JP2015211002A - 繊維集合体、非水電解液二次電池用セパレータ、非水電解液二次電池及び繊維集合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、電解液との濡れ性に優れ、二次電池用セパレータとして用いられた場合、長期サイクル安定性に優れた二次電池を構成することができる繊維集合体を提供する。【解決手段】 本発明の繊維集合体は、ポリオレフィン系樹脂繊維を含む繊維集合物と、上記ポリオレフィン系樹脂繊維の表面の少なくとも一部を被覆し且つ一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物の重合体を含んでいる皮膜層とを含むことを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、繊維集合体、非水電解液二次電池用セパレータ、非水電解液二次電池及び繊維集合体の製造方法に関する。
従来から携帯用電子機器の電源としてリチウムイオン二次電池が用いられている。このリチウムイオン二次電池は、一般的に正極と、負極と、セパレータとを電解液中に配設することによって構成されている。正極は、アルミニウム箔の表面にコバルト酸リチウム又はマンガン酸リチウムが塗布されることで形成される。負極は、銅箔の表面にカーボンが塗布されることで形成される。そして、セパレータは、正極と負極とを仕切るように配設され、電極間の電気的な短絡を防止している。
そして、リチウムイオン二次電池の充電時には、正極からリチウムイオンが放出されて負極内に移動する。一方、リチウムイオン二次電池の放電時には、負極からリチウムイオンが放出されて正極に移動する。
近年、ハイブリッド自動車や電気自動車向けの電池としてリチウムイオン二次電池が使用されている。自動車用途のリチウムイオン二次電池は、長期間に亘って安定した放電容量を維持すること(長期サイクル安定性)が要求される。
特許文献1には、繊度が0.3〜5.5dtexの熱接着性繊維を含むカードウェブからなる水流交絡不織布を複数枚、熱圧着により積層一体化してなる電池用セパレータが開示されている。
特許文献2には、エチレン含有量が1mass%以上3mass%以下の範囲内にあり、プロピレン含有量が97mass%以上99mass%以下の範囲内にあるエチレン−プロピレン共重合体を含む第1成分と、エチレン−プロピレン共重合体の紡糸後の融点Tf1よりも高い紡糸後の融点Tf2を有する熱可塑性重合体を含む第2成分とから成り、かつ第1成分が繊維表面の少なくとも一部を占めてなり、JIS−K−7121に準じて測定したDSC曲線より求める紡糸後の複合繊維の低温側の融解ピーク温度が140℃以上160℃以下であり、繊度が1.5dtex以下である複合繊維を10mass%以上含む不織布であり、当該複合繊維の第1成分によって繊維同士が熱接着されている電池セパレータが開示されている。
しかしながら、特許文献1、2で開示された電池セパレータは、電解液との濡れ性が低く、電解液の保持性が悪く、電池の長期サイクル安定性が低いという問題点を有する。
そこで、本発明は、電解液に対する濡れ性に優れ、二次電池用セパレータとして用いられた場合、長期サイクル安定性に優れた二次電池を構成することができる繊維集合体及びその製造方法を提供する。更に、本発明は、繊維集合体を用いた非水電解液二次電池用セパレータ及び非水電解液二次電池を提供する。
本発明の繊維集合体は、ポリオレフィン系樹脂繊維を含む繊維集合物と、上記ポリオレフィン系樹脂繊維の表面の少なくとも一部を被覆し且つ一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物の重合体を含んでいる皮膜層とを含むことを特徴とする。
繊維集合体を構成している繊維集合物は、ポリオレフィン系樹脂繊維を含有している。ポリオレフィン系樹脂繊維を構成しているポリオレフィン系繊維としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。なお、ポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン成分を50重量%を超えて含有し且つエチレンとこれと共重合可能なモノマーとの共重合体などが挙げられる。なお、ポリエチレン系樹脂は単独で用いられても併用されてもよい。
なお、エチレンと共重合可能なモノマーとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルなどが挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体又はランダム共重合体の何れであってもよい。
なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンなどが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂繊維には複合繊維が含まれる。複合繊維としては、芯鞘型複合繊維及び並列型複合繊維などが挙げられる。芯鞘型複合繊維は、鞘成分がポリエチレン系樹脂を含み且つ芯成分がポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましい。
なお、芯鞘型複合繊維とは、繊維断面において、中空部を有する鞘部と、この鞘部の中空部に充填された芯部とを有する複合繊維である。並列型複合繊維とは、繊維断面において、繊維表面上の任意の二点を通る区画線で繊維断面が複数の区画部に区切られており、各区画部が異なるポリオレフィン系樹脂によって構成されている複合繊維である。区画線が複数ある場合は、区画線同士は交差しない。
芯鞘型複合繊維は、その繊維断面において、鞘部の面積と芯部の面積との比(鞘部の面積/芯部の面積)は、0.1〜10が好ましい。芯鞘型複合繊維において、鞘部の面積と芯部の面積との比が上記範囲内にあることによって、熱接着後のポリオレフィン系樹脂繊維を含む繊維集合物の機械的強度が向上し好ましい。
繊維集合物を構成しているポリオレフィン系樹脂繊維は、複合繊維のみから構成されていてもよいし、複合繊維と単一型繊維とを含んでいてもよい。単一型繊維とは、繊維断面において、その断面が複数の区画に分割されておらず、同一のポリオレフィン系樹脂又はその混合物によって構成されている繊維をいう。
繊維集合物を構成するポリオレフィン系樹脂繊維は、その繊維径が特に制限されない。したがって、ポリオレフィン系樹脂繊維としては、平均繊維径が1μm〜1mmのポリオレフィン系樹脂繊維、平均繊維径が500nm以下、好ましくは200nm以下のポリオレフィン系樹脂繊維などを用いることができる。
なお、ポリオレフィン系樹脂繊維の平均繊維径は下記の要領で測定された値をいう。繊維集合物を構成しているポリオレフィン系樹脂繊維を任意に100本抽出する。各ポリオレフィン系樹脂繊維について、長さ方向の任意の個所にて長さ方向に対して直交する面で切断し、この切断面を電子顕微鏡を用いて観察し、切断面を包囲し得る最小径の真円の直径をポリオレフィン系樹脂繊維の繊維径とする。各ポリオレフィン系樹脂繊維の繊維径の相加平均値をポリオレフィン系樹脂繊維の平均繊維径とする。
繊維集合物には、無機微粒子、高分子微粒子、無機繊維及び高分子繊維からなる群から選択される1種以上のフィラーを含有することができる。
無機微粒子としては、金、銀、銅、鉄、亜鉛、錫、ニッケル、チタンや各種合金などの化学的に安定な金属粒子、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化錫、酸化銅、酸化銀、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物粒子、チタン酸バリウムなどの複合金属酸化物粒子、窒化アルミニウムなどの金属窒化物粒子、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、ゼオライト、マイカ、スメクタイトなどのシリカ系粒子、活性炭、グラファイト、カーボンナノチューブなどの炭素系粒子などが挙げられる。
高分子微粒子としては、スチレン−ブタジエン系(SB)ラテックス粒子、アクリル系ラテックス粒子、各種ゴム系ラテックス粒子、ポリ塩化ビニリデン系ラテックス粒子、ウレタン系ラテックス粒子などのラテックス粒子、ポリオレフィン系粒子、ポリメチルメタクリレート系粒子、ポリアミド系粒子、ポリエステル系粒子、全芳香族ポリアミド系粒子、ポリイミド系粒子、ポリカーボネート系粒子、結晶セルロース粒子などのセルロース系粒子、ポリアセタール系粒子などが挙げられる。
無機繊維としては、ガラス繊維、金属繊維、炭素系繊維が挙げられる。高分子繊維としては、合成樹脂繊維、天然繊維などが挙げられる。
繊維集合物の製造方法としては、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂繊維を水中に分散させて、これをシート状にする湿式製造方法、エアーレイド方、スパンボンド法、メルトブロー法などが挙げられる。
繊維集合物の目付は、特に限定されないが、電解液を十分に保持することができ、繊維集合体を用いて構成された二次電池の長期サイクル安定性が優れているので、2 〜50g/m2が好ましく、5〜40g/m2がより好ましく、10〜 35g/m2が特に好ましい。
繊維集合物の厚みは、特に限定されないが、電解液を十分に保持することができ、繊維集合体を用いて構成された二次電池の長期サイクル安定性が優れているので、1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
繊維集合物を構成しているポリオレフィン系樹脂繊維の表面の少なくとも一部は皮膜層によって被覆されている。繊維集合物を構成しているポリオレフィン系樹脂繊維の表面の全面が皮膜層によって被覆されていることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂繊維の表面の少なくとも一部が皮膜層によって被覆されているので、繊維集合体は、電解液に対して優れた濡れ性を有しており、電解液保持性に優れている。したがって、繊維集合体を二次電池用セパレータに用いた場合には、繊維集合体が電解液を十分に保持し、長期サイクル安定性に優れた二次電池を構成することができる。
上記皮膜層は、一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物の重合体を含んでいる。なお、本発明においては、必要に応じて、皮膜層が無機粒子を含んでいてもよい。無機粒子としては、一般的に用いられている無機粒子が挙げられる。無機粒子を構成する材料としては、例えば、Al2O3、SiO2、TiO2、及びMgOなどが挙げられる。
皮膜層は、一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物の重合体を含んでいる。一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物は、活性エネルギー線の照射によってラジカル重合可能なラジカル重合性不飽和結合を含んでいる官能基を、1分子中に2個以上有していればよい。ラジカル重合可能なラジカル重合性不飽和結合を有する官能基としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基やビニル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
上記重合性化合物としては、多官能性アクリル系モノマー、ビニル基を有するビニル系オリゴマー、多官能性(メタ)アクリレート変性物、2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する樹枝状ポリマー、2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、及びトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、多官能性アクリル系モノマーが好ましい。なお、重合性化合物は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。また、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
多官能性アクリル系モノマーは、ラジカル重合性官能基を1分子中に2個以上有していればよいが、ラジカル重合性官能基を1分子中に3個以上有している3官能以上の多官能性アクリル系モノマーが好ましく、3官能〜6官能の多官能性アクリル系モノマーがより好ましい。
多官能性アクリル系モノマーとしては、
1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びグリセリンジ(メタ)アクリレートなどの2官能の多官能性アクリル系モノマー;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の多官能性アクリル系モノマー;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能の多官能性アクリル系モノマー;
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能の多官能性アクリル系モノマー;
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能の多官能性アクリル系モノマー;
などを例示することができる。
1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びグリセリンジ(メタ)アクリレートなどの2官能の多官能性アクリル系モノマー;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の多官能性アクリル系モノマー;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能の多官能性アクリル系モノマー;
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能の多官能性アクリル系モノマー;
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能の多官能性アクリル系モノマー;
などを例示することができる。
ビニル系オリゴマーとしては、特に限定されず、例えば、ポリブタジエン系オリゴマーなどを例示することができる。なお、ポリブタジエン系オリゴマーとは、ブタジエン骨格を有するオリゴマーを意味する。ポリブタジエン系オリゴマーは、単量体成分として、ブタジエン成分を含む重合体が挙げられる。ポリブタジエン系オリゴマーの単量体成分としては、1,2−ブタジエン成分、及び1,3−ブタジエン成分が挙げられる。なかでも、1,2−ブタジエン成分が好ましい。
ビニル系オリゴマーとしては、主鎖の両末端に水素原子を有するものであってもよく、また、末端の水素原子が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ヒロドキシエチル基などのヒドロキシアルキル基によって置換されたものであっても構わない。また、ビニル系オリゴマーとしては、分子鎖の側鎖又は末端に、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、及びビニル基などラジカル重合性官能基を有するものであっても構わない。
ポリブタジエン系オリゴマーとしては、
ポリ(1,2−ブタジエン)オリゴマー、ポリ(1,3−ブタジエン)オリゴマーなどのポリブタジエンオリゴマー;
ブタジエン骨格に含まれる炭素−炭素二重結合の少なくとも一部がエポキシ化されることによって、分子内にエポキシ基が導入されたエポキシ化ポリブタジエンオリゴマー;
ブタジエン骨格を有し、且つ主鎖の側鎖又は末端に(メタ)アクリロイル基を有しているポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマー;
などを例示することができる。
ポリ(1,2−ブタジエン)オリゴマー、ポリ(1,3−ブタジエン)オリゴマーなどのポリブタジエンオリゴマー;
ブタジエン骨格に含まれる炭素−炭素二重結合の少なくとも一部がエポキシ化されることによって、分子内にエポキシ基が導入されたエポキシ化ポリブタジエンオリゴマー;
ブタジエン骨格を有し、且つ主鎖の側鎖又は末端に(メタ)アクリロイル基を有しているポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマー;
などを例示することができる。
ポリブタジエン系オリゴマーは市販されている製品を用いることができる。ポリ(1,2−ブタジエン)オリゴマーとしては、日本曹達社製 商品名「B−1000」、「B−2000」及び「B−3000」などを例示することができる。主鎖の両末端にヒドロキシ基を有するポリブタジエンオリゴマーとしては、日本曹達社製 商品名「G−1000」、「G−2000」及び「G−3000」などを例示することができる。エポキシ化ポリブタジエンオリゴマーとしては、日本曹達社製 商品名「JP−100」及び「JP−200」などを例示することができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、日本曹達社製 商品名「TE−2000」、「EA−3000」及び「EMA−3000」などを例示することができる。
多官能性(メタ)アクリレート変性物は、ラジカル重合性官能基を1分子中に2個以上有していればよいが、ラジカル重合性官能基を1分子中に3個以上有している3官能以上の多官能性(メタ)アクリレート変性物が好ましく、ラジカル重合性官能基を1分子中に3〜6個有している3官能〜6官能の多官能性(メタ)アクリレート変性物がより好ましい。
多官能性(メタ)アクリレート変性物としては、多官能性(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物、及び多官能性(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物が好ましく挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物は、好ましくは、多価アルコールとアルキレンオキサイドとの付加物を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られる。また、多官能性(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物は、好ましくは、多価アルコールとカプロラクトンとの付加物を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られる。
アルキレンオキサイド変性物及びカプロラクトン変性物における多価アルコールとしては、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、及びトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸などが挙げられる。
アルキレンオキサイド変性物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、イソプロピレンオキサイド、及びブチレンオキサイドなどが挙げられる。
カプロラクトン変性物におけるカプロラクトンとしては、ε−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、及びγ−カプロラクトンなどが挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物において、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、ラジカル重合性官能基当たり、1モル以上であればよい。アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、ラジカル重合性官能基当たり、1モル以上で且つ4モル以下が好ましく、1モル以上で且つ3モル以下がより好ましい。
3官能の多官能性(メタ)アクリレート変性物としては、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド変性物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのブチレンオキサイド変性物、及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性物などのトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物、並びにトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物;
グリセリルトリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物、グリセリルトリ(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド変性物、グリセリルトリ(メタ)アクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物、グリセリルトリ(メタ)アクリレートのブチレンオキサイド変性物、及びグリセリルトリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性物などのグリセリルトリ(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物、並びにグリセリルトリ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド変性物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのブチレンオキサイド変性物、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性物などのペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物、並びにペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物;並びに、
トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのエチレンオキサイド変性物、トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのプロピレンオキサイド変性物、トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのイソプロピレンオキサイド変性物、トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのブチレンオキサイド変性物、及びトリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性物などのトリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのアルキレンオキサイド変性物、並びにトリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのカプロラクトン変性物、などが挙げられる。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド変性物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのブチレンオキサイド変性物、及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性物などのトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物、並びにトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物;
グリセリルトリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物、グリセリルトリ(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド変性物、グリセリルトリ(メタ)アクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物、グリセリルトリ(メタ)アクリレートのブチレンオキサイド変性物、及びグリセリルトリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性物などのグリセリルトリ(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物、並びにグリセリルトリ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド変性物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのブチレンオキサイド変性物、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性物などのペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物、並びにペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物;並びに、
トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのエチレンオキサイド変性物、トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのプロピレンオキサイド変性物、トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのイソプロピレンオキサイド変性物、トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのブチレンオキサイド変性物、及びトリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性物などのトリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのアルキレンオキサイド変性物、並びにトリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのカプロラクトン変性物、などが挙げられる。
4官能の多官能性(メタ)アクリレート変性物として、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのブチレンオキサイド変性物、及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性物などのペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物、並びにペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物;並びに
ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド変性物、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのブチレンオキサイド変性物、及びジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性物などのジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物、並びにジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、などが挙げられる。
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのブチレンオキサイド変性物、及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性物などのペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物、並びにペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物;並びに
ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド変性物、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのブチレンオキサイド変性物、及びジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性物などのジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物、並びにジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、などが挙げられる。
5官能以上の多官能性(メタ)アクリレート変性物として、具体的には、
ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド変性物、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートのブチレンオキサイド変性物、及びジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性物などのジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物、並びにジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、などが挙げられる。
ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド変性物、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートのブチレンオキサイド変性物、及びジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド変性物などのジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートのアルキレンオキサイド変性物、並びにジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、などが挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレート変性物として、市販されている商品を用いることもできる。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物としては、サートマー社製の商品名「SR454」、「SR499」及び「SR502」、大阪有機化学社製の商品名「ビスコート#360」、並びにMiwon社製の商品名「Miramer M3130」、「Miramer M3160」及び「Miramer M3190」などが挙げられる。トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド変性物としては、サートマー社製の商品名「SR492」及び「CD501」、並びにMiwon社製の商品名「Miramer M360」などが挙げられる。トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物としては、日本化薬社製の商品名「TPA−330」などが挙げられる。
グリセリルトリ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物としては、新中村化学社製の商品名「A−GYL−3E」及び「A−GYL−9E」などが挙げられる。グリセリルトリ(メタ)アクリレートのプロピレンオキサイド変性物としては、サートマー社製の商品名「SR9020」及び「CD9021」などが挙げられる。グリセリルトリ(メタ)アクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物としては、日本化薬社製の商品名「GPO−303」などが挙げられる。
トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートのカプロラクトン変性物としては、新中村化学社製の商品名「A−9300−1CL」、「A−9300−3CL」などが挙げられる。
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物としては、Miwon社製の商品名「Miramer M4004」などが挙げられる。ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのエチレンオキサイド変性物としては、新中村化学社製の商品名「AD−TMP−4E」などが挙げられる。
ジペンタエリスリトールポリアクリレートのエチレンオキサイド変性物としては、新中村化学社製の商品名「A−DPH−12E」などが挙げられる。ジペンタエリスリトールポリアクリレートのイソプロピレンオキサイド変性物としては、新中村化学社製の商品名「A−DPH−6P」などが挙げられる。
2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する樹枝状ポリマーとは、(メタ)アクリロイル基を配置した枝分子を放射状に組み立てた球状の巨大分子を意味する。
(メタ)アクリロイル基を有する樹枝状ポリマーとしては、2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有するデンドリマー、及び2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有するハイパーブランチポリマーが挙げられる。
2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有するデンドリマーとは、2官能以上の(メタ)アクリレートを枝分子とし、(メタ)アクリレートを球状に集積することによって得られる球状高分子を意味する。
デンドリマーは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有していればよいが、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有している3官能以上のデンドリマーが好ましく、1分子中に5〜20個の(メタ)アクリロイル基を有している多官能デンドリマーがより好ましい。
デンドリマーの重量平均分子量は、1000〜50000が好ましく、1500〜25000がより好ましい。デンドリマーの重量平均分子量を上記範囲内とすることによって、デンドリマー分子内の結合密度とデンドリマー分子同士の結合密度とが「密」と「粗」となり、これにより高い高度を有していると共に、適度な弾性及び伸度を有している皮膜層を形成することができる。
なお、デンドリマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレンにより換算された値とする。
2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する樹枝状ポリマーとして、市販されている商品を用いることもできる。2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するデンドリマーとして、サートマー社製の商品名「CN2302」、「CN2303」及び「CN2304」、大阪有機化学社製の商品名「V1000」、「SUBARU−501」、及び「SIRIUS−501」、並びに新中村化学社製の商品名「A−HBR−5」などが挙げられる。
2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有するハイパーブランチポリマーとは、ABx型の多官能性モノマー(ここでAとBは互いに反応する官能基、Bの数Xは2以上)を重合させて得られる不規則な分岐構造を有する高分岐構造体の表面および内部を(メタ)アクロイル基によって修飾することによって得られる球状高分子を意味する。
2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、1分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する。
ウレタンアクリレートオリゴマーは、例えば、ポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシル基またはイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートと、ポリオール化合物とを反応させることにより得られる。
ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、例えば、(1)ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートを更に反応させて得られるウレタンアクリレート、及び(2)ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる末端ヒドロキシル基含有ウレタンプレポリマーに、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを更に反応させて得られるウレタンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、及びジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートなどが挙げられる。
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及びポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられる。
ポリオール化合物としては、例えば、アルキレン型、ポリカーボネート型、ポリエステル型またはポリエーテル型などのポリオール化合物が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、及びポリエーテルジオールなどが挙げられる。
2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとして、市販されている商品を用いることもできる。例えば、新中村化学社製の商品名「UA−122P」、共栄社化学社製の商品名「UF−8001G」、サートマー社製の商品名「CN977」、「CN999」、「CN963」、「CN985」、「CN970」、「CN133」、「CN975」及び「CN997」、ダイセルオルネクス社製の商品名「IRR214−K」、並びに日本化薬社製の商品名「UX−5000」、「UX−5102D−M20」、「UX−5005」、及び「DPHA−40H」などが挙げられる。また、重合性化合物として、サートマー社製 商品名「CN113」などの脂肪族特殊オリゴマーを用いることもできる。
一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物としては、本発明では、上述したいずれの重合性化合物も好適に用いることができるが、特に、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能性アクリル系モノマー、これらの多官能性アクリル系モノマーの変性物、2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する樹枝状ポリマー、及び、2官能以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物としては、一分子中に2個以上ラジカル重合性官能基を有していればよいが、一分子中に3個以上ラジカル重合性官能基を有する重合性化合物を用いることが好ましく、実質的に一分子中に3個以上ラジカル重合性官能基を有する重合性化合物のみから構成される重合性化合物を用いることがより好ましい。一分子中にラジカル重合性官能基を3個以上する重合性化合物を使用することにより、電解液に対する濡れ性がより向上した非水電解液二次電池用セパレータを得ることができる。
一分子中にラジカル重合性官能基を2個有する重合性化合物の場合、一分子中にラジカル重合性官能基を2個有する重合性化合物単独でも、電解液に対する濡れ性の向上を望むことができるが、電解液に対する濡れ性の更なる向上の観点から、一分子中にラジカル重合性官能基を3個以上有する重合性化合物と併用することが好ましい。
一分子中にラジカル重合性官能基を3個以上有する重合性化合物と、一分子中にラジカル重合性官能基が2個以下の重合性化合物を併用する場合、一分子中にラジカル重合性官能基を3個以上有する重合性化合物100重量部に対して、一分子中にラジカル重合性官能基が2個以下の重合性化合物1〜150重量部が好ましく、一分子中にラジカル重合性官能基が2個以下の重合性化合物5〜125重量部がより好ましく、一分子中にラジカル重合性官能基が2個以下の重合性化合物20〜110重量部が特に好ましく、一分子中にラジカル重合性官能基が2個以下の重合性化合物50〜110重量部が最も好ましい。
繊維集合体中における皮膜層の含有量は、特に限定されないが、繊維集合物100重量部に対して5〜60重量部が好ましく、10〜40重量部がより好ましい。皮膜層の含有量を上記範囲内とすることによって、ポリオレフィン系樹脂繊維表面に皮膜層を均一に形成することができる。これにより、電解液保持性に優れた非水電解液二次電池用セパレータを提供することができる。
皮膜層の厚みは、特に制限されないが、1〜200nmが好ましく、2〜100nmがより好ましく、3〜50nmがさらに好ましい。皮膜層の厚みを上記範囲内とすることによって、透気性を低下させることなく電解液の保持性が向上した非水電解液二次電池用セパレータを提供することができる。
繊維集合体は、ポリオレフィン系樹脂繊維の表面の少なくとも一部が皮膜層によって被覆されている。ポリオレフィン系樹脂繊維と皮膜層とは一体化している。皮膜層中の重合体の一部と、繊維集合物のポリオレフィン系樹脂繊維とが化学的に結合していることが好ましい。このような重合体を含んでいる皮膜層を用いることによって、上述した通り、優れた電解液保持性を有する繊維集合体を提供することができる。なお、上記化学的な結合としては、特に制限されず、共有結合、イオン結合、及び分子間結合などが挙げられる。
繊維集合体の透気度は、特に限定されないが、1〜200秒/100mLであることが好ましく、1〜100秒/100mLであることがより好ましく、2〜70秒/100mLであることがさらに好ましい。繊維集合体は、繊維集合物におけるポリオレフィン系樹脂繊維の表面の少なくとも一部に皮膜層を一体的に形成することによって電解液保持性を向上させていることから、繊維集合物を構成しているポリオレフィン系樹脂繊維間に形成されている空隙部が殆ど閉塞されていない。したがって、繊維集合体は、皮膜層の形成による透気性の低下が低減されており、優れた透気度を有している。
繊維集合体の透気度は、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下でJIS P8117に準拠して測定された値をいう。具体的には、繊維集合体の表面に仮想直線を描き、この仮想直線上において10cm間隔ごとに透気度を測定し、10カ所の透気度の相加平均値を繊維集合体の透気度とする。
繊維集合体は、リチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池用のセパレータとして用いることができる。繊維集合体は、電解液に対して優れた濡れ性を有しており、電解液保持性に優れていることから、長期サイクル安定性に優れた非水電解液二次電池を提供することができる。
非水電解液二次電池は、繊維集合体を含んでいれば特に制限されず、正極と、負極と、繊維集合体と、非水電解液とを含んでいる。繊維集合体は正極及び負極の間に配設され、これにより電極間の電気的な短絡を防止することができる。また、非水電解液は、繊維集合体の空隙部内に少なくとも充填され、これにより充放電時に電極間をリチウムイオンなどのイオンが移動することができる。
正極は、特に制限されないが、正極集電体と、この正極集電体の少なくとも一面に形成された正極活物質層とを含んでいることが好ましい。正極活物質層は、正極活物質と、この正極活物質間に形成された空隙とを含んでいることが好ましい。正極活物質層が空隙を含んでいる場合には、この空隙中にも非水電解液が充填される。正極活物質はリチウムイオンなどを吸蔵放出することが可能な材料であり、正極活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム又はマンガン酸リチウムなどが挙げられる。正極に用いられる集電体としては、アルミニウム箔、ニッケル箔、及びステンレス箔などが挙げられる。正極活物質層は、バインダーや導電助剤などをさらに含んでいてもよい。
負極は、特に制限されないが、負極集電体と、この負極集電体の少なくとも一面に形成された負極活物質層とを含んでいることが好ましい。負極活物質層は、負極活物質と、この負極活物質間に形成された空隙とを含んでいることが好ましい。負極活物質層が空隙を含んでいる場合には、この空隙中にも非水電解液が充填される。負極活物質はリチウムイオンなどのイオンを吸蔵放出することが可能な材料であり、負極活物質としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック及びケチェンブラックなどが挙げられる。負極に用いられる集電体としては、銅箔、ニッケル箔、及びステンレス箔などが挙げられる。負極活物質層は、バインダーや導電助剤などをさらに含んでいてもよい。
非水電解液とは、水を含まない溶媒に電解質塩を溶解させた電解液である。リチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液としては、例えば、非プロトン性有機溶媒に、リチウム塩を溶解した非水電解液が挙げられる。非プロトン性有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、及びエチレンカーボネートなどの環状カーボネートと、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、及びジメチルカーボネートなどの鎖状カーボネートとの混合溶媒などが挙げられる。また、リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、及びLiN(SO2CF3)2などが挙げられる。
次に、繊維集合体の製造方法について説明する。繊維集合体の製造方法は、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂繊維を含む繊維集合物に、一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物を塗布する塗布工程と、一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物を塗布した繊維集合物に、活性エネルギー線を照射する照射工程とを有する繊維集合体の製造方法が好ましい。
先ず、塗布工程について説明する。繊維集合物を構成しているポリオレフィン系樹脂繊維の表面に上述したような重合性化合物を塗布し、ポリオレフィン系樹脂繊維表面に重合性化合物を付着させる。この時、重合性化合物をそのままポリオレフィン系樹脂繊維表面に塗布してもよい。しかしながら、重合性化合物を溶媒中に分散又は溶解させて塗布液を得、この塗布液をポリオレフィン系樹脂繊維表面に塗布することが好ましい。このように重合性化合物を塗布液として用いることによって、ポリオレフィン系樹脂繊維表面に重合性化合物を均一に付着させることができる。これにより皮膜層が均一に形成され、電解液保持性に優れた繊維集合体を製造することが可能となる。さらに、透気性を低下させることなく、繊維集合体の電解液保持性を向上させることできる。
塗布液に用いられる溶媒としては、重合性化合物を溶解又は分散させることができれば、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチル、クロロホルムなどが挙げられる。なかでも、酢酸エチル、エタノール、メタノール、アセトンが好ましい。これらの溶媒は、塗布液をポリオレフィン系樹脂繊維表面に塗布した後に円滑に除去することができる。さらに、上記溶媒は、リチウムイオン二次電池などの二次電池を構成している電解液との反応性が低く、安全性にも優れている。
塗布液中における重合性化合物の含有量は、3〜20重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましい。重合性化合物の含有量を上記範囲内とすることによって、透気性を低下させることなく電解液保持性が向上されている繊維集合体を製造することができる。
ポリオレフィン系樹脂繊維表面への重合性化合物の塗布方法としては、特に制限されず、例えば、(1)繊維集合物のポリオレフィン系樹脂繊維の表面に重合性化合物を塗布する方法;(2)重合性化合物中に繊維集合物を浸漬して、ポリオレフィン系樹脂繊維の表面に重合性化合物を塗布する方法;(3)重合性化合物を溶媒中に溶解又は分散させて塗布液を作製し、この塗布液を繊維集合物のポリオレフィン系樹脂繊維の表面に塗布した後、繊維集合物を加熱して溶媒を除去する方法;及び(4)重合性化合物を溶媒中に溶解又は分散させて塗布液を作製し、この塗布液中に繊維集合物を浸漬して、塗布液を繊維集合物のポリオレフィン系樹脂繊維の表面に塗布した後、繊維集合物を加熱して溶媒を除去する方法が挙げられる。なかでも、上記(3)(4)の方法が好ましい。これらの方法によれば、重合性化合物をポリオレフィン系樹脂繊維の表面に均一に塗布することができる。
上記(3)及び(4)の方法において、溶媒を除去するための繊維集合物の加熱温度は、用いられる溶媒の種類や沸点によって設定することができる。溶媒を除去するための繊維集合物の加熱温度は、50〜140℃が好ましく、70〜130℃がより好ましい。加熱温度を上記範囲内とすることによって、塗布された溶媒を効率的に除去することができる。
上記(3)及び(4)の方法において、溶媒を除去するための繊維集合物の加熱時間は、特に制限されず、用いられる溶媒の種類や沸点によって設定することができる。溶媒を除去するための繊維集合物の加熱時間は、0.02〜60分が好ましく、0.1〜30分がより好ましい。
上述の通り、繊維集合物の表面に重合性化合物又は塗布液を塗布することによって、繊維集合物を構成しているポリオレフィン系樹脂繊維の表面に重合性化合物を付着させることができる。
繊維集合物に対する重合性化合物の塗布量は、重合性化合物の塗布前の繊維集合物100重量部に対して1〜80重量部が好ましく、3〜70重量部がより好ましく、5〜50重量部が特に好ましい。繊維集合物に対する重合性化合物の塗布量を上記範囲とすることによって、イオン透過性の低下を防止しながら、繊維集合体の電解液保持性を向上させることができる。
次に、照射工程について説明する。ポリオレフィン系樹脂繊維の表面に重合性化合物が塗布された繊維集合物に活性エネルギー線を照射する。これにより重合性化合物を重合させて、重合性化合物の重合体を含む皮膜層を、ポリオレフィン系樹脂繊維の表面の少なくとも一部、好ましくは表面全面に一体的に形成することができる。
皮膜層は、上述の通り、一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物の重合体を含んでいる。このような重合体を含んでいる皮膜層は電解液に対して優れた濡れ性を有しており、繊維集合体中に電解液を十分に保持することができる。
更に、活性エネルギー線を照射することで、繊維集合物中に含まれているポリオレフィン系樹脂繊維の一部が分解して、繊維集合物の引き裂き強度などの機械的強度が低下する可能性がある。しかしながら、一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物の重合体を含む皮膜層は、高い硬度を有していると共に、適度な弾性及び伸度を有している。したがって、皮膜層の適度な弾性及び伸度によって、繊維集合物の機械的強度の低下を補うことができ、これにより繊維集合体の機械的強度の低下を低減しつつ、電解液保持性を向上させることが可能となる。
活性エネルギー線としては、特に限定されず、例えば、プラズマ、電子線、α線、β線、γ線などの電離放射線、紫外線などが挙げられ、電離放射線が好ましい。
活性エネルギー線として電子線を用いる場合、繊維集合物に対する電子線の加速電圧は特に限定されないが、50〜300kVが好ましく、100〜250kVがより好ましい。電子線の加速電圧を上記範囲内とすることによって、繊維集合物中のポリオレフィン系樹脂繊維の劣化を低減しながら皮膜層を形成することができる。
活性エネルギー線として電離放射線を用いる場合、繊維集合物に対する電離放射線の照射線量は特に限定されないが、10〜150kGyが好ましく、10〜100kGyがより好ましい。電離放射線の照射線量を上記範囲内とすることによって、繊維集合物中のポリオレフィン系樹脂繊維の劣化を低減しながら皮膜層を形成することができる。
活性エネルギー線としてプラズマを用いる場合、繊維集合物に対するプラズマのエネルギー密度は特に限定されないが、5〜200J/cm2が好ましく、5〜100J/cm2がより好ましく、10〜50J/cm2が特に好ましい。
活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、繊維集合物に対する紫外線の積算光量は、1000〜5000mJ/cm2が好ましく、1000〜4000mJ/cm2がより好ましく、1500〜3700mJ/cm2が特に好ましい。なお、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、上記塗布液に光重合開始剤が含まれていることが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、及びアントラキノンなどが挙げられる。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、プラズマが好ましく、電子線がより好ましい。電子線によれば、適度に高いエネルギーを有していることから、電子線の照射によって繊維集合物のポリオレフィン系樹脂繊維を構成している合成樹脂にもラジカルを充分に発生させて、合成樹脂の一部と重合性化合物の重合体の一部との化学的な結合を多く形成することができる。
本発明の繊維集合体は、一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物の重合体を含んでいる皮膜層によってポリオレフィン系樹脂繊維を被覆しているので、優れた電解液保持性を有している。したがって、本発明の繊維集合体を二次電池用セパレータとして用いることによって長期サイクル安定性に優れた二次電池を構成することができる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1〜10、比較例1)
1.繊維集合物の製造
繊維として、鞘部がポリエチレンからなり且つ芯部がポリプロピレンからなる芯鞘型複合繊維(平均繊維径:8μm、繊維長5mm、鞘部の面積と芯部の面積との比(鞘部の面積/芯部の面積)=1)40重量%と、繊維長が2mmのポリプロピレン単一型繊維60重量%とからなる混合繊維を用意した。
1.繊維集合物の製造
繊維として、鞘部がポリエチレンからなり且つ芯部がポリプロピレンからなる芯鞘型複合繊維(平均繊維径:8μm、繊維長5mm、鞘部の面積と芯部の面積との比(鞘部の面積/芯部の面積)=1)40重量%と、繊維長が2mmのポリプロピレン単一型繊維60重量%とからなる混合繊維を用意した。
上記混合繊維を水中に分散させてスラリーを作製し、湿式抄造法により繊維ウエブを形成した。得られた繊維ウエブを130℃のホットロールプレスによって押圧、加熱して、芯鞘型複合繊維の鞘部によって繊維同士を部分的に結着させて、不織布を作製した。
得られた不織布を80℃に維持されたロールカレンダーに供給して厚み調整を行い、目付20g/m2、厚み35μmの繊維集合物を作製した。
2.皮膜層の形成
(塗布工程)
1)繊維集合物への重合性化合物の含浸
溶媒として表1に示した所定量の酢酸エチルに、重合性化合物として表1に示した所定量のトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DPTA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETIA)、又は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を溶解させて塗布液を作製した。塗布液を繊維集合物の表面全面に塗布し、繊維集合物の表面全体に塗布液を塗布した。なお、比較例1では、繊維集合物に塗布液は塗布しなかった。したがって、比較例1では、下記工程は行わなかった。
(塗布工程)
1)繊維集合物への重合性化合物の含浸
溶媒として表1に示した所定量の酢酸エチルに、重合性化合物として表1に示した所定量のトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DPTA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETIA)、又は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を溶解させて塗布液を作製した。塗布液を繊維集合物の表面全面に塗布し、繊維集合物の表面全体に塗布液を塗布した。なお、比較例1では、繊維集合物に塗布液は塗布しなかった。したがって、比較例1では、下記工程は行わなかった。
しかる後、繊維集合物を80℃にて2分間に亘って加熱することによって酢酸エチルを蒸発、除去した。繊維集合物には、重合性化合物の塗布前の繊維集合物100重量部に対して表1に示した量の重合性化合物が塗布されていた。
(架橋工程)
2)重合性化合物の重合
繊維集合物に窒素雰囲気下にて加速電圧200kVにて電子線を表1に示した照射線量で照射して、混合繊維の表面に塗布した重合性化合物を重合させて皮膜層を形成し繊維集合体を得た。皮膜層は混合繊維の表面の少なくとも一部に一体的に形成されていた。繊維集合物中における皮膜層の含有量は、繊維集合物100重量部に対して表1に示した量であった。繊維集合体の透気度を上記した要領で測定し、その結果を表1に示した。
2)重合性化合物の重合
繊維集合物に窒素雰囲気下にて加速電圧200kVにて電子線を表1に示した照射線量で照射して、混合繊維の表面に塗布した重合性化合物を重合させて皮膜層を形成し繊維集合体を得た。皮膜層は混合繊維の表面の少なくとも一部に一体的に形成されていた。繊維集合物中における皮膜層の含有量は、繊維集合物100重量部に対して表1に示した量であった。繊維集合体の透気度を上記した要領で測定し、その結果を表1に示した。
3.濡れ性評価
繊維集合体の表面に、エチレンカボネート(EC)とジエチルカボネート(DEC)の混合溶媒(体積比3:7)を滴下した。混合溶媒を繊維集合体の表面に滴下してから0.5秒後の接触角を測定した。接触角の測定は、KSV INSTRUMENTS LTD社から商品名「CAM 200」にて市販されている測定装置を用いた。測定結果を表1に示した。
繊維集合体の表面に、エチレンカボネート(EC)とジエチルカボネート(DEC)の混合溶媒(体積比3:7)を滴下した。混合溶媒を繊維集合体の表面に滴下してから0.5秒後の接触角を測定した。接触角の測定は、KSV INSTRUMENTS LTD社から商品名「CAM 200」にて市販されている測定装置を用いた。測定結果を表1に示した。
4.試験用電池作製
1)正極の作製
正極活物質として3元系正極(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)粉末、アセチレンブラック及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリーを調製した。スラリー中における各成分の固形分濃度は、3元系正極(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)粉末は90重量%、アセチレンブラックは5重量%、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)は5重量%であった。得られたスラリーを厚さ20μmのアルミ箔上に塗工し、温度140℃で30分間乾燥した後にプレスして正極を得た。
2)負極の作製
負極活物質として天然黒鉛粉末92重量%と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)8重量%をNMP中に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ15μmの銅箔上に塗工し、温度140℃で30分間減圧乾燥した後にプレスして負極を得た。
1)正極の作製
正極活物質として3元系正極(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)粉末、アセチレンブラック及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリーを調製した。スラリー中における各成分の固形分濃度は、3元系正極(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)粉末は90重量%、アセチレンブラックは5重量%、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)は5重量%であった。得られたスラリーを厚さ20μmのアルミ箔上に塗工し、温度140℃で30分間乾燥した後にプレスして正極を得た。
2)負極の作製
負極活物質として天然黒鉛粉末92重量%と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)8重量%をNMP中に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ15μmの銅箔上に塗工し、温度140℃で30分間減圧乾燥した後にプレスして負極を得た。
3)非水電解液
エチレンカボネート(EC)とジエチルカボネート(DEC)の混合溶媒(体積比3:7)に、LiPF6を1.0mol/Lとなるように溶解させた非水電解液(1mol/L LiPF6−EC/DEC(体積比3:7);キシダ化学(株)製)を用意した。
エチレンカボネート(EC)とジエチルカボネート(DEC)の混合溶媒(体積比3:7)に、LiPF6を1.0mol/Lとなるように溶解させた非水電解液(1mol/L LiPF6−EC/DEC(体積比3:7);キシダ化学(株)製)を用意した。
4)電池の作製
上記正極、負極及び非水電解液を用いて、繊維集合体(直径:16mm)をセパレータとして正極と負極の間に配置してリチウムイオン二次電池(2032型コインセル)を作製した。
上記正極、負極及び非水電解液を用いて、繊維集合体(直径:16mm)をセパレータとして正極と負極の間に配置してリチウムイオン二次電池(2032型コインセル)を作製した。
5)評価方法
実施例及び比較例で作製したリチウムイオン二次電池(2032コイン型電池)を、3−4.2Vの電圧範囲で、0.2Cの定電流充放電を5サイクル実施し、リチウムイオン二次電池が正常に作動することを確認した。リチウムイオン二次電池が正常に作動した場合は「異常なし」、正常に作動しなかった場合は「異常あり」として、その結果を表1の「初期作動確認」の欄に示した。しかる後、以下の試験を行った。
実施例及び比較例で作製したリチウムイオン二次電池(2032コイン型電池)を、3−4.2Vの電圧範囲で、0.2Cの定電流充放電を5サイクル実施し、リチウムイオン二次電池が正常に作動することを確認した。リチウムイオン二次電池が正常に作動した場合は「異常なし」、正常に作動しなかった場合は「異常あり」として、その結果を表1の「初期作動確認」の欄に示した。しかる後、以下の試験を行った。
実施例及び比較例で作製したリチウムイオン二次電池(2032コイン型電池)を、3−4.2Vの電圧範囲で、1Cの定電流充放電を300サイクル実施し、5サイクル目の放電容量と、300サイクル目の放電容量から下記式に基づいて容量維持率を算出した。
容量維持率(%)
=100×(300サイクル目の放電容量)/(5サイクル目の放電容量)
容量維持率(%)
=100×(300サイクル目の放電容量)/(5サイクル目の放電容量)
Claims (10)
- ポリオレフィン系樹脂繊維を含む繊維集合物と、上記ポリオレフィン系樹脂繊維の表面の少なくとも一部を被覆し且つ一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物の重合体を含んでいる皮膜層とを含むことを特徴とする繊維集合体。
- ポリオレフィン系樹脂繊維が、芯鞘型複合繊維であり、鞘部がポリエチレン系樹脂を含み、芯部がポリプロピレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の繊維集合体。
- 一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物が、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート及びこれらの変性物よりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の繊維集合体。
- 透気度が、1〜200秒/100mLであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の繊維集合体。
- ポリオレフィン系樹脂繊維を含む繊維集合物に、一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物を塗布する塗布工程と、一分子中にラジカル重合性官能基を2個以上有する重合性化合物を塗布した繊維集合物に、活性エネルギー線を照射する照射工程とを有することを特徴とする繊維集合体の製造方法。
- 塗布工程において、重合性化合物が溶媒中に分散又は溶解している塗布液を繊維集合物に塗布することを特徴とする請求項5に記載の繊維集合体の製造方法。
- 活性エネルギー線が電離放射線であり、繊維集合物に上記電離放射線を照射線量が10〜150kGyで照射することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の繊維集合体の製造方法。
- 照射工程前に、塗布液を塗布した繊維集合物を加熱して塗布液の溶媒を除去することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の繊維集合体の製造方法。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の繊維集合体を含んでいることを特徴とする非水電解液二次電池用セパレータ。
- 正極と、負極と、上記正極と上記負極との間に配設された請求項8に記載の非水電解液二次電池用セパレータと、非水電解液とを含んでいることを特徴とする非水電解液二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014093541A JP2015211002A (ja) | 2014-04-30 | 2014-04-30 | 繊維集合体、非水電解液二次電池用セパレータ、非水電解液二次電池及び繊維集合体の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2015211002A (ja) |
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2014
- 2014-04-30 JP JP2014093541A patent/JP2015211002A/ja active Pending
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