JP2018056548A - 蓄電デバイスの製造用処理装置及び蓄電デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生産性が向上し、且つ、複数の電極集合体の電池性能が均一化されるような、蓄電デバイスの製造用処理装置を提供すること。【解決手段】 蓄電デバイスの製造用処理装置20は、複数の電極集合体10、及び、金属リチウムが収容される収容空間Vが内部に形成された収納容器21と、収納容器21に設けられ、収容空間Vに収容された複数の電極集合体10がそれぞれ備える負極部11に電気的に接続可能な負極端子22と、収納容器21に設けられ、収容空間Vに収容された金属リチウムに電気的に接続可能なドープ極端子24と、を備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、蓄電デバイスの製造用処理装置及び蓄電デバイスの製造方法に関する。本発明は特に、リチウムイオンがプレドープされた蓄電デバイスの製造用処理装置及び製造方法に関する。
良好な充放電特性と高いエネルギー密度とを兼ね備える蓄電デバイスとして、リチウムイオンキャパシタが注目されている。リチウムイオンキャパシタは、セパレータを挟んで積層配置された負極部及び正極部を有する電極集合体を備える。負極部は負極集電体及び負極集電体に塗工された負極活物質を有し、正極部は正極集電体及び正極集電体に塗工された正極活物質を有する。また、電極集合体は、電解液が充填された外装体内に収容される。外装体内の電極集合体が備える負極集電体は、外装体に取り付けられている負極タブ端子に接続される。外装体内の電極集合体が備える正極集電体は、外装体に取り付けられている正極タブ端子に接続される。
上記構成のリチウムイオンキャパシタは、電極集合体の正極部側において電気二重層の形成による物理的作用によって充放電がなされ、負極部側においてリチウムの電気化学反応によって充放電がなされるように、作動する。また、エネルギー密度を向上させるため、電極集合体の負極部に備えられる負極活物質中にリチウムイオンが予め吸蔵(プレドープ)される。
特許文献1は、正極集電体及び負極集電体にそれぞれ微細孔が形成されてなるリチウムイオンキャパシタを開示する。特許文献1に開示のリチウムイオンキャパシタによれば、プレドープ時に電解液中に溶出したリチウムイオンが各正負極集電体に形成された微細孔を通過して各正負極の積層方向に泳動する。これにより負極集電体に塗工された負極活物質に均一にリチウムイオンをプレドープすることができる。
特許第4015993号
(発明が解決しようとする課題)
リチウムイオンキャパシタは、複数の電極集合体を電気的に接続することによって、モジュール化される場合が多い。こうしてモジュール化されたリチウムイオンキャパシタの各電極集合体についてリチウムイオンをプレドープする場合、従来では、電極集合体ごとにプレドープが行われる。つまり、セル(電極集合体及びその電極集合体が収められた外装体)単位でリチウムイオンのプレドープが行われる。従って、複数の電極集合体(又は複数のセル)によってモジュール化されてなる蓄電デバイスを製造する場合、複数の電極集合体について別個にリチウムイオンをプレドープする必要があり、それ故にプレドープ作業工数が増大して生産性が低下する。また、電極集合体ごとにリチウムイオンのプレドープ量がばらつくため、複数の電極集合体のそれぞれの電池性能にばらつきが生じる。
本発明は、生産性が向上し、且つ、複数の電極集合体の電池性能が均一化されるような、蓄電デバイスの製造用処理装置及び製造方法を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料により構成される負極活物質(112)を有する負極部(11)と、リチウムイオン又は電解質アニオンを可逆的に担持可能な材料によって構成される正極活物質(122)を有する正極部(12)と、電気絶縁性材料により構成されるセパレータ(13)と、を備え、セパレータを介して負極部と正極部が積層されてなる、複数の電極集合体(10)、及び、金属リチウム、が収容される収容空間(V)が内部に形成された収納容器(21)と、収納容器に設けられ、収容空間に収容された複数の電極集合体がそれぞれ備える負極部に電気的に接続可能な負極端子(22)と、収納容器に設けられ、収容空間に収容された金属リチウムに電気的に接続可能なドープ極端子(24)と、を備える、蓄電デバイスの製造用処理装置(20)を提供する。
本発明に係る蓄電デバイスの製造用処理装置によれば、収納容器に収容された複数の電極集合体がそれぞれ備える負極部を収納容器に設けられた負極端子に接続し、収納容器に収容された金属リチウムを収納容器に設けられたドープ極端子に接続することができる。そして、その接続状態を維持しつつ、収容空間に電解液を充填するとともに負極端子とドープ極端子とを電気的に接続して、負極部と金属リチウムとを短絡させることにより、収容空間内で複数の電極集合体の負極部に、リチウムイオンを一度にプレドープすることができる。
従って、電極集合体ごとにリチウムイオンをプレドープする場合に比較してプレドープの作業工数が大幅に低減し、それにより、複数の電極集合体を接続することによってモジュール化されてなる蓄電デバイスの生産性が飛躍的に向上する。また、複数の電極集合体にそれぞれ備えられる負極部に均一にリチウムイオンがプレドープされるため、電極集合体ごとの電池性能のばらつきの大きさを低減することができる。
また、本発明に係る蓄電デバイスの製造用処理装置は、収納容器に設けられ、収容空間に収容された複数の電極集合体がそれぞれ備える正極部に電気的に接続可能な正極端子(23)を備えるとよい。これによれば、収納容器に収容された複数の電極集合体がそれぞれ備える負極部を収納容器に設けられた負極端子に接続し、収納容器に収容された複数の電極集合体がそれぞれ備える正極部を収納容器に設けられた正極端子に接続することができる。そして、その接続状態を維持しつつ、収容空間に電解液を充填するとともに負極端子と正極端子との間に所定の電圧を印加して正負極間で電解液を介した充放電を繰り返し行うことにより、複数の電極集合体のエージングを一度に行うことができる。
収納容器の収容空間に収容される複数の電極集合体がそれぞれ備える負極部は、例えば、良導体により構成される負極集電体と、負極集電体表面に設けられる負極活物質とを備え、負極集電体が収納容器に設けられた負極端子に接続されるように構成することができる。また、収納容器の収容空間に収容される複数の電極集合体がそれぞれ備える正極部は、例えば、良導体により構成される正極集電体と、正極集電体表面に設けられる正極活物質とを備え、正極集電体が収納容器に設けられた正極端子に接続されるように構成することができる。また、収納容器の収容空間に収容される金属リチウムは、例えば、収容空間に収容され良導体により構成されるドープ極集電体表面に形成されていてもよい。この場合、ドープ極集電体が収納容器に設けられたドープ極端子に接続されることにより、収容空間内の金属リチウムがドープ極端子に接続される。
収納容器は、開口面が形成されるとともに内部に収容空間が形成された本体部(21a)と、本体部の開口面を塞ぐ蓋部(21b)とを備えるとよい。そして、負極端子、ドープ極端子、及び正極端子が蓋部に設けられているとよい。これによれば、蓋部に設けられた負極端子に複数の電極集合体の負極部を、蓋部に設けられた正極端子に複数の電極集合体の正極部を、蓋部に設けられたドープ極端子に金属リチウムを、それぞれ接続することができる。そして、そのような接続状態を維持したまま、本体部の開口面を塞ぐように蓋部を本体部に被せることで、本体部の収容空間に複数の電極集合体及び金属リチウムを対応する端子に接続した状態で収容することができる。
また、本発明に係る蓄電デバイスの製造用処理装置は、本体部に接続され、収容空間に電解液を充填し、及び、収容空間に充填されている電解液を排出するための電解液流通管(25)と、電解液流通管の途中に設けられた注排液用バルブ(28)と、本体部に接続され、収容空間内のガスを排出するための排気管(26)と、排気管の途中に設けられたベントバルブ(29)と、を備えるのがよい。これによれば、電解液流通管を通じて、電解液を収容空間に充填し、また、収容空間内の電解液を収容空間から排出することができる。また、排気管を通じて、収容空間内のガスを排気することができる。このため複数の電極集合体についてのデガス処理を、一度に行うことができる。
また、本発明は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料により構成される負極活物質(112)を有する負極部(12)と、リチウムイオン又は電解質アニオンを可逆的に担持可能な材料によって構成される正極活物質(122)を有する正極部(12)と、電気絶縁性材料により構成されるセパレータ(13)と、を備え、セパレータを介して負極部と正極部が積層されてなる、複数の電極集合体(10)、及び、金属リチウムを、収容可能な収容空間(V)が内部に形成されるとともに、負極端子(22)およびドープ極端子(24)が設けられた収納容器(21)を用いて、複数の電極集合体を備える蓄電デバイスを製造する蓄電デバイスの製造方法であって、収容空間に、複数の電極集合体を収容するとともに、複数の電極集合体がそれぞれ備える負極部を負極端子にそれぞれ電気的に接続する負極接続工程(S5,S25)と、収容空間に金属リチウムを収容するとともに、金属リチウムをドープ極端子に電気的に接続するドープ極接続工程(S7,S27)と、収容空間にリチウム塩電解質を含み且つリチウム塩電解質濃度が適正濃度よりも低い第一電解液を充填して、収容空間に収容された複数の電極集合体および金属リチウムを第一電解液に浸す第一電解液充填工程(S8,S28)と、第一電解液充填工程後に負極端子とドープ極端子とを電気的に接続して負極部と金属リチウムとを短絡させることにより、金属リチウムから第一電解液中にリチウムイオンを溶出させるとともに、第一電解液中に溶出したリチウムイオンを複数の電極集合体がそれぞれ備える負極部にプレドープするプレドープ工程(S9,S10,S29,S30)と、を含む、蓄電デバイスの製造方法を提供する。
本発明によれば、プレドープ工程にて、収納容器の収容空間内で、複数の電極集合体がそれぞれ備える負極部にリチウムイオンが一度にプレドープされる。従って、電極集合体ごとにリチウムイオンをプレドープする場合に比較してプレドープの作業工数が大幅に低減し、それにより、複数の電極集合体(セル)が接続されることによってモジュール化されてなる蓄電デバイスの生産性が飛躍的に向上する。また、複数の電極集合体にそれぞれ備えられる負極部に均一にリチウムイオンがプレドープされるため、電極集合体ごとの電池性能のばらつきの大きさを低減することができる。
加えて、本発明によれば、プレドープ工程にて、リチウム塩電解質濃度が適正濃度よりも低い電解液(リチウム塩電解液)を用いてリチウムイオンがプレドープされる。ここで、リチウム塩電解質濃度に関し、「適正濃度」とは、蓄電デバイスの使用時に蓄電デバイスの所望の性能を発揮させるために好適なリチウム塩電解質の濃度を意味する。従って、第一電解液のリチウム塩電解質濃度は、蓄電デバイスの使用時に蓄電デバイスとしての所望の性能を達成する濃度よりも低い濃度である。このような低リチウム塩電解質濃度の第一電解液を用いてリチウムイオンのプレドープを実行した場合、適正濃度の電解液を用いてリチウムイオンのプレドープを実行した場合と比較して、ドープ時間の短縮化を図ることができる。
この場合において、蓄電デバイスの製造に用いる収納容器には、正極端子(23)が設けられているとよい。そして、本発明に係る製造方法は、収容空間に収容されている複数の電極集合体がそれぞれ備える正極部を正極端子にそれぞれ電気的に接続する正極接続工程(S6)と、プレドープ工程後に第一電解液を収容空間から排出する第一電解液排出工程(S11)と、第一電解液排出工程後に収容空間にリチウム塩電解質を含み且つリチウム塩電解質濃度が適正濃度である第二電解液を充填して、収容空間に収容された複数の電極集合体を第二電解液に浸す第二電解液充填工程(S12)と、第二電解液充填工程後に実行され、負極端子と正極端子との間に所定の電圧を印加して負極部及び正極部との間で第二電解液を介した充放電を繰り返し行うエージング工程(S13)と、を含むのがよい。これによれば、複数の電極集合体のエージングを一度に行うことができる。よって、蓄電デバイスの生産性がより一層向上する。
さらに、本発明に係る製造方法は、エージング工程後に第二電解液を収容空間から排出する第二電解液排出工程(S14)と、第二電解液排出工程後に収容空間内のガスを収容空間から排出するデガス工程(S15)と、を含むとよい。これによれば、複数の電極集合体について、デガス処理を一度に行うことができる。また、各電極集合体に外装体を取り付ける前にデガス処理を行うことができるため、従来のように、外装体をカットしてデガス処理を行った後に、再度外装体を封止するといった作業を省略することができる。このため、蓄電デバイスの生産性をさらにより一層向上させることができる。また、カットした外装体の廃棄物の発生を防止することができる。
また、蓄電デバイスの製造に用いる収容容器に正極端子が設けられている場合、本発明に係る製造方法は、収容空間に収容されている複数の電極集合体がそれぞれ備える正極部を正極端子にそれぞれ電気的に接続する正極接続工程(S26)と、プレドープ工程後に実行され、負極端子と正極端子との間に所定の電圧を印加して負極部及び正極部との間で第一電解液を介した充放電を繰り返し行うエージング工程(S31)と、を含んでいてもよい。つまり、第一電解液を用いてエージングを実施してもよい。これによれば、第一電解液を用いてプレドープ及びエージングを行うことができるので、生産性を向上させることができる。
この場合、本発明に係る製造方法は、第一電解液の存在下で実行されるエージング工程後に第一電解液を収容空間から排出する第一電解液排出工程(S32)と、第一電解液排出工程後に収容空間内のガスを収容空間から排出するデガス工程(S33)と、を含むとよい。
また、本発明の製造方法におけるプレドープ工程は、低温プレドープ工程(S9、S29)と、低温プレドープ工程後に実行される高温プレドープ工程(S10,S30)とを有するのがよい。ここで、低温プレドープ工程の実行時における第一電解液の温度は、高温プレドープ工程の実行時における第一電解液の温度よりも低い。つまり、低温でのプレドープの後に、高温でのプレドープを行うとよい。この場合、低温プレドープ工程の実行時における第一電解液の温度が、5℃以上且つ20℃以下であり、高温プレドープ工程の実行時における第一電解液の温度が、30℃以上且つ50℃以下であるとよい。
これによれば、低温プレドープ工程にて低温の電解液を用いてリチウムイオンをプレドープすることにより、プレドープ反応の初期に負極表面(具体的には負極活物質の表面)に形成されるSEI被膜の厚さを薄くすることができる。SEI被膜が薄いと、プレドープ時における反応抵抗が低下する。反応抵抗が低下することにより、リチウムイオンのプレドープを促進させることができる。また、高温プレドープ工程の実行により、電解液中でのリチウムイオンのイオン電導性、すなわち電解液中でのリチウムイオンの拡散速度及び負極活物質中でのリチウムイオンの拡散速度を高めることができる。このためリチウムイオンのプレドープをさらに促進させることができる。また、このようにしてリチウムイオンのプレドープが促進されることにより、製造される蓄電デバイスの充電レートを向上させることができる。
本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタの電極集合体の概略斜視図である。 電極集合体に備えられる負極部を示す図である。 電極集合体に備えられる正極部を示す図である。 リチウムイオンキャパシタの製造用処理装置の概略構成を示す斜視図である。 第一実施形態に係る製造方法を工程順に示すフローチャートである。 負極接続工程、正極接続工程、及びドープ極接続工程にて、複数の電極集合体の負極リード部、正極リード部、及びリチウム極が、それぞれ、負極端子、正極端子、及びドープ極端子に接続されるとともに、収納容器の収容空間に収容される様子を示す図である。 負極接続工程、正極接続工程、及びドープ極接続工程が完了した状態における、処理装置の内部構成を示す断面図である。 第一実施形態に係る化学処理ラインの概要を示す模式図である。 第一電解液充填工程の実行時における処理装置を示す断面図である。 低温プレドープ工程の実行時における処理装置を示す断面図である。 第一電解液排出工程の実行時における処理装置を示す断面図である。 第二電解液充填工程の実行時における処理装置を示す断面図である。 エージング工程の実行時における処理装置を示す断面図である。 エージング工程における充放電プロファイルを示す図である。 第二電解液排出工程の実行時における処理装置を示す断面図である。 デガス工程の実行時における処理装置を示す断面図である。 実施例に係るサンプル、比較例1に係るサンプル、及び比較例2に係るサンプルについて算出した充電レートを比較した図である。 実施例に係るサンプル、比較例1に係るサンプル、及び比較例2に係るサンプルについて測定した反応抵抗を比較した図である。 第二実施形態に係る製造方法を工程順に示すフローチャートである。 第二実施形態に係る化学処理ラインの概要を示す模式図である。 変形例に係る化学処理ラインの概要を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、蓄電デバイスの一種であるリチウムイオンキャパシタの製造用処理装置及び製造方法について説明するが、その前に、本実施形態に係る製造用処理装置及び製造方法により製造されるリチウムイオンキャパシタの構成について説明する。
本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタは、複数の電極集合体を有する。各電極集合体は、アルミラミネートフィルム等により構成される外装体の内部に収容される。また、外装体の内部には、電極集合体を浸すように電解液が充填される。そして、本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタは、これらの複数の電極集合体が接続されることによって、モジュール化される。
電極集合体は、複数の負極部と複数の正極部とをセパレータを挟んで交互に積層することにより構成される積層タイプと、長尺状の負極部と正極部とをセパレータを挟んで積層した積層体を巻回することにより構成される巻回タイプとに大別される。本実施形態では、積層タイプの電極集合体について説明する。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタの電極集合体10の概略斜視図である。図1に示すように、電極集合体10は、薄板状に構成される。電極集合体10は、複数のシート状の負極部11と、複数のシート状の正極部12と、絶縁性材料により構成される複数のセパレータ13とを備える。そして、セパレータ13を挟んで負極部11と正極部12が交互に積層されることにより、電極集合体10が構成される。つまり、電極集合体10内で、負極部11、セパレータ13、正極部12、セパレータ13、負極部11、セパレータ13、正極部12、セパレータ13、負極部11、・・・、といった順で、これらの構成部材が積層される。
図2は、電極集合体10に備えられる負極部11を示す図である。図2(a)は、図1に示す電極集合体10の手前方向(図1の矢印X方向)から見た負極部11の正面図であり、図2(b)は、図1に示す電極集合体10の右方向(図1のY方向)から見た負極部11の側面図である。図2に示すように、負極部11は、シート状の負極集電体111と負極活物質112とを有する。負極集電体111は正面から見て略長方形状である。負極集電体111には、正面から見て左上部分から突出するように負極リード部aが形成される。負極集電体111は良好な導電性を有する材料(良導体)によって形成される。本実施形態においては、負極集電体111として、多孔質状の銅箔を用いた。
負極集電体111に負極活物質112が設けられる。本実施形態では、負極集電体111の両面に負極活物質112が塗工される。負極リード部aには負極活物質112は塗工されない。負極活物質112は、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料によって構成される。具体的には、負極活物質112は、例えば、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、CNT(カーボンナノチューブ)等によって構成することができる。しかしながら、上述した機能を果たすことが可能である限り、負極活物質112を構成する材料は特に限定されない。本例においては、負極活物質112として結晶性カーボンを採用した。
図3は、電極集合体10に備えられる正極部12を示す図である。図3(a)は、図1に示す電極集合体10の手前方向(図1の矢印X方向)から見た正極部12の正面図であり、図3(b)は、図1に示す電極集合体10の右方向(図1の矢印Y方向)から見た正極部12の側面図である。図3に示すように、正極部12は、シート状の正極集電体121と正極活物質122とを有する。正極集電体121は正面から見て略長方形状である。正極集電体121には、正面から見て右上部分から突出するように正極リード部bが形成される。正極集電体121は良好な導電性を有する材料(良導体)によって形成される。本実施形態においては、正極集電体121として、多孔質状のアルミニウム箔を用いた。
正極集電体121に正極活物質122が設けられる。本実施形態では、正極集電体121の両面に正極活物質122が塗工される。正極リード部bには正極活物質122は塗工されない。正極活物質122は、リチウムイオン及び/又は電解質アニオンを可逆的に担持可能な材料によって構成される。正極活物質122は、例えば、活性炭等によって構成することができる。しかしながら、上述した機能を果たすことが可能である限り、正極活物質122を構成する材料は特に限定されない。本例においては、正極活物質122として活性炭を採用した。
上記構成の負極部11と正極部12が、シート状のセパレータ13を挟んで積層される。セパレータ13は、負極部11と正極部12との接触を防止するために設けられる。セパレータ13としては多孔質基材が好ましく用いられる。具体的には、例えば、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンによって形成される多孔質フィルム基材等をセパレータ13として採用することができる。しかしながら、上述した機能を果たすことが可能である限り、セパレータ13を構成する材料は特に限定されない。本例においては、セパレータ13としてポリプロピレン(PP)系多孔質フィルムを採用した。
また、図1に示すように、複数の負極部11にそれぞれ設けられている負極リード部aは、図1のX方向から見て、電極集合体10の左上部分に一列に整列する。また、複数の正極部12にそれぞれ設けられている正極リード部bは、図1のX方向から見て、電極集合体10の右上部分に一列に整列する。このような構成の電極集合体10が、内部に電解液が充填された外装体の内部に収容されることにより、セルが構成される。外装体内では、負極部11及び正極部12が電解液に浸される。また、一列に整列した複数の負極リード部aは、束ねられた状態で、外装体に取り付けられている負極タブ端子に電気的に接続され、一列に整列した複数の正極リード部bは、束ねられた状態で、外装体に取り付けられている正極タブ端子に電気的に接続される。以下の説明において、束ねられた複数の負極リード部aを、まとめて負極リード部Aと表現し、束ねられた複数の正極リード部bを、まとめて正極リード部Bと表現する。
外装体内に充填される電解液は、電気伝導性(リチウムイオン伝導性)を有する非水溶液であり、例えば、リチウム塩電解質を有機溶媒に溶解させることによって調製される。リチウム塩電解質の具体例としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO)、ホウフッ化リチウム(LiBF)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF)等のリチウム塩を挙げることができる。一方、有機溶媒の具体例としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ギ酸メチル(MF)、酢酸メチル(MA)及びプロピオン酸メチル(MP)等のエステル系溶媒を挙げることができる。また、γ−ブチラクトン(γ−BL)、ジエトキシエタン(DEE)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)及び1,3ジオキソラン(DOL)等のエーテル系溶媒、並びにその他の溶媒を、エステル系溶媒に混合、調合した有機溶媒を用いてもよい。
本実施形態に係るモジュール化されたリチウムイオンキャパシタは、上記構成の電極集合体を、複数個、備える。つまり、本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタは、複数のセルを備える。複数個の電極集合体の負極タブ端子どうしが接続されることによってリチウムイオンキャパシタの負極が構成されるとともに、複数個の電極集合体の正極タブ端子どうしが接続されることによってリチウムイオンキャパシタの正極が構成される。リチウムイオンキャパシタの作動時には、各電極集合体内における負極部にてリチウムの電気化学反応(酸化還元反応)により電気エネルギーの充放電がなされ、各電極集合体内における正極部にて電気二重層が形成されるとともに電気二重層へのリチウムイオン又はアニオンの物理的な吸脱着作用によって電気エネルギーの充放電がなされる。
ところで、モジュール化されたリチウムイオンキャパシタが備える各電極集合体内の負極ユニットの負極活物質には、エネルギー密度を高めるために、リチウムイオンがプレドープされている。従来のプレドープ方法は、電極集合体ごとに行われる。つまり、セル単位でプレドープが行われる。この場合、各セルの外装体内に、電極集合体と、金属リチウムが設けられたリチウム極とが収容されるとともに、電解液が充填される。そして、電極集合体の負極リード部とリチウム極とを短絡させる。これにより、電解液中にリチウムイオンが溶出する。溶出したリチウムイオンが、電極集合体の負極活物質に吸蔵される。
このように、従来においてはリチウムイオンのプレドープが電極集合体ごとに外装体内で行われるので、複数の電極集合体を持つリチウムイオンキャパシタの製造過程で複数の電極集合体に対してそれぞれリチウムイオンをプレドープする必要があり、プレドープ作業工数が増大して生産性が低下する。また、電極集合体ごとにリチウムイオンのプレドープ量がばらつくため、電極集合体の電池性能にもばらつきが生じる。
これに対し、本実施形態においては、複数の電極集合体の負極活物質に一度にリチウムイオンをプレドープすることができるような、リチウムイオンキャパシタの製造用処理装置及び製造方法を提案している。以下、本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタの製造用処理装置及び製造方法について説明する。
図4は、本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタの製造用処理装置20(以下、処理装置20ということもある)の概略構成を示す斜視図である。図4に示すように、本実施形態に係る処理装置20は、収納容器21と、負極端子22と、正極端子23と、ドープ極端子24と、電解液流通管25と、排気管26と、脱気管27と、注排液用バルブ28と、ベントバルブ29と、脱気用バルブ30とを備える。
収納容器21は、本体部21a及び蓋部21bを有する。本体部21aは、一面(図4において上面)が開口した直方体状に構成され、内部には収容空間Vが形成される。収容空間Vは、薄板状に構成された複数の電極集合体10及び後述する金属リチウム箔が張り付けられたリチウム極14を、積層した状態で収容することができる大きさに形成される。また、蓋部21bは、本体部21aの開口面を覆うことができるように蓋状に構成される。本体部21aの開口面を覆うように蓋部21bが本体部21aに被せられることにより、収納容器21が構成される。収納容器21の材質は、後述するプレドープ工程(低温プレドープ工程、高温プレドープ工程)にて、収容空間V内に充填されている電解液の温度を制御することができるような熱伝導の良い金属製の材質である。特に、電解液に有機溶剤が含まれることから、収納容器21の材質は、SUS製であるのがよい。
また、収納容器21の蓋部21bに、負極端子22、正極端子23、及びドープ極端子24が設けられる。各端子22,23,24は良導体により長尺状に形成され、一方の端部が収納容器21内に突き出されて収容空間Vに対面し、他方の端部が蓋部21bから収納容器21の外部(図4において上部)に向かって突き出るように、蓋部21bに取り付けられる。
また、収納容器21の本体部21aに、電解液流通管25、排気管26、及び、脱気管27が接続される。電解液流通管25の一方端は収納容器21(本体部21a)内の収容空間Vに開口し、電解液流通管25の他方端は収納容器21(本体部21a)の外部に開口する。外部に開口した電解液流通管25の他方端には、後述するように電解液注液タンク(第一電解液注液タンク102,202、第二電解液注液タンク106)及び電解液回収タンク(第一電解液回収タンク105,206、第二電解液回収タンク108)に接続可能なジョイントJTが取り付けられる。また、排気管26の一方端は収納容器21(本体部21a)内の収容空間Vに開口し、排気管26の他方端は大気開放される。脱気管27の一方端は収納容器21(本体部21a)内の収容空間Vに開口し、脱気管27の他方端は、真空ポンプ31に接続される。図4からわかるように、電解液流通管25は収納容器21の本体部21aの下方部位に接続され、排気管26は本体部21aの上方部位に接続され、脱気管27は、本体部21aのうち排気管26の接続部位の直下に位置する部位に接続される。
電解液流通管25は、収容空間Vに電解液を充填し、及び、収容空間Vに充填されている電解液を排出するために用いられる。排気管26は、収容空間V内のガスを収容空間Vから排出するために用いられる。脱気管27は、収容空間V内を減圧(脱気)する必要があるときに収容空間V内の気体を吸引するために用いられる。
電解液流通管25の途中に注排液用バルブ28が介装され、排気管26の途中にベントバルブ29が介装され、脱気管27の途中に脱気用バルブ30が介装される。注排液用バルブ28、ベントバルブ29、及び脱気用バルブ30は、いずれも開閉バルブである。注排液用バルブ28が開状態であるときに電解液流通管25内の流通が許容され、閉状態であるときに電解液流通管25内の流通が遮断される。ベントバルブ29が開状態であるときに排気管26内の流通が許容され、閉状態であるときに排気管26内の流通が遮断される。脱気用バルブ30が開状態であるときに脱気管27内の流通が許容され、閉状態であるときに脱気管27内の流通が遮断される。
(製造方法の第一実施形態)
次に、上記構成の処理装置20を用いたリチウムイオンキャパシタの製造方法の第一実施形態について説明する。図5は、第一実施形態に係る製造方法を工程順に示すフローチャートである。図5に示すように、本実施形態に係る製造方法は、負極部作製工程S1、正極部作製工程S2、電極集合体作製工程S3、乾燥工程S4、負極接続工程S5、正極接続工程S6、ドープ極接続工程S7、第一電解液充填工程S8、低温プレドープ工程S9、高温プレドープ工程S10、第一電解液排出工程S11、第二電解液充填工程S12、エージング工程S13、第二電解液排出工程S14、デガス工程S15、外装取付工程S16、を経て、製造される。
負極部作製工程S1では、図2に示すような負極部11が、複数枚、作製される。正極部作製工程S2では、図3に示すような正極部12が、複数枚、作製される。負極部作製工程S1と正極部作製工程S2は、どちらが先に実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。電極集合体作製工程S3では、負極部作製工程S1にて作製された複数の負極部11と、正極部作製工程S2にて作製された複数の正極部12と、別途用意された複数のセパレータ13を用いて、図1に示すような電極集合体10が、複数個、作製される。乾燥工程S4では、電極集合体作製工程S3にて作製された複数の電極集合体10が乾燥される。
負極接続工程S5では、電極集合体作製工程S3にて作製された複数の電極集合体10が、積層された状態で、処理装置20の収納容器21内の収容空間Vに収容されるとともに、各電極集合体10に備えられる複数の負極部11のそれぞれの負極リード部Aが、収納容器21の蓋部21bに取り付けられている負極端子22に電気的に接続される。また、正極接続工程S6では、収容空間Vに収容される各電極集合体10に備えられる複数の正極部12のそれぞれの正極リード部Bが、収納容器21の蓋部21bに取り付けられている正極端子23に電気的に接続される。
ドープ極接続工程S7では、予め用意されたリチウム極が、収納容器21の収容空間Vに収容されるとともに、収納容器21の蓋部21bに取り付けられているドープ極端子24に電気的に接続される。
図6は、負極接続工程S5、正極接続工程S6、及びドープ極接続工程S7にて、複数の電極集合体10の負極リード部A、正極リード部B、及びリチウム極14が、それぞれ、負極端子22、正極端子23、及びドープ極端子24に接続されるとともに、収納容器21の収容空間Vに収容される様子を示す図である。図6に示すように、複数の電極集合体10は、積層状態で収容空間Vに収容される。また、リチウム極14は、良導体(例えば銅)により構成されたシート状のドープ極集電体と、このドープ極集電体の表面に張り付けられた金属リチウム箔とを有する。また、ドープ極集電体には、ドープ極リード部Cが形成されている。このドープ極リード部Cがドープ極端子24に接続されることにより、金属リチウム箔がドープ極端子に電気的に接続される。
また、図6に示すように、本実施形態では、2枚のリチウム極14,14が予め用意されており、これら2枚のリチウム極14は、積層状態で収容空間Vに収容された複数の電極集合体10の積層方向における両端に対面するように、収容空間V内に収容される。
また、複数の電極集合体10がそれぞれ備える複数の負極部11にそれぞれ設けられている負極リード部Aは、銅線等の電線を介して負極端子22に電気的に接続される。同様に、複数の電極集合体10がそれぞれ備える複数の正極部12にそれぞれ設けられている正極リード部Bは、銅線等の電線を介して正極端子23に電気的に接続される。また、2枚のリチウム極14,14にそれぞれ設けられているドープ極リード部Cが、銅線等の電線を介してドープ極端子24に電気的に接続される。
負極接続工程S5、正極接続工程S6、ドープ極接続工程S7の工程順は、どのようであってもよい。図7は、負極接続工程S5、正極接続工程S6、及びドープ極接続工程S7が完了し、且つ、収納容器21の本体部21aに蓋部21bが取り付けられた状態における、処理装置20の内部構成を示す断面図である。図7に示すように、複数の電極集合体10及び2枚のリチウム極14が、電線により収納容器21に設けられる端子に接続された状態で、収容空間V内に収容されている。
負極接続工程S5、正極接続工程S6及びドープ極接続工程S7を経て収容空間V内に複数の電極集合体10とリチウム極14が収容された図7に示す状態の処理装置20は、リチウムイオンキャパシタの製造ラインの一部を構成する化学処理ラインに備えられるベルトコンベアに載置される。そして、ベルコトンベアによって、第一電解液充填工程S8〜デガス工程S15までの各工程を順に実行する各ステーション(ST8〜ST15)に、処理装置20が順次移送される。
図8は、第一実施形態に係る製造方法に用いられる化学処理ラインの概要を示す模式図である。図8に示すように、化学処理ライン100は、処理装置20を各ステーションに移送するためのベルトコンベア101と、第一電解液注液タンク102と、低温槽103と、高温槽104と、第一電解液回収タンク105と、第二電解液注液タンク106と、エージング装置107と、第二電解液回収タンク108とを備える。
ベルトコンベア101は、処理装置20を、図8の矢印で示す順路に従って移送する。これにより、処理装置20は、第一電解液充填ステーションST8、低温プレドープステーションST9、高温プレドープステーションST10、第一電解液排出ステーションST11、第二電解液充填ステーションST12、エージングステーションST13、第二電解液排出ステーションST14、及びデガスステーションST15に、順次移送される。なお、第一電解液充填ステーションST8に第一電解液注液タンク102が設置され、低温プレドープステーションST9に低温槽103が設置され、高温プレドープステーションST10に高温槽104が設置され、第一電解液排出ステーションST11に第一電解液回収タンク105が設置され、第二電解液充填ステーションST12に第二電解液注液タンク106が設置され、エージングステーションST13にエージング装置107が設置され、第二電解液排出ステーションST14に第二電解液回収タンク108が設置される。
ベルトコンベア101に乗せられた処理装置20は、まず、第一電解液充填ステーションST8に移送される。そして、第一電解液充填ステーションST8にて、第一電解液充填工程S8が実行される。図9は、第一電解液充填工程S8の実行時における処理装置20を示す断面図である。図9に示すように、第一電解液充填工程S8では、収納容器21の本体部21aに接続された電解液流通管25に、第一電解液注液タンク102がジョイントJTを介して接続される。なお、第一電解液注液タンク102の接続完了前は、注排液用バルブ28、ベントバルブ29、及び脱気用バルブ30は、いずれも閉じている。
第一電解液注液タンク102内には、第一電解液が充填されている。第一電解液は、リチウムイオン電導性を有する非水溶液であり、リチウム塩電解質を有機溶媒に溶解させることによって調製される。本実施形態では、リチウム塩電解質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を用い、有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)を1:1の割合で混合した混合有機溶媒を用いた。また、本実施形態では、第一電解液中のリチウム塩電解質の濃度が、後述する適正濃度よりも低い濃度である1mol/Lに調整されている。
第一電解液注液タンク102が電解液流通管25に接続された後に、真空ポンプ31が作動するとともに脱気用バルブ30が開く。これにより、収容空間V内が脱気され、収容空間Vが減圧する。収容空間Vの圧力が所定の低圧にまで達したときに、脱気用バルブ30が閉じるとともに真空ポンプ31の作動が停止する。次いで、注排液用バルブ28が開く。これにより、第一電解液注液タンク102内の第一電解液が、電解液流通管25を介して負圧(低圧)状態の収容空間Vに注液される。収容空間V内の複数の電極集合体10及びリチウム極14は、収容空間Vに注液された第一電解液に浸される。
収容空間Vへの第一電解液の注液により、収容空間V内の複数の電極集合体10及びリチウム極14が、それぞれのリード部を除いて完全に浸漬する程度の量の第一電解液が収容空間Vに充填された後に、注排液用バルブ28が閉じる。その後、第一電解液注液タンク102が電解液流通管25から切り離される。以上の処理を経て、第一電解液充填工程S8が完了する。この第一電解液充填工程の実行により、収容空間V内に低濃度のリチウム塩電解液(第一電解液)が充填される。
第一電解液充填工程S8を終えた処理装置20は、ベルトコンベア101により低温プレドープステーションST9に移送される。そして、低温プレドープステーションST9にて、低温プレドープ工程S9が実行される。図10は、低温プレドープ工程S9の実行時における処理装置20を示す断面図である。図10に示すように、低温プレドープ工程S9では、処理装置20の収納容器21に取り付けられている負極端子22とドープ極端子24とが電気的に接続される。これにより、負極リード部Aを介して負極端子22に接続された負極部11と、ドープ極リード部Cを介してドープ極端子24に接続されたリチウム極14の金属リチウム箔が短絡する。すると、金属リチウムが第一電解液中にリチウムイオンとして溶出される。第一電解液中に溶出されたリチウムイオンは、第一電解液中を泳動して、負極部11の負極活物質112に吸蔵される。このようにして、リチウムイオンが負極活物質112にプレドープされる。
ここで、図8に示すように、低温プレドープステーションST9には、低温槽103が設置されている。低温プレドープ工程S9は、この低温槽103内で実行される。低温槽103の内部空間の温度は、所定の低温、例えば5℃に設定されている。また、上述したように、処理装置20の収納容器21は、熱伝導の良い金属製材料によって形成されている。よって、低温槽103内に処理装置20が導入された場合、収納容器21内の収容空間Vに充填された第一電解液は速やかに冷却されて、第一電解液の温度が所定の低温、例えば5℃にされる。つまり、低温プレドープ工程は、低温且つ低リチウム塩電解質濃度の第一電解液を用いてリチウムイオンをプレドープする工程である。この低温プレドープ工程の実施時間は、本実施形態では、約1日間(約24時間)である。なお、この低温プレドープ工程において、第一電解液の温度が所定の低温(例えば5℃)にされた後に、負極端子22とドープ極端子24が電気的に接続されるとよい。
低温プレドープ工程が完了すると、処理装置20は、次に、高温プレドープステーションST10に移送される。そして、高温プレドープステーションST10にて、高温プレドープ工程S10が実行される。高温プレドープ工程S10は、低温プレドープ工程に引き続いてリチウムイオンをプレドープする工程であり、低温プレドープ工程S9と同様に、収容空間V内に第一電解液が充填されるとともに、処理装置20の収納容器21に取り付けられている負極端子22とドープ極端子24とが電気的に接続される。これにより負極リード部Aを介して負極端子22に接続された負極部11と、ドープ極リード部Cを介してドープ極端子24に接続されたリチウム極14の金属リチウム箔が短絡する。このためリチウムイオンが負極活物質112にプレドープされる。
また、図8に示すように、高温プレドープステーションST10には、高温槽104が設置されている。従って、高温プレドープ工程S10は、高温槽104内で実行される。高温槽104の内部空間の温度は、所定の高温、例えば50℃に設定されている。よって、高温槽104内に処理装置20が導入された場合、処理装置20内の第一電解液の温度は、所定の高温、例えば50℃にされる。つまり、高温プレドープ工程は、高温且つ低リチウム塩濃度の第一電解液を用いてリチウムイオンをプレドープする工程である。この高温プレドープ工程の実施時間は、本実施形態では、約2日間(約48時間)である。
上記した低温プレドープ工程S9及び高温プレドープ工程S10にて、金属リチウムがリチウムイオンとして第一電解液に溶出するため、プレドープが進むにつれて、金属リチウム箔が消費される。従って、高温プレドープの完了時には、リチウム極14のドープ極集電体に設けられていた金属リチウム箔は消失しているか、もしくはその大きさが縮小されている。
高温プレドープ工程S10が完了すると、処理装置20は、次に、第一電解液排出ステーションST11に移送される。そして、第一電解液排出ステーションST11にて、第一電解液排出工程S11が実行される。図11は、第一電解液排出工程S11の実行時における処理装置20を示す断面図である。図11に示すように、第一電解液排出工程S11では、電解液流通管25に第一電解液回収タンク105がジョイントJTを介して接続される。第一電解液回収タンク105の接続が完了した後に、注排液用バルブ28が開く。これにより、収容空間V内に充填されている第一電解液が、電解液流通管25を介して第一電解液回収タンク105に流出する。このようにして収容空間V内から第一電解液が排出される。なお、図11に示すように収容空間Vの底部を構成する本体部21aの底壁は、電解液流通管25の収容空間Vへの開口部の高さ位置が最も低くなるように傾斜している。従って、第一電解液排出工程S11の実行時に、重力によって収容空間V内の第一電解液が電解液流通管25に向かって流れる。このため、収容空間V内の第一電解液を全て排出することができる。収容空間V内の第一電解液を排出した後に、注排液用バルブ28が閉じるとともに第一電解液回収タンク105が電解液流通管25から切り離される。これにより第一電解液排出工程S11が完了する。
第一電解液排出工程S11が完了すると、処理装置20は、次に、第二電解液充填ステーションST12に移送される。そして、第二電解液充填ステーションST12にて、第二電解液充填工程S12が実行される。図12は、第二電解液充填工程S12の実行時における処理装置20を示す断面図である。図12に示すように、第二電解液充填工程S12では、電解液流通管25に第二電解液注液タンク106がジョイントJTを介して接続される。
第二電解液注液タンク106内には、第二電解液が充填されている。第二電解液は第一電解液と同様なリチウムイオン電導性を有する非水溶液である。ただし、第二電解液のリチウム塩電解質濃度は第一電解液のリチウム塩電解質濃度よりも高い。具体的には、第二電解液のリチウム塩電解質濃度は、それをリチウムイオンキャパシタの電解液として用いた場合にリチウムイオンキャパシタが所望の性能を発揮することができる適正濃度に調整されている。つまり、第二電解液のリチウム塩電解質濃度は、適正濃度である。本実施形態では、第二電解液中のリチウム塩電解質の濃度が3mol/Lに調整される。
第二電解液注液タンク106が電解液流通管25に接続された後に、真空ポンプ31が作動するとともに脱気用バルブ30が開く。これにより、収容空間Vが脱気されて、収容空間Vが減圧する。収容空間Vの圧力が所定の低圧にまで達したときに、脱気用バルブ30が閉じるとともに真空ポンプ31の作動が停止する。次いで、注排液用バルブ28が開く。これにより、第二電解液注液タンク106内の第二電解液が、電解液流通管25を介して負圧(低圧)状態の収容空間Vに注液される。収容空間V内の複数の電極集合体10は、収容空間Vに注液された第二電解液に浸される。
収容空間Vへの第二電解液の注液により、収容空間V内の複数の電極集合体10が、リード部を除いて完全に浸漬する程度の量の第二電解液が収容空間Vに注液された後に、注排液用バルブ28が閉じる。その後、第二電解液注液タンク106が電解液流通管25から切り離される。以上の処理を経て、第二電解液充填工程S12が完了する。この第二電解液充填工程の実行により、収容空間V内に適正濃度のリチウム塩電解液が充填される。
第二電解液充填工程S12が完了すると、処理装置20は、エージングステーションST13に移送される。そして、エージングステーションST13にて、エージング工程S13が実行される。図13は、エージング工程の実行時における処理装置20を示す断面図である。図13に示すように、エージング工程S13では、処理装置20がエージング装置107に接続される。このエージング装置107により、負極端子22と正極端子23との間に所定の電圧が印加される。これにより、収容空間V内で第二電解液に浸されている電極集合体10が充放電される。本実施形態では、1Aの定電流にて電圧が3.8Vに達するまで充電を行った後、1Aの定電流にて電圧が2.2Vに達するまで放電させる。このような充放電が、所定の回数だけ繰り返し行われる。図14は、エージング工程における充放電プロファイルを示す図である。このエージング工程の実行により、各電極集合体10の性能が安定する。
エージング工程S13が完了すると、処理装置20は、第二電解液排出ステーションST14に移送される。そして、第二電解液排出ステーションST14にて、第二電解液排出工程S14が実行される。図15は、第二電解液排出工程S14の実行時における処理装置20を示す断面図である。図15に示すように、第二電解液排出工程S14では、電解液流通管25に第二電解液回収タンク108がジョイントJTを介して接続される。第二電解液回収タンク108の接続が完了した後に、注排液用バルブ28が開く。これにより、収容空間V内に充填されている第二電解液が、電解液流通管25を介して第二電解液回収タンク108に流出する。このようにして収容空間V内から第二電解液が排出される。収容空間V内の第二電解液を排出した後に、注排液用バルブ28が閉じるとともに第二電解液回収タンク108が電解液流通管25から切り離される。これにより第二電解液排出工程S14が完了する。
第二電解液排出工程S14が完了すると、処理装置20は、次に、デガスステーションST15に移送される。そして、デガスステーションST15にて、デガス工程S15が実行される。図16は、デガス工程の実行時における処理装置20を示す断面図である。このデガス工程S15では、ベントバルブ29が開く。これにより、それまでの工程の実行によって収容空間V内に発生したガス、特にエージング工程S13の実行により収容空間V内に生じたガスが、排気管26を通って外部に排出される。所定時間だけベントバルブ29の開放状態を維持した後に、ベントバルブ29が閉じる。これによりデガス工程S15が完了する。
デガス工程S15が完了した後に、処理装置20は化学処理ライン100から排出される。そして、化学処理ライン100から排出された処理装置20内から、複数の電極集合体10が取り出される。取り出された複数の電極集合体10は、それぞれ、一辺が開口した袋状の外装体に挿入される。これにより、電極集合体10に外装体が取り付けられる(外装取付工程S16)。その後、外装体内に適正濃度の電解液が注入される。次いで、外装体内の電極集合体10の負極リード部Aを外装体に取り付けられている負極端子に接続するとともに、外装体内の電極集合体10の正極リード部Bを外装体に取り付けられている正極端子に接続する。その後、外装体の開口した一辺を封止してセルを作製する。そして、内部に電極集合体が挿入された複数の外装体の負極どうしを接続し、且つ、正極どうしを接続する。これにより、複数の電極集合体10(セル)を接続することによってモジュール化されたリチウムイオンキャパシタが製造される。
このように、本実施形態によれば、低温プレドープ工程S9及び高温プレドープ工程S10にて一度に複数の電極集合体10に対してリチウムイオンのプレドープを行うことができる。従って、電極集合体10ごと(セルごと)にプレドープを行う場合に比べて、作業工数が低減される。よって、モジュール化されたリチウムイオンキャパシタの生産性が向上して製造コストを低減することができる。また、複数の電極集合体10に備えられるそれぞれの負極部11へのリチウムイオンのプレドープが同一の収容空間V内で同一の電解液を用いて実行されるので、それぞれの負極部11に均一にリチウムイオンがプレドープされる。よって、電極集合体10ごとの電池性能のばらつきの大きさを低減することができる。
さらに、本実施形態によれば、エージング工程S13にて一度に複数の電極集合体10のエージングを行うことができる。従って、エージングを電極集合体10ごと(セルごと)に行う場合と比較して、生産性がより向上するとともに、複数の電極集合体10の性能のばらつきを小さくすることができる。また、デガス工程S15にて一度に複数の電極集合体10についてのデガスを行うことができる。従って、これらの処理を電極集合体10ごと(セルごと)に行う場合に比べて、作業工数が低減される。加えて、従来のデガス工程のように、外装体をカットしてデガス処理を行った後に、再度外装体を封止するといった作業を省略することができる。このため、蓄電デバイスの生産性をさらにより一層向上させることができるとともに、カットした外装体の廃棄物の発生を防ぐことができる。
また、本実施形態では、リチウムイオンのプレドープ時に用いられる第一電解液のリチウム塩電解質の濃度は、リチウムイオンキャパシタとしての所望の性能を発揮させるのに好適な適正濃度よりも低い濃度である。従来のプレドープ工程では、外装体内で、適正濃度の電解液を用いてプレドープが行われている。本実施形態のように低濃度の電解液を用いてプレドープを行うことによる効果について、以下に説明する。
電解液の粘度は、電解液の濃度(リチウム塩電解質の濃度)に依存し、濃度が大きいほど粘度が高い。リチウムイオンキャパシタのプレドープ時に低濃度の電解液を用いた場合、電解液の粘度が低いので、電解液中におけるリチウムイオンの電気伝導度が高く、且つ、多孔質状に形成された電極集合体にリチウムイオンが染み込みやすい。このため、プレドープ時には、電解液の濃度は低いほうが好ましい。なお、リチウムイオンキャパシタの使用時において電解液の濃度が所定濃度(適正濃度)よりも低い場合、充放電容量等の性能が低下し、所望の性能が得られない。
よって、本実施形態のように、プレドープ時にリチウム塩電解質の濃度が適正濃度よりも低い第一電解液を用いることにより、プレドープ時間の短縮化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、リチウムイオンのプレドープが外装体内ではなく専用の処理装置20を用いて実施されるため、プレドープ後には、処理装置20から第一電解液を排出することができる。このため、実際の使用時には、適正濃度の電解液を外装体に充填することで、充放電容量の低下を防止することができる。
なお、本発明者は、外装体内でリチウム塩電解質濃度の低い第一電解液を用いてプレドープを行い、その後、外装体内に高濃度の電解液を補充して電解液の濃度を適正濃度に調整するリチウムイオンキャパシタの製造方法についても開発している(詳細は、特願2015−186261を参照されたい。)。この方法によってもプレドープ時間の短縮化を図ることができるが、低濃度の電解液に高濃度の電解液を混ぜて適正濃度に調整できるように、外装体の容積を大きくしなければならない。さらに、高濃度の電解液を外装体内に入れて濃度を調整した後に、外装体の大きさを適度な大きさにするために外装体をカットして封止しなおす工程が必要になる。これに対し、本実施形態に係る製造方法によれば、上記したようにリチウムイオンのプレドープが外装体内ではなく専用の処理装置20を用いて実施される。このため、プレドープされた電極集合体を処理装置20から取り出して外装体内に収容し、その後に適正濃度の電解液のみを外装体内に充填することができる。よって、不必要に外装体を大きくする必要もなく、且つ、外装体のカット及び再封止の工程も必要ない。
また、本実施形態によれば、リチウムイオンのプレドープ工程が、低温プレドープ工程S9と高温プレドープ工程S10により構成される。低温プレドープ工程では、低温且つ低濃度の電解液中でリチウムイオンがプレドープされる。一方、高温プレドープ工程では、高温且つ低濃度の電解液中でリチウムイオンがプレドープされる。このように低温でのプレドープ及び高温でのプレドープを行うことのメリットについて、説明する。
リチウム塩を含有した電解液中での負極活物質へのリチウムイオンのプレドープは、以下に示す二段階の反応により構成されていると考えられている。
第一段階:負極活物質(カーボン)表面へのSEI(Solid Electrolyte Interphase)被膜の形成
第二段階:SEI被膜を介した負極活物質(カーボン)へのリチウムイオンの吸蔵
第一段階により形成されるSEI被膜は、リチウムイオンのプレドープの初期に負極活物質(カーボン)の表面と電解液との反応により生じるもので、例えば、電解液の還元分解により生成される複数の無機リチウム化合物や有機化合物からなる複合体である。このSEI被膜が厚すぎると、リチウムイオンのプレドープ時に被膜抵抗が高まり、これにより、リチウムイオンのプレドープ反応における反応抵抗が増大し、十分にプレドープが進行しない場合が生じる。
本発明者は、SEI被膜の膜厚と電解液の温度との間に相関関係があることを見出した。具体的には、電解液の温度が低いほど、SEI被膜形成に伴う分解反応及びリチウムイオンの拡散速度が低下するために、SEI被膜の形成速度が遅くなり、そのためSEI被膜は緻密で且つ薄くなる。一方、電解液の温度が高いほど、上記分解反応及びリチウムイオンの拡散速度が上昇するために、SEI被膜の形成速度が速くなり、そのためSEI被膜は粗で且つ厚くなる。従って、プレドープの初期における電解液の温度を低温にすることで、すなわち低温プレドープ工程を実行することで、薄いSEI被膜を負極活物質(カーボン)表面に形成することができる。
こうしてプレドープの初期に薄いSEI被膜を形成することで、被膜抵抗が小さいSEI被膜を介してプレドープを実行することができるので、プレドープ時における反応抵抗が低下し、十分な量のリチウムイオンを迅速に負極活物質にプレドープすることができる。また、低温でのプレドープを実行して薄いSEI被膜を形成した後に、高温でのプレドープを実行することにより、すなわち高温プレドープ工程を実行することにより、リチウムイオンの拡散速度を高めることができる。このため、より速やかに、リチウムイオンのプレドープを進行させることができるとともに、充電レートを高めることができる。
本実施形態に示した低温プレドープ工程及び高温プレドープ工程の実施による効果を確認するために、プレドープ時における電解液の温度条件(温度履歴)が異なる3つの電極集合体のサンプル(実施例に係るサンプル、比較例1に係るサンプル、比較例2に係るサンプル)を作製した。各サンプルのプレドープ時における温度条件を、表1に示す。
Figure 2018056548
表1からわかるように、各サンプルにおけるプレドープ時間は、3日である。また、実施例に係るサンプルにおいては、温度が5℃の電解液を用いて1日間、次いで、温度が50℃の電解液を用いて2日間、プレドープを行った。比較例1に係るサンプルにおいては、温度が25℃の電解液を用いて3日間プレドープを行い、比較例2に係るサンプルにおいては、温度が50℃の電解液を用いて3日間プレドープを行った。
そして、作製した各サンプルの充電レートを算出するとともに反応抵抗を測定した。充電レートの算出にあたり、1A充電時の放電容量(放電容量A)に対する150A充電時の放電容量(放電容量B)の比率を求め、この比率の百分率を充電レートとして算出した。ここで、放電容量Aは、1Aの定電流で3.8Vまで充電し、その後、1Aの定電流で2.2Vまで放電した場合における放電容量である。放電容量Bは、150Aの定電流で3.8Vまで充電し、その後、1Aの定電流で2.2Vまで放電した場合における放電容量である。また、反応抵抗は、交流インピーダンス法により測定した。
図17は、各サンプルについて算出した充電レートを比較した図である。図17からわかるように、実施例に係るサンプルの充電レートは83.9%、比較例1に係るサンプルの充電レートは78.5%、比較例2に係るサンプルの充電レートは80.3%である。実施例に係るサンプルの充電レートが最も高い。この結果から、低温ドープ工程及びその後の高温ドープ工程を実行することにより、大電流による高速充電が可能になることがわかる。
図18は、各サンプルについて測定した反応抵抗を比較した図である。図18からわかるように、実施例に係るサンプルの反応抵抗は0.49mΩ、比較例1に係るサンプルの反応抵抗は0.77mΩ、比較例2に係るサンプルの反応抵抗は0.65mΩである。実施例に係るサンプルの反応抵抗が最も低い。この結果から、低温ドープ工程の実施により反応抵抗が低下することがわかる。また、実施例に係るサンプルにおいて、反応抵抗の低下によって、充電レートが向上したと考えることができる。
また、電解液温度とイオン電導性(拡散速度)との関係に関して、電解液温度が低いほどイオン電導性が低いことが知られている。従って、低温プレドープ工程S9の実行時には、電解液温度が低ければ低いほど、イオン電導性を低くしてSEI被膜の膜厚を薄くすることができる。しかしながら、電解液温度が0℃以下であると、電解液が凝結する虞がある。従って、低温プレドープ工程における電解液温度は、5℃以上であるのがよい。また、電解液温度が25℃以上であると、SEI被膜の膜厚が厚くなって反応抵抗が高くなる。従って、低温プレドープ工程S9における電解液温度は、20℃以下であるのがよい。つまり、低温プレドープ工程S9における電解液の温度は、5℃以上且つ20℃以下であるのがよい。
また、電解液温度が高いほどイオン電導性が高い。従って、高温プレドープ時には、電解液温度が高ければ高いほど、イオン電導性が高くなってプレドープを促進することができる。しかしながら、電解液温度が60℃以上であると、電解液が劣化する虞がある。従って、高温プレドープ工程における電解液温度は、50℃以下であるのがよい。また、電解液温度が25℃以下であると、高温プレドープ時にリチウムイオンのプレドープを十分に促進することができない。従って、高温プレドープ工程における電解液温度は、30℃以上であるのがよい。つまり、高温プレドープ工程における電解液の温度は、30℃以上且つ50℃以下であるのがよい。
(製造方法の第二実施形態)
次に、処理装置20を用いたリチウムイオンキャパシタの製造方法の第二実施形態について説明する。ここで、上記第一実施形態に係る製造方法においては、第二電解液を用いてエージング工程を実施するが、第二実施形態に係る製造方法においては、第一電解液を用いてエージング工程を実施する。従って、本実施形態では、第二電解液を用いない。
図19は、第二実施形態に係る製造方法を工程順に示すフローチャートである。図19に示すように、本実施形態に係る製造方法は、負極部作製工程S21、正極部作製工程S22、電極集合体作製工程S23、乾燥工程S24、負極接続工程S25、正極接続工程S26、ドープ極接続工程S27、第一電解液充填工程S28、低温プレドープ工程S29、高温プレドープ工程S30、エージング工程S31、第一電解液排出工程S32、デガス工程S33、外装取付工程S34、を経て、製造される。
負極部作製工程S21、正極部作製工程S22、電極集合体作製工程S23、乾燥工程S24、負極接続工程S25、正極接続工程S26、ドープ極接続工程S27は、それぞれ、製造方法の第一実施形態に係る、負極部作製工程S1、正極部作製工程S2、電極集合体作製工程S3、乾燥工程S4、負極接続工程S5、正極接続工程S6、ドープ極接続工程S7、と同じ工程である。従って、これらの工程についての詳細な説明は、ここでは省略する。
負極部作製工程S21、正極部作製工程S22、電極集合体作製工程S23、乾燥工程S24を経て作製された複数の電極集合体は、負極接続工程S25、正極接続工程S26、ドープ極接続工程S7を経て、図7に示すように、処理装置20の収容空間V内に収容される。その後、処理装置が、リチウムイオンキャパシタの製造ラインの一部を構成する化学処理ラインに備えられるベルトコンベアに載置される。そして、ベルコトンベアによって、第一電解液充填工程S28、低温プレドープ工程S29、高温プレドープ工程S30、エージング工程S31、第一電解液排出工程S32、デガス工程S33までの各工程を順に実行する各ステーション(ST28〜ST33)に、処理装置20が順次移送される。
図20は、第二実施形態に係る製造方法に用いられる化学処理ラインの概要を示す模式図である。図20に示すように、化学処理ライン200は、処理装置20を各ステーションに移送するためのベルトコンベア201と、第一電解液注液タンク202と、低温槽203と、高温槽204と、エージング装置205と、第一電解液回収タンク206とを備える。
ベルトコンベア201は、処理装置20を、図20の矢印で示す順路に従って移送する。これにより、処理装置20は、第一電解液充填ステーションST28、低温プレドープステーションST29、高温プレドープステーションST30、エージングステーションST31、第一電解液排出ステーションST32、及びデガスステーションST33に、順次移送される。第一電解液充填ステーションST28に第一電解液注液タンク202が設置され、低温プレドープステーションST29に低温槽203が設置され、高温プレドープステーションST30に高温槽204が設置され、エージングステーションST31にエージング装置205が設置され、第一電解液排出ステーションST32に第一電解液回収タンク206が設置される。
ベルトコンベア201に乗せられた処理装置20は、まず、第一電解液充填ステーションST28に移送される。そして、第一電解液充填ステーションST28にて、第一電解液充填工程S28が実行される。本実施形態に係る第一電解液充填工程S28は、上記第一実施形態に係る第一電解液充填工程S8と同じ工程である。また、第一電解液充填ステーションST28に設置された第一電解液注液タンク202の構成は、上記第一実施形態に係る第一電解液注液タンク102の構成と同じである。従って、この第一電解液充填工程S28の実行により、図9に示すように第一電解液注液タンク202が処理装置20に接続されるとともに、第一電解液注液タンク202内の第一電解液が処理装置20内の収容空間Vに充填される。また、第一電解液注液タンク202内に充填されている第一電解液は、上記第一実施形態に係る第一電解液注液タンク102内に充填されている第一電解液と同じ組成である。従って、この第一電解液充填工程S28の実行により、低濃度のリチウム塩電解液(第一電解液)が処理装置20の収容空間Vに充填される。
第一電解液充填工程S28を終えた処理装置20は、ベルトコンベア201により低温プレドープステーションST29に移送される。そして、低温プレドープステーションST29にて、低温プレドープ工程S29が実行される。本実施形態に係る低温プレドープ工程S29は、上記第一実施形態に係る低温プレドープ工程S9と同じ工程である。また、低温プレドープステーションST29に設置された低温槽203の構造及び内部温度は、上記第一実施形態に係る低温槽103の構造及び内部温度と同じである。従って、この低温プレドープ工程S29の実行により、低温度且つ低濃度の第一電解液中でリチウムイオンが負極活物質112にプレドープされる。
低温プレドープ工程S29が完了すると、処理装置20は、次に、高温プレドープステーションST30に移送される。そして、高温プレドープステーションST30にて、高温プレドープ工程S30が実行される。本実施形態に係る高温プレドープ工程S30は、上記第一実施形態に係る高温プレドープ工程S10と同じ工程である。また、高温プレドープステーションST30に設置された高温槽204の構造及び内部温度は、上記第一実施形態に係る高温槽104の構造及び内部温度と同じである。従って、この高温プレドープ工程S30の実行により、高温度且つ低濃度の第一電解液中でリチウムイオンが負極活物質112にプレドープされる。
高温プレドープ工程S30が完了すると、処理装置20は、エージングステーションST31に移送される。そして、エージングステーションST31にて、エージング工程S31が実行される。エージング工程S31では、処理装置20がエージング装置205に接続される。エージング装置205の構造は、上記第一実施形態に係るエージング装置107の構造と同じである。従って、図13に示すように、このエージング装置205により、負極端子22と正極端子23との間に所定の電圧が印加される。これにより、収容空間V内で第一電解液に浸されている電極集合体10が充放電される。このエージング工程の実行により、各電極集合体10の性能が安定する。
なお、上記第一実施形態に係る製造方法では、エージング工程にて、適正濃度の第二電解液を用いてエージングが行われているが、本実施形態に係る製造方法では、エージング工程にて、低濃度の第一電解液を用いてエージングが行われる。このように低濃度の電解液を用いてエージングを行った場合であっても、各電極集合体10の性能を安定させることが可能である。
エージング工程S31が完了すると、処理装置20は、第一電解液排出ステーションST32に移送される。そして、第一電解液排出ステーションST32にて、第一電解液排出工程S32が実行される。本実施形態に係る第一電解液排出工程S32は、上記第一実施形態に係る第一電解液排出工程S11と同じ工程である。また、第一電解液排出ステーションST32に設置された第一電解液回収タンク206の構成は、上記第一実施形態に係る第一電解液回収タンク105の構成と同じである。従って、この第一電解液排出工程S32の実行により、図11に示すように第一電解液回収タンク206が処理装置20に接続されるとともに、処理装置20の収容空間V内の第一電解液が第一電解液回収タンク206に排出される。
第一電解液排出工程S32が完了すると、処理装置20は、次に、デガスステーションST33に移送される。そして、デガスステーションST33にて、デガス工程S33が実行される。本実施形態に係るデガス工程S33は、上記第一実施形態に係るデガス工程S15と同じ工程である。従って、このデガス工程S33にて、それまでの工程の実行によって収容空間V内に発生したガス、特にエージング工程S31の実行により収容空間V内に生じたガスが外部に排出される。
デガス工程S33が完了した後に、処理装置20は化学処理ライン200から排出される。そして、化学処理ライン200から排出された処理装置20内から、複数の電極集合体10が取り出される。取り出された複数の電極集合体10は、それぞれ、一辺が開口した袋状の外装体に挿入される。これにより、電極集合体10に外装体が取り付けられる(外装取付工程S34)。その後、外装体内に適正濃度の電解液が注入される。次いで、外装体内の電極集合体10の負極リード部Aを外装体に取り付けられている負極端子に接続するとともに、外装体内の電極集合体10の正極リード部Bを外装体に取り付けられている正極端子に接続する。その後、外装体の開口した一辺を封止してセルを作製する。そして、内部に電極集合体が挿入された複数の外装体の負極どうしを接続し、且つ、正極どうしを接続する。これにより、複数の電極集合体10(セル)を接続することによってモジュール化されたリチウムイオンキャパシタが製造される。
第二実施形態に係る製造方法によれば、低濃度の第一電解液を用いて、プレドープ及びエージングが実行される。従って、低濃度の第一電解液を用いてプレドープを実行し、高濃度の第二電解液を用いてエージングを実行する第一実施形態に係る製造方法に必要である第二電解液充填工程及び第二電解液排出工程を省略することができる。つまり、より少ない工程数でリチウムイオンキャパシタを製造することができる。加えて、工程数が減少した結果、化学処理ラインの設置スペースを削減することができる。よって、リチウムイオンキャパシタの生産性をより向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるべきものではなない。例えば、上記第一実施形態においては、高温プレドープ工程を、低濃度の電解液を用いて実施する例について説明したが、適正濃度の電解液を用いて高温プレドープ工程を実施してもよい。この場合、図8に示す化学処理ラインに代えて、図21に示す化学処理ラインを用いてリチウムイオンキャパシタを製造することができる。図21に示す化学処理ライン110によれば、処理装置20は、まず、第一電解液充填ステーションST8に移送されて第一電解液充填工程S8が実行され、次いで、低温プレドープステーションST9に移送されて低温プレドープ工程S9が実行される。続いて、処理装置20は、第一電解液排出ステーションST11に移送されて第一電解液排出工程S11が実行され、次いで、第二電解液充填ステーションST12に移送されて第二電解液充填工程S12が実行される。その後、処理装置20は、高温プレドープステーションST10に移送されて高温プレドープ工程S10が実行される。続いて、処理装置20は、エージングステーションST13に移送されてエージング工程S13が実行され、さらに第二電解液排出ステーションST14に移送されて第二電解液排出工程S14が実行される。その後、処理装置20はデガスステーションST15に移送されてデガス工程S15が実行される。これによれば、高温プレドープ工程にて用いる電解液は、リチウム塩電解質濃度が適正濃度の第二電解液である。このように、比較的高い濃度の電解液を用いて高温プレドープ工程を行っても、電解液が高温であるがゆえに電解液中のリチウムイオンの拡散速度が比較的早い。このため、十分にリチウムイオンを負極活物質にプレドープすることができる。
また、上記第一実施形態では、エージング工程を実行した後に、第二電解液排出工程を実行し、上記第二実施形態では、エージング工程を実行した後に、第一電解液排出工程を実行している。ここで、収容空間V内から電解液を排出した場合であっても、収容空間V内の各電極集合体10に電解液が付着した状態で残存している場合、電解液を収容空間Vから排出した後に、エージングを実行することもできる。
また、上記実施形態では、製造されるリチウムイオンキャパシタの電極集合体が積層タイプである例について説明したが、巻回タイプの電極集合体についても本発明を適用できる。さらに、上記実施形態では、製造される蓄電デバイスとしてリチウムイオンキャパシタを例にとって説明したが、リチウムイオンがプレドープされている蓄電デバイスであれば、本発明を適用することができる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
10…電極集合体、11…負極部、111…負極集電体、112…負極活物質、12…正極部、121…正極集電体、122…正極活物質、13…セパレータ、14…リチウム極、20…製造用処理装置、21…収納容器、21a…本体部、21b…蓋部、22…負極端子、23…正極端子、24…ドープ極端子、25…電解液流通管、26…排気管、27…脱気管、28…注排液用バルブ、29…ベントバルブ、30…脱気用バルブ、31…真空ポンプ、100,110,200…化学処理ライン、101,201…ベルトコンベア、102,202…第一電解液注液タンク、103,203…低温槽、104,204…高温槽、105,206…第一電解液回収タンク、106…第二電解液注液タンク、107,205…エージング装置、108…第二電解液回収タンク、S5,S25…負極接続工程、S6,S26…正極接続工程、S7,S27…ドープ極接続工程、S8,S28…第一電解液充填工程、S9,S29…低温プレドープ工程、S10,S30…高温プレドープ工程、S11,S32…第一電解液排出工程、S12…第二電解液充填工程、S13,S31…エージング工程、S14…第二電解液排出工程、S15,S33…デガス工程、V…収容空間

Claims (11)

  1. リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料により構成される負極活物質を有する負極部と、リチウムイオン又は電解質アニオンを可逆的に担持可能な材料によって構成される正極活物質を有する正極部と、電気絶縁性材料により構成されるセパレータと、を備え、前記セパレータを介して前記負極部と前記正極部が積層されてなる複数の電極集合体、及び、金属リチウム、が収容される収容空間が内部に形成された収納容器と、
    前記収納容器に設けられ、前記収容空間に収容された複数の前記電極集合体がそれぞれ備える前記負極部に電気的に接続可能な負極端子と、
    前記収納容器に設けられ、前記収容空間に収容された金属リチウムに電気的に接続可能なドープ極端子と、
    を備える、蓄電デバイスの製造用処理装置。
  2. 請求項1に記載の蓄電デバイスの製造用処理装置において、
    前記収納容器に設けられ、前記収容空間に収容された複数の前記電極集合体がそれぞれ備える前記正極部に電気的に接続可能な正極端子を備える、蓄電デバイスの製造用処理装置。
  3. 請求項2に記載の蓄電デバイスの製造用処理装置において、
    前記収納容器は、開口面が形成されるとともに内部に前記収容空間が形成された本体部と、前記本体部の前記開口面を塞ぐ蓋部とを備え、
    前記負極端子、前記ドープ極端子、及び前記正極端子が前記蓋部に設けられている、蓄電デバイスの製造用処理装置。
  4. 請求項3に記載の蓄電デバイスの製造用処理装置において、
    前記本体部に接続され、前記収容空間に電解液を充填し、及び、前記収容空間に充填されている電解液を排出するための電解液流通管と、
    前記電解液流通管の途中に設けられた注排液用バルブと、
    前記本体部に接続され、前記収容空間内のガスを排出するための排気管と、
    前記排気管の途中に設けられたベントバルブと、
    を備える、蓄電デバイスの製造用処理装置。
  5. リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料により構成される負極活物質を有する負極部と、リチウムイオン又は電解質アニオンを可逆的に担持可能な材料によって構成される正極活物質を有する正極部と、電気絶縁性材料により構成されるセパレータと、を備え、前記セパレータを介して前記負極部と前記正極部が積層されてなる、複数の電極集合体、及び、金属リチウムを、収容可能な収容空間が内部に形成されるとともに、負極端子およびドープ極端子が設けられた収納容器を用いて、複数の前記電極集合体を備える蓄電デバイスを製造する蓄電デバイスの製造方法であって、
    前記収容空間に、複数の前記電極集合体を収容するとともに、複数の前記電極集合体がそれぞれ備える前記負極部を前記負極端子にそれぞれ電気的に接続する負極接続工程と、
    前記収容空間に金属リチウムを収容するとともに、前記金属リチウムを前記ドープ極端子に電気的に接続するドープ極接続工程と、
    前記収容空間にリチウム塩電解質を含み且つリチウム塩電解質濃度が適正濃度よりも低い第一電解液を充填して、前記収容空間に収容された複数の前記電極集合体及び前記金属リチウムを前記第一電解液に浸す第一電解液充填工程と、
    前記第一電解液充填工程後に前記負極端子と前記ドープ極端子とを電気的に接続して前記負極部と前記金属リチウムとを短絡させることにより、前記金属リチウムから前記第一電解液中にリチウムイオンを溶出させるとともに、前記第一電解液中に溶出したリチウムイオンを複数の前記電極集合体がそれぞれ備える前記負極部にプレドープするプレドープ工程と、
    を含む、蓄電デバイスの製造方法。
  6. 請求項5に記載の蓄電デバイスの製造方法において、
    前記収納容器には正極端子が設けられており、
    前記収容空間に収容されている複数の前記電極集合体がそれぞれ備える前記正極部を前記正極端子にそれぞれ電気的に接続する正極接続工程と、
    前記プレドープ工程後に前記第一電解液を前記収容空間から排出する第一電解液排出工程と、
    前記第一電解液排出工程後に前記収容空間にリチウム塩電解質を含み且つリチウム塩電解質濃度が前記適正濃度である第二電解液を充填して、前記収容空間に収容された複数の前記電極集合体を前記第二電解液に浸す第二電解液充填工程と、
    前記第二電解液充填工程後に実行され、前記負極端子と前記正極端子との間に所定の電圧を印加して前記負極部及び前記正極部との間で前記第二電解液を介した充放電を繰り返し行うエージング工程と、
    を含む、蓄電デバイスの製造方法。
  7. 請求項6に記載の蓄電デバイスの製造方法において、
    前記エージング工程後に前記第二電解液を前記収容空間から排出する第二電解液排出工程と、
    前記第二電解液排出工程後に前記収容空間内のガスを前記収容空間から排出するデガス工程と、
    を含む、蓄電デバイスの製造方法。
  8. 請求項5に記載の蓄電デバイスの製造方法において、
    前記収容容器には正極端子が設けられており、
    前記収容空間に収容されている複数の前記電極集合体がそれぞれ備える前記正極部を前記正極端子にそれぞれ電気的に接続する正極接続工程と、
    前記プレドープ工程後に実行され、前記負極端子と前記正極端子との間に所定の電圧を印加して前記負極部及び前記正極部との間で前記第一電解液を介した充放電を繰り返し行うエージング工程と、
    を含む、蓄電デバイスの製造方法
  9. 請求項8に記載の蓄電デバイスの製造方法において、
    前記エージング工程後に前記第一電解液を前記収容空間から排出する第一電解液排出工程と、
    前記第一電解液排出工程後に前記収容空間内のガスを前記収容空間から排出するデガス工程と、
    を含む、蓄電デバイスの製造方法。
  10. 請求項5乃至9のいずれか1項に記載の蓄電デバイスの製造方法において、
    前記プレドープ工程は、低温プレドープ工程と、前記低温プレドープ工程後に実行される高温プレドープ工程とを有し、
    前記低温プレドープ工程の実行時における前記第一電解液の温度は、前記高温プレドープ工程の実行時における前記第一電解液の温度よりも低い、
    蓄電デバイスの製造方法。
  11. 請求項10に記載の蓄電デバイスの製造方法において、
    前記低温プレドープ工程の実行時における前記第一電解液の温度が、5℃以上且つ20℃以下であり、
    前記高温プレドープ工程の実行時における前記第一電解液の温度が、30℃以上且つ50℃以下である、
    蓄電デバイスの製造方法。
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