JP2016100561A - 放熱構造体、放熱構造体の製造方法、および電子機器 - Google Patents

放熱構造体、放熱構造体の製造方法、および電子機器 Download PDF

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勇司 武田
林 慎二
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慎二 林
敏史 瓜生
Toshifumi Uryu
敏史 瓜生
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滋弘 上野
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Abstract

【課題】本発明は、高い放熱機能を有するとともに、軽量かつ機械的物性に優れた放熱構造体およびその製造方法、ならびに電子機器を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、平坦状の基部と、上記基部の一方の表面から所定の間隔をおいて突出して形成された複数のフィン部と、を有する放熱構造体であって、上記放熱構造体は、樹脂材料からなる樹脂シートと、上記樹脂シートの一方の表面上に形成された熱伝導層とを有する放熱積層体で構成され、上記フィン部が、上記樹脂シートの上記熱伝導層が形成された側と反対側の表面が対向して形成されていることを特徴とする放熱構造体を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発熱源から受けた熱を放熱する放熱構造体に関する。
CPU、画像処理チップ、メモリー等、大規模集積回路(LSI)と言ったパワーデバイスに用いられる半導体素子や、液晶、プラズマディスプレイ(PDP)、発光ダイオード(LED)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子等の発光素子を有する電子部品、およびそれを備えた電子機器では、小型化や電子回路の高集積化により素子からの発熱量が増加しており、発熱による素子の劣化や性能の低下、さらには電子機器の機能障害の発生が問題となっている。
そこで、電子機器においては、素子や電子回路において生じた熱を放熱し、電子機器等の温度上昇を抑えるために、放熱構造体が用いられる。
また、近年の太陽電池の普及に伴い、太陽電池発電によるエネルギーの供給や、その実用化が進められているが、このような太陽電池においても、発電効率の観点から放熱が重要な問題とされている。
太陽電池は、太陽電池素子が太陽光を受光することで、光エネルギーを直接、電気エネルギーに変換させるものであり、実用的な電気出力を発生させるために、通常は、複数個の太陽電池素子を連結させた太陽電池モジュールとして使用される。
ここで、太陽電池素子により変換される光エネルギーのうち、一部は電気エネルギーではなく熱エネルギーに変換されてしまうが、この変換された熱エネルギーによる温度の上昇に伴い、太陽電池素子の発電効率および発電量が低下してしまうという問題がある。また、上記熱エネルギーにより、太陽電池素子自体も劣化してしまい、素子劣化による発電効率の低下が起こるという問題もある。
このため、太陽電池モジュールと接するようにして放熱構造体を配置することで、太陽電池素子において生じる熱を放熱構造体により放熱させ、太陽電池モジュールの発電効率の低下防止を図っている。
放熱構造体としては、放熱シートやヒートシンク、ヒートパイプ等があるが、中でも、ヒートシンクが広く利用されている。ヒートシンクは、一方の表面に複数のフィン部を有するものであり、上記フィン部の配置面と反対側の面を、発熱源およびそれを有する発熱体(以下、併せて発熱源等とする場合がある。)に接触させ、発熱源等から受けた熱をフィン部側から放散させることで放熱機能を発揮する。フィン部により放熱面積が大きくなるほど、ヒートシンクは高い放熱機能を発揮することができる。
従来公知のヒートシンクとしては、表面に複数のフィン部を有するアルミニウムやアルミニウム合金の鋳造品が多く用いられている。しかし、鋳造品のヒートシンクでは、フィン部の数を増加させて放熱面積を増やそうとすると、その分、重量が増加するため、軽量化を図ることが困難であった。
また、鋳造品であるため柔軟性や加工性に劣るため、発熱源等において熱膨張等により変形を生じる場合に、ヒートシンクが発熱源等の変形に追従できず、密着配置ができないため、接触面からの熱漏れにより放熱効果が低下するという問題があった。さらには、フィン部を備えるヒートシンクでは、発熱源等の熱分布に応じてフィン部の傾斜角度を変化させることで、放熱機能をより効果的に発揮できるという特長があるが、鋳造品の場合、その剛性からフィン部の傾斜角を変化させることができず、発熱源等の熱分布の調整を図ることができないという問題もあった。
これに対し、鋳造品に代わるヒートシンクとして、例えば、特許文献1では、金属板の一方の表面に、上記金属板を折り曲げて成るくし歯形状のフィン部を有するヒートシンクが開示されている。このようなヒートシンクは、鋳造品のヒートシンクよりも軽量とすることができ、また、フィン部の折り曲げが可能となることから、傾斜角の調整が可能となると想定される。しかし、このようなヒートシンクは、鋳造品と比較して軽量となるものの、金属板により形成されるため十分な軽量化を図ることはできず、また、金属板の剛性により、発熱源等の変形に対する追従性を改善することができなかった。
このため、金属製のヒートシンクでは、放熱機能を向上しつつ、軽量化、柔軟性や追従性等の機械的物性の要求を満たすことは困難であった。
一方、軽量で柔軟性のある放熱構造体として、特許文献2では、紙シート状の放熱構造体が開示されている。これは、紙シートを折曲加工してなるフィン部が、紙、金属プレート、熱伝導性プラスチック等により形成された熱伝導部に接合されたものであり、上記紙シートには熱伝導粉末が添加されている。このような構造とすることで、金属製のヒートシンクよりも軽量となり、また、フィン部の数を増やして放熱機能を向上させることが可能であると思われる。さらに、熱伝導部の材質に応じて上記放熱構造体に柔軟性が付与されるため、発熱源等との密着性が向上するとも思われる。
しかし、フィン部が紙製であるため、金属製のフィン部と比較して機械的強度や表面硬度等の耐久性が劣るという問題があり、特に、太陽電池モジュール等の過酷な使用環境には、このような放熱構造体は適さなかった。
また、放熱構造体が柔軟性を備える場合であっても、特許文献2で開示されるように、放熱構造体の構造が、フィン部と上記フィン部を支持する熱伝導部とが別体である場合、フィン部を傾斜や変形させる際に、フィン部の付け根部分に繰り返し応力が作用することで、上記付け根部分で疲労破壊を生じてしまい、フィン部の強度不足も課題であった。これは、放熱構造体が金属製である場合であっても、フィン部とそれを支持する土台とが別体であれば同様に生じる課題である。
特開2001−057406号公報 国際公開2011/025020号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高い放熱機能を有するとともに、軽量かつ、柔軟性、追従性、強度等の機械的物性に優れた放熱構造体およびその製造方法、ならびに電子機器を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、平坦状の基部と、上記基部の一方の表面から所定の間隔をおいて突出して形成された複数のフィン部と、を有する放熱構造体であって、上記放熱構造体は、樹脂材料からなる樹脂シートと、上記樹脂シートの一方の表面上に形成された熱伝導層と、を有する放熱積層体で構成され、上記フィン部が、上記樹脂シートの上記熱伝導層が形成された側と反対側の表面が対向して形成されていることを特徴とする放熱構造体を提供する。
本発明によれば、フィン部を有する放熱構造体が、樹脂シートおよび熱伝導層の積層構造を有することから、金属製の放熱構造体よりも軽量で柔軟性を有することができる。また、熱伝導層による高熱伝導性と、フィン部による放熱面積の拡大により、高い放熱機能を発揮することができる。さらに、フィン部が、樹脂シートの上記熱伝導層が形成された側と反対側の表面(以下、非熱伝導層側表面と略する場合がある。)が対向して形成されている、すなわち、放熱積層体が折り曲げられて形成されていることから、基部とフィン部とが連続する一体構造を有する。このため、フィン部の付け根部分での疲労破壊を防止することができ、強度の向上を図ることができる。さらにまた、フィン部が上記の構造を有することで、放熱積層体のフィン部を有する面と反対側の表面(以下、非フィン部側表面と略する場合がある。)上には、界面部が形成され、上記界面部により屈曲性が向上する。このため、本発明の放熱構造体を発熱源等に配置する際に、熱膨張等による発熱源等の変形に追従させて密着配置することが可能となり、配置面からの熱漏れを抑制することができる。これにより、本発明の放熱構造体は、より高い放熱機能を発揮することができる。
このように、高い放熱性能を有し、軽量かつ機械的物性に優れた放熱構造体とすることができる。
上記発明においては、上記熱伝導層が金属箔であることが好ましい。金属箔は、熱伝導率が高く、軽量である上、屈曲や裁断等の加工性に優れるため、軽量化や柔軟性により優れた放熱構造体とすることができるからである。
上記発明においては、上記樹脂シートが、ヒートシール性を有する樹脂材料で形成されることが好ましい。樹脂シートがヒートシール性を有することで、フィン部の形成方法として、放熱積層体の樹脂シートを内面として折り曲げて、折り曲げ部を接着させて形成する場合に、熱圧着により所望の形状のフィン部を容易に形成可能となるからである。また、本発明の放熱構造体を発熱源等に配置する際に、上記樹脂シートが接着面となるため、発熱源等に容易に取り付けることができるからである。
上記発明においては、上記熱伝導層の上記樹脂シート側とは反対側の表面には、輻射層を有することが好ましい。熱伝導層上に輻射層を有することで、本発明の放熱構造体の放熱機能および機械強度をより向上させることができるからである。また、熱伝導層が輻射層により覆われることで、腐食や酸化等による熱伝導層の劣化を防ぐことができ、放熱構造体の耐久性を高めることができるからである。
また、本発明は、平坦状の基部と、上記基部の一方の表面から所定の間隔をおいて突出して形成された複数のフィン部と、を有する放熱構造体の製造方法であって、樹脂材料からなる樹脂シートと、上記樹脂シートの一方の表面上に形成された熱伝導層とを有する放熱積層体を準備する準備工程と、上記放熱積層体の一部を、上記樹脂シートを内面として、所定の間隔をおいて折り曲げて複数の折り曲げ部を形成する折り曲げ工程と、上記折り曲げ部を幅方向に接着させ、上記フィン部を形成する接着工程と、を有することを特徴とする放熱構造体の製造方法を提供する。
本発明によれば、放熱積層体の折り曲げ加工により、複数のフィン部を容易に形成することができ、装置による連続加工が可能となる。このため、所望の放熱構造体を高い生産性で製造することが可能である。また、上記方法によりフィン部と基部とが一体である構造とすることができ、強度の高いフィン部の形成が可能となる。さらに、折り曲げ部を幅方向に接着することで、放熱積層体の非フィン部側表面上に界面部が形成されるため、得られる放熱積層体に屈曲性を付与することができる。
また、本発明は、発熱体、および上記発熱体と接するようにして配置された放熱構造体を有する電子機器であって、上記放熱構造体は、平坦状の基部と、上記基部の一方の表面から所定の間隔をおいて突出して形成された複数のフィン部と、を有し、上記放熱構造体は、樹脂材料からなる樹脂シートと、上記樹脂シートの一方の表面上に形成された熱伝導層とを有する放熱積層体で構成され、上記フィン部が、上記樹脂シートの上記熱伝導層が形成された側と反対側の表面が対向して形成されていることを特徴とする電子機器を提供する。
本発明によれば、上記放熱構造体が上述の構造を有することで、発熱体において生じた熱を高効率で放熱させることができ、上記発熱体の劣化や性能の低下、電子機器の温度上昇、および機能障害の発生を防ぐことができる。また、上記放熱構造体が上述の構造を有するため、発熱体への密着配置が可能となり、上記発熱体が変形する場合であっても追従することが可能となる。さらには上記放熱構造体が軽量であるため、電子機器全体の軽量化を図ることができる。
上記発明においては、上記発熱体が、太陽電池素子を有する太陽電池モジュールであり、上記放熱構造体が、上記太陽電池モジュールの受光面とは反対側の面に配置されていることが好ましい。上述の放熱構造体により太陽電池素子において生じた熱を放熱させることで、太陽電池モジュールの温度が低下し及び均一になり、発電効率を向上させることができるからである。
本発明の放熱構造体は、高い放熱機能を有するとともに、軽量かつ機械的物性に優れるといった効果を奏する。
本発明の放熱構造体の一例を示す概略斜視図および平面図である。 本発明の放熱構造体の一例を示す概略断面図である。 本発明におけるフィン部の態様を説明する説明図である。 本発明の放熱構造体の他の例を示す概略断面図である。 本発明の放熱構造体の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の電子機器の一例を示す概略断面図である。 発熱体が太陽電池モジュールである本発明の電子機器の設置態様の一例を示す模式図である。 比較例4で用いたアルミ鋳造品のヒートシンクの一例を示す概略平面図および断面図である。 評価1における簡易評価装置の一例を示す模式図である。 評価2における評価サンプルの一例を示す説明図である。
以下、本発明の放熱構造体およびその製造方法、ならびに電子機器について、詳細に説明する。
A.放熱構造体
本発明の放熱構造体は、平坦状の基部と、上記基部の一方の表面から所定の間隔をおいて突出して形成された複数のフィン部と、を有する放熱構造体であって、上記放熱構造体は、樹脂材料からなる樹脂シートと、上記樹脂シートの一方の表面上に形成された熱伝導層とを有する放熱積層体で構成され、上記フィン部が、上記樹脂シートの上記熱伝導層が形成された側と反対側の表面が対向して形成されていることを特徴とするものである。
本発明の放熱構造体について、図を参照して説明する。図1(a)は本発明の放熱構造体の一例を示す概略斜視図であり、図1(b)および(c)は図1(a)のフィン部側およびその反対側から見た概略平面図である。また、図2は本発明の放熱構造体の一例を示す概略断面図であり、図1(a)のフィン部の幅方向(図1(a)中のX方向)から見た断面図に相当する。
図1〜図2で示すように、本発明の放熱構造体10は、平坦状の基部12と、基部12の一方の表面から所定の間隔をおいて突出して形成された複数のフィン部11と、を有する。
放熱構造体10は、樹脂材料からなる樹脂シート1と、樹脂シート1の一方の表面上に形成された熱伝導層2とを有する放熱積層体13で構成されている。フィン部11は樹脂シート1の熱伝導層2が形成された側と反対側の表面(非熱伝導層側表面1a)が対向して形成されたものであり、フィン部11の幅方向に2層の樹脂シート1がフィン部11の頂部側で連続して積層された構造を有する。
また、フィン部11内において、樹脂シート1の非熱伝導層側表面1aが対向する位置には、非熱伝導層側表面1a同士の接着による界面が形成されており、放熱構造体10のフィン部11側とは反対側の表面上には、フィン部11と対向する位置に界面部14を有する。
本発明によれば、フィン部を有する放熱構造体が、樹脂シートおよび熱伝導層の積層構造を有することから、金属製の放熱構造体よりも軽量で柔軟性を有することができる。また、熱伝導層による高熱伝導性と、フィン部による放熱面積の拡大により、高い放熱機能を発揮することができる。さらに、フィン部が、樹脂シートの非熱伝導層側表面が対向して形成されている、すなわち、放熱積層体が折り曲げられて形成されていることから、基部とフィン部とが連続する一体構造を有する。このため、フィン部の付け根部分での疲労破壊を防止することができ、強度の向上を図ることができる。さらにまた、フィン部が上記の構造を有することで、放熱積層体の非フィン部側表面上には、界面部が形成され、上記界面部により屈曲性が向上する。このため、本発明の放熱構造体を発熱源等に配置する際に、熱膨張等による発熱源等の変形に追従させて密着配置することが可能となり、配置面からの熱漏れを抑制することができる。これにより、本発明の放熱構造体は、より高い放熱機能を発揮することができる。
このように、高い放熱性能を有し、軽量かつ機械的物性に優れた放熱構造体とすることができる。
本発明の放熱構造体は、樹脂材料からなる樹脂シートと、上記樹脂シートの一方の表面上に形成された熱伝導層とを有する放熱積層体により構成され、また、フィン部が、樹脂シートの非熱伝導層側表面が対向して形成されている。
フィン部が「樹脂シートの非熱伝導層側表面が対向して形成され」るとは、図1〜2で例示するように、放熱積層体13が、樹脂シート1を内面にして折り曲げて形成されることをいい、折り曲げ部分がフィン部11となる。
本発明の放熱構造体は、放熱積層体の折り曲げ加工により、上記放熱積層体の一部が平坦状の基部となり、折り曲げ部分がフィン部となることから、フィン部および基部が連続して一体である構造を有する。
ここで、基部とフィン部とが別体である場合、放熱構造体の用途に応じて放熱構造体を屈曲させ、またはフィン部の傾斜角度を変化させる際に、フィン部の付け根部分に繰り返し応力が作用して疲労破壊が生じやすくなる。このため、放熱構造体の耐久性の低下や、フィン部の破損による放熱機能の低下を招くおそれがある。
これに対し、本発明では、放熱積層体の折り曲げ加工によりフィン部と基部とは必然的に一体となるため、放熱構造体を屈曲させたり、フィン部の付け根部分に繰り返し応力が作用する場合であっても、フィン部の疲労破壊を生じにくくすることができ、強度を向上させることができる。また、放熱積層体の折り曲げ加工により、本発明の放熱構造体は製造が容易であるという製造上の利点も有する。
以下、本発明の放熱構造体の構成について、詳細に説明する。
1.フィン部
本発明におけるフィン部は、基部の一方の表面から所定の間隔をおいて突出して形成される。
また、フィン部は、樹脂シートの熱伝導層が形成された側と反対側の表面が対向して形成されている。
フィン部は、通常、平面視形状および側面形状が矩形である板状である。フィン部の断面形状としては、矩形、三角形、台形等が挙げられ、また、フィン部頂部から付け根部分に向けてカーブしていてもよい。
フィン部の頂部は、平坦面や、曲面であってもよく、一部が平坦面であり、側面との連続部分(角部)が曲面であってもよい。さらに、フィン部の断面形状に応じて頂部先端が尖っていてもよい。
フィン部の付け根部は、フィン部と基部との連結部分が直角や鈍角を成していてもよく、曲率を有していても良い。
なお、強度や放熱面積の確保の観点から、フィン部の高さが幅よりも大きく、且つフィン部の長さが高さよりも大きいこと、すなわち図1(a)に示すように平板面がフィン部の側面となり、上記平板面が基部と連続する矩形平板状であることが好ましい。
フィン部の高さは、本発明の放熱構造体が所望の放熱機能を発揮できる大きさであればよく、例えば、5mm〜500mmの範囲内が好ましく、中でも10mm〜100mmの範囲内が好ましい。フィン部の高さが上記範囲よりも低いと、放熱機能が発揮されにくい場合があり、一方、上記範囲よりも高いと、施工が難しくなる上、材料費がかかる半面放熱効果が向上せずコストパフォーマンスが悪くなる場合がある。
フィン部の高さは、全てのフィン部が均一な高さであってもよく、フィン部ごとに異なる高さを有していてもよく、本発明の放熱構造体の用途や要求される熱分布に応じて適宜設計することができる。中でも、全てのフィン部が均一な高さであることが好ましい。全てのフィン部が均一な高さを有することで、面内で均一な放熱が可能となるからである。
なお、フィン部の高さとは、放熱構造体のフィン部を備えた表面からフィン部の頂部までの長さ(例えば、図2中のH1で示す部分)をいう。
フィン部の幅としては、本発明の放熱構造体が所望の放熱機能を発揮できる大きさであればよく、フィン部の形状や放熱構造体を配置する被着体の形状等によって適宜設定が可能である。なお、フィン部の幅とは、フィン部の付け根部分の間の長さ(例えば、図2中のW1で示す部分)をいう。
フィン部の長さについては、本発明の放熱構造体が所望の放熱機能を発揮できる大きさであればよく、本発明の放熱構造体の用途等に応じて適宜設定することができる。なお、フィン部の長さとは、平面視上の長手方向の長さをいう。
フィン部のピッチとしては、本発明の放熱構造体が所望の放熱機能を発揮できる大きさであればよく、本発明の放熱構造体の大きさ、フィン部の形状や本数等によって適宜設定が可能である。上記ピッチとしては、例えば、3mm〜100mmの範囲内、中でも5mm〜50mmの範囲内が好ましく、特に7mmであることが好ましい。フィン部のピッチが上記範囲よりも小さいと、近接するフィン部同士の相互の放熱作用により相互に放熱効率を引き下げてしまう場合があり、一方、上記範囲よりも大きいと、放熱構造体の単位面積当たりのフィン部の数が少なくなるため、放熱効果を高めるためにフィン部の数を増やす必要が生じ、放熱構造体が大型化する場合がある。
また、フィン部のピッチは、均一であってもよく、異なっていてもよく、本発明の放熱構造体の用途や要求される熱分布に応じて適宜設計することができる。
なお、フィン部のピッチとは、隣接する2つのフィン部のうち、一方のフィン部の、隣接する他方のフィン部側の付け根部分から、上記他方のフィン部の、上記一方のフィン部側とは反対側の付け根部分までの長さをいい、例えば図2中のP1で示す部分である。
本発明の放熱構造体を配置する発熱源等において、均一な温度分布が求められる場合には、発熱源等の高温となる部位と低温となる部位とで、フィン部のピッチおよび高さを変えることが好ましい。すなわち、発熱源等の高温となる部位においては、フィン部のピッチを相対的に小さくして高さを相対的に高くし、一方、比較的熱の発生が少ない低温の部位においては、フィン部のピッチを相対的に大きくして高さを相対的に低くすることが好ましい。本発明の放熱構造体をこのような構造とすることで、発熱源等の熱分布の均一化を図ることが可能となる。
本発明の放熱構造体は、フィン部が可撓性を有することから、フィン部を屈曲させたり、基部の平坦面に対してフィン部の中心軸が成す角度(傾斜角)を自在に変化させることができるという特長を有する。
フィン部は、通常、傾斜角が90度(垂直)であり、また、各フィン部の傾斜角が同じで相互に平行関係にあるが、使用に際してはこれに限定されず、放熱構造体が配置される発熱源等の設置環境や設置態様に応じてフィン部を屈曲や変形させることで、上記傾斜角を適宜設定することが可能である。
例えば本発明の放熱構造体が太陽電池モジュールに配置される場合、太陽電池モジュールが設置される地面に対する角度等に応じて各フィン部の最適角度が個別に異なるため、フィン部ごとに傾斜角を最適角度に調整することができる。
フィン部は、放熱積層体における樹脂シートの非熱伝導層側表面が対向して形成されるが、対向する非熱伝導層側表面同士は接着されていてもよく、接触していてもよく、別の層を介在して近接していてもよい。
対向する上記非熱伝導層側表面同士が接触または接着する場合、フィン部は内部に接触または接着界面を有することとなる。一方、対向する上記非熱伝導層側表面同士が、別の層を介して対向する場合、フィン部は内部に非熱伝導層側表面と別の層との接触または接着界面を有することとなる。別の層とは、例えば、樹脂シートの非熱伝導層側表面同士を貼り合せるための接着層等が挙げられる。
本発明の放熱構造体の非フィン部側表面上には、フィン部と対向する位置に、フィン部内部の接触または接着界面の存在を示唆する界面部が形成される。
本発明においては、本発明の放熱構造体の非フィン部側表面上に上記界面部を有することで、上記界面部において容易に屈曲させることができ、本発明の放熱構造体を発熱源等に配置する際に、発熱源等の変形に追従させて密着配置することが可能となる。これにより、配置面からの熱漏れが抑制され、本発明の放熱構造体は、より高い放熱機能を発揮することができる。
界面部は、フィン部に沿ったライン状のパターンを有し、その数はフィン部の数に相当する。
上記界面部は、対向する非熱伝導層側表面同士が密着してなる線状であってもよく、一部が剥離してなる溝形状であってもよい。溝形状である界面部の大きさ、深さ等については特に限定されない。
フィン部は、図3(a)に示すように、高さ方向に複数のスリットSを有していてもよい。スリットを有することで、フィン部の表面積が増大し、放熱機能を更に高めることができるからである。スリットの寸法形状、本数等については特に限定されず、所望の放熱機能に応じて適宜設定することができる。
また、フィン部は、図3(b)で示すように幅方向に貫通する貫通孔Uを有していても良い。貫通孔によりフィン部付近に生じる気流が乱れることで、放熱機能をさらに高めることができるからである。貫通孔の形状、大きさ、個数等については特に限定されず、所望の放熱機能に応じて適宜設定することができる。
なお、図3は、本発明におけるフィン部の態様の一例を示す説明図であり、スリット、貫通孔、および放熱積層体以外の符号は省略する。
2.基部
本発明における基部は、平坦状であり、放熱積層体で構成されることから、樹脂シートおよび熱伝導層を少なくとも有する。
上記基部の厚さは、放熱積層体の厚さと同じであり、放熱積層体を構成する各層の厚さに応じて適宜設定することができる。
なお、基部の厚さおよび放熱積層体の厚さとは、図2においてTで示す部分である。
3.放熱積層体
本発明における放熱積層体は、基部および複数のフィン部を構成する。放熱積層体は、樹脂材料からなる樹脂シートと、上記樹脂シートの一方の表面上に形成された熱伝導層とを有し、放熱構造体を構成する。
上記放熱積層体の厚さについては、上述した基部の厚さと同様である。
(1)樹脂シート
上記樹脂シートは、樹脂材料からなる。上記樹脂材料としては、所望のフィン部を形成可能な材料であればよいが、放熱積層体の折り曲げ加工によりフィン部を形成できるという理由から、通常、フレキシブル性を有する樹脂材料が用いられる。また、樹脂材料は、熱伝導性が高いことが好ましいが、熱伝導性の低い樹脂材料であっても後述する任意の材料を添加することで高熱伝導性としてもよい。
中でも、フィン部が放熱積層体における樹脂シートの非熱伝導層側表面が対向して形成されることから、上記樹脂シートが、ヒートシール性を有する樹脂材料で形成されることが好ましい。樹脂シートがヒートシール性を有することで、放熱積層体の樹脂シートを内面として折り曲げて、折り曲げ部を熱圧着させることで所望の形状のフィン部を容易に形成可能となるからである。また、本発明の放熱構造体を発熱源等に配置する際に、上記樹脂シートが接着面となるため、発熱源等に容易に取り付けることができるからである。
ヒートシール性を有する樹脂材料としては、一般にヒートシール層等に用いられる熱可塑性樹脂が挙げられる。具体的には、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。(メタ)アクリルは、アクリルおよびメタクリルの少なくともいずれかを意味する。
また、上記樹脂シートは、硬化型接着剤で形成されてもよい。放熱積層体の樹脂シートを内面として折り曲げて硬化させることで、折り曲げ部における非熱伝導層側表面同士が強固に接着され、所望の形状のフィン部を容易に形成可能となるからである。
硬化型接着剤としては、例えばシアノアクリレート系やシリコーンゴム系の湿気硬化型、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系の加熱硬化型、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーンゴム系等の硬化剤混合型、アクリレート系の嫌気硬化型等の反応により硬化するタイプの接着剤等が挙げられる。
上記樹脂シートは柔軟性等の物性を維持できる範囲で、熱伝導性を向上するために金属粒子、無機粒子、カーボン粒子やカーボン繊維といった炭素材料等の、任意の材料を含んでいてもよい。
上記樹脂シートの厚さとしては、フィン部を支持できる大きさであることが好ましく、例えば、100μm〜550μmの範囲内、中でも150μm〜350μmの範囲内、特に180μm〜300μmの範囲内が好ましい。樹脂シートの厚さが上記範囲よりも大きいと、上記樹脂シートおよび本発明の放熱構造体の加工性が悪化する場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、上記樹脂シートおよび本発明の放熱構造体の形状維持性が悪化する場合がある。
上記樹脂シートが、ヒートシール性を有する樹脂材料や、硬化型接着剤により形成されたものでない場合、樹脂シートの非熱伝導層側表面上に、接着層や感圧接着層等を有することで、放熱積層体の樹脂シートを内面として折り曲げ、折り曲げ部を接着層や感圧接着層を介して強固に接着させることができるからである。なお、樹脂シートの非熱伝導層側表面上に形成される接着層や感圧接着層については、従来公知の組成と同様とすることができるが、中でも熱伝導性が高いことが好ましい。
(2)熱伝導層
上記熱伝導層は、熱源からの熱の移動を迅速に行う必要があることから、熱伝導率が高いことが好ましい。これは、熱伝導層の熱伝導率が低いと、熱の移動が妨げられるため、熱源およびその近傍に熱量が滞留して温度が上昇してしまうため、十分な放熱効果が得られないからである。
熱伝導層の熱伝導率としては、10W・m−1・K−1以上であることが好ましく、中でも80W・m−1・K−1以上であることが好ましい。なお、熱伝導率は、キセノンフラッシュ光を用いた非定常法により測定される。
上述の熱伝導率を示す熱伝導層としては、金属箔、カーボンシート、熱伝導性材料およびバインダ樹脂を含有する熱伝導性薄膜等が挙げられる。
上記金属箔の金属としては、銀、銅、金、アルミニウム、ニッケル、チタン、モリブデン、亜鉛、ニオブ、ベリリウム、タンタル、錫、鉛、鉄、白金、ジルコニウム等の金属、上記金属の合金、具体的にはステンレス鋼、鉄−ニッケル合金(パーマロイ、42アロイ)、銅−錫−リン合金(燐青銅)、銅−亜鉛−ニッケル合金(洋白)、銅−亜鉛合金(真鍮)、ニッケル−クロム合金(二クロム)、鉄−ニッケル−コバルト合金(コバール)、銀−銅−亜鉛合金(銀ロウ)等が挙げられる。
中でも、熱伝導率が高く安価であることから、銅、銅合金、アルミニウム、アルミ合金が好適であり、さらに軽量である点から、アルミニウムまたはアルミ合金がより好ましい。
上記金属箔は、単一相であってもよく、金属箔中に任意の材質の金属粒子や金属ファイバー等を含んでいてもよい。また、金属箔中には、酸化物、窒化物等の粒子やファイバー等が含まれていてもよい。
上記カーボンシートを構成する炭素材料としては、カーボンブラック、グラフェン、グラファイト、カーボンナノチューブ、ダイヤモンド、炭素繊維等が挙げられる。
上記熱伝導性薄膜は、熱伝導性材料およびバインダ樹脂を含有する。上記熱伝導性材料としては、上述の金属箔に用いられる金属または金属合金、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の金属窒化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸金属塩、ケイ酸カルシウム等のケイ酸金属塩、水和金属化合物、結晶性シリカ、非結晶性シリカ、炭化ケイ素またはこれらの複合物、カーボンシートに用いられる炭素材料等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
上記熱伝導性材料の形状としては、粒子状やフィラー状が挙げられる。なお、熱伝導性材料の形状が粒子状である場合、該粒子の平均粒径としては、0.1μm〜200μmの範囲内が好ましい。なお、上記平均粒径は、動的光散乱法により測定される。
熱伝導性薄膜に含まれるバインダ樹脂としては、熱伝導性材料同士を結着させることができるものであれば特に限定されず、一般的なバインダ樹脂が挙げられる。バインダ樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明においては、中でも熱伝導層が金属箔であることが好ましく、特にアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔であることが好ましい。熱伝導率が高く、軽量である上、屈曲や裁断等の加工性に優れるからである。
また、熱伝導層が金属箔である場合、上記金属箔は、表面が酸化されていること、すなわち表面に酸化皮膜が形成されていることが好ましい。金属箔の表面が酸化されていることで、熱伝導層単体での放熱率(放射率)が向上するため、後述する輻射層を別途設けなくても所望の放熱効果を得ることができるからである。上記金属箔の表面が粗面化されている場合でも、同様の効果を得ることができる。
金属箔表面を酸化する方法としては、特に限定されないが、例えば、陽極酸化方法がある。また、粗面化の方法については、後述する「(3)任意の層 (a)輻射層」の項で説明する粗面化の方法と同様とすることができる。
熱伝導層の厚さとしては、熱伝導を妨げない厚さであればよく、熱伝導層の種類にもよるが、6.0μm以上200.0μm以下であることが好ましく、中でも6.0μm以上150.0μm以下であることが好ましい。熱伝導層の厚さが上記範囲よりも厚いと、フィン部の柔軟性が損なわれる場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、熱の移動が阻害される場合や、フィン部の強度が損なわれる場合がある。
熱伝導層の形成方法としては、熱伝導層の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、樹脂シート上に蒸着法、スパッタリング法、CVD法、キャスティング等により形成することができる。また、市販の金属箔等、予め形成された熱伝導層を樹脂シートと貼り合せて用いても良い。
(3)任意の層
本発明における放熱積層体は、樹脂シートおよび熱伝導層を少なくとも有していればよいが、必要に応じて任意の構成を有していてもよい。以下、放熱積層体に想定される任意の層について説明する。
(a)輻射層
本発明の放熱構造体は、上記熱伝導層の上記樹脂シート側とは反対側の表面には、輻射層を有することが好ましい。熱伝導層上に輻射層を有することで、本発明の放熱構造体の放熱機能および機械強度をより向上させることができるからである。また、熱伝導層が輻射層により覆われることで、腐食や酸化等による熱伝導層の劣化を防ぐことができ、放熱構造体の耐久性を高めることができるからである。
なお、図4は、本発明の放熱構造体の他の例を示す概略斜視図であり、熱伝導層2上に輻射層3を有する態様を例示したものである。
輻射層は、高い放熱機能を発揮するために、放射率(または輻射率と呼ぶ。)が高いことが好ましい。放射率が低いと、輻射による熱の放出が少なくなるため、熱伝導層から受けた熱を外部に十分に放熱することができず、所望の放熱効果が得られなくなるからである。輻射層の放射率としては、0.4以上であることが好ましく、中でも0.6以上、特に0.8以上であることが好ましい。なお、放射率は、熱放射率測定装置により測定される値である。
(i)材料
輻射層としては、上述した放射率を示すことが可能であればよく、本発明の放熱構造体の使用用途に鑑みて適宜選択することができる。具体的には、樹脂層、金属材料から構成される金属層、無機材料から成る無機材料層、バインダ樹脂に放熱性(熱伝導性)フィラーを含有させたフィラー含有層等を用いることができる。
上記樹脂層を構成する樹脂としては、例えば本発明の放熱構造体の使用環境温度が比較的低い場合であれば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂等の汎用樹脂が好適に用いられる。また、本発明の放熱構造体の使用環境温度がやや高い場合であれば、フェノール樹脂、ユリア樹脂(尿素樹脂)、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
さらに、上記樹脂としては、6ナイロン(登録商標)や66ナイロン(登録商標)に代表されるアミド樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテルや変性ポリフェニレンオキサイド、ポリブチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン等のエンジニアリングプラスチック;ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化)、ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化)、ポリフッ化ビニリデン(2フッ化)、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等のフッ素樹脂等のスーパーエンジニアリングプラスチック等が挙げられる。
樹脂層である上記輻射層は、上述の樹脂の他に、耐熱性、熱伝導性、放射率を高める目的で、SiZrO、Cr、酸化鉄等の無機顔料のフィラー等を含んでいてもよい。
上記輻射層が金属層である場合、上記金属層を構成する金属材料としては、例えば銅、金、銀、ニッケル、チタン、ステンレス、アルミニウム等の金属、これらの金属の合金等が挙げられる。
なお、金属層を輻射層とする場合、鏡面であると放射率が低くなることから、所望の放射率を示すために、金属層の表面が粗面である、または、金属層の表面が酸化されて酸化皮膜が形成されていることが好ましい。金属層の具体的な表面粗度については、特に限定されず、放射率に応じて適宜設定することができる。粗面化の方法としては、UVオゾン処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理等が挙げられる。また、金属層の表面酸化方法については、上述の「3.放熱積層体 (2)熱伝導層」の項で説明した方法と同様とすることができる。
上記輻射層が無機材料層である場合、上記無機材料層を構成する無機材料としては、ソーダガラス、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、ダイヤモンド、カーボンナノ材料等の炭素材料、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素、酸化ベリリウム、酸化モリブデン、酸化チタン等の酸化物、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の窒化物等が挙げられる。
上記輻射層がフィラー含有層である場合、上記フィラー含有層を構成する放熱性(熱伝導性)フィラーおよびバインダ樹脂としては、例えば特開2011−228647号公報、特開2011−222334号公報等に記載される放熱性(熱伝導性)フィラーおよびバインダ樹脂の例が挙げられる。また、上記放熱性(熱伝導性)フィラーの材料としては、上述した金属層を形成する金属材料や、無機材料層を構成する炭素材料等を用いることができる。
上記輻射層は、その種類に応じて界面活性剤、熱安定剤、分散剤、金属水和物などの難燃剤、シランカップリング剤、イソシアネートなどの硬化剤、マイクロシリカ等の添加剤を含んでいてもよい。
上記輻射層は、輻射層を構成する材料の選択、または輻射層を構成する材料に更に所望の機能を発揮可能な材料を添加することで、輻射(放熱)機能以外の機能を有することが好ましい。輻射層により放熱構造体の放熱機能がさらに向上するとともに、付加機能を有することができるからである。上記機能としては、例えば、帯電防止機能、自浄機能、吸水機能、保護機能、反射および遮熱機能等を挙げることができる。
(帯電防止機能)
上記輻射層は、帯電防止機能を有することで、静電気の発生によるゴミや埃等の付着を防止して、放熱機能を維持することができる。
本機能は、例えば、輻射層の材料に帯電防止剤を添加することで付与することが可能である。帯電防止剤としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル等の金属、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の金属酸化物、黒鉛等が挙げられる。
また、本機能は、輻射層の材料に導電性ポリマーを添加することで付与することができる。上記導電性ポリマーについては、従来公知の材料が挙げられ、例えば、特開2014−197210号公報等に記載される導電性ポリマーを用いることができる。
(保護機能)
上記輻射層は、保護機能を有することで、耐候性や耐久性等の表面物性を更に向上させることができる。本機能は、例えば、輻射層に含まれる樹脂材料としてフッ素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂を用いる、または輻射層を構成する樹脂材料にこれらの樹脂を添加することで付与することが可能である。
(自浄機能)
上記輻射層は、自浄機能を有することで、セルフクリーニングの発現が可能となり、汚れの付着による放熱機能の低下を抑制することができる。本機能は、例えば、輻射層を構成する材料として酸化チタンを用いる、または輻射層に含まれる樹脂材料に酸化チタンを添加する等の方法により付与することができる。
(吸水機能)
上記輻射層は、吸水機能を有することで、例えば、本発明の放熱構造体を太陽電池モジュールに配置して用いる場合に、日中温度が極めて高い砂漠地帯等での使用を想定し、夜間の低温時に結露水分を吸収し、日中の高温時に吸収した水分を蒸発させることで、その気化熱により高温時の太陽電池モジュールの温度上昇を抑制することができる。
本機能は、例えば、輻射層を構成する樹脂材料としてポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の水溶性モノマーを重合した高分子等の各種の吸水性樹脂を用いる、または輻射層に含まれる樹脂材料にこれらの吸水性樹脂を添加する等の方法により付与することができる。
(反射および遮熱機能)
上記輻射層は、反射および遮熱機能を有することで、放熱構造体の温度上昇を抑制して、高温環境下においても高い放熱効率で放熱することができる。本機能は、例えば輻射層を金属層とする、フッ素樹脂やポリエチレンテレフタレート等の輻射層を構成する樹脂に白色無機粒子等を添加する等の方法により付与することできる。白色無機粒子としては、例えば水酸化アルミニウム、酸化チタン等が挙げられる。
(ii)その他
上記輻射層の厚さとしては、熱伝導層からの熱伝導を阻害しない厚さであればよく、輻射層の種類に応じて適宜設定することができる。
上記厚さとしては、例えば1μm以上150μm以下、中でも20μm以上100μm以下であることが好ましい。輻射層の厚さが上記範囲よりも大きくなると熱伝導を阻害して放熱効率が低下する場合や、輻射層および放熱構造体の柔軟性が低下して形状追従性が低下する場合があるからである。
上記輻射層は、放熱性に加えて熱伝導性が高いことが好ましい。熱伝導層からの受熱および放熱をより高効率で行うことができるからである。
上記輻射層の形成方法としては、輻射層を構成する材料に応じて適宜選択が可能である。
例えば輻射層が樹脂層やフィラー含有層であれば、樹脂や放熱性(熱伝導性)フィラーを含む輻射層組成物を用いてフィルムを形成し、熱伝導層に層間接着剤層を介して貼合させる方法、ドライラミネートにより形成する方法等、熱溶融が可能な樹脂であれば押出しラミネートにより形成する方法、樹脂を含む輻射層組成物の塗布液を用いて熱伝導層上に塗布し乾燥させて形成する方法、紫外線や電子線等の電磁波を照射して輻射層組成物の塗布層を硬化させて形成する方法等を用いることができる。
また、輻射層が金属層等の場合、金属材料を含む輻射層組成物を用いて、塗布方法、吹き付け法、印刷法、真空蒸着法、スパッタリング法等の各種方法を用いて形成することができる。
また、上記輻射層の形成方法として、バインダ樹脂および放熱性フィラーを少なくとも含む市販の放熱塗工材を用いて塗工形成してもよく、バインダ樹脂に放熱性フィラーが分散された市販の放熱シートを輻射層として用いてもよい。
市販の放熱塗工材としては、ペルノックス株式会社製 熱放射塗料 PELCOOL(登録商標)等が挙げられる。また、市販の放熱シートとしては、沖電線株式会社製 クールスタッフ(登録商標)、ペルノックス株式会社製 熱放射シート ペルクール(登録商標)シートオプテックス株式会社製 黒体テープ HB−250、レック株式会社製 黒体テープ THI−2B−5等が好適である。
(b)剥離層
本発明の放熱構造体において、樹脂シートが、ヒートシール性を有する樹脂材料や硬化型接着剤により形成される場合、保存性や取扱容易性の観点から、樹脂シートの非熱伝導層側表面には、パレート紙や易剥離加工したフィルム等の剥離層を有していてもよい。
(c)補強層
本発明の放熱構造体は、熱伝導層の保護や、放熱構造体の強度を考慮して熱伝導層と輻射層との間、熱伝導層と樹脂シートとの間に補強層を有していてもよい。補強層としては、例えばポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、上述した保護層等が挙げられる。
(d)その他
本発明の放熱構造体は、各層を積層するに際し、層同士を接着させるための層間接着剤層を有していていもよい。層間接着剤層に用いられる接着剤としては、特に限定されないが、中でも熱伝導の阻害を抑制するために、熱伝導性の高い接着剤が好ましい。熱伝導性接着剤については、従来公知のものを使用することができる。
4.その他
本発明の放熱構造体は、熱伝導層側の表面に凹凸を有していていもよい。放熱構造体の表面を凹凸面とすることで、放熱面積を大きくすることができ、放熱機能を向上させることができるからである。
熱伝導層側の表面に凹凸を有するとは、最外層が熱伝導層であれば熱伝導層表面に凹凸が付されていることをいい、輻射層が最外層である場合は、輻射層表面に凹凸が付されていることをいう。
凹凸の形状等については、特に限定されず、数mm〜数十mm程度のピッチ幅で設けられる。
放熱構造体の熱伝導層側の表面に凹凸に付す方法としては、例えばエンボス加工等が挙げられる。
本発明の放熱構造体は、上述した放熱積層体で構成されるため、シート状とすることができる。よって、従来の金属製の放熱構造体に比べて、軽量且つ柔軟性を有するという特長を有する。
本発明の放熱構造体のヤング率としては、1GPa〜200GPaの範囲内が好ましく、中でも10GPa〜100GPaの範囲内が好ましい。ヤング率が上記範囲よりも大きいと、本発明の放熱構造体およびフィン部の加工性が悪化する場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、フィン部の強度が不足する場合がある。なお、放熱構造体のヤング率は、JIS K7161〜7164に準拠する引張り試験により測定される。
5.用途
本発明の放熱構造体は、作動や稼働に際して高温となる物体であり、放熱を必要とするあらゆる分野において好適に用いることができる。例えば、CPU、画像処理チップ、メモリー等、大規模集積回路(LSI)と言ったパワーデバイスに用いられる半導体素子、液晶、プラズマディスプレイ(PDP)、LED、有機EL素子等の発光素子を有する電子機器では、作動や稼働に際して素子から発熱することから、上記素子に本発明の放熱構造体を接触または近接させて用いることで、本発明による放熱機能が発揮される。
また、太陽光発電に用いる太陽電池モジュールにおいては、本発明の放熱構造体を受光面とは反対側の面に配置することで、太陽電池素子に生じた熱を放熱し、太陽電池モジュールの発熱効率を向上させることができる。
6.製造方法
本発明の放熱構造体は、例えば、樹脂材料からなる樹脂シートおよび上記樹脂シートの一方の表面上に形成された熱伝導層、ならびに必要に応じて任意の層を有する放熱積層体の折り曲げ加工により形成することができる。この方法については、後述する「B.放熱構造体の製造方法」の項で説明する。
また、本発明の放熱構造体は、別途形成した樹脂シートを所定の間隔をおいて折り曲げて、折り曲げ部を接着することで、平坦部および複数の凸部を形成後、上記樹脂シートの凸部側表面上に熱伝導層や任意の層を形成する方法によっても得られる。
B.放熱構造体の製造方法
次に、本発明の放熱構造体の製造方法について説明する。本発明の放熱構造体の製造方法は、平坦状の基部と、上記基部の一方の表面から所定の間隔をおいて突出して形成された複数のフィン部と、を有する放熱構造体の製造方法であって、樹脂材料からなる樹脂シートと、上記樹脂シートの一方の表面上に形成された熱伝導層とを有する放熱積層体を準備する準備工程と、上記放熱積層体の一部を、上記樹脂シートを内面として、所定の間隔をおいて折り曲げて複数の折り曲げ部を形成する折り曲げ工程と、上記折り曲げ部を幅方向に接着させて、上記フィン部を形成する接着工程と、を有することを特徴とする方法である。
本発明の放熱構造体の製造方法について、図を参照して説明する。図5は、本発明の放熱構造体の製造方法の一例を示す工程図である。
まず、樹脂材料からなる樹脂シート1および熱伝導層2を積層させた放熱積層体13を準備する(図5(a)、準備工程)。次に、放熱積層体1の一部を、樹脂シート1を内面にして山折りに折り曲げて、山折りの両隣を谷折りすることで、樹脂シート1の非熱伝導層側表面1aが対向して配置された複数の折り曲げ部15を形成する(図5(b)、折り曲げ工程)。放熱積層体13の折り曲げ部15以外の部分が基部12となる。
次に、折り曲げ部15を幅方向に接着させる(図5(c)、接着工程)。このとき折り曲げ部では、対向する非熱伝導層側表面1a同士が接着することで、フィン部11が形成される。これにより、図1等で説明した放熱構造体10を製造することができる。
なお、放熱構造体10の非フィン部側表面上には、フィン部11と対向する位置に、フィン部内に位置する非熱伝導層側表面1a同士の接着面である界面部14が形成される。
本発明によれば、放熱積層体の折り曲げ加工により、複数のフィン部を容易に形成することができ、装置による連続加工が可能となる。このため、所望の放熱構造体を高い生産性で製造することが可能である。また、上記方法によりフィン部と基部とが一体である構造とすることができ、強度の高いフィン部の形成が可能となる。さらに、折り曲げ部を幅方向に接着することで、放熱積層体の非フィン部側表面上に界面部が形成されるため、得られる放熱積層体に屈曲性を付与することができる。
以下、本発明の放熱構造体の製造方法について、工程ごとに説明する。
1.準備工程
本発明における準備工程は、樹脂材料からなる樹脂シートと、上記樹脂シートの一方の表面上に形成された熱伝導層とを有する放熱積層体を準備する工程である。
放熱積層体については、上述の「A.放熱構造体」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
放熱積層体の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、ヒートシール性を有する樹脂材料からなる樹脂シートを形成し、その上に熱伝導層を設けてもよく、熱伝導層の表面に硬化性接着剤を塗布して樹脂シートを形成してもよい。
2.折り曲げ工程
本発明における折り曲げ工程は、上記放熱積層体の一部を、上記樹脂シートを内面として、所定の間隔をおいて折り曲げて複数の折り曲げ部を形成する工程である。
本工程により、折り曲げ部では、樹脂シートの非熱伝導層表面が対向して位置することとなる。また、放熱積層体の折り曲げ部以外の部分が基部となる。
折り曲げ部の形成方法としては、放熱積層体の一部を、樹脂シートを内面として所望の間隔を開けて折り曲げることが可能な方法あれば、特に限定されない。例えば、放熱積層体を手折りで折り曲げる方法、ナイフ式折り加工装置等の各種の折り加工装置により折り曲げる方法等が挙げられる。
折り曲げに際して、放熱積層体は樹脂シートを内面として山折りして形成してもよく谷折りして形成してもよい。
折り曲げ部の高さ等については、「A.放熱構造体」の項において説明したフィン部の高さ等と同様とすることができる。
3.接着工程
本発明における接着工程は、上記折り曲げ部を幅方向に接着させて、上記フィン部を形成する工程である。
本工程により、折り曲げ部において対向する樹脂シートの非熱伝導層表面同士が接着されることで、所望の形状のフィン部を形成することができる。
折り曲げ部の接着方法については、樹脂シートを構成する樹脂材料の種類によって適宜選択することができる。例えば、樹脂シートがヒートシール性を有する樹脂材料で形成されている場合であれば、折り曲げ部を熱圧着することで、折り曲げ部において対向する非熱伝導層表面同士が接着されてフィン部を形成することができる。一方、樹脂シートが硬化性接着剤により形成される場合は、折り曲げ部を圧着して硬化性接着剤を硬化させることで、フィン部を形成することができる。
本工程において、折り曲げ部において対向する非熱伝導層表面同士は、完全に接着されることが好ましいが、端部において一部剥離していてもよい。この場合、図5(c)で示すように、放熱構造体10の非フィン部側表面上に、溝形状の界面部14が形成される。
界面部については「A.放熱構造体」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
4.その他
本発明においては、折り曲げ工程と接着工程とを同時に行ってもよい。具体的には、折り加工装置で折りながら折り曲げ部の両側面からプレスして上記折り曲げ部を圧着する方法により、放熱積層体の折り曲げと折り曲げ部での接着とを同時に行うことができる。
また、放熱構造体に、輻射層や他の任意の層を付与する場合、準備工程において熱溶着層上に輻射層や他の任意の層を形成した放熱積層体を準備して用いてもよく、接着工程後に輻射層や他の任意の層を形成してもよい。
本発明により得られる放熱構造体は、「A.放熱構造体」の項で説明した構造を有するものとなる。上記放熱構造体における各構成、物性、およびフィン部の形状等については、「A.放熱構造体」の項において説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
C.電子機器
次に、本発明の電子機器について説明する。本発明の電子機器は、発熱体、および上記発熱体と接するようにして配置された放熱構造体を有する電子機器であって、上記放熱構造体が、「A.放熱構造体」で説明したものであることを特徴とするものである。
本発明の電子機器について、図を参照して説明する。図6は、本発明の電子機器の一例を示す概略図である。本発明の電子機器20は、発熱体21と、発熱体21に接するようにして配置された放熱構造体10とを有する。図6において発熱体21は、基板22の一方の面側に複数の素子23を有する素子基板であり、放熱構造体10は、基板22の素子23を有する面とは反対側の面に配置される。放熱構造体10の構成については、図1〜2と同様であるため、ここでの説明は省略する。
放熱構造体10は、フィン部11が発熱体21と反対側となるように配置される。
本発明によれば、上記放熱構造体が上述の構造を有することで、発熱体において生じた熱を高効率で放熱させることができ、上記発熱体の劣化や性能の低下、電子機器の温度上昇、および機能障害の発生を防ぐことができる。また、上記放熱構造体が上述の構造を有するため、発熱体への密着配置が可能となり、上記発熱体が変形する場合であっても追従することが可能となる。さらには上記放熱構造体が軽量であるため、電子機器全体の軽量化を図ることができる。
以下、本発明の電子機器の各構成について説明する。なお、本発明の電子機器における放熱構造体については、上述の「A.放熱構造体」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
1.発熱体
本発明における発熱体は、所望の機能を発揮する際に多量の熱を発する発熱源を有するものであり、放熱機能の付与が必要となるものであれば特に限定されない。
発熱体が有する発熱源としては、例えば、LED素子、有機EL素子、太陽電池素子、固体撮像素子、パワー半導体等の素子、回路部品等が挙げられる。各素子の具体例については、従来公知の素子と同様とすることができる。
発熱体としては、上述の発熱源を有するものであればよく、例えば、CPU、画像処理チップ、メモリー等、大規模集積回路(LSI)と言ったパワーデバイスの素子基板、液晶、プラズマディスプレイ(PDP)、LED、有機EL表示装置等の表示装置に用いられる素子基板、太陽電池セル、太陽電池モジュール等が挙げられる。
なお、発熱体は、発熱源以外の任意の部材を有していても良い。任意の部材については、発熱体の種類に応じて適宜選択することができる。
2.その他
本発明の電子機器は、発熱体と接するようにして放熱構造体が配置されていればよく、中でも発熱源と近接または直に接するようにして放熱構造体が配置されることが好ましい。発熱源からの受熱を高効率で行うことができるからである。
また、放熱構造体は、熱伝導性接着剤等を介して発熱体に配置されてもよいが、上記放熱構造体における樹脂シートがヒートシール性を有する場合は、図6で示すように、非フィン部側表面を接着面として、発熱体21に配置させることができる。
本発明の電子機器は、発熱体および放熱構造体を有するものであればよいが、中でも、上記発熱体が、太陽電池素子を有する太陽電池モジュールであり、上記放熱構造体が、上記太陽電池モジュールの受光面とは反対側の面に配置されていることが好ましい。
太陽電池モジュールにおいては、一般に温度の均一性が悪いと、発電効率が低下するが、本発明においては、放熱構造体のフィン部が柔軟性および強度を有しており、フィン部の高さや傾斜角を容易に調整することができるため、太陽電池モジュールの温度の低下および均一化を容易に図ることができる。つまり、上述の放熱構造体により太陽電池素子において生じた熱を放熱させることで、太陽電池モジュールの発電効率を向上させることができるからである。
太陽電池モジュールにおける太陽電池の種類については特に限定されず、薄膜太陽電池、集光型太陽電池、色素増感型太陽電池等、いずれであってもよい。
放熱構造体は、太陽電池モジュールの受光面とは反対側の面に配置される。このとき、放熱構造体は、太陽電池モジュールの設置面に対して、フィン部が所望の方向を向くようにして配置されるが、中でも図7で例示するように、放熱構造体10のフィン部11の向きが、太陽電池モジュール21Aの設置面Gに対して平行であること、すなわち、放熱構造体10のフィン部11を有する面と太陽電池モジュール21Aの設置面Gとを直交させた際に、フィン部11の長さ方向が設置面Gと平行となることが好ましい。フィン部の向きを設置面に対して平行に設置することで、設置面に対して傾斜している場合に比べ、周囲環境からの風の通り抜けがスムーズに行えるためである。
なお、図7は、本発明の電子機器における発熱体が太陽電池モジュールである場合の電子機器の設置態様の一例を示す模式図であり、放熱構造体以外の電子機器の構成の詳細、および放熱構造体のフィン部以外については図示および符号を省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
以下の方法により放熱構造体を作製し、得られた放熱構造体を用いて評価サンプルを作製した。
(放熱構造体の作製)
輻射層として、厚さ50μmの帝人社製白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「白PETフィルム」とも記載)を用い、白PETフィルムの表面に、ロックペイント社製のウレタンポリオール系接着剤を乾燥膜厚7μmの厚さで塗布した後、熱伝導層である40μmのアルミ箔上にドライラミネートした。次にアルミ箔の白PETフィルムとは逆の面に、ロックペイント社製のウレタンポリオール系接着剤を乾燥膜厚7μmの厚さで塗布した後、厚さ80μmの三菱樹脂製ポリプロピレンフィルムを樹脂シートとして重ね合わせ、白PETフィルム/アルミ箔(熱伝導層)/ポリプロピレンフィルム(樹脂シート)よりなる放熱積層体を作製した。
次に白PETフィルムが外面となるように、作製した放熱積層体を所望の間隔を開けて手折で山折加工し、折り曲げ部を幅方向に圧着して放熱構造体を得た。
上記放熱構造体のフィン部は、図2に例示する形状(高さ10mm、幅38mm、ピッチ10mm)であった。尚、白PETフィルムの放射率は0.80であった。
その後、上記放熱構造体を平面視形状が38mm×38mmとなる様に裁断した。
(評価サンプルS1の作製)
厚さ2.0mm、50mm角のアルミ板(東洋アルミ社製 A1050)に、熱伝導テープ(日立マクセル社製 SLION TAPE)を介して放熱構造体を取り付けて評価サンプルS1とした。評価サンプルS1を含んだ全体の表面積は、アルミ板単体での表面積の1.5倍となった。
[実施例2]
フィン部の形状を高さ21mm、幅38mm、ピッチ10mmで形状付与した以外は、実施例1と同様の方法で放熱構造体を得た。
また、実施例1と同様にして評価サンプルS2を作製した。評価サンプルS2を含んだ全体の表面積は、アルミ板単体での表面積の2.0倍となった。
[実施例3]
フィン部の形状を高さ42mm、幅38mm、ピッチ10mmで形状付与した以外は、実施例1と同様の方法で放熱構造体を得た。
また、実施例1と同様にして評価サンプルS3を作製した。評価サンプルS3を含んだ全体の表面積は、アルミ板単体での表面積の3.0倍となった。
[実施例4]
輻射層を設けず、熱伝導層としてアルマイト処理したアルミ箔を用いたこと以外は実施例2と同様の方法で放熱構造体を得た。アルマイト処理したアルミ箔の放射率は0.80であった。
また、実施例1と同様にして評価サンプルS4を得た。
[実施例5]
白PETフィルムに変えて、厚さ25μmのデュポン社製白色ポリフッ化ビニルフィルム(以下、PVFフィルム)を用いた以外は、実施例4と同様にして放熱構造体を得た。PVFフィルムの放射率は0.73であった。
また、実施例1と同様にして評価サンプルS5を得た。
[実施例6]
白PETフィルムに変えて、厚さ25μmの旭硝子社製白色エチレンテトラフロロエチレン共重合樹脂フィルム(以下ETFEフィルム)を用いた以外は、実施例4と同様にして放熱構造体を得た。ETFEフィルムの放射率は0.71であった。
また、実施例1と同様にして評価サンプルS6を得た。
[比較例1]
放熱構造体を作製せず、厚さ2.0mm、50mm角のアルミ板(東洋アルミ社製 A1050)に、熱伝導テープおよび放熱構造体を設けない評価サンプルS7を得た。アルミ板表面の放射率は0.09であった。
[比較例2]
比較例1のアルミ板に、輻射層として厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 U48)をドライラミネートにて貼り付けたこと以外は、比較例1と同様にして評価サンプルS8を得た。ポリエチレンテレフタレートフィルムの放射率は0.80であった。
[比較例3]
比較例1のアルミ板に輻射層としての黒体テープ(レック社製 THI−2B−5)を貼り付けて貼り付けたこと以外は、比較例1と同様にして評価サンプルS9を得た。黒体テープの放射率は0.95であった。
[比較例4]
図8で例示するアルミ鋳造品のヒートシンク40を放熱構造体とした。なお、図8(a)は、ヒートシンク40の概略平面図であり、図8(b)は図8(a)のA−A線断面図である。アルミ鋳造品のヒートシンクは、三東化工社製 38SQ38H20WAであり、X=38mm、Y=38mm、土台高さHb=4mm、フィン部41の高さHr=16mm、X軸方向でのピッチPrx=2mm、Y軸方向でのピッチPry=2mmであった。ヒートシンク40はアルマイト処理されており、放射率は0.80であった。
また、実施例1と同様にして評価サンプルS10を得た。
[評価1]
図9に例示する簡易評価装置30にて放熱効率の測定を行った。簡易評価装置30は、熱源31に加熱電源35より電流1.8A、電圧2.1Vを加え加熱した。熱源31の一方の面には、熱伝導テープ32(日立マクセル社製 SLION TAPE)を介して評価サンプルS1〜S10をそれぞれ貼り付けた。また、熱源31の他方の面には熱伝導テープ32を介して熱電対34を貼り付け、熱電対による起電力をデータレコーダ36を介して記録装置37に記録し90分放置した後の測定値を温度に換算した。熱源は、38Wの熱を発生し、単独での温度は、75℃に到達した。
なお、図9では、アルミ板33上に熱伝導テープ33を介して放熱構造体10が配置された実施例1〜6および比較例4の評価サンプルSを例示しており、比較例1〜3の評価サンプルSについては、放熱構造体10および熱伝導テープ33がないものとした。
結果を表1に記載する。
表1の結果より、実施例1〜6の放熱構造体は、表面積拡大の効果により優れた放熱機能を発揮することが明瞭となった。また、同一の表面積を持つアルミ鋳造品のヒートシンク(比較例4)と実施例3とを比較すると、実施例3の放熱構造体の方が、軽量かつ放熱機能に優れることが示唆された。
[評価2]
太陽電池モジュールに放熱構造体を配置し、ソーラーシュミレーターにて効果を評価した。ソーラーシュミレーターは、三永電気製作所社製 XES−180SIを用い、1000W/mの照射量で60分間測定した。
測定サンプルは、図10で示すように、130mm×130mmの太陽電池モジュール21Aの光Lの受光面とは反対側の面(バックシート面)に、実施例3で得られた放熱構造体10(38mm×38mm)を5つ、熱伝導テープ32を介し貼り付けたものとした。また、比較例4のアルミ鋳造品のヒートシンクについても同様にして太陽電池モジュール21Aのバックシート面に貼り付けて、ソーラーシュミレーターによる評価を行った。なお、図10(a)は、評価サンプルの概略平面図であり、図10(b)は図10(a)のX−X線断面図である。
結果を表2に示す。なお、表2に記載のモジュール温度は、照射後50分経過時から60分経過時までの太陽電池モジュールの中央部の平均温度であり、表2中のRefは、放熱構造体を配置しないときの太陽電池モジュールのソーラーシュミレーターによる測定値である。
表2により、本実施形態における放熱構造体は、太陽電池モジュールへ使用時に、従来のアルミ鋳造品のヒートシンクと類似の放熱効果を示し、太陽電池モジュールの起電力向上に効果があることが明らかとなった。
1 … 樹脂シート
2 … 熱伝導層
3 … 輻射層
10 … 放熱構造体
11 … フィン部
12 … 基部
13 … 放熱積層体
14 … 界面部
15 … 折り曲げ部
20 … 電子機器
21 … 発熱体
21A … 太陽電池モジュール

Claims (7)

  1. 平坦状の基部と、
    前記基部の一方の表面から所定の間隔をおいて突出して形成された複数のフィン部と、
    を有する放熱構造体であって、
    前記放熱構造体は、樹脂材料からなる樹脂シートと、前記樹脂シートの一方の表面上に形成された熱伝導層とを有する放熱積層体で構成され、
    前記フィン部が、前記樹脂シートの前記熱伝導層が形成された側と反対側の表面が対向して形成されていることを特徴とする放熱構造体。
  2. 前記熱伝導層が金属箔であることを特徴とする請求項1に記載の放熱構造体。
  3. 前記樹脂シートが、ヒートシール性を有する樹脂材料で形成されることを特徴とする請請求項1または請求項2に記載の放熱構造体。
  4. 前記熱伝導層の前記樹脂シート側とは反対側の表面には、輻射層を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の放熱構造体。
  5. 平坦状の基部と、前記基部の一方の表面から所定の間隔をおいて突出して形成された複数のフィン部と、を有する放熱構造体の製造方法であって、
    樹脂材料からなる樹脂シートと、前記樹脂シートの一方の表面上に形成された熱伝導層とを有する放熱積層体を準備する準備工程と、
    前記放熱積層体の一部を、前記樹脂シートを内面として、所定の間隔をおいて折り曲げて複数の折り曲げ部を形成する折り曲げ工程と、
    前記折り曲げ部を幅方向に接着させて、前記フィン部を形成する接着工程と、
    を有することを特徴とする放熱構造体の製造方法。
  6. 発熱体、および前記発熱体と接するようにして配置された放熱構造体を有する電子機器であって、
    前記放熱構造体は、平坦状の基部と、前記基部の一方の表面から所定の間隔をおいて突出して形成された複数のフィン部と、を有し、
    前記放熱構造体は、樹脂材料からなる樹脂シートと、前記樹脂シートの一方の表面上に形成された熱伝導層とを有する放熱積層体で構成され、
    前記フィン部が、前記樹脂シートの前記熱伝導層が形成された側と反対側の表面が対向して形成されていることを特徴とする電子機器。
  7. 前記発熱体が、太陽電池素子を有する太陽電池モジュールであり、
    前記放熱構造体が、前記太陽電池モジュールの受光面とは反対側の面に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
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CN113097164A (zh) * 2021-03-31 2021-07-09 辽宁工程技术大学 一种电气自动化实验用可循环利用的散热片
KR102419199B1 (ko) * 2022-05-13 2022-07-11 (주) 은평조명 초경량 그라파이트 방열구조.

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