JP2015207653A - 圧電基板用ドライエッチング治具、これを使用して製造された圧電素子及びその製造方法 - Google Patents

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和史 末永
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文正 堀切
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Abstract

【課題】ドライエッチング工程におけるニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜の微細加工を圧電基板面内で均一化することが可能な圧電基板用ドライエッチング治具、これを使用して製造された圧電素子及びその製造方法を提供する。【解決手段】ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜を含む圧電基板にドライエッチングを施す際に圧電基板が支持されるものであり、平板形状の治具本体101と、治具本体101の中央に形成されると共に圧電基板が設置される設置孔102と、設置孔102の内縁に形成されると共に圧電基板の外縁を被覆する保護部103と、を備える圧電基板用ドライエッチング治具100である。【選択図】図1

Description

本発明は、ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜を含む圧電基板にドライエッチングを施す際に圧電基板が支持される圧電基板用ドライエッチング治具、これを使用して製造された圧電素子及びその製造方法に関する。
圧電体は、目的とする種々の用途に対応して様々な圧電素子に加工された上で利用されており、例えば、圧電体に電圧を印加して応力を発生させるアクチュエータや逆に圧電体に応力を付与して電圧を発生させるセンサ等の機能性電子部品として広く利用されている。
従来、圧電体は、鉛[Pb]を主成分として含有するチタン酸ジルコン酸鉛[Pb(ZrTi)O3;PZT]を圧電材料として使用し、焼結法を中心とした製造方法により製造されている。チタン酸ジルコン酸鉛は、ペロブスカイト型酸化物強誘電体であり、顕著な圧電特性を示すことから、圧電材料として好適である。
ところで、現在、圧電素子についても、その他の電子部品と同様に小型化と高性能化とが強く求められているが、焼結法を中心とした製造方法により圧電体を製造する場合、圧電体の厚さを10μm以下に薄化した時点で圧電体の厚さが圧電材料を構成する結晶粒の大きさに近づいてしまうため、その結晶粒の大きさに依存する圧電特性や誘電特性等に様々な影響を及ぼすことになる。
具体的には、焼結法を中心とした製造方法により製造された厚さが10μm以下の圧電体を含む圧電基板を加工して複数個の圧電素子を製造したときに、圧電基板面内で個々の圧電素子の圧電特性や誘電特性が不均一化したり、圧電素子が短寿命化したり、また圧電素子を製造する過程で発生する劣化が顕在化したりして不良要因となってしまう。
これらの不良要因を可能な限り排除すべく、成膜技術を利用した製造方法、及び化学反応や物理エッチングによる微細加工技術を利用した製造方法の開発が進められている。
近年では、高周波スパッタリング法を中心とした製造方法により製造されたチタン酸ジルコン酸鉛圧電薄膜を含む圧電基板を加工することで、高速高精細のインクジェットプリンタに好適なプリンタヘッド用アクチュエータや小型低価格のジャイロセンサの実用化に成功している(例えば、特許文献1を参照)。
ところが、チタン酸ジルコン酸鉛は、前述した通り、鉛を主成分として含有する鉛系圧電材料であるため、環境問題に対する配慮から圧電材料として好ましいとは言えないのが実情であり、鉛を含有しない非鉛系圧電材料の開発が強く望まれている。
現在、多種に亘る非鉛系圧電材料が研究されているが、その中でもニオブ酸カリウムナトリウム[(KNa)NbO3;KNN]は、チタン酸ジルコン酸鉛と同様にペロブスカイト型酸化物強誘電体であり、顕著な圧電特性を示すことから、非鉛系圧電材料の有力な候補として期待されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開平10−286953号公報 特開2007−19302号公報
Chan Min Kang、他3名、「Etching Characteristics of (Na0.5K0.5)NbO3 Thin Films in an Inductively Coupled Cl2/Ar Plasma」、Ferroelectrics、2007年、第357巻、第1号、p.179-184 堀切、他5名、「(K,Na)NbO3圧電薄膜の微細加工特性」、第71回応用物理学会学術講演会講演予稿集、2010年
圧電薄膜を含む圧電基板を加工してアクチュエータやセンサ等の圧電素子を製造する場合、圧電薄膜に高精度な微細加工を施す微細加工技術により、梁、音叉、又は振動板等の形状とし、その微細加工に伴う素子特性の変化や劣化を可能な限り低減する必要がある。また、圧電素子の低コスト生産のためには、任意の外径の圧電基板について、圧電薄膜に圧電基板面内で均一な微細加工を施さなければならない。
ところが、ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜を含む圧電基板に微細加工を施す方法については報告が非常に少なく(例えば、非特許文献1を参照)、ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜を含む圧電基板を加工して圧電素子を製造する方法の確立が未だ不十分であり、今のところ、小型化と高性能化とを実現した圧電素子を高い歩留で製造することは難しい。
ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜を含む圧電基板に微細加工を施す方法としては、希ガスとフッ素系の反応性ガスとの混合ガスを使用したドライエッチングにより高精度で微細加工を施す方法が知られている(例えば、非特許文献2を参照)。
しかしながら、ドライエッチングにより微細加工を施す場合、ドライエッチング装置での圧電基板の設置条件や設置状態によっては、圧電基板面内でニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜の微細加工が不均一となり、個々の素子形状にバラツキが発生する虞があり、その結果、ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜を含む圧電基板を加工して製造された複数個の圧電素子が所望の性能範囲内に収まらず、歩留が低下することになる。
そこで、本発明の目的は、ドライエッチング工程におけるニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜の微細加工を圧電基板面内で均一化することが可能な圧電基板用ドライエッチング治具、これを使用して製造された圧電素子及びその製造方法を提供することにある。
この目的を達成するために創案された本発明は、ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜を含む圧電基板にドライエッチングを施す際に前記圧電基板が支持される圧電基板用ドライエッチング治具において、平板形状の治具本体と、前記治具本体の中央に形成されると共に前記圧電基板が設置される設置孔と、前記設置孔の内縁に形成されると共に前記圧電基板の外縁を被覆する保護部と、を備える圧電基板用ドライエッチング治具である。
前記保護部は、前記圧電基板の外縁の全部又は一部を被覆すると良い。
前記治具本体は、酸化物からなると良い。
前記治具本体は、石英ガラスからなると良い。
前記治具本体は、表面に形成された酸化物薄膜を有すると良い。
前記酸化物薄膜は、珪素酸化物薄膜であると良い。
また、本発明は、前記圧電基板用ドライエッチング治具を使用してドライエッチングが施された圧電基板を加工して製造された圧電素子であって、電圧若しくは電界を検知する検知手段、又は電圧若しくは電界を印加する印加手段を備える圧電素子である。
また、本発明は、ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜を含む圧電基板を作製する成膜工程と、前記圧電基板にドライエッチングを施すドライエッチング工程と、前記ドライエッチング工程を経た前記圧電基板を加工して圧電素子を作製する工程と、を備え、前記ドライエッチング工程では、前記圧電基板用ドライエッチング治具に前記圧電基板を支持させると共に前記圧電基板の外縁を保護しつつドライエッチングを施す圧電素子の製造方法である。
本発明によれば、ドライエッチング工程におけるニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜の微細加工を圧電基板面内で均一化することが可能な圧電基板用ドライエッチング治具、これを使用して製造された圧電素子及びその製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る圧電基板用ドライエッチング治具を示す上面図である。 本発明の実施の形態に係る圧電基板用ドライエッチング治具を示す側面図である。 本発明の実施の形態に係る圧電基板用ドライエッチング治具を示すA−A線断面図である。 本発明の他の実施の形態に係る圧電基板用ドライエッチング治具を示す上面図である。 本発明の他の実施の形態に係る圧電基板用ドライエッチング治具を示す上面図である。 圧電基板を示す断面図である。 表面にマスクパターンが形成された圧電基板を示す断面図である。 ドライエッチングが施された圧電基板を示す断面図である。 マスクパターンが除去された圧電基板を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る圧電基板用ドライエッチング治具を使用せずに表面にドライエッチングが施された圧電基板の表面の加工分布を示す濃淡図である。 本発明の実施の形態に係る圧電基板用ドライエッチング治具を使用して表面にドライエッチングが施された圧電基板の表面の加工分布を示す濃淡図である。 本発明の実施の形態に係る圧電基板用ドライエッチング治具を使用せずに表面にドライエッチングが施された圧電基板の素子形状を示す濃淡図である。 本発明の実施の形態に係る圧電基板用ドライエッチング治具を使用して表面にドライエッチングが施された圧電基板の素子形状を示す濃淡図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
先ず、圧電基板用ドライエッチング治具について説明する。
図1から図3に示すように、本発明の好適な実施の形態に係る圧電基板用ドライエッチング治具100は、ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム[(NaxyLiz)NbO3;0<x≦1、0<y≦1、0≦z≦0.2、x+y+z=1、z=0のときはニオブ酸カリウムナトリウム]圧電薄膜を含む圧電基板にドライエッチングを施す際に圧電基板が支持されるものであり、平板形状の治具本体101と、治具本体101の中央に形成されると共に圧電基板が設置される設置孔102と、設置孔102の内縁に形成されると共に圧電基板の外縁を被覆する保護部103と、を備えている。
ここで、図1から図3では、後述する実施例にて使用した圧電基板用ドライエッチング治具100の寸法を具体的に例示しているが、その寸法は可変であり、例えば、圧電基板の外径に応じて適当に変更しても構わない。
治具本体101は、例えば、外縁に鍔部104が形成された円環平板形状を呈しており、酸化アルミニウム[Al23]や酸化ジルコニウム[ZrO2](安定化ジルコニア[ZrO2−Y23]を含む)等の酸化物、又は石英ガラス[SiO2]からなる。特に、石英ガラスのバルク体は、安価であり、且つドライエッチングに対して高い耐久性を発揮するため、治具本体101の材料として最も好適である。
また、治具本体101は、表面に形成された酸化物薄膜を有する。酸化物薄膜は、珪素[Si]酸化物薄膜、アルミニウム[Al]酸化物薄膜、ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜を構成する金属元素のうち少なくとも一つ若しくは遷移金属元素のうち少なくとも一つを含む酸化物薄膜、又は有機系(例えば、炭素[C]系)薄膜からなる。
設置孔102は、ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜の微細加工を圧電基板面内で均一化するために、ドライエッチングを施す対象である圧電基板に適合する形状に最適化されている。例えば、円形板状の圧電基板を使用する場合には、図1に示したように、設置孔102が円形状に形成された圧電基板用ドライエッチング治具100を使用し、矩形板状の圧電基板を使用する場合には、図4に示すように、設置孔102が矩形状に形成された圧電基板用ドライエッチング治具200を使用する。
保護部103は、圧電基板の外縁の全部又は一部を被覆し、設置孔102と共に設置孔102に設置された圧電基板を押さえる設置棚として機能する。例えば、図5に示すように、圧電基板用ドライエッチング治具100に対する圧電基板の設置と回収の利便性の向上を図るために、設置孔102の内縁に沿って複数個の溝105(例えば、120度毎に合計3個の矩形溝)が形成された圧電基板用ドライエッチング治具300としても良く、この場合には、保護部103により圧電基板の外縁の一部のみが被覆されることとなる。
なお、設置孔102の内縁に沿って溝105が形成された圧電基板用ドライエッチング治具300では、溝105の近傍で反応性ガスの乱流が発生したり、プラズマ密度やプラズマ分布が不均一になったりすることがあり、圧電基板の設置と回収の利便性を考慮しなければ、溝105の無い圧電基板用ドライエッチング治具100又は200が最も有効な構造であると言える。
これらの圧電基板用ドライエッチング治具100、200、又は300を使用することにより、電圧若しくは電界を検知する検知手段、又は電圧若しくは電界を印加する印加手段を備えた圧電素子、例えば、環境負荷が小さい、プリンタヘッド用アクチュエータ、ジャイロセンサ、又はハードディスク用ヘッドポジションセンサ等の従来品と同等以上の圧電素子を低コスト、即ち、高い歩留で製造することが可能となる。
これらの圧電素子を製造する方法としては、ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜を含む圧電基板を作製する成膜工程と、圧電基板にドライエッチングを施すドライエッチング工程と、ドライエッチング工程を経た圧電基板を加工して圧電素子を作製する工程と、を備える圧電素子の製造方法を採用することができる。
この際、ドライエッチング工程では、圧電基板用ドライエッチング治具100、200、又は300に圧電基板を支持させると共に圧電基板の外縁を保護しつつドライエッチングを施す必要がある。
以上の通り、本発明によれば、非鉛系圧電材料からなるニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜を含む圧電基板にドライエッチングによる微細加工を施して圧電素子を製造する際に、圧電基板の外縁を保護する圧電基板用ドライエッチング治具を新規に設けることにより、ドライエッチング工程におけるニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜の微細加工を圧電基板面内で均一化することが可能となり、個々の素子形状のバラツキを低減することができ、結果として、圧電基板面内で個々の圧電素子の圧電特性や誘電特性を均一化することが可能となる。
本発明者らは、本発明を創案する過程において、珪素基板の表面に下部電極を形成し、下部電極の表面にニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜を形成し、ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜の表面に上部電極を形成し、上部電極の表面にマスクパターンを形成することにより、圧電基板を作製し、これを圧電基板用ドライエッチング治具に支持させると共に圧電基板の外縁を保護しつつ、ドライエッチング装置、具体的には、誘導結合型ドライエッチング(Inductive Coupled Plasma - Reactive Ion Etching;ICP−RIE)装置内に設置した。
その後、誘導結合型ドライエッチング装置内を真空排気し、パーフルオロシクロブタン[C48]からなる反応性ガスとアルゴン[Ar]との混合ガスを使用して圧電基板の表面にドライエッチングを施した上で、圧電基板の表面の加工分布を評価した結果、圧電基板用ドライエッチング治具を使用した場合と使用しない場合とでは圧電基板の表面の加工分布が相違していた。
ドライエッチングは、ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜に微細加工を施すことができ、ウエットエッチングと比較すると、乾燥工程が不要であり、また微細な圧電素子パターンを高精度で形成することができるという利点を有している。
しかしながら、ドライエッチング工程では、量産の都合上不可欠な圧電基板面内でのニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜の微細加工の均一性を確保するために、プラズマ放電出力、バイアス出力、及び反応性ガスを適切に選択し、更に装置内圧力、ガス流量、及び温度等の制御と管理とを精密に行い、プラズマ密度やプラズマ分布の安定化を図る必要があるという困難性を伴う。
また、圧電基板の表面を微細加工する際に、化学反応と物理エッチングとが複雑に競合して圧電基板に隣接する周囲の母材やステージ(例えば、ステンレス[SUS]等からなる)の表面も同様な環境下に曝されることから、母材やステージの表面でも化学反応が生じる。
その結果、圧電基板の表面とは異なる化学反応により、圧電基板の表面に供給される反応性ガスの流量が変化し、圧電基板の表面に到達する反応性ガスが変質するため、所望のエッチングレートが変化し、エッチングレートの不安定性が顕在化する。このエッチングレートの不安定性は、圧電基板の表面の加工分布が不均一になることを誘発し、圧電素子を製造する際の歩留が低下する原因となると考えられる。
そこで、本発明者らは、この原因を解決して、圧電基板面内でのニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜の微細加工を均一化するために、圧電基板に隣接する母材やステージの表面を被覆する圧電基板用ドライエッチング治具を発明し、実際に圧電基板のドライエッチング工程に適用した。
外径が4インチの圧電基板に対して、珪素酸化物が被覆された珪素や石英ガラスからなる圧電基板用ドライエッチング治具を使用してドライエッチングを施した結果、加工ムラによるマスクパターンの変質が消滅すると共に、圧電基板面内でのニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜の微細加工を均一化することに成功した。このときの圧電基板の作製、ドライエッチングの条件、及び圧電基板用ドライエッチング治具の構造の具体的な条件を以下に示し、評価結果も併せて説明する。
[圧電基板の作製]
図6に示すように、熱酸化膜が形成された珪素基板601(面方位:(100)面、厚さ:0.525mm、熱酸化膜の厚さ:205nm、外径:4インチ)の表面に、高周波マグネトロンスパッタリング法により下部電極602(材料:プラチナ[Pt]、膜厚:215nm)を形成した。
この際、珪素基板601と下部電極602との間に密着層603(材料:チタン[Ti]、膜厚:2.3nm)を蒸着した上で下部電極602を形成した。これらの密着層603と下部電極602は、基板温度が100度以上350度以下、放電出力が200W、装置内雰囲気がアルゴン雰囲気、装置内圧力が2.5Pa、成膜時間がそれぞれ1分以上3分以下及び10分の条件で成膜した。
このとき、下部電極602の面内表面粗さを測定したところ、算術平均表面粗さRaが0.86nm以下であった。
その後、下部電極602の表面に、高周波マグネトロンスパッタリング法によりニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜604を形成した。
この際、Na/(K+Na)=0.425以上0.730以下のニオブ酸カリウムナトリウム焼結体をターゲットとして使用し、基板温度が520度、放電出力が700W、酸素[O2]/アルゴンの混合比が0.005、装置内圧力が1.3Paの条件で成膜した。そして、成膜時間は、ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜604の膜厚が略2μmになるように調整した。
更に、図7に示すように、ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜604の表面にマスクパターン605を形成した。
具体的には、始めに、ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜604の表面にネガ型フォトレジストを塗布し、露光と現像とを実施してレジストパターンを形成した。
次いで、レジストパターン(バリア層)の表面に高周波マグネトロンスパッタリング法により厚さが400nmのクロム[Cr]膜を成膜した。
なお、高周波マグネトロンスパッタリング法の他にも、電子ビーム(Electron Beam;EB)蒸着法、イオンビームスパッタリング(Ion Beam Sputtering;IBS)蒸着法、直流マグネトロンスパッタリング法、又は電気若しくは化学めっき法によりクロム膜を成膜しても良い。
最後に、アセトン[CH3COCH3]等の有機溶剤を使用してレジストパターンを除去(リフトオフ)することによりマスクパターン605を形成した。
[ドライエッチングの条件]
図8に示すように、マスクパターン605が形成された圧電基板600にドライエッチングによる微細加工を施した。
この際、誘導結合型ドライエッチング装置を使用し、エッチングガスとして希ガスのアルゴンと反応性ガスのパーフルオロシクロブタンとの混合ガス、又は六フッ化硫黄[SF6]とパーフルオロシクロブタンとの混合ガスを使用することができる。
ここでは、下部電極602に対するニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜604のエッチング選択比が高く、ドライエッチング工程が完了した後のクロム膜の除去が容易となるアルゴンとパーフルオロシクロブタンとの混合ガスを使用し、更に装置内圧力とアルゴン/パーフルオロシクロブタンの混合比とが低い条件を適用した。
その後、図9に示すように、圧電素子パターン606を露出させるために、硝酸第二セリウムアンモニウム[(NH42[Ce(NO36]]等のクロムエッチング液を使用してマスクパターン605の残膜を除去し、更に汚染物質を取り除くために、アセトン等の有機溶剤を使用して洗浄を実施した。
[圧電基板用ドライエッチング治具の構造]
圧電基板600が設置されると共に、図5に示したように、圧電基板600の外縁を被覆する保護部103を備え、表面が珪素酸化物薄膜で被覆された円環平板形状の圧電基板用ドライエッチング治具300を使用した。
ここでは、外径が100mm(約4インチ)の円形板状の圧電基板600が設置される設置孔102を有し、圧電基板600の外縁を被覆する保護部103及び設置棚の幅が2.5mmである圧電基板用ドライエッチング治具300を使用したが、加工面積を拡大するために保護部103及び設置棚の幅を2.5mm以下としても良い。
また、圧電基板用ドライエッチング治具300の厚さを3mmとし、圧電基板600が設置される設置孔102の深さを圧電基板600の厚さである0.525mmに対して1mmとした。
なお、圧電基板用ドライエッチング治具300に対する圧電基板600の設置と回収の利便性の向上を図るために、設置孔102の内縁に沿って複数個の溝105として、120度毎に合計3個の矩形溝を設けている。
[評価結果]
誘導結合型ドライエッチング装置内に圧電基板600が支持された圧電基板用ドライエッチング治具300を設置し、前述の通り、ドライエッチングを施し、圧電基板面内での微細加工の均一性と個々の素子形状とを評価した。
この際、常温下において、アンテナ出力を800Wとし、バイアス出力を100Wとし、エッチングガスとしてアルゴンガスで希釈されたパーフルオロシクロブタンを使用し、装置内圧力を0.1Paとした。
その結果、圧電基板用ドライエッチング治具300の使用有無に対して、圧電基板面内での微細加工の均一性と個々の素子形状とを比較することが可能となり、本発明の有効性が前述の通り明らかになった。
なお、これらの結果は、ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜だけでなく、ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜でも同様であった。
次に、本発明の具体例を説明する。
先ず、図6に示したように、熱酸化膜が形成された珪素基板601(面方位:(100)面、厚さ:0.525mm、熱酸化膜の厚さ:205nm、外径:4インチ)の表面に、高周波マグネトロンスパッタリング法により下部電極602(材料:プラチナ、膜厚:200nm)を形成した。
この際、珪素基板601と下部電極602との間に密着層603(材料:チタン、膜厚:2.5nm)を蒸着した上で下部電極602を形成した。これらの密着層603と下部電極602は、基板温度が100度以上350度以下、放電出力が200W、装置内雰囲気がアルゴン雰囲気、装置内圧力が2.5Pa、成膜時間がそれぞれ1分以上3分以下及び10分の条件で成膜した。
その後、下部電極602の表面に、高周波マグネトロンスパッタリング法によりニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜604を形成した。
この際、Na/(K+Na)=0.425以上0.730以下のニオブ酸カリウムナトリウム焼結体をターゲットとして使用し、基板温度が520度、放電出力が700W、酸素/アルゴンの混合比が0.005、装置内圧力が1.3Paの条件で成膜した。そして、成膜時間は、ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜604の膜厚が略2μmになるように調整した。
更に、図7に示したように、ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜604の表面にマスクパターン605を形成した。
具体的には、始めに、ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜604の表面にネガ型フォトレジスト(ZPN−1150;日本ゼオン株式会社製)を塗布し、露光と現像とを実施してレジストパターンを形成した。
次いで、スパッタリング成膜装置(SH−350−T10;株式会社アルバック製)を使用すると共にクロム金属をターゲットとして使用し、スパッタ動作ガスをアルゴン、放電出力を50W、装置内圧力を0.8Paとして、レジストパターンの表面に高周波マグネトロンスパッタリング法により厚さが400nmのクロム膜を成膜した。
最後に、アルコール[CH3OH]、[C25OH]やアセトンを使用してレジストパターンを除去することによりマスクパターン605を形成した。
次に、図8に示したように、マスクパターン605が形成された圧電基板600にドライエッチングによる微細加工を施した。
この際、誘導結合型ドライエッチング装置(EIS−700;株式会社エリオニクス製)を使用し、エッチングガスとして希ガスのアルゴンと反応性ガスのパーフルオロシクロブタンとの混合ガスを使用した。
ここでは、高精度な微細加工が可能となる条件、即ち、マスクパターン605に対するニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜604のエッチング選択比が高くなる条件を採用した。
具体的には、パーフルオロシクロブタンの流量を5sccm、アンテナ出力を800W、バイアス出力を100W、装置内圧力を0.1Paとし、ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜604に15分のドライエッチングを施した。
次いで、ドライエッチング中やハンドリング時に発生した残留物を取り除くため、圧電基板600をアセトンに浸漬した後、図9に示したように、硝酸第二セリウムアンモニウムを使用してマスクパターン605を除去し、最後に、圧電基板600の表面の異物を除去するために、アルコールやアセトンを使用して洗浄を実施した。
圧電基板600にドライエッチングを施す際には、図5に示したように、圧電基板600の外縁を被覆する保護部103を備え、表面が珪素酸化物薄膜で被覆された円環平板形状の圧電基板用ドライエッチング治具300を使用した。
ここでは、外径が100mm(約4インチ)の円形板状の圧電基板600が設置される設置孔102を有し、圧電基板600の外縁を被覆する保護部103及び設置棚の幅が2.5mmである圧電基板用ドライエッチング治具300を使用した。
また、圧電基板用ドライエッチング治具300の厚さを3mmとし、圧電基板600が設置される設置孔102の深さを圧電基板600の厚さである0.525mmに対して1mmとした。
なお、圧電基板用ドライエッチング治具300に対する圧電基板600の設置と回収の利便性の向上を図るために、設置孔102の内縁に沿って複数個の溝105として、120度毎に合計3個の幅が8mmの矩形溝を設けている。
以上により得られた圧電基板600の表面の加工分布を評価した結果を図10及び図11に示す。
図10は、圧電基板用ドライエッチング治具300を使用しない従来のドライエッチングによる加工分布を示しており、図11は、圧電基板用ドライエッチング治具300を使用した本発明のドライエッチングによる加工分布を示している。
ここで、図10及び図11における白黒の濃淡分布は微細加工の均一性分布に対応しており、濃淡が顕著であるときは微細加工が不均一であることを表しており、濃淡が淡く不鮮明であるときは微細加工が均一であることを表している。
これらの結果から、図10では、圧電基板の中心部が濃い黒色であり、左側の外縁部に向かって灰色から白色へと急激に変化しており、微細加工が不均一であることが分かり、図11では、圧電基板600の略全体に亘って灰色から白色の淡い濃淡分布であり、微細加工が均一であることが分かる。
次に、個々の圧電素子について微細加工の精度を評価した。図12は、圧電基板用ドライエッチング治具300を使用しない従来のドライエッチングによりニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜を角型に微細加工した際の素子形状を示しており、図13は、圧電基板用ドライエッチング治具300を使用した本発明のドライエッチングによりニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜を角型に微細加工した際の素子形状を示している。
これらの結果から、図12では、圧電素子の表面凸部の白黒濃淡分布が顕著であり、特に表面凸部の外縁部の微細加工の精度が低くなっているが、図13では、圧電素子の表面凸部は均一な黒色であり、表面凸部の中心部から外縁部に亘って略傾斜の無い面が維持されており、高精度な微細加工が実現されていることが分かる。
以上により、本発明の効果が実証された。
なお、これらの結果は、ニオブ酸カリウムナトリウム圧電薄膜だけでなく、ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜でも同様であった。
100 圧電基板用ドライエッチング治具
101 治具本体
102 設置孔
103 保護部
104 鍔部
105 溝

Claims (8)

  1. ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜を含む圧電基板にドライエッチングを施す際に前記圧電基板が支持される圧電基板用ドライエッチング治具において、
    平板形状の治具本体と、
    前記治具本体の中央に形成されると共に前記圧電基板が設置される設置孔と、
    前記設置孔の内縁に形成されると共に前記圧電基板の外縁を被覆する保護部と、
    を備えることを特徴とする圧電基板用ドライエッチング治具。
  2. 前記保護部は、前記圧電基板の外縁の全部又は一部を被覆する請求項1に記載の圧電基板用ドライエッチング治具。
  3. 前記治具本体は、酸化物からなる請求項1又は2に記載の圧電基板用ドライエッチング治具。
  4. 前記治具本体は、石英ガラスからなる請求項1又は2に記載の圧電基板用ドライエッチング治具。
  5. 前記治具本体は、表面に形成された酸化物薄膜を有する請求項1から4の何れか一項に記載の圧電基板用ドライエッチング治具。
  6. 前記酸化物薄膜は、珪素酸化物薄膜である請求項5に記載の圧電基板用ドライエッチング治具。
  7. 請求項1から6の何れか一項に記載の圧電基板用ドライエッチング治具を使用してドライエッチングが施された圧電基板を加工して製造された圧電素子であって、
    電圧若しくは電界を検知する検知手段、又は電圧若しくは電界を印加する印加手段を備えることを特徴とする圧電素子。
  8. ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム圧電薄膜を含む圧電基板を作製する成膜工程と、
    前記圧電基板にドライエッチングを施すドライエッチング工程と、
    前記ドライエッチング工程を経た前記圧電基板を加工して圧電素子を作製する工程と、
    を備え、
    前記ドライエッチング工程では、請求項1から6の何れか一項に記載の圧電基板用ドライエッチング治具に前記圧電基板を支持させると共に前記圧電基板の外縁を保護しつつドライエッチングを施すことを特徴とする圧電素子の製造方法。
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