JP2015198346A - スピーカー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スピーカー1は、放射板2に振動装置3が設けられ、振動装置で発生した振動が放射板に伝達され、振動が放射板から音として放射されるスピーカーであって、振動装置から発生した振動が放射板に伝達され音として放射される過程において低音域を増幅するための張力発生手段6を放射板の振動伝達方向における両端部に少なくとも設けたことにより、振動装置から発生した振動は放射板の張力によって増幅される。
【選択図】図1
Description
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、音質が低下しにくいスピーカーを提供することを目的とするものである。
本発明にあっては、放射板の平面に凹凸を形成し放射板の質量を変更し、音の放射面積を広げて音として放射される音域の音量感が増量されることを特徴とする。
本発明にあっては、張力発生手段は放射板の繊維方向と交差する方向で放射板の年輪方向に設けられていることが望ましい。
本発明にあっては、張力発生手段が振動装置を取り囲むように設けられていることが望ましい。
本発明にあっては、放射板に振動伝達部材を介して振動装置が設けられ、振動装置で発生した振動を振動装置から振動伝達部材の一点に伝達するための伝達手段が振動装置と振動伝達部材との間に設けられることが望ましい。
本発明にあっては、振動装置を放射板に密着させるための振動装置固定手段が、振動装置を挟んで放射板に対面して設けられていることが望ましい。
請求項2のように、放射板の平面に凹凸を形成して、放射板の質量を変更するとともに音の放射面積を広げたものは、更に、音域が増幅され音として放射板から放射され音質が低下し難いという効果がある。
本実施の形態のスピーカー1は、放射板2と振動装置3と振動伝達部材4と伝達手段5と張力発生手段6を備えている。張力発生手段6は振動装置3を挟んで対向して放射板2の振動伝達方向における両端部に配置されている。スピーカー1は、放射板2と振動装置3と振動伝達部材4と伝達手段5と張力発生手段6とを一体化することにより形成され、振動伝達部材4は放射板2の裏面にビスや接着等により設けられ、張力発生手段6は放射板2の振動伝達方向における両端部に設けられている。
張力発生手段6は、振動装置3から発生した振動が放射板2に伝達され音として放射される過程において音域を増幅するための手段となるものである。
本発明においては、放射板2に用いる木材の音響特性及び電気信号が物理的振動に変換され音として放射される基本原理である「質量則の法則」に従い、スピーカー側の質量の変更や力学的な剛性や張力を利用することによって、スピーカー側において振動装置3から発生した振動が放射板2に伝達され音として放射される過程で変更を加え、張力発生手段6を設けることによって低音域を増幅して放射板2から重量感のある低音として放射するものである。
木材(気乾材)が適度な弾性及び粘性を有している音響特性があることは従来から知られておりピアノやオルガンやバイオリンやチェロやギターなどの楽器に使用されてきたものである。放射板2は、木材(気乾材)の適度な弾性及び粘性を用いることにおいて振動装置3から発生した振動を効率よく伝達し、増幅させることによって音として放射できるものであり、音質が低下しにくいスピーカーを得ることができるものである。
放射板2において張力を得ることによって振動が増幅されることを楽器に例えて説明すると、木材(気乾材)で形成された放射板2の繊維は弦の役割を果たし、振動装置3を挟んで対向して配置された張力発生手段6は胴体と弦を張る柱の役割を果たし、振動装置3を挟んで対向して設けられた張力発生手段6の間隔H間は弦の長さに相当し、振動装置3は弓の役割を果たし、放射板2は張力発生手段6が放射板2に設けられることによって剛性が発生して弦が張られた状態となり張力発生手段6の間隔H間には張力が発生する。張力発生手段6が無い場合は、弦の役割を果たす放射板2の繊維は伸びて緩んだ状態となり、低音域は増幅されず、低音は発生しない。
振動装置3で発生した振動は、張力が発生した放射板2において増幅され大きな音量を得ることができるものであり、振動幅の大きな低音域は間隔H間の長さに比例して増幅するものである。振動装置3から発生した振動は、弦が張られた状態の放射板2の張力発生手段6の間隔H間で弾かれるようにして増幅するのである。
放射板2に設けられた振動装置3を挟んで対向して配置された張力発生手段6の間隔H間は張力のある振動幅Hとなり、振動幅が大きいほど増幅される低音域は広がる。振動装置3から発生した振動は、放射板2に設けられた張力発生手段6によって剛性が発生し連鎖的に張力が発生し放射板2における間隔H間は低音弦の役割を果たし低音域が増幅されるものである。放射板2が気乾材でない場合は、余分な水分子の影響を受けて充分な張力を得にくく放射される音の放射が安定しにくいが、気乾材の放射板2であれば、水分子の影響を受けにくく充分な張力が得やすくなり短時間で音の放射が安定しやすくなる。また、気乾材で形成される放射板2は調湿機能を高めながら寸法安定性を高めることができて好ましいものである。このようにして放射板2は張力を得ることができるものである。
張力発生手段6が放射板2に設けられることによって放射板2の剛性は高まり、剛性が高まることにおいて振動装置3を挟んで対向して配置された張力発生手段6の間隔H(図3(b)及び図5(a)、(b))間の放射板2には張力が発生する。振動装置3から発生した振動は、伝達手段5から振動伝達部材4に伝達され振動伝達部材4よって放射板2の全体に振動が均一に伝達しやすくなり伝達され、この振動が放射板2の張力が発生した張力発生手段6の間隔H間において増幅され、振動幅の大きい低音域は張力発生手段6の間隔H間において増幅され放射板2の全体に強い振動として広がる。このようにして、振動装置3から発生した振動は放射板2の全体に均一に図5(a)、(b)のように伝達され振動が音として空気中に放射され拡散されるものである。この場合、振動伝達部材4はその長手方向が前記放射板2の長手方向、すなわち繊維方向(木目方向Y)と交差するように設けられる。また振動伝達部材4は前記放射板2の短手方向、すなわち年輪方向Xの略全長にわたって設けられる。振動装置3は振動伝達部材4の裏面側(放射板2と接着していない面の方)に設けられる。この場合、図2のように、振動伝達部材4の長手方向の略中央部には結合孔41が設けられており、結合孔41に振動装置3の伝達手段5を差し込むようにしている。振動伝達部材4と伝達手段5とは接着しても良いし、接着しなくても良い。このようにして振動装置3から発生した振動を伝達手段5によって振動伝達部材4に伝達される場合においては、点音源として、すなわち振動が一点に集中的に強い振動となり伝達されるものであり、強い振動によって振動装置3そのものが浮き上がり、音が割れてしまうような現象はおこりにくく、広い音域が広い指向性で均等に音が放射され、音質が低下しにくいものである。
振動伝達部材4の長手方向の寸法は、放射板2の短手方向の寸法と同等かやや短く形成することができる。また振動伝達部材4の短手方向の寸法は12〜100mm、好ましくは20mm、振動伝達部材4の厚さは9〜20mm、好ましくは15mmとすることができるが、これらに限定されるものではない。
放射板2の平面視における伝達手段5の位置は、以下のようにして設定するのが好ましい。まず、図6(a)のように、放射板2の平面視において、放射板2を長手方向に1/3の部分に区分し、短手方向にも1/3の部分に区分する。このようにして形成される9個のブロックのうち、真ん中に位置するブロックBをさらに長手方向で1/3の部分に区分し、短手方向で1/3の部分に区分する。そして、ブロックBの9個に区分されたブロックのうち、真ん中のブロックCの短辺C1又はC2のいずれかの位置に伝達手段5が位置するのが好ましい。また図6(b)のように、振動伝達部材4は短辺C1又はC2の位置を通るようにして設けるのが好ましい。
従って、このような気乾材を放射板2として用いると、図12(c)伝達された振動(音)は、年輪方向Xよりも木目方向Yの方が伝達されやすい。また放射板2に伝達された高音領域の振動は、主に、密度の高い晩材102の導管104を通じて伝達されて放射される。また放射板2に伝達された中音領域の振動は、主に、密度の低い早材103の導管106を通じて伝達されて放射される。このように木製の放射板2は、高音と中音とがミックスされた振動が発生しやすい。また木製の放射板2は、分割振動や固有振動が少なく、振動が音に効率よく変換される。また木製の放射板2は、適度な粘性を有しており、表面の反発係数は金属製のものより低い。このため、瞬間的な外力による加振と、継続的な外力による励振とのいずれによって放射板2を振動させた場合でも、放射される音は高周波成分の少ない「柔らかい音」になる。振動が効率よく伝播し、木材の繊維は張力によって弦の役割を果たし音として放射されやすいものである。
この場合、音の放射領域S内で矩形に形成された放射板2を例示すれば、比重が0.4の気乾材の杉材を用いた例であり、長手方向(繊維方向Y)の寸法が1800mm、短手方向(年輪方向X)の寸法が600mm、厚みのT-1が20mm、凹の深さT-3は5mmであり凹部分のT-2は15mmの場合、厚みのT-1で計算された放射板2の材積は0.0216立方メートルであり質量は8.64キログラムであり、厚みのT-2で計算された放射板2の材積は0.0162立方メートルであり質量は6.48キログラムであり、質量の25%が軽減されるように形成されている。振動装置3から発生した振動は上述の説明のとおり放射板2の全体に均一に伝達されるのであるから質量の差6.48キログラム(厚みのT-1で計算された質量8.64キログラム減じることの厚みのT-2で計算された質量は6.48キログラム)が(概25%)重量感のある低音域に増幅されたことになるものである。
スピーカー1は、放射板2と振動装置3と伝達手段5と張力発生手段6と振動装置固定手段7とを一体化することにより形成されている。伝達手段5はシリコン製(図17(c))によって設けられ、振動装置3は放射板2と振動装置固定手段7によって挟まれた位置に配置され、振動装置固定手段7は振動装置3を挟んで放射板2の裏面に対向して配置されている。振動装置固定手段7は振動装置3を押さえつけるようにして張力発生手段6にビスなどにより固定するものである。振動装置3と振動装置固定手段7の間には弾力性がある発泡性の緩衝部材32(図17(c))が装着されており、張力発生手段6にビスなどによって固定されている。この場合、振動装置固定手段7は、放射板2における長手方向に取付けられてもよいし、短手方向に取付けられてもよいものである。 張力発生手段6は振動装置3を囲むように放射板2端部に沿って振動装置3に寄った位置に固定されている。張力発生手段6が放射板2に固定されることによって放射板2の剛性は高まり、剛性が高まることにおいて振動装置3を挟んで対向して配置された張力発生手段6の間隔H間の放射板2には張力が発生する。振動装置3から発生した振動は、伝達手段5から振動伝達部材4に伝達され、放射板2の全体に振動が均一に伝達され、振動幅の大きい低音域は張力発生手段6の間隔H間において増幅され放射板2の全体に渡り、第3実施例に比してより強い振動として広がる。このようにして、振動装置3から発生した振動は、第3実施例に比してより強く放射板2の全体に均一に伝達され振動が音として空気中に放射され拡散されるものである。スピーカー1の放射板2は、音の放射領域S内の範囲内において放射板2は形成されているものであり、振動装置3から発生した振動は直接放射板2に伝達されものであり、振動装置3から発生した振動の伝達による伝達損失(減衰)は少ないものであり、小型のスピーカー1を得るのに好ましいものである。
この場合、音の放射領域S内で矩形に形成された放射板2を例示すれば、比重が0.4の気乾材の杉材を用いた例であり、長手方向(繊維方向Y)の寸法が1800mm、短手方向(年輪方向X)の寸法が600mm、厚みのT-1が20mm、凹の深さT-3は5mmであり凹部分のT-2は15mmの場合、厚みのT-1で計算された放射板2の材積は0.0216立方メートルであり質量は8.64キログラムであり、厚みのT-2で計算された放射板2の材積は0.0162立方メートルであり質量は6.48キログラムであり、質量の25%が軽減されるように形成されている。振動装置3から発生した振動は上述の説明のとおり放射板2の全体に均一に伝達されるのであるから質量の差6.48キログラム(厚みのT-1で計算された質量8.64キログラム減じることの厚みのT-2で計算された質量は6.48キログラム)が(概25%)重量感のある低音域に増幅されたことになるものである。
図19(a)、(b)は第5実施例におけるスピーカー1の振動の伝達と低音域が増幅される模式図である。振動装置3で発生した振動は、放射板2と伝達手段5が直接接続されるため、放射板2bの一点に集中的に振動が供給され放射板2bの長手方向(繊維方向Y)に伝達され、振動伝達部材4によって放射板2bの短手方向(年輪方向X)及び放射板2aに伝わり放射板2a及び2b全体に均一に広がり張力発生手段6によって剛性が高まり張力が発生した放射板2a及び2bにおいて増幅して音として放射されるものである。この場合、パネル状に形成された放射板2a及び2bは表面にシート状の膜によって化粧が施されていても構わないものであり、塗膜や凹凸加工が施されていても構わないものである。パネル状に形成された放射板2a、2bは裏表のないスピーカー装置となり壁面や間仕切りとして使用することもできる。振動装置3は、両面側の放射板2a、2bの裏面側に当接されていても構わないものであり、片面側の放射板2a、2b裏面に当接されていても構わないものである。
振動装置3の台座は弾力性のある発泡性材料32を介して前記放射板2aの裏面に接着され、シリコン製の伝達手段5によって放射板2bの裏面側に当接している。振動装置3で発生した振動は伝達手段5によって放射板2bの繊維方向Y(長手方向)に伝達され、振動伝達部材4によって年輪方向X(短手方向)に伝達され放射板2aに伝達され、振動装置3及び振動伝達部材4を挟みこむようにして配置された張力発生手段6を芯材にしてパネル状に構成された放射板(2a及び2b)において増幅される。増幅された振動は強い振動となり放射板(2a及び2b)の全体に均一に伝達される。
2 放射板
3 振動装置
4 振動伝達部材
5 伝達手段
6 張力発生手段
本発明にあっては、放射板の平面に凹凸を形成し放射板の質量を変更し、音の放射面積を広げて音として放射される音域の音量感が増量されることを特徴する。
本発明にあっては、張力発生手段は放射板の繊維方向と交差する方向で放射板の年輪方向に設けられていることが望ましい。
本発明にあっては、張力発生手段が振動装置を取り囲むように設けられていることが望ましい。
本発明にあっては、放射板に振動伝達部材を介して振動装置が設けられ、振動装置で発生した振動を振動装置から振動伝達部材の一点に伝達するための伝達手段が振動装置と振動伝達部材との間に設けられることが望ましい。
本発明にあっては、振動装置を放射板に密着させるための振動装置固定手段が、振動装置を挟んで放射板に対面して設けられていることが望ましい。
請求項2のように、張力発生手段が放射板の繊維方向と交差する方向で放射板の年輪方向に設けられたものは、更に、低音が増幅され音として放射板から放射
され音質が低下し難いという効果がある。
Claims (6)
- 放射板に振動装置が設けられ、振動装置で発生した振動が放射板に伝達され、振動が放射板から音として放射されるスピーカーであって、放射板に伝達された振動を増幅するための張力発生手段を前記放射板の振動伝達方向における両端部に少なくとも設けたことを特徴とするスピーカー。
- 前記放射板はその平面が凹凸面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
- 前記張力発生手段は放射板の繊維方向と交差する方向で放射板の年輪方向に設けられている請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のスピーカー。
- 前記張力発生手段が前記振動装置を取り囲むように設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスピーカー。
- 前記放射板に伝達部材を介して前記振動装置が設けられ、前記振動を前記振動装置から前記伝達部材の一点に伝達するための伝達手段が前記振動装置と前記伝達部材との間に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のスピーカー。
- 前記放射板と、前記放射板に連結され振動を発生する振動装置とを少なくとも備えたスピーカーであって、前記振動装置を前記放射板に当接する振動装置固定手段が、前記振動装置を挟んで前記放射板に対面して設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のスピーカー。
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