JP2015198022A - 溶融塩電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】予備充電により発生したガスを効果的に容器外に除去する。【解決手段】(a)電極群と、溶融塩を80質量%以上含む電解質と、を容器に収容し、前記電極群に前記電解質を含浸させる工程と、(b)前記電解質が含浸された電極群を、大気圧よりも差圧Pxだけ低圧の雰囲気に暴露した状態で予備充電する工程と、(c)前記予備充電の後、前記電極群と前記電解質とを収容した前記容器を密閉する工程と、を有する、溶融塩電池の製造方法。【選択図】図4

Description

本発明は、溶融塩電池の製造方法に関し、特に電極群と電解質を収容する容器を密閉する前に予備充電を行う製造方法に関する。
近年、携帯情報端末、電動車両、家庭用電力貯蔵装置などに用いられる蓄電デバイスの開発が進んでいる。蓄電デバイスの中でも、キャパシタと非水電解質二次電池の研究が盛んである。これらの蓄電デバイスの中でも、電解質にナトリウムイオンとアニオンとの溶融塩を用いた溶融塩電池は、資源性に優れ、かつ安全性の高い蓄電デバイスとして、期待が寄せられている(特許文献1参照)。
溶融塩電池は、正極と、負極と、これらの間に介在するセパレータとを有する電極群を備える。電極群は、電解質とともに容器(電池ケース)に収容される。
ところで、非水電解質二次電池の分野では、初期の充放電の際に、副反応によるガスが発生することがある。容器を密閉して電池を完成させた後、充放電によりガスが発生すると、容量や電圧の低下、あるいは、ケースの変形を生じることがある。そこで、容器を密閉する前に、予備充電(ガス抜き充電)を行うことが提案されている(特許文献2参照)。
国際公開第2011/148864号パンフレット 特開2004−220956号公報
特許文献2では、リチウム二次電池のケースに設けた電解質の注液用の孔を開放したままで予備充電を行い、予備充電後にケース内を減圧している。しかし、単にケースを開放した状態で予備充電をするだけでは、発生したガスを十分に除去できないことがある。
上記に鑑み、本発明は、予備充電により、ガスを効果的に除去することができる溶融塩電池の製造方法を提供することを目的としている。
本発明の一局面は、(a)電極群と、溶融塩を80質量%以上含む電解質と、を容器に収容し、前記電極群に前記電解質を含浸させる工程と、(b)前記電解質が含浸された電極群を、大気圧よりも差圧Pxだけ低圧の雰囲気に暴露した状態で予備充電する工程と、(c)前記予備充電の後、前記電極群と前記電解質とを収容した前記容器を密閉する工程と、を有する、溶融塩電池の製造方法に関する。
本発明によれば、電極群および電解質を収容する容器を密閉する前に、減圧雰囲気で予備充電を行うため、予備充電により発生したガスを効果的に容器外に除去することができる。これにより、充放電サイクル特性の良好な溶融塩電池を安定的に製造することができる。
本発明の一実施形態に係る製造方法により製造される溶融塩電池の外観を示す斜視図である。 図1の電池の電極群の断面図である。 注液装置の構成を模式的に示す一部断面図である。 電解質の含浸処理を実行するときの雰囲気圧力の変化を示すタイムチャートである。 充放電システムの一例を概略的に示す構成図である。
[発明の実施形態の概要]
本発明の一実施形態に係る溶融塩電池の製造方法は、(a)電極群と、溶融塩(アニオンとカチオンで構成されるイオン性物質)を80質量%以上含む電解質と、を容器に収容し、電極群に電解質を含浸させる工程と、(b)電解質が含浸された電極群を、大気圧よりも差圧Pxだけ低圧の雰囲気に暴露した状態で予備充電する工程と、(c)予備充電の後、電極群と電解質とを収容した容器を密閉する工程と、を有する。
上記製造方法は、例えば、(i)第1電極、第2電極、および第1電極と第2電極との間に介在するセパレータを含む電極群を準備する工程と、(ii)溶融塩を80質量%以上含む電解質(溶融塩電解質)を準備する工程と、(iii)電極群と電解質とを収容するための容器を準備する工程と、(iv)容器に電極群と電解質とを収容し、電極群に電解質を含浸させる工程と、(v)電解質が含浸された電極群を、大気圧よりも差圧Pxだけ低圧の雰囲気に暴露した状態で予備充電する工程と、(vi)予備充電の後、電極群と電解質とを収容した容器を密閉する工程とを含む。
工程(b)の予備充電は、電池の製造過程で行われる。また、予備充電は、電極群と電解質とを収容した容器を密閉する前に行われる。予備充電ではガスが発生するが、容器が開放されているため、ガスを容器の外部に放出させることができる。これにより、容器を密閉して完成させた電池の初期の充放電においては、ガス発生を抑制することができる。
予備充電は、電極群に電解質を含浸させた後、複数回(例えば1〜3回程度)繰り返してもよい。その場合、1回の予備充電を終える度に放電を行い、その後、予備充電を行えばよい。
本実施形態では、電解質が含浸された電極群を、大気圧よりも差圧Pxだけ低圧の雰囲気に暴露した状態で予備充電する。これにより、予備充電により発生したガスを、効果的に容器の外部に放出させることができる。溶融塩電池の電解質は比較的粘度が高い傾向があるが、減圧雰囲気中であれば、粘度の高い電解質からのガス抜きも容易となる。
なお、有機溶媒を主成分とする非水電解質を含む電池の場合、減圧雰囲気で予備充電を行うことはできない。減圧雰囲気では、有機溶媒が揮発してしまうからである。一方、溶融塩電解質は、減圧雰囲気でもほとんど揮発しない。
また、予備充電により発生したガスを更に効果的に容器の外部に放出させるためには、電解質と電極群を加熱することが好ましい。例えば、電解質と電極群の温度(THx)を20〜70℃設定することが好ましく、40〜60℃に設定することが更に好ましい。これにより、電解質の粘度を低減できるため、ガス抜きが促進される。
なお、有機溶媒を主成分とする非水電解質を含む電池の場合、有機溶媒が熱的に不安定であり、かつ蒸気圧が高いため、予備充電中に電解質を加熱することは困難である。この点、溶融塩電解質は、熱的安定性が高いため、電解質を加熱することができる。
差圧Pxは、−0.05MPa〜−0.1MPaに設定することが好ましく、−0.07MPa〜−0.09MPaに設定することが更に好ましい。予備充電中の雰囲気の圧力を上記圧力範囲に設定することで、予備充電により発生したガスを効果的に容器の外部に除去することができる。
予備充電は、電解質がセパレータに十分に含浸された状態で実施することが好ましい。すなわち、工程(a)では、少なくとも第1電極と第2電極との間に介在するセパレータの全面に電解質を含浸させることが好ましい。このため、予備充電を行う前に、電解質がセパレータに十分に含浸されたか否かを検査する検査工程を実行することが好ましい。
溶融塩電池は、溶融塩電解質を含み、かつアルカリ金属イオンを電荷のキャリアとする電池である。第1電極および第2電極の一方は正極であり、他方は負極である。溶融塩電池の正極および負極では、アルカリ金属イオンが関与するファラデー反応が進行する。溶融塩電池には、例えば、ナトリウムイオン溶融塩電池(ナトリウムイオン二次電池)、リチウムイオン溶融塩電池(リチウムイオン二次電池)が含まれる。中でも、本発明は、溶融塩がナトリウムイオンを含むナトリウムイオン溶融塩電池に適用するのに適している。
溶融塩電池の製造工程においては、一般に、開口を有する有底の容器に電極群を挿入した後、容器の開口部に封口板を装着する。そして、例えば封口板に設けた注液孔から、容器の内部に電解質を注液し、電極群に含浸させる。電極群に電解質を含浸させることで、各電極の間に電解質層が形成され、充放電が可能な「発電要素」が形成される。
ここで、容器に収容された電極群に電解質を含浸させるための工程(a)では、容器に収容された電極群および電解質の温度(THy)を20〜70℃に設定することが好ましく、40〜60℃に設定することが更に好ましい。また、電極群および電解質を、大気圧との差圧Pyが−0.1MPa〜1MPaの加圧または減圧された雰囲気に暴露した状態で、電極群に電解質を含浸させることが好ましい。なお、減圧するときの差圧Pyは−10〜−10000Paであることが好ましい。この場合、差圧Pyは、一定値にするのではなく、上記範囲内で変動させることが好ましい。例えば、雰囲気の圧力を、差圧Pyがマイナスの減圧雰囲気に一定時間(例えば5分〜24時間)設定した後、差圧Pyがプラスの加圧雰囲気に一定時間(例えば5分〜24時間)設定してもよい。このように、上記範囲内で、雰囲気の圧力を上下変動させることが好ましい。電解質を電極群の全体に十分に含浸させる観点から、1時間以上の時間をかけて電解質を電極群に含浸させることが好ましい。
予備充電では、電解質が含浸された電極群(発電要素)を、50%を超える充電深度(SOC)まで、好ましくは60%以上(もしくは70%以上)の充電深度まで、少なくとも1回充電することが好ましい。このとき、100%以上の充電深度まで充電してもよいが、充電深度は90%以下とすることが好ましい。予備充電では、電解質に含まれる水分の電気分解も進行する。これにより、電解質中の水分量を低減することができる。予備充電の充電深度(SOC)を50%より大きくすることで、水の電気分解を十分に進行させることができる。ただし、SOC100%は定格の電池容量に相当する電気量(Q)が充電されたときの満充電状態と対応する。
電気量Qは、放電終止電圧(SOCで0%)から満充電状態と対応する充電終止電圧に達するまで、規定の充電電流で定電流充電を行い、その後、充電電流が規定の充電終止電流に低下するまで定電圧充電したときに電池に供給される電気量とすることができる。
ここで、電気量Qを1時間で充電するときの電流値を「It」とする。このとき、予備充電において定電流充電を行うときの電流値は、例えば0.1〜0.2Itに設定することが好ましい。また、定電圧充電では、電流値が0.05It以下になるまで充電することが好ましい。
工程(a)および/または工程(b)を実施するときの雰囲気は、露点温度が−40℃以下のドライエア、または不活性ガスを含むことが好ましい。不活性ガスには窒素、アルゴン等を用いることが好ましい。工程(c)についても同様である。
工程(a)では、電解質を複数回に分けて容器に注液することができる。これにより、エネルギ密度が高い電池においても、十分な量の電解質を速やかに電極群に含浸させることができる。例えば、必要量の電解質を複数回に分けて容器に注液するとともに、電解質を注液する毎に電解質の含浸を促進するための減圧処理、加圧処理および/または加熱処理を実行することで、必要量の電解質を速やかに電極群に含浸させることができる。
より具体的には、エネルギ密度が高い電池においては、容器の内容積に占める電極群の体積(見かけ上の体積)の割合は大きくなる。そのような場合には、容器に電極群を挿入した状態で、電解質を電極群に含浸されるまで容器内部で溜めておく空間(容器内部の電極群の上や、電極群と容器側壁との間の空間(以下、注液溜空間という))の体積が小さくなる。その結果、1回の注液では、必要量の電解質を注液溜空間に入れることができないことがある。そのような場合、必要量の電解質を複数回に分けて注液することで、速やかに必要量の電解質を電極群に含浸させることができる。
ここで、溶融塩は、複数種の塩を含んでもよい。例えば、ナトリウム溶融塩電池の電解質が含む溶融塩は、第一塩および第二塩を含み、第一塩は、第一カチオンであるナトリウムイオンと、第一アニオンとの塩である。また、第二塩は、第二カチオンである有機カチオンと、第二アニオンとの塩であることが好ましい。第一アニオンおよび第二アニオンは、それぞれ、一般式:[(R1SO2)(R2SO2)]N-(R1およびR2は、それぞれ独立に、FまたはCn2n+1であり、1≦n≦5である)で表わされるビススルホニルアミドアニオンであることが好ましい。なお、第一アニオンと第二アニオンは、互いに同じでもよく、異なってもよい。
有機カチオンとナトリウムイオンとを含む溶融塩は、従来の溶融塩よりも粘度が低い。したがって、溶融塩電池を使用するときに加温する必要がなく、従来の溶融塩電池よりも低い温度領域で使用することができる。
電極群は、例えば1以上のシート状の第1電極と、1以上のシート状の第2電極と、1以上のシート状のセパレータとを積層して構成することができる。ここで、電解質と接触する前の、単に積層し、締結しただけの電極群の積層方向の厚みをTCaとする。一方、容器内で電極群を内包すべき空間の厚み(容器内壁間の距離、ないしは内法の厚み)をTCbとする。このとき、TCaとTCbとの比α(α=(TCa/TCb)×100)(%)は、90〜100%が好ましく、95〜98%が更に好ましい。比αは、電極群の各構成要素間の隙間や、電極群と容器の内壁面との隙間に、密接な関係がある。以下、比αを隙間指数という。
隙間指数αを上記範囲に設定することで、上記のそれぞれの隙間を適切な大きさに維持することが容易となる。その結果、電極群への電解質の含浸を促進する効果と、ガス抜きを促進する効果が得られる。また、電極群と容器内壁面との隙間が大きくなり過ぎ、注液された電解質が隙間に溜り、電極群に含浸されにくくなるのを防止することもできる。
[発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態の詳細について説明する。
図1に、本実施形態に係る製造方法により製造される溶融塩電池の外観を斜視図により示す。
電池10は、ナトリウムイオン溶融塩電池であり、シート状の第1電極とシート状の第2電極とを含む電極群と、これを溶融塩電解質(図示せず)とともに収容する容器14と、容器14の開口部を封口する封口板16とを具備している。図示例では、容器14は角形である。なお、電池10では、容器14と封口板16とが、電極群および電解質を収容する電池ケースを構成している。
第1電極は、第1集電体と第1活物質とを含む。第2電極は、第2集電体と第2活物質とを含む。第1電極および第2電極の一方は正極であり、他方は負極である。したがって、第1集電体および第2集電体の一方は正極集電体であり、他方は負極集電体である。また、第1活物質および第2活物質の一方は正極活物質であり、他方は負極活物質である。
ナトリウム溶融塩電池の負極活物質としては、ナトリウムイオンを可逆的に担持する物質を使用できる。このような物質としては、例えば、ナトリウムと合金化する金属、炭素物質、スピネル型リチウムチタン酸化物、スピネル型ナトリウムチタン酸化物、ケイ素酸化物、ケイ素合金、錫酸化物、錫合金などが挙げられる。炭素物質としては、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)が好ましい。
ナトリウム溶融塩電池の正極活物質としては、ナトリウムイオンを可逆的に担持する遷移金属化合物が好ましく用いられる。遷移金属化合物としては、ナトリウム含有遷移金属酸化物(例えばNaCrO2)が好ましい。
封口板16は、第1電極と電気的に接続された第1外部端子40と、第2電極と電気的に接続された第2外部端子42とを有している。第1外部端子40は、封口板16の長手方向(Y軸方向)の一方端部寄りの位置に配設され、第2外部端子42は、他方端部寄りの位置に配設されている。封口板16の中央部には、容器14内圧が異常に上昇したときに容器14内部のガスを放出するためのガス抜き弁44(例えば破断弁)を設置することができる。また、ガス抜き弁44の近傍には、封口板16を容器14の開口部に装着した後に、電解質を容器14の内部に注入するための図示しない注液孔を設けることができる。その注液孔は、後述の予備充電が終了した後に、液栓48によって塞ぐことができる。これにより、電極群と電解質とを収容する容器が密閉される。
ガス抜き弁44を構成する破断弁は、封口板16に薄肉部等を設けることで、封口板16に直接的に形成することができる。あるいは、封口板16に破断弁体を取り付けるための貫通孔を設け、その貫通孔を塞ぐようにして、溶接等により、後から破断弁体を封口板16に取り付けることもできる。そのような場合には、封口板16に上記注液孔を設ける必要はなく、破断弁体を取り付けるための貫通孔を介して電解質を容器14に注液することもできる。電解質の注液と予備充電を終了した後、貫通孔に破断弁体を取り付けることで、電極群と電解質とを収容する容器が密閉される。このように、容器14内部への電解質の注液は、封口板16に特別に設けた注液孔を介してのみならず、ガス抜き弁44を取り付けるための貫通孔等を介して行うこともできる。
図2に、図1の電池の電極群を断面図により示す。図2に示すように、電極群12は、複数の第1電極18および複数の第2電極20を含む。図示例の第1電極18は正極であり、袋状セパレータ21に収納されている。また、図示例の第2電極20は、負極である。なお、図2は概念図であり、電極群12に実際に含まれている第1電極18の枚数と、第2電極20の枚数とを反映していない。
電極群12は、袋状セパレータ21に収納された複数の第1電極18と、複数の第2電極20とを交互に積層して構成される。複数の第1電極18のそれぞれの上端部には、第1リード片26が取り付けられている。第1リード片26は、第1電極18の上端部に第1電極18と一体的に形成されていてもよい。複数の第1リード片26を互いに電気的に接続した状態で束ねることで、第1リード片束部26Aが形成される。第1リード片束部26Aを第1外部端子40に接続することにより、複数の第1電極18が第1外部端子40に並列に接続される。
同様に、複数の第2電極20のそれぞれの上端部には、第2リード片28が取り付けられている。第2リード片28は、第2電極20の上端部に第2電極20と一体的に形成されていてもよい。複数の第2リード片28を互いに電気的に接続した状態で束ねることで、第2リード片束部28Aが形成される。第2リード片束部28Aを第2外部端子42に接続することにより、複数の第2電極20が第2外部端子42に並列に接続される。第1リード片束部26Aと第2リード片束部28Aは、互いの接触を避けるように、電極群12の上面の左右方向(Y軸方向)に、間隔を空けて配置することが望ましい。
電極群12に電解質が含浸されることで、袋状セパレータ21に電解質が含浸される。これにより、第1電極18と第2電極20との間に電解質層が形成され、電極群12における発電が可能となる。そのようにして、電極群12と電解質とで発電要素が形成される。ただし、電解質は、全量が袋状セパレータ21のみに含浸されているわけではなく、第1電極18および第2電極20にも含浸される。
以下、電極群12に電解質を含浸させることにより、電池10を製造する方法を説明する。
まず、第1電極18、第2電極20、および第1電極18と第2電極20との間に介在するセパレータ21を含む電極群12を準備する(第1工程)。この第1工程においては、例えば、袋状セパレータ21に収納された複数の第1電極18と、複数の第2電極20とを交互に積層することで電極群12が構成され、準備される。
次に、溶融塩を80質量%以上含む電解質(溶融塩電解質)を準備する(第2工程)。溶融塩電解質の詳細については、後で説明する。
次に、電極群12と電解質とを収容するための容器を準備する(第3工程)。本実施形態では、上記電池ケースを構成する容器14と封口板16とが準備される。次に、その容器14に電極群12と電解質とを収容し、電極群12に電解質を含浸させる(第4工程)。
第4工程においては、例えば、まず電極群12が容器14に挿入され、その後、容器14の開口部に封口板16が装着される。封口板16は、その周縁部を容器14の開口部に溶接することで容器14の開口部に装着することができる。その後、注液孔(または上記貫通孔)を介して、容器14の内部に電解質を注液する(注液処理)。つまり、この段階では、封口板の注液孔等が開いているために、容器は密閉されていない。
次に、容器に挿入された電極群12に電解質を含浸させる(含浸処理)。容器14の内部に注液された電解質は、注液を開始した直後から電極群に浸み込み始める。したがって、含浸処理の少なくとも一部は、注液処理と重なる。含浸処理は、電解質を容器に注液した後、単に放置するだけでも実行することができる。しかしながら、溶融塩電池の生産性を向上させるためには、この含浸処理においても、減圧処理や加圧処理を実行することが好ましい。そのような処理を実行する場合には、第4工程は、内部の圧力を制御することが可能な圧力チャンバや、気密室の注液チャンバで行うことが好ましい。
第4工程の後、本実施形態においては、製造途中の電池の予備充電を負圧下で実行する第5工程を行う。したがって、第5工程(予備充電)も、上記チャンバ内で引き続き実行することができる。
図3に、注液チャンバと、注液機構と、充電機構とを含む装置の一例を模式的に示す。図示例の装置は、注液チャンバ32と、注液ヘッド38と、注液チャンバ32内の圧力(以下、チャンバ内圧Pという)を減圧する減圧機構36Aと、チャンバ内圧Pを加圧する増圧機構36Bと、制御装置46とを含んでいる。制御装置46には、チャンバ内圧Pを、例えば大気圧を基準に測定するための圧力センサ50が接続されている。
注液ヘッド38は、制御装置46により制御される図示しない移動機構により、水平方向および上下方向に移動される。注液ヘッド38は、容器14に電解質を注液するための注液ノズル38aを有するとともに、電解質を貯留する電解質タンク(不図示である)と例えばフレキシブルチューブ38bを介して接続されている。注液ヘッド38は、電解質タンクから送られてくる電解質を制御装置46により指示された量だけ注液ノズル38aにより容器14に注液する。
ここで、注液ヘッド38には、電解質タンクから送られてくる電解質を加熱するためのヒータ(不図示である)を設けることができる。これにより、電解質の温度(THy)を20〜70℃に設定することが容易になる。よって、溶融塩電解質の粘度を低下させて、電極群12への含浸を促進することができる。あるいは、電解質タンクと注液ヘッド38との間に、図示しない加熱装置を配設し、これにより電解質を加熱することもできる。
含浸装置には、予備充電中の電極群および電解質の温度(THx)、または含浸処理中の電極群および電解質の温度(THy)を上記所定温度に維持するための加熱機構52(例えばヒータ)を設けることができる。このような加熱機構は、電池10の載置台に設けることもできる。あるいは、電池10の容器にヒータが付属される場合には、そのヒータにより電極群および電解質を加熱することもできる。
減圧機構36Aは、例えば真空ポンプ等の第1気体用ポンプと第1制御弁とから構成することができる。チャンバ内圧Pは、制御装置46により制御される減圧機構36Aにより負圧となるように減圧される。増圧機構36Bは、例えば高圧の増圧用ガス(ドライエア、窒素ガス等の不活性ガス)を貯留する増圧用ガスタンクと、第2気体用ポンプと、第2制御弁とから構成することができる。制御装置46は、圧力センサ50の検出結果に基づいて、チャンバ内圧Pが所望圧力となるように増圧機構36Bの第2制御弁を制御する。なお、第2気体用ポンプは、増圧用ガスタンクからの増圧用ガスを、チャンバ内圧Pが大気圧と同等、またはより高い圧力になるまで、注液チャンバ32に送ることができる。
注液ヘッド38により容器14内に注入された電解質は、容器14内で電極群12の上や、電極群12と容器14側壁との隙間にある空間(以下、注液溜空間14aという)に一時的に溜まる。注液溜空間14aの体積Vxが、必要とされる電解質の全体積(以下、必要量Vyという)よりも小さい場合等には、必要量Vyの電解質を、何回かに分けて注液する。以下、一例として、必要量Vyの電解質を3回に分けて注液する場合を説明する。このとき、Vx>(1/3)×Vyである。
図4に、3回に分けて電解質を注液する場合のチャンバ内の圧力制御の一例をタイムチャートにより示す。まず、チャンバ内圧Pを大気圧近傍の圧力(ゲージ圧0)に設定し、その雰囲気下で、電解質の1回目の注液を実行する(期間T1、第1注液処理)。第1注液処理では、体積Vy1(ただし、Vy1<Vx)の電解質を注液ヘッド38により容器14に注液する。このとき、電極群および電解質の温度THyは、20〜70℃に設定される。
次に、減圧機構36Aにより、チャンバ内圧Pが負圧となるように減圧する。そして、その状態を例えば5分〜24時間継続する(期間T2、第1減圧処理)。このように、注液溜空間14aに電解質が存在した状態で電極群12を負圧の雰囲気に暴露することで、電極群12に含まれている空気の少なくとも一部が電極群12から除去される。これにより、電解質の含浸が促進される。減圧機構36Aによる減圧は、第1注液処理を終了した後に開始する必要はなく、第1注液処理の途中から、あるいは、第1注液処理を開始する前から行うこともできる。つまり、負圧下で注液を開始することもできる。これらの場合には、期間T2の少なくとも一部が期間T1と重なる。
次に、増圧機構36Bにより、チャンバ内圧Pを、例えば大気圧近傍の圧力かそれよりも高い圧力にまで増圧し、その圧力下で、電解質の2回目の注液(期間T3、第2注液処理)を行う。チャンバ内圧Pを負圧に減圧した後に増圧することで、減圧により電極群から流出した空気が電極群の内部で占めていたスペースに、電解質をスムーズに移動させることができる。よって、注液した電解質を速やかに電極群に含浸させることができる。なお、図4では、第2注液処理は、大気圧と等しい圧力の雰囲気中で行っている。
第2注液処理では、体積Vy2(ただし、Vy2<Vx)の電解質を注液ヘッド38により容器14に注液する。特に限定されないが、体積Vy2は、体積Vy1と等しくすることができる。次に、減圧機構36Aにより、チャンバ内圧Pが負圧となるように減圧する。そして、その状態を所定時間継続する(期間T4、第2減圧処理)。このとき、特に限定されないが、図示例のように、第1減圧処理と同じ差圧だけ減圧することができる。期間T4は、期間T2と等しくすることもできるし、期間T2より長くすることも、短くすることもできる。
以下、同様にして、チャンバ内圧Pの増圧、第3注液処理(期間T5)、および第3減圧処理(期間T6)を行う。第3注液処理(期間T5)では、体積Vy3(ただし、Vy3<Vx)の電解質を注液ヘッド38により容器14に注液する。ここで、Vy1+Vy2+Vy3=Vyである。特に限定されないが、体積Vy3は、体積Vy1と等しくすることができる。特に限定されないが、第3減圧処理(期間T6)では、図示例のように、第1減圧処理と同じ差圧だけ減圧することができる。第3減圧処理の期間T6は、期間T2と等しくすることもできるし、期間T2より長くすることも、短くすることもできる。
第3減圧処理(期間T6)が終了すると、増圧機構36Bによりチャンバ内圧Pを例えば大気圧よりも高い圧力にまで増圧する。そして、その状態を5分〜24時間継続する(期間T7、加圧処理)。これにより、容器に収容された電解質と電極群とが大気圧よりも高い圧力の雰囲気に暴露される。その結果、電解質が含浸し難いセパレータの中央部や、電極の厚み方向の内部にまで、電解質を速やかに含浸させることができる。したがって、速やかに、次の予備充電を実行することができる。これにより、溶融塩電池の製造時間を短縮することができる。なお、図4では、加圧処理を全ての電解質の注液が完了した後に1回だけ行っている。これに限られず、加圧処理は、電解質を複数回に分けて注液する場合などには、電解質を注液する毎に行ってもよい。
次に、充電機構39により、予備充電を行う。予備充電では、通常の充電と同様に、例えば、定電流充電により充電電圧が所定の電圧に達するまで充電することができる。その後、上記電圧による定電圧充電に切り替えて、充電電流が所定値に低下するまで充電してもよい。図示例では、減圧の完了後に予備充電を開始している。これに限られず、予備充電の少なくとも一部分を負圧下で実行すればよい。予備充電では、例えば充電深度80%まで充電を行う。充電機構39は、通常、充電制御ユニットと放電制御ユニットとを備えている。よって、予備充電と放電を繰り返すことも可能である。
例えば、予備充電は、第4減圧処理(期間T8)を開始する前に、開始することができる。この場合には、予備充電の少なくとも一部が期間T7と重なる。ただし、予備充電は、少なくともセパレータには電解質が十分に含浸された状態で行うことが好ましい。このため、予備充電される製造中の電池に対して、セパレータに十分に電解質が含浸されているか否かを検査するための検査工程を実行することが好ましい。そのような検査工程は、全数検査ではなく、十分な数のサンプルに対して行うことが好ましい。
電極群と電解質とを大気圧(P0)よりも差圧Pxだけ低い圧力(P0−|Px|)に減圧された雰囲気に暴露しながら予備充電を実行することで、予備充電により発生したガスは、効果的に容器の外部に放出される。例えば、電極群および電解質が余分の水分を含む場合、予備充電の際に水分が電気分解され、発生したガスは除去される。よって、容器を密閉した後に電池内部に残留するガスを低減することができ、電池性能の低下を抑えることができる。なお、上記「|Px|」は、Pxの絶対値を示す。
なお、図4により示した例では、各回の注液処理を大気圧の雰囲気下で実行している。これに限られず、各回の注液処理を大気圧よりも低い負圧下で実行することもできる。
ナトリウム溶融塩電池の場合、正極集電体および負極集電体には、アルミニウムまたはアルミニウム合金の箔や、アルミセルメット(住友電気工業株式会社の登録商標)のような金属多孔体を用いることができる。負極集電体には、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケルまたはニッケル合金の箔や、それらの金属のセルメット(住友電気工業株式会社の登録商標)を用いることもできる。
袋状セパレータ21は、多孔質な熱可塑性樹脂層を含む樹脂シート材料から形成することができる。熱可塑性樹脂層は、単層構造でもよく、複数層構造でもよい。また、熱可塑性樹脂層は、延伸工程を経て形成される微多孔フィルムでもよく、織布でもよく、不織布でもよい。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)、フッ素樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエステルなどを用いることができる。
溶融塩電解質は、耐熱性の向上の観点からは、90質量%以上が溶融塩で占められていることが好ましく、100質量%が溶融塩で占められていることが更に好ましい。
溶融塩電解質が、第一塩および第二塩を含み、第一塩が、第一カチオンであるナトリウムイオンと、第一アニオンとの塩である場合、第二塩は、第二カチオンである有機カチオンと、第二アニオンとの塩であることが好ましい。第1アニオンおよび第二アニオンとしては、フッ素含有酸アニオン(PF6 -、BF4 -など)、塩素含有酸アニオン(ClO4 -)、ビススルホニルアミドアニオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3 -)などを用いることができる。中でも、ビススルホニルアミドアニオンが好ましい。
ビススルホニルアミドアニオンとしては、ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオン((N(SO2F)2 -)(FSA-:bis(fluorosulfonyl)amide anion));ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(N(SO2CF32 -)(TFSA-:bis(trifluoromethylsulfonyl)amide anion)、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(N(SO2F)(SO2CF3-)((fluorosulfonyl)(trifluoromethylsulfonyl)amide anion)などが好ましい。
有機カチオンとしては、窒素含有カチオン、イオウ含有カチオン、リン含有カチオンなどが例示できる。窒素含有カチオンとしては、例えば、第4級アンモニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンなどが例示できる。第4級アンモニウムカチオンとしては、テトラエチルアンモニウムカチオン(TEA+:tetraethylammonium cation)、トリエチルメチルアンモニウムカチオン(TEMA+:methyltriethylammonium cation)などが例示できる。ピロリジニウムカチオンとしては、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン(Py13:1-methyl-1-propylpyrrolidinium cation)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムカチオン(Py14:1-butyl-1-methylpyrrolidinium cation)などが挙げられる。イミダゾリウムカチオンとしては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(EMI:1-ethyl-3-methylimidazolium cation)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(BMI:1-buthyl-3-methylimidazolium cation)などが挙げられる。
溶融塩電解質に含まれるナトリウムイオンと有機カチオンとの合計に占めるナトリウムイオンの割合は、10モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることが更に好ましい。また、90モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることが更に好ましい。
上述の通り、SOCが0%である状態は、ナトリウム溶融塩電池の放電終止電圧まで放電した状態(つまり、完全放電状態)を意味する。SOCが100%である状態は、ナトリウム溶融塩電池の充電終止電圧まで充電した状態(つまり、満充電状態)を意味する。充電終止電圧および放電終止電圧は、各ナトリウム溶融塩電池についてメーカーにより設定される電池特性の1つである。
放電終止電圧は、例えば1.0〜2.5Vの範囲から設定される。充電終止電圧は、例えば3.0〜4.5Vの範囲から設定される。ナトリウム溶融塩電池は、通常、設定された放電終止電圧よりも低い電圧まで放電されないように、また、設定された充電終止電圧よりも高い電圧まで充電されないように、電池が搭載される機器などの電圧制御回路によって制御される。
すなわち、ナトリウム溶融塩電池の充電および放電は、通常、ナトリウム溶融塩電池を含む充放電システムにおいて、充電制御ユニットおよび放電制御ユニットにより制御される。放電制御ユニットは、ナトリウム溶融塩電池から供給される電力を消費する負荷機器を含んでもよい。
図5は、ナトリウム溶融塩電池を包含する充放電システムを概略的に示す構成図である。
充放電システム200は、ナトリウム溶融塩電池201と、ナトリウム溶融塩電池201の充放電を制御する充放電制御ユニット202と、ナトリウム溶融塩電池201から供給される電力を消費する負荷機器203とを含む。充放電制御ユニット202は、ナトリウム溶融塩電池201を充電する際の電流および/または電圧などを制御する充電制御ユニット202aと、ナトリウム溶融塩電池201を放電する際の電流および/または電圧などを制御する放電制御ユニット202bとを含む。充電制御ユニット202aは、外部電源204およびナトリウム溶融塩電池201と接続しており、放電制御ユニット202bは、ナトリウム溶融塩電池201と接続している。ナトリウム溶融塩電池201には、負荷機器203が接続している。
[付記]
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
上記実施形態は、(a)電極群と、溶融塩を80質量%以上含む電解質と、を容器に収容し、前記電極群に前記電解質を含浸させる工程と、
(b)前記電解質が含浸された電極群を、大気圧よりも差圧Pxだけ低圧の雰囲気に暴露した状態で予備充電する工程と、
(c)前記予備充電の後、前記電極群と前記電解質とを収容した前記容器を密閉する工程と、を有する、溶融塩電池の製造方法に関する。
(付記2)
上記実施形態は、(i)第1電極、第2電極、および前記第1電極と前記第2電極との間に介在するセパレータを含む電極群を準備する工程と、
(ii)溶融塩を80質量%以上含む電解質を準備する工程と、
(iii)前記電極群と前記電解質とを収容するための容器を準備する工程と、
(iv)前記容器に前記電極群と前記電解質とを収容し、前記電極群に前記電解質を含浸させる工程と、
(v)前記電解質が含浸された前記電極群を、大気圧よりも差圧Pxだけ低圧の雰囲気に暴露した状態で予備充電する工程と、
(vi)前記予備充電の後、前記電極群と前記電解質とを収容した前記容器を密閉する工程とを含む、溶融塩電池の製造方法を包含する。
(付記3)
付記2において、前記工程(b)では、前記電解質が含浸された前記電極群の温度THxを20〜70℃に設定することが好ましい。また、前記差圧Pxを−0.05MPa〜−0.1MPaに設定することが好ましい。また、前記電解質が含浸された前記電極群を、50%を超える充電深度まで、少なくとも1回充電することが好ましい。
以下、本発明の実施例を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示すような外観を有するナトリウム溶融塩電池(定格容量:26Ah)を組み立てた。容器には、厚み(平面部の厚み)が0.9mmである、A3003(アルミニウム合金)を使用した。溶融塩電解質には、Na・FSAとPy13・FSAとを、モル比、40:60で混合した混合物を用いた。
袋状セパレータの内部に挿入された正極100枚と負極101枚とを準備し、正極と負極とを交互に積層して、電極群を作製した。得られた電極群は、上記容器に挿入した。隙間指数αは97%であった。電極群の挿入後、容器の開口を封口板で塞ぎ、溶接により装着した。
封口板に設けた注液孔を介して、溶融塩電解質を、図4を参照して説明したのと同様の手順で容器に注液し、電極群に含浸させた。ただし、電解質は、4回に分けて注液し、その都度、減圧処理を実行した。注液の完了後、予備充電を実行した。上記の注液、減圧、充電の条件は、下記の通りである。
注液のときの電解質の温度THy:45℃
各減圧処理の雰囲気圧力(ゲージ圧Py):−1000Pa
各減圧処理の時間:10分
予備充電前の加圧処理:0.5MPa
予備充電の雰囲気圧力(ゲージ圧Px):−0.09MPa
予備充電のときの電極群および電解質の温度THx:45℃
予備充電の定電流充電:0.15It
予備充電の定電圧充電の終止電流:0.05It
充電深度:80%
予備充電の完了後、封口板の注液孔を液栓で密閉した。以上のようにして、ナトリウム溶融塩電池(電池A)を作製した。完成した電池Aについて、規定の充放電検査を行い、電池容量を確認した。
(比較例1)
予備充電を大気圧と同じ雰囲気圧下(Px:0)、かつ常温(THx:20℃)で実行したこと以外、電池Aと同様にして、ナトリウム溶融塩電池(電池X)を作製した。電池Xに対して規定の充放電検査を行い、電池容量を確認した。
(比較例2)
予備充電の後、容器内圧を大気圧よりも減圧し(ゲージ圧:−0.09MPa)、その状態を12時間継続したこと以外、比較例1と同様に、ナトリウム溶融塩電池(電池Y)を作製した。電池Yに対して規定の充放電検査を行い、電池容量を確認した。
以上の結果を下記表1に示す。
Figure 2015198022
表1から明らかなように、減圧雰囲気で、電極群と電解質を加熱しながら予備充電を行った場合(電池A)には、大気圧中で、常温で予備充電を行った場合(電池X)に比べて、高い電池容量が得られた。これは、電池Aでは、大気圧よりも低圧の雰囲気(ゲージ圧Px:−0.09MPa)に暴露した状態で予備充電を行ったために、比較的粘度が高い傾向がある溶融塩電解質から、予備充電中に十分なガス抜きができたものと考えられる。
また、電解質と電極群の温度(THx)を好適な温度(ここでは45℃)に設定したことで、電解質の粘度が低減され、ガス抜きが促進されたものと考えられる。したがって、ガス発生を伴う副反応が抑制できたものと考えられる。以上の結果により、本実施形態により充放電サイクル特性の良好な溶融塩電池を安定的に製造できることが確認できた。なお、電池Yは電池Aと同様に十分な電池容量を有している。しかしながら、電池Yでは、予備充電後に長期間のガス抜き工程を要したため、電池の生産性が大きく低下した。
本発明は、ナトリウム溶融塩電池をはじめとする溶融塩電池に広く適用することができる。
10…電池、12…電極群、14…容器、16…封口板、18…第1電極、20…第2電極、21…袋状セパレータ、26…第1リード片、26A…第1リード片束部、28…第2リード片、28A…第2リード片束部、32…注液チャンバ、36A…減圧機構、36B…増圧機構、38…注液ヘッド、38a…注液ノズル、39…充電機構、40…第1外部端子、42…第2外部端子、44…ガス抜き弁、46…制御装置、48…液栓、50…圧力センサ、52…加熱機構、200…充放電システム、201…ナトリウム溶融塩電池、202…充放電制御ユニット、202a…充電制御ユニット、202b…放電制御ユニット、203…負荷機器、204…外部電源

Claims (6)

  1. (a)電極群と、溶融塩を80質量%以上含む電解質と、を容器に収容し、前記電極群に前記電解質を含浸させる工程と、
    (b)前記電解質が含浸された電極群を、大気圧よりも差圧Pxだけ低圧の雰囲気に暴露した状態で予備充電する工程と、
    (c)前記予備充電の後、前記電極群と前記電解質とを収容した前記容器を密閉する工程と、を有する、溶融塩電池の製造方法。
  2. 前記工程(b)で、
    前記電解質が含浸された前記電極群の温度THxを20〜70℃に設定し、
    前記差圧Pxを−0.05MPa〜−0.1MPaに設定し、
    前記電解質が含浸された前記電極群を、50%を超える充電深度まで、少なくとも1回充電する、請求項1に記載の溶融塩電池の製造方法。
  3. 前記工程(a)で、
    前記容器に収容された前記電極群および前記電解質の温度THyを20〜70℃に設定し、
    前記電極群および前記電解質を、大気圧との差圧Pyが−0.1MPa〜1MPaの加圧または減圧された雰囲気に暴露した状態で、前記電極群に前記電解質を含浸させる、請求項1または2に記載の溶融塩電池の製造方法。
  4. 前記溶融塩が、第一塩および第二塩を含み、
    前記第一塩は、第一カチオンであるナトリウムイオンと、第一アニオンとの塩であり、
    前記第二塩は、第二カチオンである有機カチオンと、第二アニオンとの塩であり、
    前記第一アニオンおよび前記第二アニオンが、それぞれ、一般式:[(R1SO2)(R2SO2)]N-(R1およびR2は、それぞれ独立に、FまたはCn2n+1であり、1≦n≦5である)で表わされる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶融塩電池の製造方法。
  5. 前記有機カチオンが、第4級アンモニウムカチオン、および窒素含有へテロ環を有する有機カチオンよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項4に記載の溶融塩電池の製造方法。
  6. 前記電極群が、1以上のシート状の第1電極と、1以上のシート状の第2電極と、1以上のシート状のセパレータとを積層して構成されており、
    前記電解質と接触する前の前記電極群の積層方向の厚みTCaが、前記容器内で前記電極群を内包する空間の厚みTCbの90〜100%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶融塩電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020522113A (ja) * 2017-04-10 2020-07-27 エービー システムス,インコーポレーテッド(ユーエス) 長いサイクル寿命を有する2次バッテリー

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