JP2015213014A - 電池、電池パック、バッテリモジュール、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム - Google Patents

電池、電池パック、バッテリモジュール、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム Download PDF

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Abstract

【課題】高温サイクル特性を向上できると共に、高温保存時のガス発生を抑制できる電池、電池パック、バッテリモジュール、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムを提供する。【解決手段】電池は、正極と、負極活物質を含む負極と、非水溶媒と電解質塩と添加剤とを含有する電解液を含む電解質とを備える。負極活物質は、少なくともチタンと酸素とを構成元素として含有するチタン含有無機酸化物を含む。非水溶媒は、鎖状スルホン化合物を含む。添加剤は、シランカップリング剤およびシロキサン化合物の少なくとも何れか一の化合物を含む。【選択図】図1

Description

本技術は、電池、電池パック、バッテリモジュール、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムに関する。
リチウムイオン二次電池等の二次電池では、高性能化の要求がますます高くなっており、高容量、高出力等の電池特性を向上することが求められている。二次電池の負極に用いる負極材料としては、炭素系負極材料以外に、チタン酸リチウム(Li4Ti512)等の高電位負極材料等が用いられている。近年では、高電位負極材料等を用いた二次電池の開発が、活発に進められている。
下記の特許文献1〜2および非特許文献1には、二次電池に関連する技術が開示されている。
特開2011−222450号公報 特開2011−77029号公報
Journal of The Electrochemical Society, 149 7 A920-A926 2002
電池では、高温サイクル特性を向上すると共に、高温保存時のガス発生を抑制することが求められている。
したがって、本技術の目的は、高温サイクル特性を向上できると共に、高温保存時のガス発生を抑制できる電池、電池パック、バッテリモジュール、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本技術は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水溶媒と電解質塩と添加剤とを含有する電解液を含む電解質とを備え、負極活物質は、少なくともチタンと酸素とを構成元素として含有するチタン含有無機酸化物を含み、非水溶媒は、鎖状スルホン化合物を含み、添加剤は、シランカップリング剤およびシロキサン化合物の少なくとも何れか一の化合物を含む電池である。
本技術は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水溶媒および電解質塩を含む電解液を含む電解質とを備え、負極活物質は、少なくともチタンと酸素とを構成元素として含有するチタン含有無機酸化物を含み、負極は、シランカップリング剤またはシロキサン化合物と鎖状スルホン化合物とに由来する第1の化合物を含む電池である。
本技術のバッテリモジュール、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムは、上述の電池を備えるものである。
本技術によれば、高温サイクル特性を向上できると共に、高温保存時のガス発生を抑制できるという効果を奏する。
図1は本技術の実施の形態による電池の構成例を示す断面図である。 図2は図1における巻回電極体の一部を拡大した断面図である。 図3は本技術の実施の形態による電池の構成例を示す分解斜視図である。 図4は図3における巻回電極体のI−I線に沿った断面図である。 図5Aは本技術の電池の外観を示す斜視図である。図5Bは電池の構成例を示す斜視分解図である。図5Cは図5Aに示す電池の下面の構成例を示す斜視図である 図6Aおよび図6Bは本技術の電池を用いたバッテリユニットの構成を示す斜視図である。 図7は本技術の電池を用いたバッテリユニットの構成を示す分解斜視図である。 図8は本技術の電池を用いたバッテリモジュールの構成を示す分解斜視図である。 図9は電池の適用例(電池パック:単電池)の構成を表す斜視図である。 図10は図9に示した電池パックの構成を表すブロック図である。 図11は本技術の実施の形態による電池パックの回路構成例を示すブロック図である。 図12は本技術の電池を用いた住宅用の蓄電システムに適用した例を示す概略図である。 図13は本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す概略図である。
(本技術の概要)
まず、本技術の理解を容易にするため、本技術の概要について説明する。上述した特許文献1(特開2011-222450)では、正極にニッケルや鉄系の化合物を用いた場合にフルオロ基を有するシラン化合物を用いて高温劣化を抑制することが提案されている。また、特許文献1では電解液にスルホン化合物を含むことが記されている。しかしながら、特許文献1の実施例のように、0Vvs.Li/Li+付近に反応電位を持つ黒鉛やカーボンを負極に用いた場合には、上述した非特許文献1(Journal of The Electrochemical Society, 149 7 A920-A926 2002)に記述されている通り スルホン化合物が還元分解を起こし、長期の信頼性が不十分となってしまう。
また、特許文献1の技術では、リチウムチタン複合酸化合物を負極に用いた際の効果については何ら示唆されていない。これに対して、本技術では反応電位が1.55Vvs.Li/Li+と十分に高いリチウムチタン複合酸化合物を負極に用いることで鎖状スルホンを用いても十分な長期寿命を得ることができる。
特許文献2(特開2011-77029)では、リン酸エステルを電解質中に含ませることにより、高温下等での反応を抑制し高温保存や高温充放電での分解反応を抑制することで、小さな内部抵抗と高い電気容量を得ることが提案されている。
しかしながら、特許文献2に記載のものは、結晶性の高い炭素材料とカルボン酸化合物とを負極に用いたものであり、リチウムチタン複合酸化合物を負極に用いた際の効果については何ら示唆されていない。
以下、本技術の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(円筒型の電池の例)
2.第2の実施の形態(ラミネートフィルム型の電池の例)
3.第3の実施の形態(バッテリモジュール等の例)
4.第4の実施の形態(電池パックの例)
5.第5の実施の形態(電池パックの例)
6.第6の実施の形態(蓄電システム等の例))
7.他の実施の形態(変形例)
なお、以下に説明する実施の形態等は本技術の好適な具体例であり、本技術の内容がこれらの実施の形態等に限定されるものではない。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また例示した効果と異なる効果が存在することを否定するものではない。
1.第1の実施の形態
(1−1)電池の構成
本技術の第1の実施の形態による電池について図1および図2を参照しながら説明する。図1は、本技術の第1の実施の形態による電池の断面構成を示す。図2は、図1に示す巻回電極体20の一部を拡大して示す。この電池は、例えば、充電および放電可能な二次電池であり、例えば、非水電解質電池であり、例えば、リチウムイオン二次電池等である。
この非水電解質電池は、主に、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、セパレータ23を介して正極21と負極22とが積層および巻回された巻回電極体20と、一対の絶縁板12,13とが収納されたものである。この円柱状の電池缶11を用いた電池構造は、円筒型と呼ばれている。
電池缶11は、例えば、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空構造を有していると共に、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)またはそれらの合金等により構成されている。なお、電池缶11が鉄により構成される場合には、例えば、電池缶11の表面にニッケル(Ni)等が鍍金されていてもよい。一対の絶縁板12、13は、巻回電極体20を上下から挟み、その巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient:PTC素子)16がガスケット17を介してかしめられており、その電池缶11は、密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15および熱感抵抗素子16は、電池蓋14の内側に設けられている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡、または外部からの加熱等に起因して内圧が一定以上となった場合に、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との間の電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度の上昇に応じて抵抗が増大する(電流を制限する)ことにより、大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、その表面には、例えば、アスファルトが塗布されている。
(巻回電極体)
巻回電極体20は、セパレータ23を介して正極21と負極22とが積層および巻回されたものである。この巻回電極体20の中心には、センターピン24が挿入されていてもよい。巻回電極体20では、アルミニウム等により構成された正極リード25が正極21に接続されていると共に、ニッケル等により構成された負極リード26が負極22に接続されている。正極リード25は、安全弁機構15に溶接等されて電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は、電池缶11に溶接等されて電気的に接続されている。
(正極)
正極21は、例えば、一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられたものである。なお、図示は省略するが、正極21は正極活物質層21Bが正極集電体21Aの片面だけに設けられた領域を有していてもよい。
正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルまたはステンレス等の金属材料によって構成されている。
正極活物質層21Bは、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでいる。正極活物質層21Bは、必要に応じて、結着剤および導電剤の少なくとも何れか等の他の材料を含んでいてもよい。
(正極活物質)
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム含有化合物が好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物やリチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物等が挙げられる。中でも、遷移金属元素としてコバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧が得られるからである。
(リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物)
リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、例えば、リチウムとリン(P)と鉄(Fe)とを少なくとも含むオリビン構造を有するリン酸鉄リチウム化合物、リチウムとリン(P)とマンガン(Mn)とを少なくとも含むオリビン構造を有するリン酸マンガンリチウム化合物等が挙げられる。オリビン構造を有するリン酸鉄リチウム化合物としては、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4)、または、異種元素を含有するリチウム鉄複合リン酸化合物(LiFex1-x4:Mは鉄以外の1種類以上金属元素、xは0<x<1である。)等が挙げられる。なお、上記のMとしては、遷移元素、IIA族元素、IIIA族元素、IIIB族元素、IVB族元素等が挙げられる。特に、Mは、遷移金属元素としてコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、およびチタン(Ti)のうちの少なくとも1種が好ましい。オリビン構造を有するリン酸マンガンリチウム化合物としては、例えば、リチウムマンガンリン酸化合物(LiMnPO4)等が挙げられる。
オリビン構造を有するリン酸鉄リチウム化合物としては、典型的には、(化1)で表されるリチウムリン酸化合物等が挙げられる。
(化1)
LiuFerM1(1-r)PO4
(式中、M1は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)およびジルコニウム(Zr)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。rは、0<r≦1の範囲内の値である。uは、0.9≦u≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、uの値は完全放電状態における値を表している。)
(化1)で表されるリチウムリン酸化合物としては、典型的には、例えば、LiuFePO4(uは上記と同義である)、LiuFerMn(1-r)PO4(uは上記と同義である。rは上記と同義である。)等が挙げられる。
(リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物)
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケル複合酸化物(LixNiO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LixNi1-zCoz2(z<1))、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi(1-v-w)CovMnw2(v+w<1))等の層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル構造を有し、且つ、リチウムとマンガンとを少なくとも含むリチウムマンガン複合酸化物等が挙げられる。
スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物としては、例えば、(化2)で表されるリチウム複合酸化物等が挙げられる。
(化2)
LivMn(2-w)M2ws
(式中、M2は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。v、wおよびsは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦s≦4.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
(化2)で表されるリチウム複合酸化物としては、具体的には、例えば、LivMn24(vは上記と同義である)、リチウムマンガンニッケル複合酸化物(LiMn2-tNit4(t<2))等が挙げられる。
正極材料は、上述したリチウム含有化合物からなる芯粒子の表面の少なくとも一部に被覆層が形成されたものであってもよい。被覆層は、母材となるリチウム含有化合物の芯粒子の表面の少なくとも一部に設けられたものであり、母材となるリチウム含有化合物の粒子とは異なる組成元素または組成比を有するものである。例えば、正極材料としては、より高い電極充填性とサイクル特性が得られるという観点から、上記リチウム含有化合物のいずれかより成る芯粒子の表面に、他のリチウム含有化合物(例えば、Ni、Mn、Li等から選択されるもの)やリン酸化合物(例えば、リン酸リチウム等)を含む被覆層が形成されたものであってもよい。被覆層は、炭素材料等であってもよい。
この他、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムまたは二酸化マンガン等の酸化物や、二硫化チタンまたは硫化モリブデン等の二硫化物や、セレン化ニオブ等のカルコゲン化物や、硫黄、ポリアニリンまたはポリチオフェン等の導電性高分子も挙げられる。
(導電剤)
導電剤としては、ファーネス法、アセチレン法、コンタクト法、サーマル法等で作製されたカーボンブラックや、気相成長炭素、活性炭、活性炭繊維布、シングルウォールまたはマルチウォールカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の炭素材料やこれらの炭素材料を酸・アルカリ処理等で表面改質したもの、他の元素を物理的または化学的に結合させて表面改質したものなどを用いることができる。
(結着剤)
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)等の樹脂材料、並びに、これら樹脂材料を主体とする共重合体等から選択される少なくとも1種が用いられる。
(負極)
負極22は、例えば、一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられたものである。なお、図示は省略するが、負極22は負極活物質層22Bが負極集電体22Aの片面だけに設けられた領域を有していてもよい。
負極集電体22Aは、例えば、アルミニウム箔、銅、ニッケルまたはステンレス等の金属材料によって構成されている。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の1種または2種以上を含んでいる。負極活物質層22Bは、必要に応じて、結着剤および導電剤の少なくとも何れか等の他の材料を含んでいてもよい。なお、結着剤および導電剤は、それぞれ正極で説明したものと同様のものを用いることができる。
(負極活物質)
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、少なくともチタン(Ti)および酸素(O)を構成元素として含有するチタン含有無機酸化物、または、金属硫化物等を用いることができる。リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、負極の反応電位が1.0Vvs.Li/Li+超、好ましくは1.0Vvs.Li/Li+超1.9Vvs.Li/Li+以下となる材料等が好ましい。
チタン含有無機酸化物としては、少なくともリチウムおよびチタンを構成元素として有する複合酸化物(チタン含有リチウム複合酸化物と称する)、チタンと酸素とを構成元素として有する金属酸化物(チタン酸化物と称する)等が挙げられる。これらの中でも、チタン含有リチウム複合酸化物、または、チタン酸化物が好ましい。
チタン含有リチウム複合酸化物としては、典型的には、例えば、スピネル構造を有するLixTiyz(xはLiの組成比を示し、yはTiの組成比を示し、zはOの組成比を示す。x>0、y>0、z>0である。)で表される化合物(チタン酸リチウム)が挙げられる。
スピネル構造を有するLixTiyzの具体例としては、Li4Ti512等が挙げられる。スピネル構造を有するLixTiyzのリチウムイオンを吸蔵および放出する電位(V対Li/Li+)は、例えば、電池の充放電時の電位変化パターン中における平坦部において約1.55V等である。なお、LixTiyz中のLiは、Na、K等であってもよい。
チタン含有リチウム複合酸化物としては、更にまた、より高い電位平坦性とレート特性が得られるという観点から、上記構成元素のリチウム、チタン、酸素の一部が、AlやMg等の他の元素に置換されたものを用いてもよい。
チタンの一部を置換する他の元素としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素または半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)または白金(Pt)等である。
リチウム、チタン、酸素の一部が他の元素に置換されたチタン含有リチウム複合酸化物としては、典型的には、例えば、Li3.75Ti4.875Mg0.37512、Li3.75Ti4.50Al0.7512等が挙げられる。
(チタン酸化物)
チタン酸化物としてはTipq(p>0、q>0である。)で表される化合物(酸化チタン)が挙げられる。この化合物の具体例としては、TiO2等が挙げられる。TiO2は、アナターゼ型TiO2〔TiO2(anatase)〕、ルチル型TiO2〔TiO2(rutile)〕、B型TiO2〔TiO2(B)〕等の何れであってもよい。
なお、チタン含有リチウム複合酸化物等のチタン含有無機酸化物は、炭素により被覆されていてもよい。例えば、化学気相成長(CVD)法等を用いて、炭化水素等を分解させてチタン含有リチウム複合酸化物の表面に炭素皮膜を成長させることにより、炭素により被覆されたチタン含有無機酸化物を得ることができる。なお、炭素被覆の方法に関して、上記に限定されるものではない。
負極22には、後述の電解液に含まれる鎖状スルホン化合物とシランカップリング剤またはシロキサン化合物(以下、シラン・シロキサン化合物と称する場合もある)とに由来する化合物が含まれている。なお、負極22には、鎖状スルホン化合物に由来する化合物がさらに含まれていてもよい。
例えば、負極22には、鎖状スルホン化合物およびシラン・シロキサン化合物に由来する化合物として、式(1)で表されるジスルフィド結合(−S−S−)を有するジスルフィド化合物の少なくとも1種が含まれている。負極22には、式(1)で表されるジスルフィド結合(−S−S−)を有するジスルフィド化合物の少なくとも1種と共に、式(2)で表されるスルホニル結合(−S(=O)2−)を有するスルホニル化合物の少なくとも1種が含まれていてもよい。例えば、式(1)で表されるジスルフィド化合物の少なくとも1種および式(2)で表されるスルホニル化合物の少なくとも1種は、典型的には、充放電時において負極活物質層22B中の活物質粒子の表面に形成される被膜等に含まれている。被膜によって負極22の活性部位を包むことで副反応を抑制することができる。その結果、ガス発生の抑制、並びに、高温環境下でのサイクル特性を向上することができる。
Figure 2015213014
(式中、nは1以上8以下の整数である。R1、R2、R3およびR4は、各々独立してハロゲン基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基またはシロキサン基を表す。)
Figure 2015213014
(式中、R5は、ハロゲン基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアルコキシ基である。R6は、HまたはLiである。)
なお、本技術では、黒鉛等の炭素系負極活物質と比較して、負極活物質として、負極の反応電位が貴な電位となる負極材料を用いているため、後述の鎖状スルホン化合物のような負極の反応電位が卑な炭素系負極活物質を用いた場合に分解してしまい有効ではない溶媒を、効果的に使用することができる。
式(1)で表されるジスルフィド化合物としては、例えば、下記の式(1−1)〜式(1−25)で表される化合物等が挙げられる。これらの中でも、電池特性の観点から、式(1−2)で表される化合物、式(1−4)で表される化合物が好ましい。
Figure 2015213014
Figure 2015213014
Figure 2015213014
式(2)で表されるスルホニル化合物としては、例えば、下記の式(2−1)〜式(2−8)で表される化合物等が挙げられる。これらの中でも、電池特性の観点から、式(2−2)で表される化合物、式(2−4)で表される化合物が好ましい。
Figure 2015213014
式(1)で表される化合物の少なくとも1種を含む負極は、例えば、負極に含浸させた電解液に含まれたシラン・シロキサン化合物および鎖状スルホン化合物から生成されたものが含まれたものである。(2)で表される化合物の少なくとも1種を含む負極は、例えば、負極に含浸させた電解液に含まれた鎖状スルホン化合物の分解物から生成されたものが含まれたものである。
式(1)で表される化合物は、シラン・シロキサン化合物および鎖状スルホン化合物に由来するものである。典型的には、例えば、電池の充放電時に、シラン・シロキサン化合物と鎖状スルホン化合物の分解物との反応によって生成されたもの等である。シラン・シロキサン化合物は、典型的には、例えば、メルカプト基(−SH)を有するシランカップリング剤である。式(2)で表される化合物は、鎖状スルホン化合物に由来するものである。典型的には、例えば、鎖状スルホン化合物が分解することによって生成された分解物等である。
なお、負極中等の電池内に形成された、鎖状スルホン化合物およびシラン・シロキサン化合物に由来する化合物、鎖状スルホン化合物に由来する化合物を確認するためには、例えば、電池を解体して負極を含む電極体を取り出したのち、活物質表面を既存の元素分析方法、すなわち、エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)等により元素分布観察を行うことによってその形成割合を分析すればよい。この方法を用いる場合には、意図せずに電解質中の不要成分が分析されることを防止するために、電極の表面を炭酸ジメチル(DMC)等の有機溶剤で洗浄してから分析することが好ましい。
また、取り出した電極体の洗浄抽出物を既存の構造分析方法、すなわち、赤外分光法(IR)、核磁気共鳴法(1H/13C−NMR)、ガスまたは液クロマトグラフ質量分析法(GC/LC−MS)等により含まれる化合物の構造解析を行うことによって、各化合物の形成割合を分析してもよい。この方法を用いる場合にも、意図せずに電解質中の不要成分が分析されることを防止するために、電極の表面を炭酸ジメチル(DMC)等の有機溶剤で洗浄してから各化合物を抽出および分析することが好ましい。
(式(1)で表される化合物の含有量)
式(1)で表される化合物の含有量を、所定の範囲にすることによって、電池容量等の特性をより維持しつつ、負極活物質表面をより効果的に被覆することができる。式(1)で表される化合物は、負極中に含まれると共に、電解液中にも含まれていてもよい。式(1)で表される化合物の好ましい含有量は、電解液中の式(1)で表される化合物の含有量によって規定される。式(1)で表される化合物の含有量としては、より優れた効果を得られる観点から、電解液の質量に対して、0.05質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。
電解液中の化合物は、解体した電池を遠心分離機にかけ、取り出した電解液を分析することで確認できる。具体的には、NMR(Nuclear Magnetic Resonance)、IR(infrared absorption spectrometry)、Raman(ラマン分光法)、GC−MS(Gas Chromatography mass spectrometry)、LC−MS(Liquid Chromatography Mass Spectrometry)等を用いることができる。
(セパレータ)
セパレータ23は、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を有する絶縁性の膜から構成される多孔質膜である。セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。セパレータ23の空孔には、電解液が保持される。
このようなセパレータ23を構成する樹脂材料は、例えばポリプロピレンもしくはポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂またはナイロン樹脂等を用いることが好ましい。特に、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン等のポリエチレン、もしくはそれらの低分子量ワックス分、またはポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂は溶融温度が適当であり、入手が容易なので好適に用いられる。また、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造、もしくは、2種以上の樹脂材料を溶融混練して形成した多孔質膜としてもよい。ポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜を含むものは、正極21と負極22との分離性に優れ、内部短絡の低下をいっそう低減することができる。また、セパレータ23としては、不織布を用いることが好まし。不織布ではLiイオンが透過するのに最適な十分な細孔径を確保しやすいという特徴があり、電池として高い入出力を得ることができる。
セパレータ23の厚さは、必要な強度を保つことができる厚さ以上であれば任意に設定可能である。セパレータ23は、正極21と負極22との間の絶縁を図り、短絡等を防止するとともに、セパレータ23を介した電池反応を好適に行うためのイオン透過性を有し、かつ電池内において電池反応に寄与する活物質層の体積効率をできるだけ高くできる厚さに設定されることが好ましい。
(電解液)
電解液(非水電解液)は、電解質塩と、この電解質塩を溶解する非水溶媒と、添加剤としてシランカップリング剤またはシロキサン化合物を含む。なお、電解液は、添加剤としてシランカップリング剤およびシロキサン化合物の両方を含んでいてもよい。
(非水溶媒)
非水溶媒としては、主溶媒と鎖状スルホン化合物とを含むものを用いる。
(主溶媒)
本技術に含まれる主溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネート、ビニルエチレンカーボネート(VC)等の炭素−炭素間二重結合等の不飽和結合を有する不飽和カーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC;フルオロエチレンカーボネート)、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(DFEC;ジフルオロエチレンカーボネート)等のハロゲン化カーボネート、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(Me−THF)、1,3−ジオキソラン(DOL)、4−メチルー1,3−ジオキソラン(Me−DOL)、ジエチルエーテル(DEE)、γーブチロラクトン(GBL)、γーバレロラクトン(GVL)、3−メチルオキサゾリジノン(MOX)、ギ酸メチル(MF)、スルホラン(SL)、3−メチルスルホラン(3MS)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル(AN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トリメチルフォスフェート(TMP)、プロピオニトリル(PN)、グルタロニトリル(GLN)、アジポニトリル(ADN)、メトキシアセトニトリル(MAN)、3−メトキシプロピオニトリル(MPN)、N,N−ジメチルフォルムアミド(DMF),N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリジノン(NMP)、N−メチルオキサゾリジノン(NMO)、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、ニトロメタン(NM),ニトロエタン(NE)等が挙げられる.
これらの中でも、鎖状カーボネートおよび環状カーボネートまたは鎖状カルボン酸エステルおよび環状カルボン酸エステルが、非水系電解液二次電池における種々の特性がよい点で好ましく、それらのなかでも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトンがより好ましく、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンが更に好ましい。
(鎖状スルホン化合物)
電解液中に溶媒として鎖状スルホン化合物が含まれる。鎖状スルホン化合物とは、鎖状構造を有し、且つ、スルホニル基(−S(=O)2−)を有する化合物のことをいう。鎖状スルホン化合物の例としては、ジメチルスルホン〔式(3−1)〕、ジエチルスルホン〔式(3−2)〕、エチルメチルスルホン〔式(3−3)〕、メチルイソプロピルスルホン〔式(3−4)〕、エチルイソプロピルスルホン〔式(3−5)〕、エチルイソブチルスルホン〔式(3−6)〕、イソプロピルイソブチルスルホン〔式(3−7)〕、イソプロピルs−ブチルスルホン〔式(3−8)〕、ブチルイソブチルスルホン〔式(3−9)〕が好ましい。これらの中でも、電池特性の観点から、エチルイソプロピルスルホン(式(3−5);EiPS)が最も好ましい。
Figure 2015213014
電解液中に溶媒として鎖状スルホン化合物を含有させることによって、充放電時に鎖状スルホン化合物に由来する化合物を含む被膜をチタン含有無機酸化物を用いた負極に対して形成させることができる。また、電解液は、さらに添加剤としてシラン・シロキサン化合物を含むため、このシラン・シロキサン化合物および鎖状スルホン化合物に由来する被膜を、チタン含有無機酸化物を用いた負極に対して形成させることができる。
(含有量)
電解液中の鎖状スルホン化合物の含有量は、特に限定されないが、電解液の質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.3質量%以上8質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上5質量%以下が最も好ましい。この範囲内において、溶媒であるカーボネート由来のガス発生量をより低減すると共に、低温および高温においてより優れた電池特性を示す。
(添加剤)
電解液は、添加剤として、シランカップリング剤またはシロキサン化合物(シラン・シロキサン化合物)を含む。なお、電解液は、シランカップリング剤およびシロキサン化合物の両方を含んでいてもよい。電解液に、シラン・シロキサン化合物を含有させることによって、シラン・シロキサン化合物およびシラン・シロキサン化合物に由来する化合物の少なくとも何れかが電極活物質の活性面を覆う効果も有し、電解液等の分解副反応を効果的に抑制することができ、長期信頼性の高い電池を提供することができる。さらに、電解液がシラン・シロキサン化合物を含むことによって、電解液の電極への含浸性をより向上させることができ、低温環境下でも高い容量を発現することができるというより優れた効果も得ることができる。
(シランカップリング剤またはシロキサン化合物)
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプト基(−SH)を有するシランカップリング剤、他のシランカップリング剤等を用いることができる。メルカプト基(−SH)を有するシランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔(CH3O)3Si(CH23SH〕、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン〔(CH3)(CH3O)2Si(CH23SH〕、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン〔(CH32(CH3O)Si(CH23SH〕、3−メルカプトプロピルトリメチルシラン〔(CH33)Si(CH23SH〕等が挙げられる。
他のシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルーブチリデン)プロピルアミン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリストリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロクシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロクシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロクシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロクシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロクシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン、3−クロルプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シロキサン化合物としては、デカメチルシクロペンタンシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン等が挙げられる。
なお、シランカップリング剤は、〔Rx−Si(Ryn(ORz3-nx反応性官能基、Ry:有機基、ORz:加水分解性基〕構造を有するものであればこれらに限られるものではない。シロキサン化合物は、シロキサン構造を有するものであればこれらに限られるものではない。また、上述した一連のシラン・シロキサン化合物は、1種類であってもよいし、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。これらのシラン・シロキサン化合物の中でも、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメチルシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン等が、電池特性を得られる観点から特に好ましい。
(電解質塩)
電解液に含まれる電解質塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C654)、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SO2F)2)、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiN(SO2F)(SO2CF3))、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiN(SO2CF32)、リチウムビス(オキサラト)ホウ酸(LiC4BO8)、リチウムジフルオロオキサラトホウ酸(LiC2BO42)等が挙げられる。
これらは、1種を単独で使用しても、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用しても良い。これらの中でも、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、なる群のうちの少なくとも1種が好ましく、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SO2F)2)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SO2CF32)、およびリチウムビス(オキサラト)ホウ酸(LiC2BO42)を含むことがより好ましい。
電解液中の上記リチウム塩の濃度は、特に制限はないが、通常0.5mol/L以上、好ましくは0.6mol/L以上、より好ましくは0.7mol/L以上である。また、その上限は、通常2mol/L以下、好ましくは1.8mol/L以下、より好ましくは1.7mol/L以下である。濃度が低すぎると、非水系電解液の電気伝導率が不十分の場合があり、一方、濃度が高すぎると、粘度上昇のため電気伝導度が低下する場合があり、電池の性能が低下する場合がある。
(1−2)電池の製造方法
この非水電解質電池は、例えば、以下の製造方法によって製造される。
(正極の製造)
まず、正極21を作製する。最初に、正極材料と、結着剤と、導電剤とを混合して正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードまたはバーコータ等によって正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させる。最後に、必要に応じて加熱しながらロールプレス機等によって塗膜を圧縮成型して正極活物質層21Bを形成する。この場合には、圧縮成型を複数回に渡って繰り返してもよい。
(負極の製造)
次に、負極22を作製する。最初に、負極材料と、結着剤と、必要に応じて導電剤とを混合して負極合剤としたのち、これを有機溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードまたはバーコータ等によって負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させる。最後に、必要に応じて加熱しながらロールプレス機等によって塗膜を圧縮成型して負極活物質層22Bを形成する。
(電解液の調製)
上述した電解液を調製する。この電解液が負極22に含浸され、電池の充放電時等に、鎖状スルホン化合物に由来する化合物、並びに、鎖状スルホン化合物およびシラン・シロキサン化合物に由来する化合物が形成される。より具体的には、例えば、電池の充放電時等に、鎖状スルホン化合物の分解物、並びに、鎖状スルホン化合物の分解物とシラン・シロキサン化合物との反応生成物が形成される。
さらに具体的には、電池の充放電時等に、例えば、上述の反応生成物として式(1)で表される化合物および上述の分解物として式(2)で表される化合物が形成され、これらの化合物を負極22に含有させることができる。なお、負極22に式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物を含有させる方法としては、種々の方法をとることができる。例えば、負極活物質層22Bを形成する際に、式(1)で表される化合物および式(2)で表される化合物を負極材料等と混合する等して負極合剤を調製する等して、式(1)および式(2)で表される化合物を負極に含有させるようにしてもよい。また、負極22には式(1)で表される化合物のみを含有させるようにしてもよい。
(電池の組み立て)
非水電解質電池の組み立ては、以下のようにして行う。最初に、正極集電体21Aに正極リード25を溶接等して取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接等して取り付ける。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層および巻回させて巻回電極体20を作製したのち、その巻回中心にセンターピン24を挿入する。続いて、一対の絶縁板12、13で挟みながら巻回電極体20を電池缶11の内部に収納すると共に、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接し、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接する。
続いて、上述の電解液を電池缶11の内部に注入してセパレータ23等に含浸させる。最後に、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16を、ガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1および図2に示す非水電解質電池が完成する。
2.第2の実施の形態
(2−1)電池の構成
本技術の第2の実施の形態による非水電解質電池(電池)について説明する。図3は本技術の第2の実施の形態による非水電解質電池の分解斜視構成を表しており、図4は図3に示す巻回電極体30のI−I線に沿った断面を拡大して示している。
この非水電解質電池は、主に、フィルム状の外装部材40の内部に、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30が収容されたものである。このフィルム状の外装部材40を用いた電池構造は、ラミネートフィルム型と呼ばれている。この非水電解質電池は、例えば充電および放電が可能な二次電池であり、また、例えばリチウムイオン二次電池である。
正極リード31および負極リード32は、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、アルミニウム等の金属材料によって構成されており、負極リード32は、例えば、銅、ニッケルまたはステンレス等の金属材料によって構成されている。これらの金属材料は、例えば、薄板状または網目状になっている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムがこの順に貼り合わされたアルミラミネートフィルム等のように、金属箔からなる金属層の両面に樹脂層を設けた構成とされている。外装部材40の一般的な構成は、例えば、外側樹脂層/金属層/内側樹脂層の積層構造を有する。例えば、外装部材40は、例えば、内側樹脂層が巻回電極体30と対向するように、2枚の矩形型のアルミラミネートフィルムの外縁部同士が融着または接着剤によって互いに接着された構造を有している。外側樹脂層および内側樹脂層は、それぞれ複数層で構成されてもよい。
金属層を構成する金属材料としては、耐透湿性のバリア膜としての機能を備えていれば良く、アルミニウム(Al)箔、ステンレス(SUS)箔、ニッケル(Ni)箔およびメッキを施した鉄(Fe)箔等を使用することができる。なかでも、薄く軽量で加工性に優れるアルミニウム箔を好適に用いることが好ましい。特に、加工性の点から、例えば焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O)、(JIS A8079P−O)または(JIS A1N30−O)等を用いるのが好ましい。
金属層の厚みは、典型的には、例えば、30μm以上150μm以下とすることが好ましい。30μm未満の場合、材料強度が低減する傾向にある。また、150μmを超えた場合、加工が著しく困難になるとともに、ラミネートフィルムの厚さが増してしまい、非水電解質電池の体積効率が低減する傾向にある。
内側樹脂層は、熱で溶けて互いに融着する部分であり、ポリエチレン(PE)、無軸延伸ポリプロピレン(CPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が使用可能であり、これらから複数種類選択して用いることも可能である。
外側樹脂層としては、外観の美しさや強靱さ、柔軟性等からポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル等が用いられる。具体的には、ナイロン(Ny)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)が用いられ、これらから複数種類選択して用いることも可能である。
外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料によって構成されている。このような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。
なお、外装部材40は、上記した積層構造を有するアルミラミネートフィルムに代えて、他の積層構造を有するラミネートフィルムによって構成されていてもよいし、ポリプロピレン等の高分子フィルムまたは金属フィルム等によって構成されていてもよい。
図4は、図3に示す巻回電極体のI−I線に沿った断面構成を表している。この巻回電極体30は、帯状のセパレータ35および電解質36を介して帯状の正極33と帯状の負極34とが積層および巻回されたものであり、その最外周部は、保護テープ37によって保護されている。
(正極)
正極33は、例えば、一対の面を有する正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極33は、正極集電体33Aの片面のみに正極活物質層33Bが形成された領域を有していてもよい。正極集電体33Aおよび正極活物質層33Bは、それぞれ第1の実施の形態における正極集電体21Aおよび正極活物質層21Bと同様である。
(負極)
負極34は、例えば、一対の面を有する負極集電体34Aの両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極34は、負極集電体34Aの片面のみに負極活物質層34Bが形成された領域を有していてもよい。負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bは、それぞれ第1の実施の形態における負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bと同様である。
(セパレータ)
セパレータ35は第1の実施の形態におけるセパレータ23と同様である。
(電解質)
電解質36は、非水電解液(電解液)と、それを保持する高分子化合物(マトリックス高分子化合物)とを含んでいる。電解質36は、例えば、いわゆるゲル状の電解質である。ゲル状の電解質は、高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に漏液が防止されるので好ましい。
(非水電解液)
非水電解液は、電解質塩と、この電解質塩を溶解する非水溶媒とを含む。非水電解液は、第1の実施の形態と同様である。
(高分子化合物)
高分子化合物としては、溶媒に相溶可能な性質を有するもの等を用いることができる。このような高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン、またはポリカーボネート等が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンまたはポリエチレンオキサイドが好ましい。電気化学的に安定だからである。
(2−2)電池の製造方法
この非水電解質電池は、例えば、以下の3種類の製造方法(第1〜第3の製造方法)によって製造される。
(第1の製造方法)
第1の製造方法では、最初に、例えば、上記した第1の実施の形態の正極21および負極22の作製手順と同様の手順により、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成して正極33を作製する。また、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成して負極34を作製する。
続いて、電解液と、高分子化合物と、溶剤とを含む前駆溶液を調製して正極33および負極34の少なくとも一方の両面に塗布したのち、溶剤を揮発させてゲル状の電解質36を形成する。続いて、正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。なお、電極の両面にゲル状の電解質36を形成することに変えて、セパレータの両面の少なくとも一方の面にゲル状の電解質36を形成してもよい。
続いて、電解質36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層させてから長手方向に巻回し、その最外周部に保護テープ37を接着させて巻回電極体30を作製する。最後に、例えば、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、その外装部材40の外縁部同士を熱融着等で接着させて巻回電極体30を封入する。この際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に、密着フィルム41を挿入する。これにより、図3および図4に示す非水電解質電池が完成する。
(第2の製造方法)
第2の製造方法では、最初に、第1の製造方法と同様に正極33および負極34を作製する。次に、正極33に正極リード31を取り付けると共に、負極34に負極リード32を取り付ける。続いて、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ35を介して正極33と負極34とを積層して巻回させたのち、その最外周部に保護テープ37を接着させて、巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製する
続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を熱融着等で接着させて、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。
このセパレータ35に塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体、すなわち単独重合体、共重合体または多元共重合体等が挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデンや、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体や、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体等が好適である。なお、高分子化合物は、上記したフッ化ビニリデンを成分とする重合体と共に、他の1種または2種以上の高分子化合物を含んでいてもよい。
セパレータ35上の高分子化合物は、例えば、以下のようにして、多孔性高分子化合物を形成していてもよい。すなわち、まず、高分子化合物を、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等の極性有機溶媒からなる第1の溶媒に溶解させた溶液を調製し、この溶液をセパレータ35上に塗布する。次に、上記溶液が塗布されたセパレータ35を水、エチルアルコール、プロピルアルコール等の上記極性有機溶媒に対して相溶性があり、上記高分子化合物に対して貧溶媒である第2の溶媒中に浸漬する。このとき、溶媒交換が起こり、スピノーダル分解を伴う相分離が生じ、高分子化合物は多孔構造を形成する。その後、乾燥することにより、多孔構造を有する多孔性高分子化合物を得ることができる。
続いて、電解液を調製して、袋状の外装部材40の内部に注入したのち、その外装部材40の開口部を熱融着等で密封する。これにより、電解液が高分子化合物に含浸し、その高分子化合物がゲル化して、ゲル状の電解質36が形成され、図3および図4に示す非水電解質電池が完成する。
(第3の製造方法)
第3の製造方法では、最初に、第1の製造方法と同様に正極33および負極34を作製する。次に正極33に正極リード31を取り付けると共に、負極34に負極リード32を取り付ける。続いて、セパレータ35を介して正極33と負極34とを積層して巻回させたのち、その最外周部に保護テープ37を接着させて、巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製する。
続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を熱融着等で接着させて、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤等の他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材40の内部に注入したのち、その外装部材40の開口部を熱融着等で密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とすることにより、ゲル状の電解質36を形成する。これにより、図3および図4に示す非水電解質電池が完成する。
[変形例1]
上述の第2の実施の形態による非水電解質電池の一例では、ゲル状の電解質を用いた構成例について説明したが、ゲル状の電解質に代えて、液系の電解質である電解液を用いてもよい。この場合、外装部材60内には非水電解液が充填されており、巻回電極体30から電解質36を省略した構成の巻回体が、非水電解液に含浸されている。この場合、非水電解質電池は例えば次のようにして作製される。
〔非水電解質電池の製造方法〕
(正極、負極、非水電解液の調製)
非水電解質電池の一例の製造方法と同様にして、正極33および負極34の作製、非水電解液の調製を行う。
(非水電解質電池の組立て)
次に、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接により取り付けると共に、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接により取り付ける。
次に、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。次に、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。
次に、非水電解液を外装部材40の内部に注入し、巻回体に非水電解液を含浸させたのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。以上により、目的とする非電解質二次電池が得られる。
[変形例2]
上述の第2の実施の形態の一例および変形例1では、巻回電極体30が外装部材60で外装された非水電解質電池について説明したが、図5A〜図5Cに示すように、巻回電極体30の代わりに積層電極体70を用いてもよい。図5Aは、積層電極体70を収容した非水電解質電池の外観図である。図5Bは、外装部材60に積層電極体70が収容される様子を示す分解斜視図である。図5Cは、図5Aに示す非水電解質電池の底面側からの外観を示す外観図である。
積層電極体70は、矩形状の正極73および矩形状の負極74を、矩形状のセパレータ75を介して積層し、固定部材76で固定した積層電極体70を用いる。なお、図示は省略するが、電解質層を形成する場合には、電解質層が正極73および負極74に接するように設けられている。例えば、正極73およびセパレータ75の間、並びに、負極74およびセパレータ75の間に電解質層(図示省略)が設けられている。この電解質層は、上述した電解質36と同様である。積層電極体70からは、正極73と接続された正極リード71および負極74と接続された負極リード72とが導出されており、正極リード71および負極リード72と外装部材60との間には密着フィルム61が設けられる。
なお、非水電解質電池の製造方法は、巻回電極体30に代えて積層電極体を作製すること、巻回体に代えて積層体(積層電極体70から電解質層を省略した構成のもの)を作製すること以外は、上述の第2の実施の形態の一例および変形例1の非水電解質電池の製造方法と同様である。
3.第3の実施の形態
(バッテリーモジュールの例)
本技術の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、上述の非水電解質電池を用いたバッテリユニットおよびバッテリユニットが組み合わされたバッテリモジュールについて説明する。
(バッテリユニット)
図6A〜図6Bは、本技術の非水電解質電池を用いたバッテリユニットの構成例を示す斜視図である。図6Aおよび図6Bには、それぞれ異なる側から見たバッテリユニット100が示されており、図6Aに主に示されている側をバッテリユニット100の正面側とし、図6Bに主に示されている側をバッテリユニット100の背面側とする。図6A〜図6Bに示すように、バッテリユニット100は、非水電解質電池1−1および1−2、ブラケット110、並びに、バスバー120−1および120−2を備えて構成される。なお、バスバー120−1およびバスバー120−2を区別しない場合には、バスバー120と称する。非水電解質電池1−1および1−2は、例えば、第2の実施の形態による非水電解質電池の変形例2と同様の構造を有するものである。
ブラケット110は、非水電解質電池1−1および1−2の強度を確保するための支持具であり、ブラケット110の正面側に非水電解質電池1−1が装着され、ブラケット110の背面側に非水電解質電池1−2が装着される。なお、ブラケット110は、正面側および背面側のどちらから見ても、ほぼ同じ形状をしているが、下側の一方の角部分に面取り部111が形成されており、面取り部111が右下に見える側を正面側とし、面取り部111が左下に見える側を背面側とする。
バスバー120−1および120−2は、略L字形状をした金属の部材であり、非水電解質電池1−1および1−2のタブに接続される接続部分がブラケット110の側面側に配置され、バッテリユニット100の外部と接続されるターミナルがブラケット110の上面に配置されるように、ブラケット110の両側面にそれぞれ装着される。
図7は、バッテリユニット100が分解された状態を示す斜視図である。図7の上側をバッテリユニット100の正面側とし、図7の下側をバッテリユニット100の背面側とする。以下、非水電解質電池1−1において内部に積層電極体が収容された凸状部分を電池本体1−1Aと称する。同様に、非水電解質電池1−2において内部に積層電極体が収容された凸状部分を電池本体1−2Aと称する。
非水電解質電池1−1および1−2は、凸形状となっている電池本体1−1Aおよび1−2A側を互いに向い合せた状態で、ブラケット110に装着される。つまり、非水電解質電池1−1は正極リード3−1および負極リード4−1が設けられる面が正面側を向き、非水電解質電池1−2は正極リード3−2および負極リード4−2が設けられる面が背面側を向くように、ブラケット110に装着される。
ブラケット110は、外周壁112およびリブ部113を有している。外周壁112は、非水電解質電池1−1および1−2の電池本体1−1Aおよび1−2Aの外周よりも若干広く、即ち、非水電解質電池1−1および1−2が装着された状態で電池本体1−1Aおよび1−2Aを囲うように形成される。リブ部113は、外周壁112の内側の側面に外周壁112の厚み方向の中央部分から内側に向かって伸びるように形成される。
図7の構成例では、非水電解質電池1−1および1−2が、ブラケット110の正面側および背面側から外周壁112内に挿入され、両面に粘着性を有する両面テープ130−1および130−2により、ブラケット110のリブ部113の両面に貼着される。両面テープ130−1および130−2は、非水電解質電池1−1および1−2の外周端に沿った所定の幅の略ロ字形状をしており、ブラケット110のリブ部113は、両面テープ130−1および130−2が貼着する面積だけ設けられていればよい。
このように、リブ部113は、非水電解質電池1−1および1−2の外周端に沿った所定の幅だけ、外周壁112の内側の側面から内側に向かって伸びるように形成されており、リブ部113よりも内側は、開口部となっている。従って、ブラケット110の正面側から両面テープ130−1によりリブ部113に貼着される非水電解質電池1−1と、ブラケット110の背面側から両面テープ130−2によりリブ部113に貼着される非水電解質電池1−2との間では、この開口部によって隙間が生じている。
即ち、ブラケット110の中央部分に開口部が形成されていることで、非水電解質電池1−1および1−2は、リブ部113の厚みと両面テープ130−1および130−2の厚みとを合計した寸法の隙間を有してブラケット110に装着される。
(バッテリモジュール)
次に、図8を参照して、バッテリユニット100が組み合わされたバッテリモジュール160の構成例について説明する。図8は、バッテリモジュールの構成例を示す分解斜視図である。図8に示すように、バッテリモジュール160は、モジュールケース150、ゴムシート部151、電池部152、電池カバー154、固定シート部155、電気パーツ部156、およびボックスカバー157を備えて構成されている。
モジュールケース150は、バッテリユニット100を収納して使用機器に搭載するためのケースであり、図8の構成例では、24個のバッテリユニット100が収納可能なサイズとされている。
ゴムシート部151は、バッテリユニット100の底面に敷かれて、衝撃等を緩和するためのシートである。ゴムシート部151では、3個のバッテリユニット100ごとに1枚のゴムシートが設けられ、24個のバッテリユニット100に対応するために8枚のゴムシートが用意される。
電池部152は、図8の構成例では、24個のバッテリユニット100が組み合わされて構成されている。また、電池部152では、3個のバッテリユニット100が並列に接続されて並列ブロック153を構成し、8個の並列ブロック153が直列に接続される接続構成となっている。
電池カバー154は、電池部152を固定するためのカバーであり、非水電解質電池1のバスバー120に対応した開口部が設けられている。
固定シート部155は、電池カバー154の上面に配置され、ボックスカバー157がモジュールケース150に固定されたときに、電池カバー154およびボックスカバー157に密着して固定するシートである。
電気パーツ部156は、バッテリユニット100の充放電を制御する充放電制御回路等の電気的な部品を有する。充放電制御回路は、例えば、電池部152において2本の列をなすバスバー120の間の空間に配置される。
ボックスカバー157は、モジュールケース150に各部が収納された後に、モジュールケース150を閉鎖するためのカバーである。
以上説明したように、本技術の非水電解質電池を用いたバッテリユニット100およびバッテリモジュール160が構成される
4.第4の実施の形態
図9は、単電池を用いた電池パックの斜視構成を表しており、図10は、図9に示した電池パックのブロック構成を表している。なお、図9では、電池パックを分解した状態を示している。
ここで説明する電池パックは、1つの二次電池を用いた簡易型の電池パック(いわゆるソフトパック)であり、例えば、スマートフォンに代表される電子機器等に内蔵される。この電池パックは、例えば、図10に示したように、第2の実施の形態によるラミネートフィルム型の二次電池である電源211と、その電源211に接続される回路基板216とを備えている。
電源211の両側面には、一対の粘着テープ218,219が貼り付けられている。回路基板216には、保護回路(PCM:Protection・Circuit・Module )が形成されている。この回路基板216は、電源211の正極リード212および負極リード213に対して一対のタブ214,215を介して接続されていると共に、外部接続用のコネクタ付きリード線217に接続されている。なお、回路基板216が電源211に接続された状態において、その回路基板216は、ラベル220および絶縁シート231により上下から保護されている。このラベル220が貼り付けられることで、回路基板216および絶縁シート231等は固定されている。
また、電池パックは、例えば、図10に示しているように、電源211と、回路基板216とを備えている。回路基板216は、例えば、制御部221と、スイッチ部222と、PTC223と、温度検出部224とを備えている。電源211は、正極端子225および負極端子227を介して外部と接続可能であるため、その電源211は、正極端子225および負極端子227を介して充放電される。温度検出部224は、温度検出端子(いわゆるT端子)226を用いて温度を検出可能である。
制御部221は、電池パック全体の動作(電源211の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、中央演算処理装置(CPU)およびメモリ等を含んでいる。
この制御部221は、例えば、電池電圧が過充電検出電圧に到達すると、スイッチ部222を切断させることで、電源211の電流経路に充電電流が流れないようにする。また、制御部221は、例えば、充電時において大電流が流れると、スイッチ部222を切断させて、充電電流を遮断する。
この他、制御部221は、例えば、電池電圧が過放電検出電圧に到達すると、スイッチ部222を切断させることで、電源211の電流経路に放電電流が流れないようにする。また、制御部221は、例えば、放電時において大電流が流れると、スイッチ部222を切断させることで、放電電流を遮断する。
スイッチ部222は、制御部221の指示に応じて、電源211の使用状態(電源211と外部機器との接続の可否)を切り換えるものである。このスイッチ部222は、例えば、充電制御スイッチおよび放電制御スイッチ等を含んでいる。充電制御スイッチおよび放電制御スイッチは、例えば、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)等の半導体スイッチである。なお、充放電電流は、例えば、スイッチ部222のON抵抗に基づいて検出される。
温度検出部224は、電源211の温度を測定して、その測定結果を制御部221に出力するものであり、例えば、サーミスタ等の温度検出素子を含んでいる。なお、温度検出部224による測定結果は、異常発熱時において制御部221が充放電制御を行う場合や、制御部221が残容量の算出時において補正処理を行う場合等に用いられる。
なお、回路基板216は、PTC223を備えていなくてもよい。この場合には、別途、回路基板216にPTC素子が付設されていてもよい。
5.第5の実施の形態
図11は、本技術の第1の実施〜第2の実施の形態による電池(以下、二次電池と適宜称する)を電池パックに適用した場合の回路構成例を示すブロック図である。電池パックは、組電池301、外装、充電制御スイッチ302aと、放電制御スイッチ303a、を備えるスイッチ部304、電流検出抵抗307、温度検出素子308、制御部310を備えている。
また、電池パックは、正極端子321および負極端子322を備え、充電時には正極端子321および負極端子322がそれぞれ充電器の正極端子、負極端子に接続され、充電が行われる。また、電子機器使用時には、正極端子321および負極端子322がそれぞれ電子機器の正極端子、負極端子に接続され、放電が行われる。
組電池301は、複数の二次電池301aを直列および/または並列に接続してなる。この二次電池301aは本技術の二次電池である。なお、図11では、6つの二次電池301aが、2並列3直列(2P3S)に接続された場合が例として示されているが、その他、n並列m直列(n,mは整数)のように、どのような接続方法でもよい。
スイッチ部304は、充電制御スイッチ302aおよびダイオード302b、ならびに放電制御スイッチ303aおよびダイオード303bを備え、制御部310によって制御される。ダイオード302bは、正極端子321から組電池301の方向に流れる充電電流に対して逆方向で、負極端子322から組電池301の方向に流れる放電電流に対して順方向の極性を有する。ダイオード303bは、充電電流に対して順方向で、放電電流に対して逆方向の極性を有する。尚、図11に示す例では+側にスイッチ部304を設けているが、−側に設けても良い。
充電制御スイッチ302aは、電池電圧が過充電検出電圧となった場合にOFFされて、組電池301の電流経路に充電電流が流れないように充放電制御部によって制御される。充電制御スイッチ302aのOFF後は、ダイオード302bを介することによって放電のみが可能となる。また、充電時に大電流が流れた場合にOFFされて、組電池301の電流経路に流れる充電電流を遮断するように、制御部310によって制御される。
放電制御スイッチ303aは、電池電圧が過放電検出電圧となった場合にOFFされて、組電池301の電流経路に放電電流が流れないように制御部310によって制御される。放電制御スイッチ303aのOFF後は、ダイオード303bを介することによって充電のみが可能となる。また、放電時に大電流が流れた場合にOFFされて、組電池301の電流経路に流れる放電電流を遮断するように、制御部310によって制御される。
温度検出素子308は例えばサーミスタであり、組電池301の近傍に設けられ、組電池301の温度を測定して測定温度を制御部310に供給する。電圧検出部311は、組電池301およびそれを構成する各二次電池301aの電圧を測定し、この測定電圧をA/D変換して、制御部310に供給する。電流測定部313は、電流検出抵抗307を用いて電流を測定し、この測定電流を制御部310に供給する。
スイッチ制御部314は、電圧検出部311および電流測定部313から入力された電圧および電流を基に、スイッチ部304の充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aを制御する。スイッチ制御部314は、二次電池301aのいずれかの電圧が過充電検出電圧もしくは過放電検出電圧以下になったとき、また、大電流が急激に流れたときに、スイッチ部304に制御信号を送ることにより、過充電および過放電、過電流充放電を防止する。
充放電スイッチは、例えばMOSFET等の半導体スイッチを使用できる。この場合MOSFETの寄生ダイオードがダイオード302bおよび303bとして機能する。充放電スイッチとして、Pチャンネル型FETを使用した場合は、スイッチ制御部314は、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aのそれぞれのゲートに対して、制御信号DOおよびCOをそれぞれ供給する。充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aはPチャンネル型である場合、ソース電位より所定値以上低いゲート電位によってONする。すなわち、通常の充電および放電動作では、制御信号COおよびDOをローレベルとし、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aをON状態とする。
そして、例えば過充電もしくは過放電の際には、制御信号COおよびDOをハイレベルとし、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aをOFF状態とする。
メモリ317は、RAMやROMからなり例えば不揮発性メモリであるEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等からなる。メモリ317では、制御部310で演算された数値や、製造工程の段階で測定された各二次電池301aの初期状態における電池の内部抵抗値等が予め記憶され、また適宜、書き換えも可能である。(また、二次電池301aの満充電容量を記憶させておくことで、制御部310とともに例えば残容量を算出することができる。
温度検出部318では、温度検出素子308を用いて温度を測定し、異常発熱時に充放電制御を行ったり、残容量の算出における補正を行う。
6.第6の実施の形態
上述した本技術の第1の実施の形態〜第2の実施の形態による電池、第3の実施の形態によるバッテリモジュールおよび第4の実施の形態〜第5実施の形態による電池パックは、例えば電子機器や電動車両、蓄電装置等の機器に搭載または電力を供給するために使用することができる。
電子機器として、例えばノート型パソコン、PDA(携帯情報端末)、携帯電話、コードレスフォン子機、ビデオムービー、デジタルスチルカメラ、電子書籍、電子辞書、音楽プレイヤー、ラジオ、ヘッドホン、ゲーム機、ナビゲーションシステム、メモリーカード、ペースメーカー、補聴器、電動工具、電気シェーバー、冷蔵庫、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、乾燥器、照明機器、玩具、医療機器、ロボット、ロードコンディショナー、信号機等が挙げられる。
また、電動車両としては鉄道車両、ゴルフカート、電動カート、電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)等が挙げられ、これらの駆動用電源または補助用電源として用いられる。
蓄電装置としては、住宅をはじめとする建築物用または発電設備用の電力貯蔵用電源等が挙げられる。
以下では、上述した適用例のうち、上述した本技術の電池を適用した蓄電装置を用いた蓄電システムの具体例を説明する。
この蓄電システムは、例えば下記の様な構成が挙げられる。第1の蓄電システムは、再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって蓄電装置が充電される蓄電システムである。第2の蓄電システムは、蓄電装置を有し、蓄電装置に接続される電子機器に電力を供給する蓄電システムである。第3の蓄電システムは、蓄電装置から、電力の供給を受ける電子機器である。これらの蓄電システムは、外部の電力供給網と協働して電力の効率的な供給を図るシステムとして実施される。
さらに、第4の蓄電システムは、蓄電装置から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、蓄電装置に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう制御装置とを有する電動車両である。第5の蓄電システムは、他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部とを備え、送受信部が受信した情報に基づき、上述した蓄電装置の充放電制御を行う電力システムである。第6の蓄電システムは、上述した蓄電装置から、電力の供給を受け、または発電装置または電力網から蓄電装置に電力を供給する電力システムである。以下、蓄電システムについて説明する。
(6−1)応用例としての住宅における蓄電システム
本技術の電池を用いた蓄電装置を住宅用の蓄電システムに適用した例について、図12を参照して説明する。例えば住宅401用の蓄電システム400においては、火力発電402a、原子力発電402b、水力発電402c等の集中型電力系統402から電力網409、情報網412、スマートメータ407、パワーハブ408等を介し、電力が蓄電装置403に供給される。これと共に、家庭内の発電装置404等の独立電源から電力が蓄電装置403に供給される。蓄電装置403に供給された電力が蓄電される。蓄電装置403を使用して、住宅401で使用する電力が給電される。住宅401に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
住宅401には、発電装置404、電力消費装置405、蓄電装置403、各装置を制御する制御装置410、スマートメータ407、各種情報を取得するセンサ411が設けられている。各装置は、電力網409および情報網412によって接続されている。発電装置404として、太陽電池、燃料電池等が利用され、発電した電力が電力消費装置405および/または蓄電装置403に供給される。電力消費装置405は、冷蔵庫405a、空調装置405b、テレビジョン受信機405c、風呂405d等である。さらに、電力消費装置405には、電動車両406が含まれる。電動車両406は、電気自動車406a、ハイブリッドカー406b、電気バイク406cである。
蓄電装置403に対して、本技術の電池が適用される。本技術の電池は、例えば上述したリチウムイオン二次電池によって構成されていてもよい。スマートメータ407は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網409は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせても良い。
各種のセンサ411は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサ等である。各種のセンサ411により取得された情報は、制御装置410に送信される。センサ411からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置405を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置410は、住宅401に関する情報をインターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
パワーハブ408によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置410と接続される情報網412の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法、Bluetooth、ZigBee、Wi−Fi、NFC等の無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network)またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。NFC(Near Field Communication)は近距離無線通信技術の名称である。
制御装置410は、外部のサーバ413と接続されている。このサーバ413は、住宅401、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていても良い。サーバ413が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信しても良いが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機等)から送受信しても良い。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等に、表示されても良い。
各部を制御する制御装置410は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成され、この例では、蓄電装置403に格納されている。制御装置410は、蓄電装置403、家庭内の発電装置404、電力消費装置405、各種のセンサ411、サーバ413と情報網412により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていても良い。
以上のように、電力が火力発電402a、原子力発電402b、水力発電402c等の集中型電力系統402のみならず、家庭内の発電装置404(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置403に蓄えることができる。したがって、家庭内の発電装置404の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置403に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置403に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置403によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
なお、この例では、制御装置410が蓄電装置403内に格納される例を説明したが、スマートメータ407内に格納されても良いし、単独で構成されていても良い。さらに、蓄電システム400は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
(6−2)応用例としての車両における蓄電システム
本技術を車両用の蓄電システムに適用した例について、図13を参照して説明する。図13に、本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
このハイブリッド車両500には、エンジン501、発電機502、電力駆動力変換装置503、駆動輪504a、駆動輪504b、車輪505a、車輪505b、バッテリー508、車両制御装置509、各種センサ510、充電口511が搭載されている。バッテリー508に対して、上述した本技術の電池が適用される。
ハイブリッド車両500は、電力駆動力変換装置503を動力源として走行する。電力駆動力変換装置503の一例は、モータである。バッテリー508の電力によって電力駆動力変換装置503が作動し、この電力駆動力変換装置503の回転力が駆動輪504a、504bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)あるいは逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置503が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ510は、車両制御装置509を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ510には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサ等が含まれる。
エンジン501の回転力は発電機502に伝えられ、その回転力によって発電機502により生成された電力をバッテリー508に蓄積することが可能である。
図示しない制動機構によりハイブリッド車両500が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置503に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置503により生成された回生電力がバッテリー508に蓄積される。
バッテリー508は、ハイブリッド車両500の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口511を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
図示しないが、二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていても良い。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置等がある。
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモータの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モータのみで走行、エンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本技術は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本技術は有効に適用可能である。
以下、実施例により本技術を詳細に説明する。なお、本技術は、下記の実施例の構成に限定されるものではない。
<実施例1−1>
以下の手順により、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)、負極活物質として、充放電時の電位がリチウム電位に対して約1.55Vに平坦部を有するチタン酸リチウム(Li4Ti512)を用いて、図3および図4に示したラミネートフィルム型の二次電池を作製した。
(正極の作製)
まず、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)90質量部と、導電剤としてケッチェンブラック5質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン5質量部を均質に混合してN−メチルピロリドンを添加し、正極合剤スラリーを得た。
次に、この正極合剤スラリーを、厚み10μmのアルミニウム箔上の両面に、均一に塗布し、乾燥させ圧縮成型し、片面あたりの厚さが30μmの正極活物質層(活物質層の体積密度:3.5g/cc)を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して正極を得た。
(負極の作製)
負極活物質としてチタン酸リチウム(Li4Ti512)85質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン5質量部と、導電剤としてケッチェンブラック10質量部とを均質に混合して、N−メチルピロリドンを添加し負極合剤スラリー得た。
次に、この負極合剤スラリーを、負極集電体となる厚み10μmのアルミニウム箔上の片面に、均一に塗布し、乾燥させ圧縮成型し、片面当たりの厚さが30μmの負極活物質層を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して負極(合剤の体積密度:1.8g/cc)を得た。
(セパレータ)
セパレータとしては、厚さ16μmの微多孔性ポリエチレンフィルムを用いた。
(電解液の調製)
液状の非水電解質である電解液(非水電解液)としては、溶媒を調製し、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0mol/kgとなるように溶解させ、さらに添加剤として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔(CH3O)3)Si(CH23SH〕を1質量%添加したものを用いた。溶媒は、プロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)と炭酸ビニレン(VC)とエチルイソプロピルスルホン(EiPS)とを、PC:EMC:VC:EiPS=37:56:1:5(質量比)で混合した混合溶媒を用いた。
なお、この電解液を用いた電池では、式(1−2)で表される化合物〔(CH3O)3Si(CH23S−S(=O)2CH2CH3〕が電解液中に、電解液に対する質量百分率で0.05質量%含まれており、負極中にも、電解液中と同じ式(1−2)で表される化合物が含まれる。式(1−2)で表される化合物は、3−メルカプトトリメトキシシランおよびエチルイソプロピルスルホンに由来する化合物であり、3−メルカプトトリメトキシシランおよびエチルイソプロピルスルホンの分解物から生成される。
(電池の組み立て)
正極と負極とを、セパレータを介して巻回した後、アルミニウムラミネートフィルムからなる袋状の外装部材に入れたのち、電解液を2g注液し、その後、袋を熱融着した。以上により、実施例1−1のラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例1−2〜実施例1−3>
電解液中のプロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)と炭酸ビニレン(VC)とエチルイソプロピルスルホン(EiPS)との質量比(PC:EMC:VC:EiPS)を下掲の表1に示す通りに変えた。3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔(CH3O)3Si(CH23SH〕の濃度を下掲の表1に示す通りに変えた。式(1−2)で表される化合物〔(CH3O)Si(CH23−S−S(=O)2CH2CH3〕の濃度を下掲の表1に示す通りに変えた。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例1−4〜実施例1−6>
電解液中の添加剤を3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン〔(CH3)(CH3O)2Si(CH23SH〕に変えた。負極中の化合物を式(1−4)で表される化合物〔(CH3)(CH3O)2Si(CH23−S−S(=O)2C(CH32〕に変えた。以上のこと以外は、実施例1−1〜実施例1−5と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例1−1>
電解液として、エチルイソプロピルスルホン(EiPS)および3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔(CH3O)3Si(CH23SH〕を含有しないものを用いた。すなわち、電解液の溶媒として、プロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)と炭酸ビニレン(VC)とを、PC:EMC:VC=40:59:1(質量比)で混合した混合溶媒を用いた。3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔(CH3O)3Si(CH23SH〕を添加しなかった。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例1−2〜比較例1−4>
電解液として、鎖状スルホン化合物を含有しないものを用いた。すなわち、電解液の溶媒として、プロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)と炭酸ビニレン(VC)とを、PC:EMC:VC=39:59:1(質量比)で混合した混合溶媒を用いた。添加剤として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔(CH3O)3Si(CH23SH〕を1質量%になるように添加した。負極に含まれる化合物を3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔(CH3O)3Si(CH23SH〕にした。以上のこと以外は、実施例1−1〜実施例1−3と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例1−5〜比較例1−7>
電解液中の添加剤を3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン〔(CH3)(CH3O)2Si(CH23SH〕に変えた。負極に含まれる化合物を〔(CH3)(CH3O)2Si(CH23SH〕に変えた。以上のこと以外は、比較例1−2〜比較例1−4と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例1−8〜比較例1−10>
電解液として、添加剤を含有しないものを用いた。すなわち、溶媒として、プロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)と炭酸ビニレン(VC)とエチルイソプロピルスルホン(EiPS)とを、PC:EMC:VC:EiPS=38:56:1:5(質量比)で混合した混合溶媒を用い、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔(CH3O)3Si(CH23SH〕を添加しなかった電解液を用いた。負極に含まれる化合物を式(2−2)で表される化合物〔HS(=O)225〕とした。以上のこと以外は、実施例1−1〜実施例1−3と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例1−11〜比較例1−13>
電解液として、シラン・シロキサン化合物を含有しないものを用いた。すなわち、溶媒として、プロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)と炭酸ビニレン(VC)とエチルイソプロピルスルホン(EiPS)とを、PC:EMC:VC:EiPS=40:59:1:1(質量比)で混合した混合溶媒を用い、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン〔(CH3O)3Si(CH23SH〕を添加しなかった電解液を用いた。負極に含まれる化合物を式(2−4)で表される化合物〔HS(=O)2CH(CH32〕とした。以上のこと以外は、実施例1−1〜実施例1−3と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例1−14>
負極活物質として黒鉛((C6;Graphite))を用いたこと以外は、実施例1−2と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
(評価)
作製した各電池について以下の評価を行った。
(高温サイクル試験)
最初に、各電池を23℃の雰囲気中において0.2Cの電流で2サイクル充放電させて、2サイクル目の放電容量を測定した。続いて、65℃の雰囲気中において300サイクルの充放電を繰り返し、2サイクル目の放電容量に対する300サイクルにおける放電容量維持率を、(300サイクル目の放電容量÷2サイクル目の放電容量)×100(%)として求めた。
充放電条件としては、0.2Cの電流で上限電圧まで定電流定電圧充電し、さらに上限電圧での定電圧で電流値が0.05Cに達するまで充電したのち、0.2Cの電流で終止電圧まで定電流放電した。この「0.2C」とは、理論容量を5時間で放電しきる電流値である。上限電圧は、2.7Vに設定した。なお、後述のリン酸マンガン鉄リチウムを用いた電池(実施例3−3)では2.7V、リン酸鉄リチウムを用いた電池(実施例3−2等)では2.4Vにそれぞれ設定した。
(高温保存時の膨れの測定)
初回容量測定後の各電池を、23℃の雰囲気中において上記と同様の上限電圧で3時間充電した後、充電状態において80℃の恒温槽中に24時間保存し、保存後の電池厚さと保存前の電池厚さとの差から、下記により高温保存時のセル厚の増加率を求めた。
高温保存時のセル厚の増加率(%)={(「保存後の電池厚さ」−「保存前の電池厚さ」)÷「保存前の電池厚さ」}×100(%)
表1に評価結果を示す。
Figure 2015213014
表1に示すように、実施例1−1〜実施例1−6では、高温保存時のガス発生を抑制でき、電池セルの厚さの増加を低減することができた。これらの電池では、鎖状スルホン化合物およびシランカップリング剤を含む電解液を用いることで、負極に式(1−2)または式(1−14)で表される化合物を含ませることによって、高温サイクル特性を向上できると共に、高温保存時のガス発生を抑制でき、電池セルの厚さの増加を低減することができた。なお、鎖状スルホン化合物として、他の鎖状スルホン化合物を用いた場合も同様の効果を得られる。シランカップリング剤として他のシランカップリング剤を用いた場合も同様の効果を得られる。シランカップリング剤に代えて、シロキサン化合物を用いた場合も同様の効果を得られる。負極に他のジスルフィド結合を有する化合物(例えば、式(1−1)、式(1−3)〜式(1−13)、式(1−15)〜式(1−25)の化合物等)を含む場合も同様の効果を得られる。(以下の実施例でも同様)また、実施例1−1において、電解液中および負極中に、式(1−2)で表される化合物と式(2−2)で表される化合物、式(2−6)で表される化合物とが共存した状態になっていてもよい。実施例1−4において、電解液中および負極中に、式(1−14)で表される化合物と式(2−4)で表される化合物、式(2−8)で表される化合物とが共存した状態になっていてもよい。
<実施例2−1〜実施例2−5>
実施例1−2と同様にして実施例2−4のラミネートフィルム型電池を作製した。電解液中の鎖状スルホン化合物、エチルイソプロピルスルホン(EiPS)の組成を下掲の表2の通りに変えた以外は、実施例2−4と同様にして、実施例2−1〜実施例2−2、実施例2−3〜実施例2−5のラミネートフィルム型電池を作製した。
(評価)
作製した各電池について実施例1−1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2015213014
表2に示すように、実施例2−1〜実施例2−5では、高温サイクル特性を向上できると共に、高温保存時のガス発生を抑制でき、電池セルの厚さの増加を低減することができた。また、電解液中の鎖状スルホン化合物の濃度が、0.5質量%以上5質量%以下の場合に、高温サイクル維持率がより高くなり、また、高温保存時のガス発生をより抑制できることが確認できた。
<実施例3−1>
実施例1−2と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例3−2>
正極活物質としてオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を用いたこと以外は、実施例3−1と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例3−3>
正極活物質としてオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム(LiFe0.25Mn0.75PO4)を用いたこと以外は、実施例3−1と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
(評価)
作製した各電池について実施例1−1と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2015213014
表3に示すように、実施例3−1〜実施例3−3では、高温サイクル特性を向上できると共に、高温保存時のガス発生を抑制でき、電池セルの厚さの増加を低減することができた。実施例3−1〜実施例3−3によれば、正極活物質種としては、オリビン構造を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO4)、リン酸マンガン鉄リチウム(LiMnFePO4)を用いた場合が、より優れた効果得られた。
<実施例4−1>
実施例3−2と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例4−2>
負極活物質として酸化チタン(TiO2)を用いたこと以外は、実施例4−1と同様にして電池を作製した。
(評価)
作製した各電池について実施例1−1と同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 2015213014
表4に示すように、実施例4−1〜実施例4−2では、高温サイクル特性を向上できると共に、高温保存時のガス発生を抑制でき、電池セルの厚さの増加を低減することができた。実施例4−1〜実施例4−2によれば、負極活物質種が酸化チタン(TiO2)の場合でも、負極活物質種がLi4Ti512と同様の効果を得られることができた。
<実施例5−1>
実施例3−2と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例5−2>
電解質塩としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を用いたこと以外は、実施例5−1と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例5−3>
電解質塩としてリチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド(LiTFSI)を用いたこと以外は、実施例5−1と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
(評価)
作製した各電池について実施例1−1と同様の評価を行った。評価結果を表5に示す。
Figure 2015213014
表5に示すように、実施例5−1〜実施例5−3では、高温サイクル特性を向上できると共に、高温保存時のガス発生を抑制でき、電池セルの厚さの増加を低減することができた。実施例5−2〜実施例5−3によれば、電解質塩種が、LiFSIまたはLiTFSIである場合には、LiPF6由来のHFによる劣化がなく、高温サイクル特性および高温保存時のガス発生抑制効果がより優れていた。
<実施例6−1>
実施例1−2と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例6−2>
実施例3−2と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例6−1>
負極活物質として黒鉛((C6;Graphite))を用いた。下掲の表6に示す電解液を用いた。以上のこと以外は、実施例6−1と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例6−2>
正極活物質としてオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を用いた。負極活物質として黒鉛(Graphite)を用いた。下掲の表6に示す電解液を用いた。以上のこと以外は、実施例6−1と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例6−3>
正極にオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を用いた。比較例6−1と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例6−4>
下掲の表6に示す電解液を用いたこと以外は、実施例6−1と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
(評価)
作製した各電池について以下の評価を行った。
(サイクル(5C)試験)
サイクル特性(5C)を調べる場合には、電池状態を安定化させるために常温(23℃)環境中で電池を1サイクル充放電させたのち、同環境下で電池をさらに1サイクル充放電させて放電容量を測定した。
続いて、同環境下でのサイクル数合計が1000サイクルになるまで充放電を繰り返して放電容量を測定した。
この結果から、5Cサイクル容量維持率(%)=(1000サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。
充電時には、5.0Cの電流で上限電圧まで定電流充電したのち、上限電圧で電流が0.05Cになるまで定電圧充電を行った。なお、「上限電圧−終止電圧)」は、実例6−1および比較例6−3:4.3V−3.0V、実施例6−2および比較例6−4:2.4V−0.5V、比較例6−1:4.2V−2.5V、比較例6−2:3.6V−2.0Vとした。「5.0C」および「0.05C」は、それぞれ電池容量(理論容量)を12分、20時間で放電しきる電流値である。
評価結果を表6に示す。
Figure 2015213014
表6に示すように、実施例6−1〜実施例6−2では、負極活物質種として、チタン酸リチウム(Li4Ti512)を用い、鎖状スルホン化合物およびシランカップリング剤を含む電解液を用いて、負極に式(1−2)で表される化合物を含ませることによって、高出力サイクル特性をより優れたものとすることができた。なお、比較例6−1のように正極:コバルト酸リチウム(LiCoO2)、負極:黒鉛の場合では、5C相当の高い電流値をかけたサイクル維持率は大幅に低下してしまう。
7.他の実施の形態
本技術は、上述した本技術の実施の形態および実施例に限定されるものでは無く、本技術の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、製造プロセス等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、製造プロセス等を用いてもよい。
また、上述の実施の形態および実施例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、上述の実施の形態および実施例では、ラミネートフィルム型、円筒型の電池等について説明したが、角型、コイン型またはボタン型等の電池であってもよい。さらに、上述の実施の形態および実施例では、電極反応にリチウムを用いる場合を説明したが、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)などの他のアルカリ金属、またはマグネシウムまたはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属を用いる場合についても、本技術を適用することができ、同様の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態および実施例では、本技術の電池における化合物の組み合わせについて、実施例の結果から導き出された適正範囲を説明しているが、その説明は、上記した組み合わせ以外となる可能性を完全に否定するものではない。すなわち、上記した適正範囲は、あくまで本技術の効果を得る上で特に好ましい範囲であり、本技術の効果が得られるのであれば、上記した範囲に限定されない。
本技術は、以下の構成をとることもできる。
[1]
正極活物質を含む正極と、
負極活物質を含む負極と、
非水溶媒と電解質塩と添加剤とを含有する電解液を含む電解質と
を備え、
前記負極活物質は、少なくともチタンと酸素とを構成元素として含有するチタン含有無機酸化物を含み、
前記非水溶媒は、鎖状スルホン化合物を含み、
前記添加剤は、シランカップリング剤およびシロキサン化合物の少なくとも何れか一の化合物を含む電池。
[2]
前記一の化合物は、メルカプト基を有するシランカップリング剤である[1]に記載の電池。
[3]
前記鎖状スルホン化合物の含有量は、前記電解液に対して、0.1質量%以上20質量%以下である[1]〜[2]の何れかに記載の電池。
[4]
前記正極活物質は、オリビン構造を有し、且つ、リチウムと遷移金属元素の少なくとも1種とリンとを少なくとも含むリン酸化合物、または、スピネル構造を有し、且つ、リチウムとマンガンとを少なくとも含むリチウムマンガン複合酸化物である[1]〜[3]の何れかに記載の電池。
[5]
前記チタン含有無機酸化物は、少なくともリチウムおよびチタンを構成元素として有するチタン含有リチウム複合酸化物、または、チタンと酸素とを構成元素として有するチタン酸化物である[1]〜[4]の何れかに記載の電池。
[6]
前記電解質塩は、リチウムビス(フルオロ)スルホニルイミドおよびリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドの少なくとも1種を含む[1]〜[5]の何れかに記載の電池。
[7]
前記電解質は、前記電解液を保持する高分子化合物をさらに含む[1]〜[6]の何れかに記載の電池。
[8]
正極活物質を含む正極と、
負極活物質を含む負極と、
非水溶媒および電解質塩を含む電解液を含む電解質と
を備え、
前記負極活物質は、少なくともチタンと酸素とを構成元素として含有するチタン含有無機酸化物を含み、
前記負極は、シランカップリング剤またはシロキサン化合物と鎖状スルホン化合物とに由来する第1の化合物を含む電池。
[9]
前記シランカップリング剤は、メルカプト基を有するシランカップリング剤である[8]に記載の電池。
[10]
鎖状スルホン化合物に由来する第2の化合物をさらに含む[8]〜[9]の何れかに記載の電池。
[11]
前記第1の化合物は、式(1)で表されるジスルフィド化合物の少なくとも1種を含む[8]〜[10]の何れかに記載の電池。
Figure 2015213014
(式中、nは1以上8以下の整数である。R1、R2、R3およびR4は、各々独立してハロゲン基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基またはシロキサン基である。)
[12]
前記電解質に含まれる前記式(1)で表されるジスルフィド化合物の含有量は、前記電解液の質量に対して、0.05質量%以上0.5質量%以下である[11]に記載の電池。
[13]
前記第2の化合物は、式(2)で表されるスルホニル化合物の少なくとも1種を含む[10]に記載の電池。
Figure 2015213014
(式中、R5は、ハロゲン基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアルコキシ基である。R6は、HまたはLiである。)
[14]
[1]〜[13] の何れかに記載の電池を複数有するバッテリモジュール。
[15]
[1]〜[13]の何れかに記載の電池と、
前記電池を制御する制御部と、
前記電池を内包する外装と
を有する電池パック。
[16]
[1]〜[13]の何れかに記載の電池を有し、前記電池から電力の供給を受ける電子機器。
[17]
[1]〜[13]の何れかに記載の電池と、
前記電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
前記電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
を有する電動車両。
[18]
[1]〜[13]の何れかに記載の電池を有し、前記電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
[19]
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
前記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、前記電池の充放電制御を行う[18]に記載の蓄電装置。
[20]
[1]〜[13]の何れかに記載の電池から電力の供給を受け、または、発電装置もしくは電力網から前記電池に電力が供給される電力システム。
1−1・・・非水電解質電池、1−1A・・・電池本体、1−2・・・非水電解質電池、1−2A・・・電池本体、3−1・・・正極リード、3−2・・・正極リード、4−1・・・負極リード、4−2・・・負極リード、11・・・電池缶、12,13・・・絶縁板、14・・・電池蓋、15・・・安全弁機構、15A・・・ディスク板、16・・・熱感抵抗素子、17・・・ガスケット、20・・・巻回電極体、21・・・正極、21A・・・正極集電体、21B・・・正極活物質層、22・・・負極、22A・・・負極集電体、22B・・・負極活物質層、23・・・セパレータ、24・・・センターピン、25・・・正極リード、26・・・負極リード、30・・・巻回電極体、31・・・正極リード、32・・・負極リード、33・・・正極、33A・・・正極集電体、33B・・・正極活物質層、34・・・負極、34A・・・負極集電体、34B・・・負極活物質層、35・・・セパレータ、36・・・電解質、37・・・保護テープ、40・・・外装部材、41・・・密着フィルム、60・・・外装部材、61・・・密着フィルム、70・・・積層電極体、71・・・正極リード、72・・・負極リード、73・・・正極、74・・・負極、75・・・セパレータ、76・・・固定部材、100・・・バッテリユニット、110・・・ブラケット、111・・・面取り部、112・・・外周壁、113・・・リブ部、120・・・バスバー、120−1・・バスバー、120−1・・・バスバー、130−1・・・両面テープ、130−2・・・両面テープ、150・・・モジュールケース、151・・・ゴムシート部、160・・・バッテリモジュール、211・・・電源、212・・・正極リード、213・・・負極リード、214、215・・・タブ、216・・・回路基板、217・・・コネクタ付きリード線、218、219・・・粘着テープ、220・・・ラベル、221・・・制御部、222・・・スイッチ部、224・・・温度検出部、225・・・正極端子、227・・・負極端子、231・・・絶縁シート、301・・・組電池、301a・・・二次電池、302a・・・充電制御スイッチ、302b・・・ダイオード、303a・・・放電制御スイッチ、303b・・・ダイオード、304・・・スイッチ部、307・・・電流検出抵抗、308・・・温度検出素子、310・・・制御部、311・・・電圧検出部、313・・・電流測定部、314・・・スイッチ制御部、317・・・メモリ、318・・・温度検出部、321・・・正極端子、322・・・負極端子、400・・・蓄電システム、401・・・住宅、402・・・集中型電力系統、402a・・・火力発電、402b・・・原子力発電、402c・・・水力発電、403・・・蓄電装置、404・・・発電装置、405・・・電力消費装置、405a・・・冷蔵庫、405b・・・エアコン、405c・・・テレビ、405d・・・バス、406・・・電動車両、406a・・・電気自動車、406b・・・ハイブリッドカー、406c・・・電気バイク、407・・・スマートメータ、408・・・パワーハブ、409・・・電力網、410・・・制御装置、411・・・センサ、412・・・情報網、413・・・サーバ、500・・・ハイブリッド車両、501・・・エンジン、502・・・発電機、503・・・電力駆動力変換装置、504a・・・駆動輪、504b・・・駆動輪、505a・・・車輪、505b・・・車輪、508・・・バッテリー、509・・・車両制御装置、510・・・センサ、511・・・充電口

Claims (20)

  1. 正極活物質を含む正極と、
    負極活物質を含む負極と、
    非水溶媒と電解質塩と添加剤とを含有する電解液を含む電解質と
    を備え、
    前記負極活物質は、少なくともチタンと酸素とを構成元素として含有するチタン含有無機酸化物を含み、
    前記非水溶媒は、鎖状スルホン化合物を含み、
    前記添加剤は、シランカップリング剤およびシロキサン化合物の少なくとも何れか一の化合物を含む電池。
  2. 前記一の化合物は、メルカプト基を有するシランカップリング剤である請求項1に記載の電池。
  3. 前記鎖状スルホン化合物の含有量は、前記電解液に対して、0.1質量%以上20質量%以下である請求項1に記載の電池。
  4. 前記正極活物質は、オリビン構造を有し、且つ、リチウムと遷移金属元素の少なくとも1種とリンとを少なくとも含むリン酸化合物、または、スピネル構造を有し、且つ、リチウムとマンガンとを少なくとも含むリチウムマンガン複合酸化物である請求項1に記載の電池。
  5. 前記チタン含有無機酸化物は、少なくともリチウムおよびチタンを構成元素として有するチタン含有リチウム複合酸化物、または、チタンと酸素とを構成元素として有するチタン酸化物である請求項1に記載の電池。
  6. 前記電解質塩は、リチウムビス(フルオロ)スルホニルイミドおよびリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドの少なくとも1種を含む請求項1に記載の電池。
  7. 前記電解質は、前記電解液を保持する高分子化合物をさらに含む請求項1に記載の電池。
  8. 正極活物質を含む正極と、
    負極活物質を含む負極と、
    非水溶媒および電解質塩を含む電解液を含む電解質と
    を備え、
    前記負極活物質は、少なくともチタンと酸素とを構成元素として含有するチタン含有無機酸化物を含み、
    前記負極は、シランカップリング剤またはシロキサン化合物と鎖状スルホン化合物とに由来する第1の化合物を含む電池。
  9. 前記シランカップリング剤は、メルカプト基を有するシランカップリング剤である請求項8に記載の電池。
  10. 鎖状スルホン化合物に由来する第2の化合物をさらに含む請求項8に記載の電池。
  11. 前記第1の化合物は、式(1)で表されるジスルフィド化合物の少なくとも1種を含む請求項8に記載の電池。
    Figure 2015213014
    (式中、nは1以上8以下の整数である。R1、R2、R3およびR4は、各々独立してハロゲン基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基またはシロキサン基である。)
  12. 前記電解質に含まれる前記式(1)で表されるジスルフィド化合物の含有量は、前記電解液の質量に対して、0.05質量%以上0.5質量%以下である請求項11に記載の電池。
  13. 前記第2の化合物は、式(2)で表されるスルホニル化合物の少なくとも1種を含む請求項10に記載の電池。
    Figure 2015213014
    (式中、R5は、ハロゲン基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアルコキシ基である。R6は、HまたはLiである。)
  14. 請求項1に記載の電池を複数有するバッテリモジュール。
  15. 請求項1に記載の電池と、
    前記電池を制御する制御部と、
    前記電池を内包する外装と
    を有する電池パック。
  16. 請求項1に記載の電池を有し、前記電池から電力の供給を受ける電子機器。
  17. 請求項1に記載の電池と、
    前記電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
    前記電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
    を有する電動車両。
  18. 請求項1に記載の電池を有し、前記電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
  19. 他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
    前記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、前記電池の充放電制御を行う請求項18に記載の蓄電装置。
  20. 請求項1に記載の電池から電力の供給を受け、または、発電装置もしくは電力網から前記電池に電力が供給される電力システム。
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