JP2015201272A - 車載用前照灯 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザ光発振器と蛍光体とを使用する車載用前照灯において、蛍光体が発する光を効率よく使用する。【解決手段】第2の光学部材である放物面状の反射鏡4a,4bは、蛍光体2aがレーザ光L1の照射方向に対して透過方向と反射方向に発する光L2a,L2bをそれぞれ車両の前方に導く。これにより、蛍光体2aが表裏双方に発する白色光を効率よく使用することができる。【選択図】図1

Description

この発明は、車載用前照灯に関するものである。
地球温暖化を助長する二酸化炭素の排出量を削減する風潮と、発光効率の高い明るいLED(発光ダイオード、半導体光源)が実現化される昨今の情勢の中において、車載用灯具の光源にも従来のタングステンフィラメントによる電球に代替して、低電力のLEDが普及し始めている。当LEDは、長寿命で、一定の電流を供給する簡単な制御によって安定した明るさを発することができるため、車載用灯具の光源として好適である。さらに、近年の高出力(高光度)化も加勢して、車載用前照灯の光源としても普及し始めている。
ところで、現行の高出力LEDは、青色光を発するLEDと、当LEDが発した青色光を励起光として黄色光を発する蛍光体(波長変換素子)とを組み合わせて使用する例が多い。この励起光と蛍光体とを組み合わせた光源としては、レーザ光発振器と蛍光体とを組み合わせる方式がある。レーザ光発振器を半導体式の例えばレーザダイオードとするならば、レーザ光発振器と蛍光体とを組み合わせる方式も、広義においては発光ダイオードの類である。
ここで、半導体(ダイオード)の中で、光が発生するメカニズムを比べれば、一方のLEDは、ダイオードを形成する接合部で発生した光がそのまま外に放射されるが、他方のレーザ光発振器は、ダイオードを形成する接合部で発生した光を当接合部の中でさらに増幅して外に放射する構成である。この半導体の接合部で発生する光は、上記いずれの構成においても四方八方に放射する光であり、出射方向に向かない光は消滅し損失になることが多い。
しかしながら、レーザ光発振器は、対向する一対の反射面を備え、さらにその対向する反射面の間を往復する光を増幅する機能を有している。従って、一般的に、発光効率は、単純に光を発するLEDより、光を発しさらに増幅するレーザ光発振器の方が高い。
なお、レーザ光発振器では、上記対向する反射面の間を光が往復する都合上、反射面に対して法線方向の光が増幅されるため、出射される光は細く絞られたエネルギ密度の高いビーム状の光となる。
以下に、上記レーザ光発振器を使用した前照灯の従来例(例えば、特許文献1,2参照)と、光源が発する光を有効に使用した前照灯の従来例(例えば、特許文献3参照)を示す。
特許文献1の前照灯は、励起光を発生する半導体発光素子と、当励起光によって白色光を発する蛍光体とを離間して設けた構成である。また、励起光を発生する半導体発光素子として、レーザダイオード(レーザ光発振器)を使用する構成が示されている。当特許文献1には、レーザ光を照射した蛍光体の面から発する光を使用する構成が示されているが、蛍光体の表裏それぞれから発する光を同時に使用する構成の記載はない。
特許文献2の前照灯は、蛍光体の発光面に、レーザ素子(レーザ光発振器)が発した光を照射し、当蛍光体から発する白色光を前照灯の照射光として使用する構成である。例えば、当特許文献2の図1には、レーザ光を照射した蛍光体の面から発する光を照射光として使用する構成が示され、図22には、レーザ光を照射した蛍光体の面の裏から発する光を使用する構成(透過型の発光と記載されている)を使用する構成が示されている。当特許文献2には、蛍光体の表または裏から発する光を使用する構成が示されているが、表および裏から発する光を同時に使用する構成の記載はない。
特許文献3の前照灯は、光源として、白熱電球のタングステンフィラメントまたはHID(High Intensity Discharge)ランプのアーク放電を使用するもので、当光源から下方向に発する光を回転楕円面によって反射し、上方向に発する光は上記回転楕円面とは異なる反射面によって反射して、双方ともに車両の前方に照射することで、光源の上下方向に発する光を有効に使用する構成である。当特許文献1は、光源から発する光を有効に使用するものであるが、レーザ光発振器と蛍光体を使用する記載はない。
特開2005−150041号公報 特開2012−109220号公報 特開2009−76476号公報
上記特許文献1,2が示すように、従来は、蛍光体が表裏双方に発する白色光のうち、表または裏のいずれかから発した白色光だけを使用していた。当蛍光体中の蛍光粒子が発する光も、ダイオードの接合部で発生した光と同様に、四方八方に放射する。従って、例えば、壁面に接着あるいは塗布された蛍光体を使用する構成においては壁側に発光する光が消失する。つまり、一方の面から光を出射する構成においてはせっかく発生した光の一部を無駄に消失しているという課題があった。
ちなみに、青色光を発するLEDと、当LEDが発した青色光を励起光として黄色光を発する蛍光体とを組み合わせる構成においても、上記と同様な課題はある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、レーザ光発振器と蛍光体(波長変換素子)とを使用する車載用前照灯において、蛍光体が発する光を効率よく使用することを目的とする。
この発明に係る車載用前照灯は、レーザ光発振器と、レーザ光発振器が発するレーザ光の照射によって光を発する蛍光体と、レーザ光発振器と一体に形成あるいはレーザ光発振器と蛍光体との間に設置されてレーザ光を拡幅する第1の光学部材と、蛍光体が発する光を車両の前方に照射する第2の光学部材とを備え、第2の光学部材は、蛍光体がレーザ光の照射方向に対して透過方向と反射方向に発する光をそれぞれ車両の前方に導くものである。
この発明によれば、蛍光体がレーザ光の照射方向に対して透過方向と反射方向に発する光をそれぞれ車両の前方に導くようにしたので、蛍光体が発する光を効率よく使用することができる。
この発明の実施の形態1に係る車載用前照灯の構成例を示す断面図である。 実施の形態1に係る車載用前照灯のうち、蛍光体と第1の光学部材の一例を示す拡大図である。 実施の形態1に係る車載用前照灯のうち、蛍光体の変形例を示す拡大図である。 実施の形態1に係る車載用前照灯のうち、第1の光学部材の変形例を示す拡大図である。 実施の形態1に係る車載用前照灯のうち、蛍光体と蛍光体保持・放熱部の拡大図である。 実施の形態1に係る車載用前照灯の要部の変形例を示す図である。 実施の形態1に係る車載用前照灯の要部の変形例を示す図である。 実施の形態1に係る車載用前照灯の要部の変形例を示す図である。 この発明の実施の形態2に係る車載用前照灯の構成例を示す断面図である。 この発明の実施の形態3に係る車載用前照灯の要部の構成例を示す図である。 実施の形態3に係る車載用前照灯の要部の変形例を示す図である。
実施の形態1.
図1に示すように、実施の形態1に係る車載用前照灯は、レーザ光発振器1と、レーザ光発振器1が発するレーザ光の照射によって光を発する蛍光体2aと、レーザ光発振器1と蛍光体2aとの間に設置されてレーザ光を拡幅する凹レンズ(第1の光学部材)3aと、蛍光体2aが発する光を車両の前方に照射する放物面状の反射鏡(第2の光学部材)4a,4bと、蛍光体2aを保持する保持部材を兼用する蛍光体保持・放熱部5と、これらを収容するケース6と、前面レンズ7とを備える。なお、図1の構成例では、蛍光体2aが発する熱を放熱するための放熱フィン5aを蛍光体保持・放熱部5に設けている。この放熱フィン5aをケース6の外へ露出させて、放熱性の向上を図ってもよい。また、レーザ光発振器1に電力を供給する点灯装置10を、ケース6の外に設置しているが、ケース6の中に設置してもよい。
図2は、レーザ光発振器1と蛍光体2aと凹レンズ3aの説明用の拡大図である。棒状の凹レンズ3aは、ビーム状のレーザ光を一方向に拡幅して照射形状を点から線のレーザ光L1にする。第1の光学部材として、例えば図2に示すような棒状の凹レンズ3aを用いることにより、レーザ光L1を一様に拡幅できる。これにより、蛍光体2aの発光部分が、白熱電球のタングステンフィラメントまたはHIDランプのアーク放電のような細長い形状になり、車両前方の中央に明るさを集中させながら周囲を徐々に暗くする、前照灯として好ましい配光を形成することができる。また、拡幅したレーザ光L1の照射面の大きさに合わせて、蛍光体2aの発光面を図2のような長方形にするか、楕円形にするか、図3の蛍光体2bのような長円形にすることが好ましい。
図4は、第1の光学部材として、回折格子3bの狭いスリット3cを使用し、レーザ光L1を当スリット3cの間を通過させて、スリット3cの短軸方向にレーザ光L1を回り込ませる(拡幅する)回折効果を利用する方法である。なお、当回折格子3bのスリット3cは、レーザ光L1を遮光しないように、レーザ光発振器1に接近して配置することが望ましいため、たとえば、レーザ光発振器1の半導体接合面が形成する線状の出射部を1本のスリット3cに見立てた実質的な回折格子を流用する。換言すれば、レーザ光発振器1の出射部を回折格子3bとなるように形成することで、第1の光学部材をレーザ光発振器1と一体に形成することができる。
なお、図1の例では、凹レンズ3aと蛍光体2aとの間に、レーザ光L1の光路を変えるレーザ光用反射鏡9を設置して、レーザ光L1を上方の蛍光体2aへ導いている。
また、図1のように、第1の光学部材である凹レンズ3a(回折格子3bによる効果も同等)をレーザ光発振器1の出射部に設置すれば、レーザ光発振器1が発するビーム状のレーザ光が出射された直後に第1の光学部材で拡幅されるため、レーザ光がエネルギ密度の高い細いビームのまま外部に出射されることを防止できる。従って、万が一車両が事故に遭遇して、前照灯が破壊され、レーザ光がむき出しになって人の目に入射されることがあったとしても、拡幅によってレーザ光のエネルギ密度が低くなっているため重大な危害を及ぼすことがない。
さらに、レーザ光発振器1の出射方向を車両本体側に向ければ、事故によって前照灯が破壊されても、周囲に向かってレーザ光を放つ可能性を低くすることができる。加えて、レーザ光発振器1を車両の先端側に配置すれば、事故によってレーザ光発振器1が先に破壊される可能性が高く、早々に発光機能を失うことになり安全性がさらに高くなる。
なお、図1のように、レーザ光発振器1を前面レンズ7の下部に配置すれば、当レーザ光発振器1が発する熱によって、前面レンズ7を加温することができ、当前面レンズ7の内側に付着する水滴の蒸散、および外側に付着する氷雪を解かす効果も期待できる。
図5は、蛍光体2aと蛍光体保持・放熱部5の拡大図である。蛍光体保持・放熱部5には、レーザ光発振器1が発するレーザ光L1が入光する開口部5bが形成されており、この開口部5bを塞ぐように蛍光体2aが設置される。蛍光体2aは波長変換素子であり、レーザ光発振器1が発するレーザ光L1の照射によってレーザ光L1とは異なる波長(例えば、白色)の透過方向の光L2aおよび反射方向の光L2bを発する。蛍光体保持・放熱部5は、放熱フィン5aに接続されており、蛍光体2aが発する熱を伝熱および放熱して、蛍光体2aの温度が上昇することを抑制する。
なお、図5の蛍光体2aと蛍光体保持・放熱部5の配置を反転し、レーザ光L1の照射側に蛍光体2aを配置してもよい。透過方向の光L2aを蛍光体保持・放熱部5の開口部5bから発する構成にすれば、当蛍光体保持・放熱部5の開口部5bが透過方向の光L2aの輪郭を鮮明にする遮光板となるため、たとえば、透過光を使用するすれ違い灯用照射光の下部明部と上部暗部の境界を鮮明にすることができる。
実施の形態1では、第2の光学部材として放物面状の反射鏡4a,4bを使用する。一方の反射鏡4aは、蛍光体2aの上側に設置され、蛍光体2aが透過方向に発する光L2aを反射して車両の前方に導く。もう一方の反射鏡4bは、蛍光体2aの下側に設置され、蛍光体2aが反射方向に発する光L2bを反射して車両の前方に導く。蛍光体2aが透過方向と反射方向に発する光L2a,L2bをそれぞれ車両の前方に導くことにより光を有効に使用すること、即ち、励起するレーザ光を効率よく使用することができる。従って、レーザ光発振器1に投入した電力を効率よく白色光に変換でき、発光効率を高めることができる。そのため、低電力ながら充分な明るさを確保できる。また、少ない電力で充分な明るさを確保できるため、車載用前照灯を小形にできる。
なお、放物面状の反射鏡4a,4bはそれぞれ別部材で構成されていてもよいし、両者が一体に構成されていてもよい。
ちなみに、蛍光体2aと反射鏡4a,4bの焦点Fa,Fbとの位置関係によって、所望の配光を形成する。図1の構成例では、反射鏡4aの焦点Faを蛍光体2aの発光面表側の後方端辺に配置し、反射鏡4bの焦点Fbを蛍光体2aの発光面裏側の前方端辺に配置することにより、両者ともに前方の水平線より下側を照らすすれ違い灯用の配光を形成する。
ここで、図6〜図8に変形例を示す。図6〜図8では、車載用前照灯のうち、配光に関係する蛍光体2a、放物面状の反射鏡4a,4b、および蛍光体保持・放熱部5のみ図示している。
図6の構成例では、反射鏡4aの焦点Faを蛍光体2aの発光面表側の前方端辺に配置し、反射鏡4bの焦点Fbを蛍光体2aの発光面裏側の後方端辺に配置することにより、両者ともにすれ違い灯の上側を照らす配光を形成する。
図7の構成例では、反射鏡4aの焦点Faと、反射鏡4bの焦点Fbをともに蛍光体2aの発光面の中央に配置することにより、両者ともに前方を一様に照らす走行灯用の配光を形成する。
なお、蛍光体2aと反射鏡4a,4bの焦点Fa,Fbとの位置関係の組み合わせは任意であり、照射光を任意に操作する構成を備えれば、1個のレーザ光発振器1を使用しながらも、すれ違い灯と走行灯を切換えられる車載用前照灯を構成することもできる。たとえば、図8では、透過方向に発する光L2aをすれ違い灯用に使用し、反射方向に発する光L2bが形成するすれ違い灯の上側を照らす光の出射を遮蔽板13の傾動によって操作する構成にしている。遮蔽板13が実線で示す開放状態になると、反射方向に発する光L2bが車両前方に出射され、透過方向に発する光L2aとあわせて走行灯用の配光が形成される。遮蔽板13が一点鎖線で示す遮蔽状態になると、反射方向に発する光L2bが遮られ、透過方向に発する光L2aのみが車両前方に照射されてすれ違い灯用の配光が形成される。
以上より、実施の形態1によれば、車載用前照灯は、レーザ光発振器1と、レーザ光発振器1が発するレーザ光L1の照射によって光を発する蛍光体2aと、レーザ光発振器1と蛍光体2aとの間に設置されてレーザ光L1を拡幅する第1の光学部材と、蛍光体2aがレーザ光L1の照射方向に対して透過方向と反射方向に発する光L2a,L2bをそれぞれ車両の前方に導く第2の光学部材とを備える構成にした。これにより、蛍光体が表裏双方(透過方向と反射方向)に発する白色光を効率よく使用すること、即ち、励起するレーザ光を効率よく使用することができ、結果的には、投入した電力を効率よく白色光に変換できる(発光効率を高くすることができる)。そのため、低電力ながら充分な明るさを確保できる車載用前照灯を実現できる。また、少ない電力で充分な明るさを確保できるため、小形の車載用前照灯が実現できる。
また、実施の形態1によれば、蛍光体2aの発光面を楕円形、長方形あるいは長円形にすることで、車両前方の中央に明るさを集中しながら周囲を徐々に暗くする、好ましい配光の車載用前照灯を実現できる。
また、実施の形態1によれば、第1の光学部材に、棒状の凹レンズ3a、あるいは回折格子3bを使用することで、ビーム状のレーザ光の照射形状を点から線に拡幅でき、好ましい配光の車載用前照灯を実現できる。
なお、凹レンズ3aの凹面は、入射面あるいは出射面のどちらか一方でも構わないし、図示したように両面でも構わない。また、第1の光学部材となる回折格子3bとして、レーザ光発振器1の半導体接合面が形成する線状の出射部を1本のスリットに見立てた実質的な回折格子を流用すれば、第1の光学部材をレーザ光発振器1と一体に形成することができる。
また、第1の光学部材として、棒状の凹レンズ3aと、回折格子3bの双方を使用する構成でも構わない。
また、実施の形態1によれば、車載用前照灯は、レーザ光発振器1と蛍光体2aとの間に設置されてレーザ光L1の光路を変えるレーザ光用反射鏡9を備え、光路を折り曲げることで、レーザ光発振器1の配置位置の自由度を上げることができ、小形の車載用前照灯を実現できる。
また、実施の形態1によれば、第2の光学部材に、放物面状の反射鏡4a,4bを使用することで、低電力で小形の車載用前照灯を実現できる。
また、実施の形態1によれば、車載用前照灯は、蛍光体2aの周囲に配置された蛍光体保持・放熱部5を備えるようにしたので、蛍光体2aの温度を低く抑えることができる。これにより、効率の良い発光(光の波長変換)ができ、低電力の車載用前照灯が実現できる。また、蛍光体2aの劣化を抑制することで、品質の高い車載用前照灯が実現できる。
また、実施の形態1によれば、車載用前照灯は、レーザ光発振器1に電力を供給する点灯装置10を備えるようにしたので、扱いやすい車載用前照灯を実現できる。
また、実施の形態1によれば、レーザ光発振器1を蛍光体2aより前方に配置することで、事故により車両の前部が破損したときにレーザ光発振器1が先に破壊されやすくなり、レーザ光の漏えいを防止することができる。
実施の形態2.
図9は、実施の形態2に係る車載用前照灯の構成例を示す断面図である。なお、図9において、図1〜図8と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図9の構成例では、蛍光体2aが発する光を車両の前方に照射する第2の光学部材として、回転楕円面状の反射鏡4cと、投影レンズ(凸レンズ)4dとを使用する。蛍光体2aの上側に回転楕円面状の反射鏡4cを設置し、この反射鏡4cの前方に投影レンズ4dを設置する。反射鏡4cは、蛍光体2aが透過方向に発する光L2aを反射して車両の前方に導き、投影レンズ4dは、反射鏡4cによって車両の前方に導かれた光L2aを車両の前方へ投影する。なお、蛍光体2aの下側には、上記実施の形態1と同様に放物面状の反射鏡4bを設置し、蛍光体2aが反射方向に発する光L2bを車両の前方に導く。
実施の形態2のように、第2の光学部材として、回転楕円面状の反射鏡4cと凸状の投影レンズ4dを使用した場合にも、上記実施の形態1と同様に低電力で小形の車載用前照灯を実現できる。
なお、上記放物面状および回転楕円面状の反射鏡、ならびに凸状の投影レンズは、蛍光体2aが発する光L2a,L2bを車両の前方に導く光学部材の例として使用したものであり、反射鏡およびレンズの形状、ならびにそれらの組み合わせを限定したものではない。
また、実施の形態2では、図9に示すように点灯装置10の構成要素の一部(たとえば、衝突を検出して点灯動作を停止するもしくは停止信号を発する部位)をレーザ光発振器1より前方に配置した。これにより、事故により車両の前部が破損したときに、レーザ光発振器1より先に点灯装置10に衝撃が加わり、速やかに点灯動作を停止することができる。あるいは、点灯装置10がレーザ光発振器1により先に破壊されやすくなり、レーザ光発振器1への電力供給が途絶え、レーザ光の漏えいを防止することができる。
実施の形態3.
図10および図11は、実施の形態3に係る車載用前照灯に使用されるプリズム11,12の拡大図である。透明な材料により構成されたプリズム11,12は、図1に示した凹レンズ3a(第1の光学部材)の機能とレーザ光用反射鏡9の機能を兼ね備えた部材である。車載用前照灯のその他の構成については図1〜図9と同様である。
図10に示すプリズム11は、不図示のレーザ光発振器1と蛍光体2aとの間に設置されて、レーザ光の光路を変えて蛍光体2aへ導く反射面11aと、レーザ光を拡幅する凹レンズ面11bとを備えている。なお、凹レンズ面11bは、レーザ光の入射面あるいは出射面のどちらに設けても構わない。
図11に示すプリズム12は、不図示のレーザ光発振器1と蛍光体2aとの間に設置されて、レーザ光を拡幅すると共に拡幅したレーザ光の光路を変える凸面鏡12aを備えている。
実施の形態3のように、レーザ光の光路を変える反射面を、レーザ光を拡幅する第1の光学部材の一部に形成することにより、小形の車載用前照灯を実現できる。
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、または各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
1 レーザ光発振器、2a,2b 蛍光体、3a 凹レンズ(第1の光学部材)、3b 回折格子(第1の光学部材)、3c スリット、4a〜4c 反射鏡(第2の光学部材)、4d 投影レンズ(第2の光学部材)、5 蛍光体保持・放熱部、5a 放熱フィン、5b 開口部、6 ケース、7 前面レンズ、9 レーザ光用反射鏡(反射面)、10 点灯装置、11,12 プリズム、11a 反射面、11b 凹レンズ面(第1の光学部材)、12a 凸面鏡(反射面)、13 遮蔽板。

Claims (11)

  1. レーザ光発振器と、
    前記レーザ光発振器が発するレーザ光の照射によって光を発する蛍光体と、
    前記レーザ光発振器と一体に形成あるいは前記レーザ光発振器と前記蛍光体との間に設置されて前記レーザ光を拡幅する第1の光学部材と、
    前記蛍光体が発する光を車両の前方に照射する第2の光学部材とを備え、
    前記第2の光学部材は、前記蛍光体が前記レーザ光の照射方向に対して透過方向と反射方向に発する光をそれぞれ前記車両の前方に導くことを特徴とする車載用前照灯。
  2. 前記蛍光体の発光面は、長方形、長円形あるいは楕円形であることを特徴とする請求項1記載の車載用前照灯。
  3. 前記第1の光学部材は、棒状の凹レンズであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車載用前照灯。
  4. 前記第1の光学部材は、前記レーザ光発振器の出射部に設けられた実質的な回折格子であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車載用前照灯。
  5. 前記レーザ光発振器と前記蛍光体との間に設置されて前記レーザ光の光路を変える反射面を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の車載用前照灯。
  6. 前記反射面は、前記第1の光学部材の一部に形成されていることを特徴とする請求項5記載の車載用前照灯。
  7. 前記第2の光学部材は、反射鏡あるいはレンズを使用したものであることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の車載用前照灯。
  8. 前記蛍光体の周囲に放熱部材あるいは伝熱部材を備えることを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の車載用前照灯。
  9. 前記レーザ光発振器は、前記蛍光体より前方に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の車載用前照灯。
  10. 前記レーザ光発振器に電力を供給する点灯装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の車載用前照灯。
  11. 前記点灯装置の一部は、前記レーザ光発振器より前方に配置されていることを特徴とする請求項10記載の車載用前照灯。
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