JP2015207492A - 金属空気電池筐体、及び、金属空気電池 - Google Patents

金属空気電池筐体、及び、金属空気電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 金属空気電池におけるセル間の短絡を防止しつつ、電解液組成のムラを防止して金属電極の利用効率が向上された金属空気電池筐体、及び、該金属空気電池筐体を備える金属空気電池を提供する。【解決手段】 並列に配置された複数のセルを有する金属空気電池筐体であって、上記複数のセルの各々は、電解液を保持する電解槽と、重力方向に対して平行に設けられた空気極とを有し、上記金属空気電池筐体は、上記電解槽へ上記電解液を供給する給液槽と、上記電解槽から排出された上記電解液を回収する回収槽とを有し、重力方向の上方から下方に向かって、上記給液槽、上記電解槽、上記回収槽の順に配置され、上記給液槽から上記電解槽への第一の電解液流路、及び、上記電解槽から上記回収槽への第二の電解液流路の少なくとも一方が滴下構造を有する金属空気電池筐体。【選択図】 図1

Description

本発明は、金属空気電池筐体、及び、金属空気電池に関する。より詳しくは、複数のセルを備える金属空気電池筐体、及び、該金属空気電池筐体を備える金属空気電池に関するものである。
金属空気電池は、金属電極によりアノードが構成され、空気極によりカソードが構成される電池であり、高いエネルギー密度を有することから、実用化に向けた開発・研究が進められている。
金属空気電池の一例として亜鉛空気電池が挙げられる。図13は、従来の金属空気電池の構造の一例を示した模式断面図であり、図14は、亜鉛空気電池における電池反応を説明するための模式的な断面図である。亜鉛空気電池10は、アルカリ性の電解液15中に亜鉛電極11が設けられ、空気流路13と電解液15との間に空気極12が設けられた構造を有し、電池反応(放電反応)が進行することにより亜鉛電極11と空気極12とから電力を出力する。亜鉛空気電池10の単電池(以下、「セル」ともいう)は、電解液15の流路16を通じて互いに連通している。なお、空気極12は、一般的にカーボン担体に空気極触媒を担持したものが用いられる。
亜鉛空気電池10の電池反応において、亜鉛電極11を構成する金属亜鉛が電解液15中の水酸化物イオンと反応し、テトラヒドロキソ亜鉛酸イオンとなり、亜鉛電極11中に電子を放出する。また、このテトラヒドロキソ亜鉛酸イオンは分解して酸化亜鉛又は水酸化亜鉛が電解液15中に析出する。また、空気極12において、電子と水と酸素が反応することにより水酸化物イオンが生成され、この水酸化物イオンは、電解液15に移動する。このような電池反応が進行すると、亜鉛電極11の金属亜鉛が消費され、電解液15中に酸化亜鉛及び水酸化亜鉛が溜まっていくこととなる。したがって、亜鉛空気電池10による電力の出力を維持するためには、亜鉛電極11に金属亜鉛を供給し、電解液15中に析出した酸化亜鉛及び水酸化亜鉛を除去する必要がある。
これに対して、金属空気電池内で電解液を循環させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1の段落[0105]には、金属空気電池のセルを重ね合わせた構造を有する金属空気バッテリシステムにおいて、セルからオーバーフローした電解液が、下層のセルの中に滴下されることが記載されている。
特表2013−537686号公報
上述した亜鉛空気電池の例のように、金属空気電池では、電池反応の進行とともに金属がイオンとして電解液に溶解し、酸化物や水酸化物として析出するため、次々刻々と電解液組成が変化する。セルの電解液槽(以下、「電解槽」ともいう)の内部で、電解液組成にムラが生じると、溶解した金属イオンの濃度が高まった領域で、析出した酸化物や水酸化物が電池反応を阻害したり、電解液のイオン伝導度がばらつくことによってイオン伝導度が高い領域に電流が集中するなどの現象が生じ、金属電極の電極面内で反応効率にムラが生じることになる。その結果、金属電極の利用効率が低下するなど、金属空気電池全体としての反応効率が低下することがあった。
一方、電解液組成のムラを抑制するため、ポンプ等で強制的に電解液を流動させることが考えられるが、セル間をつなぐ電解液の流路を通じてセル間に短絡電流が流れるおそれがある。セル間に短絡電流が流れると、金属電極が無駄に消費されるため金属電極の利用効率が下がる。
以上のように、従来の金属空気電池では、電解液組成のムラ抑制による金属電極の利用効率向上と、電解液の流路を通じたセル間の短絡防止を両立することが困難であった。
これに対して、特許文献1の金属空気バッテリシステムは、電解液を滴下する方式を用いているため、セル間の短絡を防止できると考えられるが、電解液組成のムラを充分に抑制できるものではなかった。例えば、金属電極及び空気極が水平方向に配置されるとともに、その間に電解液が配置される構成であるが、電解液が水平方向に流動する駆動力がないため、金属電極に対向している電解液の組成が水平方向でばらつく問題がある。更に、特許文献1の金属空気バッテリシステムは、あるセルから溢れ出た電解液を次のセルへ滴下させることから、直列に配置された複数のセルを電解液が流れる構成となっており、上流側のセルと下流側のセルの間で、電解液組成がばらついてしまうと考えられる。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、金属空気電池におけるセル間の短絡を防止しつつ、電解液組成のムラを防止して金属電極の利用効率が向上された金属空気電池筐体、及び、該金属空気電池筐体を備える金属空気電池を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、セル間の短絡を防止しつつ、電解液組成のムラを防止する方法について種々検討した結果、電解液を保持する電解槽を各セルに独立して設けるとともに、電解槽へ電解液を供給する給液槽と、電解槽から排出された電解液を回収する回収槽とをそれぞれ設け、これらの槽を、重力方向の上方から下方に向かって、給液槽、電解槽、回収槽の順に配置し、更に特定の構造を設けることによって電解槽に対する電解液の供給及び回収を滴下によって行う金属空気電池筐体の構成を見出した。このような構成によれば、並列に配置した複数のセルを互いに電気的に分離し、セル間の短絡電流を防止できるだけでなく、重力を利用して電解液を上方から下方へ流動させ、電池反応に伴う析出物を電極面近傍から速やかに移動させるとともに、電解液組成のばらつきを抑えることができるため、金属電極の電極面内で反応効率にムラが生じることを抑制できる。以上のことから、本発明者らは、上述した構成によって、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の一態様は、並列に配置された複数のセルを有する金属空気電池筐体であって、上記複数のセルの各々は、電解液を保持する電解槽と、重力方向に対して平行に設けられた空気極とを有し、上記金属空気電池筐体は、上記電解槽へ上記電解液を供給する給液槽と、上記電解槽から排出された上記電解液を回収する回収槽とを有し、重力方向の上方から下方に向かって、上記給液槽、上記電解槽、上記回収槽の順に配置され、上記給液槽から上記電解槽への第一の電解液流路、及び、上記電解槽から上記回収槽への第二の電解液流路の少なくとも一方が滴下構造を有する金属空気電池筐体であってもよい。
本発明の別の一態様は、上記金属空気電池筐体と、上記電解液と接する位置に配置された金属電極とを有する金属空気電池であってもよい。
本発明の金属空気電池筐体、及び、金属空気電池は、上述した構成を有するので、並列に配置された複数のセルを互いに電気的に分離し、セル間の短絡電流を防止できるだけでなく、重力を利用して電解液を上方から下方へ流動させ、電池反応に伴う析出物を電極面近傍から速やかに移動させることができるため、金属電極の電極面内で反応効率にムラが生じることを抑制できる。その結果、セル間の短絡防止と電解液組成のムラ抑制による金属電極の利用効率向上とを両立した金属空気電池を実現することができる。
実施形態1の金属空気電池の構成を示す断面模式図である。 実施形態1の金属空気電池の構成を示す断面模式図であり、図1中のA1−A2線に沿った断面を示している。 実施形態1の金属空気電池の構成を示す断面模式図であり、図1中のB1−B2線に沿った断面を示している。 第一の拡張部近傍における第一の電解液流路の流路方向に平行な断面の例を示した模式図である。 第二の拡張部近傍における第二の電解液流路の流路方向に平行な断面の例を示した模式図である。 実施形態2の金属空気電池の構成を示す断面模式図である。 実施形態3の金属空気電池で用いられる給液槽の構成を示す断面模式図であり、図1中のC1−C2線に沿った断面に対応している。 実施形態3の金属空気電池の構成を示す断面模式図であり、図1中のA1−A2線に沿った断面に対応している。 実施形態3の金属空気電池で用いられる給液槽の構成の変形例を示す断面模式図である。 実施形態3の金属空気電池で用いられる給液槽の構成の変形例を示す断面模式図である。 実施形態4の金属空気電池の構成を示す断面模式図である。 実施形態4の金属空気電池で用いられる配液槽の構成を示す断面模式図であり、図11中のE1−E2線に沿った断面を示している。 従来の金属空気電池の構造の一例を示した模式断面図である。 亜鉛空気電池における電池反応を説明するための模式的な断面図である。
以下に実施形態を掲げ、本発明について図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。なお、以下の説明において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
また、各実施形態の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
[実施形態1]
図1〜3はいずれも、実施形態1の金属空気電池の構成を示す断面模式図であり、それぞれ異なる断面を示している。図2は、図1中のA1−A2線に沿った断面を示しており、図3は、図1中のB1−B2線に沿った断面を示している。
実施形態1の金属空気電池100は、金属空気電池筐体と、上記金属空気電池筐体に着脱可能な金属電極141と、上記金属空気電池筐内を循環する電解液180とによって構成される。
実施形態1における金属空気電池筐体は、並列に配置された複数のセル100A、100Bを有し、上記複数のセル100A、100Bの各々は、電解液180を保持する電解槽130と、重力方向に対して平行に設けられた空気極142とを有し、上記金属空気電池筐体は、上記電解槽130へ上記電解液180を供給する給液槽110と、上記電解槽130から排出された上記電解液180を回収する回収槽150とを有し、重力方向の上方から下方に向かって、上記給液槽110、上記電解槽130、上記回収槽150の順に配置され、上記給液槽110から上記電解槽130への第一の電解液流路182、及び、上記電解槽130から上記回収槽150への第二の電解液流路192の少なくとも一方が滴下構造を有することを特徴とする。
また、実施形態1の金属空気電池100は、上記した金属空気電池筐体と、上記電解液と接する位置に配置された金属電極141とを有することを特徴とする。
以下、本実施形態の金属空気電池100について詳述する。
実施形態1の金属空気電池100は、複数のセル(単電池)100A、100Bが並列に配置された構成を有するものであり、図1に示された断面の奥行き方向(紙面に対して法線方向)に、図1に示されたセル100Aとは別のセル100Bが配置されている。
図2、3では、同じ構成を有する2つのセル100A、100Bが示されているが、本発明において、セルの数は、3以上であってもよく、各セルの構成は、同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
各セル100A、100Bは、金属空気電池100の電極を構成する空気極142と、電解液180を保持する電解槽130とを含む構成単位であり、各セル100A、100Bに金属電極141を取り付けることで、各セル100A、100Bにおいてそれぞれ電池反応を行うことができる。
金属電極141は、金属空気電池100の負極(アノード)として用いられるものである。電池反応の進行とともに金属電極141を構成する金属が消費されることから、金属電極141は交換可能であることが好ましい。すなわち、金属空気電池筐体には、金属電極141を取り付けることができる支持部が設けられていることが好ましい。支持部の形態は特に限定されず、例えば、金属電極141を重力方向(図1中に白抜き矢印で示した方向)の上方から差し込むことによって電解槽130内で金属電極141が収容される部分であってもよいし、電解槽130中に挿入された金属電極141の上端を保持する留め具であってもよいし、金属電極141を重力方向の上方から差し込むことによって金属電極141を収容する収容部材と電解槽130中に挿入された収容部材の上端を保持する留め具との組合せであってもよい。また、支持部材は、集電体として機能するものであることが好ましく、金属電極141と外部回路とを電気的に接続するものであることが好ましい。
金属電極141の配置は、電解槽130に保持された電解液180に金属電極141が接触さえすれば特に限定されないが、金属電極141を金属空気電池筐体に取り付けた状態において、金属電極141が、電解槽130中に、電極面が重力方向に対して平行となるように、言い換えれば、電極面が水平方向と交差するように配置されることが、金属電極141と空気極142の電極間距離が均等、かつ、短くなり、電極間抵抗を抑えることができるため好ましい。
金属電極141を構成する材料としては、例えば、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、コバルト、カドミウム、パラジウム等の金属や、その合金が挙げられる。金属電極141を構成する金属は、電池の放電反応により電子を放出し、電解液180中に溶解した後、金属酸化物、金属水酸化物等の金属化合物になって析出する。
金属空気電池100は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよい。
空気極142は、金属空気電池100の正極(カソード)として用いられるものであり、大気中の酸素ガスと水と電子から水酸化物イオン(OH)を生成する電極である。金属電極141と同様に、電解槽130中に、電極面が重力方向に対して平行となるように設けられている。金属電極141の電極面と空気極142の電極面とは、互いに対向している。
空気極142は、例えば、導電性の多孔性担体と該多孔性担体に担持された空気極触媒とを含む構成からなる。このような構成によれば、空気極触媒上に、酸素ガスと水と電子を共存させることができ、電極反応を効率よく進行させることができる。空気極触媒は、微粒子状にして多孔性担体に担持させることが好ましい。電極反応に使われる水は、大気中から供給されてもよく、電解液180から供給されてもよい。
多孔性担体としては、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック;黒鉛、活性炭等の導電性カーボン粒子;気相法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤー等の炭素繊維を用いることができる。
多孔性担体は、その表面に陽イオン基が固定イオンとして存在するように表面処理がなされていてもよい。このことにより、多孔性担体の表面を水酸化物イオンが伝導できるため、空気極触媒上で生成した水酸化物イオンが移動しやすくなる。
また、空気極142は、多孔性担体に担持されたアニオン交換樹脂を有してもよい。このことにより、アニオン交換樹脂を水酸化物イオンが伝導できるため、空気極触媒上で生成した水酸化物イオンが移動しやすくなる。
空気極触媒としては、例えば、白金、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銀、ルテニウム、イリジウム、モリブデン、マンガン等の金属;これらの金属原子を含む金属化合物;これらの金属の2種以上を含む合金を用いることができる。上記合金としては、白金、鉄、コバルト、ニッケルのうち少なくとも2種以上を含有する合金が好ましく、例えば、白金−鉄合金、白金−コバルト合金、鉄−コバルト合金、コバルト−ニッケル合金、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト−ニッケル合金を好適に用いることができる。
空気極142は、大気に直に接して設けられてもよいし、空気流路143に接して設けてもよい。空気流路143が設けられる場合、空気流路143に加湿された空気を流すことにより、空気極142に酸素ガスだけでなく水を供給できる。空気流路143の設置方法は特に限定されず、例えば、空気極142の電解液180と接する側とは反対側に集電部材(図示せず)を配置し、この集電部材に形成してもよい。集電部材を介して空気極142と外部回路とを電気的に接続すれば、金属空気電池100の電力を外部回路に効率よく出力することができる。
空気極142は、電解槽130内の電解液180に接触するように設けてもよい。このことにより、空気極142で生成した水酸化物イオンが容易に電解液180へ移動することができる。また、空気極142における電極反応に必要な水が電解液180から空気極142に供給されやすくなる。
また、空気極142は、電解槽130内の電解液180に接触するように設けられたイオン交換部144と接触して設けられてもよい。イオン交換部144を設けることにより、空気極142と電解液180との間を移動するイオン種を限定することができる。イオン交換部144は、アニオン交換膜であってもよい。このことにより、空気極142で発生した水酸化物イオンがアニオン交換膜を伝導し、電解液180へ移動することができ、かつ電解液180中の陽イオンが空気極142に移動するのを防止することができる。
電解槽130は、電解液180が溜められる容器であることから、電解液180に対する耐食性を有する材料で形成されたものであることが好ましい。電解槽130の内部には、金属電極141が取り付け可能であり、電解槽130の外壁部には、空気極142が取り付け可能である。金属電極141及び空気極142の電解槽130に対する取り付け位置は特に限定されるものではなく、例えば、金属電極141の位置と空気極142の位置を入れ換えてもよい。
電解槽130は、セル100A、100Bごとに独立して設けられており、これによってセル100A、100B間の電解液180は分離されている。
電解液180は、溶媒に電解質が溶解しイオン導電性を有する液体である。電解液180の種類は、金属電極141を構成する金属の種類によって選択すればよく、水溶媒を用いた電解液(電解質水溶液)であってもよく、有機溶媒を用いた電解液(有機電解液)であってもよい。
例えば、亜鉛空気電池、アルミニウム空気電池、鉄空気電池の場合、電解液には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性水溶液を用いることができる。マグネシウム空気電池の場合、電解液には塩化ナトリウム水溶液等の中性水溶液を用いることができる。また、リチウム金属電池、ナトリウム空気電池、カルシウム空気電池の場合、有機電解液を用いることができる。
また、電解槽130が固体電解質からなる隔壁(図示せず)を有し、隔壁で仕切られた一方側に電解質水溶液が溜められ、他方側に有機電解液が溜められてもよい。
また、電解液180はゲル化剤を含み、ゲル化されていてもよい。ゲル化剤としては、特に限定されず、電池の分野で電解液をゲル化するために使用されるゲル化剤であれば用いることができる。
本実施形態においては、金属空気電池100が、図1中の白抜き矢印の方向に沿って、電解槽130へ電解液180を供給する給液槽110と、電解槽130と、電解槽130から排出された電解液180を回収する回収槽150とが、順に配置された構成を有している。言い換えれば、重力方向の上方(以下では、単に「上方」ともいう)から重力方向の下方(以下では、単に「下方」ともいう)に向かって、給液槽110、電解槽130、回収槽150が配置されており、電解液180は、重力によって、給液槽110の下部から電解槽130の上部へ流れ、電解槽130の下部から回収槽150の上部へ流れる。このような構成とすることで、重力を利用して電解槽130における電解液180の注入及び排出を行うことができる。
なお、給液槽110、電解槽130及び回収槽150は、それぞれ独立して電解液180を保持できればよく、各槽がいずれかの部分で連結されていても構わない。例えば、給液槽110と電解槽130との間、及び、電解槽130と回収槽150との間は、空間(空気層)であってもよいし、シール部材105によって封止されていてもよい。
また、本実施形態において、電解液180は、給液槽110、電解槽130及び回収槽150の間で分離されている。すなわち、重力方向の下方から上方に向かって、順に、回収槽150内の電解液180の液面180A、回収槽150の第一の回収槽開口151、電解槽130内の電解液180の液面180B、電解槽130の第二の電解槽開口132、給液槽110内の電解液180の液面180Cが位置する構成となっている。
給液槽110は、電解槽130へ投入される前の電解液180が溜められる容器であり、電解槽130へ投入される電解液180の量を調節する役割を有する。給液槽110は、電解液180に対する耐食性を有する材料で形成されたものであることが好ましい。給液槽110は、円筒状や直方体状等の電解液180が溜められる形状であればよく、その容積や形状は特に限定されないが、金属空気電池筐体への固定のしやすさの観点で、側面を設置面として利用できる直方体形状が好ましい。
また、回収槽150は、電解槽130から排出された電解液180が溜められる容器であり、回収された電解液180は、配管170を通じて、給液槽110へ供給される。回収槽150は、電解液180に対する耐食性を有する材料で形成されたものであることが好ましい。回収槽150は、円筒状や直方体状等の電解液180が溜められる形状であればよく、その形状は特に限定されないが、金属空気電池筐体への固定のしやすさの観点で、側面を設置面として利用できる直方体形状が好ましい。
ここで、給液槽110から電解槽130への第一の電解液流路182の構成について説明する。
給液槽110の下部には、給液槽110内の電解液180を電解槽130に落下させるための第一の給液槽開口111が設けられている。電解槽130の上部には、第一の給液槽開口111から落下した電解液180が通過できるように第一の電解槽開口131が設けられている。
第一の給液槽開口111と第一の電解槽開口131との間は、開放空間であってもよいし、配管によって連結されていてもよい。第一の電解槽開口131は、第一の給液槽開口111の直下に配置されることが好ましいが、配管によって連結される場合には、第一の電解槽開口131は、第一の給液槽開口111の直下に配置されなくてもよい。
第一の給液槽開口111の数は特に限定されず、1つであってもよいし、複数であってよいが、複数の場合は、電解槽130内の電解液180の組成を均一にしやすく、また、電解槽130への電解液180の供給速度を高めることができる。第一の給液槽開口111を複数設ける場合、それと同数の第一の電解槽開口131を設けてもよいし、複数の第一の給液槽開口111に対して、一つの第一の電解槽開口131を設けてもよい。
第一の電解液流路182は、滴下構造を有するものである。この滴下構造は、電解液180を液滴にすることができる構造であれば特に限定されるものではなく、滴下構造によって、給液槽110から排出された電解液180は液滴とされ、電解槽130内に滴下される。本実施形態において、第一の電解液流路182に設けられた滴下構造は、流路断面積が変化する第一の拡張部により構成されている。図4は、第一の拡張部近傍における第一の電解液流路の流路方向に平行な断面の例を示した模式図である。図4(a)は、第一の拡張部において、実質的に不連続に流路断面積が変化する例を示しており、図4(b)、(c)は、第一の拡張部において、不連続に流路断面積が変化する例を示している。また、図4においては、給液槽110と電解槽130とを繋ぐ配管183に第一の拡張部184が設けられた例を示している。第一の拡張部184は、給液槽110の下端、電解槽130の上端に設けられてもよく、その場合には、第一の給液槽開口111と第一の電解槽開口131とが直接接触して連通していてもよい。
第一の拡張部184は、第一の給液槽開口111から電解槽130内の電解液180の液面180Bまでの間に設けられていればよい。第一の拡張部184においては、始点(第一の給液槽開口111側)185から終点(液面180B側)187までの経路長が、始点185の流路径185Dの半分以内であり、かつ、終点187の流路断面積が、始点185の流路断面積の4倍以上とされている。なお、上記流路径は、電解液流路の断面における最長部分の長さを意味し、例えば、断面が円形であれば直径を意味し、断面が楕円形であれば長径を意味し、断面が四角形であれば対角線の長さを意味する。このような第一の拡張部184が存在することによって、第一の拡張部184の始点185から終点187を通過した電解液180は、液柱とならず、液滴として成長し、不連続体として、電解槽130内に滴下させることが可能である。
第一の拡張部184は、図4(b)、(c)のような不連続に流路断面積が変化する領域であってもよい。すなわち、第一の電解液流路182は、ある一点で、流路断面積が4倍以上に拡張された構造を有してもよい。この構造では、液滴をより成長させやすい。また、第一の電解液流路182は、流路断面積の大きな終点側の流路188内に、流路断面積の小さな始点側の流路186が挿入された構造を有していてもよい。この構造では、流路断面積の小さな始点側の流路186の先端が筒状に突出して設けられることから、液滴を更に成長させやすい。
第一の拡張部184を通過する電解液180の流速Vが10−7/sより大きい場合は、4/3π(2r)≧Vτの条件を満たすことが好ましい。ここで、rは第一の拡張部184における始点185の半径(m)、Vは第一の拡張部184の始点185を通過する電解液180の速度(m/s)、τは時間(s)である。左辺は第一の拡張部184の始点185の半径と比べて2倍の半径を持つ球の体積を表し、右辺は第一の拡張部184の始点185を、単位時間の間に通過する電解液180の体積を表している。右辺が左辺を超える条件では、電解液180は液滴を形成せずに液柱となり、連続体として落下するが、左辺が右辺以上の条件では、電解液180は液滴となり、不連続体として滴下される。ここで、τは液滴の滴下時間間隔と関連付けられ、0.05秒以上、2秒以下が好ましく、より好ましくは0.1秒以上、1秒以下である。τが2秒を超えると、電解液180の移動速度が遅過ぎる場合があり、τが0.05秒未満であると、不連続体として滴下する状態と、連続体として落下する状態の間でゆらぎが生じ、安定した滴下状態を維持できない場合がある。
第一の拡張部184における始点185の半径rを大きくすると、給液槽110、電解槽130及びそれらを繋ぐ配管183等が大きくなるため、金属空気電池100が大きくなってしまう。このため、始点185の半径rは小さい方がよく、1cm未満であることが好ましい。
第一の拡張部184における始点185の半径rを小さくする場合には、始点185を通過する電解液180の速度V(m/s)もそれに合わせて小さくすることが好ましい。速度Vの調整方法としては、第一の給液槽開口111から液面180Bまでの第一の電解液流路182を複数の流路から構成されるものとし、給液槽110から電解槽130への電解液180の総移動速度を維持しながらも、流路の一つあたりを通過する電解液180の速度を小さくする方法や、第一の給液槽開口111から液面180Bまでの第一の電解液流路182において、電解液180を透過できる膜や、弁(バルブ)等の流量調節手段を配置する方法が挙げられる。流量調節手段を有することにより、金属空気電池100の使用状況や電解液180の状態に応じて、電解液180の速度を自由に調整することができる。
なお、ゲル化した電解液180を用いる場合には不連続な液滴を形成しやすく、第一の拡張部184における始点185の半径rの大きさ及び形状に関する制約は少なくなる。
次に、電解槽130から回収槽150への第二の電解液流路192の構成について説明する。
電解槽130の下部には、電解槽130内の電解液180を回収槽150に落下させるための第二の電解槽開口132が設けられている。回収槽150の上部には、第二の電解槽開口132から落下した電解液180が通過できるように第一の回収槽開口151が設けられている。
第二の電解槽開口132と第一の回収槽開口151との間は、開放空間であってもよいし、配管によって連結されていてもよい。第一の回収槽開口131は、第二の電解槽開口132の直下に配置されることが好ましいが、配管によって連結される場合には、第一の回収槽開口151は、第二の電解槽開口132の直下に配置されなくてもよい。
第二の電解槽開口132の数は特に限定されず、1つであってもよいし、複数であってよいが、複数の場合は、回収槽150への電解液180の供給速度を高めることができる。第二の電解槽開口132を複数設ける場合、それと同数の第一の回収槽開口151を設けてもよいし、複数の第二の電解槽開口132に対して、一つの第一の回収槽開口151を設けてもよい。
第二の電解液流路192は、滴下構造を有するものであり、この滴下構造は、電解液180を液滴にすることができる構造であれば特に限定されるものではなく、滴下構造によって、電解槽130から排出された電解液180は液滴とされ、回収槽150内に滴下される。本実施形態において、第二の電解液流路192に設けられた滴下構造は、流路断面積が変化する第二の拡張部により構成されている。図5は、第二の拡張部近傍における第二の電解液流路の流路方向に平行な断面の例を示した模式図である。図5(a)は、第二の拡張部において、実質的に不連続に流路断面積が変化する例を示しており、図5(b)、(c)は、第二の拡張部において、不連続に流路断面積が変化する例を示している。また、図5においては、電解槽130と回収槽150とを繋ぐ配管193に第二の拡張部194が設けられた例を示している。第二の拡張部194は、電解槽130の下端、回収槽150の上端に設けられてもよく、その場合には、第二の電解槽開口132と第一の回収槽開口151とが直接接触して連通していてもよい。
第二の拡張部194は、第二の電解槽開口132から回収槽150内の電解液180の液面180Aまでの間に設けられていればよい。第二の拡張部194においては、始点(第二の電解槽開口132側)195から終点(液面180A側)197までの経路長が、始点195の流路径195Dの半分以内であり、かつ、終点197の流路断面積が、始点195の流路断面積の4倍以上とされている。このような第二の拡張部194が存在することによって、第二の拡張部194の始点195から終点197を通過した電解液180は、液柱とならず、液滴として成長し、不連続体として、回収槽150内に滴下させることが可能である。
第二の拡張部194は、図5(b)、(c)のような不連続に流路断面積が変化する領域であってもよい。すなわち、第二の電解液流路192は、ある一点で、流路断面積が4倍以上に拡張された構造を有してもよい。この構造では、液滴をより成長させやすい。また、第二の電解液流路192は、流路断面積の大きな終点側の流路198内に、流路断面積の小さな始点側の流路196が挿入された構造を有していてもよい。この構造では、流路径の小さな始点側の流路196の先端が筒状に突出して設けられることから、液滴を更に成長させやすい。
第二の拡張部194を通過する電解液180の流速Vが10−7/sより大きい場合は、4/3π(2r)≧Vτの条件を満たすことが好ましい。この条件を満たす場合、電解液180は連続体とならずに、液滴として滴下する。rは第二の拡張部194における始点195の半径(m)、Vは第二の拡張部194の始点195を通過する電解液180の速度(m/s)、τは時間(s)である。左辺は第二の拡張部194の始点195の半径と比べて2倍の半径を持つ球の体積を表し、右辺は第二の拡張部194の始点195を、単位時間の間に通過する電解液180の体積を表している。右辺が左辺を超える条件では、電解液180は液滴を形成せずに液柱となり、連続体として落下するが、左辺が右辺以上の条件では、電解液180は液滴となり、不連続体として滴下される。ここで、τは液滴の滴下時間間隔と関連付けられ、0.05秒以上、2秒以下が好ましく、より好ましくは0.1秒以上、1秒以下である。τが2秒を超えると、電解液180の移動速度が遅過ぎる場合があり、τが0.05秒未満であると、不連続体として滴下する状態と、連続体として落下する状態の間でゆらぎが生じ、安定した滴下状態を維持できない場合がある。
第二の拡張部194における始点195の半径rを大きくすると、給液槽130、回収槽150及びそれらを繋ぐ配管193等が大きくなるため、金属空気電池100が大きくなってしまう。このため、始点195の半径rは小さい方がよく、1cm未満であることが好ましい。
第二の拡張部194における始点195の半径rを小さくする場合には、始点195を通過する電解液180の速度V(m/s)もそれに合わせて小さくすることが好ましい。速度Vの調整方法としては、第二の電解槽開口132から液面180Aまでの第二の電解液流路192を複数の流路から構成されるものとし、電解槽130から回収槽150への電解液180の総移動速度を維持しながらも、流路の一つあたりを通過する電解液180の速度を小さくする方法や、第二の電解槽開口132から液面180Aまでの第二の電解液流路192において、電解液180を透過できる膜や、弁(バルブ)等の流量調節手段を配置する方法が挙げられる。
なお、ゲル化した電解液180を用いる場合には不連続な液滴を形成しやすく、第二の拡張部194における始点195の半径rの大きさ及び形状に関する制約は少なくなる。
回収槽150内に回収された電解液180は、回収槽150に設けられた第二の回収槽開口152から排出され、ポンプ178等の動力によって配管170内を流れ、給液槽110に設けられた第二の給液槽開口112から給液槽110内に戻される。第二の回収槽開口152、配管170及び第二の給液槽開口112等の回収槽150から給液槽110への電解液180の流路(第三の電解液流路)には、電解液180中の電池反応に伴う析出物、不純物等を除去するための濾過装置が設けられてもよいし、流量を調節するための弁(バルブ)が設けられてもよい。また、上記流路には、新たに調製した電解液180を投入するための給液装置が接続されていてもよい。更に、析出物の析出を促進するために、冷却装置、加熱装置、攪拌装置等が、回収槽150、配管170等に設けられてもよい。
図2及び図3において、電解槽130は、2つのセル100A、100Bに対応して2つ示されており、給液槽110は、電解槽130と同じく2つ示されており、回収槽150は、1つのみ示されている。本発明において、電解槽は、セル間の短絡電流を防止するために各セルに独立して設けられるものであり、セルの数に応じて複数設けられるが、給液槽及び回収槽の数は特に限定されない。給液槽110は、金属空気電池100の構成を簡単なものとするために1つのみであってもよいし、電解槽130と同数であってもよい。回収槽150は、電解槽130と同数であってもよいが、金属空気電池100の構成を簡単なものとする観点から、電解槽130よりも少なくすることが好ましく、1つのみとすることがより好ましい。給液槽110及び回収槽150の数を少なくすることによって、槽の数を少なくできるだけでなく、槽間の配管170を少なくすることもできる。また、給液槽110及び回収槽150の少なくとも一方が、電解槽130の数よりも少なくされ、複数のセルで共用されることによって、複数のセル間における電解液180の組成のばらつきを低減することができる。
また、本実施形態の金属空気電池100において、滴下構造は、第一の電解液流路182及び第二の電解液流路192の両方に設けられているが、本発明において、滴下構造は、第一の電解液流路及び第二の電解液流路のいずれか一方のみに設けられてもよい。例えば、給液槽が各電解槽毎に設けられている構成では、必ずしも第一の電解液流路に流れる電解液を不連続にする必要はない。仮に第一の電解液流路を流れる電解液が不連続とされない場合であっても、隣接する電解槽(1)、(2)に対して、それぞれ給液槽(1)、(2)が分離して設けられている構成では、第一の電解液流路を通じた電解槽(1)、(2)間の経路は、電解槽(1)→給液槽(1)→回収槽→給液槽(2)→電解槽(2)となる。しかしながら、この経路は非常に長いため抵抗が大きく、この経路を通じて流れる短絡電流は非常小さく、無視してよい程度の大きさとなる。したがって、給液槽が電解槽毎に分離して設けられている構成では、第二の電解液流路のみに滴下構造を設けることによっても、本発明の効果を得ることができる。一方、回収槽が各電解槽毎に設けられている構成では、第一の電解液流路のみに滴下構造を設けることによっても、本発明の効果を得ることができる。
上述した構成を有する本実施形態の金属空気電池100には、以下の利点がある。
(1)ポンプ178等の動力で回収槽150からくみ上げた電解液180は、重力により、給液槽110→電解槽130→回収槽150の順に流れる。このとき、電解槽130への電解液180の流入経路、及び、電解槽130からの電解液180の流出経路では、いずれも、電解液180が滴下される。すなわち、給液槽110の底面と電解槽130内の電解液180の液面180Bとの間、電解槽130の底面と回収槽150内の電解液180の液面180Aとの間には空間が存在しており、電解液180は電解槽130内外で不連続体とされている。このような構成とすることによって、並列に配置した複数のセル100A、100Bを互いに電気的に分離し、セル100A、100B間に短絡電流が流れることを防止することができる。
(2)電解槽130内においても、重力を利用し、電解液180を上方から下方へと流動させる。金属電極141及び空気極142の電極面は重力方向に対して平行であることから、電解液180は、金属電極141及び空気極142の電極面に沿って流れることになる。このような構成とすることで、電池反応に伴う析出物を電極面近傍から速やかに移動させることができる。
また、電解液180の流動は、重力の他、発電に伴う発熱に起因する熱対流によっても生じ得る。電解液180が流動することによって、電解液180中に淀みを生じないので、電解液180の組成のムラを抑制することができる。その結果、金属電極141における金属の利用効率を向上させることができる。なお、図1において、二点鎖線を用いて電解液180の流れを概念的に表している。
(3)複数のセル100A、100B(電解槽130)が並列に配置されているため、電解液180の流れは並行しており、セル100A、100B毎の電解液組成のばらつきも生じにくい。
[実施形態2]
実施形態1の金属空気電池100の構成では、各槽の電解液180の流入量及び流出量を一致させないと、各槽において液面が上昇したり下降したりするため、槽からの電解液180の溢れが生じるおそれがある。例えば、回収槽150中の電解液180の液面180Aが高くなり、回収槽150の第一の回収槽開口151に達した場合や、電解槽130中の電解液180の液面180Bが高くなり、電解槽130の第一の電解槽開口131に達した場合には、槽から電解液180が溢れてしまう。このため、実施形態1の金属空気電池100においては、電解液180の流量を厳密に制御することでバランスを取るが、第一の給液槽開口111や第二の電解槽開口132が析出物で狭まったりすると、電解液180の流入量及び流出量のバランスが取れなくなる可能性がある。そこで、実施形態1の金属空気電池100の構成に対して、電解液180の溢れを防止するための手段を追加的に設けることが考えられる。
実施形態2の金属空気電池は、実施形態1の金属空気電池100の構成に対して、電解液180の溢れを防止するための手段を追加的に設けたものであり、図6は、実施形態2の金属空気電池の構成を示す断面模式図である。図6中の二点鎖線は、電解液180の流れを概念的に表している。
以下、図6に基づき、本実施形態の金属空気電池200について詳述するが、実施形態1の金属空気電池100と共通する事項については、適宜説明を省略する。
図6に示したように、本実施形態の金属空気電池200では、電解槽130は、槽内に隔壁(側壁)133を有し、電解槽130内には、金属電極141と空気極142が対向する第一の領域(反応領域)R1と、隔壁133によって反応領域R1から隔てられた第二の領域(溝領域)R2がある。第二の電解槽開口132は、溝領域R2に位置する。隔壁133は、電解槽130内の上端には達しておらず、反応領域R1と溝領域R2とは、電解槽130内の上方で連通している。このような構成とすることで、反応領域R1において電解液180の液面が隔壁133の上端より低いときには、電解槽130からの電解液180の排出が行われず、隔壁133の上端を超えたときに、電解液180の排出が行われる。
また、給液槽110には、第三の給液槽開口113が設けられており、回収槽150には、第三の回収槽開口153が設けられており、かつ、第三の給液槽開口113と第三の回収槽開口153とをつなぐ配管(第四の電解液流路)171が設けられている。給液槽110においては、配管(第四の電解液流路)171と連通する部分が、配管(第三の電解液流路)170と連通する部分よりも下方に位置する。このような構成とすることで、給液槽110内の電解液180の液面が第三の給液槽開口113の下端よりも高い場合には、配管171を介して、電解液180が回収槽150へと排出されるため、給液槽110内の電解液180の液面180Cは、第三の給液槽開口113の位置以上に上昇しない。
なお、配管170、171は、図7において模式的に示されており、配管170、171の具体的な配置、形状等は、その機能が損なわれなければ適宜設定してよい。また、配管171には、ポンプ178等の動力手段が設けられてもよい。
更に、回収槽150の内容積は、システムに利用している電解液180の総容積よりも大きいことが好ましい。このような構成とすることで、回収槽150の液面が、第一の回収槽開口151まで上昇することを防ぐことができる。
なお、本実施形態では、隔壁133の設置、配管171の設置、及び、回収槽150の内容積の拡張をすべて組合せたものとしたが、本発明においては、1つのみを適用した構成であってもよいし、いずれか2つを組み合わせて適用した構成であってもよい。
本実施形態においては、各槽の電解液180の流入量及び流出量を一致させる必要はないが、各槽の電解液180の流入量及び流出量のバランスを考慮した設計とすることが好ましい。
まず、電解槽130の液面180Bが上昇しないようにするには、給液槽110から流入する電解液180の最大流量よりも、第二の電解槽開口132から流出する電解液180の最大流量の方が多くなるように制御する。この制御は、圧力損失や液圧を調整することで可能である。具体的には、給液槽110の底面から、第三の給液槽開口113までの高さを、第二の電解槽開口132から隔壁133の上端までの高さよりも、小さくすることで、第二の電解槽開口132にかかる液圧を、第一の給液槽開口111にかかる液圧よりも大きくできる。また、第一の給液槽開口111の総断面積を第二の電解槽開口132の総断面積よりも小さくすることで、第二の電解槽開口132の圧力損失を、第一の給液槽開口111の圧力損失よりも小さくすることができる。これらの液圧及び圧力損失の調整を組み合わせることで、上記した制御を実現できる。
次に、給液槽110の液面が上昇しないようにするには、上記と同様の考え方に基づき、第二の給液槽開口112より給液槽110へ流入する電解液180の最大流量よりも、第一の給液槽開口111から電解槽130へ流出する電解液180の最大流量の方が、小さくなるように制御することが好ましく、第二の給液槽開口112より給液槽110へ流入する電解液180の最大流量よりも、第三の給液槽開口113から流出する電解液180の最大流量の方が、大きくなるように制御することが好ましい。具体的には、第二の給液槽開口112の総断面積を、第三の給液槽開口113の総断面積より小さくするとともに、給液槽110の液が空になることを防ぐために、第二の給液槽開口112の総断面積を、第一の給液槽開口111の総断面積よりも大きくすることが好ましい。
本実施形態によれば、実施形態1の利点に加えて、電解液180の液面が過度に上昇することを防止できるという利点がある。したがって、各槽から液溢れが生じることを防止でき、金属空気電池の信頼性が向上する。また、各槽が電解液180で満たされることを考慮しないでよいため、各槽に設けられたシール部105を減らしたり、無くすことができ、部材コストや製造コストを低減することができる。
[実施形態3]
実施形態1の金属空気電池100の構成では、金属電極141の取り付け及び取り出しを可能とするために、給液槽110は、電解槽130の真上からずらして配置されている。しかしながら、この配置では、電解槽130内の電解液180の組成が均一になるように第一の給液槽開口111を配置させることが困難な場合がある。特に実施形態1では、金属電極141の両面に対向するように空気極142が配置されているため、第一の給液槽開口111の配置によっては、金属電極141の両面で非対称に反応が生じることになり、金属電極141の両側の電解液組成が均一にできないおそれがある。そこで、実施形態1の金属空気電池100の構成に対して、金属電極141の取り付け及び取り出しを容易にするための空洞を追加的に設けることが考えられる。
実施形態3の金属空気電池は、実施形態1の金属空気電池100の構成に対して、給液槽110に金属電極141を挿入するための空洞を追加的に設けたものであり、図7は、実施形態3の金属空気電池で用いられる給液槽の構成を示す断面模式図であり、図1中のC1−C2線に沿った断面に対応している。図8は、実施形態3の金属空気電池の構成を示す断面模式図であり、図1中のA1−A2線に沿った断面に対応している。なお、図7中に示したD1−D2線に沿った断面が図8の断面に相当する。
以下、図7及び図8に基づき、本実施形態の金属空気電池について詳述するが、実施形態1の金属空気電池100と共通する事項については、適宜説明を省略する。
図7及び図8に示したように、本実施形態の金属空気電池では、給液槽110に、下方に位置する電解槽130への金属電極141の取り付け及び取り出しが容易となるように、金属電極141を挿入するための空洞115が給液槽110の中央部に設けられている。空洞115によって、電解槽130の真上に給液槽110が配置されていても、金属電極141を容易に交換することができる。また、空洞115によって、金属電極141を電解槽130の中央部に配置することができるので、空気極142の電極面と金属電極141の電極面の間の距離を、金属電極141の両側で均等にすることができる。その結果、金属電極141の両側で対称に電池反応が生じ、電解液組成がばらつくことを防止できる。
給液槽110に空洞115を設ける代わりに、給液槽110の形状を変更することも可能である。図9及び図10は、実施形態3の金属空気電池で用いられる給液槽の構成の変形例を示す断面模式図である。図9に示したように、セル1つ当たり2つの給液槽110A、110Bを設け、給液槽110A、110B間に空隙を設けてもよく、図10に示した略U字形状の給液槽110Cのように、屈曲した構造を有する給液槽にしてもよい。金属電極141の両側の電解液180の組成を均等にする観点からは、セル1つ当たり2つの給液槽を設けるよりも、電解液180を収容する領域が互いに連通した図7や図10のような給液槽とすることが好ましい。本実施形態によっても、実施形態1と同様の効果が得られる。
[実施形態4]
実施形態1では、電解槽130と同数配置された給液槽110を回収槽150に連結したが、本発明において、給液槽110は、給液槽110よりも上方に、回収槽150と連結された配液槽を配置し、配液槽と給液槽とを連結する構成としてもよい。実施形態4の金属空気電池は、実施形態1の金属空気電池100の構成に対して、配液槽を追加的に設けたものである。図11は、実施形態4の金属空気電池の構成を示す断面模式図であり、図12は、実施形態4の金属空気電池で用いられる配液槽の構成を示す断面模式図であり、図11中のE1−E2線に沿った断面を示している。図11中の二点鎖線は、電解液180の流れを概念的に表している。
以下、図11及び図12に基づき、本実施形態の金属空気電池300について詳述するが、実施形態1の金属空気電池100と共通する事項については、適宜説明を省略する。
図11に示したように、実施形態4の金属空気電池300は、給液槽110よりも上方に1つの配液槽310を備える。配液槽310と給液槽110とは、配液槽310に設けられた第一の配液槽開口311、配管174、及び、給液槽110に設けられた第二の給液槽開口112を介して連通されている。配液槽310の電解液180を保持する空間の最高位置は、第二の給液槽開口112よりも上方にある。第一の配液槽開口311の数は、給液槽110の数と同数以上である。配液槽310と回収槽150とは、配液槽310に設けられた第二の配液槽開口312、配管172、及び、回収槽150に設けられた第二の回収槽開口152を介して連通されている。給液槽110には、回収槽150より配管172を通じてくみ上げられた電解液180が配液槽310及び配管174を介して供給される。
配液槽310は、円筒状や直方体状等の電解液180が溜められる形状であればよく、その容積や形状は特に限定されないが、金属空気電池筐体への固定のしやすさの観点で、側面を設置面として利用できる直方体形状が好ましい。
また、配液槽310には、第三の配液槽開口313が設けられており、回収槽150には、第三の回収槽開口153が設けられており、かつ、第三の配液槽開口313と第三の回収槽開口153とをつなぐ配管173が設けられている。配液槽310においては、配管173と連通する部分が、配管172と連通する部分よりも下方に位置する。このような構成とすることで、配液槽310内の電解液180の液面が第三の配液槽開口313の下端よりも高い場合には、配管173を介して、電解液180が回収槽150へと排出されるため、配液槽310内の電解液180の液面は、第三の配液槽開口313の位置以上に上昇しない。
配液槽310は、給液槽110の上方に位置することになるが、金属電極141の交換を妨げないよう、金属電極141の直上に配置させず、オフセットさせ配置することが好ましい。
配液槽310を設ける場合、回収槽150への配管(ドレン流路)173は、給液槽110に設ける必要はなく、配液槽310に設ければよい。配液槽310と給液槽110の間は電解液180で満たされていてもよい。
実施形態1の構成では、給液槽110が電解槽130と同数の場合、回収槽150と給液槽110を繋ぐ配管170を同数設ける必要があり、ポンプ178等の動力の消費電力が増えるとともに、各配管170の配管長を一定にすることが困難であるため、給液槽110に供給される電解液180の量がセル100A、100B毎にばらつき、その結果、セル100A、100B間の電解液組成にばらつきが生じ、金属電極141の利用効率が下がるおそれがあった。一方、セルが直列つなぎとなっている場合、複数あるセルのいずれかが放電できなくなると、他のセルの金属電極141が放電できる状態であっても、放電が止まるため、金属電極141の利用効率が下がる。
一方、本実施形態では、配液槽310は1つであるため、回収槽150からくみ上げる配管172は1つになるため、ポンプ178等の動力の消費電力を低減することができる。また、配液槽310から複数の給液槽110に重力を利用して分配するため、セル100A、100B間の電解液組成のばらつきも抑制できる。
また、配液槽310を設けずに給液槽110を1つにすると、給液槽110にドレン流路用の第三の給液槽開口を設ける場合に、給液槽110が大きくなることから、給液槽110の中央を金属電極141が貫く構造とするためには、金属電極141を長くする必要性があった。配液槽310を設けることで、給液槽110にドレン流路用の第三の給液槽開口を設けることが不要となり、給液槽110を小型化できるとともに、金属電極141を短くすることが可能となり、部材コストが低減できる。
[付記]
以上の実施形態から、以下に示す本発明の各態様が導かれる。
本発明の一態様は、並列に配置された複数のセル100A、100Bを有する金属空気電池筐体であって、上記複数のセル100A、100Bの各々は、電解液180を保持する電解槽130と、重力方向に対して平行に設けられた空気極142とを有し、上記金属空気電池筐体は、上記電解槽130へ上記電解液180を供給する給液槽110、110A、110B、110Cと、上記電解槽130から排出された上記電解液180を回収する回収槽150とを有し、重力方向の上方から下方に向かって、上記給液槽110、110A、110B、110C、上記電解槽130、上記回収槽150の順に配置され、上記給液槽110、110A、110B、110Cから上記電解槽130への第一の電解液流路182、及び、上記電解槽130から上記回収槽150への第二の電解液流路192の少なくとも一方が滴下構造を有する金属空気電池筐体であってもよい。
上記態様の金属空気電池筐体によれば、電解槽130への電解液180の流入経路、及び、電解槽130からの電解液180の流出経路の少なくとも一方において、電解液180を液滴状にして滴下させることができるので、並列に配置した複数のセル100A、100Bを互いに電気的に分離し、セル100A、100B間に短絡電流が流れることを防止することができる。
また、重力を利用し、重力方向に対して平行な金属電極141及び空気極142の電極面に沿って、電解液180を上方から下方へと流動させることから、電池反応に伴う析出物を電極面近傍から速やかに移動させることができる。これによって、電解液180の組成のムラを抑制し、金属電極141における金属の利用効率を向上させることができる。
上記態様において、上記滴下構造は、流路径が拡大する拡張部184、194を含み、上記拡張部184、194は、始点185、195から終点187、197までの長さが流路径の半分以内であり、終点187、197の流路断面積が始点185、195の流路断面積の4倍以上であってもよい。このような構成とすることで、電解液180は、流路径が実質的に不連続に拡大する拡張部184、194の作用によって、液柱とならずに液滴として成長し、不連続体として重力方向下方に設置された槽内に滴下させることが可能である。
上記態様において、上記第一の電解液流路182及び上記第二の電解液流路192の少なくとも一方に設けられた上記拡張部184、194は、流路断面積が不連続に変化した部分であってもよい。すなわち、図4(b)、図4(c)、図5(b)、図5(c)のように、始点185、195から終点187、197までの長さが実質的に零であってもよい。このような構成とすることで、流量が比較的多い場合であっても、液滴181を形成させることができる。また、上記第一の電解液流路182及び上記第二の電解液流路192の少なくとも一方に設けられた上記拡張部184、194は、流路断面積の大きな終点側の流路188、198内に、流路断面積の小さな始点側の流路186、196が挿入された構造を有していてもよい。このような構成とすることで、更に液滴181を形成しやすくすることができる。
上記態様において、上記第一の電解液流路182に設けられた上記拡張部184は、(1)上記給液槽110、110A、110B、110Cの下端に設けられていてもよく、(2)上記給液槽110、110A、110B、110Cと上記電解槽130とを繋ぐ配管183に設けられていてもよく、(3)上記電解槽130の上端に設けられていてもよい。上記(1)〜(3)のいずれの構成によっても、給液槽110と電解槽130とを互いに電気的に分離することができる。
上記態様において、上記第二の電解液流路192に設けられた上記拡張部194は、(4)上記電解槽130の下端に設けられていてもよく、(5)上記電解槽130と上記回収槽150とを繋ぐ配管193に設けられていてもよく、(6)上記回収槽150の上端に設けられていてもよい。上記(4)〜(6)のいずれの構成によっても、電解槽130と回収槽150とを互いに電気的に分離することができる。
上記態様において、上記金属空気電池筐体は、更に、上記回収槽150の槽内と上記給液槽110、110A、110B、110Cの槽内とを連通させる第三の電解液流路を有するものであってもよい。このような構成とすることで、第三の電解液流路を通じて、回収槽150に回収された電解液180を供給槽110、110A、110B、110Cに投入することができ、それによって、金属空気電池100、200、300において、電解液180の組成のムラを抑制しつつ、電解液180を循環させて用いることができる。この場合、上記第三の電解液流路にポンプ178が付設されていることが好ましい。ポンプ178を実装することで、電解液180を連続的に循環できるため、電解液組成を均一な状態に維持できる。
なお、上記第三の電解液流路が設けられない場合であっても、例えば、人力によって、回収槽150内の電解液180を供給槽110、110A、110B、110Cに汲み上げれば、電解液180を循環させることは可能である。
上記態様において、上記金属空気電池筐体は、更に、上記回収槽150の槽内と上記給液槽110、110A、110B、110Cの槽内とを連通させる第四の電解液流路171を有し、上記給液槽110、110A、110B、110Cは、上記第四の電解液流路171と連通する部分が、上記第三の電解液流路と連通する部分よりも下方に位置するものであってもよい。このような構成とすることで、給液槽110、110A、110B、110C内の電解液180の液面180Cが第四の電解液流路171と連通する部分(第三の給液槽開口113)の下端よりも高い場合には、第四の電解液流路171を介して、電解液180が回収槽150へと排出されるため、液面180Cは、第三の給液槽開口113の位置以上に上昇せず、給液槽110、110A、110B、110Cから電解液180が溢れることを防止できる。
上記態様において、上記電解槽130は、上記空気極142に面する第一の領域R1と、上記第二の電解液流路192と連通する第二の領域R2とを隔てる隔壁133を槽内に有し、上記隔壁133は、上記電解槽130の上端よりも低く、上記隔壁133の上端よりも上記重力方向の上方側で上記第一の領域R1と上記第二の領域R2とが連通しているものであってもよい。このような構成とすることで、電解槽130における電解液180の流出量を制御することができ、各槽の電解液180の流入量及び流出量を一致させる必要がなくなる。
上記態様において、上記回収槽150の内容積は、上記金属空気電池100、200、300全体に含まれる上記電解液180の総容積よりも大きくてもよい。このような構成とすることで、電解槽130の液面が過度に上昇することを防止することができる。
上記態様において、上記給液槽110、110A、110B、110Cは、上記重力方向の上方から見たときに、金属電極141挿入用の空洞115を有する。このような構成とすることで、電解槽130の真上に給液槽110、110A、110B、110Cを配置しても、金属電極141を交換することができる。
上記態様において、上記金属空気電池筐体は、更に、上記給液槽110、110A、110B、110Cよりも上記重力方向の上方に位置する少なくとも一つの配液槽310を有し、上記少なくとも一つの配液槽310の槽内は、上記回収槽150の槽内及び上記給液槽110、110A、110B、110Cの槽内に連通しており、上記少なくとも一つの配液槽310の数は、上記給液槽110、110A、110B、110Cの数よりも少ない。このような構成とすることで、ポンプ178等の動力の消費電力を低減することができる。また、配液槽310から複数の給液槽110、110A、110B、110Cに重力を利用して分配するため、セル間の電解液組成のばらつきも抑制できる。
本発明の別の一態様は、上記金属空気電池筐体と、上記電解液と接する位置に配置された金属電極141とを有する金属空気電池であってもよい。本発明の金属空気電池は、金属電極141が金属空気電池筐体に組み込まれた状態で電池として機能するが、金属電極141を構成する金属は電池反応の進行とともに消費されるため、交換可能であることが好ましい。したがって、金属空気電池筐体と金属電極141は分離した状態で流通することがある。本発明は、金属電極141が取り付けられた金属空気電池であってもよく、金属電極141が取り付けられていない金属空気電池筐体単体であってもよい。
10:亜鉛空気電池
11:亜鉛電極
12:空気極
13:空気流路
15:電解液
16:流路
100、200、300:金属空気電池
100A、100B:セル
105:シール部材
110、110A、110B、110C:給液槽
111:第一の給液槽開口
112:第二の給液槽開口
113:第三の給液槽開口
115:空洞
130:電解槽
131:第一の電解槽開口
132:第二の電解槽開口
133:隔壁
141:金属電極
142:空気極
143:空気流路
144:イオン交換部
150:回収槽
151:第一の回収槽開口
152:第二の回収槽開口
153:第三の回収槽開口
170、171、172、173、174:配管
178:ポンプ
180:電解液
180A、180B、180C:電解液の液面
181:液滴
182:第一の電解液流路
183:給液槽と電解槽とを繋ぐ配管
184:第一の拡張部
185:第一の拡張部の始点
185D:第一の拡張部の始点の流路径
186:第一の拡張部の始点側の流路
187:第一の拡張部の終点
188:第一の拡張部の終点側の流路
192:第二の電解液流路
193:電解槽と回収槽とを繋ぐ配管
194:第二の拡張部
195:第二の拡張部の始点
195D:第二の拡張部の始点の流路径
196:第二の拡張部の始点側の流路
197:第二の拡張部の終点
198:第二の拡張部の終点側の流路
310:配液槽
311:第一の配液槽開口
312:第二の配液槽開口
313:第三の配液槽開口
R1:第一の領域(反応領域)
R2:第二の領域(溝領域)

Claims (8)

  1. 並列に配置された複数のセルを有する金属空気電池筐体であって、
    前記複数のセルの各々は、
    電解液を保持する電解槽と、
    重力方向に対して平行に設けられた空気極とを有し、
    前記金属空気電池筐体は、
    前記電解槽へ前記電解液を供給する給液槽と、
    前記電解槽から排出された前記電解液を回収する回収槽とを有し、
    重力方向の上方から下方に向かって、前記給液槽、前記電解槽、前記回収槽の順に配置され、
    前記給液槽から前記電解槽への第一の電解液流路、及び、前記電解槽から前記回収槽への第二の電解液流路の少なくとも一方が滴下構造を有する
    ことを特徴とする金属空気電池筐体。
  2. 前記滴下構造は、流路径が拡大する拡張部を含み、
    前記拡張部は、始点から終点までの長さが流路径の半分以内であり、終点の流路断面積が始点の流路断面積の4倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属空気電池筐体。
  3. 前記拡張部は、流路断面積が不連続に変化した部分であることを特徴とする請求項2に記載の金属空気電池筐体。
  4. 前記拡張部は、流路断面積の大きな終点側の流路内に、流路断面積の小さな始点側の流路が挿入された構造を有することを特徴とする請求項3に記載の金属空気電池筐体。
  5. 前記金属空気電池筐体は、更に、前記回収槽の槽内と前記給液槽の槽内とを連通させる第三の電解液流路を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属空気電池筐体。
  6. 前記第三の電解液流路にポンプが付設されていることを特徴とする請求項5に記載の金属空気電池筐体。
  7. 前記電解槽は、前記空気極に面する第一の領域と、前記第二の電解液流路と連通する第二の領域とを隔てる隔壁を槽内に有し、
    前記隔壁は、前記電解槽の上端よりも低く、
    前記隔壁の上端よりも前記重力方向の上方側で前記第一の領域と前記第二の領域とが連通していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属空気電池筐体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の金属空気電池筐体と、前記電解液と接する位置に配置された金属電極とを有することを特徴とする金属空気電池。
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