JP4813429B2 - ドラムブレーキ装置 - Google Patents
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Description
また、この問題を解消するため、車両への組み付け時におけるドラムとブレーキシューとの間の初期隙間を小さくすると、車両への組付け作業が困難になるという問題が生じた。
ところが、従来のワンショットアジャスタ方式の自動隙間調整装置の場合は、例えば、過大なブレーキ力によってドラムが変形し、そのドラムの変形によってブレーキシューの可動域が一時的に増大したような場合でも、その可動域を含めて一気にブレーキシューの位置調整が実施されてしまうため、非制動時に確保すべきドラムとブレーキシューとの間の隙間が適正隙間以下となるオーバーアジャストが発生し、ブレーキシューの引き摺りを招く虞があった。
そして、オーバーアジャスト防止手段として、ホイールシリンダを改良して、オーバーアジャスト防止用の側部ピストンを追加しておき、制動時にホイールシリンダから各ブレーキシューへの操作力が所定以上になるときには、側部ピストンが作動して、隙間調整動作を制限するように構成したものが提案されている(例えば、特許文献3)。
また、側部ピストンの動作で隙間調整動作を制限するために、側部ピストンの動作を隙間調整装置に伝達する部品や、側部ピストンの動作が終了した時に、隙間調整装置を元の状態に戻す部品が必要になり部品点数の増加が、コストアップを招くという問題もあった。
(1)ドラム内空間に配置された一対のブレーキシューの位置を摩耗に応じて自動調整する自動隙間調整装置を備えるドラムブレーキ装置であって、
前記自動隙間調整装置が、一端に一方のブレーキシューに当接するシュー当接溝が設けられると共に他端に第1の歯部が設けられたストラットと、
前記シュー当接溝が前記ブレーキシューに当接した状態を維持するように前記ストラットを付勢する第1の引張りばねと、
前記ストラットの他端に回転自在かつストラットの長手方向に移動可能に支持されると共に、前記第1の歯部に噛合する第2の歯部と他方のブレーキシューに形成された係合孔内に遊嵌する係合腕部とを備えて、前記他方のブレーキシューが所定以上に拡開方向に移動する時に前記係合孔の内端縁に前記係合腕部が押されることで前記ストラット上を回動可能なアジャスタギヤと、
前記第2の歯部が前記第1の歯部に噛合する方向に前記第1の引張りばねよりも弱い引張力を作用させる第2の引張りばねと、
制動時にホイールシリンダからの操作力が所定以上となるときに、前記アジャスタギヤの回動を規制するオーバーアジャスト防止手段と、を備え、
前記オーバーアジャスト防止手段は、前記ホイールシリンダのピストンと前記一方のブレーキシューの端部との間に介在する制御レバーであり、
前記制御レバーは、先端に前記ホイールシリンダからの操作力を受ける操作力受け部が設けられると共に、前記操作力受け部よりも内側となる中間部が前記一方のブレーキシューに回転自在に支持され、且つ、基端には、前記ストラットに係合して前記ホイールシリンダからの操作力が所定以上となるときの前記中間部を支点とした回動により前記ストラットを前記第1の引張りばねの付勢力に抗してアジャスタギヤ側に移動させて前記第1の歯部と前記第2の歯部との噛合状態を堅持するストラット操作部が設けられたことを特徴とするドラムブレーキ装置。
このような自動隙間調整装置の動作は、各ブレーキシューがドラムの内周面に接触するまでの移動動作に連動して一気に行われるため、従来のワンショットアジャスタ方式の自動隙間調整装置を搭載したドラムブレーキ装置の場合と同様に、車両への組み付け時におけるドラムとブレーキシューとの間の初期隙間を大きく設定していても、組み付け後に、ドラムとブレーキシューとの間の隙間を適正隙間に調整するのに、1回の制動操作を実行するだけで良い。従って、車両への組み付け時の初期隙間を大きく設定しておいて、車両への組付け性を向上させることができ、且つ、車両への組み付け後のドラムとブレーキシューとの間の隙間調整を簡単にすることができる。
図1は本発明に係るドラムブレーキ装置の第1の実施の形態の正面図、図2は図1に示したドラムブレーキ装置の斜視図、図3は図1に示した一対のブレーキシューと自動隙間調整装置とを部分組み立てした状態の斜視図、図4は図3に示した一方のブレーキシューと制御レバーとパーキングレバーの取付状態を示す拡大斜視図である。
なお、図示せぬドラムは、バッキングプレート9と同心で、車両の前進時には図1の矢印R方向に回転する。
各ブレーキシュー3,4のホイールシリンダ5側の端部は、シュートゥシュースプリング15によってそれぞれのシューの端部が互いに接近する方向(即ち、ドラムから離間する方向)に付勢されて、それぞれのシューの端部がホイールシリンダ5のピストンに当接した状態に維持されている。
また、各ブレーキシュー3,4のアンカー部材7側の端部は、アンカースプリング16によってそれぞれのシューの端部が互いに接近する方向(即ち、ドラムから離間する方向)に付勢されて、それぞれのシューの端部がアンカー部材7に当接した状態に維持されている。
ストラット41の一端に形成されるシュー当接溝41aは、溝の底部がストラット係合部4dとの当接面となるものであるが、図7に示すように、この溝の幅はブレーキシュー4のストラット係合部4dの板厚よりも幅寸法が大きく設定されていて、その溝の底部には、ウェブ4aとの当接部の他に、パーキングレバー11が当接するレバー当接部41cや、後述の制御レバーが当接する制御用当接部41dが確保されている。
このアジャスタギヤ45の係合腕部45bが遊嵌するブレーキシュー3の係合孔47は、ホイールシリンダ5の操作力でブレーキシュー3が拡開された場合に、当該ブレーキシュー3のライニング3bの摩耗が少なくてブレーキシュー3がドラム内周面に押圧されるまでの変位量が規定量以下のときには、係合孔47の内端縁47aが係合腕部45bに接触しないように、寸法が設定されている。
この係合孔47の内端縁47aによって係合腕部45bが押されると、アジャスタギヤ45が長穴413に沿って移動することで、図8(b)に示すように第2の引張りばね48の付勢力で第2の歯部45aが第1の歯部41bに噛合している状態から、図8(a)に示すようにこれらの歯部45a,41bの噛合が解除された状態になる。
このオーバーアジャスト防止手段51としての制御レバー(以下、単に制御レバー51と表記する)は、図6に示すように、先端にホイールシリンダ5からの操作力Wを受ける操作力受け部51aが設けられると共に、操作力受け部51aよりも内側(正確には、操作力Wの作用点P1よりも内側(ドラムの中心寄り))となる中間部51bがブレーキシュー4に回転自在に支持されている。また、中間部51bよりも更にドラムの中心寄りとなる制御レバー51の基端には、ストラット41に係合するストラット操作部51cが設けられている。このストラット操作部51cは、ホイールシリンダ5からの操作力Wが所定以上となるときの中間部51bを支点とした回動によりストラット41を第1の引張りばね43の付勢力に抗してアジャスタギヤ45側に移動させる。このストラット操作部51cによる押圧により、第1の歯部41bと第2の歯部45aとの噛合状態が堅持される。
制動時には、ホイールシリンダ5からの操作力Wに応じて、ストラット操作部51cは前述のLとSの比に反比例する力Fでブレーキシュー4のシュー当接溝41aを他方のブレーキシュー3側に押す。
従って、制動操作の開始直後の各ブレーキシュー3,4がドラム内周面に接触するまでの各ブレーキシューの拡開動作時にホイールシリンダ5が出力する操作力や、通常の制動範囲で各ブレーキシュー3,4をドラム内周面に押圧する時にホイールシリンダ5が出力する操作力は、いずれも、所定以下となる。
ホイールシリンダ5から操作力作用点P1に操作力Wが作用すると、ウェブ4aに対する制御レバー51の回動支点c1から各作用点までの距離S,Lの比率に応じて、制御レバー51のストラット操作部51cにはストラット41上のシュー当接溝41aを押す力Fが発生する。
ホイールシリンダ5からの操作力Wが所定以下の場合は、ストラット操作部51cからストラット41のシュー当接溝41aに作用する力Fが、第1の引張りばね43の引張力よりも小さいため、ストラット41は一端をブレーキシュー4に当接した状態を維持している。従って、制御レバー51のストラット操作部51cの位置は変位せず、ホイールシリンダ5からの操作力Wに応じて、中間部51bがブレーキシュー4と共にドラム内周面側に変位する動作となる。
これにより、アジャスタギヤ45はストラット41上をドラム内周面側に移動して、図8(a)に示すように第2の歯部45aと第1の歯部41bとの噛合が外れた状態になり、係合孔47の内端縁47aから係合腕部45bに作用する押圧力で、アジャスタギヤ45はストラット41上を回動する。
このアジャスタギヤ45の回動により、第2の歯部45aと第1の歯部41bとの噛合位置が変わることで、ストラット41及びアジャスタギヤ45を介した一対のブレーキシュー3,4間の離間距離の調整がなされ、ドラム内周面と各ライニング3b,4bとの間の隙間が所定寸法以下に維持される。
図9は本発明に係るドラムブレーキ装置においてオーバーアジャスト防止手段としての制御レバーの第2の実施の形態の説明図で、(a)は制御レバーがブレーキシューに取り付けられた状態の斜視図、(b)は制御レバーの単体の斜視図である。
その他の構成は、第1の実施の形態と共通の構成であり、共通の構成については、同番号を付して説明を省略する。
3a,4a ウェブ
3b,4b ライニング
4d ストラット係合部
5 ホイールシリンダ
7 アンカー部材
9 バッキングプレート
11 パーキングレバー
11a 支持ピン
15 シュートゥシュースプリング
16 アンカースプリング
41 ストラット
41a シュー当接溝
41b 第1の歯部
41c レバー当接部
43 第1の引張りばね
45 アジャスタギヤ
45a 第2の歯部
45b 係合腕部
47 係合孔
47a 内端縁
48 第2の引張りばね
51 制御レバー(オーバーアジャスト防止手段)
51a 操作力受け部
51b 中間部
51c ストラット操作部
200 ドラムブレーキ装置
201 自動隙間調整装置
413 長穴
Claims (3)
- ドラム内空間に配置された一対のブレーキシューの位置を摩耗に応じて自動調整する自動隙間調整装置を備えるドラムブレーキ装置であって、
前記自動隙間調整装置が、一端に一方のブレーキシューに当接するシュー当接溝が設けられると共に他端に第1の歯部が設けられたストラットと、
前記シュー当接溝が前記ブレーキシューに当接した状態を維持するように前記ストラットを付勢する第1の引張りばねと、
前記ストラットの他端に回転自在かつストラットの長手方向に移動可能に支持されると共に、前記第1の歯部に噛合する第2の歯部と他方のブレーキシューに形成された係合孔内に遊嵌する係合腕部とを備えて、前記他方のブレーキシューが所定以上に拡開方向に移動する時に前記係合孔の内端縁に前記係合腕部が押されることで前記ストラット上を回動可能なアジャスタギヤと、
前記第2の歯部が前記第1の歯部に噛合する方向に前記第1の引張りばねよりも弱い引張力を作用させる第2の引張りばねと、
制動時にホイールシリンダからの操作力が所定以上となるときに、前記アジャスタギヤの回動を規制するオーバーアジャスト防止手段と、を備え、
前記オーバーアジャスト防止手段は、前記ホイールシリンダのピストンと一方のブレーキシューの端部との間に介在する制御レバーであり、
前記制御レバーは、先端に前記ホイールシリンダからの操作力を受ける操作力受け部が設けられると共に、前記操作力受け部よりも内側となる中間部が前記一方のブレーキシューに回転自在に支持され、且つ、基端には、前記ストラットに係合して前記ホイールシリンダからの操作力が所定以上となるときの前記中間部を支点とした回動により前記ストラットを前記第1の引張りばねの付勢力に抗してアジャスタギヤ側に移動させて前記第1の歯部と前記第2の歯部との噛合状態を堅持するストラット操作部が設けられたことを特徴とするドラムブレーキ装置。 - 前記制御レバーとパーキングレバーとが前記一方のブレーキシューのウェブを挟んで配置されると共に、前記制御レバーの中間部は前記パーキングレバーと共通の支持ピンにより前記ウェブ上に回転自在に支持され、これらの制御レバー及び一方のブレーキシューのウェブ及びパーキングレバーが前記ストラットのシュー当接溝に係合していることを特徴とする請求項1に記載のドラムブレーキ装置。
- 前記制御レバーの操作力受け部は、前記ホイールシリンダのピストンの中心が当接するように、ブレーキシューのウェブ側に折り曲げられていることを特徴とする請求項2に記載のドラムブレーキ装置。
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