JP2015211115A - 仕切体 - Google Patents

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Abstract

【課題】対象とする周波数に応じて電磁波を減衰させたり透過させたりするという選択が可能な仕切体を提供する。【解決手段】対象周波数の電磁波を減衰又は透過させるための選択的な設定がされた仕切体1である。また、壁状に形成される壁部4と、前面11に厚さ方向に略直交する方向に間隔P1を置いて配置される縦テープ21とそれに略直交する間隔P2を置いて配置される横テープ22とによって形成される前側格子2と、それと同様に後面12に形成される後側格子3と、前側格子と後側格子との間を仕切るように間隔Rを置いて配置される反射面部5,5とを備えている。そして、対象周波数の電磁波を透過させる場合と減衰させる場合とのそれぞれに応じた関係式を満たす厚さd、間隔P1,P2及び間隔Rに設定される。【選択図】図1

Description

本発明は、伝搬される電磁波を周波数に応じて減衰させたり透過させたりすることが可能な空間を仕切る壁や床などの仕切体に関するものである。
特許文献1,2に開示されているように、建物の外部から内部への不要な電磁波の侵入や、建物の内部から外部への電磁波の漏洩を防ぐために、電磁波シールド機能を備えた建物が構築されている。すなわち、建物の外で伝搬されている電磁波が室内に侵入すると、テレビやパソコンの画像が乱れたり、電子機器が誤作動を起こしたりすることがある。また、室内での無線送信などによって発生した電磁波が建物の外まで伝搬されることによって、情報が漏洩してしまうことがある。
一方、ビルなどの壁や床は、主に鉄筋コンクリートによって構築されるが、構造体として必要とされる耐力のみを満たすようにして構築された鉄筋コンクリート自体は電磁波シールド機能が低い。
そこで、例えば、鉄筋コンクリートの壁や床の表面に、鉄板、金属網、金属箔、金属メッシュなどの電磁波シールド機能を有する部材を貼り付けることで、電磁波シールド機能を備えた建物にしている。
特開平11−121973号公報 特開2002−54248号公報
しかしながら、建物の内部にいても無線LAN(Local Area Network)の電波は外部に漏洩させたくないが携帯電話の電波は受信したいなど、すべての電磁波を遮蔽するのではなく、選択的に透過させたい電磁波もある。
また、無線LANのアクセスポイント(無線LAN発信点)が近接して設置されている場合に、壁を透過した電波が別の部屋に設置されているアクセスポイントの電波と重なり合い、干渉することによって繋がりにくい状態になることがある。
そこで、本発明は、対象とする周波数に応じて電磁波を減衰させたり透過させたりするという選択が可能な仕切体を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の仕切体は、所定の伝搬方向に伝搬される対象周波数の電磁波を減衰又は透過させるための選択的な設定がされた仕切体であって、前記伝搬方向を厚さ方向とする壁状又はスラブ状に形成される媒質部と、前記媒質部の前記厚さ方向の第1の面に、前記厚さ方向に略直交する方向に一定の間隔P1を置いて配置される複数の第1の帯状導体とその第1の帯状導体に略直交して間隔P2を置いて配置される複数の帯状導体とを有して略長方形の目の格子に形成される第1導体部と、前記媒質部の前記厚さ方向の第2の面に、前記第1の帯状導体と略同じ方向に向けて前記間隔P1を置いて配置される複数の第2の帯状導体とその第2の帯状導体に略直交して前記間隔P2を置いて配置される複数の帯状導体を有して略長方形の目の格子に形成される第2導体部と、前記第1導体部と前記第2導体部との間を前記面に略直交して仕切るように前記いずれかの帯状導体の延伸方向と略平行に延伸される導電体によって形成される反射面部とを備え、前記対象周波数の前記いずれかの帯状導体と同じ方向の偏波を持つ電磁波を透過させる場合は、前記媒質部内の波長λmとその次数n(nは0又は正の整数)と帯状導体の幅wと前記媒質部の厚さdとがd=nλm/2−2α×(P−w)−2βλm(ここで、Pは間隔P1又はP2、α=0.1058±0.0333、β=-0.0280±0.0169)の関係式を満たし、前記対象周波数の前記いずれかの帯状導体と同じ方向の偏波を持つ電磁波を減衰させる場合は、前記媒質部内の波長λaとその次数n(nは0又は正の整数)と前記媒質部の厚さdと前記間隔P1又はP2とがP=λa/(√(Ae−(nλa/2d)2))の関係式(ここで、Pは間隔P1又はP2、Aeは1又は実験に基づいて決定される変数)を満たす値に基づいて前記媒質部の厚さd及び前記間隔P1又はP2が設定され、間隔Rを置いて略平行となるように少なくとも一対の前記反射面部が配置されるとともに、前記反射面部に略平行となる前記帯状導体の間隔P1又はP2に基づいて、R=P×m/2(ここで、Pは間隔P1又はP2、mは正の整数)となる間隔Rで、前記帯状導体の中心軸位置又は帯状導体間の略中央に前記反射面部がそれぞれ配置されることを特徴とする。
このように構成された本発明の仕切体は、壁状又はスラブ状に形成された媒質部の厚さ方向の2つの面に、複数の帯状導体によって間隔P1,P2の略長方形の目の格子に形成される第1導体部及び第2導体部を備えている。
また、第1導体部と第2導体部との間を仕切るように帯状導体の延伸方向と略平行に延伸される導電体によって形成される反射面部を備えている。
そして、対象周波数の電磁波を透過させる場合は、媒質部内の波長λmとその次数nと帯状導体の幅wと媒質部の厚さdとがd=nλm/2−2α×(P−w)−2βλm(ここで、Pは間隔P1又はP2、α=0.1058±0.0333、β=-0.0280±0.0169)の関係式を満たすように設定する。また、対象周波数の電磁波を減衰させる場合は、媒質部内の波長λaとその次数nと媒質部の厚さdと間隔P1又はP2とがP=λa/(√(Ae−(nλa/2d)2))の関係式(ここで、Pは間隔P1又はP2、Aeは1又は実験に基づいて決定される変数)を満たすように設定する。
さらに、間隔Rを置いて略平行となるように少なくとも一対の反射面部が配置されるとともに、反射面部に略平行となる帯状導体の間隔P1又はP2に基づいて、R=P×m/2(ここで、Pは間隔P1又はP2、mは正の整数)となる間隔Rで、その帯状導体の中心軸位置又は帯状導体間の略中央に反射面部がそれぞれ配置される。
このように、媒質部の厚さdや帯状導体の間隔Pや幅wを調整したうえで、反射面部の間隔R及び配置位置を決めることで、対象とする周波数の電磁波を透過させたり減衰させたりすることができる。このため、仕切体によって区切られた空間と外部との間で特定の周波数の電磁波を減衰させたい場合や、反対に特定の周波数の電磁波を透過させたい場合などに、様々な場所の壁状又はスラブ状に形成される媒質部の表面に帯状導体を配置するだけで、電磁波を減衰又は透過させることができる。
本発明の実施の形態の仕切体を説明する説明図である。 仕切体の詳細な構成を説明する平面図である。 反射面部の構成を説明する斜視図である。 反射面部の有無による電磁波の減衰及び透過状態への影響を比較したグラフである。 反射面部の作用を説明するための説明図である。 仕切体の電磁波の減衰及び透過状態を確認するために行った実験結果を示したグラフである。 実施例1で説明する帯状導体と反射面部との位置関係を示した図であって、(a)は縦テープと反射面部との位置関係の説明図、(b)は縦テープ間に幅のある反射体が配置される場合の説明図、(c)は縦テープ間と横テープ間の両方に反射面部を配置する場合の説明図である。 実施例2で説明する実験に使用した仕切体の構成を示した平面図である。 実施例2で説明する実験に使用した別の仕切体の構成を示した平面図である。 実施例2で説明する実験に使用した幅のある反射体を配置した仕切体の構成を示した平面図である。 実施例2で説明する実験に使用した幅のある反射体を配置した別の仕切体の構成を示した平面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態の仕切体1は、図1に示すように、一方の空間L1と他方の空間L2とを仕切るものである。この仕切体1が設けられることによって、例えば建物の内部の空間L1から外部の空間L2という伝搬方向、又は外部の空間L2から内部の空間L1という伝搬方向に伝搬される対象周波数の電磁波の遮蔽又は透過が選択的におこなわれる。
ここで「遮蔽」とは、伝搬される電磁波が減衰されることで電磁波シールド効果(SE:Shield Effectiveness)が得られる状態をいう。また、「電磁波が減衰する」とは、仕切体1を通過することによって電界強度が弱くなることをいう。これに対して「透過」とは、伝搬される電磁波が仕切体1によって減衰される程度が低く電磁波の受信に影響がでない、ほとんど減衰されない、又は仕切体1がない場合よりも電界強度が強くなることをいう。例えば、透過損失が閾値より小さい状態を「透過」と呼ぶ。
まず、図1を参照しながら仕切体1の構成について説明する。
この仕切体1は、図1に示すように、媒質部としての壁部4と、壁部4の空間L1側に向いた第1の面(前面11)に配置される第1導体部としての前側格子2と、壁部4の空間L2側に向いた第2の面(後面12)に配置される第2導体部としての後側格子3と、前側格子2と後側格子3との間を仕切るように間隔Rを置いて複数配置される反射面部5,5とを備えている。すなわち、電磁波の伝搬方向に壁部4の厚さd分の距離を置いて側方から見て略平行に配置される前側格子2と後側格子3、及び前面11と後面12とが略平行になる壁部4によって仕切体1が形成される。
ここで、図1に示した媒質部としての壁部4は模式図であり、詳細な構成については後述するが、誘電率の明らかな任意の材料であれば壁部として使用できる。例えば、石こう(石こうボード(プラスターボード))若しくは木材などの建材、ガラス、アクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合物(ABS)、四フッ化エチレン(例えば、テフロン(登録商標))、パラフィン、ウレタン、エポキシ、塩化ビニール、シリコン、ベークライト若しくは発泡スチロールなどの樹脂、紙、ゴム、鉄筋コンクリート又はモルタルのいずれかの材料によって媒質部を成形することができる。
また、第1導体部及び第2導体部は、任意の導電体によって形成される。そして、導電体には、電気伝導率がグラファイト(電気伝導率:106 S/m)と同等以上の材料が使用できる。例えば、鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、金若しくは銀などの金属、グラファイトなどの鉱物、炭素、セラミック又は導電性プラスチックなどの材料によって導体部を形成することができる。
前側格子2は、図1に示すように、鉛直方向に向けて配置された複数の第1の帯状導体としての縦テープ21,・・・と、縦テープ21に略直角となるように交差する複数の帯状導体としての横テープ22,・・・とによって格子状に形成される。すなわち、縦テープ21,・・・は、水平方向に一定の間隔P1を置いて並べられる。また、横テープ22,・・・は、鉛直方向に一定の間隔P2を置いて並べられる。なお、縦テープ21と横テープ22のいずれが第1の帯状導体となってもよい。
前側格子2は、アルミテープや銅テープなどの導体テープを縦テープ21及び横テープ22として壁部4の前面11に格子状に貼り付けることによって形成される。すなわち、縦テープ21,21及び横テープ22,22は、それぞれ一定の間隔P1又はP2で略平行に配置されている。以下では、間隔P1又はP2のいずれか又は両方を指す場合に、間隔Pとして説明する場合がある。
また、縦テープ21と横テープ22の幅wは略同じである。ここで、縦テープ21及び横テープ22は、両側縁が略平行となる帯状部材であり、延伸方向に略直交する方向の側縁間の距離がテープ幅wとなる。
一方、後側格子3は、前側格子2と同様に、鉛直方向に向けて配置された複数の第2の帯状導体としての縦テープ31,・・・と、縦テープ31に略直角となるように交差する複数の帯状導体としての横テープ32,・・・とによって格子状に形成される。すなわち、縦テープ31,・・・は、水平方向に一定の間隔P1を置いて並べられる。また、横テープ32,・・・は、鉛直方向に一定の間隔P2を置いて並べられる。なお、縦テープ31と横テープ32のいずれが第2の帯状導体となってもよい。さらに、縦テープ31と横テープ32には、前側格子2と同様に、略同じ幅wのアルミテープや銅テープなどの導体テープが使用される。
ここで、本実施の形態では、厚さが壁部4の厚さに比べてほとんど無視できるほど薄い縦テープ21,31と横テープ22,32を使用する場合について説明するため、前側格子2(第1導体部)と後側格子3(第2導体部)との電磁波の伝搬方向の距離は、導体テープの交差面や内側面や外側面といった位置を特定しなくても壁部4の厚さdとほぼ等しくなる。要するに、壁部4の厚さdは、前側格子2と後側格子3との距離dということもできる。
これに対して厚い帯状導体を使用する場合は、縦方向と横方向の帯状導体を交差部で重ね合わせることなく面一の一面が形成されるような格子にし、その面一の面(格子の内側面)を前面11及び後面12にそれぞれ貼り付けて、その内側面間の距離を第1導体部と第2導体部との電磁波の伝搬方向の距離にすればよい。
なお、厚い帯状導体を使用する場合は、第1導体部(又は第2導体部)の外側面が壁部4の前面11(又は後面12)から大きく突出するようになってもよい。
そして、反射面部5が、前側格子2と後側格子3との間を前面11及び後面12に略直交して仕切るように配置される。図1には、縦テープ21,31の延伸方向と略平行に延伸される反射面部5を示した。また、前側格子2と後側格子3との間には、間隔Rを置いて略平行となるように少なくとも一対の反射面部5,5が配置される。
この反射面部5は、任意の導電体によって形成される。この導電体には、電気伝導率がグラファイト(電気伝導率:106 S/m)と同等以上の材料が使用できる。例えば、鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、金若しくは銀などの金属、グラファイトなどの鉱物、炭素、セラミック又は導電性プラスチックなどの材料によって反射面部5を形成することができる。
図2には、本実施の形態の仕切体1Aの一例を示した。この仕切体1Aは、間仕切壁や戸境壁などとして構築される乾式二重壁を壁部4Aとしている。この壁部4Aは、前面11が形成される前壁部41と、前壁部41に対して厚さd方向に間隔を置いて配置される後面12が形成される後壁部42と、前壁部41と後壁部42の間に介在される反射面部5Aが形成される反射体としてのスタッド50,・・・とによって主に構成される。
この前壁部41(又は後壁部42)は、例えば板状材としての基板411(421)と、被覆板412(422)とを積層させることによって製作される。なお、被覆板412,422は設けなくてもよい。
そして、基板411(421)と被覆板412(422)との間に、前側格子2(又は後側格子3)を設ける。すなわち、基板411の空間L1側の面となる前面11(又は基板421の空間L2側の面となる後面12)に、前側格子2(又は後側格子3)を貼り付ける。
この基板411,421及び被覆板412,422は、プラスターボードや合板などによって形成される。例えば、基板411,421を厚いプラスターボードによって成形し、被覆板412,422を薄いプラスターボードによって成形することができる。
また、前壁部41と後壁部42との間には、間隔を置いて配置されるスタッド50,・・・以外に、グラスウールなどの断熱材(図示省略)が充填される。このような構成となる乾式二重壁の比誘電率εは、空気とほぼ同じ1.0である。
一方、スタッド50は、図3に示すように、床側に固定される下枠43と天井側に固定される上枠44との間に立てられる。例えば下枠43及び上枠44は、断面視略U字形の溝状に成形されており、スタッド50の下端を下枠43に挿し込むとともに、上端を上枠44に挿し込むことで自立させる。
また、複数のスタッド50,・・・は、壁部4Aの厚さd方向に略直交する壁の幅方向に一定の間隔R毎に配置される。
このスタッド50は、図2に示すように断面視略C字形の軽量形鋼によって成形することができる。そして、前壁部41と後壁部42との間に架け渡されるスタッド50のウェブの面が、反射面部5Aとなる。
次に、図4,5を参照しながら、本実施の形態の仕切体1Aに反射面部5A,・・・が配置されることによって得られる効果について説明する。この効果の確認は、乾式二重壁を模した試験体を使った実験によっておこなった。
試験体としては、図2に示した仕切体1Aと同じ構成の「反射面部あり」の試験体と、仕切体1Aからスタッド50,・・・を取り除いた構成の「反射面部なし」の試験体とを作製した。
この実験では、一方の空間L1側から「反射面部あり」又は「反射面部なし」の試験体に向けて垂直偏波の平面波を伝搬させて、他方の空間L2側まで伝搬される電磁波の電界強度を計測した。
実験では、垂直偏波の周波数fを1.0 GHz−6.0 GHzの間で変化させた。図4に、「反射面部あり」の実験結果を実線で示し、比較例として「反射面部なし」の実験結果を破線で示した。
ここで、縦軸のデシベル(dB)の単位で表される透過損失は、値が大きくなるほど電磁波が遮蔽されることを示し、0dBに近ければ電磁波が透過されることを示す。
この実験結果より、「反射面部なし」に比べて「反射面部あり」の場合には、試験体の電磁波シールド効果(遮蔽性能)が高くなっていることが分かる。すなわち、帯状導体(21,22,31,32)を活用した電磁波を減衰させたり透過させたりするという選択が可能(周波数選択型)な仕切体1Aでは、反射面部5A,・・・を設けた方が電磁波を遮蔽する効果が高まる場合があることが確認できた。これは、反射面部5Aの金属面が鉛直な反射面となって、繰返しの無限周期構造が形成されるためと考えられる。
さらに、このように反射面部5Aを配置することによる影響について検討を続ける。周波数選択型の仕切体によって電磁波を減衰させたり透過させたりする場合に、数値解析によって間隔P1,P2や厚さdに設定した効果を確認する。ここで数値解析においては、図5(a)に示すように壁a1から遠く離れた位置に発信源a2があると仮定して、壁a1には平面波a3,・・・が入射されるとして解析を行っていた。
これに対して実験や実際の建物では、図5(b)に示すように発信源b2が壁b1の近傍にあり、壁b1には球面波b3が入射されることになる。このため、数値解析で確認されたのと同じだけの効果が実際に構築された仕切体では得られないことがあった。
ところが、図5(c)に示すように仕切体M1に反射面部M5,・・・を配置すると、実際の発信源C1だけでなく反射面部M5を対称軸にして疑似的な発信源C2,・・・が複数発生した状況になり、球面波C3,・・・が重なり合って疑似的に平面波C4,・・・に近い分布が形成されると推察される。そのため、数値解析のモデルと近い効果が得られるようになったと考えられる。この結果より、仕切体1Aの内部に反射面部5A,・・・を配置することにより、効果の高い周波数選択型の壁を設計通りに構築できるようになることが判明した。
そこで、以下では周波数選択型の仕切体1(1A)の詳細設計についての説明を行う。まず、透過させたい周波数について説明する。ここで、壁部4(4A)内の電磁波の波長λmは、比誘電率をε、電磁波の周波数をf、光速をvとすると次の変換式によって算出できる。
λm=v/f×1/√ε (1)
ここで、乾式二重壁の比誘電率εは1.0とすることができる。また、以下では、仕切体1,壁部4の符号のみで説明を続ける。
そして、壁部4の前面11と後面12の位置に透過させたい電磁波の反射面が形成されるとすると、壁部4内の波長λmの半分(すなわち半波長:λm/2)のn倍(nは0又は正の整数)となる周波数fの電磁波が強く透過されるといえる。
d=nλm/2 (2)
しかしながら、この反射面位置の仮定では実際の測定結果とずれが生じることが判明している。
そこで、次式によって修正を行う。
d=nλm/2−2α(P−w)−2βλm (3)
ここで、αとβは、数値解析によって得られた回帰直線から、α=0.1058±0.0333、β=-0.0280±0.0169となる。また、Pには、間隔P1又はP2のいずれかが代入される。さらに、wは、間隔P1のときには縦テープ21(31)の幅となり、間隔P2のときには横テープ22(32)の幅となる。
以上のことから、透過させたい電磁波の周波数fmと次数nとテープ幅wと間隔P(P1又はP2)とが特定されれば、式(1)、(3)を使って算出される厚さdに壁部4を設定した仕切体1を構築することで、対象周波数fmの縦テープ21(31)又は横テープ22(32)の延伸方向と同じ方向の偏波を持つ電磁波を透過させることができる。
ここで、縦テープ21,31又は横テープ22,32と同じ方向の偏波(垂直偏波又は水平偏波)を持つ電磁波のそれぞれに対応させる場合は、式(3)のnがn又はnとなって以下の式のようになる。
d=nλm/2−2α(P1−w)−2βλm (3−1)
d=nλm/2−2α(P2−w)−2βλm (3−2)
ここで、n,nは0又は正の整数である。
続いて、遮蔽のピークとなる周波数について検討を進める。
電磁波が遮蔽されるときには、仕切体1は、前側格子2と後側格子3を共振方向(反射面部5,5間方向)と平行な境界とする矩形空洞共振器(導波管)として動作しているといえる。導波管は、1辺がaの正方形断面の直方体状の方形導波管である。
この導波管の中を軸方向に電磁波が伝わるときに、電界が強い箇所と弱い箇所が交互に発生する。すなわち、導波管の軸方向に沿って周期的に電界が分布する。この電界の周期距離(例えば、電界が強い箇所から次の強い箇所までの距離)が管内波長λgになる。そして、管内波長λgは、次の式によって算出できる。
λg=λa/(√(1−(nλa/2d)2)) (4)
ここで、λaは壁部4内の波長、nは0又は正の整数、dは壁部4の厚さ(=導波管断面の1辺の長さa)である。
そして、間隔P(P1又はP2)とほぼ等しい管内波長λgとなる周波数fの電磁波が強く遮蔽されることになる。
P=λg (5)
よって、式(4),(5)から次の式が導ける。
P=λa/(√(1−(nλa/2d)2)) (6)
ここで、λaは遮蔽させたい電磁波(周波数fa)の壁部4内の波長、nは0又は正の整数、dは壁部4の厚さである。なお、式(6)は、λa/P<1の場合に適用される。
この遮蔽させたい電磁波(周波数fa)に対して適用される上記関係式(6)は、次の一般式に書き直すことができる。
P=λa/(√(Ae−(nλa/2d)2)) (7)
ここで、Aeは1又は実験に基づいて決定される変数である。すなわち、式(6)は、Ae=1の場合を示している。また実験に基づいて決定される変数としては、Ae=2.3という値が実験結果から既に得られている。この値は、実験に基づいて随時、変更することができる。
さらに、縦テープ21,31又は横テープ22,32と同じ方向の偏波(垂直偏波又は水平偏波)を持つ電磁波のそれぞれに対応させる場合は、式(7)のnがn又はnとなって以下の式のようになる。
P1=λa/(√(Ae−(nλa/2d)2)) (7−1)
P2=λa/(√(Ae−(nλa/2d)2)) (7−2)
ここで、n,nは0又は正の整数である。
以上のことから、遮蔽させたい電磁波の周波数faと次数nと壁部4の厚さdとが特定されれば、式(1)及び式(6),(7),(7−1)又は(7−2)を使って算出される間隔P(P1又はP2)に設定された前側格子2及び後側格子3を備えた仕切体1を構築することで、対象周波数faの電磁波を遮蔽させることができる。
そして、この仕切体1の中に間隔Rを置いて略平行となるように反射面部5,5を配置することで、より電磁波シールド効果を増加させることができる。この間隔Rは、次の式で導くことができる。
R=P×m/2 (8)
ここで、Pは間隔P1又はP2、mは正の整数である。
さらに、反射面部5を配置する位置は、図1であれば、縦テープ21,31の中心軸位置、又は縦テープ21,21(31,31)間の略中央となる。また図2には、縦テープ21,21(31,31)間の略中央に配置される反射面部5Aを示している。
そこで、図2の仕切体1Aの各寸法を、壁部4Aの厚さdを100mm、隣接するスタッド50,50の対向する反射面部5A,5Aの間隔Rを303mm、縦テープ21,21(31,31)間の間隔P(P1)を101mmとする試験体による実験を行って、電磁波シールド効果を確認した。なお、縦テープ21,31の幅wは、25mmと50mmの両方でそれぞれ実験した。
図6は、その実験結果を示した図である。実験では、垂直偏波を仕切体1Aに入射したときの実験結果を示している。ここで、上述した関係式から実験前に予想できる遮蔽される電磁波の周波数のピーク(対象周波数fa)は、2.19GHzと2.782GHzである。
これに対して実験結果からは、2.18GHzでは20.82dBという透過損失のピークが確認でき、2.63GHzでは22.5dBという透過損失のピークが確認できた。この結果、設計通りの電磁波シールド効果が発揮される仕切体1Aを簡単に構築できることが判明した。
例えば、無線LANの電磁波を建物の外部に漏洩させたくない場合は、建物の内外の境界にこの周波数の電磁波を遮蔽できるように設定された仕切体1Aを設置すればよい。
また、無線LANのアクセスポイントが隣り合う各部屋にそれぞれ設置されている場合は、間仕切壁を仕切体1Aとすることで、アクセスポイント同士の電波の干渉を防いで、快適な無線LANの通信環境を提供することができるようになる。
次に、本実施の形態の仕切体1の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の仕切体1(1A)は、壁状又はスラブ状に形成された壁部4の前面11及び後面12に、間隔P1で配置される複数の縦テープ21,・・・と、間隔P2によって配置される複数の横テープ22,・・・とによって格子状に形成された前側格子2と、これと同様に形成された後側格子3とを備えている。
そして、対象周波数fmの電磁波を透過させる場合は、コンクリート部内の波長λmとその次数nとテープ幅wとを特定し、これらの値を関係式(3)(又は(3−1),(3−2))に代入して算出された値に基づいて壁部4の厚さdを設定する。すなわち、上記した変換式(1)によって仕切体1を透過させたい対象周波数fmの波長λmを算出し、次数nを決める。続いて、関係式(3)を使って算出された値を、壁部4の厚さdに設定する。
これに対して、対象周波数faの電磁波を遮蔽させる場合は、壁部内の波長λaとその次数nと壁部4の厚さdとを特定し、これらの値を関係式(7)(又は(7−1),(7−2))に代入して算出された値に基づいて前側格子2及び後側格子3の間隔P1,P2を設定する。すなわち、上記した変換式(1)によって仕切体1によって遮蔽させたい対象周波数faの波長λaを算出し、次数nと壁部4の厚さdとを決める。続いて、関係式(7)を使って算出された値を、前側格子2及び後側格子3の間隔P1,P2に設定する。
さらに、間隔Rを置いて略平行となるように反射面部5,・・・が配置される。この間隔Rは、反射面部5に略平行となる縦テープ21,21(31,31)の間隔P1に基づいて、R=P1×m/2(ここで、mは正の整数)によって設定される。
そして、縦テープ21,31の中心軸位置又は縦テープ21,21(31,31)間の略中央に、反射面部5,・・・がそれぞれ配置されるようにする。
このように、壁部4の厚さd、又は縦テープ21,31及び横テープ22,32の間隔Pやテープ幅wを調整したうえで、反射面部5,・・・の間隔R及び配置位置を決めることで、対象とする周波数fm,faの電磁波を透過させたり減衰させたりすることができる。このため、仕切体1によって区切られた空間と外部との間で特定の周波数faの電磁波を遮蔽させたい場合や、反対に特定の周波数fmの電磁波を透過させたい場合などに、様々な場所の既存又は新設の壁やスラブの表面に前側格子2や後側格子3を貼り付けて反射面部5,・・・を配置するだけで、電磁波を減衰又は透過させることができる。
このような仕切体1を構築する建物又は部屋として、病院、無線LANが利用可能なオフィス、ホテル、集合住宅、会議室などが挙げられる。これらの空間には、特定の電磁波のみを遮蔽させたり、透過させたりしたいという要望がある。
例えば、携帯電話や自営無線の電磁波の周波数は、1.5GHz周辺である。オフィスなどで携帯電話の受信をしたい場合は、建物の内外の境界に周波数1.5GHz周辺の電磁波が透過されるように設定された仕切体1を設置すればよい。
これに対して、コンサートホールなどで携帯電話等の電磁波を外部から侵入させたくない場合は、ホールの内外の境界にこの周波数の電磁波を遮蔽できるように設定された仕切体1を設置すればよい。
また、建物の内部にいても携帯電話の電波は受信したいが、無線LANの電波は外部に漏洩させたくない場合など、透過させたい周波数fmの電磁波と遮蔽させたい周波数faの電磁波とがあるときには、壁部4の厚さd、前側格子2と後側格子3の間隔P並びに反射面部5,・・・の間隔R及び配置位置を調整した仕切体1を設けることによって、周波数fm,faに応じて電磁波を透過させたり遮蔽させたりする制御を行うことができる。
他方、データセンター、サーバルーム、放送スタジオ、撮影スタジオ、空港レーダ管制室、電磁波シールドルームなどのほとんどの電磁波を遮蔽させる必要がある場合にも、壁部4の厚さdや間隔Pやテープ幅wや反射面部5,・・・の間隔Rを調整することで所望する機能が発揮される仕切体1を配置することができる。
また、無線LANのアクセスポイントが隣り合う各部屋又は各住戸にそれぞれ設置されている場合は、間仕切壁や戸境壁を仕切体1とすることで、アクセスポイント同士の電波の干渉を防いで、快適な無線LANの通信環境を提供することができるようになる。
さらに、このような仕切体1は建物の建築現場で直接、構築することができる。また、工場や作業ヤードなどで仕切体1を構成するプレキャストパネルを予め製造し、建築現場でプレキャストパネルを組み立てることによって仕切体1とすることもできる。
そして、工場などでプレキャストパネルを製造する方法であれば、正確な間隔Pの前側格子2及び後側格子3並びに正確な間隔Rの反射面部5,・・・を、正確な厚さdの壁部4に配置することが安定的にできる。さらに、壁部4も高品質に形成することができるので、所望する機能を備えた安定した品質の仕切体1を構築することができる。
また、縦テープ21,31や横テープ22,32のようにテープを貼り付けるのであれば、鉄筋を壁に埋設させる場合などに比べて施工性がよく、簡単に仕切体1を構築することができる。
さらに、アルミテープなどの導体テープは容易に入手することができるうえに、テープ幅wなどの寸法の選択や加工も容易に行えるため、経済性や施工性に優れている。
そして、縦テープ21,31や横テープ22,32を貼り付けることで前側格子2や後側格子3を形成するのであれば、間隔Pを任意の大きさに容易に調整することができる。
また、縦テープ21,31や横テープ22,32のように幅(テープ幅w)のある帯状導体を使用することによって、減衰させる周波数の幅を広げることができる。さらに、ある程度の寸法誤差が生じても、ピーク周波数として設定された対象周波数faについては確実に減衰させることができる。
以下、前記実施の形態で説明した仕切体1とは別の形態の仕切体について、図7を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を用いて説明する。
本実施例1では、反射面部5の配置位置について説明する。図7(a)は、前記実施の形態で説明した反射面部5の配置位置を示している。この図7(a)には、縦テープ21,21の間隔P1と横テープ22,22の間隔P2が等しく間隔Pとなる、略正方形の目の格子が示されている。
この図7(a)を見るとわかるように、反射面部5を対称軸にして左右が対称になるように縦テープ21,21の間隔Pが設定されている。すなわち、図の中央に配置された反射面部5の両側には、それぞれP/2の距離を置いて縦テープ21,21が配置されている。また、右端の反射面部5は、縦テープ21の中心軸位置に配置されている。
一方、図7(b)には、縦テープ21,21間の間隔Pと比べて無視できないほどの広さの幅(間隔t)の反射体60が配置されている。この反射体60は、間隔tを置いて略平行に形成される一組の反射面部6,6と、その一組の反射面部6,6の両縁間を塞ぐ縦テープ21と略平行な幅状導体601とによって主に構成される。
そして、反射体60を中心に左右が対称になるように両側の縦テープ21,21が配置されている。すなわち、反射体60の両側には、それぞれ反射面部6,6からP/2の距離を置いて縦テープ21,21が配置されている。このため、図の中央の反射体60を挟んだ縦テープ21,21の間隔は、P+tとなる。なお、反射体60が配置されていない縦テープ21,21間及び横テープ22,22間は、間隔Pとなる。
続いて図7(c)では、水平方向に延びる反射面部7が配置される場合について説明する。この図7(c)には、縦テープ21,21の間隔P1と横テープ22,22の間隔P2とが異なった略長方形の目の格子が示されている。
そして、鉛直方向に延びる反射面部5については、図7(a)で説明したように反射面部5を対称軸にして左右が対称になるように縦テープ21,21の間隔P1が設定されている。一方、水平方向に延びる反射面部7の上下両側には、それぞれP2/2の距離を置いて横テープ22,22が配置されている。そして、反射面部7を対称軸にして上下が対称になるように横テープ22,22の間隔P2が設定されている。
このように反射体60の幅(t)が厚い場合には、部分的に非等間隔に縦テープ21,21を配置することで、反射体60を中心にした対称性を保つことができるようになる。
また、水平偏波と垂直偏波とで所望される電磁波シールド効果(遮蔽性能)が異なる場合には、間隔P1,P2及び反射面部5,7の配置位置を調整することで、所望する性能の仕切体を構築することができる。なお、このような場合に間隔P1及び間隔P2を算定する場合には、上記した式(7−1),(7−2)が使用される。
なお、実施例1のこの他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるため説明を省略する。
以下、前記実施の形態で説明した仕切体1,1Aとは別の形態の仕切体1B−1Eについて実験によってその効果を確認した結果を、図8−11を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を用いて説明する。
まず図8に示した仕切体1Bは、壁部4Bの厚さdが100mm、スタッド50,50の間隔Rが303mm、縦テープ21,21(31,31)間の間隔P(P1)が258mmに設定されている。また、スタッド50の反射面部5は、すべての縦テープ21,21(31,31)間の略中央に配置されている。なお、実験は、縦テープ21,31の幅wを25mmと50mmとした両方でそれぞれ行った。
この実験を行う前に、前記実施の形態で説明した関係式から予想できる遮蔽される電磁波の周波数のピーク(対象周波数fa)は、2.59GHzであった。これに対して実験結果からは、2.61GHzで43.34dBという透過損失のピークが確認できた。この予想と実験結果との差は、僅か0.02GHzであり、設計通りに対象周波数faをほぼ遮蔽することができるといえる。
また、図9に示した仕切体1Cは、壁部4Cの厚さdが65mm、スタッド50,50の間隔Rが303mm、縦テープ21,21(31,31)間の間隔P(P1)が101mmに設定されている。また、スタッド50は、いくつかの縦テープ21,21(31,31)間の略中央に配置されている。なお、実験は、縦テープ21,31の幅wを25mmと50mmとした両方でそれぞれ行った。
この実験を行う前に、前記実施の形態で説明した関係式から予想できる遮蔽される電磁波の周波数のピーク(対象周波数fa)は、2.478GHzであった。これに対して実験結果からは、2.46GHzで20.3dBという透過損失のピークが確認できた。この予想と実験結果との差は、僅か0.018GHzであり、設計通りに対象周波数faをほぼ遮蔽することができるといえる。
一方、図10に示した仕切体1Dは、前記実施例1で説明した反射体60と同様に、図の中央に幅(t)の広い反射体60Aが配置されている。この反射体60Aは、断面視略C字形の一組のスタッド61,61を開放側が向かい合うように突き合わせることで形成されている。
すなわち、各スタッド61,61のウェブによって形成される反射面部6,6は、厚さd方向に略直交する方向に間隔tを置いて略平行に形成される。そのうえで、一組の反射面部6,6の両縁間が縦テープ21,31と略平行な幅状導体としてのスタッド61,61のフランジによって塞がれることになる。
そして、前壁部41と後壁部42との間に介在される反射体60Aが、縦テープ21,21(31,31)間の略中央に配置される箇所では、縦テープ21,21(31,31)間の間隔がP+tとなる。ここで、反射体60Aが配置されない箇所の縦テープ21,21(31,31)間の間隔P(P1)は137mmに設定され、反射体60Aの幅となる間隔tは90mmに設定される。このため、反射体60Aが略中央に設置される箇所の縦テープ21,21(31,31)間の間隔P+tは、68.5+90+68.5=227mmとなる。一方、壁部4Dの厚さdは100mm、スタッド50の反射面部5と反射体60Aの反射面部6との間隔Rは410mmとなる。なお、実験は、縦テープ21,31の幅wを25mmと50mmとした両方でそれぞれ行った。
この実験を行う前に、前記実施の形態で説明した関係式から予想できる遮蔽される電磁波の周波数のピーク(対象周波数fa)は、2.45GHzであった。これに対して実験結果からは、2.42GHzで17.41dBという透過損失のピークが確認できた。この予想と実験結果との差は、僅か0.03GHzであり、設計通りに対象周波数faをほぼ遮蔽することができるといえる。
そして、図11に示した仕切体1Eは、壁部4Eの厚さdが100mm、幅(t)のある反射体60A,60Aの対向する反射面部6,6の間隔Rが213mm、反射体60Aが配置されない箇所の縦テープ21,21(31,31)間の間隔P(P1)が107mmに設定されている。
また、反射体60Aが略中央に設置される箇所の縦テープ21,21(31,31)間の間隔P+tは、53.5+90+53.5=197mmとなる。なお、実験は、縦テープ21,31の幅wを25mmと50mmとした両方でそれぞれ行った。
この実験を行う前に、前記実施の形態で説明した関係式から予想できる遮蔽される電磁波の周波数のピーク(対象周波数fa)は、2.376GHzであった。これに対して実験結果からは、2.375GHzで34.95dBという透過損失のピークが確認できた。この予想と実験結果との差は、僅か0.001GHzであり、設計通りに対象周波数faを遮蔽することができるといえる。
なお、実施例2のこの他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるため説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態及び実施例では、空間L1から空間L2に向けて伝搬される電磁波を例に説明したが、これに限定されるものではなく、空間L2から空間L1に向けて伝搬される電磁波を対象とする場合にも同様の考え方によって仕切体1,1A−1Eを配置すればよい。
また、前記実施の形態及び実施例では、スタッド50,61のウェブを反射面部5A,6として利用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、鋼板又は断面視略C字形以外の断面の形鋼などいずれの導電体部材の面であっても反射面部として利用することができる。
さらに、前記実施の形態及び実施例では、前側格子2の縦テープ21を横テープ22に対して後側格子3側に配置したが、これに限定されるものではなく、横テープ22に対して空間L1側に縦テープ21を配置してもよい。同じく、後側格子3の縦テープ31を横テープ32に対して空間L2側に配置してもよい。
また、前記実施の形態及び実施例では、前側格子2及び後側格子3を導体テープによって形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、金属粉などの導電体粉末を含有する導体塗料を壁面や壁紙の裏面に格子状に塗布することによって導体部を形成してもよい。
また、導体塗料を印刷機にインクとして充填し、壁紙の一面に導体塗料による格子状の導体部の印刷をおこない、導体部と壁紙を壁面に同時に取り付けることもできる。なお、壁紙の一面に導体テープを格子状に貼り付けることもできる。
さらに、金属粉などの導電体粉末を含有する導体接着剤を、壁面に格子状に塗布して、壁紙などで壁面を覆うことができる。なお、壁紙の裏面に格子状に導体接着剤を塗布することによって導体部を形成してもよい。
また、第1導体部若しくは第2導体部の一方又は両方を、薄い金属板やアルミ箔などの導電体の面材を切り抜いて形成することができる。例えば、前面11又は後面12と同じ大きさ(外形)の金属板に対して、格子の目となる箇所を長方形又は正方形に切り抜くことによって、格子状の導体部を製作することができる。
そして、建物の内部の空間L1と外部の空間L2との間を仕切る外壁や、床や天井のスラブを本発明の仕切体で形成することもできる。
1,1A−1E 仕切体
11 前面(第1の面)
12 後面(第2の面)
2 前側格子(第1導体部)
21 縦テープ(第1の帯状導体)
22 横テープ(帯状導体)
3 後側格子(第2導体部)
31 縦テープ(第2の帯状導体)
32 横テープ(帯状導体)
4,4A−4E 壁部(媒質部)
411 基板(板状材)
421 基板(板状材)
5,5A 反射面部
6 反射面部
60,60A 反射体
601 幅状導体
7 反射面部
m,fa 対象周波数
λ,λa 波長
P,P1,P2 (帯状導体の)間隔
d (媒質部の)厚さ
w テープ幅(幅)
R (反射面部間の)間隔
t (一組の反射面部の)間隔

Claims (5)

  1. 所定の伝搬方向に伝搬される対象周波数の電磁波を減衰又は透過させるための選択的な設定がされた仕切体であって、
    前記伝搬方向を厚さ方向とする壁状又はスラブ状に形成される媒質部と、
    前記媒質部の前記厚さ方向の第1の面に、前記厚さ方向に略直交する方向に一定の間隔P1を置いて配置される複数の第1の帯状導体とその第1の帯状導体に略直交して間隔P2を置いて配置される複数の帯状導体とを有して略長方形の目の格子に形成される第1導体部と、
    前記媒質部の前記厚さ方向の第2の面に、前記第1の帯状導体と略同じ方向に向けて前記間隔P1を置いて配置される複数の第2の帯状導体とその第2の帯状導体に略直交して前記間隔P2を置いて配置される複数の帯状導体を有して略長方形の目の格子に形成される第2導体部と、
    前記第1導体部と前記第2導体部との間を前記面に略直交して仕切るように前記いずれかの帯状導体の延伸方向と略平行に延伸される導電体によって形成される反射面部とを備え、
    前記対象周波数の前記いずれかの帯状導体と同じ方向の偏波を持つ電磁波を透過させる場合は、前記媒質部内の波長λmとその次数n(nは0又は正の整数)と帯状導体の幅wと前記媒質部の厚さdとがd=nλm/2−2α×(P−w)−2βλm(ここで、Pは間隔P1又はP2、α=0.1058±0.0333、β=-0.0280±0.0169)の関係式を満たし、
    前記対象周波数の前記いずれかの帯状導体と同じ方向の偏波を持つ電磁波を減衰させる場合は、前記媒質部内の波長λaとその次数n(nは0又は正の整数)と前記媒質部の厚さdと前記間隔P1又はP2とがP=λa/(√(Ae−(nλa/2d)2))の関係式(ここで、Pは間隔P1又はP2、Aeは1又は実験に基づいて決定される変数)を満たす値に基づいて前記媒質部の厚さd及び前記間隔P1又はP2が設定され、
    間隔Rを置いて略平行となるように少なくとも一対の前記反射面部が配置されるとともに、前記反射面部に略平行となる前記帯状導体の間隔P1又はP2に基づいて、R=P×m/2(ここで、Pは間隔P1又はP2、mは正の整数)となる間隔Rで、その帯状導体の中心軸位置又は帯状導体間の略中央に前記反射面部がそれぞれ配置されることを特徴とする仕切体。
  2. 一組の前記反射面部が前記厚さ方向に略直交する方向に間隔tを置いて略平行に形成され、かつ前記一組の反射面部の両縁間が前記帯状導体と略平行な幅状導体によって塞がれた反射体を前記第1導体部と前記第2導体部との間に配置する場合に、前記帯状導体間の略中央に前記反射体が配置される箇所では、前記帯状導体の間隔をP+t(ここで、Pは間隔P1又はP2)とし、
    前記厚さ方向に略直交する方向に間隔を置いて複数配置された対向する前記反射体間で対向する前記反射面部間の距離を前記間隔Rとすることを特徴とする請求項1に記載の仕切体。
  3. 前記第1及び第2の面は板状材によって形成されるとともに、前記板状材間に前記反射面部が介在されることを特徴とする請求項1又は2に記載の仕切体。
  4. 前記帯状導体が、導電体によって形成される導体テープ、又は導電体粉末を含有する導体塗料若しくは導体接着剤のいずれかの材料を少なくとも一つ使って形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の仕切体。
  5. 前記第1導体部又は第2導体部の少なくとも一方が、導電体の面材を切り抜いて形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の仕切体。
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