JP2015212488A - 鋼管杭の連結用ボルトのボルト保持具と鋼管杭の連結方法 - Google Patents

鋼管杭の連結用ボルトのボルト保持具と鋼管杭の連結方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼管杭の連結に用いる鋼管杭内の継手管に取り付けるボルト保持具において、ボルトの取り付け、ボルト軸部の先端と継手管のボルト孔との位置合せ、及びボルト軸部の先端部分を鋼管杭の外へ引き出 す作業が容易なボルト保持具を提供すること。【解決手段】鋼管杭21,22の内側に配置した継手管23にボルト保持具24を取り付けてある。ボルト25の頭部251は、ボルト頭部保持部材243に保持され、ボルト軸部252の先端部分は、継手管23のボルト孔231に挿入・保持される。ボルト25の雄ねじ部253は、ボルト引出具を用いて鋼管杭22の外へ引き出し、雄ねじ部253にナット26を羅合してボルト締めする。【選択図】図2

Description

本発明は、鋼管杭の連結に用いるボルトを保持するボルト保持具とそのボルト保持具を用いた鋼管杭の連結方法に関する。
2個(上下)の鋼管杭を連結するとき、連結方法の一つとして、鋼管杭の内側に配置した継手管又は継手板と鋼管杭とをボルト締めして連結する方法がある。
鋼管杭と継手管又継手板とのボルト締めには、ワンサイドボルトを用いる方法、継手管又継手板に取り付けたボルトケースにセットした(収容した)高張力ボルト等のボルトを用いる方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載のボルトボックスの詳細は、不明であるが、その構成の概要は、図6のようになる。
図6は、連結部分の断面図である。ただし断面は、鋼管杭11,12と継手板13の部分である。
鋼管杭11に溶接した継手板13と鋼管杭12とを、ボルト15とナット16とにより締付けて、両鋼管杭を連結する。ボルト15は、継手板13に取り付けたボルトケース14にセットしてあり、軸部152の一部に雄ねじ部153を形成してある。ボルト15は、軸部152の先端が継手板13のボルト孔131に対向するようにセットしてある。ボルト15にナット16を羅合するときは、鋼管杭12のボルト孔121の外側(ナット16側)から、ボルト15の雄ねじ部153を引出して、雄ねじ部153にナット16を羅合する。
図6(b)は、継手板13を鋼管杭11に取付ける手段として、図6(a)の溶接に代えてボルト15bとナット16bを用いた例を示す。ボルトケース14に関する構成は、図6(a)と同じである。
特開2001-279665号公報
図6の従来のボルトケース14の詳細は、不明であるが、ボルト15は、軸部152の先端をボルトケース14から浮かせた状態で、即ち宙に浮かせた状態で、軸部152の先端とボルト孔131とが対向するようにセットしてある。
鋼管杭の連結作業現場では、鋼管杭や継手板に振動が加わり、ボルトケース14にも大きな振動が加わるから、ボルト15の軸部152の先端を宙に浮かせた状態で、軸部152の先端がボルト孔131に対向するようにボルト15を保持することは難しく、それらの位置関係がずれてしまう。そのため、ボルト15の雄ねじ部153を鋼管杭12の外へ引き出すとき、ボルト15の軸部152の先端とボルト孔131との位置合せが困難になり、その引き出し作業が難しくなる。
また、ボルトケース14の振動に抗して軸部152の先端とボルト孔131との対向関係を維持するには、ボルト15の軸部152の先端が左右、上下等に移動しないように、ボルト15を強固に保持する必要があるが、ボルト15の保持手段が強固になると、ボルト15の雄ねじ部153を鋼管杭12の外へ引き出すとき、その保持手段が邪魔して、その引出が円滑に行われなくなる。
本発明は、従来の前記問題点に鑑み、ボルト軸部の先端を宙に浮かせることなくボルト軸の先端と継手管又は継手板のボルト孔とを一致させた状態でボルトを保持でき、かつボルトのセットが容易で、ボルトの雄ねじ部を鋼管杭の外へ引出す作業が容易なボルト保持具及びボルト引出具を提供するとともに、それらのボルト保持具及びボルト引出具を用いた鋼管杭の連結方法を提供することを目的とする。
本発明は、その目的を達成するため、請求項1に記載のボルト保持具は、鋼管杭(22)の内側に配置する鋼管杭連結用の継手管又は継手板(23)に取り付けるボルト保持具(24)であって、該継手管又は継手板(23)に取り付ける継手取付部材(240)及びボルト(25,28)の頭部を保持するボルト頭部保持部材(243)を備え、該ボルト(25,28)の頭部を該ボルト頭部保持部材(243)によって保持し、該ボルト(25,28)の頭部と反対側の先端部分を該継手管又は継手板(23)のボルト孔(231)によって保持することを特徴とする。
請求項2に記載のボルト保持具は、 請求項1に記載のボルト保持具において、前記ボルト頭部保持部材(243)に保持されている前記ボルト(25,28)の頭部の先端面から前記継手取付部材(240)の取付面(244)までの長さ(HL)は、前記ボルト(25,28)の長さ(BL,BLt,CBL)よりも小さく、前記ボルト(25,28)の長さ(BL,BLt,CBL)と前記継手管又は継手板(23)の厚み(T)との差よりも大きいことを特徴とする。
請求項3に記載のボルト保持具は、 請求項1又は請求項2に記載のボルト保持具において、前記ボルト(25,28)の頭部と反対側の先端部分にボルト引出具(31,33)の係合部(254,41)を設けてあることを特徴とする。
請求項4に記載のボルト保持具は、 請求項3に記載のボルト保持具において、前記ボルト引出具(31,33)の係合部(254,41)は、ボルト引出用キャップ(41)であることを特徴とする。
請求項5に記載のボルト保持具は、請求項1〜請求項4のいずれかの請求項に記載のボルト保持具において、前記継手取付部材(240)と前記ボルト頭部保持部材(243)は、一体的に形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の鋼管杭の連結方法は、次の工程(A)〜(E)からなることを特徴とする。
(A)鋼管杭(22)の内側に配置した鋼管杭連結用の継手管又は継手板(23)に請求項1に記載のボルト保持具(24)を取り付け、
(B)ボルト保持具(24)のボルト頭部保持部材(243)にボルト(25,28)の頭部を挿入し、該ボルト(25,28)の頭部と反対側の先端部分を継手管又は継手板(23)のボルト孔(231)内に挿入し、
(C)継手管又は継手板(23)の外周に鋼管杭(22)を嵌合し、
(D)継手管又は継手板(23)のボルト孔(231)と鋼管杭(22)のボルト孔(221)との位置合せをし、
(E)ボルト引出具(31,33)によりボルト(25,28)の雄ねじ部(253,283)を鋼管杭(22)の外へ引き出し、該雄ねじ部(253,283)にナット(26)を羅合して、鋼管杭(22)と継手管又は継手板(23)とを結合する。
請求項7に記載の鋼管杭の連結方法は、次の工程(A)〜(E)からなることを特徴とする。
(A)請求項1に記載のボルト保持具(24)のボルト頭部保持部材(243)にボルト(25,28)の頭部を挿入し、
(B)鋼管杭(22)の内側に配置した鋼管杭連結用の継手管又は継手板(23)に、該ボルト保持具(24)を、該ボルト(25,28)の頭部と反対側の先端部分が継手管又は継手板(23)のボルト孔(231)内に挿入するように取り付け、
(C)継手管又は継手板(23)の外周に鋼管杭(22)を嵌合し、
(D)継手管又は継手板(23)のボルト孔(231)と鋼管杭(22)のボルト孔(221)との位置合せをし、
(E)ボルト引出具(31,33)によりボルト(25,28)の雄ねじ部(253,283)を鋼管杭(22)の外へ引き出し、該雄ねじ部(253,283)にナット(26)を羅合し締め付けて、鋼管杭(22)と継手管又は継手板(23)とを結合する。
請求項8に記載の鋼管杭の連結方法は、請求項6又は請求項7に記載の鋼管杭の連結方法において、前記工程(D)の位置合せは、鋼管杭(22)と継手管又は継手板(23)の位置合用孔(291,292)に位置合用ピン(34)を打ち込んで行うことを特徴とする。
本発明のボルト保持具にセットしたボルトは、ボルト保持具のボルト頭部保持部材と継手管又は継手板のボルト孔とによって保持されているから、鋼管杭連結作業時の振動等に対して安定した状態で保持される。また、ボルト保持具にセットしたボルトは、ボルト保持具のボルト頭部保持部材と継手管又は継手板のボルト孔とによって保持されているから、ボルトの頭部と反対側の先端部分の位置は、継手管又は継手板のボルト孔の位置と完全に一致している。したがって、その位置合せの必要がない。
本発明のボルト保持具にセットしたボルトは、ボルト保持具のボルト頭部保持部材と継手管又は継手板のボルト孔とによって保持されているから、ボルト保持具のボルト頭部保持部材の構成は、簡単になり、保持力は、小さくてよい。したがってボルト保持具にセットしたボルトは、簡単なボルト引出具により鋼管杭の外側へ容易に引き出すことができ、その引き出し作業が容易になる。
本発明は、ボルトの頭部と反対側の先端部分にボルト引出具が係合するボルト引出用キャップを装着してあるから、そのキャップは、ボルト軸部の一部としても機能する。したがってボルト引出用キャップは、キャップの長さや取り付け位置を変えることにより、同じボルト保持具を長さの異なるボルトに用いることができる。またボルト引出用キャップは、ボルトの頭部と反対側の先端部分に装着するのみでよいから、汎用のボルトを加工する必要がない。
本発明のボルト保持具は、継手取付部材とボルト頭部保持部材とを一体に形成できるから、容易に安価に作製することができる。
本発明は、鋼管杭のボルト孔と継手管又は継手板のボルト孔との位置合せに位置合用ピンを用いるから、その位置合せが容易になり、また、鋼管杭の連結作業中、鋼管杭のボルト孔と継手管又は継手板のボルト孔との位置ずれを防止できる。
図1は、本発明の実施例に係るボルト保持具を用いて鋼管杭を連結した連結部を示す。 図2は、本発明の実施例に係るボルト保持具を継手管に取り付けて、そのボルト保持具にボルトをセットした状態、及びボルト保持具の継手取付部材を示す。 図3は、本発明の実施例に係るボルト保持具のボルト頭部保持部材の変形例を示す。 図4は、本発明の実施例に係るボルト引出具とボルト引出装置を示す。 図5は、本発明の実施例に用いるトルシア型ボルトと実施例に係るボルト孔の位置合手段を示す。 図6は、従来のボルトケースを取り付けた連結部を示す。
本発明の実施の形態は、鋼管杭の内部に配置した継手管又は継手板に取り付けるボルト保持具を設け、そのボルト保持具にボルトをセット(収容)すると、ボルト頭部は、ボルト保持具のボルト頭部保持部材に保持され、ボルト頭部と反対側の先端部分は、継手管又は継手板のボルト孔に挿入して保持される(ボルト孔に預けられる)。
ボルト保持具は、工場等において事前に継手管又は継手板に溶接、接着等により取り付けてもよいし、鋼管杭の連結作業現場で取り付けてもよい。またボルトは、継手管又は継手板に取り付けたボルト保持具にセットしてもよいし、ボルト保持具を継手管又は継手板に取り付ける前にボルト保持具にセットしてもよい。
ボルト頭部と反対側の先端部分は、頭部と軸部とからなるボルトの場合、軸部の先端部分であり、トルシア型ボルトの場合、ピンテール部の先端部分であり、また、軸部やピンテール部に、後述するボルト引出具が係合するボルト引出用キャップ等の付属品を取り付けている場合には、その付属品の先端部分である。
図1〜図5により本発明の実施例に係るボルト保持具、ボルト引出手段及び鋼管杭の連結方法について説明する。
図1は、本発明の実施例に係るボルト保持具を用いて鋼管杭を連結した連結部を示す。
図1(a)は、連結した鋼管杭の平面図、図1(b)は、図1(a)のX1部分のX2−X2部分の矢印方向の断面図である。ただし図1(b)において、断面は、鋼管杭21,22と継手管23の部分である。
下側(地中)の鋼管杭21と上側の鋼管杭22は、図1(b)のように、継手管(内管)23により連結してある。継手管23は、鋼管杭21と鋼管杭22の端部に接触する鍔部232を有し、鋼管杭21に溶接してある(211は、溶接部である)。鋼管杭22と継手管23は、ボルト25とナット26により締付け、結合してある。
ボルト25は、鋼管杭22と継手管23とを結合するまでは、後述するように、継手管23の内面に取り付けたボルト保持具24にセットしてある。ボルト保持具24は、事前に工場等において、継手管23に溶接、接着等により取り付けてある。
図1(a)の例は、ボルト保持具24を4個取り付け、ボルト25を4個用いているが、それらは、4個に限らず、鋼管杭の太さ(管径)等に応じて所定個数設ける。また継手管23は、管状のものに限らず、板状のものを複数個設けてもよい。
図2により、ボルト保持具24の詳細を説明する。
図2(a1)、継手管23に取り付けたボルト保持具24にボルト25をセットした状態の断面図、図2(a2)は、図2(a1)の拡大図(ナット26、鍔部232等一部は図示を省略)、図2(a3)、(a4)は、ボルト保持具24の継手取付部材240の側面図、図2(a5)は、ボルト25の側面図である。ただし図2(a1)、(a2)において、断面は、鋼管杭21,22と継手管23の部分である。
図2(a1)、(a2)において、ボルト保持具24は、継手管23の内面に溶接等により取り付けある。ボルト保持具24にボルト25をセットすると、ボルト25の頭部251は、ボルト頭部保持部材243に保持される。
ボルト保持具24は、継手管23の内面に取り付ける継手取付部材240とボルト頭部保持部材243とからなり、継手取付部材240は、短冊状の鉄板をL字状に折り曲げて、底面部241と立上部242とを形成してある。継手取付部材240は、取付面244を、継手管23の内面に溶接等により取り付けある。取付面244は、底面部241の端部に相当する。
ボルト頭部保持部材243は、弾性材からなり、その一端を溶接等により継手取付部材240の立上部242に固着し、他端は開放してある。ボルト頭部保持部材243の開放端側は、少なくとも、先端部分を内側(ボルト軸252側)へ曲げてある。ボルト頭部保持部材243の開放端は、その開放端にボルト25の頭部251を押し込むと、その頭部を包み込むように、或いは挟むように保持する。ボルト25の頭部251は、後述するように、ボルト25の雄ねじ部253を鋼管杭22の外側へ引き出すとき、ボルト頭部保持部材243から容易に外れる。また、ボルト頭部保持部材243の開放端側の曲げの角度は、90度以上に設定すると、ボルト25の雄ねじ部253を鋼管杭22の外側へ引き出すとき、ボルト25の頭部251がボルト頭部保持部材243から一層外れ易くなる。
ボルト25をボルト保持具24にセットするときは、ボルト25の頭部251によりボルト頭部保持部材243の開放端を押し開いてセットするが、その際、ボルト25の軸部252の先端部分は、継手管23のボルト孔231に挿入し、保持される。即ちボルト25は、保持具24のボルト頭部保持部材243と継手管23のボルト孔231とにより保持される。
ボルト25の軸部252の先端部分は、ボルト孔231に保持されており、従来例のように宙に浮いていないから、軸部252の先端部分とボルト孔231との位置は完全に一致しており、かつ鋼管杭の連結作業時の振動等により軸部252の先端部分とボルト孔231との位置関係がずれてしまうこともない。したがって軸部252の先端部分とボルト孔231との位置合せの必要がない。
また、ボルト25の軸部252の先端部分は、従来例のように宙に浮いた状態に保持する必要がないから、ボルト頭部保持部材243の保持力は小さくてよい。したがってボルト頭部保持部材243の構成は、簡単になり、かつ、ボルト25の軸部252の先端部分を鋼管杭22の外側へ引き出すときの引出力は小さくてよいから、ボルト引出具やボルト引出装置等のボルト引出手段は簡単になり、かつ、ボルト引出作業が容易になる。
ボルト保持具24の継手取付部材240は、図2(a3)のようにL字状に形成する外、図2(a4)のように、底面部241を立上部242と逆方向にも屈曲して取付部245を形成してもよい。取付部245は、取付面244が大きくなるから、溶接の外、接着により継手管23に取り付けることができる。
またボルト25は、図2(a5)のように頭部251と軸部252とからなり、軸部252の一部或いは全部に雄ねじ部253を形成した汎用のものを用いる。
ここでボルト25とボルト保持具24のサイズの関係について説明する。
図2(a2),(a5)において、継手管23に取り付けたボルト保持具24にボルト25をセットしたとき、ボルト25の頭部251の先端面(ボルト軸方向の端面)からボルト保持具24の取付面244までの長さをHL、ボルト25の長さをBL、継手管23の厚みをTとする。
ボルト25の軸部252の先端部分は、ボルト孔231に挿入するとともに、ボルト孔231からボルト孔221側へ頭を出さないようにする必要があるから、長さHLは、ボルト25の長さBLと継手管23の厚みTとの差よりも大きく、ボルト25の長さBLよりも小さく設定する。即ち長さHLは、(BL−T)<HL<BLの範囲に設定する。
図2(a1)において、ボルト25の雄ねじ部253(図2(a5))を鋼管杭22の外へ引き出し、ボルト25にナット24を羅合して鋼管杭22と継手管23とをボルト締めすると、図1(b)の状態になる。
ここで、図2を用いて、鋼管杭の連結方法の一例を説明する。
まずボルト保持具24を取り付けた継手管23を鋼管杭21に溶接して取り付ける。
次にボルト保持具24のボルト頭部保持部材243にボルト25の頭部251を押し込むように、ボルト25をボルト保持具24にセットする。その際、ボルト25の軸部252の先端部分は、継手管23のボルト孔231に挿入し、保持される(軸部252の先端部分をボルト孔231に預けて保持する)。
次に継手管23の外周に鋼管杭22を嵌合し、鋼管杭22のボルト孔221と継手管23のボルト孔231とが一致するように位置合せをする。
次に後述するボルト引出手段によりボルト25のねじ部253を鋼管杭22の外へ引き出し、雄ねじ部253にナット26を羅合して締め付け、鋼管杭22と継手管23とを、図1(b)のように結合する。
以上により、鋼管杭21と鋼管杭22は、継手管23により連結される。
ボルト保持具24は、本実施例のように、鋼管杭21に継手管23を取り付ける前に、継手管23に取り付けてもよいし、鋼管杭21に継手管23を取り付けた後に継手管23に取り付けてもよい。前者の場合には、工場において、継手管23にボルト保持具24を取り付けることができる。
また、ボルト25は、本実施例のように、継手管23にボルト保持具24を取り付けた後に、ボルト保持具24にセットしてもよいし、継手管23にボルト保持具24を取り付けた前に、保持具24にセットしてもよい
本実施例は、継手取付部材240にボルト頭部保持部材243を取り付けているが、継手取付部材240とボルト頭部保持部材243は、一体的に形成してもよい。例えば、継手取付部材240の立上部242に、その中央部を残して放射線状にスリットを形成し、スリット間の弾性片部を起立させて、茶筅状或いは花びら状に開いて、ボルト頭部保持部材243を形成してもよい。
また、ボルト保持具24の継手取付部材240は、短冊状の鉄板を用いる例について説明したが、短冊状の鉄板に限らず棒状体、管状体等であってもよい。例えば、管状体の場合には、管状体をコ字状に曲げて一端を取付面にし、他端は、軸方向にスリットを形成し、スリット間の弾状片部を茶筅状或いは花びら状に開いて、ボルト頭部保持部材243を形成してもよい。この場合には、継手取付部材240とボルト頭部保持部材243は、一体に形成できる。
また、継手取付部材240は、金属に限らず樹脂であってもよい。
また、ボルト保持具24のボルト頭部保持部材243は、弾性材からなるボルト頭部保持部材に代えて、継手取付部材240の立上部242に磁石を取り付けて構成することもできる。
図3は、ボルト保持具24のボルト頭部保持部材243の変形例を示す。
図3(a1),(a2)は、ボルト頭部保持部材243を4個用いた例である。図3(a2)は、図3(a1)のX3−X3部分の矢印方向の断面図である。
図3(a1),(a2)の場合、ボルト25の頭部251は、4個のボルト頭部保持部材243により保持されるから、ボルト保持具24の底面部241に接触させなくてもよい。したがって、ボルト頭部保持部材243は、図の位置よりも底面部241から高い(離れた)位置に設けることもできる。
図3(b1),(b2)は、ボルト頭部保持部材243を2個用いた例である。図3(b2)は、図3(b1)のX3−X3部分の矢印方向の断面図である。
図3(b1),(b2)の場合、ボルト25の頭部251は、2個のボルト頭部保持部材243により保持し、ボルト保持具24の底面部241により支えるから、ボルト頭部保持部材243は、2個でよい。
また、図3(b1),(b2)の場合、ボルト保持具24の底面部241に代えて、1個のボルト頭部保持部材243を用いてもよい。その場合には、ボルト頭部保持部材243は、3個になる。
図3(c1),(c2)は、ボルト頭部保持部材243を1個用いた例である。図3(c2)は、図3(c1)のX3−X3部分の矢印方向の断面図である。
図3(c1),(c2)の場合、ボルト頭部251は、1個のボルト頭部保持部材243により保持し、ボルト保持具24の底面部241とその立上部246とにより支える。立上部246は、底面部241の両側を屈曲して、断面をコ字状に形成する。立上部246は、図3(c2)において、ボルト25の頭部251の左右への移動(ボルト軸と直交する方向への移動)を防止できる。
なお図3(c1),(c2)の場合、ボルト頭部保持部材243は省略することもできるが、鋼管杭の連結作業は振動を伴うから、振動等によりボルト25の頭部251がボルト保持具24の立上部246から飛び出すのを防止し、また、ボルト25が継手管23側へ移動するのを防止するためにボルト頭部保持部材243を設けるのが望ましい。
また、図3(c1),(c2)場合、立上部246の高さを高くして、例えば、ボルト25の頭部251の直径(頭部が六角形の場合は、六角形が接する円の直径)の2分の1よりも高くすると、ボルト25の頭部251をより確実に保持できる。
また、図3(c1),(c2)場合、底面部241に断面が円形、多角形等の細長い部材を、ボルト25の軸部252の軸方向と平行に溶接、接着等により取り付けて、立上部246に代えることもできる。
なお、図3は、ボルト25の頭部251が六角形のものについて説明したが、頭部251が円形のボルトであってもよい。
図4は、本発明の実施例に係るボルト引出手段を示す。
ボルト引出手段は、ボルト引出具とボルト軸部の先端部分に設けたボルト引出具の係合部とからなる。
まず図4(a1)〜(a3)について、説明する。
図4(a1)〜(a3)は、ボルト25の軸部252の先端部分に、ボルト引出具の係合部として雌ねじ部を設けて、ボルト引出具と軸部252の先端部分とをねじ結合する例である。
図4(a1)は、ボルト25の軸部252の先端部分にボルト引出具31を係合した状態を示す図であり、図4(a2)は、ボルト25の軸方向の断面図であり、図(a3)は、ボルト引出具31の平面図である。
図4(a1)において、ボルト保持具24にセットしたボルト25の軸部252の先端部分には、鋼管杭22の外側から挿入したボルト引出具31を取り付けてある。ボルト引出装置32は、ボルト引出具31を矢印方向へ引っ張ってボルト25の雄ねじ部253を鋼管杭22のボルト孔221の外へ引き出す。ボルト25の引き出し後、ボルト引出具31は、ボルト25から外し、ボルト25の雄ねじ部253にナットを羅合する。
なお図4(a1)において、ボルト引出具31は、ボルト25の雄ねじ部253にナットを羅合して締め付けるときの締付補助具として使用することもできる。例えば、ボルト25の雄ねじ部253にナットを羅合し、ナットを回して締め付けるとき、ボルト25がナットと一緒に回転して、ボルト25が空転することがあるが、ボルト引出装置31によりボルト引出具31の回転を阻止すると、ボルト25の空転を阻止できる。
図4(a2)において、ボルト25の軸部252には、ボルト引出具が係合する雌ねじ部254を形成してある。雌ねじ部254は、ボルト軸部252の先端部分に、軸方向へ伸びる孔部を形成し、その内面に雌ねじを形成してある。
図4(a3)において、ボルト引出具31の軸部311の先端部分には、雌ねじ部254に羅合する雄ねじ部312を形成してある。
なお図2(a2),(a3)において、ボルト引出具31の軸部311の雄ねじ部312に代えて、軸部311の先端に磁石を取り付けてもよい。その場合には、雌ねじ部254は、不要である。
図4(b1)〜(b5)は、ボルト25の軸部252の先端部分に、ボルト引出具の係合部としてボルト引出用キャップを設けた例である。
図4(b1)は、ボルト25のボルト軸部252の先端部分にボルト引出用キャップ41を取り付けたボルトを、ボルト保持具24にセットした状態を示す図であり、図4(b2)は、ボルト25の軸方向の断面図であり、図4(b3)は、ボルト引出用キャップ41の軸方向の断面図であり、図4(b4)は、図4(b3)のボルト引出用キャップ41の矢印方向の側面図であり、図4(b5)は、ボルト引出具33の平面図である。
図4(b1)〜(b4)において、ボルト25の雄ねじ部253に嵌めるボルト引出用キャップ41は、円筒状体からなり、その円筒状体の一端にドーム状の蓋部を形成し、他端にボルト25の雄ねじ部253に嵌める開口部412を設けてある。またドーム状蓋部の頂端部に開口部411を形成し、円筒状体の側面に開口411から軸方向(ボルト25の軸方向と同じ方向)へ伸びるスリット413を形成して、茶筅状或いは花びら状の弾性片部414を形成してある。なお円筒状体の蓋部は、ドーム状に限らず、円板状であってもよい。また、スリット413の幅や長さ、弾性片部414の個数は、ボルト25の太さ等を勘案して設定する。
ボルト引出用キャップ41には、金属、樹脂を用いる。
図4(b5)において、ボルト引出具33は、軸部331の一端に茸のかさのように円錐状の頭部332を備えている。
図4(b1)〜(b5)において、ボルト25の雄ねじ部253を鋼管杭22の外へ引き出すときは、ボルト引出具33の頭部332をボルト引出用キャップ41の開口部411に押し込み、頭部332の鉤部333(軸部331と直交する方向へ出っ張っている部分)をボルト引出用キャップ41の弾性片部414の内側に係合させて(引っ掛けて)、図4(a1)の場合と同様に、ボルト引出装置によりボルト引出具33を鋼管杭22の外へ引っ張り、ボルト25の雄ねじ部253を鋼管杭22の外へ引き出す。
図4(b1)〜(b4)において、ボルト保持具24及びボルト引出用キャップ41を装着したボルト25のサイズについて説明する。
ボルト保持具24の取付面からボルト25の頭部251の先端面までの長さHLは、装着したボルト引出用キャップ41を含むボルト25の長さ(ボルト頭部251の先端面からボルト引出用キャップ41の蓋部の頂端までの長さ)CBLよりも小さく、ボルト引出用キャップ41を装着したボルト25の長さCBLと継手管23の厚みTとの差よりも大きく設定する。即ち、長さHLは、(CBL−T)<HL<CBLとなるように設定する。
なお本発明は、長さCBLもボルトの長さと呼ぶ。
図4(b1)〜(b4)の場合、ボルト25は、ボルト引出用キャップ41の先端部分を、継手管23のボルト孔31に挿入して保持する(ボルト孔31に預ける)から、例えば、ボルト25の長さが長さHLより短い場合には、ボルト引出用キャップ41の長さを変えることにより、ボルト保持具24の長さHLを変えることなく、対応できる。また、同じ長さのボルト引出用キャップ41の場合にも、ボルト引出用キャップ41の取付位置を変えることにより同様に対応できる。
また、ボルト引出用キャップ41は、ボルト25を引き出した後、ボルト25から取り外して、再度別のボルトに装着して使用できる。
図5は、本発明の実施例に用いる別のボルト例、及び鋼管杭のボルト孔と継手管のボルト孔との位置合手段を示す。
図5(a)は、ボルトの平面図、図5(b1)は、鋼管杭の連結部分の側面図、図5(b2)は、図5(b1)のX4−X4部分の矢印方向の断面図、図5(b3)は、位置合用ピンの平面図である。
図5(a)において、前記実施例に用いたボルト25に代えて、トルシア型ボルト28を用いることもできる。トルシア型ボルト28は、軸部252の先端に破断溝285を有し、ピンテール部284を備えている。
トルシア型ボルト28は、ピンテール部284の先端部分を継手管のボルト孔231に挿入して保持する(ピンテール部284の先端部分をボルト孔231に預ける)から、ボルト28の長さは、頭部281の先端面からピンテール部284の先端までの長さBLtになる。
また、トルシア型ボルト28のボルト引出手段は、前記各実施例と同様のボルト引出手段を用いることができる。
図5(b1)、図5(b2)において、孔291,292は、鋼管杭22と継手管23に形成した位置合用孔である。位置合用孔291,292は、鋼管杭22のボルト孔221と継手管23のボルト孔231との位置が一致すると、位置合用孔291,292も一致する位置に形成してある。
図5(b3)において、位置合用ピン34は、断面が円形の棒状体で、一端が太く、他端に向かって順次細くなっている。また、位置合用ピン34は、一端から他端までの途中の太さD2が位置合用孔291,292の孔径と同じになるように形成してある。孔径D2の位置は、鋼管杭22と継手管23の厚みを勘案して位置合用ピン34の細い端部が継手管23の内部へ突出する位置であれば任意の位置でよい。
鋼管杭の連結作業において、鋼管杭22と継手管23のボルト孔の位置合せは、鋼管杭22の位置合用孔291と継手管23の位置合用孔292の一部が一致したとき、位置合用ピン34を位置合せ用孔291,292に打ち込むと、鋼管杭22は、回動或いは移動して孔291,292は、完全に一致する。したがってボルト孔221,231も完全に一致する。その状態において、ボルト25又はボルト28の雄ねじ部を鋼管杭22の外へ引き出し、ボルト25又はボルト28の雄ねじ部にナットを羅合して締め付ける。その後、位置合用ピン34を位置合せ用孔291,292から引き抜く。
位置合用ピン34を用いると、鋼管杭22と継手管23とのボルト孔の位置合せが容易であるとともに、鋼管杭の連結作業中、それらのボルト孔の位置ずれを防止できる。
なお位置合せ用孔291,292の孔径は、鋼管杭22と継手管23のボルト孔の孔径よりも大きく形成すると、鋼管杭22と継手管23のボルト孔の位置が全く一致していない時点においても、位置合せ用孔291,292との一部が一致すると、鋼管杭22と継手管23のボルト孔の位置合せを行うことができるから、位置合せ作業が容易になる。
21 鋼管杭
211 溶接部
22 鋼管杭
221 ボルト孔
23 継手管
231 ボルト孔
232 鍔部
24 ボルト保持具
240 継手取付部材
243 ボルト頭部保持部材
244 取付面
25 ボルト
254 雌ねじ部
26 ナット
28 トルシア型ボルト
291,292 位置合用孔
31 ボルト引出具
32 ボルト引出装置
33 ボルト引出具
34 位置合用ピン
41 ボルト引出用キャップ
413 スリット

Claims (8)

  1. 鋼管杭(22)の内側に配置する鋼管杭連結用の継手管又は継手板(23)に取り付けるボルト保持具(24)であって、該継手管又は継手板(23)に取り付ける継手取付部材(240)及びボルト(25,28)の頭部を保持するボルト頭部保持部材(243)を備え、該ボルト(25,28)の頭部を該ボルト頭部保持部材(243)によって保持し、該ボルト(25,28)の頭部と反対側の先端部分を該継手管又は継手板(23)のボルト孔(231)によって保持することを特徴とするボルト保持具。
  2. 請求項1に記載のボルト保持具において、前記ボルト頭部保持部材(243)に保持されている前記ボルト(25,28)の頭部の先端面から前記継手取付部材(240)の取付面(244)までの長さ(HL)は、前記ボルト(25,28)の長さ(BL,BLt,CBL)よりも小さく、前記ボルト(25,28)の長さ(BL,BLt,CBL)と前記継手管又は継手板(23)の厚み(T)との差よりも大きいことを特徴とするボルト保持具。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のボルト保持具において、前記ボルト(25,28)の頭部と反対側の先端部分にボルト引出具(31,33)の係合部(254,41)を設けてあることを特徴とするボルト保持具。
  4. 請求項3に記載のボルト保持具において、前記ボルト引出具(31,33)の係合部(254,41)は、ボルト引出用キャップ(41)であることを特徴とするボルト保持具。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかの請求項に記載のボルト保持具において、前記継手取付部材(240)と前記ボルト頭部保持部材(243)は、一体的に形成されていることを特徴とするボルト保持具。
  6. 次の工程(A)〜(E)からなることを特徴とする鋼管杭の連結方法。
    (A)鋼管杭(22)の内側に配置した鋼管杭連結用の継手管又は継手板(23)に請求項1に記載のボルト保持具(24)を取り付け、
    (B)ボルト保持具(24)のボルト頭部保持部材(243)にボルト(25,28)の頭部を挿入し、該ボルト(25,28)の頭部と反対側の先端部分を継手管又は継手板(23)のボルト孔(231)内に挿入し、
    (C)継手管又は継手板(23)の外周に鋼管杭(22)を嵌合し、
    (D)継手管又は継手板(23)のボルト孔(231)と鋼管杭(22)のボルト孔(221)との位置合せをし、
    (E)ボルト引出具(31,33)によりボルト(25,28)の雄ねじ部(253,283)を鋼管杭(22)の外へ引き出し、該雄ねじ部(253,283)にナット(26)を羅合して、鋼管杭(22)と継手管又は継手板(23)とを結合する。
  7. 次の工程(A)〜(E)からなることを特徴とする鋼管杭の連結方法
    (A)請求項1に記載のボルト保持具(24)のボルト頭部保持部材(243)にボルト(25,28)の頭部を挿入し、
    (B)鋼管杭(22)の内側に配置した鋼管杭連結用の継手管又は継手板(23)に、該ボルト保持具(24)を、該ボルト(25,28)の頭部と反対側の先端部分が継手管又は継手板(23)のボルト孔(231)内に挿入するように取り付け、
    (C)継手管又は継手板(23)の外周に鋼管杭(22)を嵌合し、
    (D)継手管又は継手板(23)のボルト孔(231)と鋼管杭(22)のボルト孔(221)との位置合せをし、
    (E)ボルト引出具(31,33)によりボルト(25,28)の雄ねじ部(253,283)を鋼管杭(22)の外へ引き出し、該雄ねじ部(253,283)にナット(26)を羅合し締め付けて、鋼管杭(22)と継手管又は継手板(23)とを結合する。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の鋼管杭の連結方法において、前記工程(D)の位置合せは、鋼管杭(22)と継手管又は継手板(23)の位置合用孔(291,292)に位置合用ピン(34)を打ち込んで行うことを特徴とする鋼管杭の連結方法。
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