JP2015205924A - 有機溶媒無含有ゲムシタビン水溶液組成物 - Google Patents

有機溶媒無含有ゲムシタビン水溶液組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ゲムシタビンを、他の特別な添加剤なしに、水溶液で長時間安定して保管できるゲムシタビン組成物、前記組成物を基本単位容器および補助単位容器に分量して含む医薬パッケージを提供すること。
【解決手段】ゲムシタビン組成物は、ゲムシタビンまたはその薬学的に許容可能な塩が水性溶媒に溶解したゲムシタビン水溶液を含み、前記ゲムシタビン水溶液は、pHが8.0以上9.0未満に調整され、前記ゲムシタビン水溶液は、有機溶媒を含まないことを特徴とする。医薬パッケージは、前記組成物を基本単位容器および補助単位容器に分量して含むゲムシタビンの1回投与用パッケージである。
【選択図】図1

Description

本発明は、pH調整された有機溶媒無含有(organic solvent−free)ゲムシタビン水溶液を含み、常温で長時間安定性が保障されるゲムシタビン組成物、前記組成物を基本単位容器および補助単位容器に分量して含む医薬パッケージ、およびゲムシタビン水溶液の安定化方法に関するものである。
ゲムシタビン(Gemcitabine)塩酸塩は、抗ウイルス効能がある抗癌剤であって、Gemzar(登録商標)という商品名ですでに市販されている。しかし、既存の市販中のGemzar(登録商標)は、ゲムシタビン塩酸塩を凍結乾燥した組成物で、使用する前に、注射用水、生理食塩水、または5%デキストロース水溶液で再構成して使用している。
ゲムシタビンは、特許文献1(米国特許第5464826号)に抗癌効能がある物質として開示され、その組成物としては、特許文献2(米国特許第4808614号)および上記特許文献1で各種の薬剤学的組成物が開示されているが、安定化された水溶液剤に関する内容は具体的に記述されていない。
また、米国薬局方によれば、ゲムシタビンの凍結乾燥組成物であるGemzar(登録商標)を、注射用水または生理食塩水で38mg/ml濃度の濃縮液に再構成した後、1000mg/m(体表面積)を100〜250mlに希釈してから、30分かけて点滴注入するものと投与量が決められており、同量を60分以上長時間かけて注入する場合、毒性が増加し得ることが記載されている。
Gemzar(登録商標)凍結乾燥組成物は、室温で安定であるが、時間が経過するほど安定性が低下し、生理食塩水で再構成した後、室温で24時間以内に使用しなければならない。
市販中の凍結乾燥剤形のGemzar(登録商標)は、使用する直前に、注射用水、生理食塩水などで再構成し、患者によって1,000mg/m(体表面積)の投与量を決めて投与する。したがって、凍結乾燥組成物を再構成する時、濃度を正確に合わせなければならないという困難があった。また、再構成時、異物による汚染および微生物による汚染の危険性があり得る。
この理由から、ゲムシタビン注射剤組成物は、即時使用可能な水溶液製剤が好ましい。しかし、市販中のゲムシタビン塩酸塩を水溶液で製造する時、水溶液でのデアミネーション(deamination)によって薬物の安定性が確保されないという欠点があった。
ゲムシタビンは、一般名で2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジンと呼ばれ、水溶液でデアミネーションされ、2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロウリジンに分解する。このような分解産物の生成を抑制し、室温で長時間保管できる組成物を製造することが、極めて重要な技術的な課題である。
Jansenらは、ゲムシタビン塩酸塩をpH3.2の水溶液で製造する時、分解速度を測定し、水溶液注射剤としての開発の可能性を検討した(非特許文献1:J.Pharmaceutical Science,vol.89,No.7,pp885〜891(2000))。その結果によれば、25℃で2年保管時、約33.3%が分解すると予想され、5℃で2年保管時、2.7%が分解すると報告されている。したがって、現在市販中の凍結乾燥組成物を水溶液形態に製剤化し、常温で2年保管可能な剤形を開発することは不可能である。
また、Khanらは、特許文献3(国際特許公開公報WO2005/014010A1)に、ゲムシタビンをシクロデキストリンと複合体を形成させ、室温で2年間保管可能なゲムシタビン水溶液組成物を公知している。しかし、シクロデキストリンは腎臓毒性があり、腎臓機能が低下した患者には過剰投与することが好ましくない。
さらに、特許文献4(US2006/0089329A)は、水と少なくとも1つの付加的な生理学的に許容される溶媒または可溶化剤との混合物中にゲムシタビン溶液濃縮物(concentrate)を含み、前記溶液は、ゲムシタビンの濃度が6mg/ml〜110mg/mlで、pHが3.5〜10である、注射剤を製造するための即時使用型薬剤学的組成物を開示している。前記生理学的に許容される溶媒は、エチルアルコール、ポリエチレングリコール200−600、1,2−プロパンジオールまたはこれらの混合物、特にエチルアルコールであり、エチルアルコールは、20〜60体積%、特に50体積%または60体積%の量で使用されることが開示されている。しかし、この組成物は、水のほか、付加的な溶媒を必ず含むもので、100%水性溶媒を使用するものではない。一方、特許文献4は、ゲムシタビン溶液のpHが5〜10であることが好ましいと記載している。
したがって、生体毒性がない上に、常温で長期間保管が可能なゲムシタビン剤形の開発が要求される。
米国特許第5464826号 米国特許第4808614号 国際特許公開公報WO2005/014010A1 US2006/0089329A
J.Pharmaceutical Science,vol.89,No.7,pp885〜891(2000)
本発明者らは、シチジンが酸性条件および塩基性条件の水溶液では速い速度でデアミネーションされてウリジンに変化する点に着目し、シチジン誘導体のゲムシタビンを水溶液で長時間安定して保管できる水溶液のpH条件を見出す研究を行った結果、本発明に至った。本発明の一例は、ゲムシタビンを、他の特別な添加剤なしに、水溶液で長時間安定して保管できるゲムシタビン組成物、および前記組成物が充填された包装単位を提供する。
他の例は、ゲムシタビンを、即時使用可能な水溶液に剤形化し、長期間安定して保管できるゲムシタビン水溶液の安定化方法を提供する。
本発明の一例は、ゲムシタビンが水性溶媒に溶解したゲムシタビン水溶液を含むゲムシタビン組成物を提供する。
本発明で使用されるゲムシタビンは、2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジン、またはその薬学的に許容可能な塩を意味し、前記塩は、好ましくは2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジン塩酸塩の形態であり得る。
前記ゲムシタビン水溶液の濃度は大きな制限はないが、即時使用可能な1回投与量含有剤形の製造のために、1〜20mg/ml、具体的には5〜15mg/ml、より具体的には10〜15mg/mlであり得る。ゲムシタビン水溶液の濃度が前記範囲より高ければ、低温にさらされる時、析出する可能性が高く、前記範囲より低ければ、投与容量に対して体積が過度に大きくて製品の包装単位が大きくなり、使用に際して不便さを招くことがあるので、前記範囲とすることがよい。
前記水性溶媒は、ゲムシタビンを可溶化させることができるすべての水性溶媒であり得、有機溶媒(例えば、アルコールなど)を全く含まないことを特徴とする。したがって、前記水性溶媒を含むゲムシタビン水溶液は、有機溶媒を含まないものであり得る。例えば、前記水性溶媒は、水、または有機溶媒を含まない水溶液のみからなるものであり得る。例えば、前記水性溶媒は、蒸留水(例えば、注射用蒸留水)、生理食塩水(例えば、0.9%(w/v)生理食塩水)、デキストロース水溶液(例えば、1〜10%(w/v)、具体的には3〜7%(w/v)、より具体的には約5%(w/v)デキストロース水溶液)などからなる群より選択された1種以上であり得る。
前記ゲムシタビンが水性溶媒に溶解したゲムシタビン水溶液は、pH8.0以上9.0未満であることがよい。ゲムシタビン水溶液のpHが前記範囲より低ければ、ゲムシタビンが常温で化学的に不安定に分解し、前記範囲より高ければ、低温にさらされる時、析出し得るため、前記pHの範囲が適当である。
ゲムシタビン塩酸塩を使用する場合、ゲムシタビン水溶液のpH調整のためのpH調整剤として、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムまたはこれらの組み合わせを固体状態または水溶液形態で使用することができる。より好ましくは、pH調整のために炭酸水素ナトリウムを使用することが、pH調整中に局所的に高い地点のpHが10以上の強塩基pHになるのを防止することができ、大量生産時に特に有用である。
前記ゲムシタビン組成物は、注射用剤形として有用であり、静脈内注射、筋肉注射、皮下注射などの経路を通して適用可能であり、水溶液の濃度が注射投与に適正な濃度であるため、追加的な稀釈過程を必要とせずに即時投与が可能である。
前記ゲムシタビン組成物は、凍結乾燥過程を経なくても安定性に非常に優れ、0〜30℃の範囲、具体的には10〜30℃、例えば、常温範囲で優れた溶解度(約90重量%以上、より好ましくは99重量%以上)を維持しながら1ヶ月以上、好ましくは6ヶ月以上、より好ましくは1年以上、さらに好ましくは2年以上長期間保管できるという利点がある。
他の例は、ゲムシタビンまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、塩酸塩)を水性溶媒に1〜20mg/ml、具体的には5〜15mg/ml、より具体的には10〜15mg/mlの濃度で溶解させてゲムシタビン水溶液を製造するステップと、前記ゲムシタビン水溶液のpHをpH8.0以上9.0未満に調整するステップとを含む、ゲムシタビン水溶液の安定化方法を提供する。
前記水性溶媒とpH調整ステップに使用可能な物質は前述したとおりであり、凍結乾燥のように追加的な製剤の安定化に必要な追加的ステップを行わなくても優れた安定性を達成できることを特徴とする。
前記方法により、注射用製剤として有用なゲムシタビン水溶液の0〜30℃の範囲、具体的には10〜30℃、例えば、常温での長期間安定性が増加し、ゲムシタビン水溶液を常温で1ヶ月以上、好ましくは6ヶ月以上、より好ましくは1年以上、さらに好ましくは2年以上長期間保管することができる。
さらに他の例において、1回投与量の前記ゲムシタビン組成物、基本単位容器、および補助単位容器を含む、ゲムシタビンの即時投与可能な1回投与用医薬パッケージが提供される。
前記パッケージは、ゲムシタビン組成物に稀釈溶媒を添加して希釈する工程や、他の容器に移し入れるなどの追加的工程を行うことなく即時投与可能な、つまり、ゲムシタビンの即時投与可能な1回投与用パッケージを提供することを特徴とする。
薬局方で決めるゲムシタビンの1回投与量は、500〜1500mg/m(体表面積)、例えば、約1,000mg/m(体表面積)である。
体表面積(Body Surface Area:BSA)=(身長)0.725×(体重)0.425×0.007184
(体表面積:m、身長:cm、体重;kg)
例えば、ゲムシタビンの1回投与量を、身長170cm、体重60kgの成人を基準(体表面積:約1.7)として換算すれば1,700mgとなる。このようなゲムシタビンの1回投与量の提供のために、既存に提供されていた凍結乾燥組成物では、1,000mg/vial1個と200mg/vial3.5個を再構成した後、他の点滴容器に移し入れて使用しなければならないという不便さがあった。このような不便さを解消するために、本発明のゲムシタビンの即時投与可能な1回投与用パッケージは、基本的な単位投与量として、ゲムシタビン1,500mgを含有するゲムシタビン水溶液組成物で充填された容器(基本単位容器)と、これより少量のゲムシタビンを含有するゲムシタビン組成物で用量のゲムシタビンが充填された容器(補助単位容器)とを含み、即時投与が可能な包装単位を提供することを特徴とする。
より具体的には、本発明のゲムシタビンの即時投与可能な1回投与単位形態の薬学組成物において、基本単位容器は、ゲムシタビンの1回投与量中、基本単位容量を含む量のゲムシタビン組成物が充填されている100〜250ml容器であり、前記補助単位容器は、ゲムシタビン50〜300mg、具体的には50〜200mg、より具体的には100〜200mgを含む量のゲムシタビン組成物が充填されている10〜20mlの容器であって、1個または2個以上、例えば、1個〜5個が含まれていてよい。前記基本単位容器に充填されたゲムシタビンの1回投与量中の基本単位容量は、薬局方で決めるゲムシタビンの1回投与量が約1,000mg/mであることを考慮すると、1000〜1500mg程度であり得る。前記ゲムシタビンの即時投与可能な1回投与単位形態の薬学組成物の使用に際し、患者の体表面積に応じて決められるゲムシタビンの1回投与量から、前記基本単位容器に含まれている1000〜1500mgを差し引いた残りのゲムシタビンは、補助単位容器から取って使用することができる。
したがって、ゲムシタビンの即時投与可能な1回投与単位形態の薬学組成物は、前記ゲムシタビン組成物、例えば、ゲムシタビンが水性溶媒に1〜20mg/ml、具体的には5〜15mg/ml、より具体的には10〜15mg/mlの濃度で溶解したゲムシタビン水溶液を含むゲムシタビン組成物がゲムシタビン1000〜1500mg該当量で充填された基本単位容器と、前記ゲムシタビン組成物がゲムシタビン50〜300mg、具体的には50〜200mg、より具体的には100〜200mg該当量で充填された補助単位容器とを含むことができる。
前記基本単位容器は、前記濃度のゲムシタビン水溶液が、ゲムシタビン量が1000〜1500mgとなるように充填可能な容量、例えば、75〜1500ml、具体的には100〜500ml、より具体的には100〜300ml体積の容器であり得る。また、前記補助単位容器は、前記ゲムシタビン水溶液、例えば、前記濃度のゲムシタビン水溶液が、ゲムシタビン量が50〜300mg、具体的には50〜200mg、より具体的には100〜200mgとなるように充填可能な容量、例えば、5〜50ml、具体的には10〜30ml体積の容器であり得る。一具体例において、前記補助容器は、ゲムシタビン100mgとなるようにゲムシタビン水溶液が充填された10〜20ml体積の容器、またはゲムシタビン200mgとなるようにゲムシタビン水溶液が充填された20〜30ml体積の容器であり得、1個または2個〜5個が含まれ得る。
具体例において、基本単位容器として250ml容器を使用する場合、ゲムシタビン1,500mgが含まれるように10〜15mg/ml濃度のゲムシタビン水溶液100〜150mlが充填された、ゲムシタビン1,500mgを含む基本単位容器(A)と、患者の体表面積に応じて必要な追加量を含むように10〜15mg/ml濃度のゲムシタビン水溶液が充填され、必要な追加のゲムシタビン量(例えば、100〜200mg)を含有する補助単位容器(B)とを含む薬学組成物が提供される。
前記基本単位容器および補助単位容器は、医薬容器、具体的には、ゲムシタビン容器として注射用医薬品に許容されるすべての材質および形態の容器であり得、例えば、ガラス材質のバイアルまたは瓶などであり得るが、これらに制限されるものではない。
前記ゲムシタビン組成物およびこれを含む薬学組成物の投与対象患者は、ヒトを含む哺乳類であり得、静脈内注射、筋肉注射、皮下注射などの非経口経路を通して適用可能である。
前記薬学組成物は、使用に際し、補助単位容器(B)から必要量を取って、1,500mgを含有する基本単位容器(A)に追加できることを特徴とする。こうすることで、患者の体表面積に応じた投与量を合わせるために複数のバイアルの凍結乾燥組成物を再構成して混合したり移し入れることにより発生し得る汚染および投与量の不正確性を最小化できるという利点があり、無駄な医療費の節減効果がある。
前述のように、本発明で提案するゲムシタビン組成物と、これを含む薬学組成物は、常温で長時間物理化学的に安定して水溶液状態での保管が可能なため、製造時に凍結乾燥工程を行う必要がなく、製造および保管が容易であり、患者の体表面積に応じた投与量を合わせるために複数のバイアルの凍結乾燥組成物を再構成して混合することにより発生し得る汚染および投与量の不正確性を最小化できるという利点があり、無駄な医療費の節減効果がある。
pH7.0−9.9および40℃の条件でゲムシタビン塩酸塩水溶液の時間に応じた安定性を示すグラフである。
以下、本発明を、実施例によって詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するものであって、本発明の内容が下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]炭酸水素ナトリウムが添加されたゲムシタビン塩酸塩水溶液組成物の製造
ゲムシタビン塩酸塩3.5gを0.9%(w/v)生理食塩水300mlに溶かした後、炭酸水素ナトリウムを少量ずつ加えて水溶液のpHをそれぞれ7.0〜9.9に調整し、試料1ないし8を製造した(表1参照)。それぞれのpHを合わせたゲムシタビン塩酸塩水溶液のpHと、使用された炭酸水素ナトリウムの量を表1にまとめた。そして、HPLCを用いてゲムシタビンの濃度を決定した後、注射用蒸留水を加えてゲムシタビンの濃度が10mg/mlとなるように調整した。
[HPLC:以下同じ]
−カラム:ODS C18 column(250×4.6mm;5μ)、
−移動相:MeOH:Phosphate buffer(40:60v/v)、
−流速:1.0mL/min
−検出器:UV270um
この溶液を200nm孔大きさのフィルタでろ過し、滅菌した後、200ml容器に150mlを加えた後密封し、ゲムシタビン1500mgを含有する組成物を製造した(表1参照)。
<実験例1>溶解度および安定性の評価
(1)ゲムシタビンの溶解度に与えるpHおよび保管温度の影響評価
実施例1のゲムシタビン塩酸塩水溶液中、pH7.0、7.8、8.0、8.5、8.8、9.0、9.9に調整され、滅菌密封された試料を5±3℃または25℃で1週間保管した後、再び取り出した。試料を再び200nmのフィルタでろ過して沈殿生成物を除去した後、HPLCでゲムシタビンの濃度を測定した。その結果を表2に示した。
前記結果から、ゲムシタビン塩酸塩を生理食塩水に溶かし、炭酸水素ナトリウムでそれぞれのpHに調整した後、保管温度に応じた薬物の溶解度を測定した結果、5±3℃で保管中の試料のうち、pH7.0および7.8の溶液を除いてすべてのpH範囲で99%以上の最大溶解度値を示した。
保管温度が5±3℃で、pH7.0およびpH7.8の試料の場合、結晶性沈殿が生成され、濃度がそれぞれ49.0%および72.5%にとどまった。この結果から、保管温度5±3℃の条件でゲムシタビンの濃度を10mg/mL以上維持するためには、pH範囲を8.0以上維持しなければならないことが分かる。
(2)ゲムシタビン塩酸塩水溶液の安定性の評価
ゲムシタビン塩酸塩を生理食塩水に10mg/mlの濃度で製造し、それぞれの組成物に炭酸水素ナトリウムを加えてpHを7.0、8.0、8.5、9.0、9.9に調整した後、200nmのフィルタでろ過し、滅菌した後密封し、加速条件40℃での安定性を評価し、図1に示した。
図1の結果から、40℃で6ヶ月間、ゲムシタビン塩酸塩水溶液の安定性評価を実施した結果、初期pH7.0〜9.0の試料は99%以上の高い安定性を示したが、pH9.9の組成物では約3%の薬物が分解したことが確認された。また、濃度に関連して最大の溶解度値を示す最終pH範囲がpH8.0〜9.9であることを確認することができる。
その後、最大加速条件の70℃でゲムシタビン塩酸塩水溶液の時間に応じた安定性を測定するために、試料溶液2ないし8を用い、1ヶ月間のpH変化および薬物の含有量を測定し、下記表3に示した。薬物の含有量はHPLCで測定した。
前記結果から、70℃の加速条件下、ゲムシタビン塩酸塩水溶液試料の分解率をみると、pH7.8〜8.8では1〜3%の分解率を示したが、pH9.0以上では速い速度で分解することを確認した。したがって、ゲムシタビンが化学的に安定したpHは9.0未満であることを確認した。
[実施例2]炭酸水素ナトリウムが添加された高濃度のゲムシタビン塩酸塩水溶液組成物の製造
ゲムシタビン塩酸塩7.5gを0.9%(w/v)生理食塩水300mlに溶かした後、炭酸水素ナトリウムを加えて水溶液のpHをそれぞれ8.0、8.5、9.0に調整した。それぞれのpHを合わせたゲムシタビン塩酸塩水溶液は、HPLCを用いてゲムシタビンの濃度を決定した後、200nm孔大きさのフィルタでろ過した。このろ過した溶液は、一定量ずつ(10mL;ゲムシタビン約200mg)をバイアルに入れて密封させ、最終的に高濃度のゲムシタビン塩酸塩水溶液組成物を製造した。
<実験例2>高濃度のゲムシタビン塩酸塩水溶液の安定性の評価
実施例2から製造された高濃度のゲムシタビン塩酸塩水溶液は、初期濃度値が約21.5mg/mlであり、ゲムシタビン水溶液上の安定性を評価するために、25℃で時間に応じた安定性を評価した。
表4のように、ゲムシタビン塩酸塩を生理食塩水に溶かして製造した高濃度のゲムシタビン塩酸塩は、pH8.0〜9.0の間では溶解度20mg/mlが維持され、6ヶ月間97重量%以上薬物が安定して保管されたことを確認した。
[実施例3]20mg/ml濃度のゲムシタビン水溶液組成物(1,000mg/vial)の製造
ゲムシタビン塩酸塩7.5gを0.9%(w/v)生理食塩水300mlに溶かした後、炭酸水素ナトリウムを加えて水溶液のpHを8.0に調整した。pHを合わせたゲムシタビン塩酸塩水溶液に追加的に蒸留水を加えて濃度を20mg/mlに調整した。次に、HPLCを用いてゲムシタビン水溶液の濃度を決定した後、200nm孔大きさのフィルタでろ過した。このろ過した溶液は、50mlずつを100ml容量のガラスバイアルに入れた後、ゴム栓で密封して注射用製品を製造した。

Claims (8)

  1. ゲムシタビンまたはその薬学的に許容可能な塩が水性溶媒に溶解したゲムシタビン水溶液、およびpH調整剤として炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムまたはこれらの混合物からなり、
    前記ゲムシタビン水溶液は、前記pH調整剤でpHが8.0以上9.0未満に調整され、
    前記ゲムシタビン水溶液は、有機溶媒を含まないことを特徴とする、ゲムシタビン組成物。
  2. 前記ゲムシタビンの薬学的に許容可能な塩は、ゲムシタビン塩酸塩であることを特徴とする、請求項1記載のゲムシタビン組成物。
  3. 前記ゲムシタビン水溶液内のゲムシタビンの濃度が1〜20mg/mlであることを特徴とする、請求項1または2記載のゲムシタビン組成物。
  4. 前記ゲムシタビン水溶液内のゲムシタビンの濃度が5〜15mg/mlであることを特徴とする、請求項3記載のゲムシタビン組成物。
  5. 前記ゲムシタビン水溶液内のゲムシタビンの濃度が10〜15mg/mlであることを特徴とする、請求項4記載のゲムシタビン組成物。
  6. 請求項3記載のゲムシタビン組成物がゲムシタビン1000〜1500mg該当量で充填された100〜500ml体積の基本単位容器と、
    請求項4記載のゲムシタビン組成物がゲムシタビン50〜300mg該当量で充填された5〜50ml体積の補助単位容器とを含み、
    使用に際し、患者の1回投与量から、基本単位容器に含まれているゲムシタビン量を差し引いた量を補助単位容器から取って、前記基本単位容器に添加して使用することを特徴とする、ゲムシタビンの1回投与用パッケージ。
  7. ゲムシタビンまたはその薬学的に許容可能な塩を水性溶媒に溶解させてゲムシタビン水溶液を製造するステップと、
    前記ゲムシタビン水溶液のpHをpH調整剤として、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムまたはこれらの混合物を使用してpH8.0以上9.0未満に調整するステップとを含むことを特徴とする、ゲムシタビン水溶液の安定化方法。
  8. 前記ゲムシタビン水溶液内のゲムシタビンの濃度が1〜20mg/mlであることを特徴とする、請求項7記載のゲムシタビン水溶液の安定化方法。
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