JP2014056697A - 二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム - Google Patents

二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム Download PDF

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Abstract

【課題】サイクル特性を向上できる二次電池、並びにこれを用いた電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムを提供する。
【解決手段】二次電池は、正極と、負極と、電解液を含む電解質とを備え、完全放電時における負極のリチウム金属基準の電位が0.4V以上であり、電解液は、特定構造の芳香族化合物のうちの少なくとも1種を含むものである。
【選択図】図1

Description

本技術は、二次電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムに関する。
近年、携帯電話機または携帯情報端末機器(PDA)などに代表される電子機器が広く普及しており、そのさらなる小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、電源として、電池、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。
この二次電池は、最近では、上記した電子機器に限らず、電動ドリルなどの電動工具、電気自動車などの電動車両、家庭用電力サーバなどの電力貯蔵システムに代表される多様な用途への適用も検討されている。
二次電池としては、さまざまな充放電原理を利用するものが広く提案されている。中でも、リチウムイオンの吸蔵放出を利用するリチウムイオン二次電池が有望視されている。鉛電池およびニッケルカドミウム電池などよりも高いエネルギー密度が得られるからである。
二次電池では、特性を改善するために、種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。
特許第3172388号公報 特開2000−195517号公報 特許第4346565号公報
二次電池では、サイクル特性を向上できる技術が求められている。
したがって、本技術の目的は、サイクル特性を向上できる二次電池、並びにこれを用いた電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本技術は、正極と、負極と、電解液を含む電解質とを備え、完全放電時における負極のリチウム金属基準の電位が0.4V以上であり、電解液は、一般式(1)で表される芳香族化合物のうちの少なくとも1種を含む二次電池である。
Figure 2014056697
(式中、Xはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)のうち、少なくとも1種を表し、すべて同一であってもなくてもよい。RNは電子求引性の官能基を表し、シアノ基(CN)およびニトロ基(NO2)のいずれかである。添え字m、nはそれぞれの置換基の数を表し、1≦m≦5、1≦n≦5、2≦m+n≦6を満たす整数を表す。)
また、本技術の電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムは、上述の二次電池を備えることを特徴とする。
本技術によれば、サイクル特性を向上できる。
図1は、本技術の実施の形態による二次電池の構成例を示す断面図である。 図2は、図1における巻回電極体の一部を拡大した断面図である。 図3は、本技術の実施の形態による二次電池の構成例を示す分解斜視図である。 図4は、図3における巻回電極体のIV−IV線に沿った断面図である。 図5Aは、本技術の二次電池の外観を示す斜視図である。図5Bは、二次電池の構成例を示す斜視分解図である。図5Cは、図5Aに示す二次電池の下面の構成例を示す斜視図である。 図6Aは、正極の構成例を示す斜視図である。図6Bは、正極の構成例を示す斜視図である。図6Cは、負極の構成例を示す斜視図である。図6Dは、負極の構成例を示す斜視図である。 図7Aは、本技術の積層電極体の構成例を示す斜視図である。図7Bは、本技術の電池素子の構成例を示す断面図である。図7Cは、本技術の積層電極体の構成例を示す斜視図である。 図8は、図5Aの二次電池のa−a’断面を示す断面図である。 図9A〜図9Eは、本技術の積層電極体の電極タブのU字曲げ工程を示す工程図である。 図10A〜図10Eは、本技術の積層電極体の電極タブのU字曲げ工程を示す工程図である。 図11A〜図11Cは、本技術の積層電極体の電極タブと電極リードとの接続工程を示す工程図である。 図12A〜図12Dは、本技術の積層電極体と接続した電極リードの折り曲げ工程を示す工程図である。 図13A〜図13Bは、本技術の二次電池を用いたバッテリユニットの構成を示す斜視図である。 図14は、本技術の二次電池を用いたバッテリユニットの構成を示す分解斜視図である。 図15は、本技術の二次電池を用いたバッテリモジュールの構成を示す斜視図である。 図16は、本技術の二次電池を用いたバッテリモジュールの構成を示す斜視図である。 図17Aは、並列ブロックの構成例を示す斜視図である。図17Bは、並列ブロックの構成例を示す断面図である。 図18A〜図18Bは、モジュールケースの構成例を示す略線図である。 図19は、本技術の実施の形態による電池パックの構成例を示すブロック図である。 図20は、本技術の二次電池を用いた住宅用の蓄電システムに適用した例を示す概略図である。 図21は、本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す概略図である。 図22は、XPSによるSnCoCの分析結果を表す図である。
以下、本技術の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.技術的背景
2.第1の実施の形態(二次電池の第1の例(円筒型電池))
3.第2の実施の形態(二次電池の第2の例(ラミネートフィルム型電池))
4.第3の実施の形態(二次電池の第3の例)
5.第4の実施の形態(バッテリモジュール等の例)
6.第5の実施の形態(二次電池を用いた電池パックの例)
7.第6の実施の形態(二次電池を用いた蓄電システム等の例)
8.他の実施の形態(変形例)
1.技術的背景
まず、本技術の理解を容易にするため、本技術の技術的背景について説明する。二次電池は、正極および負極と共に電解液を備えており、その正極および負極は、それぞれ正極活物質および負極活物質を含んでいる。高い電池容量を得るために、正極活物質としてはLiCoO2などのリチウム複合酸化物が用いられていると共に、負極活物質としては黒鉛などの炭素材料が用いられている。
この二次電池は、一般的に、作動電圧を2.5V〜4.2Vとして用いられている。単電池でも作動電圧を4.2Vまで上げられるのは、正極と負極とがセパレータを介して分離されており、または電解液の組成が電気化学的に安定化されているからである。
ところで、二次電池のさらなる性能向上および用途拡大などを目的として、電池容量をさらに増加させるために、充電電圧を4.2Vよりも高くして正極活物質を高エネルギー密度化することが検討されている。
しかしながら、充電電圧を4.2Vよりも高くすると、特に高温環境中における正極の表面近傍で電解液が酸化分解されるため、二次電池の重要な特性であるサイクル特性が低下しやすくなる。この場合には、電解液の分解反応に起因して電池内にガスが発生し、電池膨れや漏液、場合によっては電池破裂などが生じるため、安全性も低下する可能性がある。
また、電池容量増加を目的として、炭素材料以外の種々の高容量負極材料に関しても精力的な検討が実施されている。これらの材料では黒鉛などの炭素材料と比較して、特に初期の充放電効率が小さい場合が多く、負極としての反応電位Vaも0.1<Va≦1.6V(vs.Li/Li+)と貴な電位で放電反応の大部分が推移することが知られている。
したがって、これらの電池では貴な負極電位のために、従来の黒鉛など炭素材料に有効であった表面副反応抑制剤の効果が小さくなり、サイクル特性が低下しやすくなる。さらに電解液の分解反応に起因して電池内にガスが発生し、電池膨れや漏液、場合によっては電池破裂などが生じるため、安全性も低下する可能性がある。
サイクル特性などを改善するために、正極の表面または正極活物質の表面を金属酸化物で被覆することが提案されている(例えば、上述した特許文献1、特許文献2参照)。これにより、正極から電解液中に遷移金属が溶出しにくくなるため、電池寿命が改善される。
また、負極が貴な電位で作動する場合には、初期より被膜が形成されにくくサイクル特性が悪化しやすいため、上述の特許文献3にあるような鎖状サルファイト化合物を電解液中に含有させることでサイクル改善がみられることが報告されている。特許文献3では、負極の反応電位Va(Vvs.Li/Li+)が1.0<Vaを満たすチタン酸リチウムを負極活物質として利用した場合、特に含硫黄化合物を含有しない場合には、ガス発生の抑制ができなくなる点に言及している。
電池容量を増加させた場合に生じる問題を改善するために、さまざまな検討がなされているにもかかわらず、未だ十分な対策がなされているとは言えない。特に正極を被覆処理するなどした場合には、抵抗が上昇したり、活物質当たりの可逆容量が減少したりするため好ましくない。また、負極が貴な電位に曝される電池では、良好な被膜が形成されにくく、一度形成されたとしてもサイクルに伴い酸化破壊されるため十分な効果を得ることが難しい。さらに特許文献3の技術では、耐酸化性の低い含硫黄化合物を用いるため、特に高温環境下や充電終止電圧を高めた場合には逆に電池特性を大きく損ねる危険性がある。
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、サイクル特性を向上させることができる二次電池を提供することにある。
2.第1の実施の形態(円筒型二次電池)
(二次電池の構成)
本技術の第1の実施の形態による二次電池について説明する。図1および図2は、本技術の第1の実施の形態における二次電池の断面構成を表しており、図2では、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大している。
ここで説明する二次電池は、例えば、リチウムイオンの吸蔵放出により電池容量が得られるリチウムイオン二次電池である。
この二次電池は、いわゆる円筒型であり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に巻回電極体20(電解液を含む)と一対の絶縁板12、13とが収納されたものである。この巻回電極体20では、正極21と負極22とがセパレータ23を介して積層および巻回されている。
電池缶11は、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空構造を有していると共に、例えば、Fe、Alまたはそれらの合金などにより形成されている。なお、電池缶11の表面にNiなどが鍍金されていてもよい。一対の絶縁板12、13は、巻回電極体20を上下から挟むと共にその巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子(positive temperature coefficient:PTC素子)16がガスケット17を介してかしめられている。これにより、電池缶11は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により形成されている。安全弁機構15および熱感抵抗素子16は、電池蓋14の内側に設けられており、その安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡、または外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上になると、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との間の電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。この熱感抵抗素子16では、温度上昇に応じて抵抗が増加するようになっている。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により形成されており、その表面にはアスファルトが塗布されていてもよい。
巻回電極体20の中心には、センターピン24が挿入されていてもよい。正極21には、例えば、Alなどの導電性材料により形成された正極リード25が接続されていると共に、負極22には、例えば、Niなどの導電性材料により形成された負極リード26が接続されている。正極リード25は、安全弁機構15に溶接などされ、電池蓋14と電気的に接続されていると共に、負極リード26は、電池缶11に溶接などされ、その電池缶11と電気的に接続されている。
[正極]
正極21は、例えば、正極集電体21Aの片面または両面に正極活物質層21Bが設けられたものである。正極集電体21Aは、例えば、Al、Niまたはステンレスなどの導電性材料により形成されている。
正極活物質層21Bは、正極活物質として、リチウムイオンを吸蔵および放出する正極材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、必要に応じて正極結着剤、正極導電剤などの他の材料の少なくとも1種を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物、リチウムリン酸化物、リチウム硫化物またはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。エネルギー密度を高くするには、リチウムと遷移金属元素と酸素(O)とを含むリチウム含有化合物が好ましい。このリチウム含有化合物は、例えば、Liと遷移金属元素とを構成元素として含む複合酸化物や、Liと遷移金属元素とを構成元素として含むリン酸化合物などである。中でも、遷移金属元素は、Co、Ni、MnおよびFeのいずれか1種類または2種類以上であることが好ましい。より高い電圧が得られるからである。その化学式は、典型的には、例えば、LixM1’O2またはLiyM2’PO4で表される。式中、M1’およびM2’は、それぞれ1種類以上の遷移金属元素を表す。xおよびyの値は、充放電状態に応じて異なるが、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。このようなリチウム含有化合物としては、具体的には、例えば、式(1’)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(2’)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩などが挙げられる。リチウム含有化合物としては、遷移金属元素として、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものであればより好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、式(3’)、式(4’−1)、式(4’−2)もしくは式(5’)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(6’)に示したスピネル型の構造を有するリチウム複合酸化物、または式(7’)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩などが挙げられる。リチウム含有化合物としては、より具体的には、LiNi0.50Co0.20Mn0.302、LiaCoO2(a≒1)、LibNiO2(b≒1)、Lic1Nic2Co1-c22(c1≒1、0<c2<1)、LidMn24(d≒1)若しくはLiFePO4またはLiFe1-uMnuPO4(u<1)などがある。
LipNi(1-q-r)MnqM1r(2-y)z・・・(1’)
(式中、M1は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)を除く2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。Xは、酸素(O)以外の16族元素および17族元素のうち少なくとも1種を示す。p、q、r、y、zは、0≦p≦1.5、0≦q≦1.0、0≦r≦1.0、−0.10≦y≦0.20、0≦z≦0.2の範囲内の値である。)
LiaM2bPO4・・・(2’)
(式中、M2は、2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。a、bは、0≦a≦2.0、0.5≦b≦2.0の範囲内の値である。)
LifMn(1-g-h)NigM3h(2-j)k・・・(3’)
(式中、M3は、コバルト(Co)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。f、g、h、jおよびkは、0.8≦f≦1.2、0<g<0.5、0≦h≦0.5、g+h<1、−0.1≦j≦0.2、0≦k≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、fの値は完全放電状態における値を表している。)
LimNi(1-n)M4n(2-p)q・・・(4’−1)
(式中、M4は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。m、n、pおよびqは、0.8≦m≦1.2、0.005≦n≦0.5、−0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、mの値は完全放電状態における値を表している。)
LiNi1-xx2 ・・・(4’−2)
(式中、Mは、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、イッテルビウム(Yb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、ホウ素(B)、クロム(Cr)、ケイ素(Si)、ガリウム(Ga)、リン(P)、アンチモン(Sb)、およびニオブ(Nb)のうちの少なくとも1種である。xは0.005<x<0.5である。)
LirCo(1-s)M5s(2-t)u・・・(5’)
(式中、M5は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。r、s、tおよびuは、0.8≦r≦1.2、0≦s<0.5、−0.1≦t≦0.2、0≦u≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、rの値は完全放電状態における値を表している。)
LivMn2-w6wxy・・・(6’)
(式中、M6は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。v、w、xおよびyは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦x≦4.1、0≦y≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
LizM7PO4・・・(7’)
(式中、M7は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)およびジルコニウム(Zr)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。zは、0.9≦z≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している。)
なお、正極材料は前記材料以外の種類の材料も使用可能で、複数の材料を混合して用いても良く、特定材料よりなる芯粒子の表面を、別の材料で被覆した複合粒子として用いても良い。高い電極充填性とサイクル特性が得られるからである。
この他、正極材料は、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物または導電性高分子などでもよい。酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムまたは二酸化マンガンなどである。二硫化物は、例えば、二硫化チタンまたは硫化モリブデンなどである。カルコゲン化物は、例えば、セレン化ニオブなどである。導電性高分子は、例えば、硫黄、ポリアニリンまたはポリチオフェンなどである。
正極結着剤は、例えば、合成ゴムまたは高分子材料などのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムまたはエチレンプロピレンジエンなどである。高分子材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデンまたはポリイミドなどである。
正極導電剤は、例えば、炭素材料などのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。炭素材料は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックまたはケッチェンブラックなどである。なお、正極導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料または導電性高分子などでもよい。
[負極]
負極22は、例えば、負極集電体22Aの片面または両面に負極活物質層22Bが設けられたものである。
負極集電体22Aは、例えば、Cu、Niまたはステンレスなどの導電性材料により形成されている。この負極集電体22Aの表面は、粗面化されていることが好ましい。いわゆるアンカー効果により、負極集電体22Aに対する負極活物質層22Bの密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層22Bと対向する領域で負極集電体22Aの表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法は、例えば、電解処理により微粒子を形成する方法などである。この電解処理とは、電解槽中で電解法により負極集電体22Aの表面に微粒子を形成して凹凸を設ける方法である。電解法により作製された銅箔は、一般に電解銅箔と呼ばれている。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵放出する負極材料のいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、必要に応じて負極結着剤、負極導電剤などの他の材料の少なくとも1種を含んでいてもよい。なお、負極結着剤および負極導電剤に関する詳細は、例えば、正極結着剤および正極導電剤と同様である。この負極活物質層22Bでは、例えば、充放電時において意図せずにリチウム金属が析出することを防止するために、負極材料の充電可能な容量は正極21の放電容量よりも大きいことが好ましい。
負極材料は、例えば、炭素材料である。リチウムイオンの吸蔵放出時における結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度および優れたサイクル特性が得られるからである。また、負極導電剤としても機能するからである。この炭素材料は、例えば、易黒鉛化性炭素、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化性炭素、または(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭またはカーボンブラック類などである。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスまたは石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体は、フェノール樹脂またはフラン樹脂などの高分子化合物が適当な温度で焼成(炭素化)されたものである。この他、炭素材料は、約1000℃以下で熱処理された低結晶性炭素または非晶質炭素でもよい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状または鱗片状のいずれでもよい。
また、負極材料は、例えば、金属元素および半金属元素のいずれか1種類または2種類を構成元素として含む材料(金属系材料)である。高いエネルギー密度が得られるからである。この金属系材料は、金属元素または半金属元素の単体、合金または化合物でもよいし、それらの2種類以上でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を少なくとも一部に含むものでもよい。なお、合金には、2種類以上の金属元素からなる材料に加えて、1種類以上の金属元素と1種類以上の半金属元素とを含む材料も含まれる。また、合金は、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物、またはそれらの2種類以上の共存物などがある。
上記した金属元素または半金属元素は、例えば、Liと合金を形成可能な金属元素または半金属元素であり、具体的には、以下の元素の1種類または2種類以上である。Mg、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Bi、Cd、Ag、Zn、Hf、Zr、Y、PdまたはPtである。中でも、SiおよびSnのうちの少なくとも一方が好ましい。リチウムイオンを吸蔵放出する能力が優れているため、高いエネルギー密度が得られるからである。
SiおよびSnのうちの少なくとも一方を含む材料は、SiまたはSnの単体、合金または化合物でもよいし、それらの2種類以上でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を少なくとも一部に含むものでもよい。なお、単体とは、あくまで一般的な意味合いでの単体(微量の不純物を含んでいてもよい)であり、必ずしも純度100%を意味しているわけではない
Siの合金は、例えば、Si以外の構成元素として以下の元素の1種類または2種類以上を含む材料である。Sn、Ni、Cu、Fe、Co、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、SbまたはCrである。Siの化合物としては、例えば、Si以外の構成元素としてOまたはCを含むものが挙げられる。なお、Siの化合物は、例えば、Si以外の構成元素として、Siの合金について説明した元素のいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
Siの合金または化合物は、例えば、以下の材料などである。SiB4、SiB6、Mg2Si、Ni2Si、TiSi2、MoSi2、CoSi2、NiSi2、CaSi2、CrSi2、Cu5Si、FeSi2、MnSi2、NbSi2またはTaSi2である。VSi2、WSi2、ZnSi2、SiC、Si34、Si22O、SiOv(0<v≦2)またはLiSiOである。なお、SiOvにおけるvは、0.2<v<1.4でもよい。
Snの合金は、例えば、Sn以外の構成元素として以下の元素の1種類または2種類以上を含む材料などである。Si、Ni、Cu、Fe、Co、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、SbまたはCrである。Snの化合物としては、例えば、OまたはCを構成元素として含む材料などが挙げられる。なお、Snの化合物は、例えば、Sn以外の構成元素としてSnの合金について説明した元素のいずれか1種類または2種類以上を有していてもよい。Snの合金または化合物としては、例えば、SnOw(0<w≦2)、SnSiO3、LiSnOまたはMg2Snなどが挙げられる。
また、Snを含む材料としては、例えば、Snを第1構成元素とし、それに加えて第2および第3構成元素を含む材料が好ましい。第2構成元素は、例えば、以下の元素の1種類または2種類以上である。Co、Fe、Mg、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Ce、Hf、Ta、W、BiまたはSiである。第3構成元素は、例えば、B、C、AlおよびPの1種類または2種類以上である。第2および第3構成元素を含むと、高い電池容量および優れたサイクル特性などが得られるからである。
中でも、Sn、CoおよびCを含む材料(SnCoC含有材料)が好ましい。SnCoC含有材料の組成としては、例えば、Cの含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、SnおよびCoの含有量の割合(Co/(Sn+Co))が20質量%以上70質量%以下である。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られるからである。
このSnCoC含有材料は、Sn、CoおよびCを含む相を有しており、その相は、低結晶性または非晶質であることが好ましい。この相は、Liと反応可能な反応相であり、その反応相の存在により優れた特性が得られる。この相のX線回折により得られる回折ピークの半値幅は、特定X線としてCuKα線を用いると共に挿引速度を1°/minとした場合に、回折角2θで1.0°以上であることが好ましい。リチウムイオンがより円滑に吸蔵放出されると共に、電解液との反応性が低減するからである。なお、SnCoC含有材料は、低結晶性または非晶質の相に加えて、各構成元素の単体または一部を含む相を含んでいる場合もある。
X線回折により得られた回折ピークがLiと反応可能な反応相に対応するものであるか否かは、Liとの電気化学的反応の前後におけるX線回折チャートを比較すれば容易に判断できる。例えば、Liとの電気化学的反応の前後で回折ピークの位置が変化すれば、Liと反応可能な反応相に対応するものである。この場合には、例えば、低結晶性または非晶質の反応相の回折ピークが2θ=20°〜50°の間に見られる。このような反応相は、例えば、上記した各構成元素を有しており、主に、Cの存在に起因して低結晶化または非晶質化しているものと考えられる
SnCoC含有材料では、構成元素であるCの少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。Snなどの凝集または結晶化が抑制されるからである。元素の結合状態については、例えば、X線光電子分光法(XPS)で確認できる。市販の装置では、例えば、軟X線としてAl−Kα線またはMg−Kα線などが用いられる。Cの少なくとも一部が金属元素または半金属元素などと結合している場合には、Cの1s軌道(C1s)の合成波のピークは284.5eVよりも低い領域に現れる。なお、Au原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正されているものとする。この際、通常、物質表面には表面汚染炭素が存在しているため、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、それをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形が表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中のCのピークとを含んだ形で得られるため、例えば、市販のソフトウエアを用いて解析して、両者のピークを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
なお、SnCoC含有材料は、必要に応じて、さらに他の構成元素を含んでいてもよい。このような他の構成元素としては、Si、Fe、Ni、Cr、In、Nb、Ge、Ti、Mo、Al、P、GaまたはBiなどが好ましく、それらの2種以上を含んでいてもよい。容量特性またはサイクル特性がさらに向上するからである。
このSnCoC含有材料の他、Sn、Co、FeおよびCを含む材料(SnCoFeC含有材料)も好ましい。このSnCoFeC含有材料の組成は、任意に設定可能である。例えば、Feの含有量を少なめに設定する場合の組成は、以下の通りである。Cの含有量は9.9質量%以上29.7質量%以下、Feの含有量は0.3質量%以上5.9質量%以下、SnおよびCoの含有量の割合(Co/(Sn+Co))は30質量%以上70質量%以下である。また、例えば、Feの含有量を多めに設定する場合の組成は、以下の通りである。Cの含有量は11.9質量%以上29.7質量%以下、Sn、CoおよびFeの含有量の割合((Co+Fe)/(Sn+Co+Fe))は26.4質量%以上48.5質量%以下、CoおよびFeの含有量の割合(Co/(Co+Fe))は9.9質量%以上79.5質量%以下である。このような組成範囲で高いエネルギー密度が得られるからである。このSnCoFeC含有材料の物性(半値幅など)は、上記したSnCoC含有材料と同様である。
また、他の負極材料は、例えば、金属酸化物または高分子化合物などでもよい。金属酸化物は、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムまたは酸化モリブデンなどである。高分子化合物は、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロールなどである。
負極活物質層22Bは、例えば、塗布法、気相法、液相法、溶射法、焼成法(焼結法)、またはそれらの2種類以上の方法により形成されている。塗布法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着剤などと混合したのち、有機溶剤などの溶媒に分散させて塗布する方法である。気相法としては、例えば、物理堆積法または化学堆積法などが挙げられる。具体的には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長、化学気相成長(CVD)法またはプラズマ化学気相成長法などである。液相法としては、例えば、電解鍍金法または無電解鍍金法などが挙げられる。溶射法とは、負極活物質を溶融状態または半溶融状態で吹き付ける方法である。焼成法とは、例えば、塗布法と同様の手順で塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法については、公知の手法を用いることができる。一例としては、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法またはホットプレス焼成法などが挙げられる。
[セパレータ]
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離して、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させる多孔質膜であり、そのセパレータ23には、液状の電解質(電解液)が含浸されている。
このセパレータ23は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、アラミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミドまたはポリアクリロニトリルなどの高分子化合物を含んでいる。
なお、セパレータ23は、必要に応じて無機微粒子を含んでいてもよい。この無機微粒子は、例えば、Al23、SiO2、MgO、TiO2またはZrO2などの酸化物である。これらの無機微粒子は、単独でもよいし、2種類以上が混合されてもよい。
特に、セパレータ23は、1種類の高分子化合物により形成されていてもよいし、2種類以上の高分子化合物により形成されていてもよい。1種類の高分子化合物により形成されるセパレータ23は、例えば、ポリエチレンなどの多孔質膜により形成された単層膜である。
一方、2種類以上の高分子化合物により形成されるセパレータ23は、例えば、厚さ方向において高分子化合物が2種類以上積層された多層構造(積層型)を有していてもよい。また、セパレータ23は、例えば、厚さ方向において高分子化合物の組成が2種類以上に異なる単層構造(混合型)を有していてもよい。積層型のセパレータ23は、例えば、2種類以上の高分子化合物膜(例えば高分子フィルム)が厚さ方向に積層されたものであり、一例を挙げると、ポリプロピレン膜/ポリエチレン膜/ポリプロピレン膜などである。混合型のセパレータ23は、例えば、厚さ方向において高分子化合物の組成がポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンなどのように変化する複合膜などである。この場合には、各階層において特定の種類の高分子化合物がリッチになる。
[電解液]
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、溶媒および電解質塩と共に特定構造を有する芳香族化合物(下記一般式(1)で表される芳香族化合物)の少なくとも1種を含んでおり、必要に応じて各種添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。
Figure 2014056697
(式中、Xはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)のうち、少なくとも1種を表し、すべて同一であってもなくてもよい。RNは電子求引性の官能基を表し、シアノ基(CN)およびニトロ基(NO2)のいずれかである。添え字m、nはそれぞれの置換基の数を表し、1≦m≦5、1≦n≦5、2≦m+n≦6を満たす整数を表す。)
なお、一般式(1)において、それぞれの置換位置は特に限定されない点を明確にするため、X、RNの結合手は芳香環中央に表記している。また、置換基が置換していない芳香環上の炭素原子は、水素(H)と結合するものとする。
一般式(1)で表される芳香族化合物としては、一般式(1)中、添え字m、nが2≦m≦5、1≦n≦4、3≦m+n≦6であるものが、特に好ましい。良好な被膜形成により有効だからである。
一般式(1)で表される芳香族化合物としては、一般式(1)中、ハロゲン(X)がすべてフッ素(F)であるものが、好ましい。電池の長期寿命化に有効だからである。
一般式(1)で表される芳香族化合物としては、一般式(1)中、電子求引性の官能基(RN)がニトロ基であるものが、特に好ましい。より高い効果が得られるためである。
一般式(1)で表される芳香族化合物としては、一般式(1)中、電子求引性の官能基(RN)の数nが1であるものが、さらに好ましい。電子求引性の官能基の数が増えても効果は決して大きくならず、分子量の増加は同一添加量での相対的なモル数の低下を招くため好ましくない。
以下、一般式(1)の具体的な化合物例を例示するが、本技術はここで示した化合物に何ら限定されない。一般式(1)の具体的な化合物例としては、例えば、式(2)〜式(52)の化合物などが挙げられる。
Figure 2014056697
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[含有量]
一般式(1)の化合物の含有量は、例えば、電解液の全量に対して、0.001質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上3質量%以下であることが特に好ましい。一般式(1)の化合物の含有量が上記範囲である場合、より優れた効果が得られるからである。
[溶媒]
溶媒は、例えば、以下の有機溶媒などの非水溶媒のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。非水溶媒は、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタンまたはテトラヒドロフランなどである。非水溶媒は、例えば、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサンまたは1,4−ジオキサンなどである。また、非水溶媒は、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルまたはトリメチル酢酸エチルなどである。また、非水溶媒は、例えば、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノンまたはN−メチルオキサゾリジノンなどである。非水溶媒は、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチルまたはジメチルスルホキシドなどである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルのうちの少なくとも1種が好ましい。より優れた特性が得られるからである。この場合には、炭酸エチレンまたは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば比誘電率ε≧30)と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルまたは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
特に、溶媒は、不飽和炭素結合環状炭酸エステルを含んでいることが好ましい。充放電時において負極22の表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。不飽和炭素結合環状炭酸エステルは、1または2以上の不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステルであり、例えば、炭酸ビニレン(1,3−ジオキソール−2−オン;VC)または炭酸ビニルエチレン(4−エテニル−1,3−ジオキソラン−2−オン;VEC)、または4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。なお、非水溶媒中における不飽和炭素結合環状炭酸エステルの含有量は、例えば、0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましい。電池容量を低下させすぎずに、電解液の分解反応が抑制されるからである。
また、溶媒は、ハロゲン化鎖状炭酸エステル、ハロゲン化環状炭酸エステルおよびシアノ基置換炭酸エステルのうちの少なくとも一種を含んでいることが好ましい。充放電時において負極22の表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。ハロゲン化鎖状炭酸エステルは、1または2以上のハロゲンを構成元素として有する鎖状炭酸エステルであり、ハロゲン化環状炭酸エステルは、1または2以上のハロゲンを構成元素として有する環状炭酸エステルである。ハロゲン基の種類は、特に限定されないが、中でも、フッ素基、塩素基または臭素基が好ましく、フッ素基がより好ましい。高い効果が得られるからである。ただし、ハロゲン基の数は、1つよりも2つが好ましく、さらに3つ以上でもよい。より強固で安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応がより抑制されるからである。ハロゲン化鎖状炭酸エステルは、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)または炭酸ジフルオロメチルメチルなどである。ハロゲン化環状炭酸エステルは、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンまたは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。シアノ基置換炭酸エステルは、例えば4−シアノ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。なお、非水溶媒中におけるハロゲン化鎖状炭酸エステル、ハロゲン化環状炭酸エステルおよびシアノ基置換炭酸エステルの少なくとも1種の含有量は、例えば、0.01質量%以上50質量%以下であり、好ましくは0.01質量%以上30質量%以下である。電池容量を低下させすぎずに、電解液の分解反応が抑制されるからである。
また、溶媒は、スルトン(環状スルホン酸エステル)を含んでいてもよい。電解液の化学的安定性が向上するからである。スルトンは、例えば、プロパンスルトンまたはプロペンスルトンなどである。なお、非水溶媒中におけるスルトンの含有量は、例えば、0.5質量%以上5質量%以下である。電池容量を低下させすぎずに、電解液の分解反応が抑制されるからである。
さらに、溶媒は、酸無水物を含んでいてもよい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。酸無水物は、例えば、ジカルボン酸無水物、ジスルホン酸無水物またはカルボン酸スルホン酸無水物などである。ジカルボン酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸または無水マレイン酸などである。ジスルホン酸無水物は、例えば、無水エタンジスルホン酸または無水プロパンジスルホン酸などである。カルボン酸スルホン酸無水物は、例えば、無水スルホ安息香酸、無水スルホプロピオン酸または無水スルホ酪酸などである。なお、非水溶媒中における酸無水物の含有量は、例えば、0.5質量%以上5質量%以下である。電池容量を低下させすぎずに、電解液の分解反応が抑制されるからである。
[電解質塩]
電解質塩は、例えば、以下のリチウム塩のいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、電解質塩は、リチウム塩以外の他の塩(例えばリチウム塩以外の軽金属塩)でもよい。
リチウム塩は、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiB(C654、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiAlCl4、Li2SiF6、LiCl、またはLiBrである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。中でも、LiPF6、LiBF4、LiClO4およびLiAsF6のうちの少なくとも1種が好ましく、LiPF6がより好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。
また、リチウム塩は、例えば、下記の式(53)および式(54)で表される化合物のうちの少なくとも1種でもよい。より高い効果が得られるからである。
LiPFa(Cm2m+16-a ・・・(53)
(aは0〜5の整数、mは1以上の整数である。)
LiBFb(Cn2n+14-b ・・・(54)
(bは0〜3の整数、nは1以上の整数である。)
式(53)に示したリチウム塩は、LiPF6のうちのFの一部がパーフルオロアルキル基に置換された化合物である。このリチウム塩の具体例は、LiPF3(CF33、LiPF3(C253、LiPF3(n−C373、LiPF3(i−C373、LiPF3(n−C493、LiPF3(i−C493、LiPF4(CF32、LiPF4(C252、LiPF4(n−C372、LiPF4(i−C372、LiPF4(n−C492、またはLiPF4(i−C492などである。
式(54)に示したリチウム塩は、LiBF4のうちのフッ素の一部がパーフルオロアルキル基に置換された化合物である。このリチウム塩の具体例は、LiBF3(CF3)、LiBF3(C25)、LiBF3(C37)、LiBF2(C252、またはLiB(CF34などである。
また、リチウム塩は、例えば、下記の式(55)、式(56)で表される化合物でもよい。より高い効果が得られるからである。
LiN(Cc2c+1SO2e(Cd2d+1SO22-e・・・(55)
(式(55)中、c及びdは、0〜6の整数であり、好ましくは、0〜4の整数である。ただし、式中Cc2c+1、Cd2d+1で表される炭化水素基は、直鎖、分岐構造のいずれでも良い。eは0〜2の整数である。)
式(55)について説明する。式(55)で表される電解質塩は、鎖状のイミド構造の対アニオンを有するリチウム塩である。このリチウム塩の具体的な例としては、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiN(C37SO22、LiN(C49SO22、LiN(CF3SO2)(C25SO2)、LiN(CF3SO2)(C37SO2)、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiN(C25SO2)(C37SO2)、LiN(C25SO2)(C49SO2)、LiN(C37SO2)(C49SO2)などのリチウム塩が挙げられる。
式(56)について説明する。式(56)の化合物は、環状のイミド構造の対アニオンを有するリチウム塩である。
Figure 2014056697
(式中、R7は、炭素数が2以上4以下の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキレン基である。)
式(56)に示した化合物は、環状のイミド化合物である。この化合物の具体例は、下記の式(56−1)〜式(56−4)で表される化合物などである。
Figure 2014056697
電解質塩の含有量は、溶媒に対して、0.3mol/kg以上3.0mol/kg以下であることが好ましい。高いイオン伝導性が得られるからである。
(二次電池の動作)
この二次電池では、例えば、充電時において、正極21から放出されたリチウムイオンが電解液を介して負極22に吸蔵されると共に、放電時において、負極22から放出されたリチウムイオンが電解液を介して正極21に吸蔵される。この場合には、高い電池容量を得るために、充電終止電圧(完全充電状態における開回路電圧)を、例えば4.25V以上、好ましくは4.25V以上6.00V以下とすることが好ましい。完全充電時における開回路電圧が、例えば正極活物質としてNiやCo等を含む層状岩塩型リチウム複合酸化物を用いた電池において4.25V以上とされる場合は、4.20Vの電池と比較して、同じ正極活物質であっても単位質量当たりのリチウムの放出量が多くなるので、それに応じて正極活物質と負極活物質との量が調整され、高いエネルギー密度が得られるようになっている。なお、電圧は、上記の電圧の範囲に限定されるものではない。
また、この二次電池では、完全放電時における負極のリチウム金属基準の電位(Vvs.Li/Li+)が、0.4V以上とされている。また、完全充電時における負極のリチウム金属基準の電位(Vvs.Li/Li+)が1.6V以下であることが好ましい。負極のリチウム金属基準の電位は、リチウム金属を対極としたときの負極の電位である。上記の完全放電時および完全充電時の負極の電位は、負極材料、正極材料、電解液などの電池を構成する材料種を適宜変えることなどにより、上記範囲に設定することができる。
なお、二次電池の仕様で規定されている下限放電電圧に達した時点を完全放電時とすることができる。二次電池の仕様で規定されている上限充電電圧に達した時点を完全充電時とすることができる。典型的には、例えば、電池メーカが規定する使用温度範囲で充放電した場合において、電池メーカが規定する下限放電電圧に達した時点を完全放電時とすることができ、電池メーカが規定する上限充電電圧に達した時点を完全充電時とすることができる。
(二次電池の製造方法)
この二次電池は、例えば、以下の手順により製造される。
正極21を作製する場合には、正極活物質と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などの少なくとも1種とを混合して正極合剤とする。続いて、有機溶剤などに正極合剤を分散させて、ペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを塗布してから乾燥させて、正極活物質層21Bを形成する。続いて、必要に応じて加熱しながら、ロールプレス機などを用いて正極活物質層21Bを圧縮成型する。この場合には、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。
負極22を作製する場合には、例えば、上記した正極21の作製手順と同様である。具体的には、負極活物質と、必要に応じて負極結着剤および負極導電剤などの少なくとも1種とを混合した負極合剤を有機溶剤などに分散させて、ペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを塗布してから乾燥させて負極活物質層22Bを形成したのち、必要に応じて負極活物質層22Bを圧縮成型する。
なお、正極21とは異なる手順により、負極22を作製してもよい。例えば、蒸着法などの気相法を用いて負極集電体22Aの両面に負極材料を堆積させて、負極活物質層22Bを形成する。
電解液を調製する場合には、例えば、溶媒と含窒素芳香族化合物(上述した一般式(1)で表される化合物)とを混合したのち、電解質塩を溶解させる。
二次電池を組み立てる場合には、溶接法などを用いて、正極集電体21Aに正極リード25を取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を取り付ける。続いて、高分子化合物を含むセパレータ23を準備し、そのセパレータ23を介して正極21と負極22とを積層してから巻回させて巻回電極体20を作製したのち、その巻回中心にセンターピン24を挿入する。続いて、一対の絶縁板12、13で挟みながら、巻回電極体20を電池缶11の内部に収納する。この場合には、溶接法などを用いて、正極リード25の先端部を安全弁機構15に取り付けると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に取り付ける。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入してセパレータ23に含浸させる。続いて、ガスケット17を介して電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をかしめる。
(二次電池の作用および効果)
この円筒型の二次電池によれば、完全充電時における負極のリチウム金属基準の電位(Vvs.Li/Li+)が1.6V以下、完全放電時における負極のリチウム金属基準の電位(Vvs.Li/Li+)が0.4V以上であるため、相対的に正極の作動電位が中程度に保たれ、抵抗被膜等の形成が少なく望ましい。また、負極の作動電位を貴に保つことができるため、高容量化も達成しやすくなる。さらに該電解質が特定構造の芳香族化合物を含有するため、酸化安定性の高い良好な還元被膜が形成され、負極近傍の電解液の分解反応、電池内部の抵抗増加が抑制され、優れたサイクル特性を実現できる。よって、高容量化と優れたサイクル特性を実現することができる。また、上記した二次電池を用いた本技術の電子機器、電動工具、電動車両および電力貯蔵システムでも、高い効果を得ることができる。特に、本技術の特定構造の芳香族化合物(上述した一般式(1)で表される化合物)は酸化安定性が高いため、充電終止電圧を4.25V以上にしても同様の効果を得ることができる。
この他、加えて、上述したように、電解液中における特定構造の芳香族化合物の含有量は、0.001質量%以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上5質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以上3質量%以下である。この場合、より高い効果を得ることができる。また、上述したように、電解液の溶媒が、不飽和結合を分子内に有する環状炭酸エステルおよび/または電子求引性の官能基を分子内に有する環状炭酸エステルを0.01質量%以上30質量%以下含有していることが好ましい。この場合、より高い効果を得ることができる。また、上述したように、セパレータ23が2種類以上の高分子化合物により形成された積層型または混合型であることが好ましい。この場合、より高い効果を得ることができる。
3.第2の実施の形態(ラミネートフィルム型二次電池)
図3は、本技術の第2の実施の形態における他の二次電池の分解斜視構成を表しており、図4は、図3に示した巻回電極体30のIV−IV線に沿った断面を拡大して示している。以下では、既に説明した円筒型の二次電池の構成要素を随時引用する。
(二次電池の全体構成)
ここで説明する二次電池は、いわゆるラミネートフィルム型であり、フィルム状の外装部材40の内部に巻回電極体30が収納されたものである。この巻回電極体30では、セパレータ35および電解質層36を介して正極33と負極34とが積層および巻回されている。正極33には正極リード31が取り付けられていると共に、負極34には負極リード32が取り付けられている。この巻回電極体30の最外周部は、保護テープ37により保護されている。
正極リード31および負極リード32は、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、Alなどの導電性材料により形成されていると共に、負極リード32は、例えば、Cu、Niまたはステンレスなどの導電性材料により形成されている。これらの材料は、例えば、薄板状または網目状になっている。
外装部材40は、例えば、融着層、金属層および表面保護層がこの順に積層されたラミネートフィルムである。このラミネートフィルムでは、例えば、融着層が巻回電極体30と対向するように、2枚のフィルムの融着層における外周縁部同士が融着、または接着剤などにより貼り合わされている。融着層は、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのフィルムである。金属層は、例えば、Al箔などである。表面保護層は、例えば、ナイロンまたはポリエチレンテレフタレートなどのフィルムである。
中でも、外装部材40としては、ポリエチレンフィルム、アルミニウム箔およびナイロンフィルムがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムが好ましい。ただし、外装部材40は、他の積層構造を有するラミネートフィルムでもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルム、または金属フィルムでもよい。
外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するために密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料により形成されている。このような材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂である。
正極33は、例えば、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられたものである。負極34は、例えば、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bが設けられたものである。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bの構成は、それぞれ正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bの構成と同様である。また、セパレータ35の構成は、セパレータ23の構成と同様である。
電解質層36は、高分子化合物により電解液が保持されたものであり、必要に応じて添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。この電解質層36は、いわゆるゲル状の電解質である。高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に、電解液の漏液が防止されるからである。
高分子化合物は、例えば、以下の高分子材料などのいずれか1種類または2種類以上である。ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサンまたはポリフッ化ビニルである。ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンまたはポリカーボネートである。フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体である。中でも、ポリフッ化ビニリデン、またはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体が好ましく、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。電気化学的に安定だからである。
電解液の組成は、第1の実施の形態の円筒型の場合と同様であり、含窒素芳香族化合物(上述した一般式(1)で表される化合物)を含んでいる。ただし、ゲル状の電解質である電解質層36において、電解液の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有する材料まで含む広い概念である。よって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、ゲル状の電解質層36に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液がセパレータ35に含浸される。
(二次電池の動作)
この二次電池では、例えば、充電時において、正極33から放出されたリチウムイオンが電解質層36を介して負極34に吸蔵されると共に、放電時において、負極34から放出されたリチウムイオンが電解質層36を介して正極33に吸蔵される。この場合には、円筒型と同様に、高い電池容量を得るために、充電終止電圧(完全充電状態における開回路電圧)を、例えば4.25V以上、好ましくは4.25V以上6.00V以下とすることが好ましい。
また、この二次電池では、完全放電時における負極のリチウム金属基準の電位(Vvs.Li/Li+)が、0.4V以上とされている。また、完全充電時における負極のリチウム金属基準の電位(Vvs.Li/Li+)が1.6V以下であることが好ましい。
(二次電池の製造方法)
このゲル状の電解質層36を備えた二次電池は、例えば、以下の3種類の手順により製造される。
第1手順では、正極21および負極22と同様の作製手順により、正極33および負極34を作製する。この場合には、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成して正極33を作製すると共に、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成して負極34を作製する。続いて、含窒素芳香族化合物を含有する電解液と、高分子化合物と、有機溶剤などの溶媒とを含む前駆溶液を調製したのち、その前駆溶液を正極33および負極34に塗布してゲル状の電解質層36を形成する。続いて、溶接法などを用いて、正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。続いて、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層してから巻回させて巻回電極体30を作製したのち、その最外周部に保護テープ37を貼り付ける。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、熱融着法などを用いて外装部材40の外周縁部同士を接着させて巻回電極体30を封入する。この場合には、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に密着フィルム41を挿入する。
第2手順では、正極33に正極リード31を取り付けると共に、負極34に負極リード32を取り付ける。続いて、セパレータ35を介して正極33および負極34を積層してから巻回させて巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製したのち、その最外周部に保護テープ37を貼り付ける。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回体を挟み込んだのち、熱融着法などを用いて一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を接着させて、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材40の内部に注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40を密封する。続いて、モノマーを熱重合させる。これにより、高分子化合物が形成されるため、ゲル状の電解質層36が形成される。
第3手順では、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ35を用いることを除き、上記した第2手順と同様に、巻回体を作製して袋状の外装部材40の内部に収納する。このセパレータ35に塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体(単独重合体、共重合体または多元共重合体など)が挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体、またはフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。なお、フッ化ビニリデンを成分とする重合体と一緒に、他の1種または2種以上の高分子化合物を用いてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材40の内部に注入したのち、熱融着法などで外装部材40の開口部を密封する。続いて、外装部材40に加重をかけながら加熱して、高分子化合物を介してセパレータ35を正極33および負極34に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸するため、その高分子化合物がゲル化して電解質層36が形成される。
この第3手順では、第1手順よりも二次電池の膨れが抑制される。また、第3手順では、第2手順よりも高分子化合物の原料であるモノマーまたは溶媒などが電解質層36中にほとんど残らないため、高分子化合物の形成工程が良好に制御される。このため、正極33、負極34およびセパレータ35と電解質層36との間において十分な密着性が得られる。
(二次電池の作用および効果)
このラミネートフィルム型の二次電池によれば、電解液が上記した円筒型の二次電池と同様の組成を有しているので、同様の理由により、サイクル特性を向上させることができる。特に、ラミネートフィルム型では、電解液の分解反応に起因して発生するガスの影響を受けて電池膨れが生じやすいため、その電池膨れを抑制できる。これ以外の作用および効果は、円筒型と同様である。
4.第3の実施の形態
(二次電池の構成)
本技術の第3の実施による形態の二次電池の構成例について説明する。図5Aは、本技術の第3の実施の形態による二次電池の外観を示す斜視図である。図5Bは、本技術の第3の実施の形態による二次電池の構成を示す斜視分解図である。また、図5Cは、図5Aに示す二次電池の下面の構成を示す斜視図である。なお、下記の説明では、二次電池51のうち、正極リード53が導出される部分をトップ部、トップ部に対向し、負極リード54が導出される部分をボトム部、トップ部とボトム部とに挟まれた両辺をサイド部とする。また、電極、電極リード等について、サイド部−サイド部方向を幅として説明する。
図5A〜図5Cに示すように、本技術の二次電池51は、積層電極体60がラミネートフィルム52にて外装されたものであり、ラミネートフィルム52同士が封止された部分からは、積層電極体60と接続された正極リード53および負極リード54が電池外部に導出されている。正極リード53および負極リード54は、互いに対向する辺から導出されている。
[積層電極体]
図6A〜図6Bは、積層電極体を構成する正極の構成例を示す。図6C〜図6Dは、積層電極体を構成する負極の構成例を示す。図7A〜図7Cは、ラミネートフィルムに外装される前の積層電極体の構成例を示す。積層電極体60は、図6Aまたは図6Bに示す矩形状の正極61と、図6Cまたは図6Dに示す矩形状の負極62とが、セパレータ63を介して積層された構成である。具体的には、図7Aおよび図7Bに示すように、正極61および負極62がつづら折りに折り曲げられたセパレータ63を介して交互に積層された構成である。なお、図7Cに示すように、つづら折りに折り曲げられたセパレータ63の代わりに、複数の矩形状のセパレータ63を用いてもよい。第3の実施の形態では、積層電極体60の最表層がセパレータ63となるように、セパレータ63、負極62、セパレータ63、正極61、・・・負極62、セパレータ63のように順に積層された積層電極体60を用いる。なお、図7Aおよび図7Bに示す積層電極体60は、図6Bに示す正極61と、図6Dに示す負極62を用いた例である。図示は省略するが、図6Bに示す正極61に代えて、図6Aに示す正極61と、図6Dに示す負極62に代えて、図6Bに示す負極62を用いてもよい。
図8は、図5Aの二次電池のa−a’断面を示す断面図である。図8に示すように、二次電池51では、セパレータ63と正極61と、セパレータ63と負極62とが、それぞれ電解質66を介して、配置されている。セパレータ63と正極61と、セパレータ63と負極62とが、それぞれ電解質66を介して接着していてもよい。
積層電極体60からは、複数枚の正極61からそれぞれ延出される正極タブ61Cと、複数枚の負極62からそれぞれ延出される負極タブ62Cとが導出されている。複数枚重ねられた正極タブ61Cは、曲げ部分において適切なたるみを持った状態で断面が略U字状となるように折り曲げられて構成されている。複数枚重ねられた正極タブ61Cの先端部には、超音波溶接または抵抗溶接等の方法により正極リード53が接続されている。
また、正極61と同様に、負極タブ62Cは、複数枚重ねられた上で、曲げ部分において適切なたるみを持った状態で断面が略U字状となるように折り曲げられて構成されている。複数枚重ねられた負極タブ62Cの先端部には、超音波溶接または抵抗溶接等の方法により負極リード54が接続されている。
[正極リード]
正極タブ61Cと接続する正極リード53は、例えばアルミニウム(Al)等からなる金属リード体を用いることができる。本技術の大容量の二次電池51では、大電流を取り出すために、従来に比して正極リード53の幅を太く、厚みを厚く設定する。
正極リード53の厚みは、150μm以上250μm以下とすることが好ましい。正極リード53の厚みが150μm未満の場合、取り出せる電流量が小さくなってしまう。正極リード53の厚みが250μmを超える場合、正極リード53が厚すぎるため、リード導出辺におけるラミネートフィルム52の密封性が低下して、水分浸入が容易になる。
なお、正極リード53の一部分には、ラミネートフィルム52と正極リード53との接着性を向上させるための密着フィルムであるシーラント55が設けられる。シーラント55は、金属材料との接着性の高い樹脂材料により構成され、例えば正極リード53が上述した金属材料から構成される場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
シーラント55の厚みは、70μm以上130μm以下とすることが好ましい。70μm未満では正極リード53とラミネートフィルム52との接着性に劣り、130μmを超えると熱融着時における溶融樹脂の流動量が多く、製造工程上好ましくない。
[負極リード]
負極タブ62Cと接続する負極リード54は、例えばニッケル(Ni)等からなる金属リード体を用いることができる。本技術の大容量の二次電池51では、大電流を取り出すために、従来に比して負極リード54の幅を太く、厚みを厚く設定する。負極リード54の幅は、後述する負極タブ62Cの幅と略同等とすることが好ましい。
負極リード54の幅は任意に設定可能であるが、大電流を取り出せるという点で、負極リード54の幅wbが負極62の幅Wbに対して50%以上100%以下であることが好ましい。
負極リード54の厚みは、正極リード53と同様に150μm以上250μm以下とすることが好ましい。正極リード53の厚みが150μm未満の場合、取り出せる電流量が小さくなってしまう。正極リード53の厚みが250μmを超える場合、正極リード53が厚すぎるため、リード導出辺におけるラミネートフィルム52の密封性が低下して、水分浸入が容易になる。
負極リード54の一部分には、正極リード53と同様に、ラミネートフィルム52と負極リード54との接着性を向上させるための密着フィルムであるシーラント55が設けられる。
[正極]
図6A〜図6Bに示すように、正極61は、正極活物質を含有する正極活物質層61Bが、正極集電体61Aの両面上に形成されてなる。正極集電体61Aとしては、例えばアルミニウム(Al)箔、ニッケル(Ni)箔またはステンレス(SUS)箔等の金属箔が用いられる。
また、正極集電体61Aから一体に正極タブ61Cが延出されている。複数枚重ねられた正極タブ61Cは、断面が略U字状となるように折り曲げられ、先端部には超音波溶接または抵抗溶接等の方法により正極リード53と接続される。
正極活物質層61Bは、正極集電体61Aの矩形状の主面部上に形成される。正極集電体61Aが露出した状態の延出部は、正極リード53を接続するための接続タブである正極タブ61Cとしての機能を備える。正極タブ61Cの幅は任意に設定可能である。特に、正極リード53および負極リード54を同一辺から導出する場合には、正極タブ61Cの幅は正極61の幅の50%未満とする必要がある。このような正極61は、矩形状の正極集電体61Aの一辺に、正極集電体露出部を設けるようにして正極活物質層61Bを形成し、不要な部分を切断することで得られる。
正極活物質層61Bの構成は、第1の実施の形態の正極活物質層21Bと同様である。すなわち、正極活物質層61Bは、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上とを含んでおり、必要に応じて、結着剤や導電剤等の他の材料を含んでいてもよい。正極材料、結着剤、導電剤は、第1の実施の形態と同様である。
[負極]
図6C〜図6Dに示すように、負極62は、負極活物質を含有する負極活物質層62Bが、負極集電体62Aの両面上に形成されてなる。負極集電体62Aとしては、例えば銅(Cu)箔、ニッケル(Ni)箔またはステンレス(SUS)箔等の金属箔により構成されている。
また、負極集電体62Aから一体に負極タブ62Cが延出されている。複数枚重ねられた負極タブ62Cは、断面が略U字状となるように折り曲げられ、先端部には超音波溶接または抵抗溶接等の方法により負極リード54が接続される。
負極活物質層62Bは、負極集電体62Aの矩形状の主面部上に形成される。負極集電体62Aが露出した状態の延出部は、負極リード54を接続するための接続タブである負極タブ62Cとしての機能を備える。負極タブ62Cの幅は任意に設定可能である。特に、正極リード53および負極リード54を同一辺から導出する場合には、負極タブ62Cの幅は負極62の幅の50%未満とする必要がある。このような負極62は、矩形状の負極集電体62Aの一辺に、負極集電体露出部を設けるようにして負極活物質層62Bを形成し、不要な部分を切断することで得られる。
[負極活物質層]
負極活物質層62Bの構成は、第1の実施の形態の負極活物質層22Bと同様である。すなわち、負極活物質層62Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤や導電剤等の他の材料を含んでいてもよい。負極材料、結着剤、導電剤は、第1の実施の形態と同様である。
電解質66、セパレータ63、ラミネートフィルム52は、第2の実施の形態の、電解質層36、セパレータ63、外装部材40と同様である。
積層電極体60は、上述のラミネートフィルム52にて外装される。このとき、正極タブ61Cと接続された正極リード53および負極タブ62Cと接続された負極リード54がラミネートフィルム52の封止部から電池外部に導出される。図5Bに示されるように、ラミネートフィルム52には、予め深絞り加工により形成された積層電極体収納部57が設けられている。積層電極体60は、積層電極体収納部57に収納される。
本技術では、積層電極体60の周辺部をヒータヘッドによって加熱することにより、積層電極体60を両面から覆うラミネートフィルム52同士を熱融着させて封止する。特に、リード導出辺においては、正極リード53および負極リード54を避ける形状に切り欠きが設けられたヒータヘッドによってラミネートフィルム52を熱融着することが好ましい。正極リード53および負極リード54にかかる負荷を小さくして電池を作製することができるためである。この方法により、電池作製時のショートを防ぐことができる。
(二次電池の製造方法)
上述の二次電池51は、例えば、以下のような工程で作製することができる。
[正極の作製]
正極材料と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に分散させて正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを帯状の正極集電体61Aの両面に塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機等により圧縮成型して正極活物質層61Bを形成し、正極シートとする。この正極シートを所定の寸法に切断し、正極61を作製する。このとき、正極集電体61Aの一部を露出するようにして正極活物質層61Bを形成する。この正極集電体61A露出部分を正極タブ61Cとする。また、必要に応じて正極集電体露出部の不要な部分を切断して正極タブ61Cを形成してもよい。これにより、正極タブ61Cが一体に形成された正極61が得られる。
[負極の作製]
負極材料と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に分散させて負極合剤スラリーとする。続いて、この負極合剤スラリーを負極集電体62Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機等により圧縮成型して負極活物質層62Bを形成し、負極シートとする。この負極シートを所定の寸法に切断し、負極62を作製する。このとき、負極集電体62Aの一部を露出するようにして負極活物質層62Bを形成する。この負極集電体62A露出部分を負極タブ62Cとする。また、必要に応じて負極集電体露出部の不要な部分を切断して負極タブ62Cを形成してもよい。これにより、負極タブ62Cが一体に形成された負極62が得られる。
[電解質の形成]
セパレータ63の1主面または両面に高分子化合物を塗布する。このセパレータ63に塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体、すなわち単独重合体、共重合体または多元共重合体等が挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデンや、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体や、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体等である。なお、高分子化合物は、上記したフッ化ビニリデンを成分とする重合体と共に、他の1種または2種以上の高分子化合物を含んでいてもよい。なお、セパレータ63上に塗布された高分子化合物に第1の実施の形態と同様の電解液が保持されることにより、電解質66が形成される。
セパレータ63上の高分子化合物は、例えば、以下のようにして、多孔性高分子化合物を形成していてもよい。すなわち、まず、高分子化合物を、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等の極性有機溶媒からなる第1の溶媒に溶解させた溶液を調製し、この溶液をセパレータ63上に塗布する。次に、上記溶液が塗布されたセパレータ63を水、エチルアルコール、プロピルアルコール等の上記極性有機溶媒に対して相溶性があり、上記高分子化合物に対して貧溶媒である第2の溶媒中に浸漬する。このとき、溶媒交換が起こり、スピノーダル分解を伴う相分離が生じ、高分子化合物は多孔構造を形成する。その後、乾燥することにより、多孔構造を有する多孔性高分子化合物を得ることができる。
[積層工程]
次に、図7A〜図7Bに示すように、正極61と負極62とを、つづら折りにしたセパレータ63間に交互に挿入し、例えば、セパレータ63、負極62、セパレータ63、正極61、セパレータ63、負極62・・・セパレータ63、負極62、セパレータ63となるように重ね合わせて所定数の正極61および負極62を積層する。続いて、正極61、負極62およびセパレータ63が密着するように押圧した状態で固定し、積層電極体60を作製する。積層電極体60をより強固に固定するには、例えば接着テープ等の固定部材56を用いることができる。固定部材56を用いて固定する場合には、例えば積層電極体60の両サイド部に固定部材56を設ける。
次に、複数枚の正極タブ61Cおよび複数枚の負極タブ62Cを断面U字状となるように折り曲げる。電極タブは、例えば下記のようにして折り曲げられる。
[第1のタブU字曲げ工程]
積層した正極61から引き出された複数の正極タブ61Cおよび積層した負極62から引き出された複数の負極タブ62Cを、断面略U字形状となるように折り曲げる。第1のU字曲げ工程は、予め正極タブ61Cおよび負極タブ62Cに最適なU字曲げ形状を持たせるための工程である。予め最適なU字曲げ形状を持たせることにより、後に正極リード53および負極リード54と接続後の正極タブ61Cおよび負極タブ62Cを折り曲げてU字曲げ部を形成する際に正極タブ61Cおよび負極タブ62Cに引張り応力等のストレスがかからないようにすることができる。
図9A〜図9Eは、負極タブ62Cの第1のU字曲げ工程を説明する側面図である。図9A〜図9Eにおいては、負極タブ62Cについて行われる各工程を説明する。なお、正極集電体61Aについても同様にして第1のU字曲げ工程が行われる。
まず、図9Aに示すように、U字曲げ用薄板71を有するワークセット台70aの上部に積層電極体60を配設する。U字曲げ用薄板71は、積層電極体60の厚みよりもやや小さい分だけ、具体的には、少なくとも複数の負極タブ62C1〜負極タブ62C4の総厚分小さい分だけ、ワークセット台70aから突出するように設置されている。このような構成とすることにより、負極タブ62C4の曲げ外周側が積層電極体60の厚みの範囲内に位置するため、二次電池51の厚みの増大や外観不良が生じるのを防止することができる。
続いて、図9Bに示すように、積層電極体60を下降させるか、もしくはワークセット台70aを上昇させる。このとき、積層電極体60とU字曲げ用薄板71との間隙が小さいほど二次電池51のスペース効率が向上するため、例えば積層電極体60とU字曲げ用薄板71との間隙が徐々に小さくなるようにする。
図9Cに示すように、積層電極体60がワークセット台70a上に載置され、負極タブ62Cに曲げ部を形成した後、図9Dおよび図9Eに示すようにローラ72を下降させて負極タブ62CがU字形状に折り曲げられる。
U字曲げ用薄板71は、厚みが1mm以下、例えば0.5mm程度が好ましい。U字曲げ用薄板71には、このような薄さでも複数の正極タブ61Cまたは負極タブ62Cに曲げ形状を形成するために必要な強度を有する材料を用いることができる。U字曲げ用薄板71に必要な強度は、正極61および負極62の積層枚数や、正極タブ61Cおよび負極タブ62Cに用いる材料の硬度等によって変わる。U字曲げ用薄板71が薄いほど、曲げ最内周の負極タブ62C1の曲率を小さくすることができ、負極タブ62Cの折り曲げに必要なスペースを小さくすることができるため好ましい。U字曲げ用薄板71としては、例えばステンレス(SUS)、強化プラスティック材およびめっきを施した鋼材等を用いることができる。
[集電体露出部切断工程]
次に、U字曲げ部を形成した負極タブ62Cの先端を切り揃える。集電体露出部切断工程では、予め最適な形状を有するU字曲げ部を形成し、そのU字曲げ形状に合わせて正極タブ61Cおよび負極タブ62Cの余剰分を切断する。図10A〜図10Eは、負極タブ62Cの切断工程を説明する側面図である。なお、正極タブ61Cについても同様にして集電体露出部切断工程が行われる。
図10Aに示すように、第1のU字曲げ工程においてU字曲げ部が形成された積層電極体60の上面と底面を反転させ、集電体たるみ用逃げ部73を有するワークセット台70b上に積層電極体60を固定する。
次に、図10Bに示すように、U字曲げ部が形成された負極タブ62C1〜負極タブ62C4のU字曲げ部から先端に至る先端部分がワークセット台70bに沿って略L字形状となるように先端部分を変形させる。このとき、再度U字曲げ部を形成するために必要な形状を維持することにより、曲げ外周側の負極タブ62C4ほど大きなたるみが生じる。このようなたるみがワークセット台70bの集電体たるみ用逃げ部73に入り込むことにより、負極タブ62C1〜負極タブ62C4をストレスなく変形させることができる。なお、負極タブ62C1〜負極タブ62C4の先端部分を固定した状態で負極タブ62C1〜負極タブ62C4を変形させるようにしてもよい。
続いて、図10Cに示すように、集電体押さえ74にて負極タブ62C1〜負極タブ62C4をワークセット台70bに押さえつけた後、図10Dおよび図10Eに示すように、例えば集電体押さえ74に沿うように設けられた切断用刃75で負極タブ62C1〜負極タブ62C4の先端を切り揃える。負極タブ62C1〜負極タブ62C4の切断箇所は、後に再度U字曲げを行った際に負極タブ62C1〜負極タブ62C4の先端が積層電極体60の厚みの範囲内に位置するように、負極タブ62C1〜負極タブ62C4の先端の余剰分を少なくとも切断するようにする。
[電極リード接続工程]
続いて、負極タブ62C1〜負極タブ62C4と、負極リード54との接続を行う。タブ接続工程では、第1のU字曲げ工程で形成した最適なU字曲げ形状を維持しながら正極タブ61Cおよび負極タブ62Cと、正極リード53および負極リード54を固着する。これにより、正極タブ61Cおよび正極リード53と、負極タブ62Cおよび負極リード54が電気的に接続される。図11A〜図11Cは、負極タブ62C1〜負極タブ62C4と、負極リード54との接続工程を説明する側面図である。なお、図示はしないが、負極リード54にはあらかじめシーラント55が設けられているものとする。正極タブ61Cと正極リード53についても同様にして接続工程が行われる。
図11Aに示すように、電極端子切断工程において負極タブ62C1〜負極タブ62C4の先端余剰分を切断した積層電極体60の上面と底面を再度反転させる。次に、図11Bに示すように、集電体形成維持用板76を有するワークセット台70c上に積層電極体60を固定する。負極タブ62C1の曲げ内周側には集電体形成維持用板76の先端が位置しており、負極タブ62C1〜負極タブ62C4の曲げ形状を維持するとともに、固着装置から発生する例えば超音波振動等の外的要因による影響を防止する。
続いて、図11Cに示すように、例えば超音波溶着により負極タブ62C1〜負極タブ62C4と負極リード54とを固着する。超音波溶着には、例えば、負極タブ62C1〜負極タブ62C4の下部に備えられたアンビル77aと、負極タブ62C1〜負極タブ62C4の上部に備えられたホーン77bが用いられる。アンビル77aには予め負極タブ62C1〜負極タブ62C4がセットされ、ホーン77bが下降してアンビル77aとホーン77bとで負極タブ62C1〜負極タブ62C4および負極リード54が挟持される。そして、アンビル77aとホーン77bとにより、負極タブ62C1〜負極タブ62C4および負極リード54に超音波振動が与えられる。これにより、負極タブ62C1〜負極タブ62C4および負極リード54が互いに固着される。
なお、タブ接続工程においては、図11Cを参照して上述した内周側曲げしろRiが形成されるように負極リード54を負極タブ62Cに接続するとよい。なお、内周側曲げしろRiは、正極リード53および負極リード54の厚み以上とする。
次に、負極タブ62C1〜負極タブ62C4と固着した負極リード54を所定の形状に折り曲げる。図12A〜図12Eは、負極リード54のタブ折り曲げ工程を説明する側面図である。また、正極タブ61Cと正極リード53についても同様にしてタブ折り曲げ工程・電極リード接続工程が行われる。
図12Aに示すように、接続工程において負極タブ62C1〜負極タブ62C4と負極リード54とが固着された積層電極体60の上面と底面を再度反転させて、集電体たるみ用逃げ部73を有するワークセット台70d上に積層電極体60を固定する。負極タブ62C1〜負極タブ62C4と負極リード54との接続部分は、タブ折り曲げ台78a上に載置する。
続いて、図12Bに示すように、負極タブ62C1〜負極タブ62C4と負極リード54との接続部分をブロック78bにて押さえ、図12Cに示すようにローラ79を降下させることにより、タブ折り曲げ台78aおよびブロック78bから突出した負極リード54を折り曲げる。
[第2のタブU字曲げ工程]
続いて、図12Dに示すように、積層電極体60と、負極タブ62C1〜負極タブ62C4とを押さえるブロック78bとの間に介在するようにU字曲げ用薄板71を配置する。続いて、図12Eに示すように、負極タブ62C1〜負極タブ62C4を図9A〜図9Eに示す第1のU字曲げ工程で形成したU字曲げ形状に沿って90°折り曲げ、積層電極体60を作製する。このとき、上述したように、図11Cのように内周側曲げしろRiが形成されるように負極リード54と負極タブ62Cとを接続しておく。これにより、第2のタブU字曲げ工程において、負極リード54が積層された正極61および負極62に当接することなく負極タブ62Cを電極面と略垂直の方向にまで折り曲げることができる。
このとき、負極リード54は予め熱溶着されたシーラント55と一緒に折り曲げるのが好ましい。負極リード54の折り曲げ部をシーラント55が被覆することになり、負極リード54とラミネートフィルム52とが直接接触しない構造とすることができる。この構造により、長期的な振動、衝撃等によるラミネートフィルム52内部の樹脂層と負極リード54との擦れ、ラミネートフィルム52の破損、ラミネートフィルム52の金属層との短絡の危険性を大幅に低減することができる。このようにして、積層電極体60が作製される。
[外装工程]
このあと、作製した積層電極体60をラミネートフィルム52で外装し、サイド部の一方と、トップ部およびボトム部をヒータヘッドで加熱して熱融着する。正極リード53および負極リード54が導出されたトップ部およびボトム部は、例えば切り欠きを有するヒータヘッドで加熱して熱融着する。
続いて、熱融着していない他のサイド部の開口から、第1の実施の形態と同様の電解液を注液する。最後に、注液を行ったサイド部のラミネートフィルム52を熱融着し、積層電極体60をラミネートフィルム52内に封止する。この後、ラミネートフィルム52の外部から、積層電極体60に対して、加圧するとともに加熱するヒートプレスを行い、これにより、電解液が高分子化合物に含浸し、その高分子化合物がゲル化して、電解液が高分子化合物に保持された電解質66が形成される。なお、高分子化合物が多孔性高分子化合物の場合、ヒートプレス時において、電解質66では、電解液により、多孔性高分子化合物が膨潤するが、多孔性高分子化合物の空孔構造は崩れずに、その空孔が維持されていてもよい。以上により、二次電池が完成する。
(二次電池の動作)
この二次電池では、例えば、充電時において、正極21から放出されたリチウムイオンが電解液を介して負極22に吸蔵されると共に、放電時において、負極22から放出されたリチウムイオンが電解液を介して正極21に吸蔵される。この場合には、高い電池容量を得るために、充電終止電圧(完全充電状態における開回路電圧)を、例えば4.25V以上、好ましくは4.25V以上6.00V以下とすることが好ましい。また、この二次電池では、完全放電時における負極のリチウム金属基準の電位(Vvs.Li/Li+)が、0.4V以上とされている。
(二次電池の作用および効果)
この二次電池は、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様の作用および効果を有する。
5.第4の実施の形態
(バッテリーモジュールの例)
本技術の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では、上述の二次電池を用いたバッテリユニットおよびバッテリユニットが組み合わされたバッテリモジュールについて説明する。なお、第4の実施の形態では、第3の実施の形態の正極リード53と負極リード54とが異なる辺から導出された二次電池を用いた場合について説明する。
[バッテリユニット]
図13A〜図13Bは、本技術の二次電池を用いたバッテリユニットの構成例を示す斜視図である。図13Aおよび図13Bには、それぞれ異なる側から見たバッテリユニット100が示されており、図13Aに主に示されている側をバッテリユニット100の正面側とし、図13Bに主に示されている側をバッテリユニット100の背面側とする。図13A〜図13Bに示すように、バッテリユニット100は、二次電池1−1および1−2、ブラケット110、並びに、バスバー120−1および120−2を備えて構成される。二次電池1−1および1−2は、例えば、第3の実施の形態による二次電池である。
ブラケット110は、二次電池1−1および1−2の強度を確保するための支持具であり、ブラケット110の正面側に二次電池1−1が装着され、ブラケット110の背面側に二次電池1−2が装着される。なお、ブラケット110は、正面側および背面側のどちらから見ても、ほぼ同じ形状をしているが、下側の一方の角部分に面取り部111が形成されており、面取り部111が右下に見える側を正面側とし、面取り部111が左下に見える側を背面側とする。
バスバー120−1および120−2は、略L字形状をした金属の部材であり、二次電池1−1および1−2のタブに接続される接続部分がブラケット110の側面側に配置され、バッテリユニット100の外部と接続されるターミナルがブラケット110の上面に配置されるように、ブラケット110の両側面にそれぞれ装着される。
図14は、バッテリユニット100が分解された状態を示す斜視図である。図14の上側をバッテリユニット100の正面側とし、図14の下側をバッテリユニット100の背面側とする。以下、二次電池1−1において内部に積層電極体が収容された凸状部分を電池本体1−1Aと称する。同様に、二次電池1−2において内部に積層電極体が収容された凸状部分を電池本体1−2Aと称する。
そして、二次電池1−1および1−2は、凸形状となっている電池本体1−1Aおよび1−2A側を互いに向い合せた状態で、ブラケット110に装着される。つまり、二次電池1−1は正極リード3−1および負極リード4−1が設けられる面が正面側を向き、二次電池1−2は正極リード3−2および負極リード4−2が設けられる面が背面側を向くように、ブラケット110に装着される。
ブラケット110は、外周壁112およびリブ部113を有している。外周壁112は、二次電池1−1および1−2の電池本体1−1Aおよび1−2Aの外周よりも若干広く、即ち、二次電池1−1および1−2が装着された状態で電池本体1−1Aおよび1−2Aを囲うように形成される。リブ部113は、外周壁112の内側の側面に外周壁112の厚み方向の中央部分から内側に向かって伸びるように形成される。
図14の構成例では、二次電池1−1および1−2が、ブラケット110の正面側および背面側から外周壁112内に挿入され、両面に粘着性を有する両面テープ130−1および130−2により、ブラケット110のリブ部113の両面に貼着される。両面テープ130−1および130−2は、二次電池1−1および1−2の外周端に沿った所定の幅の略ロ字形状をしており、ブラケット110のリブ部113は、両面テープ130−1および130−2が貼着する面積だけ設けられていればよい。
このように、リブ部113は、二次電池1−1および1−2の外周端に沿った所定の幅だけ、外周壁112の内側の側面から内側に向かって伸びるように形成されており、リブ部113よりも内側は、開口部となっている。従って、ブラケット110の正面側から両面テープ130−1によりリブ部113に貼着される二次電池1−1と、ブラケット110の背面側から両面テープ130−2によりリブ部113に貼着される二次電池1−2との間では、この開口部によって隙間が生じている。
即ち、ブラケット110の中央部分に開口部が形成されていることで、二次電池1−1および1−2は、リブ部113の厚みと両面テープ130−1および130−2の厚みとを合計した寸法の隙間を有してブラケット110に装着される。例えば、二次電池1−1および1−2には、充放電やガスの発生等により多少の膨らみが生じることがあるが、この開口部により設けられる間隙が、二次電池1−1および1−2の膨らみを逃がす空間となる。従って、二次電池1−1および1−2が膨らんだ部分によってバッテリユニット100全体の厚みが増加する等の影響を排除することができる。
また、二次電池1−1および1−2をリブ部113に接着する際に、接着面積が広い場合にはかなりの圧力が必要となるが、リブ部113の接着面を外周端に限定することにより、効率よく圧力をかけて、容易に接着することができる。これにより、製造時に二次電池1−1および1−2にかかるストレスを軽減することができる。
図14に示すように、1つのブラケット110に2つの二次電池1−1および1−2を取り付けることにより、例えば、1つのブラケットに1つの二次電池を取り付ける場合よりも、ブラケット110の厚みと空間を削減することができる。これにより、エネルギー密度を向上させることができる。
また、バッテリユニット100の厚み方向の剛性を、2枚の二次電池1−1および1−2を貼り合わせる相乗効果により得られるため、ブラケット110のリブ部113を薄肉化することができる。即ち、例えば、リブ部113の厚みを1mm以下(樹脂成型の限界の厚み程度)にしても、二次電池1−1および1−2をリブ部113の両側から貼り合わせることで、バッテリユニット100全体として十分な剛性を得ることができる。そして、リブ部113の厚みを薄くすることにより、バッテリユニット100の厚みが薄くなり容積が縮小することになる結果、バッテリユニット100のエネルギー密度を向上させることができる。
また、バッテリユニット100は、外的なストレスに対する耐性を高めるため、二次電池1−1および1−2の外周面(両側面および上下面)が、ブラケット110の外周壁112の内周面と接触しない構造とし、二次電池1−1および1−2が有する広い面でリブ部113に貼り合わされる構造となっている。
このような構成により、エネルギー密度が高く、かつ、外的なストレスに強いバッテリユニット100を実現することができる。
[バッテリモジュール]
次に、図15〜図18を参照して、バッテリユニット100が組み合わされたバッテリモジュール200の構成例について説明する。図15は、バッテリモジュールの構成例を示す分解斜視図である。図15に示すように、バッテリモジュール200は、モジュールケース210、ゴムシート部220、電池部230、電池カバー240、固定シート部250、電気パーツ部260、およびボックスカバー270を備えて構成されている。
モジュールケース210は、バッテリユニット100を収納して使用機器に搭載するためのケースであり、図15の構成例では、24個のバッテリユニット100が収納可能なサイズとされている。
ゴムシート部220は、バッテリユニット100の底面に敷かれて、衝撃等を緩和するためのシートである。ゴムシート部220では、3個のバッテリユニット100ごとに1枚のゴムシートが設けられ、24個のバッテリユニット100に対応するために8枚のゴムシートが用意される。
電池部230は、図15の構成例では、24個のバッテリユニット100が組み合わされて構成されている。また、電池部230では、3個のバッテリユニット100が並列に接続されて並列ブロック231を構成し、8個の並列ブロック231が直列に接続される接続構成となっている。
電池カバー240は、電池部230を固定するためのカバーであり、二次電池のバスバーに対応した開口部が設けられている。
固定シート部250は、電池カバー240の上面に配置され、ボックスカバー270がモジュールケース210に固定されたときに、電池カバー240およびボックスカバー270に密着して固定するシートである。
電気パーツ部260は、バッテリユニット100の充放電を制御する充放電制御回路等の電気的な部品を有する。充放電制御回路は、例えば、電池部230において2本の列をなすバスバー120の間の空間に配置される。
ボックスカバー270は、モジュールケース210に各部が収納された後に、モジュールケース210を閉鎖するためのカバーである。
ここで、バッテリモジュール200では、3個のバッテリユニット100が並列に接続された並列ブロック231が直列に接続されて電池部230が構成されており、この直列の接続が、電気パーツ部260が有する金属板材で行われる。従って、電池部230では、並列ブロック231ごとに端子の向きが交互になるように、即ち、隣り合う並列ブロック231どうしでプラスの端子とマイナスの端子とが並ぶように、並列ブロック231がそれぞれ配置される。そこで、バッテリモジュール200では、隣り合う並列ブロック231で同極の端子が並ぶことを回避させるような工夫が必要である。
例えば、図16に示すように、3つのバッテリユニット100により構成される並列ブロック231−1と、3つのバッテリユニット100により構成される並列ブロック231−2とでは、プラスの端子とマイナスの端子とが隣り合うような配置で、モジュールケース210に収納される。このような配置となるように規制するために、バッテリユニット100のブラケット110の下側の一方の角部分に形成されている面取り部111が利用される。
図17Aは、並列ブロックの構成例を示す斜視図であり、図17Bは、並列ブロックの構成例を示す断面図である。図17A〜図17Bに示すように、並列ブロック231−1のバッテリユニット100は、それぞれの面取り部111が同じ向きとなるように組み合わされており、面取り領域280が形成されている。なお、図示は省略するが並列ブロック231−2も、並列ブロック231−1と同様である。
図18A〜図18Bは、モジュールケースの構成例を示す。図18A〜図18Bに示すように、モジュールケース210には、面取り領域280の傾斜に応じた傾斜部290が形成されており、傾斜部290は、二次電池の3個分の厚みに応じた長さで、交互に配置されている。並列ブロック231−1の面取り領域280と、モジュールケース210の傾斜部290とにより、並列ブロック231−1を間違った向きでモジュールケース210に収納しようとした場合には、並列ブロック231−1の底側の角部がモジュールケース210の傾斜部290に当接することになる。この場合、並列ブロック231−1がモジュールケース210の底面から浮き上がった状態となるため、並列ブロック231−1がモジュールケース210に完全に収納されなくなる。また、並列ブロック231−2の面取り領域280と、モジュールケース210の傾斜部290とにより、並列ブロック231−2を間違った向きでモジュールケース210に収納しようとした場合には、並列ブロック231−2の底側の角部がモジュールケース210の傾斜部290に当接することになる。この場合、並列ブロック231−2がモジュールケース210の底面から浮き上がった状態となるため、並列ブロック231−2がモジュールケース210に完全に収納されなくなる。したがって、バッテリモジュール200では、隣り合う並列ブロックの同極の端子が隣り合って並ぶことが回避される。
以上説明したように、本技術の二次電池を用いたバッテリユニットおよびバッテリモジュールが構成される。
6.第5の実施の形態
(電池パックの例)
図19は、本技術の二次電池を電池パックに適用した場合の回路構成例を示すブロック図である。電池パックは、組電池301、外装、充電制御スイッチ302aと、放電制御スイッチ303a、を備えるスイッチ部304、電流検出抵抗307、温度検出素子308、制御部310を備えている。
また、電池パックは、正極端子321および負極端子322を備え、充電時には正極端子321および負極端子322がそれぞれ充電器の正極端子、負極端子に接続され、充電が行われる。また、電子機器使用時には、正極端子321および負極端子322がそれぞれ電子機器の正極端子、負極端子に接続され、放電が行われる。
組電池301は、複数の二次電池301aを直列および/または並列に接続してなる。この二次電池301aは本技術の二次電池である。なお、図19では、6つの二次電池301aが、2並列3直列(2P3S)に接続された場合が例として示されているが、その他、n並列m直列(n,mは整数)のように、どのような接続方法でもよい。
スイッチ部304は、充電制御スイッチ302aおよびダイオード302b、ならびに放電制御スイッチ303aおよびダイオード303bを備え、制御部310によって制御される。ダイオード302bは、正極端子321から組電池301の方向に流れる充電電流に対して逆方向で、負極端子322から組電池301の方向に流れる放電電流に対して順方向の極性を有する。ダイオード303bは、充電電流に対して順方向で、放電電流に対して逆方向の極性を有する。尚、例では+側にスイッチ部を設けているが、−側に設けても良い。
充電制御スイッチ302aは、電池電圧が過充電検出電圧となった場合にOFFされて、組電池301の電流経路に充電電流が流れないように充放電制御部によって制御される。充電制御スイッチ302aのOFF後は、ダイオード302bを介することによって放電のみが可能となる。また、充電時に大電流が流れた場合にOFFされて、組電池301の電流経路に流れる充電電流を遮断するように、制御部310によって制御される。
放電制御スイッチ303aは、電池電圧が過放電検出電圧となった場合にOFFされて、組電池301の電流経路に放電電流が流れないように制御部310によって制御される。放電制御スイッチ303aのOFF後は、ダイオード303bを介することによって充電のみが可能となる。また、放電時に大電流が流れた場合にOFFされて、組電池301の電流経路に流れる放電電流を遮断するように、制御部310によって制御される。
温度検出素子308は例えばサーミスタであり、組電池301の近傍に設けられ、組電池301の温度を測定して測定温度を制御部310に供給する。電圧検出部311は、組電池301およびそれを構成する各二次電池301aの電圧を測定し、この測定電圧をA/D変換して、制御部310に供給する。電流測定部313は、電流検出抵抗307を用いて電流を測定し、この測定電流を制御部310に供給する。
スイッチ制御部314は、電圧検出部311および電流測定部313から入力された電圧および電流を基に、スイッチ部304の充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aを制御する。スイッチ制御部314は、二次電池301aのいずれかの電圧が過充電検出電圧もしくは過放電検出電圧以下になったとき、また、大電流が急激に流れたときに、スイッチ部304に制御信号を送ることにより、過充電および過放電、過電流充放電を防止する。
ここで、例えば、二次電池がリチウムイオン二次電池の場合、過充電検出電圧が例えば4.20V±0.05Vと定められ、過放電検出電圧が例えば2.4V±0.1Vと定められる。
充放電スイッチは、例えばMOSFET等の半導体スイッチを使用できる。この場合MOSFETの寄生ダイオードがダイオード302bおよび303bとして機能する。充放電スイッチとして、Pチャンネル型FETを使用した場合は、スイッチ制御部314は、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aのそれぞれのゲートに対して、制御信号DOおよびCOをそれぞれ供給する。充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aはPチャンネル型である場合、ソース電位より所定値以上低いゲート電位によってONする。すなわち、通常の充電および放電動作では、制御信号COおよびDOをローレベルとし、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aをON状態とする。
そして、例えば過充電もしくは過放電の際には、制御信号COおよびDOをハイレベルとし、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aをOFF状態とする。
メモリ317は、RAMやROMからなり例えば不揮発性メモリであるEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等からなる。メモリ317では、制御部310で演算された数値や、製造工程の段階で測定された各二次電池301aの初期状態における電池の内部抵抗値等が予め記憶され、また適宜、書き換えも可能である。(また、二次電池301aの満充電容量を記憶させておくことで、制御部310とともに例えば残容量を算出することができる。
温度検出部318では、温度検出素子308を用いて温度を測定し、異常発熱時に充放電制御を行ったり、残容量の算出における補正を行う。
7.第6の実施の形態
上述した二次電池の用途について説明する。上述した二次電池およびこれを用いた電池パック、バッテリユニットおよびバッテリモジュールは、例えば電子機器や電動車両、蓄電装置等の機器に搭載または電力を供給するために使用することができる。
二次電池の用途は、それを駆動用の電源または電力蓄積用の電力貯蔵源などとして用いることが可能な機械、機器、器具、装置またはシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。二次電池が電源として用いられる場合、それは主電源(優先的に使用される電源)でもよいし、補助電源(主電源に代えて、または主電源から切り換えて使用される電源)でもよい。後者の場合、主電源は二次電池に限られない。
二次電池の用途は、例えば、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノートパソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビまたは携帯用情報端末(PDA:personal digital assistant)、ビデオムービー、電子書籍、電子辞書、音楽プレイヤー、ラジオ、ヘッドホン、ゲーム機、ナビゲーションシステム、テレビ、ステレオ、玩具、ロボット、ロードコンディショナー、信号機などの電子機器である。なお、電子機器には、冷蔵庫、エアコン、電気シェーバ、温水器、電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、乾燥器、照明機器などの生活用電気器具、バックアップ電源またはメモリーカードなどの記憶用装置、ペースメーカーまたは補聴器などの医療用電子機器も含まれる。また、電子機器には、電動ドリルまたは電動のこぎりなどの電動工具も含まれる。また、二次電池の用途は、電気自動車などの電動車両(ハイブリッド自動車を含む)である。電動車両としては鉄道車両、ゴルフカート、電動カート等が挙げられる。また、二次電池の用途は、住宅をはじめとする建築物用または発電設備用の電力貯蔵用電源等の蓄電装置である。また、二次電池の用途は、非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システム(電力システム)である。
中でも、二次電池は、電子機器(特に電動工具)、電動車両または電力貯蔵システムなどに適用されることが有効である。二次電池について優れた特性が要求されるため、本技術の二次電池を用いることで有効に特性向上を図ることができるからである。なお、電動工具は、二次電池を駆動用の電源として可動部(例えばドリルなど)を可動させるものである。電動車両は、二次電池を駆動用電源として走行するものであり、上記したように、二次電池以外の駆動源も併せて備えた自動車(ハイブリッド自動車など)でもよい。電力貯蔵システムは、二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。例えば、家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に電力が蓄積されており、その二次電池に貯蔵された電力が必要に応じて消費されることにより、家庭用電気製品などの各種機器が使用可能になる。
以下では、上述した適用例のうち、上述した本技術の二次電池を適用した蓄電装置を用いた蓄電システムの具体例を説明する。
この蓄電システムは、例えば下記の様な構成が挙げられる。第1の蓄電システムは、再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって蓄電装置が充電される蓄電システムである。第2の蓄電システムは、蓄電装置を有し、蓄電装置に接続される電子機器に電力を供給する蓄電システムである。第3の蓄電システムは、蓄電装置から、電力の供給を受ける電子機器である。これらの蓄電システムは、外部の電力供給網と協働して電力の効率的な供給を図るシステムとして実施される。
さらに、第4の蓄電システムは、蓄電装置から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、蓄電装置に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう制御装置とを有する電動車両である。第5の蓄電システムは、他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部とを備え、送受信部が受信した情報に基づき、上述した蓄電装置の充放電制御を行う電力システムである。第6の蓄電システムは、上述した蓄電装置から、電力の供給を受け、または発電装置または電力網から蓄電装置に電力を供給する電力システムである。以下、蓄電システムについて説明する。
(6−1)応用例としての住宅における蓄電システム
本技術の二次電池を用いた蓄電装置を住宅用の蓄電システムに適用した例について、図20を参照して説明する。例えば住宅401用の蓄電システム400においては、火力発電402a、原子力発電402b、水力発電402c等の集中型電力系統402から電力網409、情報網412、スマートメータ407、パワーハブ408等を介し、電力が蓄電装置403に供給される。これと共に、家庭内の発電装置404等の独立電源から電力が蓄電装置403に供給される。蓄電装置403に供給された電力が蓄電される。蓄電装置403を使用して、住宅401で使用する電力が給電される。住宅401に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
住宅401には、発電装置404、電力消費装置405、蓄電装置403、各装置を制御する制御装置410、スマートメータ407、各種情報を取得するセンサ411が設けられている。各装置は、電力網409および情報網412によって接続されている。発電装置404として、太陽電池、燃料電池等が利用され、発電した電力が電力消費装置405および/または蓄電装置403に供給される。電力消費装置405は、冷蔵庫405a、空調装置405b、テレビジョン受信機405c、風呂405d等である。さらに、電力消費装置405には、電動車両406が含まれる。電動車両406は、電気自動車406a、ハイブリッドカー406b、電気バイク406cである。
蓄電装置403に対して、本技術の二次電池が適用される。本技術の二次電池は、例えば上述したリチウムイオン二次電池によって構成されていてもよい。スマートメータ407は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網409は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせても良い。
各種のセンサ411は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサ等である。各種のセンサ411により取得された情報は、制御装置410に送信される。センサ411からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置405を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置410は、住宅401に関する情報をインターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
パワーハブ408によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置410と接続される情報網412の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法、Bluetooth、ZigBee、Wi−Fi等の無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network)またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
制御装置410は、外部のサーバ413と接続されている。このサーバ413は、住宅401、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていても良い。サーバ413が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信しても良いが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機等)から送受信しても良い。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等に、表示されても良い。
各部を制御する制御装置410は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成され、この例では、蓄電装置103に格納されている。制御装置410は、蓄電装置403、家庭内の発電装置404、電力消費装置405、各種のセンサ411、サーバ413と情報網412により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていても良い。
以上のように、電力が火力発電402a、原子力発電402b、水力発電402c等の集中型電力系統402のみならず、家庭内の発電装置404(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置403に蓄えることができる。したがって、家庭内の発電装置404の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置403に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置403に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置403によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
なお、この例では、制御装置410が蓄電装置403内に格納される例を説明したが、スマートメータ407内に格納されても良いし、単独で構成されていても良い。さらに、蓄電システム400は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
(6−2)応用例としての車両における蓄電システム
本技術を車両用の蓄電システムに適用した例について、図21を参照して説明する。図21に、本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、またはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
このハイブリッド車両500には、エンジン501、発電機502、電力駆動力変換装置503、駆動輪504a、駆動輪504b、車輪505a、車輪505b、バッテリー508、車両制御装置509、各種センサ510、充電口511が搭載されている。バッテリー508に対して、上述した本技術の二次電池が適用される。
ハイブリッド車両500は、電力駆動力変換装置503を動力源として走行する。電力駆動力変換装置503の一例は、モータである。バッテリー508の電力によって電力駆動力変換装置503が作動し、この電力駆動力変換装置503の回転力が駆動輪504a、504bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)または逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置503が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ510は、車両制御装置509を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ510には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサ等が含まれる。
エンジン501の回転力は発電機502に伝えられ、その回転力によって発電機502により生成された電力をバッテリー508に蓄積することが可能である。
図示しない制動機構によりハイブリッド車両500が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置503に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置503により生成された回生電力がバッテリー508に蓄積される。
バッテリー508は、ハイブリッド車両500の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口511を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
図示しないが、二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていても良い。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置等がある。
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモータの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モータのみで走行、エンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本技術は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本技術は有効に適用可能である。
本技術の具体的な実施例について詳細に説明するが、本技術はこれに限定されるものではない。
<実施例1−1〜実施例1−25>
<実施例1−1>
以下の手順により、図1および図2に示した円筒型のリチウムイオン二次電池を作製した。
(正極の作製)
正極21を作製する場合には、正極活物質(LiCoO2)94質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン:PVDF)3質量部と、正極導電剤(アモルファス性炭素粉であるケッチェンブラック)3質量部とを混合して、正極合剤とした。続いて、有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン:NMP)に正極合剤を分散させて、ペースト状の正極合剤スラリーとした。続いて、コーティング装置で正極集電体21A(帯状のアルミニウム箔:厚さ=20μm)の両面に正極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて、正極活物質層21Bを形成した。最後に、ロールプレス機で正極活物質層21Bを圧縮成型した。
(負極の作製)
負極22を作製する場合には、負極活物質(黒鉛)90質量部と、負極結着剤(PVDF)10質量部とを混合して、負極合剤とした。続いて、有機溶剤(NMP)に負極合剤を分散させて、ペースト状の負極合剤スラリーとした。続いて、コーティング装置で負極集電体22A(帯状の電解銅箔:厚さ=15μm)の両面に負極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて、負極活物質層22Bを形成した。最後に、ロールプレス機で負極活物質層22Bを圧縮成型した。この負極22を作製する場合には、充電途中で負極22にリチウム金属が析出しないように負極活物質の充填量を調整した。
(電解液の調製)
電解液を調製する場合には、混合溶媒に、特定構造の芳香族化合物として、式(10)の芳香族化合物を混合したのち、電解質塩(LiPF6)を溶解させた。混合溶媒の組成は、炭酸エチレン(EC)/炭酸プロピレン(PC)/炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)/4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)=20質量%/5質量%/60質量%/5質量%/10質量%とした。なお、質量百分率は、混合溶媒の全体量に対するものである。電解液中における式(10)の芳香族化合物の含有量は、電解液の全体量に対して1質量%とした。電解液中における電解質塩の濃度は、1.2mol/kgとした。
(二次電池の組み立て)
二次電池を組み立てる場合には、正極集電体21AにAl製の正極リード25を溶接すると共に、負極集電体22AにNi製の負極リード26を溶接した。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層および巻回したのち、粘着テープで巻き終わり部分を固定して、ジェリーロール型の巻回電極体20(外径=17.5mm)を作製した。このセパレータ23としては、ポリエチレン(PE)の単層多孔質膜(厚さ=16μm)を用いた。続いて、巻回電極体20の巻回中心にセンターピン24を挿入した。続いて、一対の絶縁板12、13で挟みながら、Ni鍍金されたFe製の電池缶11の内部に巻回電極体20を収納した。この場合には、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接した。続いて、減圧方式で電池缶11の内部に電解液を注入してセパレータ23に含浸させた。最後に、ガスケット17を介して電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をかしめた。これにより、円筒型の二次電池(直径=18mm×高さ=65mm)が完成した。
<実施例1−2〜実施例1−25>
特定構造の芳香族化合物の種類を、以下のように変えたこと以外は、実施例1−1と同様にして、二次電池を作製した。
実施例1−2:式(4)の芳香族化合物、実施例1−3:式(6)の芳香族化合物、実施例1−4:式(8)の芳香族化合物、実施例1−5:式(11)の芳香族化合物、実施例1−6:式(12)の芳香族化合物、実施例1−7:式(14)の芳香族化合物、実施例1−8:式(15)の芳香族化合物、実施例1−9:式(21)の芳香族化合物、実施例1−10:式(22)の芳香族化合物、実施例1−11:式(26)の芳香族化合物、実施例1−12:式(29)の芳香族化合物、実施例1−13:式(30)の芳香族化合物、実施例1−14:式(31)の芳香族化合物、実施例1−15:式(39)の芳香族化合物、実施例1−16:式(41)の芳香族化合物、実施例1−17:式(42)の芳香族化合物、実施例1−18:式(43)の芳香族化合物、実施例1−19:式(45)の芳香族化合物、実施例1−20:式(46)の芳香族化合物、実施例1−21:式(48)の芳香族化合物、実施例1−22:式(49)の芳香族化合物、実施例1−23:式(50)の芳香族化合物、実施例1−24:式(51)の芳香族化合物、実施例1−25:式(52)の芳香族化合物
<比較例1−1>
電解液に式(10)の芳香族化合物を添加しなかったこと以外は、実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。
<比較例1−2>
完全放電時の負極放電電位が0.3V(vs.Li/Li+)となるように放電カットオフ電圧を変化させたこと以外は、実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。
<比較例1−3>
電解液に特定構造の芳香族化合物を添加しなかったこと以外は、比較例1−2と同様にして二次電池を作製した。
(サイクル特性の評価)
作製した二次電池のサイクル特性を以下のようにして調べた。常温環境中(28℃)で二次電池を1サイクル充放電させて放電容量を測定したのち、同環境中で二次電池を400サイクル充放電させて放電容量を測定した。この結果から、容量維持率(%)=(400サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100を算出した。充電時には、3mA/cm2の電流密度で電圧が4.2Vに達するまで定電流充電したのち、さらに4.2Vの電圧で5時間定電圧充電した。放電時には、3mA/cm2の電流密度で電圧が3.0Vに達するまで定電流放電した。この時、完全放電時の負極の放電電位は0.4V(vs.Li/Li+)であった。
(負極電位の測定)
完全放電時の負極の放電電位の測定は、電池にLi金属の参照極を導入した3電極式セルを用いて測定することができる。参照極はあらかじめ導入してあってもなくても良く、市販電池を該3電極式セルとする手法は、例えば以下の技術文献にも記載されている。
[技術文献1]
電力中央研究所 研究報告書(報告書番号:Q10026)
上述のサイクル特性の評価においては、作製した二次電池に対してLi金属の参照極を導入して3電極式セルとし、完全放電時の負極の放電電位を測定した。
実施例1−1〜実施例1−25および比較例1−1〜比較例1−3についての評価結果を表1に示す。
Figure 2014056697
表1から以下のことがわかった。実施例1−1〜実施例1−25のように、電解液が特定構造の芳香族化合物を含んでいる場合には、比較例1−1のように特定構造の芳香族化合物を含んでいない場合と比較して、容量維持率が著しく高くなった。
また、比較例1−2および比較例1−3によれば、完全放電時の負極放電電位が0.4V(vs.Li/Li+)未満の場合、特定構造の芳香族化合物を含んでいても、含んでいなくても、比較的良好な容量維持率が得られた。
<実施例2−1〜実施例2−9>
式(10)の芳香族化合物の含有量を以下のように変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。
実施例2−1:0.0001質量%、実施例2−2:0.001質量%、実施例2−3:0.01質量%、実施例2−4:0.1質量%、実施例2−5:0.5質量%、実施例2−6:2質量%、実施例2−7:5質量%、実施例2−8:10質量%、実施例2−9:15質量%
(サイクル特性の評価)
作製した二次電池について、上記と同様、サイクル特性の評価を行った。
実施例2−1〜実施例2−9および実施例1−1についての評価結果を表2に示す。
Figure 2014056697
表2に示すように、特定構造の芳香族化合物の含有量を変更しても、表1と同様の結果が得られた。すなわち、電解液が特定構造の芳香族化合物を含んでいる場合には、特定構造の芳香族化合物を含んでいない場合と比較して、容量維持率が高くなった。また、特に、含有量が0.001質量%〜10質量%、0.01質量%〜5質量%、0.1質量%〜2質量%の順に、より高い容量維持率が得られた。
<実施例3−1〜実施例3−14>
電解液の混合溶媒の組成を以下のように変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。
実施例3−1:炭酸エチレン(EC)/炭酸プロピレン(PC)/炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)=30質量%/5質量%/60質量%/5質量%
実施例3−2:炭酸エチレン(EC)/炭酸プロピレン(PC)/炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)/4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)=29.999質量%/5質量%/60質量%/5質量%/0.001質量%
実施例3−3:炭酸エチレン(EC)/炭酸プロピレン(PC)/炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)/4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)=29.99質量%/5質量%/60質量%/5質量%/0.01質量%
実施例3−4:炭酸エチレン(EC)/炭酸プロピレン(PC)/炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)/4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)=29質量%/5質量%/60質量%/5質量%/1質量%
実施例3−5:炭酸エチレン(EC)/炭酸プロピレン(PC)/炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)/4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)=25質量%/5質量%/60質量%/5質量%/5質量%
実施例3−6:炭酸エチレン(EC)/炭酸プロピレン(PC)/炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)/4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)=20質量%/5質量%/60質量%/5質量%/10質量%
実施例3−7:炭酸エチレン(EC)/炭酸プロピレン(PC)/炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)/4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)=10質量%/5質量%/60質量%/5質量%/20質量%
実施例3−8:炭酸プロピレン(PC)/炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)/4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)=5質量%/60質量%/5質量%/30質量%
実施例3−9:炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)/4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)=60質量%/5質量%/35質量%
実施例3−10:炭酸エチレン(EC)/炭酸プロピレン(PC)/炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)/1,3−ジオキソール−2−オン(VC)=29質量%/5質量%/60質量%/5質量%/1質量%
実施例3−11:炭酸エチレン(EC)/炭酸プロピレン(PC)/炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)/4−エテニル−1,3−ジオキソラン−2−オン(VEC)=29質量%/5質量%/60質量%/5質量%/1質量%
実施例3−12:炭酸エチレン(EC)/炭酸プロピレン(PC)/炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)/4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン(MEC)=29質量%/5質量%/60質量%/5質量%/1質量%
実施例3−13:炭酸エチレン(EC)/炭酸プロピレン(PC)/炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)/4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(DFEC)=29質量%/5質量%/60質量%/5質量%/1質量%
実施例3−14:炭酸エチレン(EC)/炭酸プロピレン(PC)/炭酸ジメチル(DMC)/炭酸エチルメチル(EMC)/4−シアノ−1,3−ジオキソラン−2−オン(CNEC)=29質量%/5質量%/60質量%/5質量%/1質量%
<比較例3−1〜比較例3−14>
電解液に特定構造の芳香族化合物(式(10)の芳香族化合物)を添加しなかったこと以外は、実施例3−1〜実施例3−14のそれぞれと同様にして二次電池を作製した。
(サイクル特性の評価)
作製した二次電池について、上記同様、サイクル特性を調べた。
実施例3−1〜実施例3−14および比較例3−1〜比較例3−14についての評価結果を表3に示す。
Figure 2014056697
表3に示すように、電解液の組成を変更しても、表1と同様の結果が得られた。すなわち、電解液が特定構造の芳香族化合物を含んでいる場合には、特定構造の芳香族化合物を含んでいない場合と比較して、容量維持率が高くなった。特に、分子内に電子求引性の官能基および/または不飽和結合を有する環状炭酸エステル(FEC、VC、VEC、MEC、DFECまたはCNEC)を用いると、容量維持率がより高くなった。
<実施例4−1〜実施例4−4>
セパレータ23の構成を以下のように変更した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、二次電池を作製した。
実施例4−1では、セパレータ23として、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの積層型セパレータ(厚み18μm)を用いた。すなわち、実施例4−1では、セパレータ23として、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムおよびポリプロピレンフィルムを貼り合わせて、多層構造(ポリプロピレンフィルム/ポリエチレンフィルム/ポリプロピレンフィルム)を有する積層型セパレータを作製した。この積層型セパレータをセパレータ23として用いた。
実施例4−2では、セパレータ23として、ポリフッ化ビニリデン/ポリエチレン/ポリフッ化ビニリデンの3層積層セパレータ(厚み18μm)を用いた。すなわち、実施例4−2では、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリエチレンフィルムおよびポリフッ化ビニリデンフィルムを貼り合わせて、多層構造(ポリプロピレンフィルム/ポリエチレンフィルム/ポリプロピレンフィルム)を有する積層型セパレータとした。
実施例4−3では、セパレータ23として、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンの混合型セパレータ(厚み18μm)を用いた。すなわち、実施例4−3では、各階層において各成分がリッチとなるように組成分布を制御したセパレータを用いた。具体的には、正極側にポリプロピレン成分がリッチとなり、中央部にポリエチレン成分がリッチとなり、負極側にポリプロピレン成分がリッチとなるように組成分布を制御したセパレータを用いた。
実施例4−4では、セパレータ23として、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンおよびポリフッ化ビニリデンの混合型セパレータ(厚み18μm)を用いた。すなわち、実施例4−4では、各階層において各成分がリッチとなるように組成分布を制御したセパレータを用いた。具体的には、正極側にポリフッ化ビニリデン成分がリッチとなり、中央部にポリエチレン成分がリッチとなり、負極側にポリフッ化ビニリデン成分がリッチとなるように組成分布を制御したセパレータを用いた。
<比較例4−1〜比較例4−4>
電解液に特定構造の芳香族化合物(式(10)の芳香族化合物)を添加しなかったこと以外は、実施例4−1〜実施例4−4のそれぞれと同様にして二次電池を作製した。
(サイクル特性の評価)
作製した二次電池について、上記同様、サイクル特性を調べた。
実施例4−1〜実施例4−4および比較例4−1〜比較例4−4についての評価結果を表4に示す。
Figure 2014056697
表4に示すように、セパレータ23の構成を変更しても、表1と同様の結果が得られた。すなわち、電解液が特定構造の芳香族化合物を含んでいる場合には、特定構造の芳香族化合物を含んでいない場合と比較して、容量維持率が高くなった。また、実施例1−1(表1参照)と実施例4−1〜実施例4−4との比較によれば、特に、セパレータ23の構成を積層型および混合型にすると、容量維持率がより高くなることが確認できた。
<実施例5−1〜実施例5−7>
正極活物質および負極活物質の量を調整して、一対の正極および負極当たりの完全充電時における開回路電圧を以下のように変更した。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。
実施例5−1:4.25V
実施例5−2:4.30V
実施例5−3:4.35V
実施例5−4:4.40V
実施例5−5:4.45V
実施例5−6:4.50V
実施例5−7:4.55V
<比較例5−1〜比較例5−7>
正極活物質および負極活物質の量を調整して、一対の正極および負極当たりの完全充電時における開回路電圧を以下のように変更した。以上のこと以外は、比較例1−1と同様にして二次電池を作製した。
比較例5−1:4.25V
比較例5−2:4.30V
比較例5−3:4.35V
比較例5−4:4.40V
比較例5−5:4.45V
比較例5−6:4.50V
比較例5−7:4.55V
(サイクル特性の評価)
作製した二次電池について、上記同様、サイクル特性を調べた。なお、測定の際の充放電において、各実施例および各比較例の充電終止電圧は以下の通りである。
実施例5−1、比較例5−1:4.25V
実施例5−2、比較例5−2:4.30V
実施例5−3、比較例5−3:4.35V
実施例5−4、比較例5−4:4.40V
実施例5−5、比較例5−5:4.45V
実施例5−6、比較例5−6:4.50V
実施例5−7、比較例5−7:4.55V
実施例5−1〜実施例5−7および比較例5−1〜比較例5−7についての評価結果を表5に示す。
Figure 2014056697
表5に示すように、充電終止電圧を変更しても、表1と同様の結果が得られた。すなわち、電解液が特定構造の芳香族化合物を含んでいる場合には、特定構造の芳香族化合物を含んでいない場合と比較して、容量維持率が高くなった。また、特に、電解液が特定構造の芳香族化合物を含んでいると、充電終止電圧を高くしても高い容量維持率が得られた。
<実施例6−1〜実施例6−3>
<実施例6−1>
負極活物質の種類および負極活物質層22Bの形成方法を変更したことを除き、実施例1−1と同様の手順により二次電池を作製した。
(負極の作製)
(蒸着Si負極(蒸着法により作製したSi負極))
負極活物質としてSiを用いる場合には、電子ビーム蒸着法を用いて負極集電体22A(電解銅箔:厚さ=15μm)の両面にケイ素を堆積させて負極活物質層22Bを形成した。この場合には、堆積工程を10回繰り返して、負極活物質層22Bの片面側厚さを6μmとした。
<実施例6−2>
負極活物質の種類および負極活物質層22Bの形成方法を変更したことを除き、実施例1−1と同様の手順により二次電池を作製した。
(負極の作製)
(塗布Si負極(塗布法により作製したSi負極))
また、塗布法を用いて負極活物質層22Bを形成した。この場合には、負極活物質(メジアン径=1μmのSi)90質量部と、負極結着剤(PVDF)10質量部とを混合して負極合剤としたことを除き、黒鉛を用いた場合と同様の手順を経た。
<実施例6−3>
負極活物質の種類および負極活物質層22Bの形成方法を変更したことを除き、実施例1−1と同様の手順により二次電池を作製した。
(負極の作製)
(SnCoC含有材料負極)
負極活物質としてSnCoC含有材料(SnCoC)を用いる場合には、塗布法を用いて負極活物質層22Bを形成した。この場合には、Co粉末とSn粉末とを合金化してCoSn合金粉末としたのち、C粉末を加えて乾式混合した。続いて、伊藤製作所製の遊星ボールミルの反応容器中に混合物10gを直径9mmの鋼玉約400gと一緒にセットした。続いて、反応容器中をアルゴン雰囲気に置換したのち、毎分250回転の回転速度による10分間の運転と10分間の休止とを運転時間の合計が20時間になるまで繰り返した。続いて、反応容器を室温まで冷却して反応物(SnCoC)を取り出したのち、280メッシュのふるいを通して粗粉を取り除いた。
得られたSnCoCの組成を分析したところ、Snの含有量は49.5質量%、Coの含有量は29.7質量%、Cの含有量は19.8質量%、SnおよびCoの割合(Co/(Sn+Co))は37.5質量%であった。この際、SnおよびCoの含有量については誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分析で測定し、Cの含有量については炭素・硫黄分析装置で測定した。また、X線回折法によりSnCoC含有材料を分析したところ、2θ=20°〜50°の範囲に半値幅を有する回折ピークが観察された。さらに、XPSによりSnCoCを分析したところ、図22に示したように、ピークP1が得られた。このピークP1を解析すると、表面汚染炭素のピークP2と、それよりも低エネルギー側(284.5eVよりも低い領域)にSnCoC中におけるC1sのピークP3とが得られた。この結果から、SnCoC中のCは他の元素と結合していることが確認された。
SnCoCを得たのち、負極活物質(SnCoC)80質量部と、負極結着剤(PVDF)8質量部と、負極導電剤(黒鉛およびアセチレンブラック)12質量部(黒鉛=11質量部およびアセチレンブラック=1質量部)とを混合して、負極合剤とした。続いて、NMPに負極合剤を分散させて、ペースト状の負極合剤スラリーとした。最後に、コーティング装置で負極集電体22A(電解銅箔:厚さ=15μm)の両面に負極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて負極活物質層22Bを形成したのち、ロールプレス機で負極活物質層22Bを圧縮成型した。
<比較例6−1〜比較例6−3>
電解液に特定構造の芳香族化合物を添加しなかったことを除き、あとはすべて実施例6−1〜実施例6−3のそれぞれと同様にして二次電池を作製した。
(サイクル特性の評価)
作製した二次電池について、上記同様、サイクル特性を調べた。この時、いずれの電池も完全放電時の負極の放電電位は0.8V〜0.9V(vs.Li/Li+)であった。
実施例6−1〜実施例6−3および比較例6−1〜比較例6−3、実施例1−1についての評価結果を表6に示す。
Figure 2014056697
表6に示すように、負極活物質として金属系材料(SiおよびSnCoC)を用いても、炭素材料を用いた場合(表1)と同様の結果が得られた。すなわち、電解液が特定構造の芳香族化合物を含んでいる場合には、特定構造の芳香族化合物を含んでいない場合と比較して、容量維持率が著しく高くなった。また、特に、金属系材料を用いると、炭素材料(黒鉛)を用いた場合と比較して、容量維持率の増加率が大きくなった。
<実施例7−1>
電解質、電池の組み立て方法を以下記載のように変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。
(ゲル状電解質層(絶縁層)の形成)
作製された正極および負極上に、絶縁層として、絶縁材料のセラミックスとしてアルミナ粒子を含むゲル状電解質層を形成した。ゲル状電解質層を形成するには、まず、ヘキサフルオロプロピレンが6.9%の割合で共重合されたポリフッ化ビニリデンと、平均粒径0.3μmのアルミナ粒子粉末と、非水電解液と、ジメチルカーボネートとを混合し、攪拌、溶解させ、ゾル状の電解質溶液を得た。
非水電解液は、以下のように調製した。すなわち、まず、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とを質量比(EC:PC)1:1で混合した混合溶媒を調製した。次に、この混合溶媒に対して、特定構造の芳香族化合物を混合したのち、LiPF6を1.05mol/Lを溶解させ、さらに添加剤として、VC(炭酸ビニレン)を電解液全体に対して1体積%になるように添加した。なお、特定構造の芳香族化合物(式10の芳香族化合物)の含有量は、電解液の全体量に対して、1質量%とした。
次に、得られたゾル状の電解質溶液を正極及び負極の両面に均一に塗布した。その後、乾燥させて溶剤を除去した。このようにして、正極及び負極の両面にゲル状電解質層を形成した。
(電池の組み立て)
次に、上述のようにして作製された、両面にゲル状電解質層が形成された帯状の正極と、両面にゲル状電解質層が形成された帯状の負極とを積層して積層体とし、さらにこの積層体をその長手方向に巻回することにより電極巻回体を得た。最後に、この巻回体を、アルミニウム箔が一対の樹脂フィルムで挟まれてなる外装フィルムで挟み、外装フィルムの外周縁部を減圧下で熱融着することによって封口し、巻回体を外装フィルム中に密閉した。なお、このとき、正極端子と負極端子に樹脂片をあてがった部分を外装フィルムの封口部に挟み込んだ。このようにしてゲル状電解質電池(二次電池)を完成した。
(比較例7−1)
電解液に特定構造の芳香族化合物を添加しなかったこと以外は、実施例7−1と同様にして二次電池を作製した。
(サイクル特性の評価)
作製した二次電池について、上記同様、サイクル特性を調べた。
実施例7−1および比較例7−1についての評価結果を表7に示す。
Figure 2014056697
表7に示すように、電解質をゲル電解質に変更した場合でも、電解液を用いた場合(表1)と同様の結果が得られた。すなわち、電解液が特定構造の芳香族化合物を含んでいる場合には、特定構造の芳香族化合物を含んでいない場合と比較して、容量維持率が高くなった。
8.他の実施の形態
以上、実施の形態および実施例を挙げて本技術を説明したが、本技術は、上述した実施の形態および実施例で説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本技術の正極活物質は、負極の容量がリチウムイオンの吸蔵放出による容量とリチウム金属の析出溶解に伴う容量とを含み、それらの容量の和により表されるリチウムイオン二次電池についても、同様に適用可能である。この場合には、負極材料の充電可能な容量が正極の放電容量よりも小さくなるように設定される。
また、上記実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる電池について説明したが、ナトリウム(Na)若しくはカリウム(K)などの他のアルカリ金属、またはマグネシウム若しくはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属を用いる場合についても、本発明を適用することができる。
また、実施の形態および実施例では、電池構造が円筒型、ラミネートフィルム型である場合、電池素子が巻回構造、積層構造を有する場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。本技術のリチウムイオン二次電池は、コイン型、角型またはボタン型などの他の電池構造を有する場合についても、同様に適用可能である。
また、例えば、上述の実施の形態において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、製造プロセス等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、製造プロセス等を用いてもよい。
また、上述の実施の形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
本技術は、以下の構成をとることもできる。
[1]
正極と、
負極と、
電解液を含む電解質と
を備え、
完全放電時における負極のリチウム金属基準の電位が0.4V以上であり、
上記電解液は、一般式(1)で表される芳香族化合物のうちの少なくとも1種を含む二次電池。
Figure 2014056697
(式中、Xはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)のうち、少なくとも1種を表し、すべて同一であってもなくてもよい。RNは電子求引性の官能基を表し、シアノ基(CN)およびニトロ基(NO2)のいずれかである。添え字m、nはそれぞれの置換基の数を表し、1≦m≦5、1≦n≦5、2≦m+n≦6を満たす整数を表す。)
[2]
上記一般式(1)で表される芳香族化合物の少なくとも1種は、上記一般式(1)において、上記RNがニトロ基(NO2)である芳香族化合物の少なくとも1種である[1]に記載の二次電池。
[3]
上記一般式(1)で表される芳香族化合物の少なくとも1種は、上記一般式(1)において、上記添え字m、nが、2≦m≦5、1≦n≦4、3≦m+n≦6を満たす芳香族化合物の少なくとも1種である[1]〜[2]の何れかに記載の二次電池。
[4]
上記一般式(1)で表される芳香族化合物の少なくとも1種は、上記一般式(1)において、上記Xがフッ素である芳香族化合物の少なくとも1種である[1]〜[3]の何れかに記載の二次電池。
[5]
上記一般式(1)で表される芳香族化合物の少なくとも1種は、上記一般式(1)において、上記nがn=1である芳香族化合物の少なくとも1種である[1]〜[4]の何れかに記載の二次電池。
[6]
上記一般式(1)で表される芳香族化合物の含有量は、上記電解液に対して、0.001質量%以上10質量%以下である[1]〜[5]の何れかに記載の二次電池。
[7]
上記電解質は、非水溶媒を含有し、
上記非水溶媒は、環状炭酸エステルを含み、
上記環状炭酸エステルは、1,3−ジオキソール−2−オン、4−エテニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−シアノ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4,5−ジフルオロ−1、3−ジオキソラン−2−オンのうちの少なくとも1種である[1]〜[6]の何れかに記載の二次電池。
[8]
上記環状炭酸エステルの含有量は、上記非水溶媒に対して、0.01質量%以上30質量%以下である[7]に記載の二次電池。
[9]
一対の上記正極および上記負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上6.00V以下である[1]〜[8]の何れかに記載の二次電池。
[10]
[1]に記載の二次電池と、
上記二次電池について制御する制御部と、
上記二次電池を内包する外装と
を有する電池パック。
[11]
[1]に記載の二次電池を有し、
上記二次電池から電力の供給を受ける電子機器。
[12]
[1]に記載の二次電池を有し、
上記二次電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
上記二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
を有する電動車両。
[13]
[1]に記載の二次電池を有し、
上記二次電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
[14]
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
上記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、上記二次電池の充放電制御を行う[13]に記載の蓄電装置。
[15]
[1]に記載の二次電池から電力の供給を受け、または、発電装置若しくは電力網から上記二次電池に電力が供給される電力システム。
11・・・電池缶、12、13・・・絶縁板、14・・・電池蓋、15A・・・ディスク板、15・・・安全弁機構、16・・・熱感抵抗素子、17・・・ガスケット、20・・・巻回電極体、21・・・正極、21A・・・正極集電体、21B・・・正極活物質層、22・・・負極、22A・・・負極集電体、22B・・・負極活物質層、23・・・セパレータ、24・・・センターピン、25・・・正極リード、26・・・負極リード、30・・・巻回電極体、31・・・正極リード、32・・・負極リード、33・・・正極、33A・・・正極集電体、33B・・・正極活物質層、34・・・負極、34A・・・負極集電体、34B・・・負極活物質層、35・・・セパレータ、36・・・電解質層、37・・・保護テープ、40・・・外装部材、41・・・密着フィルム、42c・・・内側樹脂層、51・・・二次電池、52・・・ラミネートフィルム、52a・・・金属層、52b・・・外側樹脂層、52c・・・内側樹脂層、53・・・正極リード、54・・・負極リード、55・・・シーラント、56・・・固定部材、57・・・積層電極体収納部、60・・・積層電極体、61・・・正極、61A・・・正極集電体、61B・・・正極活物質層、61C・・・正極タブ、62・・・負極、62C・・・負極タブ、62A・・・負極集電体、62B・・・負極活物質層、63・・・セパレータ、66・・・電解質、100・・・バッテリユニット、200・・・バッテリモジュール、301・・・組電池、301a・・・二次電池、302・・・充電制御スイッチ、302a・・・充電制御スイッチ、302b・・・ダイオード、303a・・・放電制御スイッチ、303b・・・ダイオード、304・・・スイッチ部、307・・・電流検出抵抗、308・・・温度検出素子、310・・・制御部、311・・・電圧検出部、313・・・電流測定部、314・・・スイッチ制御部、317・・・メモリ、318・・・温度検出部、321・・・正極端子、322・・・負極端子、400・・・蓄電システム、401・・・住宅、402・・・集中型電力系統、402a・・・火力発電、402b・・・原子力発電、402c・・・水力発電、403・・・蓄電装置、404・・・発電装置、405・・・電力消費装置、405a・・・冷蔵庫、405b・・・空調装置、405c・・・テレビジョン受信機、405d・・・風呂、406・・・電動車両、406a・・・電気自動車、406b・・・ハイブリッドカー、406c・・・電気バイク、407・・・スマートメータ、408・・・パワーハブ、409・・・電力網、410・・・制御装置、411・・・センサ、412・・・情報網、413・・・サーバ、500・・・ハイブリッド車両、501・・・エンジン、502・・・発電機、503・・・電力駆動力変換装置、504a・・・駆動輪、504b・・・駆動輪、505a・・・車輪、505b・・・車輪、508・・・バッテリー、509・・・車両制御装置、510・・・各種センサ、511・・・充電口

Claims (15)

  1. 正極と、
    負極と、
    電解液を含む電解質と
    を備え、
    完全放電時における負極のリチウム金属基準の電位が0.4V以上であり、
    上記電解液は、一般式(1)で表される芳香族化合物のうちの少なくとも1種を含む二次電池。
    Figure 2014056697
    (式中、Xはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)のうち、少なくとも1種を表し、すべて同一であってもなくてもよい。RNは電子求引性の官能基を表し、シアノ基(CN)およびニトロ基(NO2)のいずれかである。添え字m、nはそれぞれの置換基の数を表し、1≦m≦5、1≦n≦5、2≦m+n≦6を満たす整数を表す。)
  2. 上記一般式(1)で表される芳香族化合物の少なくとも1種は、上記一般式(1)において、上記RNがニトロ基(NO2)である芳香族化合物の少なくとも1種である請求項1に記載の二次電池。
  3. 上記一般式(1)で表される芳香族化合物の少なくとも1種は、上記一般式(1)において、上記添え字m、nが、2≦m≦5、1≦n≦4、3≦m+n≦6を満たす芳香族化合物の少なくとも1種である請求項1に記載の二次電池。
  4. 上記一般式(1)で表される芳香族化合物の少なくとも1種は、上記一般式(1)において、上記Xがフッ素である芳香族化合物の少なくとも1種である請求項1に記載の二次電池。
  5. 上記一般式(1)で表される芳香族化合物の少なくとも1種は、上記一般式(1)において、上記nがn=1である芳香族化合物の少なくとも1種である請求項1に記載の二次電池。
  6. 上記一般式(1)で表される芳香族化合物の含有量は、上記電解液に対して、0.001質量%以上10質量%以下である請求項1に記載の二次電池。
  7. 上記電解質は、非水溶媒を含有し、
    上記非水溶媒は、環状炭酸エステルを含み、
    上記環状炭酸エステルは、1,3−ジオキソール−2−オン、4−エテニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−シアノ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4,5−ジフルオロ−1、3−ジオキソラン−2−オンのうちの少なくとも1種である請求項1に記載の二次電池。
  8. 上記環状炭酸エステルの含有量は、上記非水溶媒に対して、0.01質量%以上30質量%以下である請求項7に記載の二次電池。
  9. 一対の上記正極および上記負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上6.00V以下である請求項1に記載の二次電池。
  10. 請求項1に記載の二次電池と、
    上記二次電池について制御する制御部と、
    上記二次電池を内包する外装と
    を有する電池パック。
  11. 請求項1に記載の二次電池を有し、
    上記二次電池から電力の供給を受ける電子機器。
  12. 請求項1に記載の二次電池を有し、
    上記二次電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
    上記二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
    を有する電動車両。
  13. 請求項1に記載の二次電池を有し、
    上記二次電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
  14. 他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
    上記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、上記二次電池の充放電制御を行う請求項13に記載の蓄電装置。
  15. 請求項1に記載の二次電池から電力の供給を受け、または、発電装置若しくは電力網から上記二次電池に電力が供給される電力システム。
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