JP2015199780A - 液体組成物、液体カートリッジ、セット、及び画像記録方法 - Google Patents

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郁郎 中澤
えり 渡邉
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えり 渡邉
克洋 林
Katsuhiro Hayashi
克洋 林
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Abstract

【課題】吐出安定性に優れ、色材を含有するインクとともに用いた際に、得られる画像の耐擦過性及び耐水性を向上することができる液体組成物の提供。
【解決手段】400〜780nmの波長域における最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminの比Amax/Aminが、1.0〜2.0であり、式(1)で表される単量体に由来するユニットを有する樹脂粒子、及びヒドラジド基又はセミカルバジド基を有する架橋剤を含有し、樹脂粒子の酸価が、25〜150mgKOH/gである、色材を含有するインクとともに用いる水性の液体組成物。
Figure 2015199780

【選択図】なし

Description

本発明は、液体組成物、液体カートリッジ、セット、及び画像記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、電子写真記録方法に比べて省エネルギーなデジタル印刷手法として期待されている。ただし、インクジェット記録方法の場合、記録媒体の表面に顔料が残留することがあるため、画像の耐擦過性や耐水性が不十分となる場合がある。
そこで、耐擦過性及び耐水性を向上する方法として、架橋性を有する樹脂粒子をインクに用いることが提案されている。具体的に、特許文献1では、イオン性基を有するウレタンアクリル樹脂からなる樹脂粒子と、この樹脂粒子と架橋する成分とを含有するインクが提案されている。また、特許文献2では、ビニル系のモノマーを用いて得た樹脂粒子を使用し、インク液滴が記録媒体に着弾した後に樹脂粒子を構成する樹脂を架橋させて画像の定着性を向上させるインクが提案されている。さらに、特許文献3では、インク液滴が記録媒体に着弾した後に架橋する、ビニル系モノマーを用いて得た架橋性樹脂を添加したインクジェット用のインクを含むインクセットが提案されている。
特開2004−149600号公報 特開2010−280830号公報 特許第4136814号公報
しかしながら、特許文献1で提案されたインクに用いるウレタンアクリル樹脂は、その主鎖骨格中にウレタン構造を有するため、インク液滴が記録媒体に着弾する前に架橋構造を形成することがある。このため、インクジェット用のインクとして用いる場合、乾燥や蒸発によってインクの物性が変化しやすく、インクの物性を適切に制御することが困難である。
また、特許文献2で提案されたインクであっても、樹脂の種類によっては、高画質な画像を記録するために微小なインク液滴を付与するインクジェット記録方法への適性を十分満たせない場合がある。なお、インクの吐出時に生ずるせん断や加熱などの環境変化にも十分に耐えるためには、樹脂粒子の形態を制御するだけでなく、樹脂粒子の立体反発や静電反発などの相互作用についても厳密に制御する必要がある。しかしながら、特許文献2には樹脂粒子の酸価や粒径などが記載されておらず、インクジェット方式によりインクを吐出することも記載されていない。
特許文献3で提案されたインクセットに用いるインクは、主鎖が炭化水素からなる樹脂を添加したものであるため、インクタンク内における架橋点の形成は抑制されるものと推測される。しかしながら、水溶性の樹脂を用いているため、樹脂を構成する高分子鎖の広がりによるインクの粘度上昇が懸念される。また、反応液とインクとのインクセットであるため、樹脂を架橋させるための架橋成分は反応液中に存在する。したがって、樹脂を架橋させるためには反応液とインクとの接触(混合)が必須である。このため、架橋性の樹脂と架橋剤の割合を適正化するには、反応液の付与量を適切に制御することが必要となる場合がある。
さらに、特許文献1〜3で提案された技術をクリアインクに適用した場合は、クリアインクの吐出安定性が十分となる場合があった。
したがって、本発明の目的は、吐出安定性に優れ、色材を含有するインクとともに用いた際に、得られる画像の耐擦過性及び耐水性を向上することができる液体組成物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、この液体組成物を用いた液体カートリッジ、セット、及び画像記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、色材を含有するインクとともに用いる水性の液体組成物であって、400nm乃至780nmの波長域における最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminの比Amax/Aminが、1.0以上2.0以下であり、下記一般式(1)で表される単量体に由来するユニットを有する樹脂粒子、及びヒドラジド基又はセミカルバジド基を有する架橋剤を含有し、前記樹脂粒子の酸価が、25mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることを特徴とする液体組成物が提供される。
Figure 2015199780
(前記一般式(1)中、R1は、H又はCH3を表し、Xは、O又はNHを表し、R2は、置換又は無置換の、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基又は芳香族環を表し、R3は、置換又は無置換の、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又は芳香族環を表す)
本発明によれば、吐出安定性に優れ、色材を含有するインクとともに用いた際に、得られる画像の耐擦過性及び耐水性を向上することができる液体組成物を提供することができる。また、本発明によれば、この液体組成物を用いた液体カートリッジ、セット、及び画像記録方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
<液体組成物>
本発明の水性の液体組成物は、樹脂粒子及び架橋剤を含有する。本発明の液体組成物は、インクで記録した画像に影響を及ぼさないために、通常、無色、乳白色、又は白色である。このため、本発明の液体組成物の400nm乃至780nmの波長域における最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminの比Amax/Aminは、1.0以上2.0以下である。これは、可視光の波長域において、吸光度のピークを実質的に有しないか、又は有していてもピークの強度が極めて小さいことを意味する。このような本発明の液体組成物は、色材を含有しないことが好ましい。後述する実施例において、上記の吸光度は、非希釈の液体組成物を用いて、分光光度計(商品名「日立ダブルビーム分光光度計U−2900」、日立ハイテクノロジーズ製)によって測定した。なお、液体組成物を希釈して吸光度を測定してもよい。これは、液体組成物の最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminの値は、いずれも希釈倍率に比例するため、Amax/Aminの値は希釈倍率に依存しないからである。以下、本発明の液体組成物(以下、「クリアインク」とも記す)を構成する各成分について、それぞれ説明する。
(樹脂粒子)
液体組成物に含有される樹脂粒子は、下記一般式(1)で表される単量体に由来するユニットを有する。この樹脂粒子の酸価は、25mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である。
Figure 2015199780
(前記一般式(1)中、R1は、H又はCH3を表し、Xは、O又はNHを表し、R2は、置換又は無置換の、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基又は芳香族環を表す。R3は、置換又は無置換の、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又は芳香族環を表す)
また、樹脂粒子を構成する樹脂は、吐出安定性の観点から、その主鎖が炭化水素からなることが好ましい。これは、液体組成物の液滴が記録媒体に付与される前に架橋構造が形成されにくいためである。
一般式(1)で表される単量体は、ケトン基(C=O)を有するため、後述するヒドラジド基又はセミカルバジド基を有する架橋剤と脱水反応して架橋構造を形成しうる。一般式(1)で表される単量体の具体例を以下に示す。なお、以下に示す具体例において、「Ph」はフェニル基又はフェニレン基を意味し、「Cy」はシクロヘキシル基又はシクロへキシレン基を意味する。
CH2=CH−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−CH3
CH2=C(CH3)−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−CH3
CH2=CH−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−C25
CH2=C(CH3)−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−C25
CH2=CH−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−C37
CH2=C(CH3)−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−C37
CH2=CH−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−C49
CH2=C(CH3)−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−C613
CH2=CH−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−C511
CH2=C(CH3)−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−C715
CH2=CH−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−C817
CH2=C(CH3)−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−C919
CH2=C(CH3)−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−C1021
CH2=CH−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−CH(CH3)CH3
CH2=C(CH3)−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−CH(CH3)CH3
CH2=CH−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−C(CH3)3
CH2=C(CH3)−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−C(CH3)3
CH2=CH−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−CH2CH(CH3)2
CH2=C(CH3)−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−CH2CH(CH3)2
CH2=CH−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−Cy
CH2=C(CH3)−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−Cy
CH2=CH−CO−O−C(CH3)2−CH2−CO−CH3
CH2=C(CH3)−CO−O−C(CH3)2−CH2−CO−CH3
CH2=CH−CO−NH−CH2−CH2−CO−CH3
CH2=C(CH3)−CO−NH−CH2−CH2−CO−CH3
CH2=CH−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CH2−CO−CH3
CH2=C(CH3)−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CH2−CO−CH3
CH2=CH−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CH2−CH2−CO−CH3
CH2=C(CH3)−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CH2−CH2−CO−CH3
CH2=CH−CO−NH−Ph−CH2−CH2−CO−CH3
CH2=C(CH3)−CO−NH−C(CH3)2−Ph−CH2−CH2−CO−CH3
CH2=CH−CO−NH−Ph−C(CH3)2−CH2−CO−CH3
CH2=C(CH3)−CO−NH−Ph−C(CH3)2−CH2−CO−CH3
CH2=CH−CO−NH−Ph−C(CH3)2−CH2−CO−CH3
CH2=C(CH3)−CO−NH−Ph−C(CH3)2−CH2−CO−CH3
CH2=CH−CO−NH−Cy−C(CH3)2−CH2−CO−CH3
CH2=C(CH3)−CO−NH−Cy−C(CH3)2−CH2−CO−CH3
樹脂粒子は、一般式(1)で表される単量体に由来するユニット以外にも、他の単量体に由来するユニットを有していてもよい。他の単量体としては、疎水性単量体、親水性単量体、及び重合可能な二以上の二重結合を有する多官能性単量体等を挙げることができる。
疎水性単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、3−メチルブチルアクリレート、3−メチルブチルメタクリレート、ヘプチルアクリレート、ヘプチルメタクリレート、3−エトキシブチルアクリレート、3−エトキシブチルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロへキシルアクリレート、シクロへキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソプレン、ブタジエン等を挙げることができる。
親水性単量体としては、カルボキシ基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、及びノニオン性単量体等を用いることができる。カルボキシ基を有する単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等を挙げることができる。スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビニルスチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等を挙げることができる。また、ノニオン性単量体の具体例としては、以下に示すものを挙げることができる。なお、以下に示す具体例において、「Ph」はフェニル基を意味する。
CH2=CH−CO−O−CH2CH2O−H
CH2=C(CH3)−CO−O−CH2CH2O−H
CH2=CH−CO−O−(CH2CH2O)2−H
CH2=C(CH3)−CO−O−(CH2CH2O)2−H
CH2=CH−CO−O−(CH2CH2O)3−H
CH2=C(CH3)−CO−O−(CH2CH2O)3−H
CH2=CH−CO−O−(CH2CH2O)4−H
CH2=C(CH3)−CO−O−(CH2CH2O)4−H
CH2=CH−CO−O−(CH2CH2O)5−H
CH2=C(CH3)−CO−O−(CH2CH2O)6−H
CH2=CH−CO−O−(CH2CH2O)7−H
CH2=C(CH3)−CO−O−(CH2CH2O)8−H
CH2=CH−CO−O−(CH2CH2O)9−H
CH2=C(CH3)−CO−O−(CH2CH2O)10−H
CH2=CH−CO−O−(CH2CH2O)11−H
CH2=C(CH3)−CO−O−(CH2CH2O)12−H
CH2=CH−CO−O−(CH2CH2O)11−CH3
CH2=C(CH3)−CO−O−(CH2CH2O)12−CH3
CH2=CH−CO−O−(CH2CH2O)11−C25
CH2=C(CH3)−CO−O−(CH2CH2O)12−C25
CH2=CH−CO−O−(CH2CH2O)3−C35
CH2=C(CH3)−CO−O−(CH2CH2O)3−C49
CH2=CH−CO−O−(CH2CH2O)5−Ph
CH2=C(CH3)−CO−O−(CH2CH2O)5−Ph
多官能性単量体の具体例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等のジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物;ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のヘキサアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物;メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
一般式(1)で表される単量体と共重合可能な他の単量体のうち、特に好適なものとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニルモノマー類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニルモノマー類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有モノマー類;スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の不飽和スルホン酸モノマー類等を挙げることができる。
前述の通り、樹脂粒子の酸価は、25mgKOH/g以上150mgKOH/g以下である。樹脂粒子の酸価は、好ましくは30mgKOH/g以上140mgKOH/g以下、さらに好ましくは35mgKOH/g以上120mgKOH/g以下である。樹脂粒子の酸価が25mgKOH/g未満であると、樹脂粒子自体の分散が不安定になり、吐出安定性が十分に得られない場合がある。一方、樹脂粒子の酸価が150mgKOH/gを超えると、樹脂粒子が水分を抱え込みやすくなり、画像の耐擦過性や耐マーカー性が十分に得られない場合がある。
樹脂粒子は、エマルションの状態で液体組成物に含有されていることが好ましい。樹脂粒子をエマルションの状態で液体組成物に含有させる方法としては、不飽和単量体(モノマー)を乳化重合又はソープフリー重合することによって樹脂粒子を調製する方法を挙げることができる。
樹脂粒子のエマルションは、公知の乳化重合法などにより調製することができる。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、メチルメタアクリレート等の疎水性単量体と、スチレンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、アクリロトリル、アクリルアミド、4−ビニルピリジン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、マイレン酸のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートモノエステル等の親水性単量体とを、過硫酸カリウム等を重合開始剤として添加した水媒体中においてソープフリー乳化重合すること等により、樹脂粒子のエマルションを得ることができる。また、重合開始剤及び界面活性剤添加した水中において各種のモノマーを乳化重合することによっても、樹脂粒子のエマルションを得ることができる。以下、樹脂粒子の具体的な製造例を示す。
(樹脂粒子の製造例)
300mLの4つ口フラスコに所定量のモノマー、乳化剤、及び蒸留水100gを入れる。撹拌シール、撹拌棒、還流冷却管、セプタムラバー、及び窒素導入管を4つ口フラスコに取り付け、70℃の恒温槽中にて300rpmで撹拌しながら1時間窒素置換する。次いで、シリンジを用いて蒸留水100gに溶解させた重合開始剤をフラスコ内に注入し、重合を開始する。重合の進行状況をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)及びNMRでモニターリングし、重合反応を完結させる。遠心分離と蒸留水中への再分散とを繰り返すことにより、精製された樹脂粒子の水分散体を得る。精製された樹脂粒子の水分散体は、必要に応じて、エバポレーターや限外濾過などにより濃縮してもよい。
重合開始剤としては、通常のラジカル重合などで使用されるものを用いることができる。重合開始剤の具体例としては、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド等を挙げることができる。また、重合に際しては、重合開始剤以外にも界面活性剤、連鎖移動剤、中和剤等を用いることもできる。中和剤としては、アンモニア;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリの水酸化物等が好ましい。乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等を用いることができる。なお、乳化剤の添加量を調整すること等により、得られる樹脂粒子の粒径を制御することができる。また、連鎖移動剤の具体例としては、ジメチルキサントゲンジスルフィドやジイソブチルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、ジペンテン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテン等を挙げることができる。
樹脂粒子の体積平均粒子径は、80nm以上220nm以下であることが好ましく、90nm以上210nm以下であることがさらに好ましく、100nm以上200nm以下であることが特に好ましい。樹脂粒子の体積平均粒子径が80nm未満である、或いは220nm超であると、小さ過ぎることによって凝集してしまったり、大き過ぎることで分散が十分にできなかったりする場合がある。このため、吐出安定性が十分に得られない場合がある。
液体組成物中の樹脂粒子の含有量は、液体組成物全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子の含有量が0.1質量%未満であると、記録される画像の耐擦過性及び耐水性が十分に向上しない場合がある。一方、樹脂粒子の含有量が20.0質量%を超えると、液体組成物の粘性が高くなりすぎる場合がある。
液体組成物を室温で定着させる場合には、樹脂粒子のガラス転移温度(Tg(℃))が25℃以下であることが好ましく、0〜20℃であることがさらに好ましい。また、所定の加熱温度(T1(℃))に加熱して液体組成物を定着させる場合には、樹脂粒子のガラス転移温度(Tg(℃))は、液体組成物の定着時の加熱温度(T1(℃))以下であることが好ましい。なお、加熱温度(T1)及び樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがさらに好ましい。加熱温度(T1)及び樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)が150℃を超えると、エネルギー負荷が大きくなる傾向にある。
樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、例えば、示差走査熱量計(DSC)等の熱分析装置を使用する通常の方法に従って測定することができる。樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)が、液体組成物の定着時の加熱温度(T1)以下であると、液体組成物中の樹脂粒子同士が定着時に融着し、連続膜の形成が助長される。このため、樹脂粒子を構成する樹脂同士の架橋反応も助長されるものと推測される。
(架橋剤)
液体組成物に含有される架橋剤は、ヒドラジド基又はセミカルバジド基を有する。この架橋剤を用いれば、熱や電子線等の外部エネルギーを付与しなくても、液体組成物のみで架橋反応させることができる。なお、熱や電子線等の外部エネルギーを付与する工程をさらに有する画像記録方法に用いてもよい。エネルギーをより節約しつつ高品位な画像を記録する観点からは、外部エネルギーを実質的に付与することなく架橋構造を形成させることが好ましい。なお、架橋剤は、2以上のヒドラジド基を有することが好ましい。
架橋剤の具体例としては、以下に示すものを挙げることができる。なお、以下に示す具体例において、「Ph」はフェニレン基を意味する。
2N−NH−CO−(CH2)4−CO−NH−NH2
2N−NH−CO−(CH2)5−CO−NH−NH2
2N−NH−CO−(CH2)6−CO−NH−NH2
2N−NH−CO−(CH2)7−CO−NH−NH2
2N−NH−CO−(CH2)8−CO−NH−NH2
2N−NH−CO−(CH2)9−CO−NH−NH2
2N−NH−CO−(CH2)10−CO−NH−NH2
2N−NH−CO−(CH2)11−CO−NH−NH2
2N−NH−CO−(CH2)12−CO−NH−NH2
2N−NH−CO−(CH2)13−CO−NH−NH2
2N−NH−CO−(CH2)14−CO−NH−NH2
2N−NH−CONH−(CH2)4−NHCO−NH−NH2
2N−NH−CONH−(CH2)5−NHCO−NH−NH2
2N−NH−CONH−(CH2)6−NHCO−NH−NH2
2N−NH−CONH−(CH2)7−NHCO−NH−NH2
2N−NH−CONH−(CH2)8−NHCO−NH−NH2
2N−NH−CONH−(CH2)9−NHCO−NH−NH2
2N−NH−CONH−(CH2)10−NHCO−NH−NH2
2N−NH−CONH−(CH2)11−NHCO−NH−NH2
2N−NH−CONH−(CH2)12−NHCO−NH−NH2
2N−NH−CONH−(CH2)13−NHCO−NH−NH2
2N−NH−CONH−(CH2)14−NHCO−NH−NH2
さらに、上記の他、H2N−NH−CO−Ph−CO−NH−NH2で表されるフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、及びテレフタル酸ジヒドラジド;H2N−NH−CONH−Ph−NHCO−NH−NH2で表されるフタル酸ジセミカルバジミド、イソフタル酸ジセミカルバジミド、及びテレフタル酸ジセミカルバジミド;ポリアクリル酸アミドとヒドラジン一水和物との高分子反応より得られるポリアクリル酸ヒドラジド;アクリル酸クロライドとヒドラジン一水和物とのアシル化反応により得られた単量体を重合して得られるポリアクリル酸ヒドラジド;アクリル酸ヒドラジドを含む2種類以上の単量体からなるポリアクリル酸ヒドラジドの共重合体等を挙げることができる。
液体組成物中の架橋剤の含有量は、樹脂中のケトン基に対して、0.1当量以上2.0当量未満であることが好ましく、0.2当量以上1.5当量未満であることがさらに好ましい。液体組成物中の架橋剤の含有量が、樹脂中のケトン基に対して0.1当量未満又は2.0当量以上であると、架橋による効果が発現しにくくなる傾向にある。
(水性媒体)
本発明の液体組成物は水を含有する。さらに、水溶性有機溶剤を含有してもよい。水としては、イオン交換水(脱イオン水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えば、炭素数1乃至4のアルキルアルコール類、アミド類、ポリアルキレングリコール類、グリコール類、アルキレン基の炭素原子数が2乃至6のアルキレングリコール類、多価アルコール類、多価アルコールのアルキルエーテル類、含窒素化合物類などを挙げることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。液体組成物中の水の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、30.0質量%以上80.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、液体組成物中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい
(その他の成分)
本発明の液体組成物は、上記の成分以外にも必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び上記の樹脂粒子以外の樹脂などの種々の添加剤を含有してもよい。このような添加剤の液体組成物中における含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、0.05質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。
なかでも、ノニオン性界面活性剤を含有することが好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物などを挙げることができる。液体組成物中の界面活性剤の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上4質量%以下であることがさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であることが特に好ましい。
また、液体組成物のpHは、7以上10以下であることが好ましい。液体組成物のpHは、pH調整剤を用いて調整することができる。なお、液体組成物のpHは25℃における値であり、一般的なpHメータを用いて測定することができる。
<液体カートリッジ>
本発明の液体カートリッジは、液体組成物を収容する液体収容部を備える。そして、この液体収容部に収容された液体組成物が、上記で説明した本発明の液体組成物である。なお、本発明の液体カートリッジは、液体収容部と記録ヘッドを有するように構成された形態の液体カートリッジであってもよい。
<セット>
本発明のセットは、色材を含有するインク及び液体組成物を含む。そして、この液体組成物が、上記で説明した本発明の液体組成物である。以下、液体組成物とともに用いるインクを構成する成分について説明する。
(インク)
インクは色材を含有する。色材としては、公知の色材をいずれも用いることができる。色材の具体例としては、顔料や染料を挙げることができる。色材としては、顔料を用いることが好ましい。色材として顔料を含有するインクを用いると、得られる画像の耐擦過性や耐マーカー性が低くなりやすいが、本発明の液体組成物と組み合せて用いることで、画像の耐擦過性や耐マーカー性を向上させることができる。
顔料としては、公知の無機顔料や有機顔料をいずれも使用することができる。また、分散方法で分類すると、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散タイプの顔料や、顔料の粒子表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)を用いることができる。なお、樹脂分散タイプの顔料としては、高分子分散剤を使用した樹脂分散顔料、顔料の粒子表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル顔料、及び顔料の粒子表面に高分子を含む有機基が化学的に結合したポリマー結合型自己分散顔料などを挙げることができる。分散方法の異なる顔料を併用することも可能である。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上12.0質量%以下であることがさらに好ましい。
インクには、水、又は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、液体組成物に使用可能なものとして挙げた水溶性有機溶剤と同様のものを使用することができる。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、インクには、上記の液体組成物に使用可能なものとして挙げたその他の成分と同様のものを使用することができる。インクの色については特に限定されず、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどを用いることができる。
(反応液)
本発明のセットは、さらに、液体組成物に含有される樹脂粒子の会合状態を不安定化させる反応液を含むことが好ましい。反応液と組み合わせて用いられることで、樹脂粒子が不安定化して凝集するので、樹脂粒子によって形成される膜が強固になり、画像の耐擦過性や耐マーカー性をさらに向上させることができる。反応液には、例えば、樹脂粒子の会合状態を不安定化させ、樹脂粒子を凝集させる作用を有する反応剤が含有される。このような反応剤としては、多価金属イオン、酸性化合物、カチオン性化合物などを挙げることができる。なお、このような反応剤は、液体組成物には含有されないことが好ましい。
多価金属イオンとしては、二価以上の金属イオンであれば好適に用いることができる。二価の金属イオンとしては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、及びラジウムなどのアルカリ土類金属等を挙げることができる。三価以上の金属イオンとしては、アルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、鉄やその他の遷移金属イオン等を挙げることができる。多価金属イオンは、例えば、水酸化物、塩化物、硝酸塩、硫酸塩などの塩の状態で反応液に添加することができる。添加された塩は、反応液中で解離してイオンを生ずる。
酸性化合物としては、メタンスルホン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピルビン酸、N−(2−アセタミド)イミノジ酢酸、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、2−モルホリノエタンスルホン酸などを挙げることができる。
カチオン性化合物としては、ポリアリルアミン、ビニルピロリドン−N,Nジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体硫酸塩、エチレンイミン、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミンアンモニウムクロライド、グアニジンホルムアルデヒドなどを挙げることができる。
反応液には、水、又は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。反応液中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、5.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、液体組成物に使用可能なものとして挙げた水溶性有機溶剤と同様のものを使用することができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。反応液中の水の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、40.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、反応液には、上記の液体組成物に使用可能なものとして挙げたその他の成分と同様のものを使用することができる。なお、25℃における反応液の粘度は、1mPa・s以上30mPa・s以下であることが好ましい。
反応液は、インクで記録した画像に影響を及ぼさないために、無色、乳白色、又は白色であることが好ましい。すなわち、反応液の400nm乃至780nmの波長域における最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminの比Amax/Aminは、1.0以上2.0以下であることが好ましい。また、反応液は、記録媒体に付与された際に無色透明の膜を形成しうるものであることが好ましい。このような反応液は、色材を含有しないことが好ましい。
<画像記録方法>
本発明の画像記録方法は、記録媒体に色材を含有するインクを付与するインク付与工程(工程(A))と、記録媒体に液体組成物を付与する液体組成物付与工程(工程(B))とを有する。そして、液体組成物付与工程で用いる液体組成物が、上記で説明した本発明の液体組成物である。本発明の画像記録方法は、液体組成物及びインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出する画像記録方法、すなわち、インクジェット記録方法であることが好ましい。インクジェット方式としては、液体組成物及びインクに熱エネルギーを作用させて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式が好ましい。なお、本発明における「記録」には、光沢紙や普通紙などの記録媒体に対して液体組成物を用いて記録する態様だけでなく、ガラス、プラスチック、フィルムなどの非浸透性の記録媒体に対して液体組成物を用いてプリントする態様が包含される。
本発明の画像記録方法においては、工程(A)を工程(B)に先立って実施してもよく、工程(B)の後に工程(A)を実施してもよい。但し、工程(B)の後に工程(A)を実施すると、画像の耐擦過性及び耐マーカー性の向上効果がより大きくなるために好ましい。
また、本発明の画像記録方法は、さらに、前記液体組成物に含有される前記樹脂粒子の会合状態を不安定化させる反応液を付与する反応液付与工程(工程(C))を有することが好ましい。反応液を付与する手段としては、インクジェット方式やローラ塗布方式などを挙げることができる。工程(A)と工程(C)は、いずれの工程を先に実施してもよいが、画像濃度及び定着性の向上の観点からは、工程(C)の後に工程(A)を実施することが好ましい。反応液が付与された記録媒体に液体組成物が付与されることで、液体組成物に含まれる樹脂粒子が瞬時に不安定化して凝集するため、記録媒体への液体成分の浸透をより抑制することができるためである。
さらに、本発明の画像記録方法は、画像が記録された記録媒体をローラ等で加圧する定着工程を有することが好ましい。定着工程を実施することで、記録媒体に対する画像の定着性を高めることができる。また、定着の際に、画像が記録された記録媒体を加熱することが好ましい。具体的には、加熱したローラで記録媒体を加圧する方法を挙げることができる。
定着工程において記録媒体を加熱する場合には、液体組成物に含まれる樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以上の温度で加熱することが好ましい。定着時の加熱温度は150℃以下とすることが好ましく、140℃以下とすることがさらに好ましい。加熱方法としては、熱風加熱、放射加熱、伝導加熱などを挙げることができる。
(記録媒体)
記録媒体の種類は特に限定されず、従来使用されている普通紙、写真用紙、及び印刷用紙を好適に使用することができる。普通紙は、プリンタや複写機等で大量に使用されている、市販の上質紙、中質紙、PPC用紙等のコピー用紙、及びボンド紙などである。写真用紙の具体例としては、以下商品名で、PT−101、PR−201、GL−101、SG−201、GP−501、PR−101(キヤノン製)等を挙げることができる。また、印刷用紙としては、塗工層を有するものと、有しないものがある。塗工層を有しない印刷用紙の具体例としては、以下商品名で、OK上質EF、OK上質紙(王子製紙製)等を挙げることができる。
塗工層は、紙の表面の美感や平滑さを高めるために、上質紙や中質紙の表面及び/又は裏面に塗布された塗料の層や、抄紙時に表層に形成された塗料の層である。経済産業省の「工業調査統計」や日本製紙連合会「紙・板紙統計年報」の「紙・板紙の品種分類表」によると、塗工層を有する印刷用紙は「印刷・情報用紙」のうちの塗工印刷用紙及び微塗工印刷用紙に分類される。塗工印刷用紙は、1m2当り両面で約15〜40gの塗料が塗布されて形成された塗工層を有する。また、微塗工印刷用紙は、1m2当り両面で約12g以下の塗料が塗布されて形成された塗工層を有する。なお、塗工印刷用紙は、塗料の塗布量や塗布後の表面処理の方法等の違いにより、アート紙、コート紙、軽量コート紙、その他(キャストコート紙、エンボス紙)等に分類される。また、表面の光沢感の違いにより、グロス系、マット系、及びダル系等に分類されることもある。
アート紙の具体例としては、以下商品名で、OKウルトラアクアサテン、OK金藤、SA金藤、サテン金藤(以上、王子製紙製);ハイパーピレーヌ、シルバーダイア(以上、日本製紙製);グリーンユトリロ(以上、大王製紙製);パールコート、ニューVマット(以上、三菱製紙製);雷鳥スーパーアート(中越パルプ製);ハイマッキンレー(五條製紙製)、FA−PR1、FA−ME1(以上、キヤノン製)等を挙げることができる。コート紙の具体例としては、以下商品名で、OKトップコート、OKトップコートダル、OKトップコートマット、OKトリニティ、OKカサブランカ(以上、王子製紙製);オーロラコート、シルバーダイア、しらおいマット(以上、日本製紙製);グリーンユトリロ(大王製紙製);パールコート、ニューVマット(以上、三菱製紙製)等を挙げることができる。
軽量コート紙の具体例としては、以下商品名で、OKコートL(王子製紙製);オーロラL、イースターDX、ペガサス(以上、日本製紙製);ユトリロコートL(大王製紙製);パールコートL(三菱製紙製);スーパーエミネ(中越パルプ製);ドリームコート(丸住製紙製)等を挙げることができる。その他の塗工印刷用紙(キャストコート紙等)の具体例としては、以下商品名で、ミラーコートプラチナ、OKクローム(以上、王子製紙製);エスプリコート(日本製紙製)、ピカソコート(大王製紙製)等を挙げることができる。また、微塗工印刷用紙の具体例としては、以下商品名で、OKエバーライト、OKクリスタル、OKプラナスホワイト(以上、王子製紙製);ピレーヌDX、オーロラS(以上、日本製紙製)等を挙げることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<樹脂粒子分散体の調製>
(樹脂粒子分散体A)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを5:12:3:1の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Aを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は200nm、酸価は108mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は−4℃であった。
(樹脂粒子分散体B)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを6:11:2:2の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Bを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は200nm、酸価は70mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は0℃であった。
(樹脂粒子分散体C)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを15:2:3:1の質量比で用いるとともに、乳化剤としてヘキサデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Cを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は80nm、酸価は100mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は74℃であった。
(樹脂粒子分散体D)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを14:2:4:1の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Dを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は220nm、酸価は148mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は76℃であった。
(樹脂粒子分散体E)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを5:10:4:2の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Eを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は200nm、酸価は138mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は6℃であった。
(樹脂粒子分散体F)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを12:5:3:1の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Fを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は200nm、酸価は105mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は45℃であった。
(樹脂粒子分散体G)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを15.3:4:0.7:1の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合した。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Gを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は200nm、酸価は25mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は56℃であった。
(樹脂粒子分散体H)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを18:12:3:3の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Hを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は200nm、酸価は65mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は28℃であった。
(樹脂粒子分散体I)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを3:12:3:3の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Iを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は200nm、酸価は115mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は−8℃であった。
(樹脂粒子分散体J)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを8:2:4:3:3の質量比で用いた。さらに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Jを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は200nm、酸価は118mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は38℃であった。
(樹脂粒子分散体K)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを9:9:1.5:1.5の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Kを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は220nm、酸価は56mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は16℃であった。
(樹脂粒子分散体L)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを8:8:3:2の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Lを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は230nm、酸価は104mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は20℃であった。
(樹脂粒子分散体M)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを8:8:3:2の質量比で用いるとともに、乳化剤としてヘキサデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Mを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は75nm、酸価は105mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は18℃であった。
(樹脂粒子分散体N)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート及びアクリル酸を6:12:3の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Nを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は200nm、酸価は110mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は−10℃であった。
(樹脂粒子分散体O)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びメチルビニルケトンを5:12:3:1の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Oを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は200nm、酸価は110mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は−15℃であった。
(樹脂粒子分散体P)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート及びダイアセトンアクリルアミドを12:5:3:1の質量比で用いた。さらに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Pを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は200nm、及びガラス転移温度(Tg)は40℃であった。
(樹脂粒子分散体Q)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、アクリル酸及びメチルビニルケトンを15:3:1の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Qを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は85nm、酸価は122mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は98℃であった。
(樹脂粒子分散体R)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを6:5:7.5:3の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Rを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は200nm、酸価は250mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は46℃であった。
(樹脂粒子分散体S)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びメチルビニルケトンを8:8:3:2の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Sを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は220nm、酸価は110mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は16℃であった。
(樹脂粒子分散体T)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを9:10:0.6:1.4の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合した。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Tを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は180nm、酸価は23mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は5℃であった。
(樹脂粒子分散体U)
前述の「樹脂粒子の製造例」の内容に準じて、モノマーとしてスチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びダイアセトンアクリルアミドを5:9.9:4.1:2の質量比で用いるとともに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用いて重合を行った。重合後に精製及び濃縮して、固形分濃度10%の樹脂粒子分散体Uを得た。樹脂粒子の体積平均粒子径は180nm、酸価は154mgKOH/g、及びガラス転移温度(Tg)は4℃であった。
(樹脂粒子分散体V)
撹拌棒、還流冷却管、滴下漏斗及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、トリメチロールプロパン20g、DMSO 200mL、及び酢酸2gを入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。その後水酸基に対して0.3当量のジケテンを滴下して4時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去して、部分アセトアセチル化したトリメチロールプロパンを得た。
撹拌棒、還流冷却管、滴下漏斗及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、得られた部分アセトアセチル化したトリメチロールプロパン20gを入れた。さらに、2,2−ジメチロールプロピオン酸10g、ヘキサメチレンジイソシアナート16g、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート24g、及びDMSO 300mLを加え、120℃で8時間加熱撹拌した。その後、反応液を2Lの水中に滴下し、析出物したウレタン樹脂を濾別した。得られたウレタン樹脂をアンモニア水溶液中で分散機(商品名「クレアミックス」、エムテクニック製)を用いて乳化分散させた。限外濾過を行って過剰なアンモニアを濾別した後、濃縮して、固形分濃度8%の樹脂粒子分散体Vを得た。
<ポリアクリル酸ヒドラジドの調製>
数平均分子量約8,000のポリアクリルアミド10gと水20mLとを混合して得た水溶液に、ヒドラジン一水和物7.0gを加え、50℃で14時間撹拌して混合液を得た。得られた混合液を400mLのメタノール中に滴下し、生成した白色沈殿物を濾過して分取した後、乾燥して、ポリアクリル酸ヒドラジドを得た。NMRから算出したヒドラジド化率は50%であった。
<クリアインク(実施例1〜23、比較例1〜11)の調製>
表1に示す種類の成分(合計100部)を混合して1時間撹拌した後、孔径2.5μmのフィルターでろ過して、クリアインク(インク1〜34)を調製した。なお、水にはイオン交換水を用いた。また、表1に示す種類のpH調整剤を用いて樹脂粒子を中和した。得られたクリアインクについて、400nm乃至780nmの波長域における最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminの比Amax/Aminを測定したところ、いずれも1.0以上2.0以下の範囲内であった。表1中の略号等の意味を以下に示す。
「Gly」:グリセリン
「PEG1000」:ポリエチレングリコール(数平均分子量1,000)
「PEG600」:ポリエチレングリコール(数平均分子量600)
「DEG」:ジエチレングリコール
「12HD」:1,2−ヘキサンジオール
「アセチレノールEH」:ノニオン界面活性剤の商品名(川研ファインケミカル製)
Figure 2015199780
<クリアインク(インク1〜34)の吐出性評価>
調製したクリアインクをインクジェット記録装置(商品名「BJF600」、キヤノン製)のインクヘッド部に搭載した。このインクジェット記録装置を使用して、インクジェット用OHPシート(商品名「CF−102」、キヤノンマーケティングジャパン製)に100%dutyのベタ画像を記録(印字)した。記録したベタ画像を観察し、以下に示す評価基準にしたがってクリアインクの吐出性を評価した。結果を表2に示す。
5:問題なく印字できる。
4:印字できていない部分(かすれ)が認められる。
3:印字できていない部分(かすれ)が多く認められる。
2:ほとんど印字できていない。
1:印字できていない。
Figure 2015199780
<自己分散黒色顔料分散体Aの調製>
水11gに濃塩酸10gを溶かして得た溶液に、5℃に冷却した状態で4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸3.0gを加えた。容器をアイスバスに入れて溶液を撹拌し、溶液の温度を常に10℃以下に保った状態とし、5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム3.6gを溶かして得た溶液を加えた。さらに15分間撹拌後、比表面積が220m2/gであり、DBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック12gを撹拌下で加え、15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、自己分散型のカーボンブラックを得た。水酸化ナトリウム水溶液を使用して得られた自己分散型のカーボンブラックをpH7.5まで中和した。その後、限外濾過にて脱塩し、顔料濃度が10%となるようにイオン交換水を加えて調整した。次いで、プレフィルター及び孔径1μmのフィルターを併用して濾過し、その粒子表面に−C63−(COONa)2基が導入された自己分散顔料黒色顔料を含有する分散体(自己分散黒色顔料分散体A)を得た。得られた自己分散黒色顔料分散体A中の自己分散黒色顔料の体積平均粒子径は120nmであった。
<ブラックインク1の調製>
下記の成分を各々混合し、十分撹拌した後、孔径3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過してブラックインク1を調製した。
・自己分散黒色顔料分散体A 20部
・グリセリン 10部
・トリエチレングリコール 5部
・アセチレノールE100 1部
・イオン交換水 64部
<画像の記録(1)>
(実施例24〜39及び比較例12〜20)
ガラス転移温度が室温以下の樹脂からなる樹脂粒子を含有するクリアインクを使用して画像を記録した。具体的には、まず、塗布ローラを使用して以下に示す処方の反応液1を記録媒体に塗布した後、乾燥させた。次いで、ブラックインク1及びクリアインクをインクヘッド部に搭載したインクジェット記録装置(商品名「BJF600」、キヤノン製)を使用し、ブラックインク1でストライプ画像を印刷した後、クリアインクを全面に印字して画像を記録した。
[反応液1]
・クエン酸 30部
・界面活性剤 1部
(商品名「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル製)
・水 69部
なお、記録媒体としては以下に示す種類の紙を使用した。そして、画像の評価は、各紙に記録した画像の評価の平均とした。
・普通紙(PPC/BJ共用紙):商品名「オフィスプランナー紙」、「GF−500」(キヤノンマーケティングジャパン製)
・写真用紙:商品名「PR−201」(キヤノンマーケティングジャパン製)
・非塗工印刷用紙:商品名「OK上質EF」、「OK上質紙」(王子製紙製)
・塗工印刷用紙:商品名「OK プラナスホワイト」、「OK トップコートプラス」、「OK金藤」(王子製紙製)
<評価(1)>
(にじみ)
記録した画像を観察し、以下に示す評価基準にしたがって画像のにじみを評価した。結果を表3に示す。
5:にじみが認められない。
4:にじみがほとんど認められない。
3:僅かににじみが認められる。
2:にじみが認められる。
1:多くのにじみが認められる。
ND:画像を記録することができず評価できない。
(耐擦過性)
シルボン紙を使用し、画像を手動で10往復擦った。擦った後の画像を観察し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐擦過性を評価した。結果を表3に示す。
5:擦過の痕跡及び白地部分の発生が認められない。
4:擦過の痕跡が認められる。
3:僅かに白地部分発生が認められる。
2:白地部分発生が認められる。
1:白地部分発生が多く認められる。
ND:画像を記録することができず評価できない。
(耐水性)
画像に水を噴霧した後、シルボン紙を使用して画像を手動で1往復擦った。擦った後の画像を観察し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐水性を評価した。結果を表3に示す。
5:擦過の痕跡及び白地部分の発生が認められない。
4:擦過の痕跡が認められる。
3:僅かに白地部分発生が認められる。
2:白地部分発生が認められる。
1:白地部分発生が多く認められる。
ND:画像を記録することができず評価できない。
Figure 2015199780
<画像の記録(2)>
(実施例40〜62及び比較例21〜32)
表1に示すクリアインク(インク1〜34)を使用して画像を記録した。具体的には、まず、塗布ローラを使用して反応液1を記録媒体に塗布した後、乾燥させた。次いで、ブラックインク1及びクリアインクをインクヘッド部に搭載したインクジェット記録装置を使用し、ブラックインク1でストライプ画像を印刷した後、クリアインクを全面に印字して画像を記録した。
なお、記録媒体としては以下に示す種類の紙を使用した。そして、画像の評価は、各紙に記録した画像の評価の平均とした。また、インクジェット記録装置としては、熱電対により温度制御可能な赤外線ランプ(加熱定着装置)を排紙トレイ部に取り付けたもの(商品名「BJF600」、キヤノン製)を使用した。そして、クリアインクを印字した後に100℃に加熱して画像を定着させた。
・普通紙(PPC/BJ共用紙):商品名「オフィスプランナー紙」、「GF−500」(キヤノンマーケティングジャパン製)
・写真用紙:商品名「PR−201」(キヤノンマーケティングジャパン製)
・非塗工印刷用紙:商品名「OK上質EF」、「OK上質紙」(王子製紙製)
・塗工印刷用紙:商品名「OK プラナスホワイト」、「OK トップコートプラス」、「OK金藤」(王子製紙製)
<評価(2)>
(にじみ)
記録した画像を観察し、以下に示す評価基準にしたがって画像のにじみを評価した。結果を表4に示す。
5:にじみが認められない。
4:にじみがほとんど認められない。
3:僅かににじみが認められる。
2:にじみが認められる。
1:多くのにじみが認められる。
ND:画像を記録することができず評価できない。
(耐擦過性)
シルボン紙を使用し、画像を手動で20往復擦った。擦った後の画像を観察し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐擦過性を評価した。結果を表4に示す。
5:擦過の痕跡及び白地部分の発生が認められない。
4:擦過の痕跡が認められる。
3:僅かに白地部分発生が認められる。
2:白地部分発生が認められる。
1:白地部分発生が多く認められる。
ND:画像を記録することができず評価できない。
(耐水性)
画像に水を滴下した後、シルボン紙を使用して画像を手動で1往復擦った。擦った後の画像を観察し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐水性を評価した。結果を表4に示す。
5:擦過の痕跡及び白地部分の発生が認められない。
4:擦過の痕跡が認められる。
3:僅かに白地部分発生が認められる。
2:白地部分発生が認められる。
1:白地部分発生が多く認められる。
ND:画像を記録することができず評価できない。
Figure 2015199780

Claims (9)

  1. 色材を含有するインクとともに用いる水性の液体組成物であって、
    400nm乃至780nmの波長域における最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminの比Amax/Aminが、1.0以上2.0以下であり、
    下記一般式(1)で表される単量体に由来するユニットを有する樹脂粒子、及びヒドラジド基又はセミカルバジド基を有する架橋剤を含有し、
    前記樹脂粒子の酸価が、25mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることを特徴とする液体組成物。
    Figure 2015199780
    (前記一般式(1)中、R1は、H又はCH3を表し、Xは、O又はNHを表し、R2は、置換又は無置換の、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基又は芳香族環を表し、R3は、置換又は無置換の、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又は芳香族環を表す)
  2. 前記架橋剤が、2以上のヒドラジド基を有する請求項1に記載の液体組成物。
  3. 前記架橋剤の含有量が、前記樹脂中のケトン基に対して、0.1当量以上2.0当量未満である請求項1又は2に記載の液体組成物。
  4. 前記樹脂粒子の体積平均粒子径が、80nm以上220nm以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体組成物。
  5. 液体組成物を収容する液体収容部を備えた液体カートリッジであって、
    前記液体組成物が、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体組成物であることを特徴とする液体カートリッジ。
  6. 色材を含有するインク及び液体組成物を含むセットであって、
    前記液体組成物が、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体組成物であることを特徴とするセット。
  7. さらに、前記液体組成物に含有される前記樹脂粒子の会合状態を不安定化させる反応液を含む請求項6に記載のセット。
  8. 記録媒体に色材を含有するインクを付与するインク付与工程と、前記記録媒体に液体組成物を付与する液体組成物付与工程とを有する画像記録方法であって、
    前記液体組成物が、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体組成物であることを特徴とする画像記録方法。
  9. さらに、前記液体組成物に含有される前記樹脂粒子の会合状態を不安定化させる反応液を付与する反応液付与工程を有する請求項8に記載の画像記録方法。
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