JP6486304B2 - シリンダボア壁の保温具、内燃機関及び自動車 - Google Patents

シリンダボア壁の保温具、内燃機関及び自動車 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関のシリンダブロックのシリンダボア壁の溝状冷却水流路側の壁面に接触させて配置される保温具及びそれを備える内燃機関並びに該内燃機関を有する自動車に関する。
内燃機関では、ボア内のピストンの上死点で燃料の爆発が起こり、その爆発によりピストンが押し下げられるという構造上、シリンダボア壁の上側は温度が高くなり、下側は温度が低くなる。そのため、シリンダボア壁の上側と下側では、熱変形量に違いが生じ、上側は大きく膨張し、一方、下側の膨張が小さくなる。
その結果、ピストンのシリンダボア壁との摩擦抵抗が大きくなり、これが、燃費を下げる要因となっているので、シリンダボア壁の上側と下側とで熱変形量の違いを少なくすることが求められている。
そこで、従来より、シリンダボア壁の壁温を均一にするために、溝状冷却水流路内にスペーサーを設置し、溝状冷却水流路内の冷却水の水流を調節して、冷却水によるシリンダボア壁の上側の冷却効率と及び下側の冷却効率を制御することが試みられてきた。例えば、特許文献1には、内燃機関のシリンダブロックに形成された溝状冷却用熱媒体流路内に配置されることで溝状冷却用熱媒体流路内を複数の流路に区画する流路区画部材であって、前記溝状冷却用熱媒体流路の深さに満たない高さに形成され、前記溝状冷却用熱媒体流路内をボア側流路と反ボア側流路とに分割する壁部となる流路分割部材と、前記流路分割部材から前記溝状冷却用熱媒体流路の開口部方向に向けて形成され、かつ先端縁部が前記溝状冷却用熱媒体流路の一方の内面を越えた形に可撓性材料で形成されていることにより、前記溝状冷却用熱媒体流路内への挿入完了後は自身の撓み復元力により前記先端縁部が前記内面に対して前記溝状冷却用熱媒体流路の深さ方向の中間位置にて接触することで前記ボア側流路と前記反ボア側流路とを分離する可撓性リップ部材と、を備えたことを特徴とする内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材が開示されている。
特開2008−31939号公報(特許請求の範囲)
ところが、引用文献1の内燃機関冷却用熱媒体流路区画部材によれば、ある程度のシリンダボア壁の壁温の均一化が図れるので、シリンダボア壁の上側と下側との熱変形量の違いを少なくすることができるものの、近年、更に、シリンダボア壁の上側と下側とで熱変形量の違いを少なくすることが求められている。
そのようなことから、近年は、シリンダブロックの溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面を保温具で積極的に保温することにより、シリンダボア壁の壁温の均一化が図られている。そして、溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面を効果的に保温するためには、保温具の溝状冷却水流路の中下部のシリンダボア側の壁面への密着性が高いことが求められている。
また、近年は、シリンダボア側の壁面のうち、特定の部分を選択的に保温したとの要求が高まっている。そのような要求に対しては、シリンダボア側の壁面の周方向の全部を保温する全周タイプの保温具ではなく、周方向の一部を保温する部分タイプの保温具が必要となる。ところが、部分タイプの保温具は、全周タイプの保温具に比べ、溝状冷却水流路内で位置ずれを起こし易いという問題がある。また、全周タイプの保温具も、部分タイプに比べれば、位置ずれを起こし難いものの、全く位置ずれを起こさないわけではない。
また、保温具において、保温部材が固定される基体部材が、金属製の場合には、保温部材及び基体部材の加工及び組み立てが複雑になる。そのため、製造が簡便な保温具が求められている。
従って、本発明の課題は、溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面への密着性が高く、溝状冷却水流路内で位置ずれを起こし難く、製造が簡便な保温具を提供することにある。
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)は、シリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路に設置され、全シリンダボアのボア壁の全部又は全シリンダボアのボア壁のうちの一部を保温するための保温具であり、
合成樹脂製であり、該保温具の設置位置の該溝状冷却水流路の形状に沿う形状を有する基体部材と、
感熱膨張ゴムで形成されており、且つ、該基体部の内側に貼着されているシリンダボア壁保温部材と、
感熱膨張ゴムで形成されており、且つ、該基体部の外側に貼着されているシリンダボア壁の対壁接触部材と、
該基体部材の下側より、該シリンダボア壁の保温部材及び該シリンダボア壁の対壁接触部材の下側がはみ出るように、該基体部材に、シリンダボア壁の保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が貼着され、該シリンダボア壁の保温部材の下部内側面と該シリンダボア壁の対壁接触部材の下部内側面とが貼着されることにより配設されている底側保温部と、
を有すること、
を特徴とするシリンダボア壁の保温具を提供するものである。
また、本発明(2)は、前記シリンダボア壁保温部材を形成している感熱膨張ゴム及び前記シリンダボア壁の対壁接触部材を形成している感熱膨張ゴムのいずれもが、ベースフォーム材と、熱可塑性物質と、からなり、該ベースフォーム材が、シリコンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム又はニトリルブタジエンゴムであり、該熱可塑性物質が、樹脂又は金属材料であることを特徴とする(1)のシリンダボア壁の保温具を提供するものである。
また、本発明(3)は、前記シリンダボア壁保温部材の開放状態の厚み(t0−IN)に対する前記シリンダボア壁保温部材の感熱膨張前の厚み(ti−IN)の割合((ti−IN/t0−IN)×100)、及び前記シリンダボア壁の対壁接触部材の開放状態の厚み(t0−OUT)に対する前記シリンダボア壁の対壁接触部材の感熱膨張前の厚み(ti−OUT)の割合((ti−OUT/t0−OUT)×100)が、いずれも6〜87%であることされたものであることを特徴とする(1)又は(2)いずれかのシリンダボア壁の保温具を提供するものである。
また、本発明(4)は、前記基体部材の内側の面に、前記シリンダボア壁本部材の位置ずれ防止用の凹部が形成されており、且つ、前記シリンダボア壁保温部材が該凹部を覆っていることを特徴とする(1)〜(3)いずれかのシリンダボア壁の保温具を提供するものである。
また、本発明(5)は、前記基体部材の外側の面に、前記シリンダボア壁の対壁接触部材の位置ずれ防止用の凹部が形成されており、前記シリンダボア壁の対壁接触部材が該凹部を覆っていることを特徴とする(1)〜(3)いずれかのシリンダボア壁の保温具を提供するものである。
また、本発明()は、溝状冷却水流路が形成されているシリンダブロックを有し、
該溝状冷却水流路内に、(1)〜()いずれかのシリンダボア壁の保温具が設置されていること、
を特徴とする内燃機関を提供するものである。
また、本発明()は、下記式(1):
((w−tx)/(t0-IN+t0-OUT))×100 (1)
(式(1)中、wは前記溝状冷却水流路の流路幅であり、txは前記基体部材の厚みであり、t0-INは前記シリンダボア壁保温部材の開放状態の厚みであり、t0-OUTは前記シリンダボア壁の対壁接触部材の開放状態の厚みである。)
で表される値が17〜75%であることを特徴とする()の内燃機関を提供するものである。
また、本発明()は、下記式(2):
((ta-IN+ta-OUT)/(t0-IN+t0-OUT))×100 (2)
(式(2)中、ta-INは前記溝状冷却水流路内で膨張した後のシリンダボア壁保温部材の厚みであり、ta-OUTは前記溝状冷却水流路内で膨張した後のシリンダボア壁の対壁接触部材の厚みであり、t0-INは前記シリンダボア壁保温部材の開放状態の厚みであり、t0-OUTは前記シリンダボア壁の対壁接触部材の開放状態の厚みである。)
で表される値が17〜75%であることを特徴とする()の内燃機関を提供するものである。
また、本発明()は、()〜()いずれかの内燃機関を有することを特徴とする自動車を提供するものである。
本発明によれば、溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面への密着性が高く、溝状冷却水流路内で位置ずれを起こし難く、製造が簡便な保温具を提供することができる。
本発明のシリンダボア壁の保温具が設置されるシリンダブロックの形態例を示す模式的な平面図である。 図1のx−x線断面図である。 図1に示すシリンダブロックの斜視図である。 本発明のシリンダボア壁の保温具が設置されるシリンダブロックの形態例を示す模式的な平面図である。 本発明のシリンダボア壁の保温具の形態例を示す模式的な斜視図である。 図5に示すシリンダボア壁の保温具36aを上側から見た平面図である。 図5に示すシリンダボア壁の保温具36aを内側から見た側面図である。 図5に示すシリンダボア壁の保温具36aを外側から見た側面図である。 図1に示すシリンダブロック11に、シリンダボア壁の保温具36aが挿入される様子を示す模式図である。 図1に示すシリンダブロック11の溝状冷却水流路14内に、シリンダボア壁の保温具36aを設置した後且つ感熱膨張ゴムが膨張する前の様子を示す模式図である。 図1に示すシリンダブロック11に、シリンダボア壁の保温具36aが設置されている様子を示す模式図である。 本発明のシリンダボア壁の保温具の形態例を示す模式図である。 本発明のシリンダボア壁の保温具の形態例を示す模式図である。 本発明のシリンダボア壁の保温具の形態例の断面を示す模式図である。 シリンダブロックの形態例を示す模式図である。 本発明のシリンダボア壁の保温具の形態例の断面を示す模式図である。 本発明のシリンダボア壁の保温具の形態例を作製する様子を示す模式図である。 図16に示すシリンダボア壁の保温具が、溝状冷却水流路内に設置されている様子を示す断面図である。
本発明のシリンダボア壁の保温具及び本発明の内燃機関について、図1〜図11を参照して説明する。図1〜図4は、本発明のシリンダボア壁の保温具が設置されるシリンダブロックの形態例を示すものであり、図1及び図4は、本発明のシリンダボア壁の保温具が設置されるシリンダブロックを示す模式的な平面図であり、図2は、図1のx−x線断面図であり、図3は、図1に示すシリンダブロックの斜視図である。図5は、本発明のシリンダボア壁の保温具の形態例を示す模式的な斜視図である。図6は、図5中の保温具36aを上から見た図である。図7は、図5中の保温具36aを横から見た図であり、内側から見た図である。図8は、図5中の保温具36aを横から見た図であり、外側から見た図である。図9は、図1に示すシリンダブロック11に、シリンダボア壁の保温具36aが挿入される様子を示す模式図である。図10は、図1に示すシリンダブロック11の溝状冷却水流路14内に、シリンダボア壁の保温具36aを設置した後且つ感熱膨張ゴムが膨張する前の様子を示す模式図である。図11は、図1に示すシリンダブロック11に、シリンダボア壁の保温具36aが設置されている様子を示す模式図であり、(A)は、図10中のZ−Z線端面図であり、感熱膨張ゴムが膨張する前の様子を示す図であり、(B)は、感熱膨張ゴムが膨張した後の様子を示す図である。
図1〜図3に示すように、シリンダボア壁の保温具が設置される車両搭載用内燃機関のオープンデッキ型のシリンダブロック11には、ピストンが上下するためのボア12、及び冷却水を流すための溝状冷却水流路14が形成されている。そして、ボア12と溝状冷却水流路14とを区切る壁が、シリンダボア壁13である。また、シリンダブロック11には、溝状冷却水流路11へ冷却水を供給するための冷却水供給口15及び冷却水を溝状冷却水流路11から排出するための冷却水排出口16が形成されている。
このシリンダブロック11には、2つ以上のボア12が直列に並ぶように形成されている。そのため、ボア12には、1つのボアに隣り合っている端ボア12a1、12a2と、2つのボアに挟まれている中間ボア12b1、12b2とがある(なお、シリンダブロックのボアの数が2つの場合は、端ボアのみである。)。直列に並んだボアのうち、端ボア12a1、12a2は両端のボアであり、また、中間ボア12b1、12b2は、一端の端ボア12a1と他端の端ボア12a2の間にあるボアである。端ボア12a1と中間ボア12b1の間の壁、中間ボア12b1と中間ボア12b2の間の壁及び中間ボア12b2と端ボア12a2の間の壁(ボア間壁191)は、2つのボアに挟まれる部分なので、2つのシリンダボアから熱が伝わるため、他の壁に比べ壁温が高くなる。そのため、溝状冷却水流路14のシリンダボア側の壁面17では、ボア間壁191の近傍が、温度が最も高くなるので、溝状冷却水流路14のシリンダボア側の壁面17のうち、各シリンダボアのボア壁の境界192及びその近傍の温度が最も高くなる。
また、本発明では、溝状冷却水流路14の壁面のうち、シリンダボア13側の壁面を、溝状冷却水流路のシリンダボア壁17と記載し、溝状冷却水流路14の壁面のうち、溝状冷却水流路のシリンダボア壁17とは反対側の壁面を、シリンダボア壁の対壁18と記載する。
また、本発明において、片側半分とは、シリンダブロックをシリンダボアが並んでいる方向で垂直に二分割したときの片側の半分を指す。よって、本発明において、全シリンダボアのボア壁のうちの片側半分のボア壁とは、全シリンダボア壁をシリンダボアが並んでいる方向で垂直に二分割したときの片側の半分のボア壁を指す。例えば、図4では、シリンダボアが並んでいる方向がZ−Z方向であり、このZ−Z線で垂直に二分割したときの片側半分のボア壁のそれぞれが、全シリンダボアのボア壁のうちの片側半分のボア壁である。つまり、図4では、Z−Z線より20a側の片側半分のボア壁が、全シリンダボアのボア壁のうちの一方の片側半分のボア壁21aであり、Z−Z線より20b側の片側半分のボア壁が、全シリンダボアのボア壁のうちの他方の片側半分のボア壁21bである。また、全シリンダボア壁のうちの片側とは、片側半分のボア壁21a又は片側半分のボア壁21bのいずれかを指し、片側の一部とは、片側半分のボア壁21aの一部又は片側半分のボア壁21bの一部を指す。
また、本発明において、各シリンダボアのボア壁とは、1つ1つのシリンダボアに対応する各ボア壁部分を指し、図4では、両矢印22a1で示す範囲が、シリンダボア12a1のボア壁23a1であり、両矢印22b1で示す範囲が、シリンダボア12b1のボア壁23b1であり、両矢印22b2で示す範囲が、シリンダボア12b2のボア壁23b2であり、両矢印22a2で示す範囲が、シリンダボア12a2のボア壁23a2であり、両矢印22b3で示す範囲が、シリンダボア12b1のボア壁23b3であり、両矢印22b4で示す範囲が、シリンダボア12b2のボア壁23b4である。つまり、シリンダボア12a1のボア壁23a1、シリンダボア12b1のボア壁23b1、シリンダボア12b2のボア壁23b2、シリンダボア12a2のボア壁23a2、シリンダボア12b1のボア壁23b3及びシリンダボア12b2のボア壁23b4が、それぞれ、各シリンダボアのボア壁である。
図5に示すシリンダボア壁の保温具36aは、図4中、一方の片側半分(20b側)のボア壁21bを保温するための保温具である。シリンダボア壁の保温具36aには、冷却水流れ仕切り部材38が付設されている。冷却水流れ仕切り部材38は、図4に示すシリンダブロック11では、冷却水供給口15から溝状冷却水流路14へ供給された冷却水が、直ぐに近傍にある冷却水排出口16から排出されることなく、先ず、20b側の片側半分の溝状冷却水流路14を、冷却水供給口15の位置とは反対側の端に向かって流れ、20b側の片側半分の溝状冷却水流路14の冷却水供給口15の位置とは反対側の端まで来ると、20a側の片側半分の溝状冷却水流路14に回り、次いで、20a側の片側半分の溝状冷却水流路14を、冷却水排出口16に向かって流れ、最後に、冷却水排出口16から排出されるように、冷却水の供給口15と排出口16との間を仕切るための部材である。また、図4には、20a側の片側半分の溝状冷却水流路14を端まで流れた冷却水が、シリンダブロック11の横側に形成されている冷却水排出口16から排出される形態のシリンダブロックを記載したが、他には、例えば、20a側の片側半分の溝状冷却水流路14を一方の端から他方の端まで流れた冷却水が、シリンダブロックの横側から排出されるのではなく、シリンダヘッドに形成されている冷却水流路に流れ込む形態のシリンダブロックがある。
図5〜図8に示すように、シリンダボア壁の保温具36aは、基体部材34aと、基体部材34aの内側に貼着されており、4つのパーツに別れているシリンダボア壁保温部材35aと、基体部材34aの外側に貼着されており、4つのパーツに別れているシリンダボア壁の対壁接触部材33aと、を有する。そして、シリンダボア壁の保温具36aでは、シリンダボア壁保温部材35aは、例えば、接着剤、接着テープ等により、基体部材34aの内側の面に貼着されており、また、シリンダボア壁の対壁接触部材33aは、例えば、接着剤、接着テープ等により、基体部材34aの外側の面に貼着されている。
シリンダボア壁の保温具36aは、図4に示すシリンダブロック11の片側半分のボア壁21bを保温するための保温具であり、シリンダブロック11の片側半分のボア壁21bには、シリンダボア12a1のボア壁23a1、シリンダボア12b1のボア壁23b3、シリンダボア12b2のボア壁23b4及びシリンダボア12a2のボア壁23a2と、4つの各シリンダボアのボア壁がある。そして、シリンダボア壁の保温具36aでは、この4つの各シリンダボアのボア壁を保温するために、シリンダボア壁保温部材35aが設けられる。そのため、シリンダボア壁の保温具36aには、4つに別れているシリンダボア壁保温部材35aが設けられている。
シリンダボア壁の保温具36aでは、基体部材34aの内側の面には、シリンダボア壁保温部材35aの接触面26がシリンダボア壁17側に向くように、例えば、接着剤、接着テープ等により、シリンダボア壁保温部材35aが貼着されている。また、シリンダボア壁の保温部36aでは、基体部材34の外側には、シリンダボア壁の対壁接触部材33aの接触面27がシリンダボア壁の対壁18側に向くように、例えば、接着剤、接着テープ等により、シリンダボア壁の対壁接触部材33aが貼着されている。
シリンダボア壁保温部材35a及びシリンダボア壁の対壁接触部材33aは、感熱膨張ゴムで形成されている。この感熱膨張ゴムは、膨張前は、ベースフォーム材が熱可塑性物質により圧縮されて拘束された状態であり、加熱されることにより、熱硬化性樹脂による拘束が解け、圧縮される前の状態、すなわち、開放状態まで膨張するゴム材である。そのため、シリンダボア壁保温部材35aは、各シリンダボアのボア壁を保温するための部材であり、シリンダボア壁の保温具36aが、シリンダブロック11の溝状冷却水流路14に設置された後、加熱されることにより膨張する。そして、シリンダボア壁保温部材35aは、加熱により膨張(感熱膨張)することにより、接触面26が、溝状冷却水流路14のシリンダボア壁17に接触して、溝状冷却水流路14のシリンダボア壁17の壁面を覆う。また、シリンダボア壁の対壁接触部材33aは、シリンダボア壁の保温具36aが、シリンダブロック11の溝状冷却水流路14に設置された後、加熱されることにより膨張する。そして、シリンダボア壁の対壁接触部材33aは、加熱により膨張(感熱膨張)することにより、接触面27が、溝状冷却水流路14のシリンダボア壁の対壁18に接触する。
シリンダボア壁保温部材35a及びシリンダボア壁の対壁接触部材33aが、溝状冷却水流路14内で、加熱されることにより膨張を始めると、シリンダボア壁保温部材35aは、接触面26がシリンダボア壁17に接触するまで膨張し、シリンダボア壁の対壁接触部材33aは、接触面27がシリンダボア壁の対壁18に接触するまで膨張し、更に、それらは開放状態まで膨張しようするので、シリンダボア壁17とシリンダボア壁の対壁18には、膨張する感熱膨張ゴムが開放状態まで復元しようとする力、すなわち、膨張後の感熱膨張ゴムの弾性力が加えられる。そして、この膨張後の感熱膨張ゴムの弾性力より、シリンダボア壁保温部材35aが、シリンダボア壁17に押し付けられると共に、シリンダボア壁の対壁接触部材33aが、シリンダボア壁の対壁18に押し付けられる。このような作用により、シリンダボア壁の保温具36aは、溝状冷却水流路14内に保持される。また、シリンダボア壁保温部材35aが、シリンダボア壁17に密着して、シリンダボア壁17を覆うので、シリンダボア壁17は、シリンダボア壁保温部材35aにより保温される。
基体部材34aは、上から見たときに、4つの円弧が連続する形状に成形されており、基体部材34aの形状は、溝状冷却水流路14の片側半分に沿う形状である。基体部材34aは、内側にシリンダボア壁保温部材35aが固定され、外側にシリンダボア壁の対壁接触部材33aが固定される部材である。支持部34aは、合成樹脂の成形体である。
シリンダボア壁の保温具36aは、例えば、図1に示すシリンダブロック11の溝状冷却水流路14に設置される。図9に示すように、シリンダボア壁の保温具36aを、シリンダブロック11の溝状冷却水流路14に挿入して、図10に示すように、シリンダボア壁の保温具36aを、溝状冷却水流路14に設置する。シリンダボア壁の保温具36aを、溝状冷却水流路14に挿入するときには、未だ、シリンダボア壁保温部材35a及びシリンダボア壁の対壁接触部材33aは、膨張していないので、シリンダボア壁の保温具36aの幅、すなわち、シリンダボア壁保温部材35aの厚み、基体部材34aの厚み及びシリンダボア壁の対壁接触部材33aの厚みの合計は、溝状冷却水流路14の流路幅より小さい。そのため、シリンダボア壁の保温具36aを、溝状冷却水流路14内に挿入するときに、シリンダボア壁保温部材35aの接触面26が、シリンダボア壁17に接触せず、且つ、シリンダボア壁の対壁接触部材33aの接触面27が、シリンダボア壁の対壁18に接触しない。
そして、シリンダボア壁の保温具36aが、溝状冷却水流路14に設置された後、加熱前は、図11(A)に示すように、シリンダボア壁保温部材の接触面26とシリンダボア壁17の間には、隙間30が存在し、また、シリンダボア壁の対壁接触部材の接触面27とシリンダボア壁の対壁18との間には、隙間31が存在するが、図11(B)に示すように、感熱膨張ゴムが加熱されると、シリンダボア壁保温部材351aは、シリンダボア壁17に接触するまで膨張し、シリンダボア壁の対壁接触部材331aは、シリンダボア壁の対壁18に接触するまで膨張する。
本発明のシリンダボア壁の保温具は、シリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路に設置され、全シリンダボアのボア壁の全部又は全シリンダボアのボア壁のうちの一部を保温するための保温具であり、
合成樹脂製であり、該保温具の設置位置の該溝状冷却水流路の形状に沿う形状を有する基体部材と、
感熱膨張ゴム(感熱膨張前)で形成されており、且つ、該基体部の内側に貼着されているシリンダボア壁保温部材と、
感熱膨張ゴム(感熱膨張前)で形成されており、且つ、該基体部の外側に貼着されているシリンダボア壁の対壁接触部材と、
を有すること、
を特徴とするシリンダボア壁の保温具である。
本発明のシリンダボア壁の保温具は、内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路に設置される。本発明のシリンダボア壁の保温具が設置されるシリンダブロックは、シリンダボアが直列に2つ以上並んで形成されているオープンデッキ型のシリンダブロックである。シリンダブロックが、シリンダボアが直列に2つ並んで形成されているオープンデッキ型のシリンダブロックの場合、シリンダブロックは、2つの端ボアからなるシリンダボアを有している。また、シリンダブロックが、シリンダボアが直列に3つ以上並んで形成されているオープンデッキ型のシリンダブロックの場合、シリンダブロックは、2つの端ボアと1つ以上の中間ボアとからなるシリンダボアを有している。なお、本発明では、直列に並んだシリンダボアのうち、両端のボアを端ボアと呼び、両側が他のシリンダボアで挟まれているボアを中間ボアと呼ぶ。
本発明のシリンダボア壁の保温具が設置される位置は、溝状冷却水流路である。内燃機関の多くでは、シリンダボアの溝状冷却水流路の中下部に相当する位置が、ピストンの速さが速くなる位置なので、この溝状冷却水流路の中下部を保温することが好ましい。図2では、溝状冷却水流路14の最上部9と最下部8の中間近傍の位置10を、点線で示しているが、この中間近傍の位置10から下側の溝状冷却水流路14の部分を、溝状冷却水流路の中下部と呼ぶ。なお、溝状冷却水流路の中下部とは、溝状冷却水流路の最上部と最下部の丁度中間の位置から下の部分という意味ではなく、最上部と最下部の中間位置の近傍から下の部分という意味である。また、内燃機関の構造によっては、ピストンの速さが速くなる位置が、シリンダボアの溝状冷却水流路の下部に当たる位置である場合もあり、その場合は、溝状冷却水流路の下部を保温することが好ましい。よって、溝状冷却水流路の最下部からどの位置までを本発明のシリンダボア壁の保温具で保温するか、つまり、ゴム部材の上端の位置を溝状冷却水流路の上下方向のどの位置にするかは、適宜選択される。
本発明のシリンダボア壁の保温具は、基体部材と、基体部材の内側に貼着されているシリンダボア壁保温部材(感熱膨張前)と、基体部材の外側に貼着されているシリンダボア壁の対壁接触部材(感熱膨張前)と、を有する。そして、本発明のシリンダボア壁の保温具は、周方向に見たときに、溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面の全部又は溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面のうちの一部を保温するための保温具である。つまり、本発明のシリンダボア壁の保温具は、周方向に見たときに、全シリンダボアのボア壁の全部又は全シリンダボアのボア壁の一部を保温するための保温具である。本発明のシリンダボア壁の保温具のとしては、例えば、図5に示す形態例のように、全シリンダボアのボア壁のうち片側半分を保温するための保温具、図12に示す形態例のように、全シリンダボアのボア壁のうち片側の一部を保温するための保温具、図13に示す形態例のように、全シリンダボアのボア壁の全部を保温するための保温具が挙げられる。なお、本発明において、片側半分又は片側の一部とは、シリンダボア壁又は溝状冷却水流路の周方向の片側半分又は片側の一部との意味である。
本発明のシリンダボア壁の保温具に係る基体部材は、合成樹脂からなる。つまり、基体部材は、合成樹脂製である。基体部材を形成する合成樹脂は、通常、内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路内に設置されるシリンダボア壁の保温具やウォータージャケットスペーサに用いられる合成樹脂であれば、特に制限されず、適宜選択される。基体部材の形状は、溝状冷却水流路の形状に沿った形状であり、上から見たときに、シリンダボア壁保温部材が設けられる範囲に亘って、円弧が連続して繋がった形状である。
本発明のシリンダボア壁の保温具では、シリンダボア壁保温部材(感熱膨張前)は、感熱膨張ゴムが膨張した後に、保温しようとするシリンダボア壁を覆うことができる位置に設けられる。シリンダボア壁保温部材の設置位置、形状、設置範囲は、保温しようとする各シリンダボアのボア壁の数及び保温部位によって、適宜選択される。例えば、図5に示す形態例のように、シリンダボア壁保温部材が、各シリンダボアのボア壁毎に、1つずつ、つまり、基体部材の各ボア部毎に1つずつ設けられていてもよい。また、2つ以上のシリンダボアのボア壁に亘って、つまり、基体部材の各ボア部の2つ以上に亘って繋がっている形状のシリンダボア壁保温部材が設けられていてもよい。なお、本発明において、基体部材の各ボア部とは、基体部材を構成する円弧状の部分の1つ分を指し、1つ分のシリンダボアのボア壁に対向する部分を指す。
本発明のシリンダボア壁の保温具では、シリンダボア壁の対壁接触部材(感熱膨張前)は、基体部材に対し、シリンダボア壁保温部材が設けられている側とは反対側に、基体部材に設けられる。シリンダボア壁の対壁接触部材が、シリンダボア壁接触部材と共に感熱膨張することにより、シリンダボア壁及びシリンダボア壁の対壁を押す力(膨張後の感熱膨張ゴムの弾性力)を生じさせ、そして、その力により、本発明のシリンダボア壁の保温具が、溝状冷却水流路内に保持されるので、そのような力が生じるように、シリンダボア壁の対壁接触部材の設置位置、形状、設置範囲が、適宜選択される。例えば、図5に示す形態例のように、シリンダボア壁の対壁接触部材が、基体部材を挟んで、シリンダボア壁保温部材と対になるように、各シリンダボアのボア壁毎に、1つずつ、つまり、基体部材の各ボア部毎に1つずつ設けられていてもよい。また、2つ以上のシリンダボアのボア壁に亘って、つまり、基体部材の各ボア部の2つ以上に亘って繋がっている形状のシリンダボア壁の対壁接触部材が設けられていてもよい。
シリンダボア壁保温部材(感熱膨張前)及びシリンダボア壁の対壁接触部材(感熱膨張前)は、圧縮状態の感熱膨張ゴムにより形成されている。感熱膨張ゴム(圧縮状態)は、ベースフォーム材にベースフォーム材より融点が低い熱可塑性物質を含浸させ圧縮した複合体であり、常温では少なくともその表層部に存在する熱可塑性物質の硬化物により圧縮状態が保持され、且つ、加熱により熱可塑性物質の硬化物が軟化して圧縮状態が開放される材料である。感熱膨張ゴムとしては、例えば、特開2004−143262号公報に記載の感熱膨張ゴムが挙げられる。
感熱膨張ゴムに係るベースフォーム材としては、ゴム、エラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の各種高分子材料が挙げられ、具体的には、天然ゴム、クロロプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエン三元共重合体、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム等の各種合成ゴム、軟質ウレタン等の各種エラストマー、硬質ウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の各種熱硬化性樹脂が挙げられる。
感熱膨張ゴムに係る熱可塑性物質としては、ガラス転移点、融点又は軟化温度のいずれかが120℃未満であるものが好ましい。感熱膨張ゴムに係る熱可塑性物質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレンブタジエン共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体、エチレン酢酸ビニルアクリル酸エステル共重合体、エチレン酢酸ビニル塩化ビニル共重合体、ナイロン、アクリロニトリルブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、熱可塑性ポリイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、低融点ガラスフリット、でんぷん、はんだ、ワックス、鋳鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属材料等の各種熱可塑性物質が挙げられる。
本発明のシリンダボア壁の保温具では、シリンダボア壁保温部材は、接着剤、接着テープ、粘着剤等により、基体部材の内側の面に貼着されており、また、シリンダボア壁の対壁接触部材は、接着剤、接着テープ、粘着剤等により、基体部材の外側の面に貼着されている。なお、本発明において、基体部材の内側とは、溝状冷却水流路内に設置されたときに、シリンダボア壁側になる側を指し、また、基体部材の外側とは、溝状冷却水流路内に設置されたときに、シリンダボア壁の対壁側になる側を指す。
シリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材を基体部材に貼着するための手段としては、特に制限されず、適宜選択され、例えば、接着剤、接着テープ、粘着剤等を用いて、シリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材を基体部材に貼着する方法が挙げられる。本発明のシリンダボア壁の保温具では、感熱膨張ゴムの膨張後には、シリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材は、膨張後の感熱膨張ゴムの弾性力により、基体部材に押し付けられるので、接着剤、接着テープ、粘着剤等の接着力が強くなくても、シリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材は、基体部材に接着剤、接着テープ、粘着剤等により貼着されている位置からずれ難い。
特に、後述するように、基体部材の内側の面に、シリンダボア壁本部材の位置ずれ防止用の凹部が形成されている場合、基体部材の外側の面に、シリンダボア壁の対壁接触部材の位置ずれ防止用の凹部が形成されている場合には、それら位置ずれ防止用の凹部により、シリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が、基体部材に接着剤、接着テープ、粘着剤等により固定されている位置からずれることが防止されるので、接着剤、接着テープ、粘着剤等の接着力は、本発明のシリンダボア壁の保温具を溝状冷却水流路内に挿入するまでの間に、基体部材の表面からシリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が剥がれ落ちない程度の接着力であってもよい。
本発明のシリンダボア壁の保温具において、シリンダボア壁保温部材の感熱膨張前の厚み(ti−IN)、基体部材の厚み(t)及びシリンダボア壁の対壁接触部材の感熱膨張前の厚み(ti−OUT)の合計は、本発明のシリンダボア壁の保温具が設置される溝状冷却水流路の流路幅(w)未満である。すなわち、「(ti−IN+t+ti−OUT)<w」である。そして、本発明のシリンダボア壁の保温具において、(ti−IN+t+ti−OUT)は、「(ti−IN+t+ti−OUT)<w」となる範囲で適宜選択される。なお、本発明において、シリンダボア壁保温部材の感熱膨張前の厚み(ti−IN)とは、図14(A)に示すように、感熱膨張ゴムが熱可塑性物質により圧縮状態で拘束されているときの感熱膨張ゴムの厚み、すなわち、感熱膨張前のシリンダボア壁保温部材の厚みであり、また、シリンダボア壁の対壁接触部材の感熱膨張前の厚み(ti−OUT)とは、感熱膨張ゴムが熱可塑性物質により圧縮状態で拘束されているときの感熱膨張ゴムの厚み、すなわち、感熱膨張前のシリンダボア壁の対壁接触部材の厚みである。また、基体部材の厚み(t)とは、図14(A)に示すように、基体部材の厚みである。図14(A)は、図6中、シリンダボア壁の保温具36aをY−Y線で切ったときの端面図である。また、溝状冷却水流路の流路幅(w)とは、図1及び図2に示すように、シリンダブロックをシリンダボアの中心線Oを通る面で切ったときの断面(例えば、図1中では、X−X断面)における溝状冷却水流路14の幅である。また、図15に示すシリンダブロック11aのように、溝状冷却水流路を上下方向に見たときに、流路幅が異なっている場合には、溝状冷却水流路内に、本発明のシリンダボア壁の保温具を設置した後の、上下方向のそれぞれの位置において、ti−IN、t及びti−OUTの合計とwとの関係を判断する。
本発明のシリンダボア壁の保温具において、シリンダボア壁保温部材の感熱膨張前の圧縮率、すなわち、シリンダボア壁保温部材の開放状態の厚み(t0−IN)に対するシリンダボア壁保温部材の感熱膨張前の厚み(ti−IN)の割合((ti−IN/t0−IN)×100)は、好ましくは6〜87%、特に好ましくは17〜46%である。また、本発明のシリンダボア壁の保温具において、シリンダボア壁保温部材の対壁接触部材の感熱膨張前の圧縮率、すなわち、シリンダボア壁の対壁接触部材の開放状態の厚み(t0−OUT)に対するシリンダボア壁の対壁接触部材の感熱膨張前の厚み(ti−OUT)の割合((ti−OUT/t0−OUT)×100)は、好ましくは6〜87%、特に好ましくは17〜46%である。なお、本発明において、シリンダボア壁保温部材の開放状態の厚み(t0−IN)とは、図14(B)に示すように、感熱膨張ゴムが熱可塑性物質による拘束が解かれて、何ら制限を受けることがない開放状態で膨張したときの感熱膨張ゴムの膨張後の厚み、すなわち、開放状態のシリンダボア壁保温部材352aの厚みであり、また、シリンダボア壁の対壁接触部材の開放状態の厚み(t0−OUT)とは、図14(B)に示すように、感熱膨張ゴムが熱可塑性物質による拘束が解かれて、何ら制限を受けることがない開放状態で膨張したときの感熱膨張ゴムの膨張後の厚み、すなわち、開放状態のシリンダボア壁の対壁接触部材332aの厚みである。図14(B)は、図14(A)に示すシリンダボア壁保温部材35a及びシリンダボア壁の対壁接触部材33aが、膨張が何ら制限を受けることがない開放状態で、膨張したとき後の様子を示す図である。
本発明のシリンダボア壁の保温具では、シリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が、接着剤、接着テープ、粘着剤等で、合成樹脂製の基体部材に貼着されている。そのため、本発明のシリンダボア壁の保温具は、金属製の基体部材を用いて、それに保温部材を固定して保温具を製造する場合に比べ、簡便に製造される。
ここで、基体部材に接着剤、接着テープ、粘着剤等でシリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材を貼着したときの接着力は、基体部材にシリンダ壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材を、金属製の固定用部材の折り曲げ部を折り曲げることにより固定する場合の固定力に比べ、弱い。また、感熱膨張ゴムで形成されているシリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材を、溝状冷却水流路内で膨張させることにより、感熱膨張ゴムの復元力で生じるシリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材がシリンダボア壁及びシリンダボア壁の対壁を押す力は、金属板バネ等の金属製の弾性部材による付勢力に比べれば、弱い。しかし、本発明のシリンダボア壁の保温具では、基体部材を金属材料よりも軽い合成樹脂で形成されているので、溝状冷却水流路内で、シリンダ壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が膨張した後の感熱膨張ゴムの弾性力を、接着剤、接着テープ、粘着剤等の接着力に加えることで、本発明のシリンダボア壁の保温具が溝状冷却水流路内の設置位置からずれ難くすることができ、また、シリンダ壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が、基体部材への貼着位置からずれ難くすることができる。
一方、基体部材が金属材料で形成されている場合、基体部材が重いため、膨張後の感熱膨張ゴムの弾性力と接着剤、接着テープ、粘着剤等の接着力だけでは、シリンダボア壁の保温具が溝状冷却水流路内の設置位置からずれることや、シリンダ壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が、基体部材への貼着位置からずれることを防ぎきれない。接着剤、接着テープ、粘着剤等の金属材料に対する接着力は、合成樹脂に対する接着力に比べ弱いので、なおさら上記の位置ずれを防ぎ難くなる。
本発明のシリンダボア壁の保温具は、基体部材の内側の面に、シリンダボア壁保温部材の位置ずれ防止用の凹部が形成されており、且つ、シリンダボア壁保温部材が凹部を覆っていることが、溝状冷却水流路内で、シリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が、基体部材への貼着位置からずれ難くなる点で、好ましい。また、本発明のシリンダボア壁の保温具は、基体部材の外側の面に、シリンダボア壁の対壁接触部材の位置ずれ防止用の凹部が形成されており、且つ、シリンダボア壁の対壁接触部材が凹部を覆っていることが、溝状冷却水流路内で、シリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が、基体部材への貼着位置からずれ難くなる点で、好ましい。シリンダボア壁保温部材の位置ずれ防止用の凹部及びシリンダボア壁の対壁接触部材の位置ずれ防止用の凹部には、溝状冷却水流路内に設置されて感熱膨張ゴムが膨張した状態では、膨張したシリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が食い込んでいるので、シリンダボア壁保温部材の位置ずれ防止用の凹部及びシリンダボア壁の対壁接触部材の位置ずれ防止用の凹部より、シリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が、基体部材の固定位置からずれ難くなる。位置ずれ防止用の凹部の形状は、特に制限されず、例えば、円形のくぼみ、矩形のくぼみ、円形又は矩形の貫通孔が挙げられる。位置ずれ防止用の凹部の形成位置、数は、適宜選択される。
本発明のシリンダボア壁の保温具は、図5に示す形態例のように、一端側に、冷却水流れ仕切り部材を有することができる。また、本発明のシリンダボア壁の保温具は、支持部に、保温具全体が上方向にずれるのを防止するための部材、例えば、支持部の両側の上側に付設され、上端がシリンダヘッド又はシリンダヘッドガスケットに当接するシリンダヘッド当接部材を有することができる。また、本発明のシリンダボア壁の保温具は、その他の冷却水の流れを調節するための部材等を有することもできる。
図5に示すシリンダボア壁の保温具36aは、図4に示すシリンダブロック11の全シリンダボア壁のうちの片側半分のボア壁の保温用の保温具であるが、本発明のシリンダボア壁の保温具としては、図12に示す形態例のように、全シリンダボア壁のうちの片側の一部のボア壁の保温用の保温具が挙げられる。図12に示すシリンダボア壁の保温具36bは、図4に示すシリンダブロック11の片側半分のボア壁21aのうちの一部、すなわち、シリンダボア12b1と12b2のボア壁の保温用の保温具である。なお、図12は、本発明のシリンダボア壁の保温具の形態例の模式的な斜視図であり、図12(A)は内側斜め上から見た斜視図であり、図12(B)は外側斜め上から見た斜視図である。また、本発明のシリンダボア壁の保温具としては、図13に示す形態例のように、全シリンダボアのボア壁の全部の保温用の保温具が挙げられる。図13に示すシリンダボア壁の保温具36cは、図4に示すシリンダブロック11の全シリンダボアのボア壁の全部の保温用の保温具である。つまり、本発明のシリンダボア壁の保温具は、シリンダブロックの全シリンダボアのボア壁の全部の保温用の保温具であってもよいし、シリンダブロックの全シリンダボアのボア壁のうちの一部、例えば、片側半分や片側の一部の保温用の保温具であってもよい。なお、図13は、本発明のシリンダボア壁の保温具の形態例の模式的な斜視図である。
図11では、図5に示すシリンダボア壁の保温具36aのような、基体部材の底側には保温部材が配設されていないシリンダボア壁の保温具が、シリンダブロックの溝状冷却水流路に設置されている様子を示しているが、本発明のシリンダボア壁の保温具としては、図16に示す形態例のように、基体部材の底側にも、感熱膨張ゴムからなる保温部材が配設されている保温具が挙げられる。図16に示すシリンダボア壁の保温具36dでは、基体部材34bの底側にも、保温部材が配設されている。このシリンダボア壁の保温具36dは、図17に示すように、感熱膨張ゴムからなり上下方向の長さが基体部材34bより長いシリンダボア壁の保温部材35bと感熱膨張ゴムからなり上下方向の長さが基体部材34bより長いシリンダボア壁の対壁接触部材33bを用意し、次いで、基体部材34bの下側より、シリンダボア壁の保温部材35b及びシリンダボア壁の対壁接触部材33bの下側がはみ出るようにして、基体部材34bに、シリンダボア壁の保温部材35b及びシリンダボア壁の対壁接触部材33bを貼着させ、次いで、シリンダボア壁の保温部材35bの下部内側面353b及びシリンダボア壁の対壁接触部材33bの下部内側面333bを、基体部材34bの底面343bに貼着させて、基体部材34bの底面343bを覆い、更に、シリンダボア壁の保温部材35bの下部内側面353bとシリンダボア壁の対壁接触部材33bの下部内側面333bとを貼着させることにより作製される。このとき、図17において、シリンダボア壁の保温部材35bの下部内側面353b及びシリンダボア壁の対壁接触部材33bの下部内側面333bを、基体部材34bの底面343bに貼着させて、基体部材34bの底面343bを覆い、更に、シリンダボア壁の保温部材35bの下部内側面353bとシリンダボア壁の対壁接触部材33bの下部内側面333bとを貼着させることにより、図16に示すように、基体部材34bの底側に、感熱膨張ゴムからなる底側保温部39が形成される。
図18に、シリンダボア壁の保温具36dが、シリンダブロック11bに設置されている様子を示す。シリンダボア壁の保温具36dは、図18(A)に示すように、シリンダブロック11bの溝状冷却水流路14bの底に、シリンダボア壁の保温具36dの底側保温部39が接するように、シリンダブロック11bの溝状冷却水流路14b内に設置される。そして、シリンダボア壁の保温具36dが、溝状冷却水流路14bに設置された後、感熱膨張ゴムが加熱されると、図18(B)に示すように、シリンダボア壁保温部材35bは、シリンダボア壁17bに接触するまで膨張し、シリンダボア壁の対壁接触部材33bは、シリンダボア壁の対壁18bに接触するまで膨張し、底側保温部39は、溝状冷却水流路14bの底面全体に接触するまで膨張する。シリンダブロックでは、溝状冷却水流路の底側(図18(B)中、符号111で示す部分)から、熱が外に逃げるので、シリンダボア壁の保温具36dのように、基体部材の底側にも、感熱膨張ゴムからなる保温部材が配設されていることにより、シリンダボア壁の保温性が高くなる。また、シリンダブロックの溝状冷却水流路の底側は、図18に示す形態例のように、曲面になっているもの多く、このような場合に、基体部材の底側にも、感熱膨張ゴムからなる保温部材を配設し、且つ、感熱膨張後にシリンダブロックの溝状冷却水流路の底側の形状に適合するように、基体部材の底側の保温部材の形状を成形することにより、溝状冷却水流路の底側の面への保温部材の密着性を高めることができるので、シリンダボア壁の保温性が高くなる。
なお、図16は、本発明のシリンダボア壁の保温具の形態例であるシリンダボア壁の保温具36dの断面を示す模式図である。また、図17は、図16に示すシリンダボア壁の保温具36dを作製する様子を示す模式図である。また、図18は、図16に示すシリンダボア壁の保温具36dが、溝状冷却水流路内に設置されている様子を示す断面図である。
本発明の内燃機関は、溝状冷却水流路が形成されているシリンダブロックを有し、
該溝状冷却水流路内に、本発明のシリンダボア壁の保温具が設置されていること、
を特徴とする内燃機関である。
本発明の内燃機関に係るシリンダブロックは、本発明のシリンダボア壁の保温具に係るシリンダブロックと同様である。
本発明の内燃機関は、シリンダブロック及びその溝状冷却水流路内に設置されている本発明のシリンダボア壁の保温具の他に、シリンダヘッド、カムシャフト、バルブ、ピストン、コンロッド、クランクシャフトを有する。
本発明のシリンダボア壁の内燃機関では、下記式(1):
((w−t)/(t0−IN+t0−OUT))×100 (1)
(式(1)中、wは溝状冷却水流路の流路幅であり、tは基体部材の厚みであり、t0−INはシリンダボア壁保温部材の開放状態の厚みであり、t0−OUTはシリンダボア壁の対壁接触部材の開放状態の厚みである。)
で表される値が、好ましくは17〜75%、特に好ましくは20〜40%であることが、膨張後にシリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材を形成する膨張後の感熱膨張ゴムの弾性力が適切になり、本発明のシリンダボア壁の保温具が、溝状冷却水流路内の設置位置からずれること及びシリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が、基体部材に接着剤、接着テープ、粘着剤等により貼着されている位置からずれことを防ぐ効果が高くなる点で、好ましい。なお、図15に示す形態例のシリンダブロック11aのように、溝状冷却水流路を上下方向に見たときに、流路幅が異なっている場合には、溝状冷却水流路内に、本発明のシリンダボア壁の保温具を設置した後に、本発明のシリンダボア壁の保温具が占める上下方向の位置のうち、最も流路幅が大きくなる位置の流路幅をwmax、最も流路幅が小さくなる位置の流路幅をwminとすると、最も流路幅が大きくなる位置でwmaxの値を用いて算出される式(1)の値と、最も流路幅が小さくなる位置でwminの値を用いて算出される式(1)の値とが、上記式(1)の範囲に入っていればよい。
式(1)において、(w−t)は、溝状冷却水流路内で感熱膨張した後のシリンダボア壁保温部材の厚み(ta−IN)と溝状冷却水流路内で感熱膨張した後のシリンダボア壁の対壁接触部材の厚み(ta−OUT)の合計の厚みに相当する。よって、式(1)は、下記式(2):
((ta−IN+ta−OUT)/(t0−IN+t0−OUT))×100 (2)
(式(2)中、ta−INは溝状冷却水流路内で膨張した後のシリンダボア壁保温部材の厚みであり、ta−OUTは溝状冷却水流路内で膨張した後のシリンダボア壁の対壁接触部材の厚みであり、t0−INはシリンダボア壁保温部材の開放状態の厚みであり、t0−OUTはシリンダボア壁の対壁接触部材の開放状態の厚みである。)
と同じである。そして、式(2)は、本発明の内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路内で、膨張後のシリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が、どれだけ圧縮されているかを示す。つまり、式(2)は、溝状冷却水流路内での膨張後の感熱膨張ゴムの圧縮率(%)に相当する。そのため、式(2)で表される値が、好ましくは17〜75%、特に好ましくは20〜40%であることが、膨張後にシリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材を形成する膨張後の感熱膨張ゴムの弾性力が適切になり、本発明のシリンダボア壁の保温具が、溝状冷却水流路内の設置位置からずれること及びシリンダボア壁保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が、基体部材に接着剤、接着テープ、粘着剤等で固定されている位置からずれことを防ぐ効果が高くなる点で、好ましい。なお、本発明において、溝状冷却水流路内で感熱膨張した後のシリンダボア壁保温部材の厚み(ta−IN)とは、図14(C)に示すように、溝状冷却水流路内で膨張した後の感熱膨張ゴムの膨張後の厚み、すなわち、溝状冷却水流路内で感熱膨張した後のシリンダボア壁保温部材351aの厚みであり、また、溝状冷却水流路内で感熱膨張した後のシリンダボア壁の対壁接触部材の厚み(ta−OUT)とは、図14(C)に示すように、溝状冷却水流路内で膨張した後の感熱膨張ゴムの膨張後の厚み、すなわち、溝状冷却水流路内で感熱膨張した後のシリンダボア壁の対壁接触部材331aの厚みである。図14(C)は、図14(A)に示すシリンダボア壁保温部材35a及びシリンダボア壁の対壁接触部材33aが、シリンダブロック11の溝状冷却水流路内で感熱膨張した後の様子を示す図である。
本発明の自動車は、本発明の内燃機関を有することを特徴とする自動車である。
本発明によれば、簡便な製造工程で、シリンダブロックの溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面への密着性が高く、溝状冷却水流路内で位置ずれを起こし難いシリンダボア壁の保温具を製造できるので、安価に、シリンダブロックの溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面への密着性が高く、溝状冷却水流路内で位置ずれを起こし難いシリンダボア壁の保温具を提供できる。
8 最下部
9 最上部
10 中間近傍の位置
11、11a、11b シリンダブロック
12 ボア
12a1、12a2 端ボア
12b1、12b2 中間ボア
13 シリンダボア壁
14 溝状冷却水流路
15 冷却水供給口
16 冷却水排出口
17 シリンダボア壁
17a、17b 片側半分側の壁面
18 シリンダボア壁の対壁
21a、21b 片側半分のボア壁
23a1、23a2、23b1、23b2 各シリンダボアのボア壁
26 シリンダボア壁保温部材の接触面
27 シリンダボア壁の対壁接触部材の接触面
30、31 隙間
33a、33b 感熱膨張前のシリンダボア壁の対壁接触部材
34a、34b 基体部材
35a、35b 感熱膨張前のシリンダボア壁保温部材
36a、36b、36c、36d シリンダボア壁の保温具
38 冷却水流れ仕切部材
39 底側保温部
191 ボア間部
192 溝状冷却水流路のシリンダボア側の壁面の各シリンダボアのボア壁の境界
O シリンダボアの中心軸
0−IN シリンダボア壁保温部材の開放状態の厚み
0−OUT シリンダボア壁の対壁接触部材の開放状態の厚み
a−IN 溝状冷却水流路内で膨張した後のシリンダボア壁保温部材の厚み
a−OUT 溝状冷却水流路内で膨張した後のシリンダボア壁の対壁接触部材の厚み
i−IN 感熱膨張前のシリンダボア壁保温部材の厚み
i−OUT 感熱膨張前のシリンダボア壁の対壁接触部材の厚み
w 溝状冷却水流路の流路幅

Claims (9)

  1. シリンダボアを有する内燃機関のシリンダブロックの溝状冷却水流路に設置され、全シリンダボアのボア壁の全部又は全シリンダボアのボア壁のうちの一部を保温するための保温具であり、
    合成樹脂製であり、該保温具の設置位置の該溝状冷却水流路の形状に沿う形状を有する基体部材と、
    感熱膨張ゴムで形成されており、且つ、該基体部の内側に貼着されているシリンダボア壁保温部材と、
    感熱膨張ゴムで形成されており、且つ、該基体部の外側に貼着されているシリンダボア壁の対壁接触部材と、
    該基体部材の下側より、該シリンダボア壁の保温部材及び該シリンダボア壁の対壁接触部材の下側がはみ出るように、該基体部材に、シリンダボア壁の保温部材及びシリンダボア壁の対壁接触部材が貼着され、該シリンダボア壁の保温部材の下部内側面と該シリンダボア壁の対壁接触部材の下部内側面とが貼着されることにより配設されている底側保温部と、
    を有すること、
    を特徴とするシリンダボア壁の保温具。
  2. 前記シリンダボア壁保温部材を形成している感熱膨張ゴム及び前記シリンダボア壁の対壁接触部材を形成している感熱膨張ゴムのいずれもが、ベースフォーム材と、熱可塑性物質と、からなり、該ベースフォーム材が、シリコンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム又はニトリルブタジエンゴムであり、該熱可塑性物質が、樹脂又は金属材料であることを特徴とする請求項1記載のシリンダボア壁の保温具。
  3. 前記シリンダボア壁保温部材の開放状態の厚み(t0-IN)に対する前記シリンダボア壁保温部材の感熱膨張前の厚み(ti-IN)の割合((ti-IN/t0-IN)×100)、及び前記シリンダボア壁の対壁接触部材の開放状態の厚み(t0-OUT)に対する前記シリンダボア壁の対壁接触部材の感熱膨張前の厚み(ti-OUT)の割合((ti-OUT/t0-OUT)×100)が、いずれも6〜87%であることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載のシリンダボア壁の保温具。
  4. 前記基体部材の内側の面に、前記シリンダボア壁本部材の位置ずれ防止用の凹部が形成されており、且つ、前記シリンダボア壁保温部材が該凹部を覆っていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のシリンダボア壁の保温具。
  5. 前記基体部材の外側の面に、前記シリンダボア壁の対壁接触部材の位置ずれ防止用の凹部が形成されており、前記シリンダボア壁の対壁接触部材が該凹部を覆っていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のシリンダボア壁の保温具。
  6. 溝状冷却水流路が形成されているシリンダブロックを有し、
    該溝状冷却水流路内に、請求項1〜いずれか1項記載のシリンダボア壁の保温具が設置されていること、
    を特徴とする内燃機関。
  7. 下記式(1):
    ((w−tx)/(t0-IN+t0-OUT))×100 (1)
    (式(1)中、wは前記溝状冷却水流路の流路幅であり、txは前記基体部材の厚みであり、t0-INは前記シリンダボア壁保温部材の開放状態の厚みであり、t0-OUTは前記シリンダボア壁の対壁接触部材の開放状態の厚みである。)
    で表される値が17〜75%であることを特徴とする請求項記載の内燃機関。
  8. 下記式(2):
    ((ta-IN+ta-OUT)/(t0-IN+t0-OUT))×100 (2)
    (式(2)中、ta-INは前記溝状冷却水流路内で膨張した後のシリンダボア壁保温部材の厚みであり、ta-OUTは前記溝状冷却水流路内で膨張した後のシリンダボア壁の対壁接触部材の厚みであり、t0-INは前記シリンダボア壁保温部材の開放状態の厚みであり、t0-OUTは前記シリンダボア壁の対壁接触部材の開放状態の厚みである。)
    で表される値が17〜75%であることを特徴とする請求項記載の内燃機関。
  9. 請求項いずれか1項記載の内燃機関を有することを特徴とする自動車。
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