JP2015202788A - 車両用動力伝達機構の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】異常によるSOWCの意図しない係合を防止し、かつ退避走行を確立させる。
【解決手段】係合部材が解放状態となるように前記セレクタブルワンウェイクラッチを制御している状態で前記係合部材が係合状態になるように前記切替動作機構が動作したことを前記センサが検出(ステップS1)した異常時に、第1部材と第2部材との相対回転の方向と相対回転数とが車両の車速に応じて予め定めた方向と回転数とになるようにモータを制御し(ステップS4,S7)、かつ運転者に対する異常の告知(ステップS5)を行うように構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】係合部材が解放状態となるように前記セレクタブルワンウェイクラッチを制御している状態で前記係合部材が係合状態になるように前記切替動作機構が動作したことを前記センサが検出(ステップS1)した異常時に、第1部材と第2部材との相対回転の方向と相対回転数とが車両の車速に応じて予め定めた方向と回転数とになるようにモータを制御し(ステップS4,S7)、かつ運転者に対する異常の告知(ステップS5)を行うように構成されている。
【選択図】図1
Description
この発明は、車両の走行のための動力を伝達する機構を制御する装置に関し、特にセレクタブルワンウェイクラッチを備えている動力伝達機構の制御装置に関するものである。
セレクタブルワンウェイクラッチ(以下、SOWCと記す)を備えた車両用の変速機が特許文献1に記載されている。そのSOWCは、それぞれ環状に形成されたストラットプレートとノッチプレートとが、スライドプレートを挟み込んだ状態で同一軸線上に配置され、そのストラットプレートには、スプリングによってノッチプレート側に突き出すストラットが円周方向に並べて複数配置され、またスライドプレートにはストラットを通過させる開口部がストラットに対応して形成されている。さらにノッチプレートには、ストラットの先端部を挿入させて所定の回転方向で係合させるノッチがストラットに対応させて円周方向に複数並んで形成されている。そして、スライドプレートをアクチュエータにより回転もしくは移動させてその開口部とストラットとの位相をずらすことにより、ストラットがストラットプレートに形成されているポケットの内部に押し込められ、その結果、ストラットプレートとノッチプレートとの係合(すなわち連結)が解かれて、ストラットプレートとノッチプレートとが正回転方向および負回転方向とのいずれにも相対回転することができる。またスライドプレートの開口部の位置がストラットに一致すると、ストラットがその開口部を通過してノッチプレート側に突き出て、その先端部がノッチに入り込み、その結果、ストラットプレートとノッチプレートとが所定の回転方向(以下、正回転方向と言う)で係合し、両者の間でトルクが伝達される。なお、このいわゆる係合状態では、ストラットプレートとノッチプレートとの間に前記正回転方向とは反対方向にトルクが作用すると、ストラットがノッチの開口端部によってストラットプレート側に押し戻されてノッチプレートに対する係合が外れ、ストラットプレートとノッチプレートとが上記の正回転方向とは反対の方向(以下、負回転方向と言う)に相対回転することができる。すなわち、SOWCは、いわゆる係合状態では、一方向クラッチとして機能し、解放状態ではトルクの正回転方向および負回転方向のいずれの方向においてもトルクを伝達しない。
上記のSOWCの係合状態と解放状態とへの切り替えは、前記アクチュエータによってスライドプレートを所定角度回転させることにより行われる。そのアクチュエータは特許文献1に記載された例ではプランジャを有しているから、そのプランジャのストロークをセンサによって検出することにより、SOWCが係合状態になっているか、あるいは解放状態になっているかを判別することができる。SOWCを解放状態に設定して車両が走行している際に、何らかの異常によってそのセンサが、係合状態に切り替わったことを示す信号を出力した場合、異常が発生したとして車速を低下させ、また車両を退避走行させることが考えられる。その場合、車速がある程度高車速であることによりストラットプレートとノッチプレートとが高速で前記正回転方向に相対回転していれば、前記ストラットおよびノッチなどは、いわゆるラチェット機構を構成しているから、ストラットがノッチプレートもしくはそのノッチによってはじかれることがある。いわゆるラチェット作用が生じる。このような場合、ストラットがノッチに入り込んで直ちに係合するなどのことは生じない。しかしながら、上記のように車速を低下させると、ストラットプレートとノッチプレートとの正回転方向の相対回転速度が低下し、その結果、ストラットがノッチプレートもしくはノッチによってはじかれずにノッチに入り込んで係合してしまう。このような場合、ストラットプレートとノッチプレートとの相対回転が急激に止められるので、ストラットやノッチなどに過大な荷重が作用し、ショックが生じるだけでなく、SOWCが破損したり、その耐久性が低下するなどの可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、何らかの異常が生じた場合にSOWCが係合してしまうことを回避もしくは抑制することのできる車両用動力伝達機構の制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、相対回転する第1部材と第2部材とのいずれか一方の部材に他方の部材に向けて突出した係合状態と前記他方の状態から後退して解放状態とに切替動作機構によって切替動作させられる係合部材を備え、前記係合部材が前記係合状態に動作させられている状態では、前記第1部材と前記第2部材との相対的な正回転が規制されるとともに相対的な負回転が許容され、かつ前記係合部材が前記解放状態に動作させられている状態では前記第1部材と第2部材との相対的な前記正回転および前記負回転が可能に構成されたセレクタブルワンウェイクラッチと、前記第1部材と前記第2部材とのいずれか一方の部材を回転させて前記第1部材と前記第2部材との相対回転を前記正回転もしくは負回転に設定することのできるモータと、前記切替動作機構の動作を検出するセンサとを備えた車両用動力伝達機構の制御装置において、前記係合部材が解放状態となるように前記セレクタブルワンウェイクラッチを制御している状態で前記係合部材が係合状態になるように前記切替動作機構が動作したことを前記センサが検出した異常時に、前記第1部材と第2部材との相対回転の方向と相対回転数とが前記車両の車速に応じて予め定めた方向と回転数とになるように前記モータを制御し、かつ運転者に対する異常の告知を行うように構成されていることを特徴とするものである。
また、この発明では、前記セレクタブルワンウェイクラッチは、前記第1部材と第2部材との前記正回転方向の相対回転数が所定回転数以上の状態で前記係合部材が前記係合状態に前記切替動作機構によって切替動作させられた場合に、前記係合部材が前記一方の部材側に跳ね返される抜け飛び状態が生じるように構成され、前記異常時の前記車速が、予め定めた基準車速以下の場合には、前記モータを前記第1部材と第2部材とが前記抜け飛び状態を生じて前記正回転方向に相対回転するように制御し、かつ前記異常時の前記車速が、予め定めた基準車速以下の場合には、前記モータを前記第1部材と第2部材とが前記抜け飛び状態を生じて前記正回転方向に相対回転するように制御し、かつ前記異常時の前記車速が、前記基準車速より高車速の場合には、前記モータを前記第1部材と前記第2部材とが前記正回転方向に相対的に回転しないように制御するように構成されていてよい。
さらに、この発明では、前記車両は、駆動力を出力するエンジンと、前記エンジンに替わってもしくは前記エンジンと共に駆動力を出力する他のモータと、前記他のモータに電力を供給する蓄電装置とを備え、前記セレクタブルワンウェイクラッチは、前記第1部材と第2部材との前記正回転方向の相対回転数が所定回転数以上の状態で前記係合部材が前記係合状態に前記切替動作機構によって切替動作させられた場合に、前記係合部材が前記一方の部材側に跳ね返される抜け飛び状態が生じるように構成され、前記異常時の前記車速が、予め定めた基準車速以下でかつ前記蓄電装置の充電残量が予め定めた所定値以上の場合には、前記モータを前記第1部材と前記第2部材とが前記負回転方向に相対的に回転するように制御し、かつ前記他のモータの駆動力で走行するように制御し、かつ前記異常時の前記車速が、前記基準車速より高車速の場合には、前記モータを前記第1部材と前記第2部材とが前記正回転方向に相対的に回転しないように制御するように構成されていてよい。
この発明によれば、上記の異常時に、モータによって第1部材もしくは第2部材の回転数をSOWCが係合しない回転数に制御するから、車両は走行を継続でき、また停車しても支障のない箇所に退避するように走行したり、そのために車速を低下させたりしても、SOWCが係合しないので、SOWCに過度な荷重が掛かったり、ショックが生じたりすることを回避もしくは抑制することができる。
また、いわゆる低車速の場合には、第1部材と第2部材とを正回転方向に相対回転するように制御し、しかもその相対回転数を、係合部材が前記他方の部材によって跳ね返されて当該他方の部材に係合しない回転数に維持するので、車両の駆動力源の回転数を引き下げることがなく,例えば駆動力源が内燃機関であっても内燃機関をストールさせずに運転を継続させることができる。
さらに、この発明は、エンジンとモータとを駆動力源するいわゆるハイブリッド車の制御装置にも適用でき、その場合、モータに十分電力を供給できる状態であれば、モータが出力する駆動力で走行を継続することができ、したがっていわゆる退避走行が可能になる。
この発明は、エンジンを駆動力源とする一般的な車両だけでなく、エンジンとモータとを駆動力源とするハイブリッド車における動力伝達機構を対象とする制御装置に適用することができる。図2は、複軸式の2モータタイプのハイブリッド車における動力伝達機構を模式的に示しており、駆動力源としてのエンジン(Eng)1と、この発明におけるモータに相当する発電機能のある第1モータ(MG1)2と、この発明における他のモータに相当する発電機能のある第2モータ(MG2)3とを備えている。第1モータ2は、主として、エンジン1の回転数の制御およびエンジン1のクランキングを行い、また第2モータ3は、主として、走行のための駆動力源として機能する。第1モータ2は、差動機構によって構成された動力分割機構4にエンジン1と共に連結されている。また、第2モータ3のトルクを、その動力分割機構4から出力されたトルクに加減するように構成されている。
動力分割機構4は、図2に示す例では、サンギヤ5およびキャリヤ6ならびにリングギヤ7を回転要素とするシングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成され、サンギヤ5に第1モータ2のロータが連結され、キャリヤ6にエンジン1の出力軸(クランクシャフト)が連結され、リングギヤ7が出力要素となっている。リングギヤ7に出力部材として出力ギヤ8が取り付けられており、その出力ギヤ8がカウンタドリブンギヤ9に噛み合っている。カウンタドリブンギヤ9が取り付けられているカウンタシャフト10には、カウンタドリブンギヤ9より小径のカウンタドライブギヤ11が取り付けられ、そのカウンタドライブギヤ11がデファレンシャル12におけるリングギヤ13に噛み合っている。このデファレンシャル12から左右の駆動輪14に駆動トルクを出力するようになっている。第2モータ3のロータ軸に取り付けられたドライブギヤ15が前記カウンタドリブンギヤ9に噛み合っている。このドライブギヤ15はカウンタドリブンギヤ9より小径のギヤであり、したがってドライブギヤ15およびカウンタドリブンギヤ9は減速機構を構成している。
そして、前記第1モータ2が連結されているサンギヤ5とケーシング16との間にセレクタブルワンウェイクラッチ(以下、SOWCと記す)17が設けられている。このSOWC17は解放状態では正逆いずれの方向の相対回転も可能にしてトルクを伝達することがなく、係合状態では正逆いずれか一方のみの相対回転を規制(もしくは阻止)してその相対回転方向のトルクを伝達しかつこれとは反対方向には相対回転を可能にしてトルクを伝達しないように構成されたクラッチである。ここで、正回転とは、エンジン1の回転方向と同方向の回転であり、逆回転(もしくは負回転)とは、エンジン1の回転方向とは反対方向の回転である。なお、SOWC17の具体的な構成は後述する。
上記の第1モータ2と第2モータ3とは、図示しない蓄電装置やインバータなどのコントローラユニットに接続されるとともに、相互に電力を授受できるように電気的に接続されている。また、これらの蓄電装置やコントローラユニットあるいはSOWC17などを制御するための電子制御装置(ECU)18が設けられている。この電子制御装置18は、マイクロコンピュータを主体にして構成され、車速やアクセル開度、エンジン回転数ならびに推定出力トルク、各モータ2,3の回転数ならびにトルク、SOWC17の動作状態などの検出信号がデータとして入力され、そのデータに基づいて演算を行って各モータ2,3やSOWC17の制御のための指令信号を出力するように構成されている。
図3は、この発明で対象とすることのできる動力伝達機構の他の例を示す模式図であり、上述した図2に示す構成にオーバードライブ(O/D)機構19を追加して設け、そのオーバードライブ機構19をSOWC17によって選択的にロックするように構成した例である。オーバードライブ機構19はサンギヤ20およびキャリヤ21ならびにリングギヤ22を回転要素とするダブルピニオン型の遊星歯車機構によって構成されている。そのキャリヤ21に前述した動力分割機構4におけるキャリヤ6が連結され、したがってこれらのキャリヤ6,21にエンジン1の出力トルクが伝達されるようになっている。また、サンギヤ20に動力分割機構4におけるサンギヤ5が連結され、したがってこれらのサンギヤ5,20に第1モータ2のトルクが伝達されるように構成されている。さらに、リングギヤ22とケーシング16との間に前述したSOWC17が配置され、リングギヤ22の所定方向の回転(正方向の回転)をSOWC17によって規制(阻止)してオーバードライブ状態を設定するように構成されている。したがって、動力分割機構4を構成しているシングルピニオン型遊星歯車機構とオーバードライブ機構19を構成しているダブルピニオン型遊星歯車機構とは、それぞれの回転要素が上記のように連結されることにより、いわゆる四要素の複合遊星歯車機構を構成している。他の構成は、図2に示す構成と同様であるから、図3に図2と同様の参照符号を付してその説明を省略する。
ここでSOWC17の構成について説明する。この発明で対象とする動力伝達機構では、前述した特許文献1に記載されたSOWCや米国特許出願公開第2010/0252384号に記載されているSOWCなどを採用することができ、さらには図4および図5に模式的に示すように構成されたSOWC17を採用することができる。これら図4および図5はそのSOWC17における係合機構23を示しており、第1クラッチ板24は全体として円板状に形成されており、この第1クラッチ板24に対向して円板状をなす第2クラッチ板25が配置されている。これらの各クラッチ板24,25のいずれか一方のクラッチ板がこの発明における第1の部材に相当し、いずれか他方のクラッチ板がこの発明における第2の部材に相当しており、これら各クラッチ板24,25は相対回転できるように保持されている。例えば一方のクラッチ板24(25)が前述したケーシング16に取り付けられ、他方のクラッチ板25(24)が図2に示すサンギヤ5に連結され、あるいは図3に示すリングギヤ22に連結されている。
第1クラッチ板24の正面で回転中心から半径方向で外側にずれた箇所すなわち外周側の所定箇所に、回転方向に長い凹部が形成され、この凹部が収容部26となっている。また、第2クラッチ板25の第1クラッチ板24に対する対向面のうち前記収容部26と同一の半径位置に収容部26とほぼ同形状の凹部であるポケット27が形成されている。収容部26には、断面形状が収容部26の形状とほぼ等しい板状の係合片(以下、ストラットと言う)28が収容されている。このストラット28がこの発明における係合部材に相当し、そのストラット28はその長さ方向の中央部に、第1クラッチ板24の半径方向に向けて設けられた支持ピン29を中心にして揺動するように収容部26の内部に配置されている。収容部26の深さは、その支持ピン29を境にして異なっており、収容部26のうち図4での上側半分はストラット28の厚さ程度の深さ、あるいはそれより僅かに深い程度の深さであり、これとは反対の図4での下側半分は、ストラット28の厚さより深く、ストラット28が支持ピン29を中心にして揺動できるように構成されている。
収容部26のうち深さの浅い部分には、ストラット28の一端部側を収容部26から押し出す方向に弾性力を作用させるスプリング30が配置されている。また、収容部26のうち深さの深い部分には、ストラット28の他端部側を収容部26から押し出す方向に押圧するアクチュエータ31が配置されている。このアクチュエータ31はストラット28の他端部側に押圧力を付与できるものであればよく、油圧ピストンなどの油圧式アクチュエータや電磁力で推力を発生するソレノイドなどの電磁式アクチュエータを採用することができる。したがって、ストラット28はアクチュエータ31がストラット28の他端部を押圧していない状態では、一端部がスプリング30に押圧されて収容部26から突出し、これとは反対にアクチュエータ31がストラット28の他端部を押圧している状態ではストラット28がスプリング30を圧縮する方向に支持ピン29を中心にして回動し、ストラット28の全体が収容部26の内部に収まるように構成されている。なお、アクチュエータ31による押圧力を緩和し、あるいはアクチュエータ31がストラット28の一端部を押圧している状態でのストラット28の揺動を許容するなどのために、アクチュエータ31とストラット28の一端部との間にバネなどの適宜の弾性部材を介在させてもよい。また、以下の説明ではアクチュエータ31をOFF制御することによりアクチュエータ31がストラット28の他端部を押圧して係合機構23が解放状態になり、またON制御することによりアクチュエータ31がストラット28の他端部の押圧を解除して係合機構23が係合状態になるように構成されている例について説明する。
第2クラッチ板25に形成されたポケット27は、上述したように収容部26から突出したストラット28の一端部を入り込ませて係合させる部分である。したがって、係合機構23は、ストラット28の一端部を第2クラッチ板25側に突き出させた状態で、第1クラッチ板24に図4の上向きのトルクが作用し、あるいは第2クラッチ板25に図4の下向きのトルクが作用すると、ストラット28が収容部26とポケット27との間に噛み込まれて各クラッチ板24,25を回転方向に一体化するように連結する。すなわち、第1クラッチ板24の第2クラッチ板25に対する図4における上方向に向けた相対回転、言い換えれば、第2クラッチ板25の第1クラッチ板24に対する図4における下方向に向けた相対回転(差回転)が規制される。この規制される回転方向は、前述した図2や図3に示す動力伝達機構においては正回転方向である。このようにして前述したサンギヤ5あるいはリングギヤ22の正回転方向の差回転を規制(もしくは阻止)している状態が係合機構23もしくはSOWC17の係合状態である。この状態で逆回転方向(負回転方向)のトルクがいずれかのクラッチ板24,25に作用すると、すなわち第1クラッチ板24に図4での下向きのトルクが作用し、あるいは第2クラッチ板25に図4での上向きのトルクが作用すると、ストラット28の表面が第2クラッチ板25におけるポケット27の開口端のエッジ部分で押され、ストラット28がスプリング30の弾性力に抗して収容部26に押し込められる。すなわち、ストラット28による係合が解除され、各クラッチ板24,25が相対回転できる状態になる。
そして、アクチュエータ31がストラット28の他端部を押圧すると、ストラット28が前記スプリング30を圧縮しつつ、その一端部を収容部26に入り込ませる方向に回動し、ストラット28が収容部26の内部に収まる。したがって、各クラッチ板24,25を繋ぐ部材が存在しなくなるので、各クラッチ板24,25は正逆いずれの方向にも相対回転することができる。この状態が係合機構23あるいはSOWC17の解放状態である。
このように係合状態と解放状態とは、アクチュエータ31が動作することにより切り替わるから、アクチュエータ31がこの発明における切替動作機構に相当しており、そのアクチュエータ31の動作状態もしくは動作量を検出することにより、その検出結果に基づいて、係合状態および解放状態の判定を行うことができる。その検出を行うためのストロークセンサ32が設けられている。このストロークセンサ32は従来知られている適宜のセンサであってよく、例えばアクチュエータ31の動作量に応じて変化する静電容量や電気抵抗によってストロークを検出する形式のセンサや光学的にストロークを検出する形式のセンサなどであってよい。また、ストロークを検出することに替えて、アクチュエータ31の前進端と後退端とで信号を出力するいわゆるON/OFFセンサであってもよい。
図6はSOWC17の他の例を示しており、ここに示すSOWC17は、この発明における切替動作機構としてセレクタープレートを備えた形式のSOWCである。その構成を説明すると、ポケットプレート40とノッチプレート41とが同一軸線上で互いに対向し、かつ相対回転できるように配置されている。これらのポケットプレート40とノッチプレート41とがこの発明における第1部材もしくは第2部材に相当し、ポケットプレート40にはこの発明における係合部材に相当するストラット42を収容するポケット43が、ポケットプレート40の回転中心から半径方向に外れた箇所に円周方向に複数、並んで形成されている。ストラット42は前述したストラット28と同様の矩形板状の部材であって、一方の端部を中心にして揺動(俯仰)して、ポケット43の内部に収まった状態と、他方の端部がノッチプレート41側に突出した状態とに動作するように構成されている。このストラット42の背面側(図6では下側)にスプリング44が配置されており、このスプリング44の弾性力によってストラット42の他方の端部をノッチプレート41側に押し出すように構成されている。したがって、ストラット42はスプリング44の弾性力に抗する強い力で押された場合にはポケット43の内部に向けて押し戻されるように構成されている。
ノッチプレート41のポケットプレート40に対向する面には、ストラット42に対応してノッチ45が形成されている。このノッチ45はストラット42の一方の端部を入り込ませてストラット42を係合させる矩形状の凹部であって、ストラット42に対向する位置に円周方向に複数、並んで形成されている。したがって、ストラット42の一方の端部がノッチ45における内側壁面に突き当たる方向のトルクがポケットプレート40とノッチプレート41との間に作用すると、ポケットプレート40とノッチプレート41とがストラット42によって連結されて両者の相対回転(差回転)が規制される。すなわち、クラッチとしては係合状態になる。これとは反対方向にトルクが作用すると、ノッチプレート41あるいはノッチ45の開口端でストラット42の上面が押されるので、ストラット42がポケットプレート40側に押し戻され、ノッチ45からストラット42が抜け出る。すなわち、ポケットプレート40とノッチプレート41とのストラット42を介した連結が解除されるので、ポケットプレート40とノッチプレート41との相対回転(負方向の差回転)が可能になる。結局、クラッチとしては一方向クラッチとして機能する。
ポケットプレート40とノッチプレート41との間にセレクタープレート46がポケットプレート40およびノッチプレート41に対して相対回転できるように配置されている。セレクタープレート46は例えば環状の薄板からなる部材であって、上記のストラット42およびノッチ45に対応する箇所に複数の開口部47が円周方向に所定の間隔をあけて形成されている。その開口部47は、ストラット42が通過してノッチプレート41側に突き出すことのできる形状に形成されている。
セレクタープレート46は、その開口部47がストラット42の位置に一致する状態と開口部47がストラット42の位置からずれてストラット42をポケット43の内部に押し込めた状態とに移動するように構成されており、セレクタープレート46をこのような二つの状態に移動させるアクチュエータ48が設けられている。このアクチュエータ48は、油圧シリンダや電磁ソレノイド、直動型モータなどによって構成されている。また、そのアクチュエータ48あるいはセレクタープレート46のストロークもしくは動作位置を検出するセンサ49が設けられている。そのセンサ49は、前述したストロークセンサ32と同様のものであってよい。
なお、この発明に係る上記のSOWC17は、前述した第1部材と第2部材とが負方向に相対回転する場合に、係合部材がこれら各部材のうちの他方の部材側に係合状態に突出していても、当該他方の部材によって押し戻される作用すなわちラチェット作用が生じる。このようなラチェット作用によって一方向クラッチとしての機能が成立している。この発明に係るSOWC17では、第1部材と第2部材とがいわゆる正方向に相対回転する場合にもラチェット作用(この発明における抜け飛び状態)が生じるように構成することができる。そのためのラチェット構造の一例を図7に示してある。
ここに示す例は、前述したセレクタープレート46を有するタイプのSOWC17の例であり、ストラット42の一方の端部における上面(ノッチプレート41側を向く面)は、当該一方の端部側で次第に薄くなるように円弧面42aに形成されている。また、ノッチ45の開口端のうちストラット42の一端部が係合する内側面がわの開口端、換言すればポケットプレート40とノッチプレート41とが正方向に相対回転した場合に上記の円弧面42aに対向するコーナー部が、凸曲面状に面取りされて凸円弧面45aとなっている。したがって、ポケットプレート40とノッチプレート41との正回転方向の相対回転数が所定値以上に大きい場合、ストラット42の一端部(先端部)がノッチ45の内部に入り込まずに、上記の円弧面42aと凸円弧面45aとが衝突することによりストラット42が跳ね返される。すなわち、ラチェット作用が生じ、SOWC17は解放状態に維持される。
この発明に係る制御装置は、上記の負回転方向でのラチェット作用や正回転方向でのラチェット作用を利用して、異常時にストラット42が係合状態にならずにSOWC17が解放状態を維持して走行を継続できるように動力伝達機構における所定の回転部材の回転数を制御する。図1にその制御の一例をフローチャートで示してある。このルーチンは、車両が走行している際に所定の短時間ごとに繰り返し実行される。先ず、SOWC17を解放する制御を実行して走行(非ロック走行)している際に、前述したアクチュエータ(Act.)31,48がストラット28,42を係合状態に動作させるようにストロークしたことが検出されたか否かが判断される(ステップS1)。これは、前述したセンサ32,49が出力する信号に基づいて行うことができる。
このステップS1で否定的に判断された場合には、SOWC17が解放状態を維持するので、特には制御を行うことなくリターンする。これとは反対にステップS1で肯定的に判断された場合には、何らかの異常が生じていることになるので、制御モードが退避走行を行うモードに移行させられる(ステップS2)。これは、例えば退避走行モードを示す制御フラグをオンにする制御であり、関連する他の制御(図示せず)が開始される。
ついで、車速が低車速か否かが判断される(ステップS3)。ここで、低車速とは、SOWC17が係合状態になって図2に示すサンギヤ5や図3に示すリングギヤ22の回転が止まった場合すなわちSOWC17における差回転数が「0」になった場合に、エンジン1が自立回転を維持できる最低回転数もしくはそれに近い回転数になる車速である。この判断の基準となる車速がこの発明における基準車速に相当し、これは、車両に搭載されているエンジンの構造や暖機の状態、補機類の動作の状態などに応じて予め定めておくことができる。したがって、ステップS3で否定的に判断された場合には、車速が基準車速より高車速になっていてSOWC17での差回転の回転数を「0」もしくは負回転方向の回転数に設定してもエンジン1の自立回転もしくは運転を継続できることになる。そこで、この場合は、SOWC17での差回転の回転数を「0」もしくは負回転方向の回転数に制御し、その状態で走行する(ステップS4)。これは、前述した第1モータ2によって前記サンギヤ5,20の正方向の回転数を低下させて「0」に制御することにより行われる。
その状態を共線図で説明すると、図8の(a)は前述した図2に示す動力伝達機構4についての共線図であって、前述した異常が生じた時点もしくはそれ以前の状態を「通常走行」として記載してある。この状態では、車速が上記の基準車速以上に高車速であることにより出力要素であるリングギヤ7の回転数が高い回転数になっており、またエンジン1が連結されているキャリヤ6の回転数が、エンジン1が自立回転を継続できる最低回転数に相当する前記基準回転数より高回転数になっており、さらにSOWC17に連結されているサンギヤ5が正回転方向に回転している。この状態で上記のような異常の発生によりサンギヤ5の回転数を第1モータ2によって低下させ、その回転数を「0」もしくは僅かに負回転方向に回転する回転数にした状態を「退避走行」として記載してある。この退避走行の状態では、エンジン1の回転数が自立回転を継続できる回転数以上になるから、エンジン1の運転を継続させてエンジン1によって退避走行することができる。また、サンギヤ5の回転数を「0」もしくは負回転方向の回転数とするから、SOWC17のストラット28,42が第2クラッチ板25側もしくはノッチプレート41側に突き出していたとしても、SOWC17が係合し、あるいは急激に係合することはない。したがって、ショックが生じることがなく、またSOWC17に急激に負荷が掛かってその耐久性が低下し、あるいは損傷するなどの事態を回避もしくは抑制することができる。
また図9の(a)は前述した図3に示す動力伝達機構4についての共線図であって、前述した異常が生じた時点もしくはそれ以前の状態を「通常走行」として記載してある。この状態では、車速が上記の基準車速以上の高車速であることにより出力要素であるリングギヤ7の回転数が高い回転数になっており、またエンジン1が連結されているキャリヤ6,21の回転数が、エンジン1が自立回転を継続できる最低回転数に相当する前記基準回転数より高回転数になっており、さらにSOWC17に連結されているリングギヤ22が正回転方向に回転している。この状態で上記のような異常の発生によりサンギヤ5,21を第1モータ2によって負回転方向に回転させ、SOWC17に連結されているリングギヤ22の回転数を「0」もしくは負回転方向の回転数にした状態を「退避走行」として記載してある。この図9の(a)から知られるように、この退避走行の状態では、エンジン1の運転を継続させてエンジン1によって退避走行することができるとともに、SOWC17が係合し、あるいは急激に係合することがないから、ショックが生じることがなく、またSOWC17に急激に負荷が掛かってその耐久性が低下し、あるいは損傷するなどの事態を回避もしくは抑制することができる。
上記のステップS4の制御と併せて、もしくはステップS4の制御に続けて、異常時制御が実行され(ステップS5)、リターンする。この異常時制御は、退避走行のための車速を制限する制御、異常が生じていることを運転者に告知する制御、停車を促す制御など、車両の損傷を抑制し、また安全を確保するための制御であり、必要に応じて適宜の内容の制御とすることができる。
他方、上記のステップS3で肯定的に判断された場合には、第2モータ3に電力を供給する蓄電装置の充電残量(SOC)が予め定めた所定値以上か否か(高SOCか否か)が判断される(ステップS6)。この所定値は、車両を近隣の退避箇所まで第2モータ3によって走行させることのできる最少量あるいはそれより多い量などに基づいて設計上、決めることができる。このステップS6で否定的に判断された場合には、第1モータ2によってSOWC17での差回転を正回転方向(前述したこの発明における第1部材と第2部材とが係合部材を介して係合する方向)の回転とし、かつその回転数をラチェット最低回転数以上の回転として走行する(ステップS7)。ついで、前述したステップS5に進む。
この発明に係る前述したSOWC17は図7を参照して説明したように、ストラット28,42を係合状態に突出させた状態でいわゆる正回転方向の差回転が生じた場合であっても、その差回転の回転数が高回転数であればラチェット作用が生じてストラット28,42が跳ね返され、SOWC17が係合状態になることはない。このような差回転が正回転方向になっている状態でラチェット作用が確実に生じる回転数(ステップS3での最低回転数)は、前述したスプリング30,43の弾性力、円弧面42aおよび凸円弧面45aの形状、ポケット27やノッチ45の円周方向での長さなどによって異なり、実験的に予め求めておくことができる。なお、高回転数ほどラチェット作用によってSOWC17が係合状態になりにくい。
上記の差回転を正回転方向の差回転に制御してラチェット作用が生じている状態を共線図で説明すると、図8の(b)は前述した図2に示す動力伝達機構4についての共線図であって、前述した異常が生じた時点もしくはそれ以前の状態を「通常走行」として記載してある。この状態は前述した図8の(a)に示す状態と同様である。この状態で上記のような異常が発生すると、SOWC17における差回転の回転数が上述した正回転方向でのラチェット作用によって係合状態にならない最低回転数以上となるように、サンギヤ5の回転数を第1モータ2によって維持し、またエンジン1は自立回転できる回転数以上の回転数での運転が継続される。その状態を「退避走行」として記載してある。なお、図8の(b)で、破線はSOWC17が係合したとした場合の状態を示している。
この退避走行の状態では、エンジン1の回転数が自立回転を継続できる回転数以上になるから、エンジン1の運転を継続させてエンジン1によって退避走行することができる。また、サンギヤ5の回転数を、差回転の回転数がいわゆる正回転方向で確実にラチェット作用が生じる回転数とするから、SOWC17のストラット28,42が第2クラッチ板25側もしくはノッチプレート41側に突き出していたとしても、SOWC17が係合し、あるいは急激に係合することはない。したがって、ショックが生じることがなく、またSOWC17に急激に負荷が掛かってその耐久性が低下し、あるいは損傷するなどの事態を回避もしくは抑制することができる。
また図9の(b)は前述した図3に示す動力伝達機構4についての共線図である。前述した異常が生じた時点もしくはそれ以前の状態を「通常走行」として記載してあり、これは前述した図8の(b)に示す状態と同様である。この状態で上記のような異常の発生によりサンギヤ5,21を第1モータ2によって正回転方向に回転させて、SOWC17に連結されているリングギヤ22の回転数をラチェット作用が生じる回転数にした状態を「退避走行」として記載してある。この図9の(b)から知られるように、この退避走行の状態では、エンジン1の運転を継続させてエンジン1によって退避走行することができるとともに、SOWC17が係合し、あるいは急激に係合することがないから、ショックが生じることがなく、またSOWC17に急激に負荷が掛かってその耐久性が低下し、あるいは損傷するなどの事態を回避もしくは抑制することができる。なお、図9の(b)で、破線はSOWC17が係合したとした場合の状態を示している。
蓄電装置における充電残量が十分に多いことによりステップS6で肯定的に判断された場合には、EV走行モードに切り替えられ(ステップS8)、ついで前述したステップS5に進む。EV走行モードは、いわゆる電気自動車として走行するモードであり、エンジン1の運転を停止するとともに第2モータ3をモータとして機能させて走行するモードである。したがって、走行のための駆動力を第2モータ3によって得ることができるから、車両を退避走行させることができる。また、エンジン1の運転を停止することと併せて第1モータ2に対する通電を止めて第1モータ2をサンギヤ5,20と共に自由に回転させるから、SOWC17が係合したり、あるいは負荷(トルク)が掛かったりすることが回避される。
これを共線図で説明すると、図8の(c)は前述した図2に示す動力伝達機構4についての共線図であって、前述した異常が生じた時点もしくはそれ以前の状態を「通常走行」として記載してある。この状態は前述した図8の(a)に示す状態と同様である。この状態で上記のような異常が発生すると、エンジン1に替わって第2モータ3が駆動力を発生するから、リングギヤ7は正回転方向に回転し続け、これに対してエンジン1が連結されているキャリヤ6の回転が止まるからサンギヤ5が負回転方向に回転する。すなわちSOWC17の差回転が負回転方向の回転になるからSOWC17は解放状態になる。そのため、SOWC17が係合してショックや過大な負荷が掛かるなどの事態が生じることがなく、また車両の走行を継続することができる。言い換えれば、退避走行が可能になる。なお、図8の(c)で、破線はSOWC17が係合したとした場合の状態を示している。
また図9の(c)は前述した図3に示す動力伝達機構4についての共線図である。前述した異常が生じた時点もしくはそれ以前の状態を「通常走行」として記載してあり、これは前述した図8の(c)に示す状態と同様である。この状態で上記のような異常が発生すると、エンジン1に替わって第2モータ3が駆動力を発生することにより、リングギヤ7が正回転方向に回転し、かつキャリヤ6,21が停止するので、リングギヤ22およびサンギヤ5,20が負回転方向に回転する。したがって、リングギヤ22に連結されているSOWC17の差回転の方向が負回転方向になるので、SOWC17は解放状態になる。そのため、SOWC17が係合してショックや過大な負荷が掛かるなどの事態が生じることがなく、また車両の走行を継続することができる。言い換えれば、退避走行が可能になる。なお、図9の(c)で、破線はSOWC17が係合したとした場合の状態を示している。
なお、上述した具体例はEV走行モードを設定できるハイブリッド車の制御装置にこの発明を適用した場合の例であるが、この発明は上記の具体例に限定されないのであって、エンジン1のみを駆動力源とする通常の車両における動力伝達機構の制御装置にも適用することができる。その場合、上述した図1に示すステップS6やステップS8を含まない制御を行うことになる。その場合であっても、何らかの異常の発生によってSOWC17が係合してしまう事態を回避もしくは抑制することができ、また車両の退避走行を可能にすることができる。
1…エンジン(Eng)、 2…第1モータ(MG1)、 3…第2モータ(MG2)、 4…動力分割機構、 5…サンギヤ、 6…キャリヤ、 7…リングギヤ、 8…出力ギヤ、 9…カウンタドリブンギヤ、 16…ケーシング、 17…セレクタブルワンウェイクラッチ(SOWC)、 18…電子制御装置(ECU)、 19…オーバードライブ(O/D)機構、 20…サンギヤ、 21…キャリヤ、 22…リングギヤ、 23…係合機構、 24…第1クラッチ板、 25…第2クラッチ板、 26…収容部、 27…ポケット、 28…係合片(ストラット)、 29…支持ピン、 30…スプリング、 31…アクチュエータ、 32…ストロークセンサ、 40…ポケットプレート、 41…ノッチプレート、 42…ストラット、 43…ポケット、 44…スプリング、 45…ノッチ、 46…セレクタープレート、 47…開口部、 48…アクチュエータ、 49…センサ、 42a…円弧面、 45a…凸円弧面。
Claims (3)
- 相対回転する第1部材と第2部材とのいずれか一方の部材に他方の部材に向けて突出した係合状態と前記他方の状態から後退して解放状態とに切替動作機構によって切替動作させられる係合部材を備え、前記係合部材が前記係合状態に動作させられている状態では、前記第1部材と前記第2部材との相対的な正回転が規制されるとともに相対的な負回転が許容され、かつ前記係合部材が前記解放状態に動作させられている状態では前記第1部材と第2部材との相対的な前記正回転および前記負回転が可能に構成されたセレクタブルワンウェイクラッチと、前記第1部材と前記第2部材とのいずれか一方の部材を回転させて前記第1部材と前記第2部材との相対回転を前記正回転もしくは負回転に設定することのできるモータと、前記切替動作機構の動作を検出するセンサとを備えた車両用動力伝達機構の制御装置において、
前記係合部材が解放状態となるように前記セレクタブルワンウェイクラッチを制御している状態で前記係合部材が係合状態になるように前記切替動作機構が動作したことを前記センサが検出した異常時に、前記第1部材と第2部材との相対回転の方向と相対回転数とが前記車両の車速に応じて予め定めた方向と回転数とになるように前記モータを制御し、かつ運転者に対する異常の告知を行うように構成されていることを特徴とする車両用動力伝達機構の制御装置。 - 前記セレクタブルワンウェイクラッチは、前記第1部材と第2部材との前記正回転方向の相対回転数が所定回転数以上の状態で前記係合部材が前記係合状態に前記切替動作機構によって切替動作させられた場合に、前記係合部材が前記一方の部材側に跳ね返される抜け飛び状態が生じるように構成され、
前記異常時の前記車速が、予め定めた基準車速以下の場合には、前記モータを前記第1部材と第2部材とが前記抜け飛び状態を生じて前記正回転方向に相対回転するように制御し、かつ
前記異常時の前記車速が、前記基準車速より高車速の場合には、前記モータを前記第1部材と前記第2部材とが前記正回転方向に相対的に回転しないように制御する
ように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達機構の制御装置。 - 前記車両は、駆動力を出力するエンジンと、前記エンジンに替わってもしくは前記エンジンと共に駆動力を出力する他のモータと、前記他のモータに電力を供給する蓄電装置とを備え、
前記セレクタブルワンウェイクラッチは、前記第1部材と第2部材との前記正回転方向の相対回転数が所定回転数以上の状態で前記係合部材が前記係合状態に前記切替動作機構によって切替動作させられた場合に、前記係合部材が前記一方の部材側に跳ね返される抜け飛び状態が生じるように構成され、
前記異常時の前記車速が、予め定めた基準車速以下でかつ前記蓄電装置の充電残量が予め定めた所定値以上の場合には、前記モータを前記第1部材と前記第2部材とが前記負回転方向に相対的に回転するように制御し、かつ前記他のモータの駆動力で走行するように制御し、かつ
前記異常時の前記車速が、前記基準車速より高車速の場合には、前記モータを前記第1部材と前記第2部材とが前記正回転方向に相対的に回転しないように制御する
ように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達機構の制御装置。
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2014
- 2014-04-15 JP JP2014083250A patent/JP2015202788A/ja not_active Withdrawn
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