JP2015203314A - シリンダボア壁の保温具、内燃機関及び自動車 - Google Patents

シリンダボア壁の保温具、内燃機関及び自動車 Download PDF

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Abstract

【課題】シリンダボア壁のうちの保温が必要な箇所を選択的に保温ができ且つ振動や冷却水の流れによる位置ずれを起こし難いシリンダボア壁の保温具を提供すること。【解決手段】シリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部に設置され、全シリンダボアのボア壁のうちの一部を保温するための保温具であり、溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面のうちの1つのシリンダボアの壁面又は2つ以上のシリンダボアに亘る分の壁面に接触するゴム部材22と、該ゴム部材22が固定される金属基体部材21と、該金属基体部材21に付設され、該溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に向かって、該金属基体部材21が該ゴム部材を押し付けるように付勢する弾性部材23と、からなり、該弾性部材23が、該金属基体部材21の各ボア部毎に、1つ以上付設されていること、を特徴するシリンダボア壁の保温具。【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関のシリンダブロックのシリンダボア壁の溝状冷却水流路側の壁面に接触させて配置される保温具及びそれを備える内燃機関並びに該内燃機関を有する自動車に関する。
内燃機関では、ボア内のピストンの上死点で燃料の爆発が起こり、その爆発によりピストンが押し下げられるという構造上、シリンダボア壁の上側は温度が高くなり、下側は温度が低くなる。そのため、シリンダボア壁の上側と下側では、熱変形量に違いが生じ、上側は大きく膨張し、一方、下側の膨張が小さくなる。
その結果、ピストンのシリンダボア壁との摩擦抵抗が大きくなり、これが、燃費を下げる要因となっているので、シリンダボア壁の上側と下側とで熱変形量の違いを少なくすることが求められている。
そこで、従来より、シリンダボア壁の壁温を均一にするために、溝状冷却水流路内にスペーサーを設置し、溝状冷却水流路内の冷却水の水流を調節して、冷却水によるシリンダボア壁の上側の冷却効率と及び下側の冷却効率を制御することが試みられてきた。例えば、特許文献1には、内燃機関のシリンダブロックに形成された溝状冷却用熱媒体流路内に配置されることで溝状冷却用熱媒体流路内を複数の流路に区画する流路区画部材であって、前記溝状冷却用熱媒体流路の深さに満たない高さに形成され、前記溝状冷却用熱媒体流路内をボア側流路と反ボア側流路とに分割する壁部となる流路分割部材と、前記流路分割部材から前記溝状冷却用熱媒体流路の開口部方向に向けて形成され、かつ先端縁部が前記溝状冷却用熱媒体流路の一方の内面を越えた形に可撓性材料で形成されていることにより、前記溝状冷却用熱媒体流路内への挿入完了後は自身の撓み復元力により前記先端縁部が前記内面に対して前記溝状冷却用熱媒体流路の深さ方向の中間位置にて接触することで前記ボア側流路と前記反ボア側流路とを分離する可撓性リップ部材と、を備えたことを特徴とする内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材が開示されている。
特開2008−31939号公報(特許請求の範囲)
ところが、引用文献1の内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材は、強くシリンダボア壁に押し付けることができないので、エンジンの振動により、溝状冷却水流路内で、動いてしまうという問題があった。
また、シリンダボア壁の壁温の全てが同じ温度ということはなく、温度差があるため、保温が必要な箇所を選択的に保温する必要がある。しかし、引用文献1の内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材では、全てのシリンダボア壁を同様に保温することしかできないという問題があった。
従って、本発明の課題は、シリンダボア壁のうちの保温が必要な箇所を選択的に保温ができ且つ振動や冷却水の流れによる位置ずれを起こし難いシリンダボア壁の保温具を提供することにある。
上記従来技術における課題は、以下に示す本発明により解決される。すなわち、本発明(1)は、シリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部に設置され、全シリンダボアのボア壁のうちの一部のボア壁を保温するための保温具であり、
溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面のうちの1つのシリンダボアの壁面又は2つ以上のシリンダボアに亘る分の壁面に接触するゴム部材と、該ゴム部材が固定される金属基体部材と、該金属基体部材に付設され、該溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に向かって、該金属基体部材が該ゴム部材を押し付けるように付勢する弾性部材と、からなり、
該弾性部材が、該金属基体部材の各ボア部毎に、1つ以上付設されていること、
を特徴するシリンダボア壁の保温具を提供するものである。
また、本発明(2)は、4つ以上のシリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部に設置され、全シリンダボアのボア壁のうちの一部のボア壁を保温するための保温具であり、
溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面のうちの2つ又は3つのシリンダボアに亘る分の壁面に接触するゴム部材と、該ゴム部材が固定される金属基体部材と、該金属基体部材に付設され、該溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に向かって、該金属基体部材が該ゴム部材を押し付けるように付勢する弾性部材と、からなり、
該弾性部材が、該金属基体部材の各ボア部毎に、1つ以上付設されていること、
を特徴する(1)のシリンダボア壁の保温具を提供するものである。
また、本発明(3)は、3つのシリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部に設置され、全シリンダボアのボア壁のうちの一部のボア壁を保温するための保温具であり、
溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面のうちの2つのシリンダボアに亘る分の壁面に接触するゴム部材と、該ゴム部材が固定される金属基体部材と、該金属基体部材に付設され、該溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に向かって、該金属基体部材が該ゴム部材を押し付けるように付勢する弾性部材と、からなり、
該弾性部材が、該金属基体部材の各ボア部毎に、1つ以上付設されていること、
を特徴する(1)のシリンダボア壁の保温具を提供するものである。
また、本発明(4)は、2つ以上のシリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部に設置され、全シリンダボアのボア壁のうちの一部のボア壁を保温するための保温具であり、
溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面のうちの1つのシリンダボアの壁面に接触するゴム部材と、該ゴム部材が固定される金属基体部材と、該金属基体部材に付設され、該溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に向かって、該金属基体部材が該ゴム部材を押し付けるように付勢する弾性部材と、からなり、
該弾性部材が、該金属基体部材の各ボア部毎に、1つ以上付設されていること、
を特徴する(1)のシリンダボア壁の保温具を提供するものである。
また、本発明(5)は、(1)〜(4)いずれかのシリンダボア壁の保温具が設置されていることを特徴とする内燃機関を提供するものである。
また、本発明(6)は、(5)の内燃機関を有することを特徴とする自動車を提供するものである。
本発明によれば、シリンダボア壁のうちの保温が必要な箇所を選択的に保温ができ且つ振動や冷却水の流れによる位置ずれを起こし難いシリンダボア壁の保温具を提供することができる。
本発明のシリンダボア壁の保温具が設置されるシリンダブロックの形態例を示す模式的な平面図である。 図1のx−x線断面図である。 図1に示すシリンダブロックの斜視図である。 本発明のシリンダボア壁の保温具の形態例を示す模式的な斜視図である。 図4に示すシリンダボア壁の保温具を上側から見た平面図である。 図4に示すシリンダボア壁の保温具をゴム部材側から見た側面図である。 図4に示すシリンダボア壁の保温具を金属基体部材側から見た側面図である。 図1に示すシリンダブロック11に、シリンダボア壁の保温具20を設置する様子を示す模式図である。 図1に示すシリンダブロック11に、シリンダボア壁の保温具20が設置されている様子を示す模式図である。 図9のx−x線端面図である。 シリンダボア壁の保温具の製造方法の形態例を示す模式図である。 シリンダボア壁の保温具の製造方法の形態例を示す模式図である。 シリンダボア壁の保温具の製造方法の形態例を示す模式図である。 シリンダボア壁の保温具の製造方法の形態例を示す模式図である。 シリンダボア壁の保温具の製造方法の形態例を示す模式図である。 本発明のシリンダボア壁の保温具の他の形態例を示す模式図である。 図1に示すシリンダブロック11に、シリンダボア壁の保温具が設置されている様子を示す模式図である。 図1に示すシリンダブロック11に、シリンダボア壁の保温具が設置されている様子を示す模式図である。 弾性部材の付設方法の他の形態例を示す模式図である。 弾性部材の付設方法の他の形態例を示す模式図である。
本発明のシリンダボア壁の保温具及び本発明の内燃機関について、図1〜図10を参照して説明する。図1〜図3は、本発明のシリンダボア壁の保温具が設置されるシリンダブロックの形態例を示すものであり、図1は、本発明のシリンダボア壁の保温具が設置されるシリンダブロックを示す模式的な平面図であり、図2は、図1のx−x線断面図であり、図3は、図1に示すシリンダブロックの斜視図である。図4〜図7は、本発明のシリンダボア壁の保温具の形態例を示すものであり、図4は、本発明のシリンダボア壁の保温具の形態例を示す模式的な斜視図であり、図4(A)は、ゴム部材側から見た斜視図であり、図4(B)は、金属基体部材側から見た斜視図であり、図5は、図4に示すシリンダボア壁の保温具を上側から見た平面図であり、図6は、図4に示すシリンダボア壁の保温具をゴム部材側から見た側面図であり、図7は、図4に示すシリンダボア壁の保温具を金属基体部材側から見た側面図である。図8は、図1に示すシリンダブロック11に、シリンダボア壁の保温具20を設置する様子を示す模式図であり、図9は、図1に示すシリンダブロック11に、シリンダボア壁の保温具20が設置されている様子を示す模式図であり、図10は、図9のx−x線端面図である。
図1〜図3に示すように、シリンダボア壁の保温具が設置される車両搭載用内燃機関のオープンデッキ型のシリンダブロック11には、ピストンが上下するためのボア12、及び冷却水を流すための溝状冷却水流路14が形成されている。そして、ボア12と溝状冷却水流路14とを区切る壁が、シリンダボア壁13である。また、シリンダブロック11には、溝状冷却水流路11へ冷却水を供給するための冷却水供給口15及び冷却水を溝状冷却水流路11から排出するための冷却水排出口16が形成されている。
このシリンダブロック11には、2つ以上のボア12が直列に並ぶように形成されている。そのため、ボア12には、1つのボアに隣り合っている端ボア12a1、12a2と、2つのボアに挟まれている中間ボア12b1、12b2とがある(なお、シリンダブロックのボアの数が2つの場合は、端ボアのみである。)。直列に並んだボアのうち、端ボア12a1、12a2は両端のボアであり、また、中間ボア12b1、12b2は、一端の端ボア12a1と他端の端ボア12a2の間にあるボアである。
また、本発明では、溝状冷却水流路14の壁面のうち、シリンダボア13側の壁面を、溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面17と記載し、溝状冷却水流路14の壁面のうち、溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面17とは反対側の壁面を壁面18と記載する。
図4〜図7に示すシリンダボア壁の保温具20は、金属基体部材21と、ゴム部材22と、金属板バネ部材23と、からなる。
ゴム部材22は、上から見たときに、2つの円弧が連続する形状に成形されており、ゴム部材22の接触面25側の形状は、保温対象となる溝状冷却水流路14の中下部のシリンダボア側の壁面に沿う形状である。ゴム部材22は、金属基体部材21の上側及び下側に形成されている折り曲げ部24が折り曲げられて、金属基体部材21と折り曲げ部24の間に挟み込まれることにより、金属基体部材21に固定されている。ゴム部材22では、金属基体部材21側とは反対側のゴム部材22の面が、溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面17に接する接触面25である。
金属基体部材21は、上から見たときに、2つの円弧が連続する形状に成形されており、金属基体部材21の形状は、ゴム部材22の背面側(接触面25側とは反対側の面)に沿う形状である。
シリンダボア壁の保温具20のゴム部材22は、溝状冷却水流路14の中下部のボア側の壁面うち、中間ボア12b1側の壁面に接するゴム部材各ボア部36aと、中間ボア12b2側の壁面に接するゴム部材各ボア部36bと、からなる。そして、ゴム部材の各ボア部36aは、中間ボア12b1のボア壁13b1を保温するための部位であり、ゴム部材の各ボア部36bは、中間ボア12b2のボア壁13b2を保温するための部位である。
シリンダボア壁の保温具20の金属基体部材21は、ゴム部材各ボア部36aが固定される金属基体部材各ボア部38aと、ゴム部材各ボア部36bが固定される金属基体部材各ボア部38bと、からなる。そして、金属基体部材21は、1つの金属板で形成されている。よって、シリンダボア壁の保温具20の金属基体部材21は、一端39aから他端39bまでが、繋がっている。
金属基体部材21には、金属基体部材21と共に一体成形されることにより形成される金属板バネ部材23が付設されている。この金属板バネ部材23は、材質が金属であり且つ板状の弾性体である。そして、金属板バネ部材23は、一端側26が金属基体部材21から離れるように、金属基体部材21に繋がっている他端側27で、金属基体部材21から折り曲げられることにより、金属基体部材21に付設されている。
シリンダボア壁の保温具20は、例えば、図1に示すシリンダブロック11の溝状冷却水流路14の中下部に設置される。図8に示すように、シリンダボア壁の保温具20を、シリンダブロック11の溝状冷却水流路14に挿入して、図9及び図10に示すように、シリンダボア壁の保温具20を、溝状冷却水流路14の中下部に設置する。シリンダボア壁の保温具20は、ゴム部材22の形状が、溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面17のうち、2つのシリンダボア12b1及び12b2側の壁面に沿った形状をしているので、シリンダボア壁の保温具20は、シリンダボア12b1及び12b2側の壁面に、ゴム部材22が接触するように、溝状冷却水流路14の中下部に設置される。
このとき、シリンダボア壁の保温具20では、ゴム部材22の接触面25から金属板バネ部材23の一端側26までの距離が、溝状冷却水流路14の幅よりも大きくなるように、金属板バネ部材23が付設されている。そのため、シリンダボア壁の保温具20が、溝状冷却水流路14の中下部に設置されると、金属板バネ部材23が、金属基体部材21及びゴム部材22と壁面18との間に挟まれることにより、金属板バネ部材23の一端側26には、金属基体部材21に向かう方向に力が加えられる。このことにより、金属板バネ部材23は、一端側26が金属基体部材21側に近づくように変形するので、金属板バネ部材23には、元に戻ろうとする弾性力が生じる。そして、この弾性力により、金属基体部材21は、溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面17に向かって押され、その結果、金属基体部材21により、ゴム部材22が、溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面17に押し付けられる。つまり、シリンダボア壁の保温具20が、溝状冷却水流路14の中下部に設置されることにより、金属板バネ部材23が変形し、その変形が戻ろうとして生じる弾性力により、ゴム部材22を溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面17に押し付けるように、金属基体部材21が付勢される。このようにして、シリンダボア壁の保温具20は、ゴム部材22が、溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面17のうちの2つのシリンダボア12b1及び12b2のボア側の壁面に接触する。
シリンダボア壁の保温具20は、例えば、図11〜図15に示す方法により製造される。なお、本発明のシリンダボア壁の保温具は、以下に示す方法により製造されるものに限定されるものではない。
先ず、図11に示す矩形の金属板30から、点線で示す切り落とし部分31及び32を切り落とし、図12に示す成形前の金属基体部材21を作製する。金属基体部材21には、上側及び下側に、折り曲げ部24が形成されており、中央部に、金属板バネ部材23が、金属基体部材21と一体になって形成されている。
次いで、図13に示すように、成形前の金属基体部材21を、ゴム部材22の背面側(図14に示すゴム部材22の背面33側)に沿う形状に成形する。
次いで、図14に示すように、接触面25側が溝状冷却水流路14の中下部のシリンダボア側の壁面17に沿う形状に成形されたゴム部材22と、成形後の金属基体部材21を合わせる。
次いで、図15に示すように、折り曲げ部24をゴム部材側に折り曲げて、折り曲げ部24と金属基体部材21とでゴム部材22を挟み込むことにより、金属基体部材21にゴム部材22を固定する。また、金属板バネ部材23を折り曲げる。なお、図15中、二点鎖線で囲んだ部分Aに、折り曲げ部24及び金属バネ部材23を折り曲げる前の位置を、点線で示した。
本発明のシリンダボア壁の保温具は、シリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部に設置され、全シリンダボアのボア壁のうちの一部のボア壁を保温するための保温具であり、
溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面のうちの1つのシリンダボアの壁面又は2つ以上のシリンダボアに亘る分の壁面に接触するゴム部材と、該ゴム部材が固定される金属基体部材と、該金属基体部材に付設され、該溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に向かって、該金属基体部材が該ゴム部材を押し付けるように付勢する弾性部材と、からなり、
該弾性部材が、該金属基体部材の各ボア部毎に、1つ以上付設されていること、
を特徴するシリンダボア壁の保温具である。
本発明のシリンダボア壁の保温具としては、以下に示す本発明の第一の形態のシリンダボア壁の保温具、本発明の第二の形態のシリンダボア壁の保温具、本発明の第三の形態のシリンダボア壁の保温具が挙げられる。
本発明の第一の形態のシリンダボア壁の保温具(以下、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)とも記載する。)は、4つ以上のシリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部に設置され、全シリンダボアのボア壁のうちの一部のボア壁を保温するための保温具であり、
溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面のうちの2つ又は3つのシリンダボアに亘る分の壁面に接触するゴム部材と、該ゴム部材が固定される金属基体部材と、該金属基体部材に付設され、該溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に向かって、該金属基体部材が該ゴム部材を押し付けるように付勢する弾性部材と、からなり、
該弾性部材が、該金属基体部材の各ボア部毎に、1つ以上付設されていること、
を特徴するシリンダボア壁の保温具である。
また、本発明の第二の形態のシリンダボア壁の保温具(以下、本発明のシリンダボア壁の保温具(2)とも記載する。)は、3つのシリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部に設置され、全シリンダボアのボア壁のうちの一部のボア壁を保温するための保温具であり、
溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面のうちの2つのシリンダボアに亘る分の壁面に接触するゴム部材と、該ゴム部材が固定される金属基体部材と、該金属基体部材に付設され、該溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に向かって、該金属基体部材が該ゴム部材を押し付けるように付勢する弾性部材と、からなり、
該弾性部材が、該金属基体部材の各ボア部毎に、1つ以上付設されていること、
を特徴するシリンダボア壁の保温具である。
本発明の第三の形態のシリンダボア壁の保温具(以下、本発明のシリンダボア壁の保温具(3)とも記載する。)は、2つ以上のシリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部に設置され、全シリンダボアのボア壁のうちの一部のボア壁を保温するための保温具であり、
溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面のうちの1つのシリンダボアの壁面に接触するゴム部材と、該ゴム部材が固定される金属基体部材と、該金属基体部材に付設され、該溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に向かって、該金属基体部材が該ゴム部材を押し付けるように付勢する弾性部材と、からなり、
該弾性部材が、該金属基体部材の各ボア部毎に、1つ以上付設されていること、
を特徴するシリンダボア壁の保温具である。
本発明のシリンダボア壁の保温具(1)と本発明のシリンダボア壁の保温具(2)と本発明のシリンダボア壁の保温具(3)とは、保温具が設置されるシリンダブロックのシリンダボアの数が異なること及びゴム部材各ボア部の数が異なること以外は同様である。
本発明のシリンダボア壁の保温具(1)、(2)又は(3)は、内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部に設置される。本発明のシリンダボア壁の保温具(1)が設置されるシリンダブロックは、シリンダボアが直列に4つ以上並んで形成されているオープンデッキ型のシリンダブロックであるので、2つの端ボアと2つ以上の中間ボアとからなるシリンダボアを有している。また、本発明のシリンダボア壁の保温具(2)が設置されるシリンダブロックは、シリンダボアが直列に3つ並んで形成されているオープンデッキ型のシリンダブロックであるので、2つの端ボアと1つの中間ボアとからなるシリンダボアを有している。本発明のシリンダボア壁の保温具(3)が設置されるシリンダブロックは、シリンダボアが直列に2つ以上並んで形成されているオープンデッキ型のシリンダブロックであるので、2つの端ボアからなるシリンダボア又は2つの端ボアと1つ以上の中間ボアとからなるシリンダボアを有している。なお、本発明では、直列に並んだシリンダボアのうち、両端のボアを端ボアと呼び、両側が他のシリンダボアで挟まれているボアを中間ボアと呼ぶ。
本発明のシリンダボア壁の保温具(1)、(2)又は(3)が設置される位置は、溝状冷却水流路の中下部である。図2では、溝状冷却水流路14の最上部9と最下部8の中間近傍の位置10を、点線で示しているが、この中間近傍の位置10から下側の溝状冷却水流路14の部分を、溝状冷却水流路の中下部と呼ぶ。なお、溝状冷却水流路の中下部とは、溝状冷却水流路の最上部と最下部の丁度中間の位置から下の部分という意味ではなく、最上部と最下部の中間位置の近傍から下の部分という意味である。よって、溝状冷却水流路の最下部からどの位置までを本発明の保温具で保温するか、つまり、ゴム部材の上端の位置を溝状冷却水流路の上下方向のどの位置にするかは、適宜選択される。
ゴム部材は、溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に接することにより、シリンダボア壁の中下部を保温する部材である。そのため、このゴム部材の接触面側の形状は、溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に沿う形状である。そして、本発明のシリンダボア壁の保温具が、溝状冷却水流路の中下部に設置されることにより、弾性部材が金属基体部材を押し、そのことにより、ゴム部材は、接触面側(金属基体部材側とは反対側の面側)が、溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に接し、押し付けられる。
ゴム部材の材質としては、例えば、ソリッドゴム、膨張ゴム、発泡ゴム、軟性ゴム等のゴム、シリコーン系ゲル状素材等が挙げられる。そして、ゴム部材の材質としては、シリンダボア壁の保温具を溝状冷却水流路内に設置するときに、ゴム部材がシリンダボア壁に強く接触して、ゴム部材が削られるのを防ぐことができる点で、シリンダボア壁の保温具の設置後に、溝状冷却水流路内でゴム部材部分を膨張させることができる感熱膨張ゴム又は水膨潤性ゴムが好ましい。
ソリッドゴムの組成としては、天然ゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。
膨張ゴムとしては、感熱膨張ゴムが挙げられる。感熱膨張ゴムは、ベースフォーム材にベースフォーム材より融点が低い熱可塑性物質を含浸させ圧縮した複合体であり、常温では少なくともその表層部に存在する熱可塑性物質の硬化物により圧縮状態が保持され、且つ、加熱により熱可塑性物質の硬化物が軟化して圧縮状態が開放される材料である。感熱膨張ゴムとしては、例えば、特開2004−143262号公報に記載の感熱膨張ゴムが挙げられる。ゴム部材の材質が感熱膨張ゴムの場合は、本発明のシリンダボア壁の保温具が溝状冷却水流路の中下部に設置され、感熱膨張ゴムに熱が加えられることで、感熱膨張ゴムが膨張して、所定の形状に膨張変形する。
感熱膨張ゴムに係るベースフォーム材としては、ゴム、エラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の各種高分子材料が挙げられ、具体的には、天然ゴム、クロロプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエン三元共重合体、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム等の各種合成ゴム、軟質ウレタン等の各種エラストマー、硬質ウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の各種熱硬化性樹脂が挙げられる。
感熱膨張ゴムに係る熱可塑性物質としては、ガラス転移点、融点又は軟化温度のいずれかが120℃未満であるものが好ましい。感熱膨張ゴムに係る熱可塑性物質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレンブタジエン共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体、エチレン酢酸ビニルアクリル酸エステル共重合体、エチレン酢酸ビニル塩化ビニル共重合体、ナイロン、アクリロニトリルブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、熱可塑性ポリイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、低融点ガラスフリット、でんぷん、はんだ、ワックス等の各種熱可塑性化合物が挙げられる。
また、膨張ゴムとしては、水膨潤性ゴムが挙げられる。水膨潤性ゴムは、ゴムに吸水性物質が添加された材料であり、水を吸収して膨潤し、膨張した形状を保持する保形性を有するゴム材である。水膨潤性ゴムとしては、例えば、ポリアクリル酸中和物の架橋物、デンプンアクリル酸グラフト共重合体架橋物、架橋カルボキシメチルセルロース塩、ポリビニルアルコール等の吸水性物質がゴムに添加されたゴム材が挙げられる。また、水膨潤性ゴムとしては、例えば、特開平9−208752号公報に記載されているケチミン化ポリアミド樹脂、グリシジルエーテル化物、吸水性樹脂及びゴムを含有する水膨潤性ゴムが挙げられる。ゴム部材の材質が水膨潤性ゴムの場合は、本発明のシリンダボア壁の保温具が溝状冷却水流路の中下部に設置され冷却水が流されて、水膨潤性ゴムが水を吸収することで、水膨潤性ゴムが膨張して所定の形状に膨張変形する。
発泡ゴムは、多孔質のゴムである。発泡ゴムとしては、連続気泡構造を有するスポンジ状の発泡ゴム、独立気泡構造を有する発泡ゴム、半独立発泡ゴム等があげられる。発泡ゴムの材質としては、具体的には、例えば、エチレンプロピレンジエン三元共重合体、シリコーンゴム、ニトリルブタジエン共重合体、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。発泡ゴムの発泡率は、特に制限されず、適宜選択され、発泡率を調節することにより、ゴム部材の含水率を調節することができる。なお、発泡ゴムの発泡率とは、((発泡前密度−発泡後密度)/発泡前密度)×100で表される発泡前後の密度割合を指す。
ゴム部材の材質が水膨潤性ゴム、発泡ゴムのように、含水することができる材料の場合、本発明のシリンダボア壁の保温具が、溝状冷却水流路内に設置され、溝状冷却水流路に冷却水が流されたときに、ゴム部材が含水する。溝状冷却水流路に冷却水が流されたときに、ゴム部材の含水率を、どのような範囲とするかは、内燃機関の運転条件等により、適宜選択される。なお、含水率とは、(冷却水重量/(充填剤重量+冷却水重量))×100で表される重量含水率を指す。
ゴム部材の厚みは、特に制限されず、適宜選択される。
金属基体部材は、ゴム部材が固定される部材である。この金属基体部材は、弾性部材の変形により生じる弾性力により押されることにより、ゴム部材を溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に均一に押し付ける部材である。そのため、金属基体部材の形状は、ゴム部材の背面側(接触面とは反対側の面側)に沿う形状である。
金属基体部材の材質としては、特に制限されないが、耐ロングライフクーラント性(以下、「耐LLC性」と言う。)が良く及び強度が高い点で、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム合金等が好ましい。金属基体部材の厚みは、特に制限されず、適宜選択される。
図4に示すシリンダボア壁の保温具20では、ゴム部材は、金属基体部材の上側及び下側に形成された折り曲げ部を、ゴム部材側に折り曲げ、折り曲げ部と金属基体部材でゴム部材を挟み込むことにより、金属基体部材に固定されているが、ゴム部材の金属基体部材への固定方法は、特に制限されない。他の固定方法としては、例えば、ゴム部材を金属基体部材に加熱融着させる方法、ゴム部材を金属基体部材に接着剤を用いて接着させる方法、金属基体部材に突起部を設け、その突起部をゴム部材に嵌入させる方法等が挙げられる。
本発明のシリンダボア壁の保温具(1)又は(2)では、保温対象が隣り合う2つのシリンダボアのボア壁、すなわち、2つのシリンダボアに亘る分のボア壁の場合、ゴム部材は、シリンダボアのボア壁の溝状冷却水流路側の全壁面(すなわち、溝状冷却水流路のシリンダボア側の全壁面)のうち、その2つのシリンダボアに亘る分のボア壁の壁面(すなわち、その2つのシリンダボアに亘る分の溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面)且つ中下部の壁面と接触し、また、保温対象が連続して並ぶ3つのシリンダボアのボア壁、すなわち、3つのシリンダボアに亘る分のボア壁の場合、ゴム部材は、シリンダボアのボア壁の溝状冷却水流路側の全壁面(すなわち、溝状冷却水流路のシリンダボア側の全壁面)のうち、その3つのシリンダボアに亘る分のボア壁の壁面(すなわち、その3つのシリンダボアに亘る分の溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面)且つ中下部の壁面と接触する。本発明では、保温対象となる1つ、2つ又は3つのシリンダボアのボア壁のうち、1つのシリンダボアのボア壁を保温するためのゴム部材の部位を、ゴム部材各ボア部と呼ぶ。よって、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)又は(2)では、保温対象が2つのシリンダボアのボア壁の場合、ゴム部材は、2つのゴム部材各ボア部からなり、また、保温対象が3つのシリンダボアのボア壁の場合、ゴム部材は、3つのゴム部材各ボア部からなる。そして、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)又は(2)が設置される位置、言い換えると、ゴム部材が接触する溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面は、一端の端ボア側の壁面、他端の端ボア側の壁面、又は中間ボア側の壁面である。本発明のシリンダボア壁の保温具(1)又は(2)において、ゴム部材は、一端の端ボア側の壁面、他端の端ボア側の壁面及び1つ以上の中間ボア側の壁面の各壁面のうちの2つ又は3つに接触する部位を有している。また、本発明のシリンダボア壁の保温具(3)では、保温対象が1つのシリンダボアのボア壁であるので、シリンダボアのボア壁の溝状冷却水流路側の全壁面(すなわち、溝状冷却水流路のシリンダボア側の全壁面)のうち、その1つのシリンダボアのボア壁の壁面(すなわち、その1つのシリンダボアの溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面)且つ中下部の壁面と接触する。本発明のシリンダボア壁の保温具(3)では、ゴム部材は、1つのゴム部材各ボア部からなる。そして、本発明のシリンダボア壁の保温具(3)が設置される位置、言い換えると、ゴム部材が接触する溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面は、一端の端ボア側の壁面、他端の端ボア側の壁面、又は中間ボア側の壁面である。本発明のシリンダボア壁の保温具(3)において、ゴム部材は、一端の端ボア側の壁面、他端の端ボア側の壁面及び中間ボア側の壁面の各壁面のうちの1つに接触する部位を有している。
図4に示す形態例では、2つのゴム部材各ボア部36a及び36bが連続しているが、本発明は、これに制限されるものではない。本発明のシリンダボア壁の保温具(1)又は(2)の他の形態例としては、例えば、図16に示す形態例のように、ゴム部材が、各シリンダボアのボア側の壁面に対応する部位毎に分割されている形態例が挙げられる。また、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)又は(2)の他の形態例としては、図16に示す形態例の各シリンダボアのボア側の壁面に対応する部位毎に付設されているゴム部材が、更に、複数に分割されている形態例が挙げられる。このように、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)又は(2)では、全てのゴム部材各ボア部が、連続していてもよいし、あるいは、連続していなくてもよい。そして、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)又は(2)では、全てのゴム部材各ボア部が連続していることが、シリンダボア壁の保温具が、溝状冷却水流路内で、振動や冷却水の流れによる位置ずれを起こし難くなる点で好ましい。
また、本発明のシリンダボア壁の保温具(3)では、ゴム部材(1つのゴム部材各ボア部)が、一続きのものであってもよいし、あるいは、複数に分割されていてもよい。
なお、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)、(2)又は(3)において、ゴム部材は、溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面のうち、保温対象となる壁面(保温対象となる1つ、2つ又は3つのシリンダボアのボア壁の溝状冷却水流路側の壁面)の全てを隈なく覆うものであってもよいし、あるいは、保温対象となる壁面の一部であって且つ保温のために必要な箇所のみを覆うものであってもよい。
本発明のシリンダボア壁の保温具(1)又は(2)において、金属基体部材は、2つ又は3つの金属基体部材各ボア部からなる。本発明において、金属基体部材各ボア部とは、各ゴム部材各ボア部が固定される部位を指す。よって、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)又は(2)では、保温対象が2つのシリンダボアのボア壁の溝状冷却水流路側の壁面の場合、金属基体部材は、2つの金属基体部材各ボア部からなり、また、保温対象が3つのシリンダボアのボア側の壁面の場合、金属基体部材は、3つの金属基体部材各ボア部からなる。各々の金属基体部材各ボア部には、それぞれ、ゴム部材各ボア部が固定される。そして、金属基体部材においては、一端から他端まで繋がっている。つまり、金属基体部材においては、全ての金属基体部材各ボア部が、繋がっている。図4に示す形態例では、金属基体部材は、一端から他端までが1つの金属板で形成されているが、本発明は、これに限定されるものではなく、金属基体部材は、一端から他端までが繋がっていれば、1つの金属板で形成されたものであっても、複数の金属板が繋ぎ合わされたものであってもよい。
また、本発明のシリンダボア壁の保温具(3)では、保温対象が1つのシリンダボアのボア壁の溝状冷却水流路側の壁面なので、金属基体部材は、1つの金属基体部材各ボア部からなる。そして、金属基体部材各ボア部には、ゴム部材各ボア部が固定される。金属基体部材においては、一端から他端まで繋がっている。
弾性部材は、金属基体部材に付設されている。この弾性部材は、本発明のシリンダボア壁の保温具が溝状冷却水流路の中下部に設置されることにより、弾性変形し、溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に向かって、金属基体部材がゴム部材を押し付けるように付勢するための部材である。
本発明のシリンダボア壁の保温具(1)、(2)又は(3)では、弾性部材は、金属基体部材各ボア部毎に、1つ以上付設されている。つまり、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)、(2)又は(3)を上側から見たときに、各金属基体部材各ボア部の円弧方向の少なくとも1箇所に、弾性部材が付設されている。そして、弾性部材の設置数は、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)、(2)又は(3)を上側から見たときに、金属基体部材各ボア部毎に、その円弧方向に、2箇所以上が好ましく、3箇所以上が特に好ましい。なお、図4に示すシリンダボア壁の保温具20では、弾性部材は、金属基体部材各ボア部毎に、その円弧方向に、2箇所ずつ付設されている。
弾性部材の形態は、特に制限されず、例えば、板状の弾性部材、コイル状の弾性部材、重ね板バネ、トーションバネ、弾性ゴム等が挙げられる。弾性部材の材質は、特に制限されないが、耐LLC性が良く及び強度が高い点で、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム合金等が好ましい。弾性部材としては、金属板バネ、コイルバネ、重ね板バネ、トーションバネ等の金属弾性部材が好ましい。
本発明のシリンダボア壁の保温具(1)、(2)又は(3)では、溝状冷却水流路の中下部に設置されたときに、弾性部材により、ゴム部材が適切な押し付け力で付勢されるように、溝状冷却水流路の形状等に合わせて、弾性部材の形態、形状、大きさ、設置位置、設置数等が、適宜選択される。
図4に示すシリンダボア壁の保温具20では、弾性部材は、金属基体部材と一体成形されることにより、付設されているが、金属基体部材に弾性部材を付設する方法は、特に制限されない。他の方法としては、例えば、金属板バネ、金属コイルバネ、重ね板バネ又はトーションバネ等の金属製の弾性部材を金属基体部材に溶接する方法等が挙げられる。図19に示す形態例では、切り落とし部分がない金属基体部材51に、縦長の矩形の金属板からなる金属板バネ53aが、溶接されている。また、他の方法としては、図20に示す形態例のように、切り落とし部分がない金属基体部材51と、金属板バネ53bが形成されるように切り落とし部分が切り落とされている金属板バネ付設用部材54とを作製し、これらをゴム部材22に重ね合わせて、折り曲げ部55a及び55bを折り曲げることにより、ゴム部材22に金属基体部材51を固定すると共に、ゴム部材22に金属基体部材51側から弾性部材である金属板バネ53bを固定して、金属基体部材に弾性部材を付設する方法が挙げられる。
本発明のシリンダボア壁の保温具(1)、(2)又は(3)は、溝状冷却水流路の中下部のどの位置に設置されるか、言い換えると、全シリンダボアのボア壁のうち、どのシリンダボアのボア壁の保温用として用いられるかは、適宜選択される。図9では、中間ボア12b1のボア壁13b1及び中間ボア12b2のボア壁13b2が保温されるように、シリンダボア壁の保温具20が、溝状冷却水流路14の中下部に設置されているが、他には、図17及び図18に示す形態例が挙げられる。図17では、端ボア12a1のボア壁13a1及び中間ボア12b1のボア壁13b1が保温されるように、シリンダボア壁の保温具40が、溝状冷却水流路14の中下部に設置されており、また、図18では、端ボア12a1のボア壁13a1、中間ボア12b1のボア壁13b1及び中間ボア12b2のボア壁13b2が保温されるように、シリンダボア壁の保温具41が、溝状冷却水流路14の中下部に設置されている。
本発明の内燃機関は、溝状冷却水流路の中下部に、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)、(2)又は(3)が設置されていることを特徴とする内燃機関である。本発明の内燃機関において、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)、(2)又は(3)が設置されている箇所は、溝状冷却水流路の中下部のうち、保温が必要される箇所である。つまり、本発明の内燃機関では、保温が必要な箇所に、選択的に、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)、(2)又は(3)が設置される。
本発明の自動車は、本発明の内燃機関を有することを特徴とする自動車である。
従来の溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面を囲むように保温部が形成されている保温具の場合、保温が必要な箇所のみを選択的に保温するようなことはできない。
それに対して、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)、(2)又は(3)は、保温が必要な箇所のみを選択的に保温できる。また、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)又は(2)では、弾性部材が、金属基体部材の各ボア部毎に、1つ以上付設されているので、ゴム部材が、保温対象となる溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に、まんべんなく押し付けられる。更に、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)又は(2)では、金属基体部材が、各ボア部毎に分断されているのではなく、全てが繋がっているので、本発明のシリンダボア壁の保温具(1)又は(2)は、溝状冷却水流路内で、振動や冷却水の流れによる位置ずれを起こし難い。
本発明によれば、内燃機関のシリンダボア壁の上側と下側との変形量の違いを少なくすることができるので、ピストンの摩擦を低くすることができるため、省燃費の内燃機関を提供できる。
8 最下部
9 最上部
10 中間近傍の位置
11 シリンダブロック
12 ボア
12a1、12a2 端ボア
12b1、12b2 中間ボア
13、13a1、13a2、13b1、13b2 シリンダボア壁
14 溝状冷却水流路
15 冷却水供給口
16 冷却水排出口
17 シリンダボア壁13の溝状冷却水流路14側の壁面
18 シリンダボア壁13とは反対側の溝状冷却水流路14の壁面
20、40、41 シリンダボア壁の保温具
21 金属基体部材
22 ゴム部材
23 金属板バネ部材
24 折り曲げ部
25 接触面
26 一端
27 他端
30 金属板
31、32 切り落とし部分
33 背面
36 ゴム部材各ボア部
38 金属基体部材各ボア部
39a 一端
39b 他端

Claims (7)

  1. シリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部に設置され、全シリンダボアのボア壁のうちの一部のボア壁を保温するための保温具であり、
    溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面のうちの1つのシリンダボアの壁面又は2つ以上のシリンダボアに亘る分の壁面に接触するゴム部材と、該ゴム部材が固定される金属基体部材と、該金属基体部材に付設され、該溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に向かって、該金属基体部材が該ゴム部材を押し付けるように付勢する弾性部材と、からなり、
    該弾性部材が、該金属基体部材の各ボア部毎に、1つ以上付設されていること、
    を特徴するシリンダボア壁の保温具。
  2. 4つ以上のシリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部に設置され、全シリンダボアのボア壁のうちの一部のボア壁を保温するための保温具であり、
    溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面のうちの2つ又は3つのシリンダボアに亘る分の壁面に接触するゴム部材と、該ゴム部材が固定される金属基体部材と、該金属基体部材に付設され、該溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に向かって、該金属基体部材が該ゴム部材を押し付けるように付勢する弾性部材と、からなり、
    該弾性部材が、該金属基体部材の各ボア部毎に、1つ以上付設されていること、
    を特徴する請求項1記載のシリンダボア壁の保温具。
  3. 3つのシリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部に設置され、全シリンダボアのボア壁のうちの一部のボア壁を保温するための保温具であり、
    溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面のうちの2つのシリンダボアに亘る分の壁面に接触するゴム部材と、該ゴム部材が固定される金属基体部材と、該金属基体部材に付設され、該溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に向かって、該金属基体部材が該ゴム部材を押し付けるように付勢する弾性部材と、からなり、
    該弾性部材が、該金属基体部材の各ボア部毎に、1つ以上付設されていること、
    を特徴する請求項1記載のシリンダボア壁の保温具。
  4. 2つ以上のシリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部に設置され、全シリンダボアのボア壁のうちの一部のボア壁を保温するための保温具であり、
    溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の全壁面のうちの1つのシリンダボアの壁面に接触するゴム部材と、該ゴム部材が固定される金属基体部材と、該金属基体部材に付設され、該溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面に向かって、該金属基体部材が該ゴム部材を押し付けるように付勢する弾性部材と、からなり、
    該弾性部材が、該金属基体部材の各ボア部毎に、1つ以上付設されていること、
    を特徴する請求項1記載のシリンダボア壁の保温具。
  5. 前記金属基体部材及び前記弾性部材が、金属板の一体成形物であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のシリンダボア壁の保温具。
  6. 請求項1〜5いずれか1項記載のシリンダボア壁の保温具が設置されていることを特徴とする内燃機関。
  7. 請求項6記載の内燃機関を有することを特徴とする自動車。
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