JP2015209550A - 電解精錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属を電解精錬する際に、電解槽内の添加剤濃度の不均一を防止することによって、カソードに電着物を均一に電着させることが可能な電解精錬方法を提供する。
【解決手段】給液口21から供給された添加剤等を調整済みの電解液Qは、一方の主側面11cおよび他方の主側面11dと、配列されたアノード31およびカソード32との間を成す領域を、比較的速い流速で流れる。電解槽11の一方の副側面11a寄りに配置されたカソード32から、他方の副側面11b寄りに配置されたカソード32に至るまで、給液口21から出た直後とほぼ同様の添加剤濃度の電解液Qを、偏りなく接触できる。電解液を電解槽の液面付近から供給し、電解槽他端の下部から抜き出すことにより、スライムの巻き上げによるカソードへのスライム付着を防止し、凹凸のない電気銅(カソード)を生産する。
【選択図】図1

Description

この発明は、電解液を用いた金属の電解精錬方法に関するものである。
下記特許文献1には、板状を成す粗金属製の複数のアノードと板状を成す複数のカソードとを、アノードとカソードとが交互に板厚方向に間隔を開けて並ぶ配列で、電解槽内の電解液中に吊り下げ、電解槽に電解液を循環させつつ、アノードとカソードとに通電することで、カソードに金属を析出させる金属の電解精錬方法が開示されている。
このような電解精錬方法で使用する電解液には、カソードに形成される精製金属(電解金属)の表面を平滑化するために、添加剤が混合されている。
そして、このような電解精錬方法では、電解槽内における銅濃度や温度を一定に維持するために、電解液の循環を行い、不足した添加剤の補充を同時に行なっている。
特許文献1の電解精錬方法では、いわゆる下入れ上抜き還流方式により、電解液の循環を行う。この電解液の循環方法は、電解槽の長手方向の一端側の底部寄りの位置に電解液供給口を設ける一方、電解槽の長手方向の他端側の上部に電解液排出口を設けて、電解処理時には、電解槽内の下部に電解液を供給する一方、オーバーフローする電解液を電解槽上部の電解液排出口から循環処理部に戻す。
特開平10−183389号公報
ところで、電解槽内の電解液の循環を下入れ上抜き還流方式で行う上記特許文献1に記載の電解精錬方法では、カソード上に形成される精製金属の表面に、外観を損なう凹凸が形成され易いという問題があった。
この凹凸は、コブ状に精製金属が析出することによるものである。コブ状に精製金属が析出する原因としては、アノードから溶出するスライムと呼ばれる粒子がカソードに付着して核として成長することや、カソード上の精製金属の平滑化に有用な添加剤の供給不足が考えられる。
また、電解液の循環を下入れ上抜き還流方式で行う上記特許文献1に記載の電解精錬方法の場合、電解槽内の下流側では、上流側と比較して添加剤の供給不足が生じ易い。この原因は、稼動中の電解液に含まれる添加剤が電解液の強い酸性および高温により時間とともに分解されるため、電解槽の下流側のカソードには、上流側のカソードに比べて電解液の還流によって運ばれる添加剤が長い時間かけて到達する分、強い酸性および高温による添加剤の分解が進んでいるためである。そのため、電解槽内の下流側のカソードに形成される精製金属は、上流側のカソードに形成される精製金属と比較して、表面に凹凸等の欠陥が生じ易いという問題が生じた。
このような電解槽下流側での添加剤の供給不足を解消する対策として、電解液供給口から供給する電解液の流量を増加させることが考えられる。しかし、このような対策では、アノードの下方に沈降するスライムが、増加した電解液の流れによってカソード側に巻き上げられ、カソードへのスライムの付着が増加するおそれがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電解槽内のカソードへのスライム付着を抑止するとともに、各カソードに対する添加剤の供給のばらつきを無くして、凹凸の少ない高品位の金属を精製することのできる金属の電解精錬方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のいくつかの態様は、次のような電解精錬方法を提供した。
すなわち、本発明の電解精錬方法は、板状を成す粗金属製の複数のアノードと板状を成す複数のカソードとを、前記アノードと前記カソードとが交互に板厚方向に間隔を開けて並ぶ配列で、電解槽内の電解液中に吊り下げ、前記電解槽に電解液を循環させつつ、前記アノードと前記カソードとに通電することで、前記カソードに金属を電着させる金属の電解精錬方法であって、電解処理時に、前記電解槽の一方の側面と前記アノードおよび前記カソードとの間を成す領域、および前記一方の側面と対向する他方の側面と前記アノードおよび前記カソードとの間を成す領域に、前記電解槽の給液口から排液口に向けて前記電解液を流したことを特徴とする。
本発明の電解精錬方法によれば、電解槽の一方の側面とアノードおよびカソードとの間を成す領域、および他方の側面とアノードおよびカソードとの間を成す領域に、電解槽の給液口から排液口に向けて電解液を流すことによって、電解液は比較的速い流速でこの領域を流れる。これにより、電解槽内のいずれのカソードに対しても、ほぼ同等に電解液を供給することができる。従って、電解液中に含まれる添加剤がカソードに届く時間を、すべてのカソードに対して、ほぼ均等にすることができる。すなわち、電解槽内のいずれのカソードに対しても、添加剤がカソードに到着するのに要する時間のばらつきを無くし、時間とともに分解して効力を失う添加剤の効き目が、カソードの位置によって異なるという効果の不均一をなくすことができる。よって、本発明の電解精錬方法を用いれば、全てのカソードへの添加剤到達時間をほぼ同じにすることができ、カソード上に形成される精製金属の表面の凹凸が軽減され、凹凸の少ない平滑な電着物を得ることができる。
本発明においては、前記給液口は、前記一方の側面および前記他方の側面にそれぞれ対向するように形成され、前記給液口から前記一方の側面および前記他方の側面に向けて前記電解液を流すことが好ましい。
これによって、給液口から給液された電解液を電解槽の一方の側面とアノードおよびカソードとの間を成す領域、および他方の側面とアノードおよびカソードとの間を成す領域に、それぞれ確実に向かわせることができる。
本発明においては、前記電解液は、前記電解槽に貯留されている前記電解液の液面近傍に形成された前記給液口から給液され、前記電解液の液底近傍に形成された前記排液口から排液されることが好ましい。
これによって、電解槽の上部から底部に向けて降下するように電解液が流れるので、下入れ上抜き還流方式で問題となる電解槽底部のスライムを巻き上げることを防止しつつ、カソードに添加剤を供給することができる。よって、スライムに含まれる不純物のカソードへの再付着を防止することができる。
本発明によれば、金属を電解精錬する際に、電解槽内の添加剤濃度の不均一や、電解槽に沈殿したスライムの巻き上げを防止することによって、カソード電着物の凹凸を抑制することが可能な電解精錬方法を提供できる。
電解精錬装置の一例を示す平面図、断面図である。 給液方向規制部材を示す要部拡大斜視図である。 電解精錬装置の他の例を示す平面図、断面図である。 電解精錬装置の他の例を示す平面図、断面図である。 電解精錬装置の他の例を示す平面図、断面図である。 従来の電解精錬装置の他の一例を示す平面図、断面図である。 本発明の検証結果を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の電解精錬方法について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(電解精錬装置)
図1(a)は、電解精錬装置を上から見た状態を示す平面図である。また、図1(b)は、電解精錬装置の側断面図である。
電解精錬装置10は、直方体状の電解槽11と、電解液を還流させる還流機構12と、電解槽11に挿入されるアノード31およびカソード32に電流を印加する給電機構(図示せず)とから構成されている。
電解槽11は、給液口21が形成された一方の副側面11aと、排液口22が形成された他方の副側面11bと、この一方の副側面11aおよび他方の副側面11bを結ぶ、互いに対面する一方の主側面(一方の側面)11cおよび他方の主側面(他方の側面)11dと、底面11eとからなる、直方体の容器である。電解槽11のサイズの一例として、副側面11a,11bの幅W1が1200mm、主側面11c,11dの幅W2が4800mm、深さDが1350mmに形成されている。こうした電解槽11は、耐酸性の材料から構成されている。
電解槽11の内部には、電解液Qが貯留される。そして、この電解液Qの中に、アノード(陽極)31およびカソード(陰極)32が浸漬される。アノード31は、電気製錬を行う際の陽極を成し、粗金属製の板材からなる。本実施形態では、粗銅を精錬する場合を例示し、アノード31は純度が99mass%程度の粗銅の板材からなる。また、カソード32は、電気製錬を行う際の陰極を成し、導電性に優れた板状の金属からなる。本実施形態では、カソード32として、純度が99.99mass%程度の銅の板材を用いている。
これらアノード31およびカソード32は、それぞれ複数枚が電解槽11に貯留された電解液中に吊下されている。なお、アノード31は板厚が大きな厚板状であるが、カソード32は、板厚が小さい薄板状に形成されている。
電解槽11に吊下される複数のアノード31及びカソード32は、図1(a),(b)に示すように、電解槽11の主側面11c,11dの幅W2方向に沿って、アノード31とカソード32とが交互に板厚方向に間隔を開けて並ぶ対面配列で、電解液Qの中に浸漬されている。
電解槽11に貯留される電解液Qは、精製する金属を含む酸性の水溶液で、カソード32上に電着する金属の表面を平滑化させるための添加剤も含んでいる。
本実施形態のように、銅を電解精錬する場合には、電解液Qとして、硫酸銅及び硫酸の混合水溶液に、ニカワやチオ尿素等の添加剤を混合させたものが使用される。
電解槽11の一方の副側面11aには、給液方向規制部材24が形成されている。図2に示すように、給液方向規制部材24は、一方の面が開放面24aとされた中空箱型の部材であり、この開放面24aから電解液Qが流入する。給液方向規制部材24には、互いに対向するように、2つの給液口21が形成されている。
このうち、一方の給液口21aは、一方の主側面11cに対面し、電解槽11の一方の副側面11aに沿って電解液Qを放出する。また、他方の給液口21bは、他方の主側面11dに対面し、電解槽11の一方の副側面11aに沿って電解液Qを放出する。
このような給液口21は、電解液Qの液面よりも下側で、かつ電解液Qの液面の近傍に位置している。
電解槽11の他方の副側面11bには、排液口22が形成されている。この排液口22は、電解槽11の他方の副側面11bと底面11eとの間に形成されたスリット状の開口であり、電解液Qの液底近傍に位置する。そして、排液口22から流出した電解液Qは、排液路29を経て、電解液Qの液面近傍からオーバーフローされ、還流機構12に向けて排出される。
還流機構12は、電解槽11の排液口22から排出された電解液Qにニカワやチオ尿素等の添加剤を追加するとともに、必要な成分調整と温度調整を行う役割を持っており、流入側が電解槽11の排液口22に、流出側が電解槽11の給液口21(給液方向規制部材24)に、それぞれ接続されている。
給電機構(図示せず)は、それぞれのアノード31とカソード32との間に直流電流を印加する電源装置と配線とからなる。
以上のような構成の電解精錬装置10によれば、電解処理時において、図1(a),(b)の矢印で示すように、給液方向規制部材24に形成された給液口21a,21bから出た電解液Qの液流は、電解槽11の一方の副側面11aに沿って、一方の主側面11cおよび他方の主側面11dに向かう。そして、一方の主側面11cおよび他方の主側面11dに当たった電解液Qの液流は、一方の主側面11cとアノード31およびカソード32との間を成す領域、および他方の主側面11dとアノード31およびカソード32との間を成す領域に沿って比較的速い流速で排液口22に向けて流れる。また、この電解液Qは、電解槽11の一方の主側面11cおよび他方の主側面11dに沿って流れる間に、電解槽11の上部から底部に向けて降下するように流れる。その過程で、一部の電解液Qがアノード31およびカソード32間に流入し、カソード32に添加剤を作用させる。そして、電解液Qは、電解槽11の底面11e近傍に配された排液口22から排出される。
このような電解精錬装置10では、上述したような電解液Qの液流が形成されることによって、電解槽11の一方の副側面11a寄りに配置されたカソード32と、電解槽11の他方の副側面11b寄りに配置されたカソード32との間で、これらに供給される添加剤の濃度が大きく変わることが無い。
即ち、給液口21から供給された添加剤を調整済みの電解液Qは、一方の主側面11cとアノード31およびカソード32との間を成す領域、および他方の主側面11dとアノード31およびカソード32との間を成す領域に沿って比較的速い流速で流れるので、電解槽11の一方の副側面11a寄りに配置されたアノード31およびカソード32から、他方の副側面11b寄りに配置されたアノード31およびカソード32に至るまで、給液口21から出た直後とほぼ同様の添加剤濃度の電解液Qを、偏りなく接触させることができる。即ち、電解槽11内のいずれのカソード32に対しても、添加剤の供給のばらつきを無くして、添加剤の供給不足が発生することを防止することができる。
これによって、電解槽11の他方の副側面11b寄りに配置されたアノード31およびカソード32は、添加剤の(濃度)不足によって、カソード32に電着した銅に凹凸が生じることを抑制できる。
また、この電解精錬装置10では、給液口21を電解液Qの液面近傍に、また、排液口22を電解液Qの液底近傍に形成することによって、電解液Qが電解槽11の一方の主側面11cおよび他方の主側面11dに沿って流れる間に、電解液Qの液面付近から液底付近に降下するような流れを形成することができる。これによって、下入れ上抜き還流方式で起こる不純物(スライム)を巻き上げることを防止する。よって、不純物(スライム)のカソード32への付着を抑止することができる。
なお、上述した実施形態では、給液口21a,21bを給液方向規制部材24に形成することによって、電解槽11の一方の主側面11cおよび他方の主側面11dに沿った電解液Qの流れを形成しているが、電解槽11の一方の主側面11cおよび他方の主側面11dに、それぞれ給液口を形成することもできる。
例えば図3(a),(b)に示すように、電解液Qの液面近傍で、かつ、電解槽11の一方の副側面11aにおける一方の主側面11c寄り、および他方の主側面11d寄りに、それぞれ独立した2つの給液口21c,21dを形成することもできる。こうした実施形態でも、電解槽11の一方の主側面11cおよび他方の主側面11dとアノード31およびカソード32との間の領域に沿って電解液Qを流すことができる。
また、上述した実施形態では、排液口22の流出側を電解液Qの液面近傍からオーバーフローさせる形で還流機構12に流入させているが、これ以外にも、例えば、図4(a),(b)に示すように、電解槽11の他方の副側面11bに形成した排液口22bの流出側を電解液Qの液面近傍からオーバーフローさせることなく、電解槽11の底面11e近傍からそのまま流出させ、還流機構12に流入する構成であってもよい。
また、上述した実施形態では、給液口21a,21bを備えた給液方向規制部材24を電解液Qの液面近傍に形成し、また、排液口22を電解液Qの液底近傍に位置するように形成している。しかしこれとは逆に、例えば、図5(a),(b)に示すように、給液口21a,21bを備えた給液方向規制部材24を電解液Qの液底近傍に形成し、また、排液口22を電解液Qの液面近傍に形成してもよい。
こうした図5(a),(b)に示す実施形態では、電解液Qは、電解槽11の一方の主側面11cとアノード31およびカソード32との間を成す領域、および他方の主側面11dとアノード31およびカソード32との間を成す領域に沿って排液口22に向けて流れるとともに、電解液Qの液底付近から液面付近に上昇するように流れる。
(電解精錬方法)
上述した電解精錬装置10を使用した本発明の電解精錬方法について説明する。
図1に示す電解精錬装置10を使用して、例えば、粗銅を精錬する際には、まず、純度が99mass%程度の粗銅の厚板材をアノード31とし、また、純度が99.99mass%程度の銅の薄板材をカソード32として、電解槽11の一方の副側面11aに平行になるように、交互に電解槽11内に吊下させる。また、これらカソード32およびアノード31を給電機構(図示せず)に接続する。
次に、電解槽11の内部に、硫酸銅及び硫酸の混合水溶液にニカワやチオ尿素等の添加剤を添加した電解液Qを満たした後、還流機構12を動作させ、電解液Qを循環させる。そして、カソード32およびアノード31間に給電機構(図示せず)から直流電流を印加する。これによって、アノード31の銅が電解液Qにイオン化して溶出し、カソード32に電着する。また、アノード31に含まれる不純物のうち、可溶成分は電解液Qに溶解し、不溶成分は電解槽11の底面11eに沈降し、スライムとして堆積する。これによって、カソード32には、例えば、純度が99.99mass%以上の高純度な精錬済みの銅が電着し、粗銅の精錬を行うことができる。
一方、電気製錬に利用された電解液Qは、排液口22から排出され、還流機構12に流入する。そして、電解液Qに電解精錬の際に消費された添加剤が規定の濃度になるように追加投入されるとともに、必要な成分や温度の調整が行われる。この後、電解液Qは、給液口21から電解槽11内に供給される。
このような本発明の電解精錬方法において、電解液Qの液流の流路を制御することによって、カソード電着物である銅の表面の凹凸を抑制し、均一に(平滑に)カソード32に電着させることができる。
即ち、電解槽11の給液口21から供給された電解液Qは、カソード32およびアノード31の下部領域ではなく、主に電解槽11の一方の主側面11cおよび他方の主側面11dとカソード32およびアノード31との間を成す領域を、比較的速い速度で排液口22に向けて流れていく。
これによって、電解槽11の一方の副側面11a寄りに配置されたカソード32から、他方の副側面11b寄りに配置されたカソード32に至るまで、給液口21から出た直後とほぼ同様の添加剤濃度の電解液Qを、偏りなく接触させることができる。即ち、電解槽11内のいずれのカソード32に対しても、添加剤の供給のばらつきを無くして、添加剤の供給不足が発生することを防止することができる。
カソード32への添加剤の供給は、電解槽11の一方の主側面11cおよび他方の主側面11dとカソード32およびアノード31との間を成す領域に供給された電解液Qがアノード31とカソード32の間に入り込むことによって行われるため、カソード32への添加剤の供給速度を上げるには、電解槽11の一方の主側面11cおよび他方の主側面11dとカソード32およびアノード31との間を成す領域において、電解槽11の給液側から排液側へと流れる電解液Qの流速を、大きくすることが重要である。
このため、電解槽11の一方の主側面11cおよび他方の主側面11dとカソード32およびアノード31との間を成す領域において、大きな流速で電解液Qを流すために、電解槽11の一方の主側面11cおよび他方の主側面11dに電解液Qを向かわせるような構造の給液口21a,22bを形成することによって、電解槽11の給液側にあるカソード32およびアノード31と、排液側にあるカソード32およびアノード31との間で、添加剤を含む電解液Qの到達時間のばらつきを抑えることができる。
また、電解液Qの液面近傍から電解液Qを流入させ、また、電解液Qの液底近傍から電解液Qを流出させることによって、電解液Qを液底近傍から流入させて液面近傍から流出させる場合と比較して、電解槽11の給液側にあるカソード32への添加剤到達時間と、排液側にあるカソード32への添加剤到達時間との間での差を小さくし、電解槽内のすべてのカソード32への添加剤の到達時間のばらつきを抑えることができる。これは、電解液Qが底面11e付近を流れる場合は、壁である電解槽底部11eの影響を受け、給液側から排液側に向かって電解液Qが流れる間にその速度が遅くなっていくのに対して、電解槽の液面近傍から電解液Qを電解槽に供給する場合は、その流れが電解槽底面11eから離れていることにより減速しにくいため、より大きな流速で、給液側から排液側へと電解液Qを流すことが可能なためである。
また、電解液Qの液面近傍から電解液Qを流入させ、電解液Qの液底近傍から電解液Qを流出させることによって、電解槽11の底面11eに堆積する不純物等のスライムを巻き上げるような液流が無いため、スライムの巻き上げによるカソード32へのスライム付着を防止できる。
以上のように、電解液Qの液流の流路を制御することによって、カソード32に電着される高純度の銅は、凹凸の少ない平滑な状態となる。従って、カソード32表面に凸部が生成することにより、隣接したアノード31に接触してショートする懸念が無い。また、電解精錬後の銅の凹凸を少なくすることによって、電解精錬後における積み重ねも容易となり、運搬性も向上する。
以下に、本発明の効果を確認すべく行った確認実験(実施例)の結果について説明する。
(本発明例1)
図1に示す電解精錬装置を用いた。電解槽は長さ4800mm×幅1200mm×深さ1350mmの大きさとし、図2に示す構造の給液口を備えた給液方向規制部材を電解槽の一方の副側面における電解液の表面近傍に設置し、電解液の環流供給を行った(上入れ下抜き環流方式)。ここでは、図2に示す給液方向規制部材を備えているが、図3に示すように、電解槽の一方の主側面および他方の主側面にそれぞれ沿って電解液が流れるように給液口を形成してもよい。そして、電解槽の他方の副側面における電解液の液底近傍に形成された排液口から電解液を排出させ、背面側で電解液の液面側からオーバーフローさせて還流機構に流入させる。電解槽には、粗銅アノード(高さ980mm×幅960mm×厚さ45mm)を46枚と、銅カソード(高さ1000mm×幅1000mm×厚さ0.7mm)45枚を吊下させる。ついで、電解槽内を電解液で満たし、環流給液しつつ通電する。電解液温度は62℃とし、電解液の給液流量は毎分50リットルとする。電解精錬条件としては、カソード電流密度を205A/mとし、2回採り(1回目:13日、2回目:13日)を行った。なお、2回採りとは、アノード1枚につき2回電解してカソードすなわち精錬銅を2枚製造する操業方法のことであり、1回目の精錬銅を製造する操業を「1stCrop操業」、2回目の精錬銅を製造する操業を「2stCrop操業」と称する。こうした電解槽および操業条件で、環流供給された添加剤を含む電解液がカソードに到達するまでの所要時間を流体解析より求めた。
(本発明例2)
本発明例1と同様の環流給液方法を用いて電解精錬を行うが、図5(a),(b)に示すような、電解液の液底近傍から給液し、電解液の液面近傍から排液する、下入れ上抜き環流方式の電解精錬装置を採用した。電解槽に吊下される粗銅アノードおよび銅カソードのサイズや枚数は、本発明例1と同様である。電解液温度は62℃とし、給液流量は毎分50リットルとした。カソード電流密度は205A/mとし、環流供給された添加剤を含む電解液がカソードに到達するまでの所要時間を流体解析より求めた。
(比較例)
本発明例と同じサイズの電解槽を用いて、本発明例2と同じく「下入れ上抜き環流方式」で電解精錬を行ったが、図6(a),(b)に示すように、環流供給される電解液が、電解槽の一方の副側面の中央に1箇所形成された給液口から、排液口に向かうような構造とした。電解槽に吊下される粗銅アノードおよび銅カソードのサイズや枚数は、本発明例1と同様である。また、電解液の温度や給液流量、カソード電流密度は、本発明例と同様とした。この条件で供給された添加剤を含む電解液がカソードに到達するまでの所要時間を流体解析より求めた。
以上のような本発明例1、本発明例2、および比較例のそれぞれについて、環流供給された添加剤を含んだ電解液がカソードに到達するまでに要する時間を計算し、比較例の場合に得られた添加剤到達時間の全カソードに対する平均値を基準として、本発明例1、本発明例2、比較例のそれぞれを相対比較した結果を図7に、給液された添加剤がカソードに到達するまでの最短到達所要時間、最長到達所要時間、およびそれらの比を相対比較した結果を表1に示す。
Figure 2015209550
図7、および表1に示す結果によれば、本発明例1、2では、電解液が一方および他方の主側面とアノードおよびカソードとの間の領域をそれぞれ比較的速く流れるため、添加剤のカソードまでの最短到達時間、最長到達時間、およびこの比の何れにおいても、比較例よりもばらつきが小さく、優れている。こうした結果から、本発明例1、2では、添加剤を含む電解液の供給のばらつきを低減できることが確認された。
一方、比較例では、電解液が一方および他方の主側面とアノードおよびカソードとの間の領域を流れる流速が本発明例1、2より小さくなることにより、添加剤を含む電解液の供給のばらつきの解消が困難であると考えられる。
なお、図7、および表1に示す結果によれば、本発明例2の「下入れ上抜き環流方式」で電気製錬した場合よりも、本発明例1のような「上入れ下抜き環流方式」を採用した場合の方が、電解槽内のすべてのカソードに対して、より一層、到達時間のばらつきなく添加剤を含む電解液を供給でき、同じ給液口を採用した「下入れ上抜き環流方式」の場合(本発明例2)よりも短時間でより時間のばらつきなく添加剤を含む電解液をカソードに供給できることも確認された。
本発明例1のように「上入れ下抜き環流方式」を採用した場合の方が、「下入れ上抜き環流方式」を採用した場合(本発明例2)よりもカソードまでの添加剤到達所要時間をより一層短く、かつ、ばらつきを小さく出来る理由は、同一の環流流量の下では、電解槽の底面側よりも電解液の液面側の方が電解液の粘性による流れのブレーキ効果が小さく、より大きな流速で上流側から下流側へと電解液を流すことができるためである。
10 電解精錬装置
11 電解槽
12 還流機構
21 給液口
22 排液口
31 アノード
32 カソード

Claims (3)

  1. 板状を成す粗金属製の複数のアノードと板状を成す複数のカソードとを、前記アノードと前記カソードとが交互に板厚方向に間隔を開けて並ぶ配列で、電解槽内の電解液中に吊り下げ、前記電解槽に電解液を循環させつつ、前記アノードと前記カソードとに通電することで、前記カソードに金属を電着させる金属の電解精錬方法であって、
    電解処理時に、前記電解槽の一方の側面と前記アノードおよび前記カソードとの間を成す領域、および前記一方の側面と対向する他方の側面と前記アノードおよび前記カソードとの間を成す領域に、前記電解槽の給液口から排液口に向けて前記電解液を流したことを特徴とする金属の電解精錬方法。
  2. 前記給液口は、前記一方の側面および前記他方の側面にそれぞれ対向するように形成され、前記給液口から前記一方の側面および前記他方の側面に向けて前記電解液を流したことを特徴とする請求項1記載の金属の電解精錬方法。
  3. 前記電解液は、前記電解槽に貯留されている前記電解液の液面近傍に形成された前記給液口から給液され、前記電解液の液底近傍に形成された前記排液口から排液されることを特徴とする請求項1または2記載の金属の電解精錬方法。
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