JP2015211197A - 放熱構造体及び放熱構造体を備える太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで量産可能な可撓性を有するフィン付きの放熱シートにおいて、各放熱フィンの角度調整を容易に行えるようにし、その実施時おける放熱効果を更に向上させた放熱構造体を提供すること。【解決手段】熱伝導体11上に、複数の放熱フィン12が設置されてなる放熱構造体1を、放熱フィン12は、樹脂を含んでなる輻射層3によって金属箔2が被覆されてなる突起物であって、全ての放熱フィン12は、放熱フィン立上げ用補助糸5で連接されていて、放熱フィン立上げ用補助糸5は、相互に隣接する放熱フィン12間のピッチに等しい長さ毎に、放熱フィン立上げ用補助糸5に設けられた止着点51において、各放熱フィン12に止着されている放熱構造体とする。【選択図】図1
Description
本発明は、放熱構造体、及び放熱構造体を備える太陽電池モジュールに関する。
近年、環境に対する意識の高まりとともに太陽電池発電によるエネルギーの供給が注目されている。
太陽光エネルギーを直接電気に変換する太陽電池の心臓部を構成する太陽電池素子は、単結晶、多結晶のシリコンセル(結晶系シリコンセル)を用いたものや、アモルファスシリコン、化合物半導体を用いたもの(薄膜系セル)等が用いられる。一般に太陽電池素子は、実用的な電気出力を発生させるために複数の太陽電池素子を接続し、太陽電池素子を保護するため、太陽電池モジュールを形成して使用される。
太陽電池モジュールは、受光面をガラス等の透明前面基板で覆い、表面封止材層、太陽電池素子、背面封止材層、及び裏面保護シート等を順次積層し、これらの各部材を熱ラミネーション法により一体化することによって形成される。
太陽電池モジュールにおいて電気を生成する太陽電池素子は、一般に、温度上昇に伴って発電効率が低下することが知られている。温度上昇に伴う発電効率の低下は、結晶タイプのシリコン太陽電池素子で1℃上昇する毎に約0.50%低下し、温度上昇の影響か比較的小さいと言われているアモルファスシリコン太陽電池素子においても、1℃上昇する毎に約0.25%程度低下すると言われている。よって、基本的に屋外の直射日光化に設置される太陽電池モジューの発電効率をより高い範囲に維持するためには、温度上昇を抑えるための所謂ヒートシンク等の放熱手段を備えることが必須となる。
このような温度上昇を抑えるための放熱手段として、従来、太陽電池モジュールに用いられてきたヒートシンクは、材料のコスト、等の観点から、アルミニウムやアルミニウム合金の鋳造品が用いられることが一般的であった。アルミ鋳造品のヒートシンクは、熱伝導率は高いものの、放熱効率は十分な特性があるとは言えず、それのみでは、十分な冷却性能を持っているとは言い難いものであった。これは、アルミ鋳造品のヒートシンクに、熱伝導により熱は移動するが熱の放出が十分でないため、全体として温度が上昇する、「熱がこもる」という状態に陥るためである。
特許文献1〜3には、上記の「熱がこもる」状態を回避して十分な放熱を行うことを目的とした太陽電池モジュールが開示されている。特許文献1では、放熱フィンとヒートポンプを組み合わせて設置し、更にヒートパイプを設けることで放熱を促進する太陽電池モジュールが開示されている。又、特許文献2には、太陽電池モジュールとセット面の間に空冷層を設けることによって、放熱を促進する放熱フィン付の太陽電池モジュールが開示されている。更に特許文献3には、下面側に設置する放熱手段を可撓性を有するフィン付き放熱シートとした太陽電池モジュールが開示されている。
特許文献1及び特許文献2に記載の太陽電池モジュールは、いずれも、放熱手段の追加的構成にかかるコストが嵩み、結果として太陽電池モジュールのコストパフォーマンスを低下させてしまう点で好ましくない。
特許文献3に記載のフィン付き放熱シートのように、一般に金属と比較して輻射による放熱性能において相対的に優れる樹脂からなる放熱フィンを備える放熱構造体を用いれば、特許文献1及び2に記載の太陽電池モジュールのようなコスト上昇は回避できる。
しかしながら、特許文献3に記載のフィン付き放熱シートは、太陽電池モジュールに設置後における各放熱フィンの設置角度を最適な角度に適切に調整することが極めて困難であった。一般的に放熱フィン付きの放熱シートは、放熱効果を十分に発揮させるために、各放熱フィンを最適な角度で、且つ、相互に平行を保つ位置に保持することが求められる。しかし、特許文献3に記載の放熱シートにおいては、実施時におけるフィン角度の最適調整を適切に行うことは極めて困難であった。そして、そのことが、低コストで量産可能な可撓性を有するフィン付きの放熱シートの広範な普及を妨げる一要因となっていた。
本発明が解決しようとする課題は、低コストで量産可能な可撓性を有するフィン付きの放熱シートにおいて、各放熱フィンの角度調整を容易に行えるようにし、その実施時おける放熱効果を更に向上させた放熱構造体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、熱伝導体上に、複数の放熱フィンが設置されてなる放熱構造体において、各フィンを放熱フィン立上げ用補助糸で連接する構成を備えさせることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に本発明は以下のものを提供する。
(1) 熱伝導体上に、複数の放熱フィンが設置されてなる放熱構造体であって、前記放熱フィンは、樹脂を含んでなる輻射層によって金属箔が被覆されてなる突起物であって、前記放熱フィンは、放熱フィン立上げ用補助糸で連接されていて、前記放熱フィン立上げ用補助糸は、相互に隣接する放熱フィン間のピッチに等しい長さ毎に、前記放熱フィン立上げ用補助糸に設けられた止着点において、各放熱フィンに止着されている放熱構造体。
(1)の発明は、放熱構造体における放熱フィンの構造を、熱伝導性に優れる金属箔を放射率の高い樹脂材料によって被覆する構成とし、これにより、放熱構造体の放熱性能を向上させた。そして、その上で、更に、放熱構造体を、所定の態様で各々の放熱フィンを連接する放熱フィン立上げ用補助糸を備えるものとした。このような(1)の発明によれば、その実施時において、放熱フィンの設置角度の最適化調整を簡便に行うことができる。これにより、低コストで製造可能な放熱構造体でありながら、十分な放熱性能を、容易に、且つ、高い確度で発現させることができる。
(2) 前記放熱フィン立上げ用補助糸が、100℃より高い融点温度を有する耐熱性樹脂からなる(1)に記載の放熱構造体。
(2)の発明によれば、放熱構造体を太陽電子モジュールの一部として一体化する熱ラミネート処理を行う場合に、一般的に想定される範囲の加熱温度であれば、その加熱温度の設定にかかわらず、一体化後の太陽電池モジュールにおいて、(1)の発明の効果を十分な確実性で発揮させることができる。
(3) 金属箔の片面に前記輻射層を形成した積層体フィルムを折り加工することによって、前記熱伝導体及び前記放熱フィンを一体成型したものである(1)又は(2)に記載の放熱構造体。
(3)の発明によれば、生産性向上が容易な折り加工によって放熱フィンの形状付与を行うことができる。これにより、放熱構造体の表面積増大による放熱効率と、形状付与後の形状安定性を、高い生産性の下でいずれも十分に向上させることができる。
(4) 金属箔の両面に前記輻射層を設けた積層体からなる放熱フィンが、前記熱伝導体の表面に、該積層体の切片の一辺を成す断面を向かい合わせて固定されている(1)又は(2)に記載の放熱構造体。
(4)の発明によれば、放熱構造体の製造における放熱フィンのサイズや配置の自由度を高めることができる。これにより、様々な実施条件に柔軟に対応可能な放熱構造体を得ることができる。
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の放熱構造体がロール状に巻かれてなる放熱構造体の保存及び輸送用ロール体。
(5)の発明によれば、従来の金属製のヒートパイプ等と比較して、放熱構造体の輸送及び保存の取り扱い性が著しく向上する。
(6) (1)から(4)のいずれかに記載の放熱構造体を備える太陽電池モジュール。
(6)の発明によれば、低コストでありながら、放熱効率が高い放熱構造体を備える太陽電池モジュール、即ち、より安価で発電効率の高いコストパフォーマンスの高い太陽電池モジュールを得ることができる。
本発明の放熱構造体によれば、低コストで量産可能な可撓性を有するフィン付きの放熱シートにおいて、各放熱フィンの角度調整を容易に行えるようにし、その実施時おける放熱効果を更に向上させた放熱構造体を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳しく説明する。尚、本願発明は、以下の実施形態に限定されない。本発明の構成要件を備える限り、目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。尚、図面は概念図であり、説明上の都合に応じて適宜、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
本明細書において、「シート面」とは、本発明の一実施形態であるシート状の放熱構造体1の熱伝導体11の平面方向と一致する面のことを意味する。「シート面」とは、通常、シート状の放熱構造体1の熱伝導体11の表面又はこれに平行な面のことを言い、図1においては、XY平面又はこれと平行な面のことを言う。
又、本明細書において「平面視形状」とは「シート面」に平行な面における形状のことを意味する。言い換えると、「平面視形状」とは、「シート面」に立てた法線の方向(図1においては、Z軸方向)から見た形状のことを言うものとする。
[放熱構造体]
本発明の実施形態である放熱構造体1は、図4及び図5示す通り、山折り部21を中心とした突起部である放熱フィン12が複数形成され、表面積の増大効果によって、放熱性能が向上している。そして、図7に示すように、太陽電池モジュール6の太陽光入射面10と反対側の面に放熱構造体1を設けることにより、太陽電池モジュールの温度上昇を抑制して、これにより、太陽電池モジュールの発電効率の低下を防止することができる。
本発明の実施形態である放熱構造体1は、図4及び図5示す通り、山折り部21を中心とした突起部である放熱フィン12が複数形成され、表面積の増大効果によって、放熱性能が向上している。そして、図7に示すように、太陽電池モジュール6の太陽光入射面10と反対側の面に放熱構造体1を設けることにより、太陽電池モジュールの温度上昇を抑制して、これにより、太陽電池モジュールの発電効率の低下を防止することができる。
放熱構造体1は、図1に示すように、シート面を形成する熱伝導体11上に複数の放熱フィン12が設置されてなる。複数の放熱フィン12は、放熱フィン立上げ用補助糸5によって等間隔で連接されている。放熱フィン12は、より詳しくは、相互に隣接する放熱フィン間のピッチ(Psx:図4参照)に等しい長さ毎に、放熱フィン立上げ用補助糸5に設けられた止着点51において、放熱フィン立上げ用補助糸5に止着されている。
尚、図1の放熱構造体1は、全ての放熱フィン12が放熱フィン立上げ用補助糸5に連接されているが、本発明の放熱構造体は、必ずしも、全ての放熱フィンが連接されていることを必須の要件とはしない。例えば、一定数以上の一部の放熱フィンのみが連接されていてもよいし、或いは、放熱フィンが一つ置きに止着されていても良い。このような態様の放熱構造体であっても、本発明の効果を奏することは可能であり、又、こうすることで、モジュール作成後に架台等に設置する際の施工性を損ねないというメリットもある。
熱伝導体11は、金属箔等、熱伝導性の高い材料を含んで形成されるシート状の基材である。当該基材は、可撓性を有するシートやフィルムであることが好ましい。熱伝導体11が可撓性を有するシート等であることにより、設置対象となる太陽電池モジュールにおける設置対象面の凹凸への追従性や、それらの設置対称面が曲面である場合における追従性が高まり、放熱構造体1の好適な使用可能範囲が広がる。
放熱フィン12は、金属箔2が輻射層3によって被覆されている構造を有する突起物である。放熱フィン12は、少なくとも、放熱構造体1の使用時においては、熱伝導体11のシート面に対して垂直、或いは同面に対して所望の同一角度で、複数のフィンが略平行に設置されている。このように、複数の放熱フィン12が、使用時において、相互に平行な位置に設置されている態様とすることによって、放熱構造体1の放熱性能を最大化することができる。
図1に示す通り、金属箔2が輻射層3によって被覆されている放熱フィン12を有する放熱構造体1は、例えば、金属箔2の一方の面に樹脂を含む輻射層3を設けた積層体フィルムに山折り部21と谷折り部22の形状を交互に付与する折り加工によって一体的に形状付与することによって製造することができる。このような製造方法によって製造された放熱構造体1は、熱源との密着を実現するために、金属箔2と輻射層3の積層体の前記輻射層3と反対である他方の表面に接着層4を形成したものであることが好ましい。
又、本発明の放熱構造体は、図3に示す構造からなる放熱構造体1Aであってもよい。放熱構造体1Aは、金属箔2の両面に少なくとも1層以上の樹脂を含む輻射層3を設けた積層体からなる放熱フィン12Aが設置されたことを特徴とする放熱構造体である。放熱構造体1Aは、熱源に設けられた熱伝導体11の表面に放熱フィン12Aを構成する積層体の切片の一辺を成す断面を向かい合わせて固定することにより形成することができる。
放熱構造体1及び放熱構造体1Aは、いずれも、輻射層3による放熱構造体1の単位表面積あたりの放熱効率の向上の効果によって、高い放熱効率を有し、優れた冷却性能を発揮することができる。以下、折り加工による形状付与によって得ることのできる放熱構造体1を本発明の放熱構造体の代表的な実施形態とし、これについて説明する。
放熱構造体1における放熱フィン12の好ましい配置間隔(ピッチ)とサイズ(高さ)について説明する。図4は放熱構造体1の説明図である。(a)は図1の平面視形状であり、(b)は図4の(a)に図示したA−A断面における断面図である。放熱フィン12のピッチPsx(図4(a)及び(b)参照)は、3〜100mm程度であることが好ましく、5mm〜50mmであることがより好ましく、7mmであることがより好ましい。ピッチPsxが十分に広い場合には、単位面積当りの放熱フィンの個数は多いほど放熱効果は高まるが、放熱フィンのピッチPsxが7mmより少なくなると、近接する放熱フィン同士が相互の放熱作用によって、相互に放熱効率を引き下げてしまうためである。
放熱フィン12の高さHs(図4(b)参照)は、実施可能な範囲で高いほど放熱効率が向上する。但し、一般的な太陽電池モジュールとの一体化時に、外枠フレームから露出しない高さであることが設置の容易性や美観上好ましい。又、放熱構造体1の放熱フィン12は、可撓性を有する素材からなるものであることも鑑みると、概ね、高さ5mm〜500mm程度であることが実施上好ましい範囲となる。尚、放熱フィンの高さHsについては、基本的に各放熱フィンの高さが同一であることが好ましい。同一高さのものを連続して形成するものとすることにより、放熱構造体の生産性を高めることができる。
又、特に、放熱構造体1を設置する太陽電池モジュール等の熱源に均一な温度分布が要求される場合には、放熱フィン12のピッチPsxについては、高温となる部位においては、ピッチPsxを相対的に小さくし、放熱フィンの高さHsについては、相対的に高さHsを大きくし、その一方、比較的熱の発生が少ない定温の部位においては、放熱フィン12のピッチPsxを相対的に大きくし、その高さHsについては、相対的に高さを小さくすることによって、熱分布の均一化を図ることもできる。
放熱フィン12の設置角度については、放熱効率を高めるために、少なくともその使用時において、各々の放熱フィン12が相互に平行な位置に設置されていることが求められる。一般的には、各々の放熱フィン12が相互に平行になる角度で設置されていることが好ましい。但し、個々の放熱構造体の設置場所の環境や設置態様(地面に対する角度等)によっては、それぞれ最適な設置角度が異なるため、それぞれ個別に最適な設置角度に調整して使用することが更に好ましい。
ここで、放熱構造体1は、放熱フィン12を形成する材料が、樹脂や金属箔等、可撓性を有するものであるため、従来のアルミ鋳造品等の放熱構造体と異なり、放熱フィン12の設置角度を設置態様に応じて柔軟且つ自在に変更することができる点で有利である。但し、このような設置角度調整におけるフレキシビリティは、一方ではフィン角度のバラツキの原因ともなる。このため、本発明以前の可撓性を有するタイプの放熱構造体においては、放熱フィンの角度を所定の角度で平行に保持することは、極めて困難であった。
本発明の放熱構造体1は、特に、独自の構成要件である放熱フィン立上げ用補助糸5を備えることにより、上記の困難性を克服して放熱フィンの設置角度の調整を簡便に行えるように改良したものである。以下に、放熱構造体1において放熱フィン立上げ用補助糸5が果たす作用と効果について説明する。
図1、図4及び図5に示す通り、放熱フィン立上げ用補助糸5は、放熱構造体1において、複数の放熱フィン12を、それぞれの放熱フィン12のピッチPsxに等しい距離で連接する。又、放熱フィン立上げ用補助糸5は、耐熱性の樹脂からなる糸であることが好ましい。又、放熱フィン立上げ用補助糸5の材料樹脂とする耐熱性樹脂の融点は、100℃より高い温度であることが好ましい。ここで、放熱構造体1を太陽電池モジュールと熱ラミネーション処理によって一体化する場合、一般的なラミネーション温度は、概ね100℃〜200℃の範囲内である。よって、放熱フィン立上げ用補助糸5の融点を100℃より高い温度、好ましくは、200℃以上とすることにより、上記温度範囲の加熱条件下においても、放熱フィン立上げ用補助糸5の熱溶融による破損を十分に回避することができる。
放熱フィン立上げ用補助糸5としては、具体的には、ポリプロピレン、ナイロン、ビニロン等の耐熱性樹脂からなる耐熱性の糸を好ましく用いることができる。尚、ポリプロピレンの融点は165℃程度であり、ナイロン、ビニロンの融点は220℃程度である。
放熱フィン立上げ用補助糸5は、各放熱フィン12間の距離を、上記の等距離、即ち、放熱フィン12のピッチPsxの距離に保ち、且つ、各放熱フィン12を相互に平行に保持しうる位置である止着点51において、例えば、接着、若しくは縫合によって、各放熱フィン12に止着されている。放熱構造体1は、放熱フィン立上げ用補助糸5によって各々の放熱フィン12が、上記態様で連接されていることにより、各々の放熱フィン12の角度調整とその保持を極めて簡便に行うことができる。
又、放熱構造体1は、その可撓性を生かして、図2Aのように折りたたんで保存、若しくは輸送することが可能である。このことは、アルミ鋳造品のヒートシンクのように嵩張ることがなく、保存及び輸送にかかるコストを削減できる点で有利である。このような、使用方法による場合であっても、放熱フィンの設置角度の調整は、上記同様に簡便に行うことができる。
次に、放熱フィン立上げ用補助糸5の作用とその効果について説明する。例えば、放熱構造体1が、図2Aに示すように折り畳まれた状態のまま、太陽電池モジュールへ設置された場合であっても、放熱構造体1は容易に各々の放熱フィン12の設置角度を最適な角度に調整することができる。即ち、図2Bに示す通り、放熱構造体1は、放熱フィン立上げ用補助糸5を適切な距離分だけ適切な立ち上げ方向に向けて引張ることにより、各々の放熱フィン12を、全て同一の適切な角度で立ち上げることができる。又、放熱フィン立上げ用補助糸5を、放熱フィン12の設置角度を適切な角度で保持可能な態様で太陽電池モジュール内のいずれかの場所に固定することによって、各々の放熱フィン12の設置角度を用意に最適角度に保持することができる。
以下、放熱構造体1を構成する熱伝導体11及び放熱フィン12の材料及び構成等についてその詳細を説明する。
熱伝導体11及び放熱フィン12を構成する金属箔2は、金属を、その展延性を利用して薄い箔に伸ばしたものである。材質によって多少の相違はあるが、厚みは、概ね300μm以下である。太陽電池モジュール等の熱源から排出される熱を熱伝導によって放熱構造体1に移動し、又は、放熱構造体1の中を熱伝導にて移動し、熱源から放熱部である輻射層3へ熱を伝達させる役割を果たしている。
放熱構造体1は、太陽電池モジュール等の熱源から輻射層3への熱の伝達の役割を、金属箔2に担わせているため、従来のアルミ鋳造品からなるヒートシンクと比較して、軽量且つ廉価に製造可能である。又、鋳造では困難な軽量、且つ、大面積向けの放熱構造体とすることができる。更に、折り曲げや、切断が容易な金属箔2を使用しているため、加工の自由度が高く、熱源との接触面が平滑でない場合にも、熱源との接触面との追従性に優れ放熱性に優れた放熱構造体1とすることが可能である。
金属箔2の材質は、熱源から放熱部への熱の移動が迅速に行われるものであることが必要である。金属箔2の熱伝導率が小さく、熱源から放熱部である輻射層3への熱の移動が妨げられると、輻射層3に十分放熱能力があったとしても熱源及びその近傍に熱量が集中する状態となり、熱源及びその近傍の温度の上昇を招くこととなり十分に放熱の役割が果たせなくなる。従って、熱伝導率が、10W・m−1・K−1以上であることが好ましい。熱伝導率が、10W・m−1・K−1未満であると、熱源から放熱構造体若しくは、熱源中の熱の移動が滞り、放熱が妨げられるため好ましくない。
熱伝導率が、10W・m−1・K−1以上の材料としては、銀、銅、金、アルミニウム、ニッケル、チタン、モリブデン、亜鉛、錫、鉛、鉄、白金をはじめとする金属、真鍮、ステンレス鋼をはじめとする合金等が該当する。又、金属ではないが、高い熱伝導率を示すという点では、用途によっては、ダイヤモンドや、カーボンナノチューブからなるフィルムも使用することが可能である。
金属箔2としては、市販の金属箔を使用することも可能であり、市販されている金属箔としては銅箔、銀箔金箔、アルミニウム箔、チタン箔、ニッケル箔、モリブデン箔、ニオブ箔、ベリリウム箔、タンタル箔、亜鉛箔、錫箔、鉄箔、ジルコニウム箔、鉛箔をはじめ、ステンレス箔、パーマロイ箔、42アロイ箔、燐青銅箔、洋白箔、真鍮箔、ニクロム箔、コバール箔、銀ロウ箔等の合金箔等を、いずれも使用することができる。放熱構造体1の使用目的等と照らし合わせて適宜選択すればよい。
熱伝導率の高さ、入手コスト等を考慮すると、銅又は銅合金、並びに、アルミニウム又はアルミ合金が好適であり、特にアルミニウム又はアルミ合金は、入手コストが廉価である点、比重が軽く軽量化に向いている点で好適である。
又、金属箔は、単一相である必要もなく、金属箔中に任意の材質よりなる金属粒子や、金属ファイバーを含む箔であってもよい。又、金属箔中に酸化物、窒化物等の粒子やファイバーが含まれていてもよい。但し、本実施形態においては、折り加工にて形状付与を行うため、折り加工において破断しない必要がある。
一方、金属箔2の厚みは、軽量化、低価格化、加工の容易さ等の観点からは、厚みは薄い方が好ましい。又、熱の移動の観点、強度の観点からは、厚みは厚い方が好ましい。従って、用途に鑑みてバランスの良い厚みを選択すればよい。これらの条件を満たす金属箔の厚みとしては、目安として6.0μm以上200.0μm以下を目安とすることが出来る。
このような金属箔2として、本実施形態においては、価格が廉価であり、入手が容易であり、比重が軽く軽量化に適している点で、厚みが6.0μm以上150.0μm以下のアルミニウムやアルミニウム合金のよりなる金属箔(以下、「アルミ箔」とも言う)を好ましく用いることが出来る。
尚、放熱構造体1における金属箔2に代えて、PI等の高分子に高熱伝導性微粒子を充填した、所謂、熱伝導ポリマーを用いた場合であっても、同様の放熱効果を発揮する放熱構造体とすることができる。
放熱構造体1は、金属箔2が、高い熱伝導性を担保するため、熱源から放熱部への熱の移動スピードも速く効率的な放熱に貢献する。単に樹脂に熱伝導性向上のための充填物を添加した放熱シート等が、軽量であっても熱伝導性が十分に得られないために十分な放熱効率が得られていないことと対照的である。
又、薄く軽い金属箔2を用いているため、アルミ鋳造品のヒートシンク等と比べて軽量である。放熱構造体1が軽量であるため輸送コストも安くすることが可能であり、設置する際にも耐荷重設計が軽減されるため設置コストの低減も望める。
更に、薄く軽い金属箔2を用いているため、自由に折り曲げることも可能であり、金切り鋏、場合によっては通常の鋏で切断することも可能である。従って、ロール状、又はシート状で保存若しくは輸送して、現場にて折り加工により形状付与することで放熱構造体1を形成することも可能である。又、折り加工によって形状付与した放熱構造体1を、図8のように平面に折りたたんで保存若しくは輸送することも可能であり、折りたたんだ放熱構造体1は、巻き取ってロール体として保存若しくは輸送することもできる。このような放熱構造体の保存及び輸送用ロール体は、アルミ鋳造品のヒートシンクのように嵩張ることはなく、保存や輸送するコストを大幅に削減できるものである。
又、市販の金属箔を利用することによって、アルミ鋳造品のヒートシンクと比較して、製造原価を安く抑えることができ、ラミネート加工と折り加工で安いコストで連続的に生産でき、更にロールトゥロールでの生産も可能とすることが出来る。
又、大面積向けの放熱構造体1の製造も容易であり、自由に折り曲げられる自由度の高さから、熱源の放熱構造体1を設ける面が広く、又、平滑性が悪くても、追従可能であり、密着性良く設けることが可能である。
<輻射層>
金属箔2は熱伝導率が高く、熱伝導によって熱を移動する特性に優れる。但し、主に輻射によって熱を放熱する性能に優れているとは言い難い。金属箔の放射率は、材質に因るが決して高いとは言えない。一般に鏡面であれば放射率は0.1以下であることが多く、粗面化、表面酸化等によって0.8〜0.9程度まで上げることが可能だが、煩雑な処理が必要である。ここで、放射率が低いということは、輻射による熱の放出が少ないことを示している。例えば放熱フィンが金属のみによって形成されている場合には、輻射による熱の放出が不十分となることが多い。放熱構造体1は、金属箔2の一方の面に樹脂を含む輻射層3を設けることにより放熱構造体1から外部への熱輻射を大幅に増加させ、効率的な放熱を可能としたものである。
金属箔2は熱伝導率が高く、熱伝導によって熱を移動する特性に優れる。但し、主に輻射によって熱を放熱する性能に優れているとは言い難い。金属箔の放射率は、材質に因るが決して高いとは言えない。一般に鏡面であれば放射率は0.1以下であることが多く、粗面化、表面酸化等によって0.8〜0.9程度まで上げることが可能だが、煩雑な処理が必要である。ここで、放射率が低いということは、輻射による熱の放出が少ないことを示している。例えば放熱フィンが金属のみによって形成されている場合には、輻射による熱の放出が不十分となることが多い。放熱構造体1は、金属箔2の一方の面に樹脂を含む輻射層3を設けることにより放熱構造体1から外部への熱輻射を大幅に増加させ、効率的な放熱を可能としたものである。
放熱構造体1の輻射層3は、少なくとも樹脂を含んでいる。この樹脂は、放射率が、低いものでも0.4以上はあり、上記の金属と比べて輻射による放熱性に優れる。即ち、輻射層3は、熱放射率が0.4以上の層となっている。
輻射層3を形成する樹脂材料は、一般的な高分子材料より選択して使用することが可能である。放熱構造体1の使用用途に鑑みて適切な材料を選択すればよい。例えば放熱構造体1の使用温度が比較的使用温度が低い場合等、ポリ塩化ビニル(Poly Vinyl Chloride)、ポリエチレン(Poly Ethylene)、ポリプロピレン(Poly Propylene)、ポリスチレン(Poly Styrene)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、AS(Acrylonitrile Styrene)、アクリル(Poly Methyl Methacrylate)等の汎用樹脂を用いることができる。
又、例えば放熱構造体1の使用温度がやや高い場合には、フェノール樹脂(Phenol Formaldehyde)、ユリア樹脂(尿素樹脂)(Urea Formaldehyde)、メラミン樹脂(Melamine Formaldehyde)、エポキシ樹脂(Epoxy)、不飽和ポリエステル(Unsaturated Polyester)、シリコン樹脂(Silicone)、ポリウレタン(Poly Urethane)、等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
更に6ナイロン(登録商標)(Poly Amide 6)66ナイロン(登録商標)(Poly Amide 66)に代表されるアミド樹脂、ポリアセタール(Poly Oxy Methylene)、ポリカーボネート(Poly Carbonate)、ポリエチレンテレフタレート(Poly Ethylene Terephtalate)、変性PPE(又は変性PPO)(modified−Poly Phenylene Ether)、ポリブチレンテレフタレート(Poly Butylene Terephtalate)、超高分子量ポリエチレン(UltraHighMolecularWeightPolyEthylene)、等のエンジニアリングプラスチックを用いることも可能である。
PEEK(Poly Ethel Ethel Keton)、ポリフェニレンサルファイド(Poly Phenylene Sulfide)、ポリサルフォン(Poly Sulfone)、ポリエーテルサルフォン(Poly Ethel Sulfone)、ポリアリレート(Poly Arylate)、ポリアミドイミド(Poly Amide Imide)、ポリエーテルイミド(Poly Ether Imide)、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer)、ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化)(Poly Tetra Fluoro Ethylene)、ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化)(Poly Chroro TriFluoro Ethylene)、ポリフッ化ビニリデン(2フッ化)(PolyVinylidene DiFluoride)、ポリフッ化ビニル(Polyvinyl Fluoride)等のフッ素含有樹脂、等のスーパーエンジニアリングプラスチックも使用可能である。
又、輻射層3に用いる樹脂は、耐熱性、熱伝導性や熱放射率を高める目的でフィラー等を添加してもよい。このような目的で添加されるSiZrO4、Cr2O3、酸化鉄系無機顔料等を用いることができる。
輻射層3の形成は、これらの樹脂をフィルム化して、金属箔2に接着剤で貼り合わせる所謂ドライラミネートにより形成することができる。又、熱溶融が可能な樹脂であれば押出しラミネートにより形成してもよい。又、溶剤に溶かした樹脂を塗布後に乾燥することで形成してもよい。又、UVや電子線等の電磁波にて硬化する樹脂材料を塗布後、電磁波を照射して硬化することで形成してもよい。輻射層3の形成の方法は、以上方法のいずれかを、輻射層3として形成したい材料の選択に合わせて適宜選択すればよい。
又、輻射層3は、樹脂材料に放熱効率を高めるフィラーを分散した市販の放熱シートを貼り合わせることにより形成することもできる。市販の放熱シートとしては、沖電線株式会社製 クールスタッフ(登録商標)、ペルノックス株式会社製 熱放射シート ペルクール(登録商標)シートオプテックス株式会社製 黒体テープ HB−250、レック株式会社製 黒体テープ THI−2B−5等が好適である。
又、硬化可能な樹脂材料と硬化剤、溶剤に溶かした樹脂等に放熱効率を高めるための添加物を分散した市販の放熱塗工材を用いて塗工形成してもよい。市販の放熱塗工材としては、ペルノックス株式会社製 熱放射塗料 PELCOOL(登録商標)等を好ましく用いることができる。
輻射層3は金属箔2に比べて熱伝導性に劣るため、厚さが所定以上となると熱の伝達を阻害して放熱効率が悪くなる。又、厚さが所定以上となると、柔軟性も低下して、形状追従性の低下や、形状付与が困難になるため、この点においても好ましくない。具体的には、輻射層3の厚さは150μm以下であることが好ましい。
又、輻射層3を形成する樹脂は、金属箔2よりも、表面加工適性、即ち、様々な表面加工の容易さにおいて優れるため、例えば、その表面にエンボス加工を施すことによって、更に輻射層3の熱放射率を向上させることもできる。
<接着層>
接着層4の材料としては、シアノアクリレート系やシリコーンゴム系の湿気硬化型、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系の加熱硬化型、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーンゴム系等の硬化剤混合型、アクリレート系の嫌気硬化型、等の反応により硬化するタイプの接着剤、スチレンブタジエンゴム系、ポリオレフィン系の熱溶融型接着剤、アクリル樹脂系の感圧接着型接着剤(粘着剤)等より適宜選択して形成すればよく、更に保存や、製造工程、取扱易さを考慮してセパレート紙や易剥離加工したフィルム等の剥離層を設けてもよい。
接着層4の材料としては、シアノアクリレート系やシリコーンゴム系の湿気硬化型、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系の加熱硬化型、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーンゴム系等の硬化剤混合型、アクリレート系の嫌気硬化型、等の反応により硬化するタイプの接着剤、スチレンブタジエンゴム系、ポリオレフィン系の熱溶融型接着剤、アクリル樹脂系の感圧接着型接着剤(粘着剤)等より適宜選択して形成すればよく、更に保存や、製造工程、取扱易さを考慮してセパレート紙や易剥離加工したフィルム等の剥離層を設けてもよい。
接着層4を形成する材料には、接着性を維持できる範囲で、熱伝導性を向上するために金属粒子、無機粒子等を添加することが更に好ましい。
接着層の形成方法としては、接着性の材料を塗布してもよいし、接着性を有するフィルムを貼り合わせることによって形成してもよい。接着層4は、所定の厚さ以上となると熱源から放熱構造体1への熱移動が妨げられるため接着層4の厚さは150μm以下であることが好ましい。
<その他の層>
又、本実施形態の放熱構造体1は、金属箔2の保護や、放熱構造体1の強度を考慮して金属箔2と輻射層3の間、金属箔2の輻射層3と反対面、金属箔2と接着層4の間に金属箔2の保護を目的とした保護層や放熱構造体1の強度アップを目的としたポリイミドフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムの強化層を設けてもよい。
又、本実施形態の放熱構造体1は、金属箔2の保護や、放熱構造体1の強度を考慮して金属箔2と輻射層3の間、金属箔2の輻射層3と反対面、金属箔2と接着層4の間に金属箔2の保護を目的とした保護層や放熱構造体1の強度アップを目的としたポリイミドフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムの強化層を設けてもよい。
又、放熱構造体1は、最外層、即ち、輻射層3の表面に更に各種の機能層を追加的に積層してもよい。そのような機能強化層の具体例として、自浄層、吸水層、保護層、反射層又は遮熱層等を挙げることができる。
自浄層は、輻射層3の表面に、蒸着又はスパッタ法により、酸化チタン層を形成することによって得ることができる。この層によって、輻射層3のセルフクリーニング機能の発現が可能となる。
吸水層としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の水溶性モノマーを重合した高分子等、各種の吸水性樹脂からなる層を挙げることができる。これらの層を最外層に形成することによって、例えば、一日のうちの温度が極めて大きい砂漠地帯等での使用を想定した場合等、低温時(夜)に、結露水分を吸収し、高温時(昼)に、この水分を蒸発させることで、その気化熱により、高温時の放熱構造体1の温度上昇を抑制することができる。
保護層としては、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、単体からなる塗布液、上記樹脂とエポキシ基やイソシアネート基を有する架橋剤との組合せからなる熱硬化性塗布液、又は、上記樹脂と(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物及び熱又は光ラジカル発生剤との組合せからなるラジカル硬化性塗布液等によるコーティング層が挙げられる。これらの層を最外層に形成することによって、放熱構造体1の耐候性、耐久性を更に向上させることができる。
又、反射層又は遮熱層を設けることによって、放熱構造体1の温度上昇を抑制して、高温環境下においても、放熱効果を好ましい範囲に維持することができる。
<放熱構造体の製造方法>
放熱構造体1は、折り加工による形状付与を施す製造方法によって製造することができる。例えば、図6に記載したように、金属箔2に輻射層3を積層した積層体を用意して、必要に応じて更に接着層4を形成した後、図6(b)に示すように、輻射層3を外側とする山折り部21を中心として山折り部21の両隣に谷折り部22を設けることによって、積層体に形状付与を施して放熱フィン12を形成することができる。このような折り加工は、装置による連続加工も可能であり高い生産性を保持しながらの製造が可能である。
放熱構造体1は、折り加工による形状付与を施す製造方法によって製造することができる。例えば、図6に記載したように、金属箔2に輻射層3を積層した積層体を用意して、必要に応じて更に接着層4を形成した後、図6(b)に示すように、輻射層3を外側とする山折り部21を中心として山折り部21の両隣に谷折り部22を設けることによって、積層体に形状付与を施して放熱フィン12を形成することができる。このような折り加工は、装置による連続加工も可能であり高い生産性を保持しながらの製造が可能である。
上記の折り加工の後、上記積層体における谷折り部22と谷折り部22の間を密着し、放熱フィン12を形成する。熱伝導体11に接着層4が設けられている場合、その接着層が熱溶融接着型や、又は、熱硬化型等の接着剤からなる層である場合には、熱圧着で上記部分を密着させることが可能である。又、同接着層が、感圧接着(粘着)型の接着剤からなる層である場合には、圧着することで、上記部分を密着させることができる。
上記の通り、谷折り部22と谷折り部22の間を密着させることによって放熱フィン12を形成した後、図6(c)に示すように、放熱フィン立上げ用補助糸5を、放熱フィン12の上端部近傍に貫通させ、例えば、接着剤によって固定することにより、適切な位置に止着点51を形成し、これによって各々の放熱フィン12を、放熱フィン立上げ用補助糸5によって連接することができる。或いは、止着点51における放熱フィン立上げ用補助糸5と放熱フィン12との止着は、縫合による固定によっても行うことができる。
放熱構造体1は、図6(d)に示した様に、所謂Z織りで形成することもできる。このような形態とすることで、保存、輸送の際に省スペース化を実現することが可能である。更に、巻き取り形態とすることも可能となり、大面積での輸送を可能とすることが出来る。放熱構造体1は、上述の通り、可撓性を有する材料からなり、且つ、放熱フィン立上げ用補助糸5を有するものであるため、放熱フィン12の設置角度を簡便に調整できる。よって、図6(d)に記載したようなZ織りの形態で保存、流通させた後であっても、放熱フィン12の設置角度を、例えば、図6(c)のような角度に容易に調整し、又、その設置角度を保持することができる。
又、放熱構造体1においては、放熱フィンやシート面の端部からの金属箔2が露出した状態となると、例えば太陽電池モジュールの金属枠との間の短絡の危険があるため、金属箔2の形成を端面からの安全幅をとって、通常形成可能な範囲よりも若干狭い範囲に形成するか、或いは、輻射層3や接着層4を形成する樹脂シート等に予め適当な延設部分を設けてこの部分で封止することにより、上記の短絡を防止することが好ましい。
又、放熱構造体1は、薄く、加工性に優れる為、放熱フィン12のピッチPsx、放熱フィン12の高さHsは、同一のものを連続製造した上で、鋏等で切り取ることでフィンの高さを最終調整し熱分布の均一性を図ることもできる。
尚、放熱構造体1は、太陽電池モジュールの他の様々な熱源の冷却用途にも使用することができる。特に、大面積、軽量化を必要とする用途に好適に使用することができ、又、屋外での用途にも高い耐久性を示す。
<放熱構造体を備える太陽電池モジュール>
放熱構造体1を太陽電池モジュール6と熱融着することによって、図7に示すような放熱構造体1を有する太陽電池モジュールとすることが出来る。
放熱構造体1を太陽電池モジュール6と熱融着することによって、図7に示すような放熱構造体1を有する太陽電池モジュールとすることが出来る。
放熱構造体1は、その熱伝導体11に接着層4を設けている場合には、接着層4を介して太陽電池モジュールの非受光側の面に接着される。この接着は、例えば、接着層4が熱溶融接着型や、又は、熱硬化型等の接着剤からなる層である場合には、熱圧着によることができる。そして、太陽電池モジュール作成のための熱ラミネーション処理時に、同処理の中で同時にこの熱圧着を行うことが可能である。
上記のように太陽電池モジュール作成のための熱ラミネーション処理時に、同処理によって同時に放熱構造体1の太陽電池モジュールへの密着も行う場合には、放熱フィン立上げ用補助糸5を、その融点が、熱ラミネーション処理の加熱温度以上であるようにする。一般的な上記加熱温度の範囲は、100℃〜200℃程度である。例えば、放熱フィン立上げ用補助糸5を、ポリプロピレン(融点165℃)やナイロン、ビニロン(融点220℃)で形成することによって、このような製造方法によっても、放熱構造体1を有する太陽電池モジュールを製造して、本発明の効果をほぼ確実に発現させることができる。
又、放熱構造体1を熱源に取り付ける他の手段として、放熱構造体1を平坦化した接着層4を介して、所謂「水貼り」によって、太陽電池モジュール等の熱源に積層及び接着することもできる。具体的には、水、或いは、界面活性剤等の好適な添加剤が混合された水溶液(又は、懸濁液)を間に介在させた状態で、放熱構造体1を熱源の設置箇所に重ね合わせていくことにより、空気等の異物の混入を防止しながら、放熱構造体1を熱源に積層及び接着することができる。又、放熱構造体1に接着層4が形成されていない場合、ビス止めや、ねじによる固定、ナットによる固定、治具による固定等物理的な固定手段を用いてもよい。
尚、太陽電池モジュール6の太陽電池素子と太陽電池素子の間に照射される反射層を設けることが知られているが、本実施形態の放熱構造体1は、太陽光の入射面側に反射率の高いアルミ箔が存在しているため、反射層を省略若しくは反射層に添加する酸化チタンの量を減らすことも可能であり、太陽電池モジュール6の耐久性の向上、全体としてのコスト削減にも貢献することが出来る。
又、太陽電池モジュール6を、適当な高さ、適当な角度で設置するために、比較的熱伝導率の高い素材からなる架台上に設置して使用する場合、放熱構造体1を、それらの架台側に設置することも、放熱構造体1の好ましい一実施形態の一つである。上記の架台を形成する比較的熱伝導率の高い素材の具体例としては、アルミや鉄、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、錫等の金属、又はこれら金属の組合せからなる合金や、これら金属又は合金に各種メッキ処理を施した金属、若しくは、グラファイト等を挙げることができる。放熱構造体1は、取付け場所に応じたサイズ調整が容易であり、形状追従性にも優れるため、様々な形状、形態の架台に適用できる。これにより、架台からの熱伝導による太陽電池モジュールの温度上昇を抑制して発電力低下を防ぐことができる。
又、太陽電池モジュールに最終的に設置される金属フレーム等に放熱構造体1を予めドライラミネート等により設置しておき、熱ラミネーション処理を終えた太陽電池モジュール用の積層体への金属フレーム取付け時に、放熱構造体を太陽電池モジュールと一体化することもできる。これにより、太陽電池モジュールの熱ラミネーション時の加熱処理条件が放熱構造体の物性へ与える影響に起因する製造条件の制約を回避できる。この場合は、放熱フィン立上げ用補助糸5についても、上記の耐熱性にかかる制約を逃れて、上述の範囲よりも融点の低い樹脂であっても使用することが可能である。
尚、放熱構造体1を有する太陽電池モジュールは、優れた放射性能を有するものであるが、例えば、放熱フィン立上げ用補助糸5による設置角度の調整を行わず、設置角度が、ばらついているものと比較して、僅かな製造コストの付加で、大きく発電効率を向上させることができる。
1 放熱構造体
11 熱伝導体
12 放熱フィン
2 金属箔
3 輻射層
4 接着層
5 放熱フィン立上げ用補助糸
51 止着点
6 太陽電池モジュール
10 太陽光入射面
21 山折り部
22 谷折り部
Hs フィンの高さ
Psx フィンのピッチ
11 熱伝導体
12 放熱フィン
2 金属箔
3 輻射層
4 接着層
5 放熱フィン立上げ用補助糸
51 止着点
6 太陽電池モジュール
10 太陽光入射面
21 山折り部
22 谷折り部
Hs フィンの高さ
Psx フィンのピッチ
Claims (6)
- 熱伝導体上に、複数の放熱フィンが設置されてなる放熱構造体であって、
前記放熱フィンは、樹脂を含んでなる輻射層によって金属箔が被覆されてなる突起物であって、
前記放熱フィンは、放熱フィン立上げ用補助糸で連接されていて、
前記放熱フィン立上げ用補助糸は、相互に隣接する放熱フィン間のピッチに等しい長さ毎に、前記放熱フィン立上げ用補助糸に設けられた止着点において、各放熱フィンに止着されている放熱構造体。 - 前記放熱フィン立上げ用補助糸が、100℃より高い融点温度を有する耐熱性樹脂からなる請求項1に記載の放熱構造体。
- 金属箔の片面に前記輻射層を形成した積層体フィルムを折り加工することによって、前記熱伝導体及び前記放熱フィンを一体成型したものである請求項1又は2に記載の放熱構造体。
- 金属箔の両面に前記輻射層を設けた積層体からなる放熱フィンが、
前記熱伝導体の表面に、該積層体の切片の一辺を成す断面を向かい合わせて固定されている請求項1又は2に記載の放熱構造体。 - 請求項1から4のいずれかに記載の放熱構造体がロール状に巻かれてなる放熱構造体の保存及び輸送用ロール体。
- 請求項1から4のいずれかに記載の放熱構造体を備える太陽電池モジュール。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014094031A JP2015211197A (ja) | 2014-04-30 | 2014-04-30 | 放熱構造体及び放熱構造体を備える太陽電池モジュール |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2015211197A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018162367A (ja) * | 2017-03-24 | 2018-10-18 | トヨタ自動車株式会社 | 金属積層構造体 |
WO2023073961A1 (ja) * | 2021-10-29 | 2023-05-04 | 国際先端技術総合研究所株式会社 | 複合光発電パネル |
-
2014
- 2014-04-30 JP JP2014094031A patent/JP2015211197A/ja active Pending
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