に配置された状態で、前記ロッド部を介して該プランジャが基端側に移動されると、前記射出口を介して該充填室内に前記注射目的物質が充填されるように、前記シリンジ部は形成される。更に、前記ピストンの先端側に、前記取付状態において、前記プランジャの前記ロッド部が挿入可能な開口を有し、該ロッド部の基端側の端部が該ピストンに接触しないで収容されるように形成された収容孔が設けられ、前記取付状態において、前記ロッド部が前記収容孔に収容された状態で、前記ピストンの先端側の端面が、前記プランジャの基端側の端面と接触し該プランジャが前記射出口側に摺動可能とされ、且つ、前記貫通孔内に配置された該ピストンの位置を基準としたときに、前記充填室内における該プランジャの位置が、該充填室内の前記注射目的物質の量を所定量とする所定の位置に決定される。
本発明に係る注射器において、駆動部は、点火装置によって点火される火薬の燃焼エネルギーを射出エネルギーとして採用する。なお、火薬の燃焼エネルギーを射出エネルギーとして利用する場合、火薬としては、例えば、ジルコニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬、水素化チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬、チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬、アルミニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬、アルミニウムと酸化ビスマスを含む火薬、アルミニウムと酸化モリブデンを含む火薬、アルミニウムと酸化銅を含む火薬、アルミニウムと酸化鉄を含む火薬のうち何れか一つの火薬、又はこれらのうち複数の組み合わせからなる火薬であってもよい。これらの火薬の特徴としては、その燃焼生成物が高温状態では気体であっても常温では気体成分を含まないため、点火後燃焼生成物が直ちに凝縮を行う結果、本発明の注射器を生体に対する注射に用いた場合、生体の注射対象領域のより浅い部位への効率的な注射が可能となる。また、ガス発生剤の発生エネルギーを射出エネルギーとして利用する場合、ガス発生剤としては、シングルベース無煙火薬や、エアバッグ用ガス発生器やシートベルトプリテンショナ用ガス発生器に使用されている各種ガス発生剤を用いることも可能である。
上記駆動部による射出エネルギーはピストンを介してプランジャに伝えられ、プランジャが充填室内を摺動することで、充填室に収容されている注射目的物質がノズル部に形成された流路に沿って押し出され、最終的に射出口から注射対象領域に向けて射出される。なお、本発明に係る注射器においては、注射目的物質は、注射対象領域の目的部位で効能
が期待される成分を含むものである。そのため、少なくとも駆動部によるエネルギーでの射出が可能であれば、充填室における注射目的物質の収容状態や、液体やゲル状等の流体、粉体、粒状の固体等の注射目的物質の具体的な物理的形態は問われない。たとえば、注射目的物質は液体であり、また固体であっても射出を可能とする流動性が担保されればゲル状の固体であってもよい。そして、注射目的物質には、目的部位に送り込むべき成分が含まれ、当該成分は注射目的物質の内部に溶解した状態で存在してもよく、又は当該成分が溶解せずに単に混合された状態であってもよい。一例を挙げれば、送りこむべき成分として、抗体増強のためのワクチン、美容のためのタンパク質、毛髪再生用の培養細胞等があり、これらが射出可能となるように、液体、ゲル状等の流体に含まれることで注射目的物質が形成される。
ここで、本発明に係る注射器では、充填室には当初から注射目的物質が収容されているのではなく、プランジャが充填室内に配置されている状態で、プランジャの基端側に設けられたロッド部を介してユーザが該プランジャを基端側に引っ張ると、充填室内を負圧の状態にすることができる。これにより、射出口を有するノズルを介して注射目的物質を充填室内に吸引することができる。このように、充填室への充填操作を必要とする構成を採用することで、必要とする任意の注射目的物質を注射することが可能となる。そのため、本発明に係る注射器では、シリンジ部と注射器本体とは着脱可能に構成されている。
したがって、プランジャに設けられるロッド部は、ユーザが上記の充填操作をするために必要な形状、大きさ(長さ)を有するのが好ましい。例えば、前記プランジャが前記充填室内で最も奥側、すなわち先端側に到達したときの最奥位置にある状態において、前記ロッド部は、該ロッド部の基端側の端部が該充填室内から飛び出した位置にあるような長さを有してもよい。
そして、ユーザによる充填操作が終了すると、プランジャに設けられたロッド部は、その時点で充填室に充填されている注射目的物質の量に対応する位置に飛び出している。そして、注射器を組み立てるために、このような状態にあるシリンジ部が、ピストンが設けられている注射器本体へ取り付けられる。このとき、ピストンには収容孔が設けられており、シリンジ部の取付状態において、プランジャのロッド部の基端側の端部がピストンの収容孔に、更には収容孔の底面に接触することなく収容される。しかし、プランジャの基端側の端面とピストンの先端側の端面とは互いに接触し、取り付けによってプランジャに対して射出口側に摺動させる力が付与される。この結果、プランジャは、ピストンの位置を基準として所定の位置まで先端側に向かって摺動されることになり、以て、充填室の容量が所定量に機械的に決定されることになる。なお、収容孔はピストンの基端側まで貫通した貫通孔ではない。
すなわち、本発明に係る注射器では、ユーザによるシリンジ部と注射器本体の取付操作によって、シリンジ部側のプランジャが、注射器本体側のピストンに対して常に特定の位置、すなわち注射目的物質が所定量となる上記の所定の位置に自動的に調整されることになる。このとき、ユーザは、単に注射器を組み立てる操作をするのみであるから、その操作は極めて容易なものであり、また、プランジャの所定の位置は、注射器の組立の中で一義的に決定されるものであるから、注射目的物質の調量の精度も正確なものとなる。
ここで、上述までの注射器において、前記注射器本体には、前記ピストンが前記貫通孔内において基端側に移動することを規制する移動規制部が設けられてもよく、その場合、前記移動規制部によって決定される、前記ピストンが前記貫通孔内において最も基端側に移動し得る位置を基準として、前記プランジャに関する前記所定の位置が決定される。このように移動規制部が設けられることで、シリンジ部を注射器本体に取り付けたときに、注射器本体の貫通孔においてピストンが確実に動かないようにでき、上述したように取り
付け状態におけるプランジャの位置を、的確に所定の位置に合わせることが可能となる。
ここで、移動規制部の一例として、2つの形態を例示できる。第1の形態としては、前記注射器本体は、先端側に位置する第1本体部と、基端側に位置する第2本体部とを有するように構成されてもよい。この場合、前記第1本体部は、その内部に第1の所定径を有し前記ピストンが摺動する第1の貫通孔を有し、前記第2本体部は、その内部に前記第1の所定径より小さい第2の所定径を有し、前記点火装置によって生成される燃焼生成物が到達する第2の貫通孔を有する。そして、前記第1本体部と前記第2本体部が結合されて前記注射器本体が形成されると、前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔の結合部位に、前記移動規制部となる段差が形成される。
すなわち、第1の形態では、ピストンが摺動する第1の貫通孔と燃焼生成物が到達する第2の貫通孔の径を異ならせることで、第1本体部と第2本体部との結合部位に段差を形成させる。当該段差があることでピストンが基端側に摺動することが規制されることになる。なお、第1の貫通孔と第2の貫通孔とは必ずしも同軸上に配置される必要はなく、第2の貫通孔に燃焼生成物が到達し、その到達した燃焼生成物が有するエネルギーがピストンに伝わりピストンが摺動可能であるとともに、上記段差が形成されれば、第1の貫通孔と第2貫通孔の相対的な位置関係は任意の関係であって構わない。また、上記段差は、注射器本体の軸を中心として環状に形成されてもよく、または、ピストンの基端側への摺動が規制される限りであれば、完全な環状である必要はない。
次に、第2の形態としては、前記点火装置は前記注射器本体の基端側に配置され、そして、前記移動規制部材は、前記貫通孔内に配置され、且つ前記点火装置により生成される燃焼生成物が到達可能となるように、軸方向に延在する到達空間を有する筒状部材であって、該筒状部材の基端側の端部は前記点火装置が配置される部位に固定され、且つ、該筒状部材の先端側の端部は前記ピストンの基端側の端面に接触することで、該ピストンの基端側への移動を規制するように形成されてもよい。この場合、前記筒状部材によって前記ピストンの基端側への移動が規制されている状態において、前記到達空間の先端側の開口部は該ピストンの基端側の端面によって覆われている。
すなわち、第2の形態では、点火装置が配置される注射器本体の基端側を基準として、そこから筒状部材の長さ(当該長さは、筒状部材の基端側の端部と先端側の端部との間の距離と定義される。)だけ離れた位置にピストンを特定、すなわち当該位置からピストンが基端側へ移動しないようにその移動を規制するものである。なお、筒状部材は、その内部に到達空間を有しているため、点火装置で生成された燃焼生成物はピストンに到達可能であり、そして、到達空間の先端側の開口部を経て、当該燃焼生成物が有するエネルギーがピストンに伝わることでピストンが摺動されることになる。なお、筒状部材の長さを変えることで、ピストンの基端側への移動が規制される位置を調整でき、以て、プランジャの所定の位置を調整することが可能となる。具体的な筒状部材の断面形状は、貫通孔の断面形状と同じにしてもよい。
ここで、上述までの注射器において、前記収容孔は、前記ロッド部が前記収容孔に収容された状態で該ロッド部の側面と接触する接触部と、該ロッド部の側面と接触しない非接触部とを有し、そして、前記ロッド部が前記収容孔に収容された状態で、該収容孔の奥部が、前記非接触部と該ロッド部との間に形成された間隙を介して、該収容孔の開口部と連通していてもよい。ロッド部の収容孔への収容に当たって、接触部がロッド部の側面と接触することで、ピストンとプランジャとの一体性を高めることができ、燃焼生成物による加圧時に、燃焼生成物の燃焼エネルギーを効率的に注射目的物質の加圧に利用することができる。一方で、収容孔に非接触部を設け、収容孔の奥部と開口部とを連通することで、ロッド部が収容孔に挿入されやすくなり、上記したプランジャの所定の位置への位置決め
が的確に行われ得る。
ここで、上述までの注射器において、前記点火装置は、外部からの供給電流によって火薬が燃焼する電気着火式の点火装置であって、前記注射器本体、前記ピストン、前記シリンジ部、及び前記駆動部によって形成される注射器組立体が、前記点火装置に着火電流を供給する電源部を有する注射器ハウジングに着脱可能に取り付けられるように構成されてもよい。そして、この場合、前記注射器組立体が前記注射器ハウジングに取り付けられたときに、該注射器組立体側の前記点火装置のための給電端子と、該注射器ハウジング側の前記電源部のための給電端子が接触状態となるのが好ましい。このような構成により、注射器の組立が極めて容易となり、ユーザの利便性が向上する。
注射器の取り扱いが容易であり、且つ注射液等の注射目的物質の充填が正確に行い得る注射器を提供することができる。
本発明に係る注射器の概略構成を示す図である。 図1に示す注射器に組み込まれる注射器組立体を構成する(a)シリンジ部、(b)プランジャ、(c)ピストン、(d)注射器本体、(e)駆動部の概略構成を示す図である。 図2に示すシリンジ部にプランジャが取り付けられ、充填室内に注射液が充填された状態を示す図である。 図2に示す注射器本体に、ピストン及び駆動部が取り付けられた状態を示す図である。 図3Aに示すシリンジ部及びプランジャを、図3Bに示す注射器本体、ピストン、及び駆動部に取り付けて、注射器組立体を形成する流れを示す図である。 第2の実施例に係る注射器本体の概略構成を示す図である。 第3の実施例に係る注射器において使用される筒状部材の概略構成を示す図である。 図5に示す筒状部材が使用されて形成された注射器組立体の概略構成を示す図である。 第4の実施例に係るピストンの概略構成を示す図である。
以下に、図面を参照して本願発明の実施形態に係る注射器1について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本願発明はこの実施の形態の構成に限定されるものではない。なお、本実施例において、注射器1の長手方向における相対的な位置関係を表す用語として、「先端側」及び「基端側」を用いる。当該「先端側」は、後述する注射器1の先端寄り、すなわち射出口31a寄りの位置を表し、当該「基端側」は、注射器1の長手方向において「先端側」とは反対側の方向、すなわち駆動部7側の方向を表している。
<注射器1の構成>
ここで、図1は、注射器1の概略構成を示す図であり、注射器1のその長手方向に沿った断面図でもある。注射器1は、後述するシリンジ部3とプランジャ4とで構成されるサブ組立体(後述の図3Aを参照)と、注射器本体6とピストン5と駆動部7とで構成されるサブ組立体(後述の図3Bを参照)とが一体に組み立てられた注射器組立体10が、ハウジング(注射器ハウジング)2に取り付けられることで構成される。なお、本願の以降の記載においては、注射器1によって注射対象領域に注射される注射目的物質を「注射液
」と総称する。しかし、これには注射される物質の内容や形態を限定する意図は無い。注射目的物質では、注射対象領域である皮膚構造体等に届けるべき成分が溶解していても溶解していなくてもよく、また注射目的物質も、加圧することで射出口31aから注射対象領域に対して射出され得るものであれば、その具体的な形態は不問であり、液体、ゲル状等様々な形態が採用できる。
上記の通り、注射器組立体10は、ハウジング2に対して脱着自在となるように構成されている。注射器組立体10に含まれるシリンジ部3とプランジャ4との間に形成される充填室32(図3Aを参照)には注射液が充填され、そして、当該注射器組立体10は、注射液の射出を行う度に使い捨てられるユニットである。一方で、ハウジング2側には、注射器組立体10の駆動部7に含まれる点火器71(後述の図2を参照)に電力供給するバッテリ9が含まれている。バッテリ9からの電力供給は、ユーザがハウジング2に設けられたボタン8を押下する操作を行うことで、配線を介してハウジング2側の電極と、注射器組立体10の駆動部7側の電極との間で行われることになる。なお、ハウジング2側の電極と注射器組立体10の駆動部7側の電極とは、注射器組立体10がハウジング2に取り付けられると、自動的に接触するように両電極の形状および位置が設計されている。またハウジング2は、バッテリ9に駆動部7に供給し得る電力が残っている限りにおいて、繰り返し使用することができるユニットである。なお、ハウジング2においては、バッテリ9の電力が無くなった場合には、バッテリ9のみを交換しハウジング2は引き続き使用してもよい。
ここで、図2に基づいて、注射器組立体10を構成するシリンジ部3、プランジャ4、ピストン5、注射器本体6、駆動部7の詳細な構成について説明する。図2(a)には、シリンジ部3の構成が示され、図2(b)にはプランジャ4の構成が示されている。シリンジ部3は、注射液を収容可能な空間である充填室32を含むノズル部31を有しているとともに、充填室32内を摺動可能となるようにプランジャ4が配置される。
シリンジ部3のボディ30は、例えば、公知のナイロン6−12、ポリアリレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド又は液晶ポリマー等が使用できる。また、これら樹脂にガラス繊維やガラスフィラー等の充填物を含ませてもよく、ポリブチレンテレフタレートにおいては20〜80質量%のガラス繊維を、ポリフェニレンサルファイドにおいては20〜80質量%のガラス繊維を、また液晶ポリマーにおいては20〜80質量%のミネラルを含ませることができる。
そして、そのボディ30の内部に形成された充填室32においてプランジャ4がノズル部31方向(先端側方向)に摺動可能となるように配置され、プランジャ4とシリンジ部3のボディとの間に形成される空間が、注射液が収容される空間となる。ここで、充填室32内をプランジャ4が摺動することで、充填室32に収容されている注射液が押圧されてノズル部31の先端側に設けられた流路(射出口31a)より射出されることになる。そのため、プランジャ4は、充填室32内での摺動が円滑であり、且つ、注射液がプランジャ4側から漏出しないような材質で形成される。具体的なプランジャ4の材質としては、例えば、ブチルゴムやシリコンゴムが採用できる。更には、スチレン系エラストマー、水添スチレン系エラストマーや、これにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンや流パラ、プロセスオイル等のオイルやタルク、キャスト、マイカ等の粉体無機物を混合したものがあげられる。さらにポリ塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーや天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムのような各種ゴム材料(特に加硫処理したもの)や、それらの混合物等を、プランジャ4の材質として採用することもできる。
ここで、プランジャ4は、図2(b)に示すように、頭部41と胴部42を有し、両者の間は頭部41及び胴部42の直径よりも小さく径を有する首部43で繋がれている。このように首部43の直径を小さくするのは、シール部材となるOリングの収容空間を形成するためである。なお、頭部41の先端側の輪郭は、ノズル部31の内壁面の輪郭に概ね一致する形状となっている。これにより、注射液の射出時にプランジャ4がノズル部31側に摺動し、充填室32において最も奥に位置する最奥位置に到達したときに、プランジャ4とノズル部31の内壁面との間に形成される隙間を可及的に小さくでき、注射液の無駄を抑制することができる。ただし、プランジャ4の形状は、本発明の注射器において所望の効果が得られる限りにおいて、特定の形状に限定されるものではない。
更に、プランジャ4には、胴部42の基端側の端面から、更に基端側の方向に延在するロッド部44が設けられている。このロッド部44は胴部42と比べて十分にその直径は小さいが、ユーザが当該ロッド部44を把持して充填室32内を移動させることが可能な程度の直径を有している。また、プランジャ4がシリンジ部3の充填室32の最奥位置(最も先端側の位置)にある場合でも、ロッド部44がシリンジ部3の基端側の端面から突出し、ユーザが当該ロッド部44を把持できるように、ロッド部44の長さが決定されている。
ここで、シリンジ部3の説明に戻る。シリンジ部3側のノズル部31に設けられた流路の内径は、充填室32の内径よりも細く形成されている。このような構成により、高圧に加圧された注射液が、流路の射出口31aから外部に射出されることになる。そこで、シリンジ部3の先端側であってノズル部31の近傍には、当該射出口31aの周囲を囲むように環状のシールド部31bが設けられている。例えば、ヒトの皮膚に射出口を押し当てて注射液の射出を行う場合、射出された注射液がその周囲に飛散しないように、シールド部31bによって遮蔽することができる。なお、射出口を皮膚に押し当てた時に皮膚がある程度凹むことで、射出口と皮膚との接触性を高め、注射液の飛散を抑制することができる。そこで、図2(a)に示すように、射出口31aが位置するノズル部31の先端は、シールド部31bの端面よりも若干量突出させてもよい。
また、シリンジ部3の基端側に位置する首部33には、後述する注射器本体6とシリンジ部3とを結合するためのネジ部33aが形成されている。この首部33の直径は、ボディ30の直径よりも小さく設定されている。
次に、ピストン5及び注射器本体6について、図2(c)及び(d)に基づいて説明する。ピストン5は、点火器71で生成される燃焼生成物により加圧されて、注射器本体6のボディ60の内部に形成されている貫通孔64内を摺動するように構成されている。ここで、注射器本体6には、貫通孔64を基準として、先端側に結合凹部61が形成されている。この結合凹部61は、上記のシリンジ部3の首部33と結合する部位であり、首部33に設けられたネジ部33aと螺合するネジ部62aが、結合凹部61の側壁面62上に形成されている。また、貫通孔64と結合凹部61とは、連通部63によって繋がれているが、連通部63の直径は、貫通孔64の直径よりも小さく設定されている。また、注射器本体6には、貫通孔64を基準として、基端側に駆動部用凹部65が形成されている。
また、ピストン5は、金属製であり、第1胴部51及び第2胴部52を有している。第1胴部51が連結凹部61側に、且つ第2胴部52が駆動部用凹部65側に向くように、ピストン5は貫通孔64内に配置される。この第1胴部51及び第2胴部52が、注射器本体6の貫通孔64の内壁面と対向しながら、ピストン5は貫通孔64内を摺動する。なお、第1胴部51と第2胴部52との間は、各胴部の直径より細い連結部で繋がれており
、その結果形成される両胴部間の空間には、貫通孔64の内壁面との密着性を高めるために、Oリング等が配置される。また、ピストン5は樹脂製でもよく、その場合、耐熱性や耐圧性が要求される部分は金属を併用してもよい。
ここで、第1胴部51の先端側の端面には、第1胴部51より直径が小さく、且つ、注射器本体6の連通部63の直径よりも小さい直径を有する押圧柱部53が設けられている。この押圧柱部53には、その先端側の端面に開口し、その直径がロッド部44の直径以上であり、且つ、その深さがロッド部44の長さより深い収容孔54が設けられている。そのため、押圧柱部53は、その先端側の端面を介して、ピストン5が点火器71の燃焼生成物により加圧されたときにその加圧エネルギーをプランジャ4の胴部42の基端側の端面に伝えることが可能となる。なお、ピストン5の形状も図2(c)に記載の形状に限定されるものではない。
次に、図2(e)に基づいて、駆動部7について説明する。駆動部7は、そのボディ72が筒状に形成され、その内部に、火薬成分を燃焼させて射出のためのエネルギーを発生させる電気式点火器である点火器71を有し、点火器71によるエネルギーをピストン5の第2胴部52に伝えられるように、注射器本体6の駆動部用凹部65に取り付けられる。詳細には、駆動部7のボディは、射出成形した樹脂を金属のカラーに固定したものであってもよい。当該射出成形については、公知の方法を使用することができる。駆動部7のボディ72の樹脂材料としては、シリンジ部3のボディ30と同じ樹脂材料で形成されている。
ここで、点火器71において用いられる火薬として、好ましくは、ジルコニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(ZPP)、水素化チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(THPP)、チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(TiPP)、アルミニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(APP)、アルミニウムと酸化ビスマスを含む火薬(ABO)、アルミニウムと酸化モリブデンを含む火薬(AMO)、アルミニウムと酸化銅を含む火薬(ACO)、アルミニウムと酸化鉄を含む火薬(AFO)、もしくはこれらの火薬のうちの複数の組合せからなる火薬が挙げられる。これらの火薬は、点火直後の燃焼時には高温高圧のプラズマを発生させるが、常温となり燃焼生成物が凝縮すると気体成分を含まないために発生圧力が急激に低下する特性を示す。適切な注射が可能な限りにおいて、これら以外の火薬を火薬として用いても構わない。
また、図1に示す注射器本体6内には、特に追加的な火薬成分は配置されていないが、ピストン5を介して注射液にかける圧力推移を調整するために、点火器71での火薬燃焼によって生じる燃焼生成物によって燃焼しガスを発生させるガス発生剤等を、点火器71内や注射器本体6の貫通孔64内に配置することもできる。点火器71内にガス発生剤を配置する構成は、国際公開公報01−031282号や特開2003−25950号公報等に開示されているように既に公知の技術である。また、ガス発生剤の一例としては、ニトロセルロース98質量%、ジフェニルアミン0.8質量%、硫酸カリウム1.2質量%からなるシングルベース無煙火薬が挙げられる。また、エアバッグ用ガス発生器やシートベルトプリテンショナ用ガス発生器に使用されている各種ガス発生剤を用いることも可能である。貫通孔64内に配置されるときのガス発生剤の寸法や大きさ、形状、特に表面形状を調整することで、該ガス発生剤の燃焼完了時間を変化させることが可能であり、これにより、注射液にかける圧力推移を所望の推移、すなわち注射対象領域に注射液が適切に到達し得る推移とすることができる。本発明では、必要に応じて使用されるガス発生剤なども駆動部7に含まれるものとする。
<注射器1の組み立て>
ここで、図3A〜図3Cに基づいて、注射器組立体10の組み立て手順について説明す
る。図3Aは、シリンジ部3とプランジャ4とで構成されるサブ組立体を開示している。当該サブ組立体は、シリンジ部3の充填室32内にプランジャ4を挿入して形成される。そして、当該サブ組立体において、プランジャ4を最奥部位まで挿入した状態で、射出口31aを注射液が満たされている容器中に浸し、その状態を維持しながらプランジャ4を充填室32の開口部側、すなわちシリンジ部3の基端側まで引き戻す。このとき、充填室32内は負圧状態になるため、射出口31aより注射液が充填室32内に進入し、充填室32は注射液320によって満たされた状態になる。なお、このとき、プランジャ4の胴部42の基端側の端面が、シリンジ部3の基端側の端面より若干飛び出した位置に至るまで、プランジャ4は引き出されており、充填室32内の注射液320の量は、ユーザのプランジャ4の引き出し量に依存して、必ずしも一定の量とはなっていない。
次に、図3Bは、注射器本体6とピストン5と駆動部7とで構成されるサブ組立体を開示している。当該サブ組立体は、先ず、図2(d)に示す注射器本体6の基端側からピストン5を挿入する。このとき、押圧柱部53が結合凹部61側を向くように、ピストン5が貫通孔64に挿入される。そして、ピストン5の先端側の端面、すなわち収容孔54が開口する押圧柱部53の先端側の端面が、結合凹部61の底面(側壁面62に直交する面)より所定量飛び出した状態となるように位置決めされる。ピストン5の位置決めについては、貫通孔64内に位置決めのためのマークを設定する、位置決め用の治具を使用するなど、公知の技術を適宜利用すればよい。そして、駆動部用凹部65に駆動部7が取り付けられる。なお、ピストン5の貫通孔64における固定力は、駆動部7の点火器71による燃焼生成物から受ける圧力によっては、ピストン5が十分に円滑に貫通孔64内を摺動できる程度であり、且つ、後述するように図3Aに示すサブ組立体が、図3Bに示すサブ組立体に取り付けられる際にピストン5がプランジャ4から受ける力に対しては十分に抗し、ピストン5の位置が変動しない程度とされる。
そして、図3Aに示すサブ組立体が図3Bに示すサブ組立体に取り付けられることで、注射器組立体10が形成されるが、その形成過程が図3Cに記載されている。先ず、両サブ組立体の取り付けに当たっては、図3C(a)に示すように、プランジャ4のロッド部44がピストン5側に向いた状態で、シリンジ部3の首部33が、注射器本体6の結合凹部61に嵌め込まれ、そして、シリンジ部3と注射器本体6とをネジ部33aと62aの螺合により結合させる。このとき、両者の結合が進んでいくと、ピストン5の押圧柱部53に設けられた収容孔54内に、プランジャ4のロッド部44が進入していき収容された状態となり、最終的には、押圧柱部53の先端側の端面が、プランジャ4の胴部42の基端側の端面に接触した状態となる(図3C(b)に示す状態)。なお、収容孔54はロッド部44を収容するのに十分な大きさを有しているため、この接触状態において、収容孔54の奥の内壁面(特に、収容孔54の底面)はロッド部44の基端側の端部には接触しておらず、したがってロッド部44はピストン5側から荷重を受けてはいない。
更に、押圧柱部53と胴部42の接触状態を維持しながらシリンジ部3と注射器本体6との螺合を最終の螺合位置まで進めていくと、上記の通り、ピストン5は貫通孔64に十分な摩擦力でその位置が固定されているため、押圧柱部53によりプランジャ4が射出口31a側に進むように押され、図3C(c)に示す状態に至る。なお、図3Cに示すように、押圧柱部53と胴部42とが接触し始めてから図3Cに示す最終の螺合位置に至るまでに、プランジャ4はΔdだけ押されることになる。このようにプランジャ4が押されることで、充填室32内の注射液320の一部は、射出口31aから吐出される。
押圧柱部53と胴部42とが最終の螺合位置に到達することで注射器組立体10の形成が完了することになる。この注射器組立体10においては、注射器本体6に対してピストン5は所定の位置に位置決めされた状態であり、そのピストン5を基準としてシリンジ部3の充填室32におけるプランジャ4の位置が機械的に最終的に決定される。このプラン
ジャ4の最終的な位置は、注射器組立体10において一義的に決定される位置であるから、最終的に充填室32内に収容される注射液320の量を、予め決められた所定量とすることが可能となる。
このように注射器組立体10においては、図3Aに示したシリンジ部3における注射液の吸引を行った後は、ユーザは、図3A及び図3Bに示すサブ組立体同士を連結させるのみであり、この一連の組立操作において注射液を正確に測定する等の操作は求められない。しかし、注射器組立体10では、ユーザには厳密な注射液量の測定は求められないものの、充填室に充填される注射液の量は、正確に所定量とされることになる。そして、当該注射器組立体10はハウジング2に取り付けられて、ユーザにより射出口31aを注射対象領域に接触させられた状態でボタン8が押下されることで、ピストン5、プランジャ4を介して、注射液320が加圧され、その射出が実行されることになる。なお、収容孔54においてロッド部44の端部は内壁面に接触していないため、点火器71による加圧時にロッド部44に荷重が掛かることはなく、その破損は十分に回避される。このように注射器1では、その取扱いは極めて容易としながらも、正確な量の注射液の射出を実現することができる。
注射器1の第2の実施例について、図4に基づいて説明する。図4は、本実施例に係る注射器本体6の概略構成を示している。なお、図2に示す注射器本体6における構成要素と同一のものについては同一の参照番号を付すことで、その詳細な説明は割愛する。本実施例では、ボディ60は、第1ボディ(第1本体部)60aと第2ボディ(第2本体部)60bとで分割可能となるように形成されている。第1ボディ60a側には、連結凹部61が形成されており、第2ボディ60b側には、駆動部用凹部65が形成されている。そして、第1ボディ60aと第2ボディ60bは、互いに設けられた連結部60cによって螺合締結されて、注射器本体6が形成されることになる。また、第1ボディ60aには、ピストン5が摺動可能に収容される第1貫通孔64aが設けられ、第2ボディ60bには、点火器71による燃焼生成物が到達可能な空間としての第2貫通孔64bが設けられている。
ここで、第1貫通孔64aと第2貫通孔64bとは、注射器本体6が形成された状態において、両孔の中心軸は一致した状態となる。そして、第1貫通孔64aの直径DAは、第2貫通孔64bの直径DBよりも大きく設定されている。したがって、第1ボディ60aの基端側の端面66と、第2ボディ60bの先端側の端面67とによって、段差が形成され、当該段差は、端面67の方が貫通孔の中心に向かって高くなっている。そのため、第1貫通孔64aにピストン5が収容されると、ピストン5の基端側への移動は、当該段差がピストン5に引っ掛かることで規制されることになる。
このように構成される注射器本体6を利用した注射器1では、ピストン5を注射器本体6内に組み込む際には、第1ボディ60aと第2ボディ60bに分割された状態で、第1貫通孔64aにピストン5を挿入する。その際、ピストン5の押圧柱部53が連結凹部61側を向くように第1貫通孔64aに挿入される。その後、第1ボディ60aにピストン5が挿入された状態で、第1ボディ60aに第2ボディ60bを螺合し、更に駆動部7を駆動部用凹部65に取り付ける。なお、本実施例においては、ピストン5の第1貫通孔64aにおける固定力は、駆動部7の点火器71による燃焼生成物から受ける圧力によって、ピストン5が十分に円滑に貫通孔64内を摺動できる程度であればよい。
そして、上記のように注射器本体6にピストン5が組み込まれて形成されたサブ組立体に対して、図3Aに示すサブ組立体が取り付けられることで、注射器組立体10が形成されることになる。このとき、プランジャ4のロッド部44がピストン5の収容孔54内に
収容されて、ピストン5の押圧柱部53とプランジャ4の胴部42とが接触するが、プランジャ4から受ける力によって、ピストン5は第1貫通孔64a内を基端側に押されることになる。しかし、本実施例では、上記の段差(端面66、67によって形成される段差)によってピストン5の基端側への移動が規制される。そして、その規制された状態においては、押圧柱部53の先端側の端面は、上記の実施例と同じように、結合凹部61の底面(側壁面62に直交する面)より所定量飛び出した状態となるように、ピストン5が形成されている。この結果、注射器組立体10が形成された状態において、注射器本体6におけるピストン5の位置を基準として、シリンジ部3におけるプランジャ4の位置が機械的に決定されることになり、以て、最終的に充填室32内に収容される注射液320の量を、予め決められた所定量とすることが可能となる。
注射器1の第3の実施例について、図5及び図6に基づいて説明する。図5は、本実施例に係る注射器1で使用される筒状部材68の概略構成を示しており、図6は、筒状部材68を使用して形成される注射器組立体10の概略構成を示している。なお、図5、6に示す注射器組立体10における構成要素と同一のものについては同一の参照番号を付すことで、その詳細な説明は割愛する。本実施例が第1の実施例と異なる点は、筒状部材68によってピストン5の基端側への移動を規制する構成を採用している点であり、それ以外の点は実質的に同じである。
図5は筒状部材68の断面を示しており、筒状部材68は、先端側に開口部68bを有し基端側に開口部68eを有するとともに、外径が概ね貫通孔64の内径と同一となる側部68cを有している。この側部68cに囲まれて形成される空間が、筒状部材68の内部空間(到達空間)68fとなる。また、先端側においては、側部68cから内部空間68f側に若干量立ち上がった突部68aが形成されている。この突部68aの周縁により、開口部68bが形成されることになる。また、基端側においては、側部68cから内部空間68fとは反対側に伸びた鍔部68dが設けられている。
このように構成される筒状部材68は、注射器本体6の貫通孔64内にピストン5が挿入された後に、鍔部68dが駆動部用凹部65の段差に引っ掛けられた状態で、注射器本体6内に配置され、更に駆動部7が駆動部用凹部65に取り付けられて、注射器本体6側のサブ組立体が形成される。この結果、筒状部材68の突部68aは、駆動部用凹部65を基準として注射器本体6内で位置決めされることになる。このとき、突部68aはピストン5には接触していなくてもよい。
そして、上記のように注射器本体6にピストン5が組み込まれて形成されたサブ組立体に対して、図3Aに示すサブ組立体が取り付けられることで、注射器組立体10が形成されることになる。このとき、プランジャ4のロッド部44がピストン5の収容孔54内に収容されて、ピストン5の押圧柱部53とプランジャ4の胴部42とが接触するが、プランジャ4から受ける力によって、ピストン5は貫通孔64内を基端側に押されることになる。しかし、本実施例では、筒状部材68の突部68aによってピストン5の基端側への移動が規制される。そして、その規制された状態においては、押圧柱部53の先端側の端面は、上記の実施例と同じように、結合凹部61の底面(側壁面62に直行する面)より所定量飛び出した状態となるように、ピストン5が形成されている。この結果、注射器組立体10が形成された状態において、注射器本体6におけるピストン5の位置を基準として、シリンジ部3におけるプランジャ4の位置が機械的に決定されることになり、以て、最終的に充填室32内に収容される注射液320の量を、予め決められた所定量とすることが可能となる。
なお、注射器組立体10が注射器1に取り付けられて点火器71が駆動されると、点火
器71による燃焼生成物は、筒状部材68の開口部68eから内部空間68fに進入し、そして開口部68bを経てピストン5を押圧することになる。また、筒状部材68の側部68cの長さ、すなわち、鍔部68dと突部68aとの距離を変更することで、注射器組立体10におけるピストン5の位置を調整でき、この結果、最終的に充填室32内に収容される注射液320の所定量を調整することが可能となる。
注射器1の第4の実施例について、図7に基づいて説明する。図7は、本実施例に係るピストン5、特に押圧柱部53の概略構成を示している。本実施例では、収容孔54に、ロッド部44が収容孔54に挿入された状態において該ロッド部44の側面に接触する接触部54aと、接触しない非接触部54bが形成されている。具体的には、接触部54aは、収容孔54の断面においてその内周面から内側に突出し、且つ、収容孔54の軸方向に延在する突出部位である。収容孔54に形成される接触部54aの数は少なくとも2つであり、特定の数に限定はされない。したがって、ロッド部44の側面の一部が接触部54aと接触した状態を保ちながら、ロッド部44が収容孔54に挿入されていくことになる。なお、ロッド部44が全て収容孔54に収容された状態においても、上述までの実施例と同じように、ロッド部44の基端側の端部は収容孔54の奥の内壁面(あるいは収容孔54の底面)には接触しない。そして、その収容孔54の奥の部位は、非接触面54bを介して収容孔54の開口部に繋がっている。
このようにロッド部44が収容孔54に挿入される際に接触部54aがロッド部44の側面と接触することで、ピストン5とプランジャ4との一体性を高めることができ、点火器71からの燃焼生成物による加圧時に、燃焼生成物の燃焼エネルギーを効率的に注射液に伝達することができる。一方で、収容孔54に非接触部54bを設け、収容孔54の奥の部位と収容孔54の開口部とを連通することで、ロッド部44が収容孔54に挿入されやすくなり、注射器組立体10におけるプランジャ4の位置決めを的確に行うことが可能となる。
<その他の実施例>
本願発明に係る注射器1によれば、上述した注射液を皮膚構造体に注射する場合以外にも、例えば、ヒトに対する再生医療の分野において、注射対象となる細胞や足場組織・スキャフォールドに培養細胞、幹細胞等を播種することが可能となる。例えば、特開2008−206477号公報に示すように、移植される部位及び再細胞化の目的に応じて当業者が適宜決定し得る細胞、例えば、内皮細胞、内皮前駆細胞、骨髄細胞、前骨芽細胞、軟骨細胞、繊維芽細胞、皮膚細胞、筋肉細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、腸管細胞、幹細胞、その他再生医療の分野で考慮されるあらゆる細胞を、注射器1により注射することが可能である。
さらには、特表2007−525192号公報に記載されているような、細胞や足場組織・スキャフォールド等へのDNA等の送達にも、本願発明に係る注射器1を使用することができる。この場合、針を用いて送達する場合と比較して、本願発明に係る注射器1を使用した方が、細胞や足場組織・スキャフォールド等自体への影響を抑制できるためより好ましいと言える。
さらには、各種遺伝子、癌抑制細胞、脂質エンベロープ等を直接目的とする組織に送達させたり、病原体に対する免疫を高めるために抗原遺伝子を投与したりする場合にも、本願発明に係る注射器1は好適に使用される。その他、各種疾病治療の分野(特表2008−508881号公報、特表2010−503616号公報等に記載の分野)、免疫医療分野(特表2005−523679号公報等に記載の分野)等にも、当該注射器1は使用することができ、その使用可能な分野は意図的には限定されない。
1・・・・注射器
2・・・・ハウジング
3・・・・シリンジ部
4・・・・プランジャ
5・・・・ピストン
6・・・・注射器本体
7・・・・駆動部
8・・・・ボタン
9・・・・バッテリ
10・・・・注射器組立体
31・・・・ノズル部
32・・・・充填室
44・・・・ロッド部
53・・・・押圧柱部
54・・・・収容孔
54a・・・・接触部
54b・・・・非接触部
64・・・・貫通孔
68・・・・筒状部材
71・・・・点火器

Claims (6)

  1. 注射目的物質を注射対象領域に注射する注射器であって、
    軸方向に形成された貫通孔を有する注射器本体と、
    前記貫通孔内を摺動可能なピストンと、
    前記注射目的物質を収容可能な充填室と、該充填室内で摺動可能なプランジャと、該プランジャの摺動により加圧された該充填室内の該注射目的物質が流れ該充填室よりも内径が細い流路を含み、該流路の先端に形成された射出口から該注射目的物質を射出するノズル部と、を有するシリンジ部であって、前記注射器本体の先端側に取り付けられるシリンジ部と、
    前記注射目的物質を前記ノズル部から射出するための射出エネルギーを前記ピストンを伝って前記プランジャに付与する駆動部と、
    を備え、
    前記シリンジ部は、前記注射基本体とは着脱可能に構成されるとともに、前記プランジャの充填操作により前記射出口を介して前記充填室へ前記注射目的物質が充填されるように構成され、
    前記シリンジ部の前記注射器本体への取付操作により、前記ピストンの先端側の端面が、前記プランジャの基端側の端面と接触し該ピストンの位置が所定の固定力で固定された状態で該プランジャが前記射出口側に摺動可能とされ、且つ、前記貫通孔内に配置された該ピストンの位置を基準としたときに、前記充填室内における該プランジャの位置が、該充填室内の前記注射目的物質の量を所定量とする所定の位置に決定され、
    前記ピストンは、前記所定量に応じて前記貫通孔において調整可能に位置決めされる、
    注射器。
  2. 前記駆動部は、火薬を燃焼させる点火装置を有し、該点火装置により生成される燃焼生成物を介して前記射出エネルギーを前記ピストンを伝って前記プランジャに付与する、
    請求項1に記載の注射器。
  3. 前記注射器本体には、前記ピストンが前記貫通孔内において基端側に移動することを規制する移動規制部が設けられ、
    前記移動規制部によって決定される、前記ピストンが前記貫通孔内において最も基端側に移動し得る位置を基準として、前記プランジャに関する前記所定の位置が決定される、
    請求項1又は請求項2に記載の注射器。
  4. 前記点火装置は前記注射器本体の基端側に配置され、
    前記移動規制部材は、前記貫通孔内に配置され、且つ前記点火装置により生成される燃焼生成物が到達可能となるように、軸方向に延在する到達空間を有する筒状部材であって、該筒状部材の基端側の端部は前記点火装置が配置される部位に固定され、且つ、該筒状部材の先端側の端部は前記ピストンの基端側の端面に接触することで、該ピストンの基端側への移動を規制し、
    前記筒状部材によって前記ピストンの基端側への移動が規制されている状態において、前記到達空間の先端側の開口部は該ピストンの基端側の端面によって覆われている、
    請求項3に記載の注射器。
  5. 前記点火装置は、外部からの供給電流によって火薬が燃焼する電気着火式の点火装置であって、
    前記注射器本体、前記ピストン、前記シリンジ部、及び前記駆動部によって形成される注射器組立体が、前記点火装置に着火電流を供給する電源部を有する注射器ハウジングに着脱可能に取り付けられ、
    前記注射器組立体が前記注射器ハウジングに取り付けられたときに、該注射器組立体側の前記点火装置のための給電端子と、該注射器ハウジング側の前記電源部のための給電端子が接触状態となる、
    請求項1から請求項4の何れか1項に記載の注射器。
  6. 注射目的物質を注射対象領域に注射する注射器の組立方法であって、
    軸方向に形成された貫通孔を摺動可能なピストンであって、該貫通孔において位置決めが調整可能に構成されるピストンを有する注射器本体に、該ピストンを位置決めするステップと、
    前記注射目的物質を収容可能な充填室と、該充填室内で摺動可能なプランジャと、該プランジャの摺動により加圧された該充填室内の該注射目的物質が流れ該充填室よりも内径が細い流路を含み、該流路の先端に形成された射出口から該注射目的物質を射出するノズル部と、を有するシリンジ部であって、前記注射基本体とは着脱可能に構成されるとともに該注射器本体の先端側に取り付けられるシリンジ部を準備するステップと、
    前記プランジャの充填操作により前記射出口を介して前記充填室へ前記注射目的物質を充填するステップと、
    前記シリンジ部の前記注射器本体への取付操作により、前記ピストンの先端側の端面と前記プランジャの基端側の端面とを接触させ、該ピストンの位置が所定の固定力で固定された状態で該プランジャを前記射出口側に摺動させて前記射出口から前記注射目的物質の一部を吐出させながら、前記貫通孔内に配置された該ピストンの位置を基準としたときに、前記充填室内における該プランジャの位置を、該充填室内の前記注射目的物質の量を所定量とする所定の位置に決定するステップと、
    を含む、注射器の組立方法。
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