JP2015212054A - 流路部材、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents

流路部材、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 Download PDF

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貴史 多田
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Abstract

【課題】気泡の収容量を増大させることができると共に小型化した流路部材、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体が流れる第1流路310と、前記第1流路310に連通する第1液体溜まり部320と、前記第1液体溜まり部320の鉛直方向Zの下側に設けられた第2液体溜まり部330と、前記第2液体溜まり部330に連通する第2流路340と、前記第1液体溜まり部320と前記第2液体溜まり部330とを鉛直方向で仕切ると共に、鉛直方向に対して直交する水平方向の表面を有し、該表面を介して前記液体を前記第1液体溜まり部320側から前記第2液体溜まり部330側に流通させることが可能なフィルター34と、を具備し、前記第1液体溜まり部320の内壁面には、前記フィルター34の表面の前記水平方向の延長線と90度よりも大きな角度θaで交わる傾斜内壁面322aが備えられている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、内部に流路が設けられた流路部材、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関する。
液滴を吐出する液体噴射ヘッドの代表例としては、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。このインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、インク滴をノズル開口から吐出するヘッド本体(ヘッドケース、流路ユニット及び振動子ユニットで構成されたヘッド本体)と、ヘッド本体に固定されてインクが貯留されたインクカートリッジ(液体貯留部材)からのインクを各ヘッド本体に供給する共通の流路部材(導入針ユニット)と、を具備するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このようなインクジェット式記録ヘッドでは、流路部材(導入針ユニット)にインクカートリッジに挿入されるインク供給針が設けられており、流路部材にインクカートリッジを装着することで、インク導入針がインクカートリッジに挿入されて、インクカートリッジ内のインクがインク導入針の内部を通過して流路部材に供給される。
このようにインク供給針を有する流路部材では、インク供給針の内部にインクに含まれる気泡を収容する気泡溜まりと、気泡溜まりの下流側にフィルターとが設けられており、気泡溜まりに気泡を収容することで、気泡がフィルターを塞いでフィルターの有効面積を減少させる不具合などを抑制している。
特開2009−6730号公報
しかしながら、気泡溜まりに収容された気泡が成長することで、フィルターを塞ぐため定期的な気泡を排出するクリーニングが必要になり、インクの無駄な消費が増大してしまうという問題がある。
また、気泡溜まりに収容して成長した気泡がフィルターを塞がないようにするためには、気泡溜まりを大きく取る必要があり、流路部材の大型化を招くという問題がある。
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在し、また、液体噴射ヘッド以外のデバイスに用いられる流路部材においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、気泡の収容量を増大させることができると共に小型化した流路部材、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、液体が流れる第1流路と、前記第1流路に連通する第1液体溜まり部と、前記第1液体溜まり部の鉛直方向下側に設けられた第2液体溜まり部と、前記第2液体溜まり部に連通する第2流路と、前記第1液体溜まり部と前記第2液体溜まり部とを鉛直方向で仕切ると共に、鉛直方向に対して直交する水平方向の表面を有し、該表面を介して前記液体を前記第1液体溜まり部側から前記第2液体溜まり部側に流通させることが可能なフィルターと、を具備し、前記第1液体溜まり部の内壁面には、前記フィルターの表面の前記水平方向の延長線と90度よりも大きな角度で交わる傾斜内壁面が備えられていることを特徴とする流路部材にある。
かかる態様では、第1液体溜まり部を大型化することなく、第1液体溜まり部に貯留可能な気泡の量を増大させることができ、気泡を外部に排出するクリーニング動作を行う回数を減少させて、液体の無駄な消費を抑制することができると共に、小型化を図ることができる。
ここで、前記第1液体溜まり部の内壁面は、前記傾斜内壁面よりも鉛直方向上側には、前記フィルターの前記表面に対して90度となる垂直面が設けられていることが好ましい。これによれば、第1液体溜まり部の体積が著しく減少するのを抑制して貯留可能な気泡の量が減少するのを抑制することができる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の流路部材を具備することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、流路部材内に比較的大きな気泡を貯留することで、気泡を外部に排出するクリーニング動作を行う回数を減少させて、液体の無駄な消費を抑制することができると共に、小型化を図ることができる。
また、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、液体の無駄な消費を抑制して小型化した液体噴射装置を実現できる。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係るヘッド本体の要部断面図である。 本発明の実施形態1に係る流路部材の断面図である。 本発明の実施形態1に係る流路部材の要部断面図である。 本発明の比較した流路部材の要部断面図である。 本発明の実施形態1に係る流路部材の要部断面図である。 本発明の一実施形態に係る記録装置の概略図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図である。
図1に示すように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド10は、液体としてインク滴を吐出可能なヘッド本体20と、ヘッド本体20にインクを供給する流路部材30と、ヘッド本体20と流路部材30との間に保持された配線基板40と、を具備する。
ここで、ヘッド本体20についてさらに図2を参照して詳細に説明する。なお、図2は、ヘッド本体の要部を示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態のヘッド本体20は、複数のアクチュエーターユニット210と、アクチュエーターユニット210を内部に収容可能なケース250と、ケース250の一方面に接合された流路ユニット230と、を具備する。
本実施形態のアクチュエーターユニット210は、複数の圧電アクチュエーター211がその幅方向に並設された圧電アクチュエーター形成部材212と、圧電アクチュエーター形成部材212の先端部(一端部)側が自由端となるようにその基端部(他端部)側が固定端として接合される固定板213とを有する。
圧電アクチュエーター形成部材212は、圧電材料214と、圧電アクチュエーター211の2つの極を構成する内部電極、すなわち、隣接する圧電アクチュエーター211と電気的に独立する個別電極を構成する個別内部電極215と、隣接する圧電アクチュエーター211と電気的に共通する共通電極を構成する共通内部電極216とを交互に挟んで積層することにより形成されている。
この圧電アクチュエーター形成部材212には、例えば、ワイヤーソー等によって複数のスリット217が形成され、その先端部側が櫛歯状に切り分けられて圧電アクチュエーター211の列が形成されている。
ここで、圧電アクチュエーター211の固定板213に接合される領域は、振動に寄与しない不活性領域となっており、圧電アクチュエーター211を構成する個別内部電極215及び共通内部電極216間に電圧を印加すると、固定板213に接合されていない先端部側の領域のみが振動する。そして、圧電アクチュエーター211の先端面が、後述する振動板232の島部240に接着剤等を介して固定される。
また、アクチュエーターユニット210の各圧電アクチュエーター211には、当該圧電アクチュエーター211を駆動するための駆動IC等の駆動回路220が搭載されたCOF等の回路基板221が接続されている。
流路ユニット230は、流路形成基板231、振動板232及びノズルプレート233を具備する。
流路形成基板231は、シリコン単結晶基板からなり、その一方面側の表層部分には、複数の隔壁234によって画成された圧力発生室235がその幅方向(短手方向)に並設されている。
また、各圧力発生室235の長手方向一端部側には、各圧力発生室235に液体の一例であるインクを供給するためのマニホールド236が液体供給路の一例であるインク供給路237を介して連通されている。また、流路形成基板231の圧力発生室235の開口面側は振動板232で封止され、他方面側にはノズル開口238が穿設されたノズル形成部材の一例であるノズルプレート233が接着剤や熱溶着フィルムを介して接着されている。ノズルプレート233のノズル開口238と圧力発生室235とは、流路形成基板231を貫通して設けられたノズル開口連通孔239を介して連通している。
振動板232は、例えば、樹脂フィルム等の弾性部材からなる第1の部材である弾性膜232aと、この弾性膜232aを支持する、例えば、金属材料等からなる第2の部材である支持板232bとの複合板で形成されており、弾性膜232a側が流路形成基板231に接合されている。例えば、本実施形態では、第1の部材である弾性膜232aは、厚さが数μm程度のPPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルムからなり、第2の部材である支持板232bは、厚さが数十μm程度のステンレス鋼板(SUS)からなる。
また、振動板232の各圧力発生室235に対向する領域内には、圧電アクチュエーター211の先端部が当接する島部240が設けられている。すなわち、振動板232の各圧力発生室235の周縁部に対向する領域に他の領域よりも厚さの薄い薄肉部241が形成され、この薄肉部241の内側にそれぞれ島部240が設けられている。このような島部240には、上述したアクチュエーターユニット210の圧電アクチュエーター211の先端部が例えば、接着剤等を介して固定される。
また、振動板232のマニホールド236に対向する領域には、薄肉部241と同様に、支持板232bがエッチングにより除去されて実質的に弾性膜232aのみで構成されるコンプライアンス部242が設けられている。なお、このコンプライアンス部242は、マニホールド236内に圧力変化が生じた時に、このコンプライアンス部242の弾性膜232aが変形することによって圧力変化を吸収し、マニホールド236内の圧力を常に一定に保持する役割を果たす。
なお、本実施形態では、振動板232を弾性膜232aと支持板232bとで構成し、島部240の周辺部及びコンプライアンス部242を弾性膜232aのみで構成したが、特にこれに限定されず、例えば、振動板として、1枚の板状部材を用いて、板状部材の厚さ方向の一部を除去した凹形状の薄肉部241等を設けることで、島部240及びコンプライアンス部242を形成するようにしてもよい。
ケース250は、流路形成基板231の振動板232上に固定されたものであり、振動板232とは反対側に設けられた流路部材30に配線基板40を介して接続されて、図示しないインクカートリッジ等の液体貯留部からインクをマニホールド236に供給するインク導入路251が設けられている。
また、ケース250には、厚さ方向に貫通する複数の収容部252が設けられており、各収容部252にアクチュエーターユニット210が位置決めされて固定されている。本実施形態では、アクチュエーターユニット210を8個設け、アクチュエーターユニット210がそれぞれ独立して収容されるように8個の収容部252を設けるようにした。
また、ケース250には、コンプライアンス部242に対向する領域に開口する凹形状を有するコンプライアンス空間253が設けられている。このコンプライアンス空間253によってコンプライアンス部242は変形可能に保持される。
さらに、図1に示すように、ケース250の振動板232に接合された面とは反対側の面には、回路基板221の各配線が接続される導電パッドが設けられた配線基板40が固定されている。ケース250の収容部252は、この配線基板40によって実質的に塞がれている。配線基板40には、ケース250の収容部252に対抗する領域にスリット状の開口部41が形成されており、回路基板221はこの配線基板40の開口部41から収容部252の外側に引き出されて配線基板40のケース250とは反対側の面で配線基板40と電気的に接続されている。
また、配線基板40には、流路部材30の流路が内部に設けられた突起部を挿通する挿通部42が設けられており、挿通部42を挿通した流路部材30の流路とインク導入路251とが連通する。
このようなヘッド本体20では、インク滴を吐出する際に、圧電アクチュエーター211及び振動板232の変形によって各圧力発生室235の容積を変化させて所定のノズル開口238からインク滴を吐出させるようになっている。具体的には、図示しないインクカートリッジからケース250に設けられたインク導入路251を介してマニホールド236にインクが供給されると、インク供給路237を介して各圧力発生室235にインクが分配される。実際には、圧電アクチュエーター211に電圧を印加することにより圧電アクチュエーター211を収縮させる。これにより、振動板232が圧電アクチュエーター211と共に変形されて圧力発生室235の容積が広げられ、圧力発生室235内にインクが引き込まれる。そして、ノズル開口238に至るまで内部にインクを満たした後、回路基板221を介して供給される記録信号に従い、圧電アクチュエーター211の電極215、216に印加していた電圧を解除する。これにより、圧電アクチュエーター211が伸張されて元の状態に戻ると共に振動板232も変位して元の状態に戻る。結果として圧力発生室235の容積が収縮して圧力発生室235内の圧力が高まりノズル開口238からインク滴が吐出される。
一方、流路部材30は、ヘッド本体20のケース250に配線基板40を間に挟んだ状態で固定される。ここで、流路部材30についてさらに図3〜図6を参照して詳細に説明する。なお、図3は、本発明の実施形態1に係る流路部材を示す断面図であり、図4は、図3の要部を拡大した断面図であり、図5は、比較例の流路部材の内部にインク及びインクに混入した気泡が取り込まれた状態を示す図であり、図6は、流路部材の変形例を示す内部にインク及びインクに混入した気泡が取り込まれた状態を示す図である。
図示するように本実施形態の流路部材30は、第1流路部材31、第2流路部材32及び第3流路部材33が積層されて構成されたものであり、内部にインクが流れる流路300が設けられている。
具体的には、流路部材30は、第1流路部材31と、第2流路部材32と、第3流路部材33と、が鉛直方向Zに積層されて構成されたものである。本実施形態では、第1流路部材31を鉛直方向上側、第3流路部材33を鉛直方向下側として、ヘッド本体20が第3流路部材33の第2流路部材32とは反対側に、すなわち、鉛直方向Zの下側に配置されるようにした。
この流路部材30に設けられた流路300は、第1流路310と、第1流路310に連通する第1液体溜まり部320と、第1液体溜まり部320に鉛直方向Zで連通する第2液体溜まり部330と、第2液体溜まり部330に連通する第2流路340と、を具備する。そして、第1液体溜まり部320と第2液体溜まり部330との間には、鉛直方向Zに対して直交する水平方向Xが面方向となるように配置されたフィルター34が設けられている。
第1流路310は、第1流路部材31の鉛直方向Zの上面に一体的に形成された針部35内に設けられた第1流路垂直部311と、第1流路垂直部311に連通すると共に第1液体溜まり部320に連通する第1流路水平部312と、を具備する。
第1流路垂直部311は、鉛直方向Zに沿ってインクが流れるように設けられている。また、第1流路垂直部311は、針部35の先端において開口面積が徐々に漸減するテーパー形状に形成されており、針部35の先端部よりも下側では、鉛直方向Zに略同一の開口面積で形成されている。つまり、第1流路垂直部311は、針部35の先端部以外では、水平方向Xの断面積がインクの流れる方向に向かって略同一で形成されている。本実施形態では、第1液体溜まり部320と第2液体溜まり部330とを設けるようにしたため、針部35の内部に気泡溜まり部となる空間を鉛直方向に長く設ける必要がない。すなわち、本実施形態では、針部35の内部にフィルターを設けることなく、針部35よりも下流に第1液体溜まり部320と第2液体溜まり部330とを設け、これらの間にフィルター34を設けるようにしている。したがって、針部35の鉛直方向Zの長さを短くして、流路部材30全体の鉛直方向の高さを低くすることができる。
また、第1流路水平部312は、鉛直方向Zに対して直交する水平方向Xに沿って設けられている。このような第1流路水平部312は、第1流路部材31の第2流路部材32側に溝状に形成されている。
なお、本実施形態では、第1流路310として、第1流路垂直部311と第1流路水平部312とを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、第1流路310は、第1流路垂直部311及び第1流路水平部312の何れか一方のみで構成されていてもよい。また、第1流路垂直部311及び第1流路水平部312は、鉛直方向Zに沿った方向及びこれに直交する水平方向Xに限定されず、鉛直方向Z及び水平方向Xに交差する傾斜方向に延設されたものであってもよい。
第1液体溜まり部320は、本実施形態では、第2流路部材32と第3流路部材33とに亘って設けられている。具体的には、第1液体溜まり部320は、第2流路部材32に鉛直方向Zに貫通して設けられた第1部321と、第3流路部材33の第2流路部材32側に設けられた第2部322と、を具備する。
第1液体溜まり部320の第1部321は、第2流路部材32に鉛直方向Zに貫通して設けられたものであり、水平方向Xの開口面積が鉛直方向Zに亘って略同一となるように形成されている。これにより、第1部321の内壁面は、鉛直方向Zに沿った垂直面321aとなっている。
第1液体溜まり部320の第2部322は、第1部321に鉛直方向Zの下側に連通して設けられたものであり、第3流路部材33の第2流路部材32側の面に凹形状に形成されている。また、第2部322は、第1部321側の開口は、第1部321と略同じ開口面積で形成され、第1部321とは反対側、すなわち、鉛直方向Zの下側に向かって水平方向Xの開口面積が徐々に漸減するように設けられている。つまり、第2部322の内壁面は、第1部321の垂直面321aとの間に段差が形成されることなく連続して形成され、且つ、水平方向X、すなわち、第1液体溜まり部320の底面320aに対して90度よりも大きな角度θaで形成された傾斜内壁面322aとなっている。すなわち、傾斜内壁面322aは、第1液体溜まり部320の底面320aであって、フィルター343を載置している面(フィルター34の表面と同様に水平方向Xに延びる平面)に対して、90度<θa<180度となる角度で形成されている。つまり、第1液体溜まり部320は、内壁面の少なくともフィルター34側が、水平方向Xに延びる底面320aに対して傾斜した傾斜内壁面322aとなっている。なお、本実施形態では、フィルター34は、底面320aと同様にその表面が水平方向Xに延びるように配置されている。したがって、傾斜内壁面322aは、フィルター34の表面の水平方向Xの延長線と90度よりも大きな角度θaで交わっていると言い換えることができる。
第2液体溜まり部330は、第1液体溜まり部320の鉛直方向Zの下側に配置されて、第1液体溜まり部320に連通する。この第2液体溜まり部330は、第1液体溜まり部320と連通する側の開口が第1液体溜まり部320の第2液体溜まり部330側の開口よりも小さい開口面積で形成されている。また、第2液体溜まり部330は、鉛直方向下側に向かって断面積が徐々に漸減するテーパー形状を有する。そして、この第2液体溜まり部330と第1液体溜まり部320との間、すなわち、第2液体溜まり部330の開口部分には、フィルター34が面方向が水平方向Xとなるように設けられている。
このようなフィルター34は、インクに含まれるゴミや気泡などの異物を除去するためのものであり、例えば、金属や樹脂等の繊維を細かく編むことで複数の微細孔が形成されたシート状のものや、金属や樹脂等の板状部材に複数の微細孔を貫通させたものなどを用いることができる。また、フィルター34は、不織布等を用いるようにしてもよく、その材料は特に限定されるものではない。本実施形態では、第2液体溜まり部330を第1液体溜まり部320の中央部に開口して設けるようにした。
第2流路340は、一端が第2液体溜まり部330の鉛直方向Zの下側に連通して設けられており、他端がヘッド本体20のインク導入路251に連通して設けられている。これにより、フィルター34を通過したインクをヘッド本体20に供給する。このような第2流路340は、鉛直方向Zに沿って延設されている。もちろん、第2流路340は、第1流路310と同様に、垂直流路と水平流路とで構成されたものや水平方向及び鉛直方向に交差する方向に傾斜した流路等であってもよい。
このような流路部材30では、第1流路310から供給されたインクを、第1液体溜まり部320、第2液体溜まり部330、及び第2流路340を介してヘッド本体20に供給する。このとき、フィルター34によって捕捉された気泡500は、図4に示すように、第1液体溜まり部320内に貯留される。第1液体溜まり部320に貯留された気泡500は、浮力によって第1液体溜まり部320の鉛直方向Zの上側に移動して徐々に成長する。このように第1液体溜まり部320に貯留された気泡500は、成長することによって徐々にフィルター34の表面に近づき、気泡500がフィルター34の表面を覆うと、フィルター34のインクを通過する有効面積が減少して、流路抵抗が増大し、ヘッド本体20へのインク供給不良によるインク吐出不良が発生する虞がある。本実施形態では、第1液体溜まり部320の内壁面のフィルター34側を傾斜内壁面322aとしたため、第1液体溜まり部320内に貯留可能な気泡500の量を多くすることができる。すなわち、インクの密度、インクの粘度などによって規定される表面張力によって気泡500とインクとの境界におけるインクの接触角θbが規定されるため、第1液体溜まり部320のフィルター34側を傾斜内壁面322aとすることで、傾斜内壁面322a上における気泡500とインクとの境界からフィルター34側への気泡500の突出量h1が小さくなる。これに対して、図5に示すように、第1液体溜まり部320に傾斜内壁面322aを設けずに、垂直面321aのみで構成した場合、すなわち、角度θaが90度の場合には、インクの接触角θbは変化しないことから、内壁面(垂直面321a)上における気泡500とインクとの境界からフィルター34側への気泡500の突出量h2は大きくなる。つまり、本実施形態のように第1液体溜まり部320に傾斜内壁面322aを設けることで、図5に示すように、傾斜内壁面322aを設けない場合に比べて、領域Aの分だけ気泡500を貯留できる量を増大させることができる。このように、本実施形態では、第1液体溜まり部320の容積を増大させることなく、第1液体溜まり部320に貯留できる気泡500の量を増大することができる。これにより、第1液体溜まり部320内に貯留された気泡500を排出するクリーニング動作を行わせる頻度を低減して、インクの無駄な消費を抑制することができる。また、第1液体溜まり部320の容積、特に鉛直方向Zの高さを大型化することなく、気泡500の貯留量を増大することができるため、流路部材30の小型化、特に鉛直方向Zの小型化を図ることができる。
なお、本実施形態では、第1液体溜まり部320のフィルター34側の内壁面を傾斜内壁面322aとするようにしたが、この傾斜内壁面322aは、図4に示すように、壁面を垂直面321aより内側であるフィルター34側に突出させることで形成されている。したがって、傾斜内壁面322aを形成することで、第1液体溜まり部320の容積は減少する。すなわち、傾斜内壁面322aの角度θaを大きくし過ぎると、第1液体溜まり部320の容積が減少することによって、貯留可能な気泡500の量が減少する。つまり、図6に示すように、傾斜内壁面322aの角度θaを図4に示す傾斜内壁面322aよりも大きくした場合、気泡500が貯留可能な量は、領域Bの分だけ増大するものの、傾斜内壁面322aがせり出した分、すなわち、領域Cの分だけ減少する。つまり、傾斜内壁面322aの角度θaによって気泡500の突出量を減少させて増加される量と、傾斜内壁面322aのせり出しによって減少される量との関係はトレードオフの関係となる。
ここで、インクの表面張力を30.5mN/mとした場合のインクの壁面接触角θbを25度とし、傾斜内壁面322aの角度θaを変化させた場合の気泡500を貯留可能な量、すなわち、フィルター34の表面に気泡500が接触するまでの最大の気泡貯留量(気泡体積)を算出した。この結果を下記表1に示す。
Figure 2015212054
表1に示すように、第1液体溜まり部320のフィルター34側の内壁面が垂直面321a、すなわち、90°の場合に比べて、フィルター34側の内壁面を傾斜させた傾斜内壁面322aとした方が、第1液体溜まり部320に貯留可能な気泡の体積は増大させることができる。また、傾斜内壁面322aの角度θaは、90度<θa<180度であれば、気泡500の体積を増加させることができるものの、角度θaは、110度<θa<135度が好ましい。特に、傾斜内壁面322aの角度θaを120度とすることで、第1液体溜まり部320に貯留可能な気泡500の容積を最も大きくすることができる。なお、傾斜内壁面322aの角度θaは、インクの表面張力等の特性や第1液体溜まり部320の材質等によって接触角が変わるため、その最適な値は変化するものである。したがって、インクの特性や流路部材30の材質等によって角度θaは適宜設定すればよい。
なお、特に図示していないが、第1液体溜まり部320や第1流路310等には、気泡によって流路が塞がれた際に、インクを流すための溝を壁面に設けるようにしてもよい。これにより、気泡が流路を塞いでインクが供給できなくなるのを抑制することができる。
このように、本実施形態では、第1液体溜まり部320のフィルター34側に傾斜内壁面322aを設けることで、第1液体溜まり部320を大型化することなく、第1液体溜まり部320内に貯留可能な気泡500の量を増大させることができる。したがって、流路部材30の小型化を図ることができると共に、気泡500を排出するクリーニング動作の頻度を減少させて、無駄なインクの消費を抑制することができる。
また、第1液体溜まり部320の傾斜内壁面322aの鉛直方向Zの上側の内壁面を垂直面321aとしたため、第1液体溜まり部320内に貯留可能な気泡500の量が減少するのを抑制することができる。ちなみに、第1液体溜まり部320の内壁面に垂直面321aを設けずに、内壁面を傾斜内壁面322aのみで形成してもよいが、傾斜内壁面322aのみで形成することによって、第1液体溜まり部320のインクや気泡500の排除体積が増大してしまうため、気泡500を貯留可能な量があまり多くならない虞があるため好ましくない。つまり、本実施形態では、第1液体溜まり部320の傾斜内壁面322aの鉛直方向Zの上側の内壁面を垂直面321aとすることで、第1液体溜まり部320内の傾斜内壁面322aを形成することによる排除体積をできるだけ減少させて、第1液体溜まり部320内に貯留可能な気泡500の量を増大させることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態1では、第1液体溜まり部320のフィルター34側に傾斜内壁面を周方向に亘って設けるようにしたが、特にこれに限定されず、傾斜内壁面は、第1液体溜まり部320の周方向に一部に設けられていても、第1液体溜まり部320内に貯留可能な気泡の量を増大させることができる。
また、上述した実施形態1では、流路部材30に第1流路310、第1液体溜まり部320、第2液体溜まり部330及び第2流路340を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、第1液体溜まり部320と第2液体溜まり部330とが設けられていれば、その他の流路が設けられていなくても、またさらに他の流路が設けられていてもよい。
さらに、上述した実施形態1では、圧力発生室235に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、圧電材料214と電極215、216とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーター211を用いて説明したが、圧力発生手段としては、特にこれに限定されず、例えば、電極及び圧電材料を成膜及びリソグラフィー法により積層形成した薄膜型、グリーンシートを添付する等の方法により形成される圧膜型などの撓み振動型の圧電アクチュエーターを用いることができる。また、圧力発生手段として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
また、これら各実施形態のインクジェット式記録ヘッド10は、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備するインクジェット式記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図7は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図7に示すインクジェット式記録装置Iにおいて、複数のインクジェット式記録ヘッド10を有するインクジェット式記録ヘッドユニット1(以下、ヘッドユニット1とも言う)は、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、このヘッドユニット1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動可能に設けられている。この記録ヘッドユニット1は、例えば、ブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、ヘッドユニット1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
また、上述したインクジェット式記録装置Iでは、インクジェット式記録ヘッド10(ヘッドユニット1)がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクジェット式記録ヘッド10が固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
さらに、上述した例では、流路部材30を具備するインクジェット式記録ヘッド10について説明したが、インクジェット式記録ヘッド10以外の部分に流路部材30が設けられたインクジェット式記録装置にも本発明は適用することができる。具体的には、インクが貯留された貯留手段がキャリッジ3に搭載されずに装置本体4に固定されて、貯留手段とヘッド本体20とをチューブ状の供給管で接続するインクジェット式記録装置の場合、例えば、貯留手段を設置する場所に上述した流路部材30が設けられていてもよい。
なお、上記実施の形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを、また液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド及び液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドや液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置にも適用できる。
また、本発明は液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に搭載される流路部材に限定されず、その他のデバイスに搭載される流路部材についても適用可能である。
I インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 10 インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 20 ヘッド本体、 30 流路部材、 31 第1流路部材、 32 第2流路部材、 33 第3流路部材、 34 フィルター、 35 針部、 40 配線基板、 300 流路、 310 第1流路、 311 第1流路垂直部、 312 第1流路水平部、 320 第1液体溜まり部、 321 第1部、 321a 垂直面、 322 第2部、 322a 傾斜内壁面、 330 第2液体溜まり部、 340 第2流路、 500 気泡

Claims (4)

  1. 液体が流れる第1流路と、
    前記第1流路に連通する第1液体溜まり部と、
    前記第1液体溜まり部の鉛直方向下側に設けられた第2液体溜まり部と、
    前記第2液体溜まり部に連通する第2流路と、
    前記第1液体溜まり部と前記第2液体溜まり部とを鉛直方向で仕切ると共に、鉛直方向に対して直交する水平方向の表面を有し、該表面を介して前記液体を前記第1液体溜まり部側から前記第2液体溜まり部側に流通させることが可能なフィルターと、
    を具備し、
    前記第1液体溜まり部の内壁面には、前記フィルターの表面の前記水平方向の延長線と90度よりも大きな角度で交わる傾斜内壁面が備えられていることを特徴とする流路部材。
  2. 前記第1液体溜まり部の内壁面は、前記傾斜内壁面よりも鉛直方向上側には、前記フィルターの前記表面に対して90度となる垂直面が設けられていることを特徴とする請求項1記載の流路部材。
  3. 請求項1又は2に記載の流路部材を具備することを特徴とする液体噴射ヘッド。
  4. 請求項3記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
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