以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示す。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、動作の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明する。
図1は、本発明の実施の形態における電動ベッド10の外観図である。この電動ベッド10は、病院及び家庭等で使用される電動式のベッドであり、ベッドフレーム11と、ボトム20と、駆動機構30と、屈曲機構40と、手元スイッチ80とを備える。
ベッドフレーム11は、電動ベッド10の骨格を形成し、ボトム20を支持する枠体であり、鉄等の金属で構成される。
ボトム20は、ベッドフレーム11に載置され、人体の上半身を支持する背ボトム21を含む床板体の一例である。本実施の形態では、ボトム20は、分割された樹脂製又は金属製の床板体で構成され、蝶番等で回動可能に順次、連結された複数の部位、つまり、背ボトム21、腰ボトム22、膝ボトム23及び足ボトム24から構成される。より詳しくは、背ボトム21は、この電動ベッド10の利用者の上半身(つまり、背中)を支持する床板体であり、腰ボトム22と回動可能に連結されている。腰ボトム22は、ベッドフレーム11に固定され、利用者の腰を支持する床板体であり、膝ボトム23と回動可能に連結されている。膝ボトム23は、利用者の膝(つまり、上腿)を支持する床板体であり、足ボトム24と回動可能に連結されている。足ボトム24は、利用者の下腿及び足を支持する床板体である。
より詳しくは、背ボトム21は、電動ベッド10の幅方向に分割された右側背ボトム21a、中央背ボトム21b及び左側背ボトム21cで構成される。右側背ボトム21aと中央背ボトム21bとは、蝶番等で回動可能に連結され、同様に、左側背ボトム21cと中央背ボトム21bとは、蝶番等で回動可能に連結されている。つまり、右側背ボトム21aは、中央背ボトム21bに対して、上方に傾斜する方向に回動可能に中央背ボトム21bと連結されている。同様に、左側背ボトム21cも、中央背ボトム21bに対して、上方に傾斜する方向に回動可能に中央背ボトム21bと連結されている。なお、背ボトム21のうち、中央背ボトム21bが腰ボトム22と連結されている。
駆動機構30は、人体の上半身を起こす方向に背ボトム21を駆動する駆動機構の一例であり、本実施の形態では、手元スイッチ80から送られてくる動作指令に従ってボトム20の姿勢及び高さを変更する。この駆動機構30は、制御回路、その制御回路による制御の下で動作する電動アクチュエータを含む駆動機構、及び、電動ベッド10に備えられた各種センサ等から構成される。
この駆動機構30によるボトム20の姿勢変更には、次の動作が含まれる。つまり、背ボトム21は、腰ボトム22との連結箇所(一端)を軸として回動することにより、背ボトムの先端側(利用者の頭を支える箇所)を昇降させる。また、膝ボトム23は、腰ボトム22との連結箇所(一端)を軸として回動することにより、他端(足ボトム24との連結箇所)を昇降させる。なお、背ボトム21の昇降と膝ボトム23の昇降とは、手元スイッチ80からの動作指令に依存して、連動して行われるか、連動することなくそれぞれ単独で行われる。
屈曲機構40は、駆動機構30が背ボトム21を起こすように駆動したときに、電動ベッド10の幅方向における背ボトム21の両側部の少なくとも一方を上方に屈曲させる機構であり、鉄等の金属及び樹脂で作製されている。つまり、屈曲機構40は、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの少なくとも一方を中央背ボトム21bに対して起こす(傾斜させる)機構である。
この屈曲機構40は、背ボトム21の裏面及び下方に設けられた機構アセンブリで構成され、連動モードと固定モードとを切り替え可能な構造を有している。ここで、連動モードとは、駆動機構30による駆動によって背ボトム21の傾斜角度が大きくなるに従って屈曲の角度(中央背ボトム21bに対する右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの少なくとも一方の傾斜角度)を大きくしていく動作モードである。また、固定モードとは、背ボトム21の傾斜角度に依存することなく屈曲の角度(中央背ボトム21bに対する右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの少なくとも一方の傾斜角度)を一定に維持する動作モードである。
なお、連動モード及び固定モードのいずれに設定するかは、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cのぞれぞれに対して、独立して行うことができる。つまり、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの両方に対して同一の動作モードに設定することも、右側背ボトム21aと左側背ボトム21cとで異なる動作モードに設定することもできる。よって、連動モードでは、背ボトム21の傾斜角度が大きくなるに従って、連動モードに設定された右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの少なくとも一方の中央背ボトム21bに対する傾斜角度が大きくなる。一方、固定モードでは、背ボトム21の傾斜角度に依存することなく、固定モードに設定された右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの少なくとも一方と中央背ボトム21bとが平坦面を形成している。
また、本実施の形態では、固定モードでは、中央背ボトム21bに対する右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの少なくとも一方(固定モードに設定された少なくとも一方)の傾斜角度を0度に維持している。つまり、固定モードでは、背ボトム21の傾斜角度に依存することなく、固定モードに設定された右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの少なくとも一方と中央背ボトム21bとが平坦面を形成している。
手元スイッチ80は、駆動機構30と有線又は無線で接続され、駆動機構30に動作指令を与えるためのコントローラであり、操作ボタン及びディスプレイ等を有する。
図2は、図1に示された電動ベッド10が備える屈曲機構40の詳細を示す図である。背ボトム21の裏面には、一対の凹型ガイド41a及び41b、一対のローラ押さえ板42a及び42b、一対の傾斜ガイド43a及び43b、並びに、移動可能なローラアセンブリ144が設けられている。
ローラアセンブリ144は、一対の背上げローラ45a及び45bと一対の押し上げローラ46a及び46bとが共通のローラシャフト44に固定されて構成される機構アセンブリである。一対の背上げローラ45a及び45bは、中央背ボトム21bの裏面を転がるローラである。より詳しくは、一方の背上げローラ45aは、中央背ボトム21bの裏面における、右側背ボトム21aに近い側を転がるローラであり、凹型ガイド41aを転がるローラとローラ押さえ板42aで押さえられるローラとから構成される。一方、他方の背上げローラ45bは、中央背ボトム21bの裏面における、左側背ボトム21cに近い側を転がるローラであり、凹型ガイド41bを転がるローラとローラ押さえ板42bで押さえられるローラとから構成される。一対の押し上げローラ46a及び46bは、それぞれ、傾斜ガイド43a及び43bの傾斜面上(連動モード時)、あるいは、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの裏面上(固定モード時)を転がるローラである。
一対の凹型ガイド41a及び41bは、中央背ボトム21bの裏面に固定され、中央背ボトム21bの長手方向(電動ベッド10の長さ方向)に延びる凹型(断面がコ字(U字)型)のレールであり、それぞれ、背上げローラ45a及び45bの転がりをガイドする。
一対のローラ押さえ板42a及び42bは、中央背ボトム21bに固定され、背上げローラ45a及び45bを、中央背ボトム21bの裏面(凹型ガイド41a及び41b)に向けて押さえる板である。このローラ押さえ板42a及び42bにより、背上げローラ45a及び45bは、中央背ボトム21bの裏面(凹型ガイド41a及び41b)から浮き上がることなく(浮き上がりが規制され)、凹型ガイド41a及び41b上を転がる。
一対の傾斜ガイド43a及び43bは、それぞれ、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの裏面に固定され、その裏面に対して傾斜した面(傾斜面)を有する。その傾斜面は、押し上げローラ46a及び46bの転がりをガイドする面であり、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの長手方向に延び、腰ボトム22に近い位置ほど、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの裏面からの高さが高くなっている。この一対の傾斜ガイド43a及び43bは、後述するように、一端(腰ボトム22から遠い端部)を軸として他端(腰ボトム22に近い端部)をスライドすることができる。連動モードでは、傾斜ガイド43a及び43bは、押し上げローラ46a及び46bが傾斜ガイド43a及び43bの傾斜面上を転がる第1の位置にスライドされて固定される。固定モードでは、固定モードに設定された傾斜ガイド43a及び43bは、押し上げローラ46a及び46bが傾斜ガイド43a及び43bの傾斜面から外れた右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの裏面上を転がる第2の位置にスライドされて固定される。なお、一対の傾斜ガイド43a及び43bのそれぞれは、独立して、第1の位置及び第2の位置に固定され得るので、上述したように、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cのぞれぞれに対して、独立して動作モード(連動モード又は固定モード)を設定できる。
ローラアセンブリ144を構成するローラシャフト44は、ベッドフレーム11に固定されて回転する駆動シャフト48に、背上げアーム47a及び47bを介して固定されている。よって、背ボトム21が起き上がり、中央背ボトム21bの傾斜角度が大きくなるに従って、ローラアセンブリ144は、背ボトム21の裏面上を上方から下方に向けて(腰ボトム22に近づく方向に)移動する。つまり、ローラシャフト44に軸支(ローラシャフト44によって貫通軸として支持)された背上げローラ45a及び45bは、凹型ガイド41a及び41b上を上方から下方に向けて転がる。同時に、押し上げローラ46a及び46bは、傾斜ガイド43a及び43bのスライド位置に応じて、傾斜ガイド43a及び43bの傾斜面上(連動モード時)、あるいは、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの裏面上(固定モード時)を、上方から下方に向けて転がる。
背ボトム21の昇降は、駆動機構30を構成する駆動源52、駆動軸51、回動アーム50、駆動シャフト48、背上げアーム47a及び47b、支持アーム55a及び55bによって実現されている。つまり、背ボトム21を起こす(上昇させる)際には、駆動源52からの駆動力によって駆動軸51が延び、駆動軸51と枢着された回動アーム50が駆動源52から遠ざかる方向に押される。これにより、回動アーム50が固定された駆動シャフト48が右回転(自身を軸として駆動シャフト48が時計回りに自転)し、駆動シャフト48に固定された背上げアーム47a及び47bが駆動シャフト48を軸として右回転する(起き上がる)。その結果、背上げアーム47a及び47bの先端に固定されたローラアセンブリ144によって、背ボトム21が起きる。一方、背ボトム21を寝かせる(下降させる)際には、駆動源52からの駆動力によって駆動軸51が縮み、駆動軸51と枢着された回動アーム50が駆動源52に近づく方向に引きつけられる。これにより、回動アーム50が固定された駆動シャフト48が左回転(自身を軸として駆動シャフト48が反時計回りに自転)し、駆動シャフト48に固定された背上げアーム47a及び47bが駆動シャフト48を軸として左回転する(先端が下降してくる)。その結果、背上げアーム47a及び47bの先端に固定されたローラアセンブリ144によって、背ボトム21が下降する。なお、ベッドフレーム11には、幅方向に延びる梁としての連結軸49及び54が設けられ、連結軸54に固定された支持アーム55a及び55bによって中央背ボトム21bが支持される。
図3は、図1に示された電動ベッド10が備える背ボトム21の昇降動作を示す図である。図3の(a)は、背ボトム21が下降している(初期状態にある)ときの屈曲機構40の状態を示す。図3の(b)は、連動モードで背ボトム21が起き上がっている(上昇している)ときの屈曲機構40の状態を示す。図3の(c)は、固定モードで背ボトム21が起き上がっている(上昇している)ときの屈曲機構40の状態を示す。なお、図3では、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cに対して、同一の動作モード(連動モード又は固定モード)に設定されているケースが図示されている(以下、特に断らない限り、同様のケースについて、説明する)。
図3の(a)に示されるように、背ボトム21が下降しているときには、屈曲機構40の動作モード(連動モード、固定モード)に拘わらず、背ボトム21(右側背ボトム21a、中央背ボトム21b及び左側背ボトム21c)は平坦面を形成している。なお、連動モードと固定モードとの切り替えは、背ボトム21が下降している状態(初期状態)で行われる。
図3の(b)に示されるように、連動モードで背ボトム21が起き上がると、押し上げローラ46a及び46bは、背ボトム21が起きるに従って、傾斜ガイド43a及び43bを介して右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cを押し上げる。これは、次のメカニズムによる。
つまり、背ボトム21が起きるに従って、ローラアセンブリ144は、背ボトム21の裏面上を、長手方向に、上方から下方に向けて(腰ボトム22に近づく方向に)移動する。このとき、背上げローラ45a及び45bは、ローラ押さえ板42a及び42bによる規制により、中央背ボトム21bの裏面(凹型ガイド41a及び41b)から浮き上がることなく、凹型ガイド41a及び41b上を上方から下方に向けて転がる。同時に、押し上げローラ46a及び46bは、傾斜ガイド43a及び43bの傾斜面上を下方に向けて転がる。この連動モードでは、一対の傾斜ガイド43a及び43bは、一対の押し上げローラ46a及び46bが一対の傾斜ガイド43a及び43bの傾斜面上を転がる第1の位置にスライドされて固定されているからである。その結果、背ボトム21が起きる(背ボトム21の傾斜角度が大きくなる)に従って、押し上げローラ46a及び46bによって、傾斜ガイド43a及び43bを介して右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cが押し上げられる。これにより、背ボトム21の傾斜角度が大きくなるに従って背ボトム21の両側部の屈曲の角度(中央背ボトム21bに対する右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの傾斜角度)が大きくなっていく。
一方、図3の(c)に示されるように、固定モードで背ボトム21が起き上がっても、背ボトム21(右側背ボトム21a、中央背ボトム21b及び左側背ボトム21c)の平坦面は維持されたままである。これは、次のメカニズムによる。
つまり、背ボトム21が起きるに従って、ローラアセンブリ144は、背ボトム21の裏面上を、長手方向に、上方から下方に向けて(腰ボトム22に近づく方向に)移動する。このとき、背上げローラ45a及び45bは、ローラ押さえ板42a及び42bによる規制により、中央背ボトム21bの裏面(凹型ガイド41a及び41b)から浮き上がることなく、凹型ガイド41a及び41b上を下方に向けて転がる。同時に、押し上げローラ46a及び46bは、傾斜ガイド43a及び43bの傾斜面から外れた右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの裏面上を下方に向けて転がる。この固定モードでは、一対の傾斜ガイド43a及び43bは、一対の押し上げローラ46a及び46bが一対の傾斜ガイド43a及び43bの傾斜面から外れた右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの裏面上を転がる第2の位置にスライドされて固定されているからである。その結果、背ボトム21が起きあがっても(背ボトム21の傾斜角度が大きくなっても)、押し上げローラ46a及び46bが右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cを押し上げることはない。よって、背ボトム21の傾斜角度に依存することなく、背ボトム21(右側背ボトム21a、中央背ボトム21b及び左側背ボトム21c)の平坦面は維持される。
このように、本実施の形態の電動ベッド10の屈曲機構40によれば、一対の傾斜ガイド43a及び43bは、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cのそれぞれの裏面にスライド可能に設けられている。そして、連動モードでは、押し上げローラ46a及び46bが傾斜ガイド43a及び43bの傾斜面の上を転がる第1の位置にスライドされて固定される。一方、固定モードでは、押し上げローラ46a及び46bが傾斜ガイド43a及び43bの傾斜面から外れた右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの裏面上を転がる第2の位置にスライドされて固定される。これにより、背ボトムの起上に従って両側部が常に屈曲する従来の電動ベッドと異なり、屈曲機構40の動作モードを切り替えることで、必要なときにだけ、背ボトム21の起上に従って両側部の少なくとも一方を屈曲させることができる。
次に、本実施の形態の電動ベッド10の屈曲機構40が有する動作モード(連動モード及び固定モード)の切り替え構造を詳細に説明する。
図4Aは、連動モードに設定された屈曲機構40の初期状態(背ボトム21が下降してベッドフレーム11に寝ている状態)を示す図である。ここでは、上述した第1の位置にスライドされて固定された傾斜ガイド43b及びその周りの構造が示されている。一方、図4Bは、固定モードに設定された屈曲機構40の初期状態を示す図である。ここでは、上述した第2の位置にスライドされて固定された傾斜ガイド43b及びその周りの構造が示されている。
なお、これらの図4A及び図4Bには、一対の傾斜ガイド43a及び43bのうちの一方(傾斜ガイド43b)だけが示されているが、他方(傾斜ガイド43a)についても、同様の構造上の特徴を有する。一対の傾斜ガイド43a及び43bは、電動ベッド10の幅方向に折り返した対称の関係を有する。よって、一対の傾斜ガイド43a及び43bのうちの他方(傾斜ガイド43a)の詳細については、説明を省略する。また、図4Aに示される第1の位置に固定された傾斜ガイド43aの長辺(手前側の長辺)に沿った描かれた破線は、第2の位置にスライドされた場合の傾斜ガイド43aの長辺(手前側の長辺)に相当する。
図4A及び図4Bに示されるように、傾斜ガイド43bは、レール60、第1の固定部材61及び第2の固定部材62から構成される。
レール60は、左側背ボトム21cの長手方向に延び、左側背ボトム21cの裏面に対して傾斜した傾斜面60a及び側面60bを有する。傾斜面60aは、連動モードにおいて押し上げローラ46aが転がる面であり、第1の固定部材61に近い位置から第2の固定部材62に近い位置ほど、側面60bに近い側の高さ(左側背ボトム21cの裏面からの高さ)が高くなるような傾斜面を有する。
第1の固定部材61は、レール60の一端(腰ボトム22から遠い端部)を左側背ボトム21cの裏面に軸支(貫通軸となって支持)する締結部材である。
第2の固定部材62は、レール60の他端(腰ボトム22に近い端部)を左側背ボトム21cの裏面に固定する締結部材である。より詳しくは、第2の固定部材62は、第1の固定部材61で軸支されたレール60の一端を軸としてレール60の他端を電動ベッド10の幅方向にスライドさせたときの第1の位置又は第2の位置で、レール60の他端を固定する。
図4Aと図4Bとを比較して分かるように、連結モードでは、傾斜ガイド43bは、一端(つまり、第1の固定部材61)を軸として他端が中央背ボトム21bに近づく方向にスライド(回動)されて固定される(図4A)。これにより、背ボトム21が起きるに従って、押し上げローラ46bが傾斜ガイド43bの傾斜面60a上を上方から下方に向けて転がる。その結果、ローラ押さえ板42bによって中央背ボトム21bの裏面から浮き上がることが規制された押し上げローラ46bは、傾斜ガイド43bを介して左側背ボトム21cを押し上げていく。よって、連動モードでは、背ボトム21の傾斜角度が大きくなるに従って背ボトム21の両側部の少なくとも一方の屈曲角度(連動モードに設定された右側背ボトム21a又は左側背ボトム21cの中央背ボトム21bに対する傾斜角度)が大きくなっていく。
一方、固定モードでは、傾斜ガイド43bは、一端(つまり、第1の固定部材61)を軸として他端が中央背ボトム21bから遠ざかる方向にスライド(回動)されて固定される(図4B)。これにより、背ボトム21が起きるに従って、押し上げローラ46bが傾斜ガイド43bの傾斜面60aから外れた箇所(左側背ボトム21cの裏面上)を上方から下方に向けて転がる。その結果、押し上げローラ46bが左側背ボトム21cを押し上げることはない。よって、固定モードでは、背ボトム21の傾斜角度に依存することなく、背ボトム21の両側部の少なくとも一方の屈曲角度が一定(ここでは、略0度)に維持される。つまり、固定モードに設定された右側背ボトム21a又は左側背ボトム21cの中央背ボトム21bに対する傾斜角度が一定(ここでは、略0度)に維持される。
図5Aは、図4Aにおける傾斜ガイド43bの一部(スライド構造)の拡大図であり、連動モードに設定された傾斜ガイド43bの第2の固定部材62の拡大図を示している。一方、図5Bは、図4Bにおける傾斜ガイド43bの一部(スライド構造)の拡大図であり、固定モードに設定された傾斜ガイド43bの第2の固定部材62の拡大図を示している。
図5A及び図5Bに示されるように、傾斜ガイド43bの他端(腰ボトム22に近い端部)には、第2の固定部材62が貫通するスライド用孔63が形成されている。スライド用孔63は、左側背ボトム21cの幅方向に延びる細長い楕円形状を有する。第2の固定部材62は、左側背ボトム21cの裏面に固定され、スライド用孔63を貫通する固定軸66と、固定軸66と傾斜ガイド43bとを固定する固定ストッパー70とから構成される。
固定軸66は、左側背ボトム21cの裏面を平面視したときに、スライド用孔63の幅よりも大きなサイズの頭部(ここでは、多角形の頭部)を有する。そして、固定軸66は、その頭部と左側背ボトム21cの裏面との間に、傾斜ガイド43bの端部(スライド用孔63の周辺)を挟んでいる。
固定ストッパー70は、図6に示されるように、筒部71、外側突起片72及び突起部73から構成され、例えば、樹脂等で作製された止め具である。筒部71は、その内壁に、固定軸66の頭部と傾斜ガイド43bとの間に挿入される内側突起片71aを有し、固定軸66の頭部の外周を覆う。筒部71の外壁には三角状の外側突起片72が形成され、外側突起片72の先端に、筒部71の軸方向に突起する突起部73が形成されている。
連動モードに設定するには、固定ストッパー70を外した状態で、傾斜ガイド43bの他端(腰ボトム22に近い端部)を中央背ボトム21bに近い位置(第1の位置)にスライドさせた後に(図5Aの(a))、固定ストッパー70を装着する(図5Aの(b))。固定ストッパー70の装着においては、固定ストッパー70の突起部73を左側背ボトム21cに形成された第1の溝部67aに挿入した状態で、固定ストッパー70の内側突起片71aを固定軸66の頭部と傾斜ガイド43bとの間に挿入する(図5Aの(b))。これによって、傾斜ガイド43bは、押し上げローラ46bが傾斜ガイド43bの傾斜面60aの上を転がる第1の位置に固定される。なお、この第1の位置では、傾斜ガイド43bの周縁に形成された2つの溝部(第1の凹部64、第2の凹部65)のうち、第2の凹部65に、左側背ボトム21cの裏面に形成された突起が係合する。これにより、利用者が傾斜ガイド43bを第1の位置にスライドさせたときに、その利用者にクリック感を与えることができる。
一方、固定モードに設定するには、固定ストッパー70を外した状態で、傾斜ガイド43bの他端(腰ボトム22に近い端部)を中央背ボトム21bから遠い位置(第2の位置)にスライドさせた後に、固定ストッパー70を装着する(図5B)。固定ストッパー70の装着においては、固定ストッパー70の突起部73を左側背ボトム21cに形成された第2の溝部67bに挿入した状態で、固定ストッパー70の内側突起片71aを固定軸66の頭部と傾斜ガイド43bとの間に挿入する(図5B)。これによって、傾斜ガイド43bは、押し上げローラ46bが傾斜ガイド43bの傾斜面60aから外れた左側背ボトム21cの裏面の上を転がる第2の位置に固定される。なお、この第2の位置では、傾斜ガイド43bの周縁に形成された2つの溝部(第1の凹部64、第2の凹部65)のうち、第1の凹部64及び第2の凹部65のそれぞれに、左側背ボトム21cの裏面に形成された突起が係合する。これにより、利用者が傾斜ガイド43bを第2の位置にスライドさせたときに、その利用者にクリック感を与えることができる。
以上のように、本実施の形態における電動ベッド10は、人体の上半身を支持する背ボトム21を含む床板体であるボトム20と、人体の上半身を起こす方向に背ボトム21を駆動する駆動機構30と、駆動機構30が背ボトム21を起こすように駆動したときに、電動ベッド10の幅方向における背ボトム21の両側部の少なくとも一方を上方に屈曲させる屈曲機構40とを備える。屈曲機構40は、駆動機構30によって背ボトム21の傾斜角度が大きくなるに従って上記屈曲の角度を大きくしていく連動モードと、背ボトム21の傾斜角度に依存することなく上記屈曲の角度を一定に維持する固定モードとを切り替え可能な構造を有する。
これにより、背ボトムの起上に従って両側部が常に屈曲する従来の電動ベッドと異なり、屈曲機構40の動作モードを切り替えることで、必要なときにだけ、背ボトム21の起上に従って両側部の少なくとも一方を屈曲させることができる。
ここで、背ボトム21は、電動ベッド10の幅方向に分割された右側背ボトム21a、中央背ボトム21b及び左側背ボトム21cで構成される。連動モードでは、背ボトム21の傾斜角度が大きくなるに従って中央背ボトム21bに対する右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの少なくとも一方(連動モードに設定された少なくとも一方)の傾斜角度が大きくなる。一方、固定モードでは、背ボトム21の傾斜角度に依存することなく中央背ボトム21bに対する右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの少なくとも一方(固定モードに設定された少なくとも一方)の傾斜角度が一定に維持される。
そして、屈曲機構40は、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cのそれぞれの裏面に設けられ、裏面に対して傾斜した傾斜面60aを有する一対の傾斜ガイド43a及び43bと、一対の傾斜ガイド43a及び43bの傾斜面60aの上を転がる一対のローラであって、背ボトム21の傾斜角度が大きくなるに従って傾斜ガイド43a及び43bを介して右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cを押し上げる一対の押し上げローラ46a及び46bとを有する。一対の傾斜ガイド43a及び43bは、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cのそれぞれの裏面にスライド可能に設けられ、連動モードでは押し上げローラ46a及び46bが傾斜ガイド43a及び43bの傾斜面60aの上を転がる第1の位置にスライドされて固定され、固定モードでは、押し上げローラ46a及び46bが傾斜ガイド43a及び43bの傾斜面60aから外れた右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの裏面上を転がる第2の位置にスライドされて固定される。
これにより、傾斜ガイド43a及び43bをスライドさせることで屈曲機構40の動作モードを切り替えられるので、簡単な操作で、連動モードと固定モードとを切り替えることができる。
また、連動モード及び固定モードは、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cのそれぞれに対して独立して設定される。このときには、連動モードでは、背ボトム21の傾斜角度が大きくなるに従って、連動モードに設定された右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの少なくとも一方の中央背ボトム21bに対する傾斜角度が大きくなる。一方、固定モードでは、背ボトム21の傾斜角度に依存することなく、固定モードに設定された右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの少なくとも一方の中央背ボトム21bに対する傾斜角度が一定に維持される。
これにより、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cのそれぞれに対して独立して動作モード(連動モード又は固定モード)を設定できるので、背ボトム21の両側部のうち、必要な側だけを背ボトムの起上と連動して上方に屈曲させることができる。
また、一対の傾斜ガイド43a及び43bのそれぞれは、傾斜面60aを有するレール60と、レール60の一端を右側背ボトム21a又は左側背ボトム21cの裏面に軸支する第1の固定部材61と、第1の固定部材61で軸支されたレール60の一端を軸としてレール60の他端をスライドさせたときの第1の位置又は第2の位置で、レール60の他端を裏面に固定する第2の固定部材62とを有する。
これにより、傾斜ガイド43a及び43bの他端を回動させることで傾斜ガイド43a及び43bをスライドさせることができ、より簡単な操作で、連動モードと固定モードとを切り替えることができる。
また、一対の傾斜ガイド43a及び43bのそれぞれの他端には、第2の固定部材62が貫通するスライド用孔63が形成されている。第2の固定部材62は、右側背ボトム21a又は左側背ボトム21cの裏面に固定され、スライド用孔63を貫通する固定軸と、固定軸と傾斜ガイド43a及び43bとを固定する固定ストッパー70とを有する。
これにより、固定ストッパー70を傾斜ガイド43a及び43bから取り外した場合には、傾斜ガイド43a及び43bがスライド可能な状態となる。一方、固定ストッパー70を傾斜ガイド43a及び43bに装着した場合には、傾斜ガイド43a及び43bを固定できる。よって、簡単な操作で、連動モードと固定モードとを切り替え、切り替えた後の動作モードを固定させることができる。
以上、本発明の電動ベッドについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、実施の形態及び変形例における一部の構成要素を任意に組み合わせて構築される別の形態も、本発明の範囲内に含まれる。
たとえば、上記実施の形態では、連動モード及び固定モードは、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cのそれぞれに対して独立して設定されたが、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの両方を同一の動作モードに設定するような機構を設けてもよい。具体的には、一対の傾斜ガイド43a及び43bを連動してスライドさせるような機構を設けれてもよい。これにより、一つの切り替え操作で、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの両方に対して同一の動作モードを設定することができる。
また、上記実施の形態では、固定モードに設定された右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cの少なくとも一方と中央背ボトム21bとは、略0度の平坦面を維持したが、任意に設定される角度(例えば、15度など)を維持してもよい。
また、上記実施の形態では、一対の背上げローラ45a及び45bのそれぞれは、2つのローラ(凹型ガイド41a又は41bを転がるローラとローラ押さえ板42a又は42bで押さえられるローラ)とから構成された。しかしながら、一対の背上げローラ45a及び45bのそれぞれは、1つのローラ(凹型ガイド41a又は41bを転がり、かつ、ローラ押さえ板42a又は42bで押さえられるローラ)から構成されてもよい。
また、上記実施の形態では、ボトム20は、連結された4つの床板体(背ボトム21、腰ボトム22、膝ボトム23及び足ボトム24)から構成されたが、このような構成に限られない。ボトム20は、昇降可能な背ボトム21を有する構造であれば、いかなる構造を有してもよい。たとえば、背ボトム21及び腰ボトム22は、電動ベッド10の幅方向に延びる短冊状の細長い複数の板体で連結されて構成される湾曲可能な構造を有してもよい。さらに、ボトム20は、5以上の床板体から構成されてもよい。
また、上記実施の形態では、背ボトム21は、右側背ボトム21a、中央背ボトム21b及び左側背ボトム21cのいずれも方形状に構成されたが、このような構成に限られない。中央背ボトム21bを頭側が長辺(上底)となる逆台形状とし、右側背ボトム21a及び左側背ボトム21cを腰側が長辺(下底)となる台形状とし、中央背ボトム21bの頭側幅方向を腰側幅方向より確保するようにしてもよい。