JP2015209330A - 巻取システム、予測方法、二次巻の製造方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シートを第一の巻芯に巻き取る第一の巻取装置1と、第一の巻取装置1で得られた一次巻からシートを巻き出し、該シートを第二の巻芯に巻き取って、前記一次巻よりも巻取径の小さい二次巻を製造する第二の巻取装置2と、第一の巻取装置1で巻き取られたシートの厚さに応じた検出値を得る検出器3と、前記検出値が入力される演算処理装置4とを備え、演算処理装置4は、前記検出値に基づいて、前記二次巻を構成するシートの厚さTを求め、次いで、前記厚さTに基づいて、第二の巻取装置2で長さLpのシートを巻き取ったときに得られる二次巻の巻取径Dpを求めるステップを行うように構成されたことを特徴とする巻取システム。
【選択図】図1
Description
ワイヤー装置で紙層を形成し、続くプレス装置で紙層を搾水し、得られた湿紙をプレドライヤー装置で乾燥し、続くサイズプレス装置で紙に表面処理を施す。表面処理で湿潤した紙をアフタードライヤー装置で再び乾燥させた後、カレンダー装置で紙に平滑化・光沢化処理を施し、続く巻取装置で紙を巻き取る。その後、ワインダー装置で紙が巻き戻され、所定の幅に断裁され、所定の長さに巻き取られる。これにより、巻取装置で得られた巻取物(一次巻)よりも狭幅且つ小径の巻取物(二次巻)が得られる。二次巻は製品巻として印刷工場等に出荷され、印刷機械にセッティングされる。
オンライン設置された紙厚の計測装置として最も汎用的なものはキャリパ計である。キャリパ計は、上下のセンサのいずれか一方又は両方が可動式になっている計測装置で、各々のセンサは、紙を挟み込む形でセンサ間の距離を計測している(たとえば非特許文献2)。キャリパ計での紙厚の測定は、一般に、カレンダー装置での処理の後、巻取装置で巻き取る前に行われる。
しかし、製品巻は数が多く、個々の製品巻径を実測することは効率が悪い。キャリパ計で測定した紙厚とワインダー装置での巻取長さとから製品巻径を予測する試みはなされているが、実用に耐えうる精度で製品巻径を予測することはできない。このため、紙の生産現場では、キャリパ計を用いた紙厚から予測される製品巻径の値を参考にはすれども、物差などで実測した製品巻径で管理しているのが現状である。
[1] シートを第一の巻芯に巻き取る第一の巻取装置と、
前記第一の巻取装置で得られた一次巻からシートを巻き出し、該シートを第二の巻芯に巻き取って、前記一次巻よりも巻取径の小さい二次巻を製造する第二の巻取装置と、
前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さに応じた検出値を得る検出器と、
前記検出値が入力される演算処理装置と、
を備え、
前記演算処理装置は、前記検出値に基づいて、前記二次巻を構成するシートの厚さTを求め、次いで、前記厚さTに基づいて、前記第二の巻取装置で長さLpのシートを巻き取ったときに得られる二次巻の巻取径Dpを求めるステップを行うように構成されたことを特徴とする巻取システム。
[2] 前記検出値は、前記第一の巻取装置で巻き取られたシートのうち前記第二の巻取装置で巻き取られる部分の厚さに応じた検出値である、[1]に記載の巻取システム。
[3] 前記厚さTは、前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さに対する、前記第二の巻取装置で巻き取られるシートの厚さの比である圧縮率に基づいて補正された値である、[1]または[2]に記載の巻取システム。
[4] 前記検出器は、前記第一の巻取装置での巻取径を測定するものであり、
前記演算処理装置は、前記厚さTを求める際に、前記検出器で測定された巻取径、および前記第一の巻取装置で巻き取ったシートの長さの情報に基づいて、前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さを求めるステップを行うように構成されている、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の巻取システム。
[5] 前記演算処理装置は、前記第二の巻取装置で巻き取ったときの巻取径Dpが所定の巻取径Dkになるシートの長さLkを求めるステップをさらに行うように構成されている、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の巻取システム。
[6] シートを第一の巻芯に巻き取る第一の巻取装置と、
前記第一の巻取装置で得られた一次巻からシートを巻き出し、該シートを第二の巻芯に巻き取って、前記一次巻よりも巻取径の小さい二次巻を製造する第二の巻取装置と、
前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さに応じた検出値を得る検出器と、
前記検出値が入力される演算処理装置と、
を備え、
前記演算処理装置は、前記検出値に基づいて、前記二次巻を構成するシートの厚さTを求め、次いで、前記厚さTに基づいて、前記第二の巻取装置で巻き取ったときに所定の巻取径Dkの二次巻が得られるシートの長さLkを求めるように構成されたことを特徴とする巻取システム。
[7] 前記演算処理装置は、前記第二の巻取装置で巻き取ったシートの長さLpが前記長さLkとなるときに前記第二の巻取装置での巻き取りを停止させる信号を出力するステップをさらに行うように構成されている、[5]または[6]に記載の巻取システム。
前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さに応じた検出値を得る工程と、
前記検出値に基づいて、前記二次巻を構成するシートの厚さTを求め、次いで、前記厚さTに基づいて、前記第二の巻取装置で長さLpのシートを巻き取ったときに得られる二次巻の巻取径Dpを求める工程と、
を含む予測方法。
[9] 前記検出値は、前記第一の巻取装置で巻き取られたシートのうち前記第二の巻取装置で巻き取られる部分の厚さに応じた検出値である、[8]に記載の予測方法。
[10] 前記厚さTは、前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さに対する、前記第二の巻取装置で巻き取られるシートの厚さの比である圧縮率に基づいて補正された値である、[8]または[9]に記載の予測方法。
[11] 前記検出器は、前記第一の巻取装置での巻取径を測定するものであり、
前記厚さTを求める際に、前記検出器で測定された巻取径、および前記第一の巻取装置で巻き取ったシートの長さの情報に基づいて、前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さを求めるステップを行う、[8]〜[10]のいずれか一項に記載の予測方法。
[12] 前記第二の巻取装置で巻き取ったときの巻取径Dpが所定の巻取径Dkになるシートの長さLkを求めるステップをさらに行う、[8]〜[11]のいずれか一項に記載の予測方法。
[13] 第一の巻取装置にてシートを第一の巻芯に巻き取り、第二の巻取装置にて前記第一の巻取装置で得られた一次巻からシートを巻き出し、該シートを第二の巻芯に巻き取って、前記一次巻よりも巻取径の小さい二次巻を製造する際に、所定の巻取径の二次巻が得られるシートの長さを予測する予測方法であって、
前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さに応じた検出値を得る工程と、
前記検出値に基づいて、前記二次巻を構成するシートの厚さTを求め、次いで、前記厚さTに基づいて、前記第二の巻取装置で巻き取ったときに所定の巻取径Dkの二次巻が得られるシートの長さLkを求める工程と、
を含む予測方法。
[14] 第一の巻取装置にてシートを第一の巻芯に巻き取り、第二の巻取装置にて前記第一の巻取装置で得られた一次巻からシートを巻き出し、該シートを第二の巻芯に巻き取って、前記一次巻よりも巻取径の小さい二次巻を製造する製造方法であって、
[12]または[13]に記載の予測方法により、前記第二の巻取装置で巻き取ったときに所定の巻取径Dkの二次巻が得られるシートの長さLkの情報を得る工程と、
前記第二の巻取装置で巻き取ったシートの長さLpが前記長さLkとなるときに前記第二の巻取装置での巻き取りを停止する工程と、
を含む二次巻の製造方法。
前記第一の巻取装置で得られた一次巻からシートを巻き出し、該シートを第二の巻芯に巻き取って、前記一次巻よりも巻取径の小さい二次巻を製造する第二の巻取装置と、
前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さに応じた検出値を得る検出器と、
前記検出値が入力される演算処理装置と、
を備える巻取システムに、
前記検出値に基づいて、前記二次巻を構成するシートの厚さTを求め、次いで、前記厚さTに基づいて、前記第二の巻取装置で長さLpのシートを巻き取ったときに得られる二次巻の巻取径Dpを求めるステップ、
を実行させるプログラム。
[16] 前記巻取システムに、
前記第二の巻取装置で巻き取ったときの巻取径Dpが所定の巻取径Dkになるシートの長さLkを求めるステップ、
をさらに実行させる、[15]に記載のプログラム。
[17] 前記巻取システムに、
前記第二の巻取装置で巻き取ったシートの長さLpが前記長さLkとなるときに前記第二の巻取装置での巻き取りを停止するステップ、
をさらに実行させる、[16]に記載のプログラム。
以下、本発明の第一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る巻取システム100は、第一の巻取装置1と、第二の巻取装置2と、検出器3と、演算処理装置4とを備える。
巻取支持ドラム11は、図示しない回転駆動機構を備える。
巻取押付アーム12は、下端が床上のブランケット12aに回動可能に取り付けられ、傾動自在とされている。巻取押付アーム12の先端部にはコロ12bが回転可能に取り付けられている。巻取押付アーム12は、図示しない油圧装置を備え、該油圧装置により、上端部が巻取支持ドラム11側(図2中の左側)に傾く方向に押圧されている。
一対の移動用レール13の上には、第一の巻芯17の両端部のハウジング16それぞれが載せられるようになっている。
支柱14には検出器3が設置されており、反射板15は、巻取押付アーム12の検出器3に対応する位置に設置されている。
第一の巻取装置1は、第一の巻取装置1の稼働状態を示す情報(巻き取り速度および巻き取り時間等)を取得する計測部(図示なし)を備え、計測部は、伝送ケーブル5を介して演算処理装置4に接続されている。これにより、第一の巻取装置1の稼働状態を示す情報を演算処理装置4に出力できるようになっている。
アンワインダー21は、第一の巻取装置1で形成した巻取物18(一次巻)を巻き戻してシートWを送り出すようになっている。
アンワインダー21とスリッター22との間、およびスリッター22とワインダー23との間にはガイドロール31、32、33が設置されている。これにより、アンワインダー21から送り出されたシートWを、スリッター22を通過させ、ワインダー23に導入できるようになっている。
スリッター22は、アンワインダー21から送り出されたシートWを、長さ方向に沿って、任意の幅に裁断するようになっている。
ワインダー23は、フロントドラム24とリアドラム25とを備える。フロントドラム24およびリアドラム25はそれぞれ、図示しない回転駆動機構を備える。
第二の巻取装置2は、第二の巻取装置2の稼働状態を示す情報(巻き取り速度および巻き取り時間等)を取得する計測部(図示なし)を備え、計測部は、伝送ケーブル6を介して演算処理装置4に接続されている。これにより、計測部で取得した情報が演算処理装置4に出力されるようになっている。
また、第二の巻取装置2は、フロントドラム24およびリアドラム25それぞれの回転駆動機構を制御する制御部(図示なし)を備え、制御部は、伝送ケーブル6を介して、演算処理装置4に接続されている。これにより、演算処理装置4にから出力された信号(第二の巻取装置2での巻き取りの停止を指示する信号等)が制御部に入力されるようになっている。
検出器3は、伝送ケーブル7により演算処理装置4に接続されており、検出器3で得られた情報(検出値)が信号として演算処理装置4に出力されるようになっている。
計時部41は、時刻情報を生成し、演算部42に出力するようになっている。
演算部42は、検出器3等から演算処理装置4に入力された情報およびデータ保持部43から取得した情報に基づいて、第二の巻取装置2で製造する巻取物28(二次巻)を構成するシートWの厚さTを求めるようになっている。また、該厚さTに基づいて、第二の巻取装置2で長さLpのシートWを巻き取ったときに得られる二次巻の巻取径Dpを求めるようになっている。さらに、第二の巻取装置2で巻き取ったときの巻取径Dpが所定の巻取径Dkになるシートの長さLkを求めるようになっている。
また、演算部42は、検出器3から継続的に入力される情報(検出値)を厚さTに変換し、得られた厚さTと計時部41から入力される時刻情報とを対応付けして取得し、データ保持部43に出力するようになっている。
データ保持部43は、検出器3から入力される情報を演算部42で厚さTに変換し、該厚さTを巻取径Dpに変換するための情報等が記憶されるようになっている。厚さTを巻取径Dpの予測値に変換するための情報としては、演算部42から入力された情報、演算式、座標、検量線、圧縮率、補正値、巻芯直径などの各種固定数等が挙げられる。
プログラムは、予めコンピュータに記録されていてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませてもよい。また、予めコンピュータに記録されているプログラムと、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、コンピュータに読み込ませるプログラムとを組み合わせてもよい。
巻取システム100においては、第一の巻取装置1の一対の移動用レール13上に、第一の巻芯17の両端部のハウジング16を載せ、第一の巻芯17に、巻取支持ドラム11により供給されるシートWを巻き取って巻取物18を形成する。巻き取りの際、巻取押付アーム12は、油圧装置によって巻取支持ドラム11側に押圧される。これに伴って、移動用レール上の第一の巻芯17の両端部のハウジング16が、巻取押付アーム12のコロ12bによって巻取支持ドラム11側に押圧される。これによって、第一の巻芯17に巻き取られたシートWの表面、つまり巻取物18の表面が、回転する巻取支持ドラム11の表面に当接し、巻取支持ドラム11の回転駆動力が巻取物18に伝達され、シートWの巻き取りが進行する。
巻き取られたシートWの長さまたは巻取物18の巻取径が所定の値になった時点で、第一の巻取装置1での巻き取りを終了し、得られた巻取物18(一次巻)を、第二の巻取装置2に移送する。
第二の巻取装置2では、巻取物18(一次巻)を構成するシートWがアンワインダー21で巻き出され、スリッター22で長さ方向に沿って裁断され、ワインダー23で第二の巻芯27に巻き取られる。巻き取りの際、第二の巻芯27に巻き取られたシートWの表面、つまり巻取物28の表面が、回転するフロントドラム24およびリアドラム25の表面に当接し、各ドラム24、25の回転駆動力が巻取物28に伝達され、シートWの巻き取りが進行する。シートWを所定の長さ(既定の長さ、または既定の巻取径になると予測される長さ)巻き取った時点で、第二の巻取装置2での巻き取りを終了する。これにより、一次巻よりも狭幅且つ小径の巻取物28(二次巻)が得られる。
紙としては、上質紙、中質紙、コピー用紙、アート紙、コート紙、クラフト紙、板紙、白板紙、新聞用紙、更紙等が挙げられる。紙の中でも、とりわけ、新聞用紙のように嵩高(低密度)の紙が好ましい。
演算処理装置4は、まず、検出器3での検出値(検出器3から反射板15までの距離)に基づいて、第二の巻取装置2で形成される巻取物28(二次巻)を構成するシートの厚さTを求める。次いで、厚さTに基づいて、第二の巻取装置2で長さLpのシートを巻き取ったときに得られる二次巻の巻取径Dpを求める。必要に応じて、さらに、第二の巻取装置2で巻き取ったときの巻取径Dpが所定の巻取径Dkになるシートの長さLkを求めることもできる。
厚さTおよび巻取径Dp、ならびに長さLkは、例えば、以下の(1)〜(4)のいずれかの方法により求めることができる。
厚さTおよび巻取径Dpは、例えば、以下のデータIを予めデータ保持部43に記憶させておき、以下のステップA1〜A4を順次実行することにより求めることができる。
データI:検出器3から反射板15までの距離と巻取物18の巻取径との関係を示すデータ。
ステップA2:巻取物18の巻取径および第一の巻取装置1で巻き取ったシートの長さの情報に基づいて、第一の巻取装置1で巻き取られたシートの厚さtrを算出する。
ステップA3:第一の巻取装置1での巻き取りの終了時の厚さtrを、二次巻を構成するシートの厚さTとする。
ステップA4:厚さTと、第二の巻取装置2で巻き取るシートの長さLpとから、二次巻の巻取径の予測値Dpを算出する。
以下、データIとステップA1〜A4について詳述する。
第一の巻取装置1で第一の巻芯17に巻き取られるシートの長さが長くなるにつれて巻取物18の巻取径が大きくなる。巻取径が大きくなるにつれて、巻取物18は、移動用レール13上を、巻取支持ドラム11側とは反対方向に移動する。これに伴って、巻取押付アーム12は、巻取支持ドラム11とは反対方向に傾動する。そのため、支柱14に設置された検出器3から反射板15までの距離は、巻取物18の巻取径が大きくなるにつれて小さくなる。したがって、検出器3から反射板15までの距離の情報から、巻取物18の巻取径を間接的に測定することができる。
図4は、横軸に、検出器3から反射板15までの距離、縦軸に巻取物18の巻取径をとったグラフであり、以下の手順により実際に作成したものである。
1.CADシステム(Computer Aided Design System)の設計情報を用いて、検出器3から反射板15までの距離と巻取径との関係(理論値)を、距離を変化させて計算する(本実施形態では35点計算している。)。
2.第一の巻取装置1で実際にシートを巻き、距離と巻取径の実測値を数点(本実施形態では10点)得る。
3.理論値10点分を、対応する実測値10点に置き換える。
得られた35点(理論値25点、実測値10点)から、表計算ソフト「マイクロソフト(登録商標)・エクセル(登録商標)」等を用いて、横軸に、検出器3から反射板15までの距離、縦軸に巻取物18の巻取径をとって、3次スプライン曲線を作成すれば、距離から巻取径を求められる。
演算処理装置4の演算部42に検出器3からの信号が入力されると、演算部42は、データ保持部43にアクセスし、データ保持部43が保持するデータIを参照する。データIを参照することで、演算部42は、巻取物18の巻取径を得る。
続いて演算部42では、下記の(1)式により、第一の巻取装置1で巻き取られたシートの厚さ(巻取物18を構成するシートの厚さ)trを算出する。
Lrは、第一の巻取装置1から入力される、第一の巻取装置1での巻き取り速度と巻き取り時間との積として算出できる。
Dr、Lr、trはそれぞれ、第一の巻取装置1で巻き取りを行っている間、時々刻々と算出される。第一の巻取装置1での巻き取りの終了時のDrおよびLrがそれぞれ、一次巻の巻取径および一次巻を構成するシートの長さである。第一の巻取装置1での巻き取りの終了時のDrおよびLrから算出されたtrが、一次巻を構成するシートの厚さ(全長あたりの平均厚さ)である。
ステップA3では、第一の巻取装置1での巻き取りの終了時のtr、すなわち一次巻を構成するシートの厚さ(全長あたりの平均厚さ)を、二次巻を構成するシートの厚さTとする。
以下、第一の巻取装置1での巻き取りの終了時のtrをTrともいう。また、ステップA3で求める厚さTを厚さTaという。Ta=Trである。
ステップA4では、厚さTa(=Tr)と、第二の巻取装置2で巻き取るシートの長さ(二次巻を構成するシートの長さ)Lpとから、二次巻の巻取径Dpを算出する。
巻取径Dpは、下記の(2)式により算出できる。
ステップA5:第二の巻取装置2で巻き取ったときの巻取径Dpが所定の巻取径Dkになるシートの長さLkを求める。
ステップA6:厚さTaと巻取径Dkとから、長さLkを求める。
ステップA6において、長さLkは、下記の(2B)式により算出できる。
ステップA7:第二の巻取装置2で巻き取ったシートの長さLpが長さLkとなるときに第二の巻取装置2での巻き取りを停止する信号を第二の巻取装置2に出力する。
ステップA7を実行することによって、巻取径がDkの二次巻を精度良く製造できる。
厚さTおよび巻取径Dpは、例えば、以下のデータI〜IIを予めデータ保持部43に記憶させておき、以下のステップB1〜B4を順次実行することによっても求めることができる。
データI:検出器3から反射板15までの距離と巻取物18の巻取径との関係を示すデータ。
データII:一次巻を構成するシートの厚さに対する、二次巻を構成するシートの厚さの比である圧縮率のデータ。
ステップB2:巻取物18の巻取径および第一の巻取装置1で巻き取ったシートの長さの情報に基づいて、第一の巻取装置1で巻き取られたシートの厚さtrを算出する。
ステップB3:第一の巻取装置1での巻き取りの終了時の厚さtrを、圧縮率の情報に基づいて補正し、その値を、二次巻を構成するシートの厚さTとする。
ステップB4:厚さTと、第二の巻取装置2で巻き取るシートの長さLpとから、二次巻の巻取径Dpを算出する。
以下、データI〜IIとステップB1〜B4について詳述する。
図5は、横軸(x軸)に、一次巻を構成するシートの厚さt1、縦軸(y軸)に圧縮率をとったグラフであり、以下の手順により実際に作成したものである。図5中のR2は決定係数(Rは相関関数)を示す。
1.第一の巻取装置1で一次巻を作る。
2.一次巻の表面(上巻き)を破り、厚さ測定用のサンプル1を得る。
3.マイクロメータ(例えば、ミツトヨ社製227シリーズ測定力可変式デジマチックマイクロメーター)を用いて、前記サンプル1の厚さを測定する。得られた厚さを、一次巻を構成するシートの厚さt1とする。
4.この一次巻を第二の巻取装置2にかけて二次巻を作る。
5.1卸目の二次巻(第二の巻取装置2で前記の一次巻から最初に作成した二次巻)のの表面を破り、厚さ測定用のサンプル2を得る(1卸目の二次巻は、一次巻の上巻き側のシートから形成されている。)。
6.マイクロメータ(前出)を用いて、前記サンプル2の厚さを測定する。得られた厚さを、二次巻を構成するシートの厚さt2とする。
7.次式により、圧縮率(Winding Compression Ratio)を算出する。
圧縮率=t2/t1
8.実際に二次巻を製造したいシートと素材および坪量が同じで厚さt1が異なる3種類のシートについて、上記1〜7を行う(これらのシートは、厚さが厚いものほど密度が低い)。
9.3種類のシートについて求めた圧縮率から、一次巻を構成するシートの厚さt1と圧縮率との関係を、表計算ソフト「マイクロソフト(登録商標)・エクセル(登録商標)」等を用いて線形近似(最小二乗法)する。
ステップB1は、ステップA1と同様である。
ステップB2は、ステップA2と同様である。
ステップB3で演算部42は、データ保持部43にアクセスし、データ保持部43が保持するデータIIを参照し、厚さTr(第一の巻取装置1での巻き取りの終了時の厚さtr)に対応した圧縮率Rcを得る。得られた圧縮率Rcから、厚さTrを補正し、圧縮率で補正された厚さTを得る。
以下、ステップB3で求める厚さTを厚さTbという。
厚さTbは、TrRcで表すことができる。
ステップB4では、厚さTb(=TrRc)と、第二の巻取装置2で巻き取るシートの長さ(二次巻を構成するシートの長さ)Lpとから、二次巻の巻取径Dpを算出する。
巻取径Dpは、下記の(3)式により算出できる。
ステップB5:第二の巻取装置2で巻き取ったときの巻取径Dpが所定の巻取径Dkになるシートの長さLkを求める。
ステップB6:厚さTbと巻取径Dkとから、長さLkを求める。
ステップB6において、長さLkは、下記の(3B)式により算出できる。
dp:第二の巻芯の直径(定数値)。
Lk:巻取径がDkとなる二次巻を構成するシートの長さ(予測値)。
Tr:第一の巻取装置1での巻き取りの終了時のシートの厚さ。
Rc:圧縮率。
ステップB7:第二の巻取装置2で巻き取ったシートの長さLpがLkとなるときに第二の巻取装置2での巻き取りを停止する信号を第二の巻取装置2に出力する。
ステップB7を実行することによって、巻取径がDkの二次巻を精度良く製造できる。
厚さTおよび巻取径Dpは、例えば、以下のデータI〜IIIを予めデータ保持部43に記憶させておき、以下のステップC1〜C4を順次実行することによっても求めることができる。
データI:検出器3から反射板15までの距離と巻取物18の巻取径との関係を示すデータ。
データII:一次巻を構成するシートの厚さに対する、第二の巻取装置でシートを巻き取る際のシートの比である圧縮率のデータ。
データIII:一次巻の径方向において、内側(下巻き側)のシートの厚さが外側(上巻き側)のシートの厚さに比して小さい場合に、径方向での厚さの違いを補正する補正値のデータ。
ステップC2:巻取物18の巻取径および第一の巻取装置1で巻き取ったシートの長さの情報に基づいて、第一の巻取装置1で巻き取られたシートの厚さtrを算出する。
ステップC3:第一の巻取装置1での巻き取りの終了時の厚さtrを、径方向での厚さの違いを補正する補正値に基づいて、第二の巻取装置2で巻き取られる部分の厚さに応じた値に補正する。その値を、圧縮率の情報に基づいてさらに補正し、得られた値を、二次巻を構成するシートの厚さTとする。
ステップC4:厚さTと、第二の巻取装置2で巻き取るシートの長さLpとから、二次巻の巻取径Dpを算出する。
以下、データI〜IIIとステップC1〜C4について詳述する。
一次巻の径方向において、内側(下巻き側)のシートの厚さが外側(上巻き側)のシートの厚さに比して小さくなる傾向がある。この傾向は、特にシートの密度が低い場合(例えばシートが紙である場合)に顕著である。そのため、同じ一次巻から形成された二次巻でも、比較的最初の方に形成される(外側のシートから形成される)二次巻と、比較的最後の方に形成される(内側のシートから形成される)二次巻とでは、巻き取られた長さが同じでも、巻取径が異なってくる。また、外側のシートと内側のシートとでは、同じ巻取径の二次巻を形成するために必要な長さが異なってくる。
径方向の厚さ補正値は、卸数およびシートの種類によって定まる。一例を挙げると、新聞用紙等の低密度品の場合、径方向の厚さ補正値は1卸につきおよそ0.15%である。つまり、新聞用紙等の低密度品では、2卸目に相当する紙の紙厚は1卸目に相当する紙の紙厚に比べておよそ0.15%小さくなり、3卸目に相当する紙の紙厚は1卸目に相当する紙の紙厚に比べておよそ0.30%小さくなる。
ステップC1は、ステップA1と同様である。
ステップC2は、ステップA2と同様である。
ステップC3で演算部42は、データ保持部43にアクセスし、データ保持部43が保持するデータII〜IIIを参照する。これにより、厚さTr(第一の巻取装置1での巻き取りの終了時の厚さtr)に対応した圧縮率Rcと、シートの種類および卸数n(nは正の整数)に対応した厚さ補正値Rrcとを得る。得られた圧縮率Rcおよび厚さ補正値Rrcから厚さTrを補正し、圧縮率Rcおよび厚さ補正値Rrcで補正された厚さTを得る。
以下、ステップC3で求める厚さTを厚さTcという。
厚さTcは、TrRc{1−Rrc(n−1)}で表すことができる。
ステップB4では、厚さTc(=TrRc{1−Rrc(n−1)})と、第二の巻取装置2で巻き取るシートの長さ(二次巻を構成するシートの長さ)Lpとから、二次巻の巻取径Dpを算出する。
巻取径Dpは、下記の(4)式により算出できる。
dp:第二の巻芯の直径(定数値)。
n :卸数(n=1,2,3,・・・)。
Lp:二次巻を構成するシートの長さ。
Tr:第一の巻取装置1での巻き取りの終了時のシートの厚さ。
Rc:圧縮率。
Rrc:径方向の厚さ補正値。
ステップC5:第二の巻取装置2で巻き取ったときの巻取径Dpが所定の巻取径Dkになるシートの長さLkを求める。
ステップC6:厚さTcと巻取径Dkとから、長さLkを求める。
ステップC6において、長さLkは、下記の(4B)式により算出できる。
dp:第二の巻芯の直径(定数値)。
Lk:巻取径がDkとなる二次巻を構成するシートの長さ(予測値)。
Tr:第一の巻取装置1での巻き取りの終了時のシートの厚さ。
Rc:圧縮率。
Rrc:径方向の厚さ補正値。
ステップC7:第二の巻取装置2で巻き取ったシートの長さLpがLkとなるときに第二の巻取装置2での巻き取りを停止する信号を第二の巻取装置2に出力する。
ステップC7を実行することによって、巻取径がDkの二次巻を精度良く製造できる。
厚さTおよび巻取径Dpは、例えば、以下のデータI〜IIを予めデータ保持部43に記憶させておき、以下のステップD1〜D4を順次実行することによっても求めることができる。
データI:検出器3から反射板15までの距離と巻取物18の巻取径との関係を示すデータ。
データII:一次巻を構成するシートの厚さに対する、第二の巻取装置でシートを巻き取る際のシートの比である圧縮率のデータ。
ステップD2:巻取物18の巻取径および第一の巻取装置1で巻き取ったシートの長さの情報に基づいて、第一の巻取装置1で巻き取られたシートの厚さtrを算出する。
ステップD3:厚さtrと、計時部41から入力される時刻情報とを対応付けして取得する。取得したデータに基づき、巻取物18を構成するシートのうち第二の巻取装置2で巻き取られる部分の厚さtrnを算出する。厚さtrnを、圧縮率の情報に基づいてさらに補正し、得られた値を、二次巻を構成するシートの厚さTとする。
ステップD4:厚さTと、第二の巻取装置2で巻き取るシートの長さLpとから、二次巻の巻取径Dpを算出する。
以下、データI〜IIとステップD1〜D4について詳述する。
ステップD1は、ステップA1と同様である。
ステップD2は、ステップA2と同様である。
ステップD3では、第一の巻取装置1での巻き取りの間、継続的に、厚さtrと、計時部41から入力される時刻情報とを対応付けして取得する。取得したデータ(巻き取りの開始時点から巻き取りの終了時点までの、時刻情報と対応付けされた厚さの情報)に基づき、一次巻を構成するシートの長さ方向の位置(巻き始めの位置から巻き終わりの位置まで)と厚さとの関係を示すデータを得る。該データに基づき、一次巻を構成するシートのうち第二の巻取装置2で巻き取られる部分の厚さtrnを算出する。
図6を参照してより詳しく説明する。図6は、横軸に、一次巻を構成するシートの長さ方向の位置、縦軸に、巻取物18を構成するシートの厚さをとったグラフである。
卸数nが例えば3であり、3つの二次巻の巻き取り長さを同じにする場合、1卸目は、巻き終わりの位置L3から全長の1/3の位置L2までのシートが使用され、その厚さtrnは、位置L3から位置L2までの平均厚さであり、(T2+T3)/2として求められる。同様に、2卸目は、位置L2から全長の1/3の位置L1までのシートが使用され、その厚さtrnは、(T1+T2)/2として求められる。また、3卸目は、位置L1から巻き始めの位置L0までのシートが使用され、その厚さtrnは、(T0+T1)/2として求められる。
以下、ステップD3で求める厚さTを厚さTdという。
厚さTdは、trnRcで表すことができる。
ステップD4では、予測値Td(=trnRc)と、第二の巻取装置2で巻き取るシートの長さ(二次巻を構成するシートの長さ)Lpとから、二次巻の巻取径Dpを算出する。
巻取径Dpは、下記の(5)式により算出できる。
dp:第二の巻芯の直径(定数値)。
Lp:二次巻を構成するシートの長さ。
trn:一次巻を構成するシートのうち第二の巻取装置2で巻き取られる部分の厚さ。
Rc:圧縮率。
ステップD5:第二の巻取装置2で巻き取ったときの巻取径Dpが所定の巻取径Dkになるシートの長さLkを求める。
ステップD6:厚さTcと巻取径Dkとから、長さLkを求める。
ステップD6において、長さLkは、下記の(5B)式により算出できる。
dp:第二の巻芯の直径(定数値)。
Lk:巻取径がDkとなる二次巻を構成するシートの長さ(予測値)。
trn:一次巻を構成するシートのうち第二の巻取装置2で巻き取られる部分の厚さ。
Rc:圧縮率。
ステップD7:第二の巻取装置2で巻き取ったシートの長さLpがLkとなるときに第二の巻取装置2での巻き取りを停止する信号を第二の巻取装置2に出力する。
ステップD7を実行することによって、巻取径がDkの二次巻を精度良く製造できる。
シートを巻き取る際には、通常、巻き締りによる厚さの減少が生じる。特に、紙の生産ラインでは、カレンダー装置の後の巻取装置(第一の巻取装置)での巻き取りの際に厚さの減少幅が大きい。従来は、カレンダー装置の後、巻取装置の前に紙厚を測定している。製品巻径の予測に際し、巻取装置(第一の巻取装置)およびワインダー装置(第二の巻取装置)での厚さの減少の程度を経験から予測し、測定値を補正することは行われているものの、精度が不充分である。また、経験の差による精度の差も大きい。
しかし、キャリパ計は、紙に直接接触して紙厚を計測するセンサである。そのため、紙の表面に付着する汚れがセンサに転移して蓄積することにより計測精度が徐々に低下していく問題や、紙の表面に付着する固形異物がセンサに衝突する際に紙の表面に引っ掻き傷が付いてしまうといった問題を抱える。また、第一の巻取装置1で巻き取った後のシートWの厚さをキャリパ計で測定するためには、巻取物18を第一の巻取装置1からリリーラー装置に移送し、リリーラー装置で巻取物18からシートWを巻き戻しながら測定する必要があり、生産効率上、好ましくない。さらに、リリーラー装置での巻き締りの影響を考慮する必要が生じる。
対してレーザー光線式の変位計や角度検出器のように、巻取物18の巻取径の変化に応じた検出値を得て、間接的に厚さを測定する検出器の場合、検出器が紙に直接接触することがないため、上記のような問題を生じない。また、オンラインで測定でき、効率も優れる。
そのため、本発明の巻取システムにおける検出器としては、第一の巻取装置1で巻き取った後のシートWの厚さを間接的に測定する検出器が好ましい。特にレーザー光線式の変位計は、角度検出器よりも、巻取物18の巻取径の変化を高精度に検出できることから好ましい。
シートとしては、上質紙(米坪64.0g/m2)を対象とした。
なお、実施例1〜3と比較例1とで、上質紙の原材料およびその配合比は同一とした。
シートを生産するラインは、下記(a)〜(g)の各装置からなるオントップ多筒型抄紙機と、オフラインで続く(h)ワインダー装置から構成される。ここで、(g)巻取装置は第一の巻取装置に、(h)ワインダー装置は第二の巻取装置にそれぞれ相当する。
なお、実施例1〜3と比較例1とで、各装置の運転条件は同一とした。
(a)ワイヤー装置 :ツインワイヤーフォーマ形式。
(b)プレス装置 :トランスファーツインバー+4P
(3Pシュープレス)形式。
(c)プレドライヤー装置 :ダブルデッキ+シングルデッキ併用形式。
(d)サイズプレス装置 :ゲートロール形式。
(e)アフタードライヤー装置 :シングルデッキ形式。
(f)カレンダー装置 :ハードニップ形式。
(g)巻取装置(第一の巻取装置) :サーフェスリール形式。
(h)ワインダー装置(第二の巻取装置):2ドラムワインダ形式。
二次巻を構成するシート長さLpと、二次巻を巻く紙管(第二の巻芯に相当する。)の直径dpは下記の通りとした。これらは実施例1〜3と比較例1とで同一である。
Lp :15000[m]。
dp :110[mm]。
前出の生産ラインで抄紙および紙の巻き取りを行って巻取長さ90000mの一次巻7本を生産し、各一次巻から二次巻(二次巻を構成するシート長さLpは前出の通り)を生産した。その際、前出の方法(1)により二次巻の巻取径Dp[mm]を算出するとともに、各一次巻に対応する二次巻の3卸目の巻取径(実測値)Dreal[mm]を、物差を用いて測定した。
なお、検出器3としてはレーザー光線式の変位計(キーエンス社 LK−2500)を使用し、演算処理装置4としてはLabVIEW(登録商標)をプログラムとして読み込ませたパーソナルコンピュータを使用した。
前出の方法(1)を前出の方法(2)に変更した以外は、実施例1と同様にしてDpの算出およびDrealの測定を行なった。圧縮率Rcは、本実施例と同一の上質紙を対象に予め作成しておいた前出の方法(2)のデータIIを演算処理装置4のデータ保持部43に記憶しておき、当該データ保持部43を参照することにより求めた値を使用した。
前出の方法(1)を前出の方法(3)に変更した以外は、実施例1と同様にしてDpの算出およびDrealの測定を行なった。圧縮率Rcは、本実施例と同一の上質紙を対象に予め作成しておいた前出の方法(2)のデータIIを演算処理装置4のデータ保持部43に記憶しておき、当該データ保持部43を参照することにより求めた値を使用した。径方向の厚さ補正値Rrcは、本実施例と同一の上質紙を対象に予め作成しておいた前出の方法(3)のデータIIIを演算処理装置4のデータ保持部43に記憶しておき、当該データ保持部43を参照することにより求めた値を使用した。
前出の生産ラインで抄紙および紙の巻き取りを行って巻取長さ90000mの一次巻7本を生産し、各一次巻から二次巻(二次巻を構成するシート長さLpは前出の通り)を生産した。その際、(f)カレンダー装置と(g)巻取装置(第一の巻取装置)との間に設置したキャリパ計(両面接触式)によりシート紙厚を測定した。当該紙厚をTrとみなして、関数電卓を用いて前出の(2)式より二次巻の巻取径Dpを算出した。さらに、各一次巻に対応する二次巻の3卸目の巻取径(実測値)Drealを物差を用いて測定した。
また、それらの結果から、DpとDrealとの差(絶対値)Δを算出した。また、算出された7つの差Δの平均値及び標準偏差を算出した。標準偏差は、マイクロソフト(登録商標)・エクセル(登録商標)のSTDEV関数により算出した。結果を表1に示す。
2 第二の巻取装置
3 検出器
4 演算処理装置
11 巻取支持ドラム
12 巻取押付アーム
13 移動用レール
14 支柱
15 反射板
16 ハウジング
17 第一の巻芯
18 巻取物(一次巻)
21 アンワインダー
22 スリッター
23 ワインダー
27 第二の巻芯
28 巻取物(二次巻)
41 計時部
42 演算部
43 データ保持部
100 巻取システム
Claims (17)
- シートを第一の巻芯に巻き取る第一の巻取装置と、
前記第一の巻取装置で得られた一次巻からシートを巻き出し、該シートを第二の巻芯に巻き取って、前記一次巻よりも巻取径の小さい二次巻を製造する第二の巻取装置と、
前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さに応じた検出値を得る検出器と、
前記検出値が入力される演算処理装置と、
を備え、
前記演算処理装置は、前記検出値に基づいて、前記二次巻を構成するシートの厚さTを求め、次いで、前記厚さTに基づいて、前記第二の巻取装置で長さLpのシートを巻き取ったときに得られる二次巻の巻取径Dpを求めるステップを行うように構成されたことを特徴とする巻取システム。 - 前記検出値は、前記第一の巻取装置で巻き取られたシートのうち前記第二の巻取装置で巻き取られる部分の厚さに応じた検出値である、請求項1に記載の巻取システム。
- 前記厚さTは、前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さに対する、前記第二の巻取装置で巻き取られるシートの厚さの比である圧縮率に基づいて補正された値である、請求項1または2に記載の巻取システム。
- 前記検出器は、前記第一の巻取装置での巻取径を測定するものであり、
前記演算処理装置は、前記厚さTを求める際に、前記検出器で測定された巻取径、および前記第一の巻取装置で巻き取ったシートの長さの情報に基づいて、前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さを求めるステップを行うように構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の巻取システム。 - 前記演算処理装置は、前記第二の巻取装置で巻き取ったときの巻取径Dpが所定の巻取径Dkになるシートの長さLkを求めるステップをさらに行うように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の巻取システム。
- シートを第一の巻芯に巻き取る第一の巻取装置と、
前記第一の巻取装置で得られた一次巻からシートを巻き出し、該シートを第二の巻芯に巻き取って、前記一次巻よりも巻取径の小さい二次巻を製造する第二の巻取装置と、
前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さに応じた検出値を得る検出器と、
前記検出値が入力される演算処理装置と、
を備え、
前記演算処理装置は、前記検出値に基づいて、前記二次巻を構成するシートの厚さTを求め、次いで、前記厚さTに基づいて、前記第二の巻取装置で巻き取ったときに所定の巻取径Dkの二次巻が得られるシートの長さLkを求めるように構成されたことを特徴とする巻取システム。 - 前記演算処理装置は、前記第二の巻取装置で巻き取ったシートの長さLpが前記長さLkとなるときに前記第二の巻取装置での巻き取りを停止させる信号を出力するステップをさらに行うように構成されている、請求項5または6に記載の巻取システム。
- 第一の巻取装置にてシートを第一の巻芯に巻き取り、第二の巻取装置にて前記第一の巻取装置で得られた一次巻からシートを巻き出し、該シートを第二の巻芯に巻き取って、前記一次巻よりも巻取径の小さい二次巻を製造する際に前記二次巻の巻取径を予測する予測方法であって、
前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さに応じた検出値を得る工程と、
前記検出値に基づいて、前記二次巻を構成するシートの厚さTを求め、次いで、前記厚さTに基づいて、前記第二の巻取装置で長さLpのシートを巻き取ったときに得られる二次巻の巻取径Dpを求める工程と、
を含む予測方法。 - 前記検出値は、前記第一の巻取装置で巻き取られたシートのうち前記第二の巻取装置で巻き取られる部分の厚さに応じた検出値である、請求項8に記載の予測方法。
- 前記厚さTは、前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さに対する、前記第二の巻取装置で巻き取られるシートの厚さの比である圧縮率に基づいて補正された値である、請求項8または9に記載の予測方法。
- 前記検出器は、前記第一の巻取装置での巻取径を測定するものであり、
前記厚さTを求める際に、前記検出器で測定された巻取径、および前記第一の巻取装置で巻き取ったシートの長さの情報に基づいて、前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さを求めるステップを行う、請求項8〜10のいずれか一項に記載の予測方法。 - 前記第二の巻取装置で巻き取ったときの巻取径Dpが所定の巻取径Dkになるシートの長さLkを求めるステップをさらに行う、請求項8〜11のいずれか一項に記載の予測方法。
- 第一の巻取装置にてシートを第一の巻芯に巻き取り、第二の巻取装置にて前記第一の巻取装置で得られた一次巻からシートを巻き出し、該シートを第二の巻芯に巻き取って、前記一次巻よりも巻取径の小さい二次巻を製造する際に、所定の巻取径の二次巻が得られるシートの長さを予測する予測方法であって、
前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さに応じた検出値を得る工程と、
前記検出値に基づいて、前記二次巻を構成するシートの厚さTを求め、次いで、前記厚さTに基づいて、前記第二の巻取装置で巻き取ったときに所定の巻取径Dkの二次巻が得られるシートの長さLkを求める工程と、
を含む予測方法。 - 第一の巻取装置にてシートを第一の巻芯に巻き取り、第二の巻取装置にて前記第一の巻取装置で得られた一次巻からシートを巻き出し、該シートを第二の巻芯に巻き取って、前記一次巻よりも巻取径の小さい二次巻を製造する製造方法であって、
請求項12または13に記載の予測方法により、前記第二の巻取装置で巻き取ったときに所定の巻取径Dkの二次巻が得られるシートの長さLkの情報を得る工程と、
前記第二の巻取装置で巻き取ったシートの長さLpが前記長さLkとなるときに前記第二の巻取装置での巻き取りを停止する工程と、
を含む二次巻の製造方法。 - シートを第一の巻芯に巻き取る第一の巻取装置と、
前記第一の巻取装置で得られた一次巻からシートを巻き出し、該シートを第二の巻芯に巻き取って、前記一次巻よりも巻取径の小さい二次巻を製造する第二の巻取装置と、
前記第一の巻取装置で巻き取られたシートの厚さに応じた検出値を得る検出器と、
前記検出値が入力される演算処理装置と、
を備える巻取システムに、
前記検出値に基づいて、前記二次巻を構成するシートの厚さTを求め、次いで、前記厚さTに基づいて、前記第二の巻取装置で長さLpのシートを巻き取ったときに得られる二次巻の巻取径Dpを求めるステップ、
を実行させるプログラム。 - 前記巻取システムに、
前記第二の巻取装置で巻き取ったときの巻取径Dpが所定の巻取径Dkになるシートの長さLkを求めるステップ、
をさらに実行させる、請求項15に記載のプログラム。 - 前記巻取システムに、
前記第二の巻取装置で巻き取ったシートの長さLpが前記長さLkとなるときに前記第二の巻取装置での巻き取りを停止するステップ、
をさらに実行させる、請求項16に記載のプログラム。
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