JP2015212570A - ドラムブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 制動時におけるオーバーアジャストの発生する可能性を低減する。【解決手段】 ドラムブレーキ装置は、アジャスト阻止レバー81と移動部材82とを有するアジャスト阻止機構80を備えている。移動部材82は、シューリム32とライニング33に開口された窓W内を、周方向に離れた第1位置と第2位置との間を移動可能に設けられている。移動部材82は、ドラム10と接触した場合に、ドラム10から付与されるトルクによって第2位置に位置決めされる。移動部材80が第2位置にいる場合、アジャスト阻止レバー81がアジャストレバー74の揺動範囲に進入し、アジャスト動作を阻止する。【選択図】 図1
Description
本発明は、車両に搭載されるドラムブレーキ装置に関する。
従来から、ドラムブレーキ装置には、非制動時におけるドラムとブレーキシューとの隙間(シュークリアランスと呼ぶ)がブレーキシューの摩耗によって増大しないようにブレーキシューの位置を自動調整する自動アジャスタが設けられている。一般に、自動アジャスタは、一対のブレーキシューの最小間隔を規制するストラットを備えており、常用ブレーキ操作時にブレーキシューが大きく拡開した場合、つまり、シュークリアランスが大きくなった場合に、アジャストボルトを回転させてストラットを伸長させる。これにより、一対のブレーキシューの最小間隔が拡げられてシュークリアランスが自動調整される。
自動アジャスタは、ブレーキシューの摩耗によりブレーキシューの可動域が増大した場合に作動することを想定して設けられている。しかし、例えば、強いブレーキペダル操作力によってブレーキシューのライニング(摩擦材)が一時的に変形した場合には、自動アジャスタが、ブレーキシューの摩耗時と同様に作動して、ブレーキシューの間隔を必要以上に拡げてしまうことがある。その場合には、非制動時に確保すべきシュークリアランスが適正値未満となる現象、いわゆる、オーバーアジャストが発生する。そのために、従来から、ライニングの変形量を見込んで自動アジャスタの調整量が設定されるが、変形量を見込んだ分だけシュークリアランスが大きくなるため、ブレーキペダルの無効ストロークが大きくなり、ブレーキ操作フィーリングが良好とならない。
こうしたオーバーアジャストの発生を防止しようとする技術として、特許文献1には、ホイールシリンダからブレーキシューに伝達される操作力に応じて回動力が変化するアジャスタ規制レバーを備え、ホイールシリンダの操作力が設定値になるとアジャスタ規制レバーの回動力によって自動アジャスタの作動を阻止するドラムブレーキ装置が提案されている。
しかしながら、特許文献1に提案されたドラムブレーキ装置では、ホイールシリンダの操作力が設定値になるまでの期間においては、自動アジャスタの作動を許可する構造であるため、設定値によってはオーバーアジャストが発生する可能性がある。例えば、車輪の制動時においては、ホイールシリンダからブレーキシューに伝達される操作力が小さくても、ドラムからブレーキシューのライニング(摩擦材)に車輪のトルクが働くため、ライニングがトルクの方向に変形する(せん断変形と呼ぶ)。
図6は、ブレーキリムRに固着されたライニングLのせん断変形状態を直線状に展開して表した図である。この例では、ライニングLの厚さは、制動時においては、非制動時に比べてΔTだけ少なくなっている。このライニングの変形によって、自動アジャスタがブレーキシューの摩耗時と同様に作動してブレーキシューの間隔を拡げてしまう。ライニングの変形は、ブレーキ操作時における一時的なものである。従って、ブレーキ操作が解除されればライニングが元の形状に復帰するため、オーバーアジャストが発生する可能性がある。
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、制動時におけるオーバーアジャストの発生する可能性を低減することにある。
上記目的を達成するために、本発明のドラムブレーキ装置の特徴は、
車輪と一体的に回転するドラム(10)と、
車体側部材に対して回転不能に固定されたバックプレート(20)に組み付けられる一対のブレーキシュー(30a,30b)と、
前記一対のブレーキシューの先端部を押圧して、前記一対のブレーキシューを非制動時における待機位置から拡開させて前記ドラムの内周面に押し付けるアクチュエータ(50)と、
前記一対のブレーキシューの拡開量の変化とともに作動するアジャストレバー(74)を有し、前記アジャストレバーが作動することによって前記一対のブレーキシュー間の最小間隔を大きくするように調整する自動アジャスト機構(70)と
を備えたドラムブレーキ装置において、
前記一対のブレーキシューのうちの一方のブレーキシューの外周面に周方向に離れた第1位置と第2位置との間を移動可能に設けられ、回転している前記ドラムの内周面に前記一方のブレーキシューが接触しているときに、前記ドラムの内周面と接触することにより前記ドラムの回転方向のトルクが付与されて、前記第2位置に位置決めされる移動部材(82)と、
前記移動部材と前記アジャストレバーとを機械的に関連させて、前記移動部材が前記第1位置にいるときに前記アジャストレバーの作動を許容し、前記移動部材が前記第2位置にいるときに前記アジャストレバーの作動を阻止する作動阻止部材(81)とを備えたことにある。
車輪と一体的に回転するドラム(10)と、
車体側部材に対して回転不能に固定されたバックプレート(20)に組み付けられる一対のブレーキシュー(30a,30b)と、
前記一対のブレーキシューの先端部を押圧して、前記一対のブレーキシューを非制動時における待機位置から拡開させて前記ドラムの内周面に押し付けるアクチュエータ(50)と、
前記一対のブレーキシューの拡開量の変化とともに作動するアジャストレバー(74)を有し、前記アジャストレバーが作動することによって前記一対のブレーキシュー間の最小間隔を大きくするように調整する自動アジャスト機構(70)と
を備えたドラムブレーキ装置において、
前記一対のブレーキシューのうちの一方のブレーキシューの外周面に周方向に離れた第1位置と第2位置との間を移動可能に設けられ、回転している前記ドラムの内周面に前記一方のブレーキシューが接触しているときに、前記ドラムの内周面と接触することにより前記ドラムの回転方向のトルクが付与されて、前記第2位置に位置決めされる移動部材(82)と、
前記移動部材と前記アジャストレバーとを機械的に関連させて、前記移動部材が前記第1位置にいるときに前記アジャストレバーの作動を許容し、前記移動部材が前記第2位置にいるときに前記アジャストレバーの作動を阻止する作動阻止部材(81)とを備えたことにある。
本発明のドラムブレーキ装置は、ブレーキ操作時にアクチュエータが作動して、一対のブレーキシューを待機位置から拡開させてドラムの内周面に押し付けて制動力を発生させる。ドラムブレーキ装置は、自動アジャスト機構を備えている。自動アジャスト機構は、一対のブレーキシューの拡開量の変化とともに作動するアジャストレバーを有し、アジャストレバーが作動することによって一対のブレーキシュー間の最小間隔(待機位置におけるブレーキシュー間の間隔)を大きくするように調整する。これにより、ブレーキシューのライニングの摩耗に応じてシュークリアランスを自動調整することができる。
車輪が回転しているときのブレーキ操作時においては、ブレーキシューのライニングが一時的にせん断変形することがある。そうしたライニングの一時的な変形に対して自動アジャスト機構が一対のブレーキシュー間の最小間隔を調整してしまうとオーバーアジャストが発生する可能性がある。そこで、本発明においては、車輪が回転しているときのブレーキ操作時(制動時)におけるオーバーアジャストの発生を低減するために、移動部材と作動阻止部材とを備えている。
移動部材は、一対のブレーキシューのうちの一方のブレーキシューの外周面に周方向に離れた第1位置と第2位置との間を移動可能に設けられ、回転しているドラムの内周面に一方のブレーキシューが接触しているときに、ドラムの内周面と接触することによりドラムの回転方向のトルクが付与されて、第2位置に位置決めされる。従って、移動部材は、ブレーキシューとドラムとの接触によって車輪に制動トルクが付与されているときには、第2位置に移動していることになる。
作動阻止部材は、移動部材とアジャストレバーとを機械的に関連させて、移動部材が第1位置にいるときにアジャストレバーの作動を許容し、移動部材が第2位置にいるときにアジャストレバーの作動を阻止する。従って、車輪に制動トルクが付与されているときには移動部材が第2位置に位置決めされているため、作動阻止部材によって自動アジャスト機構の作動が阻止される。また、車輪に制動トルクが付与されていないときには、移動部材が第2位置に位置決めされないため、自動アジャスト機構の作動が許容される。
例えば、自動アジャスト機構が、一対のブレーキシュー間の最小間隔を規制するストラットと、一対のブレーキシューの拡開動作により揺動して一対のブレーキシューの拡開量が大きくなるにしたがってストラットを伸長させるアジャストレバーとを有する構成の場合には、作動阻止部材は、移動部材に接続され、移動部材の第1位置から第2位置への移動に伴ってアジャストレバーの揺動領域内に進入して、アジャストレバーの揺動を阻止する部材にて構成されるとよい。
この結果、本発明によれば、制動時におけるオーバーアジャストの発生する可能性を低減することができる。
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
以下、本発明の一実施形態に係る車両用のドラムブレーキ装置について説明する。図1は、本実施形態に係るドラムブレーキ装置の正面および右側面を概略的に示している。このドラムブレーキ装置は、ドラム10と、バックプレート20と、2個一対のブレーキシュー30a,30bと、ホイールシリンダ50と、アンカ60と、自動アジャスト機構70と、アジャスト阻止機構80とを備えている。本実施形態のドラムブレーキ装置の特徴は、アジャスト阻止機構80を設けた点に特徴があり、アジャスト阻止機構80以外の構成については、従来の一般的なドラムブレーキ装置と基本的に同様である。従って、本実施形態の説明にあたっては、特徴的な構成以外については簡単な説明に留める。
ドラム10は、車輪とともに回転する円筒体であって、その内周面に摩擦面が形成されている。バックプレート20は、略円板形状をなし車体側部材に回転不能に固定される。一対のブレーキシュー30a,30bは、円弧形状を有する部材で、互いに接近離間可能に略左右対象となるようにドラム10内に収容される。以下、2つのブレーキシュー30a,30bについては、その何れか一方を特定する必要がない場合には、両者を単にブレーキシュー30と呼ぶ。
各ブレーキシュー30は、バックプレート20の板面(一面側)と略平行に配置されるシューウェブ31と、シューウェブ31の外周側端面に固着されるシューリム32と、シューリム32の外周面に固着されてブレーキ操作時にドラム10の内周面に摩擦係合するライニング33とを一体的に備えて構成されている。各ブレーキシュー30は、各シューウェブ31に配置されたシューホールドダウン装置21によってバックプレート20側へ押圧されることにより、バックプレート20に対して面方向に相対移動可能に保持されている。尚、図面において、シューウェブ31とライニング33とを適宜グレーにて着色表示しているが、これは、他部品と区別しやすくするためのものであって、それ以外の意味は無い。
各シューウェブ31の上端部(先端部)は、バックプレート20に固定されたアクチュエータとしてのホイールシリンダ50の両端部に当接している。ホイールシリンダ50は、ブレーキ液の圧力によって作動するピストン51を両端部に備え、そのピストン51で左右のシューウェブ31の一端部を左右に押圧することにより、左右のシューウェブ31を離間(拡開)させる。一対のブレーキシュー30の間には、比較的上方位置に図示しないリターンスプリングが架け渡されている。このリターンスプリングは、その両端が左右のシューウェブ31の外周側端に係合されて左右方向に配設され、ブレーキシュー30を常に互いに接近する方向に付勢する。
各シューウェブ31の下端部は、バックプレート20に固定されたアンカ60にそれぞれ当接するように配置される。各シューウェブ31の下端部には、スプリング61が架け渡され、このスプリング61により各シューウェブ31の下端部がアンカ60に引きつけられてアンカ60に支持される。
ドラムブレーキ装置には、一対のブレーキシュー30の間の最小間隔を自動調整する自動アジャスト機構70が設けられる。自動アジャスト機構70は、ストラット71を備えている。ストラット71は、一対のシューウェブ31の間に架け渡されるように設けられており、両端にシューウェブ31の内周側端が当接するシュー溝72が形成されている。尚、図1では、左側のシューウェブ31のシュー溝72について示しているが、右側のシューウェブ31についても同様である。このシュー溝72にシューウェブ31の内周側端が係合して押し当てられることにより、一対のブレーキシュー30の間の最小間隔が規制される。
ストラット71は、アジャストボルト77が内蔵されており、このアジャストボルト77を回転させてストラット71の長さを伸長させるためのラチェット式の調整歯73が設けられている。自動アジャスト機構70は、アジャストレバー74を備えている。アジャストレバー74は、ブレーキペダル操作時における一対のブレーキシュー30の拡開量に応じて作動してストラット71を伸長させるための部材であって、基端側が支持軸75によってシューウェブ31に揺動可能に軸支され、先端側が調整歯73に噛合するようになっている。この支持軸75は、一対のブレーキシュー30のうちの一方のブレーキシュー30bのシューウェブ31の板面に対して直交する方向に立設して設けられ、アジャストレバー74をシューウェブ31よりも図面手前側で揺動可能に軸支する。アジャストレバー74には、リターンスプリング76が連結される。このリターンスプリング76は、引っ張りバネであって、シューウェブ31とアジャストレバー74との間に張設される。アジャストレバー74は、リターンスプリング76の付勢力によって、支持軸75を中心として図1の反時計回りに揺動する方向に付勢された状態で、ストラット71の右端部に当たって保持されている。
本実施形態のドラムブレーキ装置は、自動アジャスト機構70の作動を阻止するアジャスト阻止機構80を設けた点に特徴があるが、アジャスト阻止機構80について説明する前に、自動アジャスト機構70の作動(アジャスト阻止機構80が機能していないと仮定した場合)について説明する。車両走行中において、ドライバによってブレーキペダルの踏み込み操作が行われると、ホイールシリンダ50にブレーキ液圧が供給される。これにより、一対のブレーキシュー30は、ホイールシリンダ50に設けられたピストン51に押されて、待機位置から互いに離間する方向に移動(拡開)し、ライニング33をドラム10の摩擦摺動面(内周面)に対して圧着させる。こうして、車輪と一体的に回転するドラム10とライニング33との間に摩擦力が発生する。この摩擦力は、車輪の回転を制動する制動力として働く。
ライニング33の摩耗により一対のブレーキシュー30が大きく拡開したときには、アジャストレバー74は、図5に示すように、ストラット71に対して拡開方向(図面右方向)へ相対移動し、その移動に伴ってリターンスプリング76の付勢力によって支持軸75を中心として反時計回りに揺動する。アジャストレバー74がストラット71に設けられた調整歯73の一歯を乗り越えた場合には、アジャストボルト77が回転してストラット71が伸長され、シュークリアランスが調整される。ブレーキ操作が解除されると、ホイールシリンダ50内のブレーキ液圧が低下して一対のブレーキシュー30が元の位置に戻るとともに、アジャストレバー74が元の位置に戻り、シュークリアランスの調整が完了する。一方、ライニング33が摩耗していなく、一対のブレーキシュー30の拡開が大きくない場合には、アジャストレバー74が支持軸75を中心に反時計回りに揺動するものの、揺動量が僅かであるためアジャストボルト77を回転させることはない。このため、ストラット71は伸長しない。このように、自動アジャスト機構70は、ライニング33の摩耗の増加によって一対のブレーキシュー30の拡開量が増加するにしたがってストラット71を伸長させて、非制動時におけるシュークリアランスを一定に維持する。
車輪が回転しているときのブレーキ操作時においては、ブレーキシュー30のライニング33が一時的にせん断変形することがある。このためライニング33の一時的なせん断変形に対して自動アジャスト機構70が一対のブレーキシュー30間の最小間隔を調整してしまうとオーバーアジャストが発生する可能性がある。そこで、本実施形態のドラムブレーキ装置は、ライニング33のせん断変形によるオーバーアジャストを発生させないように、少なくとも車輪が回転しているときの制動時において自動アジャスト機構70の作動を阻止するアジャスト阻止機構80を備えている。
以下、アジャスト阻止機構80について、図2〜図4を用いて説明する。アジャスト阻止機構80は、アジャスト阻止レバー81と移動部材82とを備えている。アジャスト阻止レバー81は、アジャストレバー74が軸支される支持軸75によって揺動可能に軸支される。アジャスト阻止レバー81、および、アジャストレバー74は、共通の支持軸75に揺動可能に軸支されるが、支持軸75に対して一体的に固定されるのではなく、支持軸75が貫通する貫通孔の内周面が支持軸75の外周面を滑るようにして支持軸75に対して揺動可能に支持される。従って、アジャスト阻止レバー81とアジャストレバー74とは、支持軸75を中心として一体的に揺動するのではなく、独立して揺動できるようになっている。
アジャスト阻止レバー81は、ドラム軸方向の位置関係において、アジャストレバー74よりもシューウェブ31から離れた側(図面手前側)で支持軸75に軸支されている。アジャスト阻止レバー81は、長方形の細長い金属板をL字状に曲折して形成したものであって、支持軸75に軸支される揺動中心部を含み揺動中心部からシューウェブ31と平行にドラム径方向外側に延設された連結部811と、図3,図4にハッチングを施して示すように、連結部811の基端側からL字状に曲折されて支持軸75と平行にシューウェブ31に向かって延設された阻止部812とから構成される。阻止部812の先端は、ドラム軸方向の位置関係において、アジャストレバー74の基端部よりもシューウェブ31側にまで延設されている。
連結部811の先端には、移動部材82が固定される。移動部材82は、連結部811の先端に直交するように接合される固定板821と、固定板821の上面(ドラム径方向外側となる面)に固着されるドラム摺動部822とを備えている。ドラム摺動部822は、例えば、ライニング33と同じ材料にて形成された四角形の板体である。
支持軸75が設けられている側のブレーキシュー30bのライニング33には、ドラム摺動部822が配置されるライニング窓331が開口されている。また、ブレーキシュー30bのシューリム32には、固定板821が配置されるリム窓321が開口されている。ドラム摺動部822は、その上面(ドラム径方向外側面)がライニング33の外周面と同一面上となるように配置される。ライニング窓331は、ドラム摺動部822がブレーキシュー30の周方向に所定距離だけ移動できる大きさに形成されている。リム窓321についても、ドラム摺動部822のライニング窓331内の移動を妨げない大きさに形成されている。以下、ライニング窓331とリム窓321とを窓Wと総称する。
移動部材82は、アジャスト阻止レバー81が支持軸75に揺動可能に軸支されていることから、窓W内を周方向に自由に移動できる。従って、窓W内における移動部材82の周方向位置とアジャスト阻止レバー81の揺動角度とは、一対一に対応した関係を有する。
車両が前進しているときの車輪の回転方向は、図1(a)の矢印Aに示すように時計回り方向である。移動部材82は、その上面(ドラム摺動部822の上面)がライニング33の外周面と同一面上となるように配置されているため、ブレーキシュー30が拡開されてライニング33がドラム10の内周面と接触するときには、その接触動作と一緒にドラム10の内周面に接触する。このため、車両が前進走行しているときには、移動部材82は、ドラム10から矢印A方向のトルクを受けて、図4に示すように、窓Wにおけるトルクの方向の終端位置に移動させられて保持される。この移動部材82の位置を第2位置と呼ぶ。
また、移動部材82は、ライニング33がドラム10の内周面から離れたときには、その動作と一緒にドラム10の内周面から離れる。移動部材82は、ドラム10の内周面から離れた状態においては、窓W内を自由に移動できる。ここで、移動部材82がライニング窓331内において周方向に移動できる範囲の終端位置であって、第2位置と反対側の位置を第1位置と呼ぶ。図1(b)に示した移動部材82の位置は、第1位置を表している。
移動部材82が第1位置にいるときには、図3に示すように、アジャスト阻止レバー81の阻止部812は、アジャストレバー74の基端部の揺動範囲の外に位置する。アジャストレバー74の基端部の揺動範囲とは、アジャストレバー74がストラット71に設けられた調整歯73の一歯を乗り越えてストラット71を伸長させるために必要となるアジャストレバーの揺動範囲を表す。従って、アジャストレバー74は、支持軸75を中心として、ストラット71を伸長させる方向(図面の反時計回りの方向)に揺動できる状態となる。
また、移動部材82が第1位置から第2位置に移動したときには、その移動に伴って、アジャスト阻止レバー81の阻止部812は、図4に示すように、アジャストレバー74の基端部の揺動範囲の中に進入する。このため、移動部材82が第2位置に保持されている場合には、アジャストレバー74の基端部のエッジが阻止部812のエッジに当たって、アジャストレバー74は、支持軸75を中心としてストラット71を伸長させる方向に揺動できないようになっている。この例では、アジャストレバー74がストラット71を伸長させる方向(アジャスト作動方向と呼ぶ)に揺動していないときのアジャストレバー74の揺動位置をアジャスト基準位置とすると、ドラム摺動部822が第2位置に保持されている場合には、アジャストレバー74は、阻止部812のエッジに押されてアジャスト基準位置にまで移動させられる。尚、アジャストレバー74を移動させる位置は、アジャスト基準位置に限るものではなく、アジャスト動作を不能にできる位置であればよい。
こうしたアジャスト阻止機構80を設けたことにより、シュークリアランスの調整は、移動部材82が第1位置にいるときにのみ可能となる。ブレーキペダル操作によってブレーキシューの拡開が開始された後、ブレーキシュー30の外周面(ライニング33)がドラム10の内周面に接触していない期間においては、移動部材82は、窓W内を自由に移動することができる。従って、一対のブレーキシュー30の拡開に伴ってアジャストレバー74がアジャスト作動方向に揺動した場合には、仮に、移動部材82が第2位置にいたとしても、アジャストレバー74の基端部でアジャスト阻止レバー81を図面の反時計回り方向に押し出すことができる。このとき、移動部材82は第1位置に移動させられる。このため、アジャストレバー74は、アジャスト阻止レバー81によって揺動が邪魔されることはない。従って、シュークリアランスの調整を行うことができる。
ブレーキシュー30の外周面(ライニング33)がドラム10の内周面に接触すると、ライニング33は、ドラム10からドラム10の回転方向のトルクが付与される。このとき、移動部材82もドラム10の内周面と接触してドラム10から同方向のトルクが付与される。このため、移動部材82は、ドラム10との接触の直前に第1位置にいた場合には第2位置に移動するとともに、トルクの付勢によって第2位置に堅く保持される。また、移動部材82は、ドラム10との接触の直前から第2位置にいた場合には、その位置がトルクの付勢によって堅く保持される。従って、移動部材82は、必ず(強制的に)、第2位置に位置決めされることになる。
この場合、図4に示すように、アジャスト阻止レバー81の阻止部812が、アジャストレバー74の基端部の揺動範囲の中に進入してアジャストレバー74の基端部のエッジに当接し、アジャストレバー74をアジャスト基準位置にまで移動させる。このアジャスト阻止レバー81がアジャストレバー74を移動させる力は、ドラム10から付与されたトルクによるものであるため、リターンスプリング76によるアジャストレバー74をアジャスト作動方向に付勢する力よりも大きい。従って、アジャストレバー74の揺動、つまり、アジャスト動作が確実に阻止されることになる。
ドラム10が回転していないとき、つまり、車両が停止しているときのブレーキペダル操作時の場合には、ブレーキシュー30の外周面(ライニング33)がドラム10の内周面に接触しても、ライニング33および移動部材82には、トルクが働かない。このため、移動部材82は、ドラム10の内周面に接触した瞬間の位置に保持される。従って、移動部材82が第1位置に保持されている場合には、アジャストレバー74の揺動が許容されてアジャスト動作が可能となる。一方、移動部材82が第2位置に保持されている場合には、アジャストレバー74の揺動が阻止されて、アジャスト動作が不能となる。
以上説明した本実施形態のドラムブレーキ装置によれば、ブレーキシュー30bの外周面に周方向に離れた第1位置と第2位置との間を移動可能に設けられる移動部材82を備え、回転しているドラム10の内周面にブレーキシュー30bが接触しているときに、移動部材82がドラム10の内周面と接触することにより第2位置に強制的に位置決めされる。これにより、アジャスト阻止レバー81の阻止部812がアジャストレバー74のアジャスト動作を阻止する。また、移動部材82がドラム10の内周面と接触していない場合には、移動部材82が第1位置と第2位置との間を自由に移動可能となっているため、アジャスト阻止レバー81の阻止部812がアジャストレバー74のアジャスト動作を阻止しない。このため、自動アジャスト機構70によるアジャスト動作が許容される。
従って、本実施形態によれば、ブレーキシュー30のライニング33がせん断変形する状況においては、アジャスト機構70によるアジャスト動作が行われないため、制動時におけるオーバーアジャストの発生する可能性を低減することができる。
以上、本実施形態のドラムブレーキ装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、ドラム10からブレーキシュー(ライニング)にトルクが働かない状態においては、移動部材82が常に第1位置にいるようにする構成、例えば、スプリングによってアジャスト阻止レバー81を図の反時計回り方向に付勢する構成を採用しても良い。この場合には、ブレーキシュー30がドラム10からトルクを付与されたとき、つまり、ライニング33がせん断変形する可能性のある状況となったときのみ、移動部材82が第1位置から第2位置に移動させられるようになる。
10…ドラム、20…バックプレート、30a,30b…ブレーキシュー、31…シューウェブ、32…シューリム、33…ライニング、50…ホイールシリンダ、51…ピストン、60…アンカ、70…自動アジャスト機構、71…ストラット、73…調整歯、74…アジャストレバー、75…支持軸、76…リターンスプリング、77…アジャストボルト、80…アジャスト阻止機構、81…アジャスト阻止レバー、811…連結部、812…阻止部、82…移動部材、821…固定板、822…ドラム摺動部、321…リム窓、331…ライニング窓、W…窓。
Claims (1)
- 車輪と一体的に回転するドラムと、
車体側部材に対して回転不能に固定されたバックプレートに組み付けられる一対のブレーキシューと、
前記一対のブレーキシューの先端部を押圧して、前記一対のブレーキシューを非制動時における待機位置から拡開させて前記ドラムの内周面に押し付けるアクチュエータと、
前記一対のブレーキシューの拡開量の変化とともに作動するアジャストレバーを有し、前記アジャストレバーが作動することによって前記一対のブレーキシュー間の最小間隔を大きくするように調整する自動アジャスト機構と
を備えたドラムブレーキ装置において、
前記一対のブレーキシューのうちの一方のブレーキシューの外周面に周方向に離れた第1位置と第2位置との間を移動可能に設けられ、回転している前記ドラムの内周面に前記一方のブレーキシューが接触しているときに、前記ドラムの内周面と接触することにより前記ドラムの回転方向のトルクが付与されて、前記第2位置に強制的に位置決めされる移動部材と、
前記移動部材と前記アジャストレバーとを機械的に関連させて、前記移動部材が前記第1位置にいるときに前記アジャストレバーの作動を許容し、前記移動部材が前記第2位置にいるときに前記アジャストレバーの作動を阻止する作動阻止部材と
を備えたドラムブレーキ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014095989A JP2015212570A (ja) | 2014-05-07 | 2014-05-07 | ドラムブレーキ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014095989A JP2015212570A (ja) | 2014-05-07 | 2014-05-07 | ドラムブレーキ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2015212570A true JP2015212570A (ja) | 2015-11-26 |
Family
ID=54696936
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2014095989A Pending JP2015212570A (ja) | 2014-05-07 | 2014-05-07 | ドラムブレーキ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015212570A (ja) |
-
2014
- 2014-05-07 JP JP2014095989A patent/JP2015212570A/ja active Pending
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