JP4457687B2 - 圧電薄膜素子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、圧電アクチュエータや圧電センサに用いられる圧電薄膜素子、特にペロブスカイト型構造を有する金属酸化物薄膜を用いた圧電薄膜素子およびその製造方法に関わるものである。
電気信号が与えられると機械的動作を行うアクチュエータとして、上部電極と下部電極との間に圧電体が設けられている圧電アクチュエータが知られている。
圧電アクチュエータは、例えば、インクジェット式記録装置のヘッド等のアクチュエータ、HDD(ハードディスクドライブ)用位置決め制御用アクチュエータ、圧電ブザー、等に幅広く利用されている。圧電体としては、その圧電定数の高さから、主にチタン酸ジルコン酸鉛(以下、PZTと記載する)が用いられている。一般に、これらの圧電体は、熱処理により得られた焼結体を切削、研磨などの工程により種々の形状に加工された後、得られた圧電体の対向する表面に一対の電極を形成して圧電素子が得られる。
近年、圧電アクチュエータの小型化が望まれており、そのためには圧電体の薄膜化が必要である。これまでのように圧電セラミックスを切削などの機械的な方法により加工した場合、素子の小型化において限界があり、その形状も限られたものとなってくる。もし、圧電体を薄膜化した圧電薄膜を薄膜成長できれば、小型化および任意の形状に加工することが可能になる。このような背景のもとに、圧電薄膜に関する研究が多数行われている。
しかし、現状、薄膜成長によって得られた圧電薄膜は、圧電セラミックス焼結体(バルクセラミックスPZT)と比較して、圧電定数が小さい(半分以下)という問題を抱えている。
圧電薄膜の圧電特性を向上させる手段として、膜厚方向に対して垂直な方向(以下、膜面方向と記載する)において隣接する領域毎の組成が互いに異なるように圧電薄膜を構成することで、圧電定数を向上させることができ、更に、これらの異なる組成を持つ領域の割合を調整することで、圧電定数を好適な値に調整するという方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
なお、圧電薄膜を形成する場合、最も圧電特性(特に圧電定数と圧電特性のばらつき)に影響を与える要因は、成膜に使用する基板の凹凸により生じる結晶の配向性のばらつきであるとの見地から、基板の凹凸による特性のばらつきを防ぐ方法として、成膜する基板表面の表面粗さ(Ra)が0.05μm以下の母材に成膜することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−22233号公報(段落番号0035) 特開2000−285626号公報(段落番号0012、0014)
しかしながら、上記特許文献1の方法を実現する場合、第1の圧電薄膜を形成した後、レジストを用いたフォトプロセスによって所望のレジストパターンを形成し、その後エッチングで第1の圧電薄膜の不要部分を除去し、こうして形成された凹部に第2の圧電薄膜を形成するという非常に面倒な工程が必要になる。また、工程が複数に渡るため、製造上の歩留りも低くなるという問題もある。更に、2種類以上の圧電薄膜原料を準備する必要もあり、それぞれにおける成膜条件の最適化も必要になる。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、組成が互いに異なる複数種類の圧電薄膜を使うことなく、単一の組成の圧電薄膜のみで、高い圧電特性を有する方法を提供する。また本発明の更なる目的は、単一の組成の圧電薄膜のみで、圧電定数を好適な値に調整することもできる方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。
請求項の発明に係る圧電薄膜素子の製造方法は、基板の表面の任意の領域にウエットエッチング又はドライエッチングにより表面処理を行って、面方向に隣接して表面の平滑性が異なる複数の領域を形成した後、該基板上に、下部電極薄膜、圧電薄膜、上部電極薄膜を形成することによって、前記圧電薄膜の主たる結晶面方位を、基板の表面処理を行った領域上と、表面処理無しの領域上とで異ならせることを特徴とする。
請求項の発明に係る圧電薄膜素子の製造方法は、基板上に下部電極薄膜を形成し、下部電極薄膜の表面の任意領域にウエットエッチング又はドライエッチングにより表面処理を行って、面方向に隣接して表面の平滑性が異なる複数の領域を形成した後、該下部電極薄膜上に、圧電薄膜、上部電極薄膜を形成することによって、前記圧電薄膜の主たる結晶面方位を、下部電極薄膜の表面処理を行った領域上と、表面処理無しの領域上とで異ならせることを特徴とする。
請求項の発明に係る圧電薄膜素子の製造方法は、基板の表面の任意の領域に有機化合物、無機化合物、金属酸化物、金属の何れかの被覆層を形成して、面方向に隣接して表面の平滑性が異なる複数の領域を形成した後、該基板上に、下部電極薄膜、圧電薄膜、上部電極薄膜を形成することによって、前記圧電薄膜の主たる結晶面方位を、前記被覆層が形成された領域上と、前記被覆層無しの領域上とで異ならせることを特徴とする。
請求項の発明に係る圧電薄膜素子の製造方法は、基板上に下部電極薄膜を形成し、下部電極薄膜の表面の任意の領域に有機化合物、無機化合物、金属酸化物、金属の何れかの被覆層を形成して、面方向に隣接して表面の平滑性が異なる複数の領域を形成した後、該下部電極薄膜上に、圧電薄膜、上部電極薄膜を形成することによって、前記圧電薄膜の主たる結晶面方位を、前記被覆層が形成された領域上と、前記被覆層無しの領域上とで異ならせることを特徴とする。
本発明において、上記圧電薄膜は、チタン酸鉛(PbTiO3)、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La)TiO3)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O3)、マグネシウムニオブジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O3)のいずれかであることが好ましい。
また本発明において、上記圧電薄膜は、塗布法、スプレー法、スパッタリング法、レーザーアブレーション法、エアロゾルデポジション法、MOCVD(有機金属気相成長)法等の方法によって形成することができる。
更にまた本発明において、上記基板としては、MgO基板、SrTiO3基板、Si基板、ガラス基板、サファイヤ基板、GaAs基板等、その上に金属、金属酸化物を成長できるものを用いることができる。
また本発明において、上記下部電極薄膜および上部電極薄膜には、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)のいずれかの金属又は金属酸化物を用いても良い。
また本発明において、上記主たる結晶面方位が異なっているところの圧電薄膜のそれぞれの主たる結晶面方位は、(001)面、(100)面、(110)面、(101)面、(111)面、又はアモルファス状の何れでも良い。
<発明の要点>
膜面方向に隣接する領域の主たる配向方向が異なるように圧電薄膜を構成することで、圧電定数を向上させることができる。更に、これらの異なる配向方向を持つ領域の割合を調整することで、圧電定数を好適な値に調整する。
具体的に本発明の構造を作製する方法としては、基板表面の平滑性の具合によってその上に成膜厚される圧電薄膜の配向方が変わる[特開2000−285626:特許文献2]という性質を利用する。基板上の任意領域のみ、エッチングなどの表面処理により基板の表面平滑性を変化させることで、表面平滑性が異なる領域を有する基板を作製し、その上に下部電極薄膜、圧電薄膜を成長することで、配向方向が異なる圧電薄膜を一回の成長で得ることができる。もちろん、複数回に分けて圧電薄膜を成長する方法でも作製することができる。この場合は、主たる配向方向がある方向である圧電薄膜をまず成長し、その後、エッチングにより任意領域の圧電薄膜を除去し、その後、除去した領域に、主たる配向方向が異なる方位である圧電薄膜を成長することになる。
本発明によれば、次のような優れた効果が得られる。
本発明の圧電薄膜素子によれば、圧電薄膜が、膜厚方向に対して垂直な方向において隣接し、且つ主たる結晶面方位が互いに異なっている複数の領域を持つことから、圧電定数を向上させることができる。更に、本発明においては、これらの異なる配向方向を持つ領域の割合を調整することで、圧電定数を好適な値に調整することができる。また、本発明においては2種類以上の圧電薄膜原料を準備する必要がない。
すなわち、本発明によれば、組成が互いに異なる複数種類の圧電薄膜を使うことなく、単一の組成の圧電薄膜のみで、高い圧電特性を有する圧電薄膜素子を得ることができる。また単一の組成の圧電薄膜のみで、圧電定数を好適な値に調整することもできる。
また本発明の製造方法においては、基板の表面の任意の領域か、又は下部電極薄膜の表面の任意領域に、ウエットエッチング又はドライエッチングにより表面処理を行って、面方向に隣接して表面の平滑性が異なる複数の領域を形成した後、その上に圧電薄膜を形成する。
また本発明の別の製造方法においては、基板の表面の任意の領域か、又は下部電極薄膜の表面の任意領域に、有機化合物、無機化合物、金属酸化物、金属の何れかの被覆層を形成して、面方向に隣接して表面の平滑性が異なる複数の領域を形成した後、その上に圧電薄膜を形成する。
本発明のいずれの製造方法においても、上記の如く下地となる基板又は下部電極薄膜に表面平滑性が異なる領域を形成しておくと、その表面平滑度の違いに基いて、圧電薄膜の主たる結晶面方位を異ならせることができる。すなわち、本発明によれば、圧電薄膜を成長した際、表面処理を行った領域上又は被覆層を形成した領域上と、表面処理無しの領域上又は被覆層無しの領域上とで、配向方向が異なる圧電薄膜を一回の成長で得ることができる。
以下、本発明を図示の実施の形態に基いて説明する。
図1に本発明の実施形態に係る圧電薄膜素子の構造を示す。この圧電薄膜素子は、(001)面MgO基板1上に、白金からなる下部電極薄膜2と上部電極薄膜4に挟まれたPZT圧電薄膜3を備える。圧電薄膜3は、膜面方向において隣接し、且つ主たる結晶面方位が互いに異なっている複数の領域を持つ。
この圧電薄膜3の複数の領域は、この例では2種類から成る。その第一は、基板1上の表面処理(表面粗化処理)無しの領域(図2の1a参照)上に、(001)面MgO基板1の配向方向((001)面に配向)を維持して成長した第一の下部電極薄膜領域2A上の第一の圧電薄膜領域3Aであり、第二は、基板1上の表面処理(表面粗化処理)を行った領域(図2の1b参照)上に自然配向((111)面に配向)にて成長した第二の下部電極薄膜領域2B上の第二の圧電薄膜領域3Bである。要するに圧電薄膜3は、(001)面に配向の第一の圧電薄膜領域3Aと、(111)面に配向の第二の圧電薄膜領域3Bとが、膜面方向に隣接したものから成る。
このように、基板1上の任意領域(図2の1b参照)にウエットエッチング又はドライエッチングにより表面処理を施し、表面の平滑性を変化させた後、圧電薄膜、上部電極を形成するという手順を経るだけで、基板1の表面処理を行った領域上と、表面処理無しの領域上における圧電薄膜3の主たる結晶面方位を異ならせ、所望の特性を有する圧電薄膜素子を作製することができる。
基板1に表面粗化処理を行う代わりに、下部電極薄膜2の任意領域にウエットエッチング又はドライエッチングを行っても、同様に圧電薄膜3の主たる結晶面方位を異ならせた領域を形成し、上記と同じ効果を得ることができる。
更にまた、ウエットエッチング又はドライエッチングを行う代わりに、基板1の表面の任意の領域又は下部電極薄膜の表面の任意の領域に有機化合物、無機化合物、金属酸化物、金属等からなる被覆層を形成してもよく、同様に圧電薄膜3の主たる結晶面方位を異ならせた領域を形成し、上記と同じ効果を得ることができる。
なお、本実施形態における代表的な圧電薄膜素子の構造は、次の通りである。基板1は、その面方向に隣接する表面処理(表面粗化処理)無しの領域1aと表面処理(表面粗化処理)を行った領域1bから成る。下部電極薄膜2は、基板上の表面処理無しの領域1a上に基板の配向方向を維持して成長した第一の下部電極薄膜領域(白金薄膜)2Aと、基板上の表面粗化処理を行った領域1b上に自然配向にて成長した第二の下部電極薄膜領域(白金薄膜)2Bから成る。圧電薄膜3は、その複数の領域の一方3Aが、第一の下部電極薄膜領域2A上に形成され、他方の3Bが第二の下部電極薄膜領域2B上に形成されている。すなわち、圧電薄膜3は、基板上の表面処理無しの領域1a上に基板の配向方向を維持して成長した第一の下部電極薄膜領域2A上の第一の圧電薄膜領域3Aと、そして基板上の表面処理を行った領域1b上に自然配向にて成長した第二の下部電極薄膜領域2B上の第二の圧電薄膜領域3Bとから成る。この圧電薄膜3上に上部電極薄膜(白金薄膜)4が形成される。
本発明の実施の形態に従い試作した圧電薄膜素子の構造および作製工程を説明する。
《圧電薄膜の構造》
図1に示すように、圧電薄膜素子は、下部電極薄膜2と上部電極薄膜4に挟まれた圧電薄膜3を備えて構成されており、基板1上に形成されている。それぞれの膜厚は、下部電極薄膜2が100nm、圧電薄膜3が2μm、上部電極薄膜4が100nmである。
圧電薄膜3は膜面方向に主たる配向方向が異なる構造をしている。つまり、第一の圧電薄膜領域3Aと第二の圧電薄膜領域3Bが圧電薄膜の膜面方向に沿って、交互に配列した構造になっている。圧電薄膜3には、圧電セラミックスを用いる。一般的には、高い圧電定数を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を使用する場合が多い。
具体的には、チタン酸鉛(PbTiO3)、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La)TiO3)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O3)、マグネシウムニオブジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O3)、等から、圧電薄膜素子の特性、用途等を考慮して任意の組成を適宜選択した。
また、上部電極薄膜4、下部電極薄膜2の組成としては、Pt(白金)、Ru(ルテニウム)、Ir(イリジウム)、Ti(チタン)、Ta(タンタル)、Au(金)、Al(アルミニウム)、Ni(ニッケル)、等の何れかの金属又は金属酸化物を適宜選択した。また、基板には、MgO基板、Si基板、ガラス基板、サファイヤ基板、GaAs基板、等の何れかを適宜選択した。
《圧電薄膜素子の作製工程》
次に圧電薄膜素子の作製工程を図2に示す。
基板1としては(001)面MgO単結晶基板を用いた。
基板1上にレジスト(OFPR800−100cp)をスピンコート法で塗布し、ホットプレートを用いて乾燥させた。乾燥処理は温度が110度、乾燥時間が1分で行った。その後、マスクアライナーでマスクを介して紫外光を照射し、現像液NMD−3で現像することによって、ストライプ状(ストライプ幅0.1μm、ストライプの隙間幅0.15μm)のレジストパターン6を形成した(図2(a))。
次に、このレジストパターン6が付いた基板1を、熱燐酸(濃度10%)で約5分間漬け、表面処理(表面粗化処理)を行った(図2(b))。この表面粗化処理によって、レジストが無い部分の基板表面の平滑性を変化させることができた。
最後に、アセトン中で超音波洗浄を複数回行うことで、レジストパターン6を完全に除去した(図2(c))。これにより、基板1の厚さ方向と垂直な方向に、表面処理無しの領域(ストライプ領域)1aと表面処理を行った領域(ストライプ領域)1bとが隣接して繰り返すストライプ構造を得た。
ここで、ストライプ幅、ストライプの隙間幅は、ここで選択した値に限定されるものではなく、必要な圧電特性、使用する圧電薄膜の種類、基板種類、等によって、適宜最適化できるものである。
次に、その基板上に、EB蒸着法で、下部電極薄膜2として白金薄膜を100nm形成した(図2(d))。成長温度は、450度で行った。下部電極薄膜2の形成には、スパッタリング法を用いても良い。表面処理無しの領域1aに成長した第一の下部電極薄膜領域2Aは、基板1の配向方向を維持して成長されるため、(001)面に配向し、表面処理を行った領域1bに成長した第二の下部電極薄膜領域2Bは、基板1表面が凸凹になっているため、白金が自然配向しやすい(111)方向に配向した。
その後、下部電極薄膜2上にPZTからなる圧電薄膜3をMOCVD法で成長した(図2(e))。圧電薄膜8の膜厚は2μmにした。
圧電薄膜3の種類としては、チタン酸鉛(PbTiO3)、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr、Ti)O3)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La)TiO3)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O3)、マグネシウムニオブジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg、Nb)O3)のいずれでも良く、圧電薄膜成長方法もMOCVD法に限らず、塗布法、スプレー法、スパッタリング法、レーザーアブレーション法のいずれかを用いても構わない。
ここで、圧電薄膜3の成長温度は500度以上であることが望ましい。500度以上の温度で成長することで、下地の配向方向を引き継いだ薄膜成長が行えるようになるからである。
圧電薄膜3を成長した結果、白金薄膜が(001)面に配向していた領域(2A)上の圧電薄膜(3A)は、主に(001)面に配向した膜になり、また白金薄膜が(111)面に配向していた領域(2B)上の圧電薄膜(3B)は主に(111)面に配向した膜になった。すなわち、圧電薄膜3は、膜面方向において隣接する領域(3A、3B、…)毎の主たる結晶面方位が互いに異なる圧電薄膜となった。
その後、この圧電薄膜3上に、上部電極薄膜4を下部電極薄膜2と同様の要領で形成した。すなわち、圧電薄膜3上に、EB蒸着法で、上部電極薄膜4として白金薄膜を100nm形成した(図2(e))。成長温度は、450度で行った。上部電極薄膜4の形成には、スパッタリング法を用いても良い。
この圧電薄膜素子の圧電定数を測定したところ、圧電定数d31(添字の31は膜厚方向の値であることを意味する。)が150pm/Vであり、従来のPZTからなる圧電薄膜を用いた圧電薄膜素子の圧電定数50〜90pm/Vと比較して、圧電定数を大きく向上することができた。
本発明の圧電薄膜素子の構造を示す図である。 本発明の圧電薄膜素子の製造方法を示す図である。
符号の説明
1 基板
1a 表面処理無しの領域
1b 表面処理を行った領域
2 下部電極薄膜
2A 第一の下部電極薄膜領域
2B 第二の下部電極薄膜領域
3 圧電薄膜
3A 第一の圧電薄膜領域
3B 第二の圧電薄膜領域
4 上部電極薄膜
6 レジストパターン

Claims (4)

  1. 基板の表面の任意の領域にウエットエッチング又はドライエッチングにより表面処理を行って、面方向に隣接して表面の平滑性が異なる複数の領域を形成した後、該基板上に、下部電極薄膜、圧電薄膜、上部電極薄膜を形成することによって、
    前記圧電薄膜の主たる結晶面方位を、基板の表面処理行った領域上と、表面処理無しの領域上とで異ならせることを特徴とする圧電薄膜素子の製造方法。
  2. 基板上に下部電極薄膜を形成し、下部電極薄膜の表面の任意領域にウエットエッチング又はドライエッチングにより表面処理を行って、面方向に隣接して表面の平滑性が異なる複数の領域を形成した後、該下部電極薄膜上に、圧電薄膜、上部電極薄膜を形成することによって、
    前記圧電薄膜の主たる結晶面方位を、下部電極薄膜の表面処理を行った領域上と、表面処理無しの領域上とで異ならせることを特徴とする圧電薄膜素子の製造方法。
  3. 基板の表面の任意の領域に有機化合物、無機化合物、金属酸化物、金属の何れかの被覆層を形成して、面方向に隣接して表面の平滑性が異なる複数の領域を形成した後、該基板上に、下部電極薄膜、圧電薄膜、上部電極薄膜を形成することによって、
    前記圧電薄膜の主たる結晶面方位を、前記被覆層が形成された領域上と、前記被覆層無しの領域上とで異ならせることを特徴とする圧電薄膜素子の製造方法。
  4. 基板上に下部電極薄膜を形成し、下部電極薄膜の表面の任意の領域に有機化合物、無機化合物、金属酸化物、金属の何れかの被覆層を形成して、面方向に隣接して表面の平滑性が異なる複数の領域を形成した後、該下部電極薄膜上に、圧電薄膜、上部電極薄膜を形成することによって、
    前記圧電薄膜の主たる結晶面方位を、前記被覆層が形成された領域上と、前記被覆層無しの領域上とで異ならせることを特徴とする圧電薄膜素子の製造方法。
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