JP2015209022A - 要救助者揚収ウィンチ昇降方法及び昇降装置 - Google Patents

要救助者揚収ウィンチ昇降方法及び昇降装置 Download PDF

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Abstract

【課題】水面上に漂っている物体を揚収ネットにより水面上から容易かつ安定に引き上げることができる要救助者揚収ウィンチ昇降方法及び昇降装置を提供する。
【解決手段】モータ15の回転により索16を介して揚収ネット17を水面W1に対して昇降方向に移動させる要救助者揚収ウィンチ昇降方法において、モータ15を所定速度となるように速度制御することによって、揚収ネット17を移動させる速度制御モードと、索16を緊張状態に維持可能なトルク出力となるように、モータ15をトルク制御することによって、揚収ネット17を水面W1上に保持する第1トルク制御モードと、第1トルク制御モードにおけるトルクより小トルク出力となるように、モータ15をトルク制御することによって、揚収ネット17を水中W2で上昇させる第2トルク制御モードとを備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、水面上に漂っている物体を揚収ネットにより水面上から引き上げる場合に用いられる要救助者揚収ウィンチ昇降方法及び昇降装置に関するものである。
従来、海面等の水面上に漂っている物体を船上クレーンによって水面上から引き上げる場合には、船上クレーンの先端に索を介して揚収ネットを吊下し、その揚収ネットを電動モータや油圧モータの回転により水面に対して昇降させることにより、水面上の物体を船上に引き上げていた。このように、揚収ネットを用いた物体の引き上げに際しては、揚収ネットを空中から水中における物体の下方位置まで下降させ、その後に揚収ネットを水中で水面付近まで上昇させるとともに、水面上において物体を揚収ネット上に収容し、この状態で揚収ネットを水面から上昇させる必要がある。
ところが、揚収ネットにより海面上から物体を引き上げる場合には、物体及び揚収ネットが海面上において波の高低による海面の上下により上下方向に往復移動される。このため、前記のように水中で揚収ネットを上昇させるとき、及び海面上で物体を揚収ネット上に収容するときには、海面の上下によって揚収ネットを吊下した索に作用する荷重が変動して、揚収ネットの姿勢が不安定になったり、索が弛んだり、必要以上に緊張したりした。よって、揚収ネットに対する物体の収容作業が困難で時間がかかった。
一方、船舶上に設けられたクレーンにより、小船艇や採水器等の海中装置を海面上に吊り下ろしまたは海面上から吊り上げる装置としては、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されるような構成が提案されている。これらの従来構成においては、クレーンのアームを俯仰させるための油圧モータや油圧シリンダが設けられている。そして、海象条件に応じて油圧モータや油圧シリンダに供給される油圧が制御されることにより、アームの俯仰角度が変更されて、小船艇や海中装置を吊下する索の張力が一定に保たれるようになっている。
特開平5−97393号公報 特開2003−201091号公報
これらの従来構成においては、海象条件に応じて索の張力を調整して、小船艇や海中装置を吊下状態に安定に維持することはできる。しかしながら、前記のように海面上に漂っている物体を揚収ネットにより海面上から引き上げる場合には、これらの従来構成を適用することは困難であった。すなわち、揚収ネットによる物体の引き上げに際して、揚収ネットを海中で物体付近まで上昇させるとき、及び海面上で物体を揚収ネット上に収容するときには、従来構成のようにアームの俯仰角度を変更しても、揚収ネットを吊下する索の張力を良好に調整することができず、揚収ネットの姿勢や索の張力が不安定になった。従って、揚収作業を円滑に行ない得ないおそれがあった。
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、水面上に漂っている物体を揚収ネットにより水面上から容易かつ安定に引き上げることができる要救助者揚収ウィンチ昇降方法及び昇降装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、この要救助者揚収ウィンチ昇降方法は、モータの回転により索を介して揚収ネットを水面に対して昇降方向に移動させる要救助者揚収ウィンチ昇降方法において、前記モータを所定速度となるように速度制御することによって、前記揚収ネットを移動させる速度制御モードと、前記索を緊張状態に維持可能なトルク出力となるように、前記モータをトルク制御することによって、前記揚収ネットを水面上に保持する第1トルク制御モードと、前記第1トルク制御モードにおけるトルクより小トルク出力となるように、前記モータをトルク制御することによって、前記揚収ネットを水中で上昇させる第2トルク制御モードとを備えたことを特徴としている。
従って、この要救助者揚収ウィンチ昇降方法においては、揚収ネットを空中から水中に下降させるとき、及び物体収容後の揚収ネットを水面上から引き上げるときには、モータを速度制御モードで運転することによって、揚収ネットを所定速度で素速く昇降移動させることができる。また、水中まで下降された揚収ネットを水中において物体の下方位置付近まで上昇させるときには、モータを第2トルク制御モードで運転することによって、揚収ネットを所定のトルク付与状態下の安定姿勢で上昇させることができる。さらに、水面上で物体を揚収ネット上に収容するときには、モータを第1トルク制御モードで運転することによって、揚収ネットを波等の影響を受けることなく、所定のトルク付与状態で水面付近に安定に維持することができる。よって、水面上に漂っている物体を揚収ネット上に容易かつ安定に収容することができるとともに、水面上から短時間に引き上げることができる。
前記の要救助者揚収ウィンチ昇降方法及び昇降装置によれば、水面上に漂っている物体を揚収ネットにより水面上から容易かつ安定に引き上げることができるという効果を発揮する。
一実施形態の要救助者揚収ウィンチ昇降装置を船上クレーンに吊下した状態を示す正面図。 図1の要救助者揚収ウィンチ昇降装置を拡大して示す正面図。 同要救助者揚収ウィンチ昇降装置の斜視図。 要救助者揚収ウィンチ昇降装置の回路構成を示すブロック図。 (a)及び(b)は要救助者揚収ウィンチ昇降装置による物体の引き上げ動作を順に示す概略正面図。 (a)及び(b)は物体の引き上げ動作を、図5(b)に続いて順に示す概略正面図。 制御盤の操作パネルを示す正面図。
以下、要救助者揚収ウィンチ昇降方法及び昇降装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、この実施形態においては、船舶11の甲板111上にクレーン12が搭載されている。クレーン12のアームの先端には装着部材13が吊下され、その装着部材13には要救助者揚収ウィンチ昇降装置14が着脱可能に装着されている。この要救助者揚収ウィンチ昇降装置14は、ACサーボモータよりなるモータ15と、水面W1上に漂っている物体Oを引き上げる際に、モータ15の回転により索16を介して海面等の水面W1に対して昇降方向に移動される揚収ネット17とを備えている。要救助者揚収ウィンチ昇降装置14のモータ15と揚収ネット17とはパッケージ化されて、クレーン12の先端の装着部材13に吊下されるようになっている。
図1〜図3に示すように、前記要救助者揚収ウィンチ昇降装置14は、金属棒材よりなる枠状のフレーム18を備えている。フレーム18の上端には、装着部材13に着脱可能に装着されるリング状の取付部181が設けられている。フレーム18の下端には、前記モータ15が支持されている。モータ15のモータ軸には、前記索16の巻き取り及び巻き戻しを行うドラム19が連結されている。モータ15には、そのモータ15の回転状態を検出して、後述する制御部28にフィードバックするエンコーダ20が内装されている。
図1〜図3に示すように、前記索16の先端には、揚収ネット17が接続されている。そして、モータ15が正転または逆転されて、ドラム19が索16の巻き取り方向または巻き戻し方向に回転されることにより、索16を介して揚収ネット17が下降または上昇されるようになっている。要救助者揚収ウィンチ昇降装置14の下面には、装着部材13に対して要救助者揚収ウィンチ昇降装置14を装着する場合等において、甲板111上等における装置全体の運搬を容易にするための複数の車輪21が設けられている。
図1に示すように、前記船舶11の甲板111上には、制御盤27が設置されている。図4に示すように、制御盤27には、制御部28、操作部29及び表示部30が設けられている。速度制御部及びトルク制御部としての制御部28には、後述の速度制御機能、トルク制御機能及び記憶機能を備えている。また、制御部28には索16の張力を検出して、言い換えれば、モータ15に作用する負荷を検出して、揚収ネット17に作用するトルクを検出するためのトルク検出機能が設けられている。速度制御機能は、揚収ネット17を所定速度で昇降方向に移動させるように、モータ15を速度制御モードによって所定の回転速度に制御する。
前記トルク制御機能は、緊張状態の索16を介して揚収ネット17を水面上に保持するように、モータ15を第1トルク制御モードによってトルク制御する。この場合一実施形態においては、索16に対する荷重が第1の値となるように設定されている。また、トルク制御機能は、揚収ネット17を水中W2で上昇させる際に、前記第1の値より小さな第2の値のトルク出力で、モータ15をトルク制御する一実施形態においては、記憶機能は、前記各制御モードにおける速度やトルク等の諸データを記憶する。
図4に示すように、前記操作部29には、揚収ネット17を下降させるための下降スイッチ291、上昇させるための上昇スイッチ292、展張させるための展張スイッチ293、水面W1上で昇降させるための昇降スイッチ294、及び動作停止させるための停止スイッチ295と、データを入力するための入力キー296とが設けられている。表示部30は、要救助者揚収ウィンチ昇降装置14の動作状況や、操作部29の入力キー296から入力される諸データ等を表示する。
次に、前記のように構成された要救助者揚収ウィンチ昇降装置により、水面W1上から物体Oを引き上げる場合の方法について説明する。
水面W1上からの物体Oの引き上げ時には、図5(a)に示すように、クレーン12の先端の装着部材13に要救助者揚収ウィンチ昇降装置14を装着した状態で、船舶11の甲板111上に設けられた制御盤27上の操作部29の下降スイッチ291を操作する。すると、モータ15が速度制御モードにより、索16の巻き戻し方向へ所定速度となるように速度制御されながら回転されて、縮小状態の揚収ネット17を収容した図示しないパッケージケースが空中から水中W2に下降される。そして、揚収ネット17が所定の水深まで下降されて、物体Oの下方位置付近に達したとき、モータ15の運転開始からの計測時間の経過に基づいて、モータ15がトルク制御されて、揚収ネット17の下降が停止される。
続いて、操作部29の展張スイッチ293を操作すると、縮小状態にある揚収ネット17上の図示しない装置の作動により図5(a)に鎖線で示すように、揚収ネット17が水中W2において縮小状態から展張される。このとき、モータ15が第2トルク制御モードにより、索16の巻き取り方向へ所定のトルク出力(実施形態では第2の値トルク)となるようにトルク制御及び巻取り速度を制限した速度制御されながら回転される。このため、水の抵抗により、図5(b)に鎖線で示すように、揚収ネット17が縮小状態からの展張を助長されながら、水中W2から水面W1まで上昇される。そして、揚収ネット17が水面W1に達したとき、タイマにより第1トルク制御モードとなりモータ15が停止される。
その後、昇降スイッチ294が操作されると、トルク検出部23による索16の張力の検出に基づいて、モータ15が第1トルク制御モードにより、索16の巻き取り方向及び巻き戻し方向へ第1の値のトルク出力となるようにトルク制御されながら回転される。これにより、索16の張力がほぼ一定に維持されながら、図6(a)に示すように、揚収ネット17が波の上下変動に応じて昇降されて、水面W1付近に安定した浮遊した状態で維持される。よって、この状態で水面W1上に漂っている物体Oを揚収ネット17上に容易に収容することができる。
次いで、操作部29の上昇スイッチ292を操作すると、モータ15が速度制御モードにより、索16の巻き取り方向へ所定速度となるように速度制御されながら回転される。これにより、図6(b)に示すように、物体Oを収容した揚収ネット17が水面W1上から引き上げられる。そして、揚収ネット17の引き上げ作業が完了した後、図示しない巻き上端リミットスイッチで巻き上げ端を検知することによりモータ15が停止される。
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・この実施形態の要救助者揚収ウィンチ昇降方法においては、索16を介して揚収ネット17を水面W1に対して昇降方向に移動させるモータ15が、速度制御モードと、トルク制御モードとに切り換えて運転される。速度制御モードでは、モータ15が所定速度となるように速度制御されることによって、揚収ネット17が昇降方向に移動される。トルク制御モードでは、索16が緊張状態に維持可能な第1の値のトルク出力となるように、モータ15がトルク制御されることによって、揚収ネット17が水面W1上に保持される。またトルク制御モードでは、第1の値より小さな第2の値のトルク出力となるように、モータ15がトルク制御及び巻取り速度を制限した速度制御されることによって、揚収ネット17が水中W2で上昇される。
このため、この要救助者揚収ウィンチ昇降方法においては、揚収ネット17を空中から水中W2に下降させるとき、及び物体Oの収容後の揚収ネット17を水面W1上から引き上げるときには、モータ15を速度制御モードで運転することによって、揚収ネット17を所定速度で能率よく昇降移動させることができる。また、水中W2まで下降された揚収ネット17を水中W2において物体Oの下方位置付近まで上昇させるときには、モータ15を第2の値のトルク制御モード及び巻取り速度を制御した速度制御モードで運転することによって、揚収ネット17を所定のトルク付与状態で安定に上昇させることができる。さらに、水面W1上で物体Oを揚収ネット17上に収容するときには、モータ15を第1の値のトルク制御モードで運転することによって、揚収ネット17を波等の影響を受けることなく、所定のトルク付与状態で水面W1付近に安定に維持することができる。よって、水面W1上に漂っている物体Oを揚収ネット17上に容易かつ安定に収容することができるとともに、水面W1上から短時間に引き上げることができる。
・この実施形態の要救助者揚収ウィンチ昇降方法においては、前記揚収ネット17が空中から水中W2に移動されるときに、モータ15が速度制御モードで運転される。このため、揚収ネット17の空中から水中W2への下降を、所定速度で短時間に能率よく行うことができる。
・この実施形態の要救助者揚収ウィンチ昇降方法においては、前記揚収ネット17が縮小状態で空中から水中W2に下降された後に、水中W2で展張されて水面W1まで上昇される。このため、揚収ネット17を縮小状態で横揺れ等を生じることなく、水中W2まで容易に下降させることができるとともに、水中W2において展張させた状態で水面W1上の物体Oの下方位置付近に好適に上昇配置することができる。
・この実施形態の要救助者揚収ウィンチ昇降方法においては、前記揚収ネット17が縮小状態から展張されるときに、モータ15が第2の値のトルク制御モード及び巻取り速度を制御した速度制御モードで運転されて、揚収ネット17が水面W1まで上昇される。このため、水中W2における揚収ネット17の展張動作を、水面W1までの上昇を妨げることなく、揚収ネット17を良好に展張させることができる。
・この実施形態の要救助者揚収ウィンチ昇降方法においては、展張状態の揚収ネット17が水面W1上に漂う状態で、モータ15が第1の値のトルク制御モードで正逆方向に運転される。このため、水面W1上の物体Oを展張状態の揚収ネット17に収容するとき、揚収ネット17を波等の影響を受けることなく水面W1上に安定に維持することができて、物体Oの収容作業を容易に行うことができる。
・この実施形態の要救助者揚収ウィンチ昇降方法においては、前記揚収ネット17が水面W1上から引き上げられるときに、モータ15が速度制御モードで運転される。このため、物体Oの収容後の揚収ネット17の引き上げを、所定速度で短時間に能率よく行うことができる。
・この実施形態の要救助者揚収ウィンチ昇降装置においては、前記モータ15と揚収ネット17とがパッケージにされて、船上クレーン12の先端に吊下されるようになっている。このため、揚収ネット17を用いて水面W1上の物体Oを引き上げる場合には、船上クレーン12の先端にパッケージ化された要救助者揚収ウィンチ昇降装置14を吊下することによって、引き上げ作業を開始することができる。
ちなみに一実施形態の装置は、以下の制御モードを備え、各制御モードにおいて、索の巻き取り速度及び繰り出し速度並びに張力を自動的に調整し、索を常に緊張状態に制御する。
(A)ウィンチモード
一実施形態の装置を一般的なウィンチのように使用し、船甲板上において索の先端に接続した揚収ネット等の救助資機材を揚降させる。なお、船甲板の揚降速度は必要に応じ調整できる。
(B)沈降モード
ウィンチモードにより揚収ネットを海面まで降下、着水させた後、海面から一定水深まで沈降させる間、揚収ネットの海中での沈降を妨げず、且つ海面の上下動及び船体動揺による、船甲板と海面間との間の距離の変化に自動的に追従し、索の張力を常に緊張状態に保持する。なお、使用時の気象、海象や船体動揺の状態及び吊り下げた救助資機材等の状態に応じて、索の張力を調整できる。
(C)展張準備モード
前記沈降モードにより、揚収ネットを海面下一定水深まで沈降させた後、海面の浮力体(浮環等)から索により吊り下がった状態で、水深を一定に保っている揚収ネットの水深を変化させず、且つ海面の上下動及び船体動揺による船甲板と海面(浮力体)との間の距離の変化に自動的に追従し、索の張力を常に緊張状態に調整する。なお、使用時の気象、海象や船体動揺の状態及び吊り下げた救助資機材等の状態に応じて、索の張力を調整できる。
(D)展張モード
前記展張準備モードの状態から揚収ネットが海面まで浮上、展張する際、浮上とともに弛む索を揚収ネットの展張動作に悪影響を与えないように巻き取り、且つ、海面の上下動及び船体動揺による船甲板と海面との間の距離の変化に自動的に追従し、索の張力を常に緊張状態に調整する。なお、使用時の気象、海象や船体動揺の状態及び吊り下げた救助資機材等の状態に応じて、索の張力を調整できる。
(E)オートテンションモード
揚収ネットが海面に浮上し、展張動作が完了した後、揚収ネットが常に海面に張り付いた姿勢となるように、海面の上下動及び船体動揺による船甲板と海面との間の距離の変化に自動的に追従し、索の張力を常に緊張状態に調整する。なお、使用時の気象、海象や船体動揺の状態及び吊り下げた救助資機材等の状態に応じて、索の張力を調整できる。
(F)揚収モード
前記オートテンションモードから、索長が最短となった時に揚収ネットを巻き上げ、船上に揚収可能な状態とする。なお、巻き上げる速度は、ネットの異常な変形を起こさないよう調整できる。
(G)ブレーキモード
前記揚収モードから、クレーンのウィンチにより索の巻き上げ、繰り出しがなされることのないように保持する。
ちなみに、前記制御部28は、作業者によって前記制御盤27の図7に示す操作パネルが操作されることによって以下の動作を実行させる。制御盤27には各種のスイッチのボタン100〜107と表示ランプ120〜129が設けられている。
揚収ネットモード
(1)運転ボタン102を押して装置起動。
(2)ウィンチモード表示ランプ120点灯。
(3)制御システムは初期動作モード。
(4)制御システムを揚収ネットモードに切替(運転状態ランプ126はオレンジ点滅→オレンジ点灯)。
(5)甲板上での作業(サーボモータを通常のウィンチとして使用)。
(6)索の巻上げ、繰り出しはボタン104,105を押し続けることで作動。離すと停止。
(7)ボタン104,105を押しながら速度調整ボタン100,101を押すと巻上げ、繰り出し速度が変化。離すと速度維持。
(8)前記(7)において巻上げ、ボタン104、105を離すと速度は初期設定値に戻る。
(9)前記(6)〜(8)を用いて揚収ネットを海面に着水させる。
(10)沈降ボタン104を押すとトルク制御最弱、速度最大で揚収ネットをスム−ズに沈降させる。
(11)揚収ネットに取り付けられた浮環の沈み具合、ウキの状態で揚収ネットが設定深度に達したことを確認。
(12)前記(11)を確認後、準備ボタン105にて展張モードのオートテンションモードに切り替え(沈降ボタン104無効)。
(13)揚収ネットと要救助者との位置関係等によりネットの投入位置を変更させる場合には、ウィンチモード表示ランプ120が青に点灯していることを確認のうえ、揚収ネットを巻上げ、揚収可能とする。
(14)前記(12)において揚収ネットと要救助者の位置関係良好と判断したら、展張開始ボタン106を押す(準備ボタン無効)。
(15)揚収ネットが浮上〜展張〜水面の一連の動作後、自動的にオートテンションモード制御に移行。
(16)前記(14)において展張開始ボタン106が押されると、ウィンチモードが緊急モードに切り替えられ、トルク最大にて高速巻上げ・繰り出しとなり、ウィンチモード表示ランプ120がオレンジに点灯(緊急揚収モード)。
(17)前記(15)において海面の状態によりオートテンション張力を強・中・弱に変更可。
(18)海面、船体横揺を見計らって、巻上げボタン107により揚収ネットを水切りから巻上げする。
(19)ネット巻き上げ中、ボタン104,105は前記(16)の設定により巻き上げ・繰り出し操作可。
(20)揚収ネットが巻き取られ、リミットスイッチが作動するとサーボモータは最大保持力に切り替わると同時に、前記(16)において緊急揚収モードとなっていたウィンチのトルク設定を通常に戻す。(ランプ120青点灯)。
(21)カヤセックダビッドを旋回し、要救助者を船上に揚収。
レスキューモード
(1)前記揚収ネットモード(1)〜(3)、(5)〜(6)と同じ。
救助資機材を海面に降下させる。レスキューモードへの切り替えにより沈降・準備ボタン104,105はインタ−ロックされて、使用できなくなる。
(2)展張開始ボタン106を押すと、オートテンション機能が作動する。
(3)前記揚収ネットモードの(16)と同様にウィンチが緊急モードに切り替えられる。
(4)前記揚収ネットモードの(17)と同じ。
(5)クレーン操作や船体移動により要救助者を救難資機材に確保する。
(6)前記揚収ネットモードの(18)以降と同様に揚収完了。
排他制御
揚収ネットモード
(1)沈降〜巻上げの一連の動作は、逆順で操作するとネット展張に不都合が起こるので、誤って他のボタンを押さないよう排他制御を行う。
(2)最初は沈降ボタン104のみ押せるようにし、準備〜巻上げボタン105〜107は押せない。
(3)沈降ボタン104を押すと準備ボタン105の排他制御が解除される。
(4)準備ボタン105を押すと展張開始ボタン106の排他制御が解除され、沈降ボタン104に排他制御がかかる。
(5)この段階でネット位置修正等によりボタン100,101を押した場合、排他制御は前記(2)に戻る。
(6)展張開始ボタン106を押すと巻上げボタン107の排他制御が解除され、準備ボタン105に排他制御がかかる。
(7)同時にウィンチ制御が緊急モードに切り替わり、最大トルク、高速巻上げ・繰り出しに設定される。
(8)巻上げボタン107を押すと展張開始ボタン106に排他制御がかかる。
(9)ネットが巻き上げられ、リミットスイッチが作動すると(2)に戻り、ウィンチの緊急モードが解除される。
レスキューモード
(1)レスキューモードを起動した場合には、沈降・準備ボタン104,105及び巻上げボタン107に排他制御がかかる。
(2)展張開始ボタン106を押すと巻上げボタン107の排他制御が解除される。同時にウィンチ制御が緊急モードに切り替わり、最大トルク、高速巻上げ・繰り出しに設定される。
(3)巻上げボタン107を押すと展張開始ボタン106に排他制御がかかる。
(4)ネットが巻き上げられ、リミットスイッチが作動すると前記(2)に戻り、ウィンチの緊急モードが解除される。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・操作部29に進行スイッチを設けて、その進行スイッチを操作するごとに、物体Oの引き上げ作業のステップが自動的に進行するように構成すること。
・揚収ネット17に代えて、揚収ネット以外の救助資機材を使用できるように構成すること。この場合は、前記沈降モード、展張準備モードは省略され、展張モード、オートテンションモード、揚収モードにより、揚収ネットと同様に救助資機材を使用して、物体を引き上げることができる。
・前記実施形態の構成を湖や河川等、海以外のところで使用すること。
・前記実施形態におけるトルク制御や速度制御の数値を適宜に変更すること。
11…船舶、12…クレーン、14…要救助者揚収ウィンチ昇降装置、15…モータ、16…索、17…揚収ネット、27…制御盤、28…制御部、W1…水面、W2…水中、O…物体。

Claims (9)

  1. モータの回転により索を介して揚収ネットを水面に対して昇降方向に移動させる要救助者揚収ウィンチ昇降方法において、
    前記モータを所定速度となるように速度制御することによって、前記揚収ネットを移動させる速度制御モードと、
    前記索を緊張状態に維持可能なトルク出力となるように、前記モータをトルク制御することによって、前記揚収ネットを水面上に保持する第1トルク制御モードと、
    前記第1トルク制御モードにおけるトルクより小トルク出力となるように、前記モータをトルク制御することによって、前記揚収ネットを水中で上昇させる第2トルク制御モードと
    を備えた要救助者揚収ウィンチ昇降方法。
  2. 前記揚収ネットを空中から水中に移動させるときに、前記モータを速度制御モードで運転させる請求項1に記載の要救助者揚収ウィンチ昇降方法。
  3. 前記揚収ネットを縮小状態で空中から水中に下降させた後に水中で展張させ、その展張された揚収ネットを水面まで上昇させる請求項2に記載の要救助者揚収ウィンチ昇降方法。
  4. 前記揚収ネットが縮小状態から展張されるときに、前記モータを第2トルク制御モードで運転させて、揚収ネットを水面まで上昇させる請求項3に記載の要救助者揚収ウィンチ昇降方法。
  5. 展張状態の前記揚収ネットが水面上に漂う状態で、前記モータを第1トルク制御モードで正逆方向に運転させる請求項2〜4のうちのいずれか一項に記載の要救助者揚収ウィンチ昇降方法。
  6. 前記揚収ネットを水面上から引き上げるときに、前記モータを速度制御モードで運転させる請求項2〜5のうちのいずれか一項に記載の要救助者揚収ウィンチ昇降方法。
  7. モータと、そのモータの回転により索を介して水面に対して昇降方向に移動される揚収ネットとを備えた要救助者揚収ウィンチ昇降装置において、
    前記揚収ネットを所定速度で昇降方向に移動させるように、前記モータを速度制御する速度制御部と、
    緊張状態の索を介して前記揚収ネットを水面上に保持するように、前記モータをトルク制御するとともに、前記揚収ネットを水中で上昇させる際に、前記トルク制御時のトルクより小トルク出力で前記モータをトルク制御するトルク制御部と
    を備えた要救助者揚収ウィンチ昇降装置。
  8. 前記モータと揚収ネットとをパッケージにして、船上クレーンの先端に吊下するように構成した請求項7に記載の要救助者揚収ウィンチ昇降装置。
  9. 船上に制御盤を設け、その制御盤に前記速度制御部及び制御部を設けた請求項8に記載の要救助者揚収ウィンチ昇降装置。
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