JP2015203150A - 成形体の製造方法 - Google Patents

成形体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015203150A
JP2015203150A JP2014084488A JP2014084488A JP2015203150A JP 2015203150 A JP2015203150 A JP 2015203150A JP 2014084488 A JP2014084488 A JP 2014084488A JP 2014084488 A JP2014084488 A JP 2014084488A JP 2015203150 A JP2015203150 A JP 2015203150A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hard particles
molded
molded object
molded body
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014084488A
Other languages
English (en)
Inventor
紘敬 三輪
Hirotaka Miwa
紘敬 三輪
三浦 進
Susumu Miura
進 三浦
南部 俊和
Toshikazu Nanbu
俊和 南部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2014084488A priority Critical patent/JP2015203150A/ja
Publication of JP2015203150A publication Critical patent/JP2015203150A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

【課題】耐摩耗性を向上し得る成形体の製造方法、この成形体の製造方法によって製造される成形体、この成形体を適用した摺動接点部材、熱拡散部材及び電池用電極を提供する。
【解決手段】成形体の製造方法は、硬質粒子を含む成形体の製造方法であって、硬質粒子の表面に硬質粒子よりも軟質である軟質材料からなる少なくとも1層のコーティング層を有するコーティング硬質粒子を含む粉体を、基体上に噴射し、付着させる製造方法である。
成形体は、上記成形体の製造方法によって製造されたものである。
摺動接点部材、熱拡散部材又は電池用電極は、上記成形体の製造方法によって製造された成形体を含むものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、成形体の製造方法に関する。更に詳細には、本発明は、硬質粒子を所定の軟質材料でコーティングしたコーティング硬質粒子を用いる成形体の製造方法、この成形体の製造方法によって製造される成形体、この成形体を適用した摺動接点部材、熱拡散部材及び電池用電極に関する。
従来、耐摩耗性及び耐疲労性を向上させるために、基材上にコールドスプレー法により皮膜を成膜することが行われている(特許文献1参照。)。
このコールドスプレー法においては、摺動合金粉末と硬質粒子の混合粉末を音速以上の作動ガス流により基材に衝突させている。
特許第5175449号
しかしながら、特許文献1に記載の皮膜を成膜するコールドスプレー法においては、混合粉末に含まれる硬質粒子が基板に衝突する際に反発して付着率が下がり、成形体における硬質粒子の含有割合が低下するため、皮膜の硬質粒子面積率が32%程度であり、成形体の耐摩耗性が十分なものとならないという問題点があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明は、耐摩耗性を向上し得る成形体の製造方法、この成形体の製造方法によって製造される成形体、この成形体を適用した摺動接点部材、熱拡散部材及び電池用電極を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた。その結果、硬質粒子を所定の軟質材料でコーティングしたコーティング硬質粒子を含む粉体を、基体上に噴射し、付着させることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の成形体の製造方法は、硬質粒子を含む成形体の製造方法であって、硬質粒子の表面に硬質粒子よりも軟質である軟質材料からなる少なくとも1層のコーティング層を有するコーティング硬質粒子を含む粉体を、基体上に噴射し、付着させる製造方法である。
また、本発明の成形体は、上記本発明の成形体の製造方法によって製造されたものである。
更に、本発明の摺動接点部材、熱拡散部材又は電池用電極は、上記本発明の成形体の製造方法によって製造された成形体を含むものである。
本発明によれば、硬質粒子の表面に該硬質粒子よりも軟質である軟質材料からなる少なくとも1層のコーティング層を有するコーティング硬質粒子を含む粉体を、基体上に噴射し、付着させることとした。
そのため、耐摩耗性を向上し得る成形体の製造方法、この成形体の製造方法によって製造される成形体、この成形体を適用した摺動接点部材、熱拡散部材及び電池用電極を提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る成形体の製造方法を模式的に示す説明図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係る成形体の製造方法に用いるコーティング硬質粒子の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図3(A)は、図1に示す成形体の包囲線IIIで囲んだ部分の厚み方向に沿った断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、図3(B)は、未コーティング硬質粒子と軟質材料粒子とを含む混合粉体を用いて製造した成形体の図1における包囲線IIIで囲んだ部分と同様の部分の厚み方向に沿った断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図4は、図1に示す成形体の包囲線IIIで囲んだ部分の厚み方向に沿った断面の他の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図5は、本発明の第2の実施形態に係る成形体の製造方法を模試的に示す説明図である。 図6は、本発明の第3の実施形態に係る摺動接点部材を適用した直流モータを説明する断面図である。 図7(A)は、試験例1−1の成形体の製造方法によって製造した成形体の厚み方向に沿った断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、図7(B)は、試験例1−2の成形体の製造方法によって製造した成形体の厚み方向に沿った断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図8は、試験例2−1〜試験例2−12のT/Dと硬質粒子含有割合との関係を示すグラフである。 図9は、試験例3−1〜試験例3−10のT/Dとコーティング硬質粒子含有割合との関係を示すグラフである。 図10は、試験例4−1〜試験例7−12のコーティング硬質粒子含有割合と硬質粒子含有割合との関係を示すグラフである。 図11は、ピンオンディスク試験の要領を示す概略図である。 図12は、試験例8−1〜試験例8−3の成形体を用いたピンオンディスク試験における比摩耗量を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る成形体の製造方法、この成形体の製造方法によって製造される成形体、この成形体を適用した摺動接点部材、熱拡散部材及び電池用電極について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る成形体の製造方法、及びこの成形体の製造方法によって製造される成形体について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る成形体の製造方法を模式的に示す説明図である。また、図2は、本発明の第1の実施形態に係る成形体の製造方法に用いるコーティング硬質粒子の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。更に、図3(A)は、図1に示す成形体の包囲線IIIで囲んだ部分の厚み方向に沿った断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。また、図3(B)は、未コーティング硬質粒子と軟質材料粒子とを含む混合粉体を用いて製造した成形体の図1における包囲線IIIで囲んだ部分と同様の部分の厚み方向に沿った断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。更に、図4は、図1に示す成形体の包囲線IIIで囲んだ部分の厚み方向に沿った断面の他の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の成形体の製造方法は、硬質粒子2の表面に硬質粒子2よりも軟質である軟質材料からなる少なくとも1層のコーティング層4を有するコーティング硬質粒子1を含む粉体Pを、基体S上に噴射し、付着させ、基体S上に硬質粒子2を含む成形体10を製造する方法である。具体的には、ジェットノズルNと、ヘリウムガスを加熱するヒータHと、粉体Pを供給するフィーダFを有する装置を用い、ジェットノズルNより100〜400℃に加熱されたヘリウムガスと共に、噴射速度800〜1500m/sで基体S上に粉体Pを衝突させ、付着させ、堆積させることにより、成形体10を形成する。なお、図2に示すコーティング硬質粒子においては、硬質粒子の平均粒径は5μmであり、コーティング層の厚みは0.5μmである。また、図3(A)及び図4に示すように、成形体10は、軟質材料からなるコーティング層4も含む。更に、本発明の成形体においては、基体Sを必須の構成とはしないが、基体Sを含む場合も本発明の範囲に含まれる。
未コーティング硬質粒子、すなわち、通常の硬質粒子は、基体に衝突する際に反発し易く、含有割合を単に高めても、成形体に含まれる硬質粒子の含有割合は高くならない。
そこで、基体上に噴射する粉体として、硬質粒子を所定の軟質材料でコーティングしたコーティング硬質粒子を用いた場合、未コーティング硬質粒子と軟質材料粒子とを含む混合粉体を用いた場合より、粉体を確実に付着させることができ、硬質粒子の含有割合を高めることができるため、成形体の耐摩耗性を向上させることができる。更に、図3から、本実施形態の製造方法によって製造された成形体は、従来の混合粉体を用いた場合と比較して、硬質粒子の含有割合が高いことが分かる。なお、図3中の黒色部は硬質粒子(導電性ダイヤモンド)、白色部は軟質材料(銅)を示す。また、硬質粒子の含有割合が同じであっても、コーティング硬質粒子を用いて成形体を製造すると、未コーティング硬質粒子と軟質材料粒子との混合粉体を用いる場合と比較して、硬質粒子同士を分散させることができるため、硬質粒子同士が密集した場合に延性が低下することに起因する亀裂や割れ等の発生を抑制することができる。更に、詳しくは後述するが、硬質粒子と軟質材料を適宜選択することにより、成形体の導電性や熱伝導率を向上させることもできる。
ここで、各構成について更に詳細に説明する。
上記硬質粒子2としては、耐摩耗性に優れるもの、又は後述する基体Sの耐摩耗性を向上させ得るものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、耐摩耗性や導電性、熱伝導性を向上させ得るという観点からは、硬質粒子として、炭素、ケイ素、及び所定の固体電解質からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。なお、所定の固体電解質とは、リチウム、ゲルマニウム、アルミニウム、チタン、酸素、ランタン、ジルコニウム、リン及び硫黄からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものである。耐摩耗性や導電性、熱伝導性をより向上させ得るという観点からは、典型例としては、導電性ダイヤモンドを挙げることができるが、これに限定されるものではない。すなわち、導電性ダイヤモンドライクカーボンなどを好適例として挙げることもできる。
ここで、導電性ダイヤモンドとしては、ホウ素ドープダイヤモンドなど従来公知のものを適用することができる。また、導電性ダイヤモンドライクカーボンとしては、ta−C構造のダイヤモンドライクカーボン(いわゆる水素フリーダイヤモンドライクカーボン)やa−C:H構造のダイヤモンドライクカーボン(いわゆる水素含有ダイヤモンドライクカーボン)、金属元素ドープしたダイヤモンドライクカーボンなど従来公知のものを適用することができる。その中でも、導電性ダイヤモンドは、放熱性が高いという観点から特に好ましい。
また、特に限定されるものではないが、硬質粒子の平均粒径(D)は、50μm以下であることが好ましい。硬質粒子の平均粒径(D)が50μmより大きいと、成形体中に耐摩耗性や導電性、熱伝導性などの低下の原因となる気孔が生じる可能性がある。また、硬質粒子の平均粒径(D)を50μm以下とすると、成形体中の硬質粒子の含有割合を80体積%以上とすることが可能となる。
ここで、「平均粒径」としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用いて観察される硬質粒子の(観察面)の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離を採用し、数〜数十視野中に観察される各粒子の粒径の平均値として算出される値を採用することができる。また、例えば、粒度分布計を用いて計測される硬質粒子のD50を採用することもできる。なお、コーティング硬質粒子についても同様である。
更に、上記コーティング層4としては、単層又は複層より硬質粒子2の表面に形成され、硬質粒子2よりも軟質である軟質材料からなるものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、硬質粒子との硬さの関係という観点からは、軟質材料のビッカース硬さが、硬質粒子のビッカース硬さの1/2以下であることが好ましい。軟質材料のビッカース硬さが硬質粒子のビッカース硬さの1/2以下であると、成形体中の硬質粒子の含有割合をより高めることができる。これにより、耐摩耗性や導電性、熱伝導性をより向上させることが可能になる。
また、特に限定されるものではないが、耐摩耗性や導電性、熱伝導性を向上させ得るという観点からは、軟質材料としては、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、チタン及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものを好適例として挙げることができる。
軟質材料としては、炭素と反応し易い材料若しくは触媒又は導電助剤を適用することが好ましい。成形体として導電性や熱伝導性を向上させることができると、例えば、電動機や発電機の効率を向上させることができ、各種機械の熱暴走を抑制ないし防止することができ、電池の内部抵抗を低減することができる。
なお、炭素と反応しやすい材料若しくは触媒成分の好適例としては、コバルト、ニッケル、チタンなどを挙げることができ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて適用することができる。これらの触媒成分は、導電性ダイヤモンド粒子を用いて造粒体を得るためには必要な成分である。
また、導電助剤の好適例としては、金、銀、銅、ニッケル、鉄などを挙げることができ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて適用することができる。
更に、特に限定されるものではないが、硬質粒子の平均粒径(D)に対するコーティング層の厚み(T)の比(T/D)が0.20以下であることが好ましい。硬質粒子の平均粒径(D)に対するコーティング層の厚み(T)の比(T/D)が0.20以下とすると、成形体中の硬質粒子の含有割合を80体積%以上とすることが可能となる。これにより、耐摩耗性や導電性、熱伝導性をより向上させることが可能になる。
なお、「コーティング層厚み(T)」としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用いて観察されるコーティング硬質粒子の(観察断面)の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離を採用し、数〜数十視野中に観察される各粒子の粒径の平均値として算出される値を採用することができる。また、例えば、粒度分布計を用いて計測されるコーティング硬質粒子のD50と硬質粒子のD50の差の1/2をコーティング層厚みとして採用することもできる。
また、特に限定されるものではないが、上述のコーティング層は、電解メッキ、無電解メッキ、PVD法及びCVD法からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法により形成されたものであることが好ましい。このような方法によると薄いコーティング層を容易に、かつ、安価に形成することができる。
更に、上記基体Sとしては、特に限定されるものではないが、例えば、銅、銅合金などの金属材料や、カーボンなどの炭素材料などからなり、整流子やブラシ等に適用される従来公知の導電部材、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料からなり、冷却フィン等に適用される従来公知の熱拡散部材の基材、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属材料からなり、各種電池用電極の集電部材を適宜用いることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る成形体の製造方法、及びこの成形体の製造方法によって製造される成形体について詳細に説明する。なお、上述の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る成形体の製造方法を模式的に示す説明図である。
図5に示すように、本実施形態の成形体の製造方法は、硬質粒子2の表面に硬質粒子2よりも軟質である軟質材料からなる少なくとも1層のコーティング層4を有するコーティング硬質粒子1と、コーティング層を有さない未コーティング硬質粒子(硬質粒子)2とを含む粉体P’を、基体S上に噴射し、付着させ、基体S上に硬質粒子2を含む成形体10を製造する方法である。
未コーティング硬質粒子、すなわち、通常の硬質粒子は、基体に衝突する際に反発し易く、含有割合を単に高めても、成形体に含まれる硬質粒子の含有割合は高くならない。
そこで、基体上に噴射する粉体として、未コーティング硬質粒子と硬質粒子を所定の軟質材料でコーティングしたコーティング硬質粒子とを含む混合粉体を用いた場合、未コーティング硬質粒子と軟質材料粒子とを含む混合粉体を用いた場合より、粉体を確実に付着させることができ、硬質粒子の含有割合をより高めることができるため、成形体の耐摩耗性や導電性、熱伝導性をより向上させることができる。
また、特に限定されるものではないが、成形体中の硬質粒子の含有割合を高め、耐摩耗性や導電性、熱伝導率をより向上させるという観点からは、粉体におけるコーティング硬質粒子の含有割合が15体積%以上であることが好ましい。粉体におけるコーティング硬質粒子の含有割合を15体積%以上とすると、成形体中の硬質粒子の含有割合を80体積%以上とすることが可能となる。また、粉体におけるコーティング硬質粒子の含有割合が15体積%未満である場合には、各種性能の向上効果が小さい。
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態に係る摺動接点部材を適用した直流電動機(直流モータ)を説明する断面図である。直流モータMは、モータケース51の内側に、ベアリング52により回転自在に保持した電機子53と、電機子53のコイル54に対抗するマグネット55を備えている。そして、モータケース51側に、複数のブラシ56を備えている。各ブラシ56は、電機子53に同軸状に設けたコミュテータ(整流子)57に対して摺動接触しながら通電をする。なお、直流発電機にあっても同様の構成である。
上記各実施形態において説明した成形体は、図6に示す直流モータにおいて、ブラシ56及びコミュテータ57のいずれか一方又は双方を構成する。これにより、直流モータの部品の長寿命化や性能向上を実現することができる。特に、硬質粒子の含有割合が同じであっても、コーティング硬質粒子を用いて成形体を製造すると、未コーティング硬質粒子と軟質材料粒子との混合粉体を用いる場合と比較して、硬質粒子同士を分散させることができるため、硬質粒子同士が密集した場合に延性が低下することに起因する亀裂や割れ等の発生を抑制することができる。また、ブラシの仕様上、耐摩耗性と導電性を両立するためにも硬質粒子同士が分散していることが好ましい。
なお、図示しないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料からなり、冷却フィン等に適用される従来公知の熱拡散部材の基材や、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属材料からなり、各種電池用電極の集電部材を基体として適宜用い、硬質粒子とコーティング層を構成する軟質材料とを適宜選択することにより、成形体中の硬質粒子の含有割合を高めることができ、熱伝導性や導電性を向上させることができる。これらは、熱拡散部材や電池用電極として好適に用いることができる。
以下、本発明を試験例により更に詳細に説明する。
(試験例1−1)
ジェットノズルと、ヘリウムガスを加熱するヒータと、粉体を供給するフィーダを有する装置を用い、ジェットノズルより300℃に加熱されたヘリウムガスと共に、噴射速度800〜1500m/sで、ディスク状の銅基体上に、硬質粒子としての導電性ダイヤモンドの表面に軟質材料としての銅からなるコーティング層を有するコーティング硬質粒子を含む粉体を衝突させ、付着させ、堆積させることにより、本例の成形体を得た。なお、導電性ダイヤモンドの硬さは、Hv8000であり、軟質材料の硬さは、Hv100であった。また、導電性ダイヤモンドの平均粒径は5μmであり、コーティング層の厚みは0.5μmであった(T/D=0.1)。
(試験例1−2)
ジェットノズルと、ヘリウムガスを加熱するヒータと、粉体を供給するフィーダを有する装置を用い、ジェットノズルより300℃に加熱されたヘリウムガスと共に、噴射速度800〜1500m/sで、ディスク状の銅基体上に、硬質粒子としての導電性ダイヤモンドと軟質材料粒子としての銅とを含む混合粉体を衝突させ、付着させ、堆積させることにより、本例の成形体を得た。なお、導電性ダイヤモンドの硬さは、Hv8000であり、軟質材料の硬さは、Hv100であった。
図7(A)は、試験例1−1の成形体の製造方法によって製造した成形体の厚み方向に沿った断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、図7(B)は、試験例1−2の成形体の製造方法によって製造した成形体の厚み方向に沿った断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図7に示すように、本発明の範囲に属する試験例1−1の成形体の製造方法によって製造した成形体は、本発明外の試験例1−2の成形体の製造方法によって製造した成形体と比較して、硬質粒子同士を分散させることができることが分かる。そのため、試験例1−1における成形体は、硬質粒子同士が密集した場合に延性が低下することに起因する亀裂や割れ等の発生を抑制することができる。
(試験例2−1〜試験例2−12)
ジェットノズルと、ヘリウムガスを加熱するヒータと、粉体を供給するフィーダを有する装置を用い、ジェットノズルより300℃に加熱されたヘリウムガスと共に、噴射速度800〜1500m/sで、ディスク状の銅基体上に、硬質粒子としての導電性ダイヤモンドの表面に軟質材料としての銅からなるコーティング層を有するコーティング硬質粒子を含む粉体を衝突させ、付着させ、堆積させることにより、各例の成形体を得た。なお、試験例2−1〜試験例2−12の各例におけるT/Dは、平均粒径5μmの導電性ダイヤモンドに対して、コーティング層の厚みを変化させて、それぞれ1.00〜0と小さくした(なお、試験例2−12におけるT/D=0はコーティング層を形成していないことを意味する。)。また、導電性ダイヤモンドの硬さは、Hv8000であり、軟質材料の硬さは、Hv100であった。
各例の硬質粒子の含有割合を厚み方向に沿った断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を二値化して求めた。得られた結果を図8に示す。
図8は、試験例2−1〜試験例2−12のT/Dと硬質粒子含有割合との関係を示すグラフである。
図8より、T/Dを0.20以下とすると、硬質粒子である導電性ダイヤモンドの含有割合が35体積%以上となることが分かった。
(試験例3−1〜試験例3−10)
ジェットノズルと、ヘリウムガスを加熱するヒータと、粉体を供給するフィーダを有する装置を用い、ジェットノズルより300℃に加熱されたヘリウムガスと共に、噴射速度800〜1500m/sで、ディスク状の銅基体上に、硬質粒子としての導電性ダイヤモンドの表面に軟質材料としての銅からなるコーティング層を有するコーティング硬質粒子と未コーティング硬質粒子とを含む混合粉体を衝突させ、付着させ、堆積させることにより、各例の成形体を得た。なお、試験例3−1〜試験例3−10の各例におけるT/Dは、平均粒径5μmの導電性ダイヤモンドに対して、コーティング層の厚みを変化させて、それぞれ0.60〜0と小さくした(なお、試験例3−10におけるT/D=0はコーティング層を形成していないことを意味する。)。また、導電性ダイヤモンドの硬さは、Hv8000であり、軟質材料の硬さは、Hv100であった。
各例のコーティング硬質粒子の含有割合を厚み方向に沿った断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を二値化して求めた。得られた結果を図9に示す。
図9は、試験例3−1〜試験例3−10のT/Dとコーティング硬質粒子含有割合との関係を示すグラフである。
図9において、成形体中の硬質粒子含有割合を80体積%以上とすることができる場合を示す。図9に示すように、T/Dを0.20以上、コーティング硬質粒子含有割合を15体積%以上の場合に、成形体中の硬質粒子含有割合を80体積%以上とすることができる。
(試験例4−1〜試験例7−12)
ジェットノズルと、ヘリウムガスを加熱するヒータと、粉体を供給するフィーダを有する装置を用い、ジェットノズルより300℃に加熱されたヘリウムガスと共に、噴射速度800〜1500m/sで、ディスク状の銅基体上に、硬質粒子としての導電性ダイヤモンドの表面に軟質材料としての銅からなるコーティング層を有するコーティング硬質粒子と未コーティング硬質粒子とを含む混合粉体を衝突させ、付着させ、堆積させることにより、各例の成形体を得た。なお、試験例4−1〜試験例7−12の各例におけるT/Dは、平均粒径5μmの導電性ダイヤモンドに対して、コーティング層の厚みを変化させて、それぞれ0.04、0.10、0.20及び0.40と大きくし、更に、コーティング硬質粒子の含有割合を変化させた(なお、試験例4−12、試験例5−12、試験例6−12及び試験例7−12のコーティング硬質粒子含有割合=0は硬質粒子のみを用いて成膜したことを意味する。)。また、導電性ダイヤモンドの硬さは、Hv8000であり、軟質材料の硬さは、Hv100であった。
各例のコーティング硬質粒子及び硬質粒子の含有割合を厚み方向に沿った断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を二値化して求めた。得られた結果を図10に示す。
図10は、試験例4−1〜試験例7−12のコーティング硬質粒子含有割合と硬質粒子含有割合との関係を示すグラフである。
図10より、T/D=0.04である試験例4では、コーティング硬質粒子の含有割合によらず、硬質粒子の含有割合を80体積%以上とすることができる。また、T/D=0.10である試験例5では、コーティング硬質粒子の含有割合が30体積%以下であると、硬質粒子の含有割合を80体積%以上とすることができる。更に、T/D=0.20である試験例6では、コーティング硬質粒子の含有割合が15体積%以下であると、硬質粒子の含有割合を80体積%以上とすることができる。ただし、成膜の歩留まりの観点からコーティング硬質粒子の含有割合は15体積%以上が望ましい。
(試験例8−1〜試験例8−3)
ジェットノズルと、ヘリウムガスを加熱するヒータと、粉体を供給するフィーダを有する装置を用い、ジェットノズルより300℃に加熱されたヘリウムガスと共に、噴射速度800〜1500m/sで、ディスク状の銅基体上に、硬質粒子としての導電性ダイヤモンドの表面に軟質材料としての銅からなるコーティング層を有するコーティング硬質粒子と未コーティング硬質粒子とを含む混合粉体を衝突させ、付着させ、堆積させることにより、各例の成形体を得た。なお、試験例8−1及び試験例8−2の各例におけるT/Dは、平均粒径5μmの導電性ダイヤモンドに対して、コーティング層の厚みを変化させて、硬質粒子の含有量を60体積%程度のものと、90体積%程度のものとした(なお、試験例8−3は、粉体を堆積させていない銅基体自体を適用したことを意味する。)。また、導電性ダイヤモンドの硬さは、Hv8000であり、軟質材料の硬さは、Hv100であった。
上記各例の成形体について、比摩耗量の測定を行った。図11は、ピンオンディスク試験の要領を示す概略図である。具体的には、図11に示す要領でピンオンディスク試験を行った。この試験ではディスク状の成形体10の上でピン状の相手部材(材質:グラファイト)20を摺動させた。また、この試験ではピンは転がらないように固定した。更に、この試験では荷重を10Nとし、の回転数を1000rpmとした。更に、この試験は室温(25℃)、無潤滑下で行った。得られた結果を図12に示す。
図12は、試験例8−1〜試験例8−3の成形体を用いたピンオンディスク試験における比摩耗量を示すグラフである。
図12より、硬質粒子の含有割合が60体積%程度のものに対して、80体積%程度とすると、比摩耗量は1/100程度小さくなるため、優れた耐摩耗性を有することが分かる。
以上、本発明を若干の実施形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
すなわち、上述した各実施形態に記載した構成は、各実施形態に限定されるものではなく、例えば、硬質粒子やコーティング層の構成の細部を変更したり、各実施形態の構成を上述した各実施形態以外の組み合わせにしたりすることができる。
1 コーティング硬質粒子
2 硬質粒子(未コーティング硬質粒子)
4 コーティング層
10 成形体
20 相手部材
51 モータケース
52 ベアリング
53 電機子
54 コイル
55 マグネット
56 ブラシ
57 コミュテータ(整流子)
F フィーダ
H ヒータ
M 直流モータ
N ジェットノズル
P,P’粉体
S 基体

Claims (14)

  1. 硬質粒子を含む成形体の製造方法であって、
    硬質粒子の表面に該硬質粒子よりも軟質である軟質材料からなる少なくとも1層のコーティング層を有するコーティング硬質粒子を含む粉体を、基体上に噴射し、付着させる
    ことを特徴とする成形体の製造方法。
  2. 上記軟質材料のビッカース硬さが、上記硬質粒子のビッカース硬さの1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
  3. 上記粉体が、上記コーティング層を有さない未コーティング硬質粒子を含む混合粉体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形体の製造方法。
  4. 上記粉体における上記コーティング硬質粒子の含有割合が15体積%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の成形体の製造方法。
  5. 上記軟質材料が、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、チタン及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの記載の成形体の製造方法。
  6. 上記硬質粒子の平均粒径(D)に対する上記コーティング層の厚み(T)の比(T/D)が0.20以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の成形体の製造方法。
  7. 上記硬質粒子が、炭素、ケイ素、及び所定の固体電解質からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、
    上記所定の固体電解質が、リチウム、ゲルマニウム、アルミニウム、チタン、酸素、ランタン、ジルコニウム、リン及び硫黄からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の成形体の製造方法。
  8. 上記硬質粒子の平均粒径が、50μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の成形体の製造方法。
  9. 上記コーティング層が、電解メッキ、無電解メッキ、PVD法及びCVD法からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法により形成されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の成形体の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の成形体の製造方法によって製造されたことを特徴とする成形体。
  11. 上記硬質粒子の含有割合が80体積%以上であることを特徴とする請求項10に記載の成形体。
  12. 請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の成形体の製造方法によって製造された成形体、請求項10に記載の成形体及び請求項11に記載の成形体からなる群より選ばれた少なくとも1種の成形体を含むことを特徴とする摺動接点部材。
  13. 請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の成形体の製造方法によって製造された成形体、請求項10に記載の成形体及び請求項11に記載の成形体からなる群より選ばれた少なくとも1種の成形体を含むことを特徴とする熱拡散部材。
  14. 請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の成形体の製造方法によって製造された成形体、請求項10に記載の成形体及び請求項11に記載の成形体からなる群より選ばれた少なくとも1種の成形体を含むことを特徴とする電池用電極。
JP2014084488A 2014-04-16 2014-04-16 成形体の製造方法 Pending JP2015203150A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014084488A JP2015203150A (ja) 2014-04-16 2014-04-16 成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014084488A JP2015203150A (ja) 2014-04-16 2014-04-16 成形体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015203150A true JP2015203150A (ja) 2015-11-16

Family

ID=54596789

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014084488A Pending JP2015203150A (ja) 2014-04-16 2014-04-16 成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015203150A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017159002A (ja) * 2016-03-08 2017-09-14 株式会社iMott 医療用処置具
CN107604353A (zh) * 2017-09-13 2018-01-19 中国兵器工业第五九研究所 保护层制备方法及钢铁构件
JP2018123405A (ja) * 2017-02-03 2018-08-09 日産自動車株式会社 積層部材の製造方法
KR102013823B1 (ko) * 2018-03-13 2019-08-23 재단법인 포항산업과학연구원 전기접점 및 그 제조방법
WO2020026604A1 (ja) * 2018-08-02 2020-02-06 日産自動車株式会社 摺動部材及び内燃機関用部材

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017159002A (ja) * 2016-03-08 2017-09-14 株式会社iMott 医療用処置具
JP2018123405A (ja) * 2017-02-03 2018-08-09 日産自動車株式会社 積層部材の製造方法
WO2018142219A1 (ja) * 2017-02-03 2018-08-09 日産自動車株式会社 積層部材の製造方法
US10745809B2 (en) 2017-02-03 2020-08-18 Nissan Motor Co., Ltd. Method for producing laminated member
RU2752161C2 (ru) * 2017-02-03 2021-07-23 Рено С.А.С. Способ изготовления ламинированного элемента
CN107604353A (zh) * 2017-09-13 2018-01-19 中国兵器工业第五九研究所 保护层制备方法及钢铁构件
KR102013823B1 (ko) * 2018-03-13 2019-08-23 재단법인 포항산업과학연구원 전기접점 및 그 제조방법
WO2020026604A1 (ja) * 2018-08-02 2020-02-06 日産自動車株式会社 摺動部材及び内燃機関用部材
JPWO2020026604A1 (ja) * 2018-08-02 2021-09-09 日産自動車株式会社 摺動部材及び内燃機関用部材
JP7057830B2 (ja) 2018-08-02 2022-04-20 日産自動車株式会社 摺動部材及び内燃機関用部材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2015203150A (ja) 成形体の製造方法
EP3605751B1 (en) Slip ring assembly and components thereof
JP6118540B2 (ja) 放熱部品及びその製造方法
Wang et al. Green and facile fabrication of MWNTs@ Sb2S3@ PPy coaxial nanocables for high‐performance Na‐Ion batteries
US20150310957A1 (en) Carbon nanotube composite wire
CN102756188B (zh) 用于电火花加工的焊丝及其制造方法
JP2012201890A (ja) 積層体、導電材料および積層体の製造方法
JP5484360B2 (ja) 導電部材
US11600454B2 (en) Contact assembly for electrical devices and method for making
CN102199764A (zh) 一种金刚石复合镀镀层
JP2011251394A (ja) 放電加工用電極線
US9136200B2 (en) Heat radiating component and method of producing same
WO2016111187A1 (ja) 電気接点対およびコネクタ用端子対
JP5790885B2 (ja) 接点部材及び電動機
JP2013155393A (ja) 被覆部材およびその製造方法
Chen et al. Deposition behavior of nanostructured WC–23Co particles in cold spraying process
JP6598588B2 (ja) 摺動構造、めっき浴及び摺動部材の製造方法
US9481922B2 (en) Process for forming porous metal coating on surfaces
JP6578025B2 (ja) 電気コンタクト素子
JP2015088306A (ja) 摺動接点部材、電動機及び発電機
JP2004047343A (ja) 導電性粒子およびその製造方法
CN101906609B (zh) 热蒸镀装置
JP2015082910A (ja) 摺動接点部材、電動機及び発電機
JP2013193037A (ja) 積層体及び積層体製造方法
JP2015035346A (ja) 摺動接点部材の組合せ