JP2015198017A - 酸化物超電導薄膜線材 - Google Patents

酸化物超電導薄膜線材 Download PDF

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Abstract

【課題】冷却時のクラックの発生や、ハンダ接合された酸化物超電導薄膜線材に電流を印加した際における接合部の焼損の発生を確実に防止することができる酸化物超電導薄膜線材を提供する。【解決手段】金属基板上にセラミック製の中間層が形成された2軸配向性の基板と、基板上に形成された酸化物超電導層と、酸化物超電導層上に形成されたAg保護層と、基板、酸化物超電導層、Ag保護層を積層させた積層体の外周に形成されたCu安定化層とを備え、積層体の外周に形成された前記Cu安定化層の上面と下面の表面粗さが、JIS B0601 2001の最大高さRzで0.5〜50μmである酸化物超電導薄膜線材。Cu安定化層の上面と下面の表面粗さが、JIS B0601 2001の最大高さRzで1〜25μmである酸化物超電導薄膜線材。【選択図】図1

Description

本願発明は、レア・アース系の酸化物超電導層を有する酸化物超電導薄膜線材に関する。
液体窒素の温度で超電導性を有する高温超電導材料の発見以来、ケーブル、限流器、マグネットなどの電力機器への応用を目指した高温超電導線材の開発が活発に行われている。中でも基板上にレア・アース系の酸化物超電導材料の薄膜(酸化物超電導層)を形成させた酸化物超電導薄膜線材が注目されている。
酸化物超電導薄膜線材は、一般的に金属基板上にセラミック製の中間層が形成された2軸配向性の基板と、前記基板上にエピタキシャル成長によって形成されたREBCO(REBaCu7−δ:REはレア・アース)で示される酸化物超電導材料などからなる酸化物超電導層(以下、単に「超電導層」ともいう)と、前記超電導層上に気相成長によって形成された銀(Ag)保護層と、線材の外周にめっきによって形成された銅(Cu)安定化層とを備えている(例えば特許文献1)。
そして、このような酸化物超電導薄膜線材は、通常複数本の線材の端部同士を接続することにより長尺にして使用される。この接続方法として、酸化物超電導薄膜線材の端部同士を重ね合わせてハンダを介して接合するハンダ接合が広く用いられている(例えば特許文献2、3)。
特開平07−037444号公報 特開2011−3382号公報 特開2011−165435号公報
しかしながら、従来の酸化物超電導薄膜線材は、曲げた状態で液体窒素冷却した際に、表面にクラックが入ることがあった。また、ハンダ接合された酸化物超電導薄膜線材に電流を印加した際に、接合部が焼損してしまう恐れがあった。
そこで、本願発明は、冷却時のクラックの発生や、ハンダ接合された酸化物超電導薄膜線材に電流を印加した際における接合部の焼損の発生を確実に防止することができる酸化物超電導薄膜線材を提供することを課題とする。
本願発明は、
金属基板上にセラミック製の中間層が形成された2軸配向性の基板と、
前記基板上に形成された酸化物超電導層と、
前記酸化物超電導層上に形成されたAg保護層と、
前記基板、前記酸化物超電導層、前記Ag保護層を積層させた積層体の外周に形成されたCu安定化層とを備え、
前記積層体の外周に形成された前記Cu安定化層の上面と下面の表面粗さが、JIS B0601 2001の最大高さRzで0.5〜50μmである酸化物超電導薄膜線材である。
本願発明によれば、冷却時のクラックの発生や、ハンダ接合された酸化物超電導薄膜線材に電流を印加した際における接合部の焼損の発生を確実に防止することができる酸化物超電導薄膜線材を提供することができる。
本願発明の一実施形態の酸化物超電導薄膜線材の構成を模式的に示す横断面図である。 本願発明の一実施形態の酸化物超電導薄膜線材の接合部を模式的に示す側面図である。 樹脂コートされた酸化物超電導薄膜線材の構成を模式的に示す横断面図である。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態を列記して説明する。
(1)本願発明の実施形態は、
金属基板上にセラミック製の中間層が形成された2軸配向性の基板と、
前記基板上に形成された酸化物超電導層と、
前記酸化物超電導層上に形成されたAg保護層と、
前記基板、前記酸化物超電導層、前記Ag保護層を積層させた積層体の外周に形成されたCu安定化層とを備え、
前記積層体の外周に形成された前記Cu安定化層の上面と下面の表面粗さが、JIS B0601 2001の最大高さRzで0.5〜50μmである酸化物超電導薄膜線材である。
本発明者は、冷却時のクラックの発生や、ハンダ接合された酸化物超電導薄膜線材に電流を印加した際における接合部の焼損の発生について種々の検討を行った結果、Cu安定化層の表面粗さが、上記した冷却時のクラックの発生や接合部の焼損に影響していることを見出した。
即ち、Cu安定化層の表面粗さが大きすぎる場合、曲げた状態で液体窒素冷却した際に、その部分を起点として、Cu安定化層にクラックが発生する。
一方、Cu安定化層の表面粗さが小さすぎて表面が平滑すぎる場合、線材の端部同士をハンダ接合する際、ハンダのぬれ性が悪くなりハンダと線材との密着性が低下する。この結果、線材の接合部における接触抵抗が増大して電流印加時に接合部が焼損する。
そして、さらに検討を重ねた結果、具体的には、Cu安定化層の上面と下面の表面粗さが、JIS B0601 2001の最大高さRzで50μmを超えると冷却時にクラックが発生することがあり、0.5μmを下廻ると接触抵抗の増大による接合部の焼損が発生するが、最大高さRzで0.5〜50μmであれば、これらが発生しないことが分かった。
本実施の形態の酸化物超電導薄膜線材は、Cu安定化層の上面および下面の表面粗さが上記した適切な範囲に調整されているため、クラックの基点を無くして冷却時のクラックの発生を確実に防止することができると共に、酸化物超電導薄膜線材をハンダ接合する際に充分なハンダのぬれ性を確保して接合部における接触抵抗の増大を抑制することにより、電流を印加した際における接合部の焼損の発生を確実に防止することができる。
なお、酸化物超電導薄膜線材は、一般的に厚みが0.1〜0.3mm程度であり、側面の面積が極めて小さいため、側面において最大高さRzを測定することは困難である。このため、本実施形態においては、上面および下面の最大高さRzを指標として用いている。
(2)そして、前記酸化物超電導薄膜線材は、
前記Cu安定化層の上面と下面の表面粗さが、JIS B0601 2001の最大高さRzで1〜25μmであることが好ましい。
上記したように、最大高さRzで0.5〜50μmであれば、冷却時のクラックや接合部の焼損が発生しないが、1〜25μmであると、より確実に冷却時のクラックや接合部の焼損を防止することができる。
(3)また、前記酸化物超電導薄膜線材は、
前記Cu安定化層の上面と下面の表面粗さが、JIS B0601 2013の算術平均粗さRaで0.05〜1μmであることが好ましい。
上記した酸化物超電導薄膜線材は、通常裸線のままではなく、Cu安定化層の周囲を電気絶縁用の樹脂でコートして使用される。このとき、Cu安定化層の表面粗さが大きすぎる場合、Cu安定化層と樹脂コートとの間に隙間ができ、この隙間に滲み込んだ冷媒(液体窒素)が室温復帰時に気化するため、膨れが発生する。一方、表面粗さが小さすぎて表面が平滑すぎる場合、Cu安定化層と樹脂コートとの密着性が低下して樹脂コートの剥がれが発生する。
本実施形態の酸化物超電導薄膜線材は、Cu安定化層の上面および下面の表面粗さを、最大高さRzについて規定すると共に、算術平均粗さRaについても規定している。具体的には、算術平均粗さRaを0.05〜1μmに規定している。これにより、上記した冷却時のクラックや接合部の焼損の発生を防止することに加えて、樹脂コートの膨れや剥がれの発生についても確実に防止することができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本願発明を実施形態に基づき、図面を参照して説明する。なお、本願発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1.酸化物超電導薄膜線材
はじめに酸化物超電導薄膜線材について説明する。本実施形態の酸化物超電導薄膜線材は、Cu安定化層の上面と下面のJIS B0601 2001で規定された最大高さRzが0.5〜50μmであること以外は、基本的には従来の一般的な酸化物超電導薄膜線材と同じである。
上記したように、本実施形態の酸化物超電導薄膜線材は、酸化物超電導薄膜線材のCu安定化層の上面および下面の表面粗さを、JIS B0601 2001の最大高さRzで0.5〜50μm、好ましくは、1〜25μmとすることにより、冷却時のクラックの発生を抑制することができると共に、ハンダと線材との密着性を充分に確保して接触抵抗の増大による接合部の焼損を確実に防止することができる。
図1は本実施形態の酸化物超電導薄膜線材の構成を模式的に示す横断面図である。酸化物超電導薄膜線材1は、金属基板11上にセラミック製の中間層12が形成された2軸配向性の基板と、前記基板上にエピタキシャル成長によって形成された超電導層13と、超電導層13上に形成されたAg保護層14と、金属基板11、中間層12、超電導層13、Ag保護層14を積層させた積層体の外周を被覆するように形成されたCu安定化層15とを備えている。なお、16と17はそれぞれCu安定化層15の上面と下面であり、18は側面である。
また、酸化物超電導薄膜線材1は、一般的に幅が4〜10mm、厚みが0.05〜0.2mmのサイズの酸化物超電導薄膜線材が用いられ、好ましい一例として、幅が4mmであり、厚みが0.1mmの酸化物超電導薄膜線材が挙げられる。
(1)金属基板
金属基板11には表面が2軸配向している配向金属基板、もしくはSUS、ハステロイ基板が用いられる。配向金属基板としては、具体的にはNi合金基板、SUSやハステロイをベース金属とし、Cu、Niなどを貼り合わせたクラッドタイプの金属基板などが挙げられる。
(2)中間層
金属基板11として配向金属基板が用いられる場合、中間層12は、金属基板11側から順に金属基板11の配向を引き継いでエピタキシャル成長させるためのシード層(種層)、金属基板11の金属元素が超電導層13側に拡散するのを防止するためのバリア層(拡散防止層)、超電導層13と格子整合性を有し、超電導層13をエピタキシャル成長させるためのキャップ層(格子整合層)の多層構造で形成されており、例えば、Y、YSZ、CeOの3層構造の中間層が好ましく用いられ、例えばRFスパッタ法を用いて形成される。
金属基板11としてSUS、ハステロイ基板が用いられる場合、中間層12は、IBAD(Ion Beam Assisted Deposition)法にて形成する結晶配向層、超電導層13をエピタキシャル成長させるためのキャップ層の多層構造で形成されており、例えば、GdZr、CeOが好ましく用いられる。
(3)超電導層
超電導層13は、エピタキシャル成長によって2軸配向させた例えばレア・アース系の酸化物超電導材料で形成され、具体的には、例えばYBCO(YBaCu7−δ)やGdBCO(GdBaCu7−δ)が用いられる。超電導層13の形成にはPLD(Pulse Laser Deposition)法やMOD(塗布熱分解)法などの方法が用いられる。
(4)Ag保護層
超電導層13上にAg保護層14が設けられている。Ag保護層14の形成には例えばスパッタ法が用いられる。なお、Ag保護層14の形成後、必要に応じて酸素雰囲気中で熱処理(酸素アニール)が行われる。
(5)Cu安定化層
Cu安定化層15は、金属基板11上に、中間層12、超電導層13、Ag保護層14を積層させた積層体の外周にめっき処理を行うことにより形成される。本実施形態において、このCu安定化層15は、上面16と下面17の表面粗さが、最大高さRzで0.5〜50μmに設定されている。
このような表面粗さは、例えば、Cu安定化層15を形成するめっきの条件を調整することにより得ることができる。具体的なめっき条件は例えば以下の通りである。
・めっき液
組成:硫酸銅 100g/l
硫酸 150g/l
・電流密度:1〜10A/dm
上記した条件でめっき処理することにより、上面16及び下面17の最大高さRzが0.5〜50μmのCu安定化層15を形成することができる。
なお、上記しためっきにより上面16及び下面17の表面粗さを調整することに替えて、Cu安定化層15を形成した後、上面16及び下面17に機械研磨等を施すことにより、上面16及び下面17の最大高さRzを0.5〜50μmに調整してもよい。
また、Cu安定化層15の上面16および下面17の表面粗さは、上記したとおり、樹脂コートの膨れや剥がれの発生を防止するという観点から、最大高さRzで0.5〜50μmであることに加えて、算術平均粗さRaで0.05〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであるとより好ましい。
2.ハンダ接合された酸化物超電導薄膜線材
次に、ハンダ接合された酸化物超電導薄膜線材について説明する。図2は本実施形態の酸化物超電導薄膜線材の接合部を模式的に示す側面図である。図2では、2本の酸化物超電導薄膜線材1の長手方向の端部同士を重ね合わせてハンダ21により接合することにより接合部が形成されている。
このようにして接合部が形成された酸化物超電導薄膜線材は、上面および下面の最大高さRzが適切に調整されているCu安定化層15同士をハンダにより接合しているため、冷却時のクラックの発生を確実に防止した上で、ハンダのぬれ性の低下を充分に抑制して、ハンダと線材との密着性を充分に確保することができ、接触抵抗の増大による接合部の焼損を確実に防止することができる。
3.樹脂コートされた酸化物超電導薄膜線材
次に、樹脂コートされた酸化物超電導薄膜線材について説明する。図3は樹脂コートされた酸化物超電導薄膜線材の構成を模式的に示す横断面図である。この酸化物超電導薄膜線材は、Cu安定化層15の外表面全体が樹脂コート31で被覆されている。
樹脂コート31には、材質がポリイミド、エポキシ樹脂などの電気絶縁性の樹脂が用いられ、肉厚が5〜20μmになるようにCu安定化層15の外表面に形成される。
コート方法には、原料樹脂を液状にしてCu安定化層15の外表面に塗布した後、加熱または光照射により硬化させる方法などが好ましく用いられる。このようにして樹脂がコートされた酸化物超電導薄膜線材において、Cu安定化層15の上面16および下面17の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.05〜1μmに制御されていると、樹脂コート31の膨れや剥がれの発生が確実に防止されて、樹脂コート31による絶縁性を充分に発揮させることができる。
[実験例]
次に、実験例に基づき、本願発明をより具体的に説明する。
1.酸化物超電導薄膜線材の作製
最初に、金属基板として、厚み100μm、幅30mm、長さ100mのSUS/Cu/Niクラッド材を用意した。
次に、金属基板上に、スパッタ法を用いて、厚み0.5μmの3層構造の中間層(Y:0.2μm、YSZ:0.2μm、CeO:0.1μm)を形成した。
次に、PLD法を用いてGdBCO酸化物超電導層(厚み4μm)を形成した後、スパッタ法を用いてAg安定化層(厚み5μm)を形成して積層体とし、幅広の酸化物超電導薄膜線材を作製した。そして、幅広の酸化物超電導薄膜線材を幅4mmに細線化した。
そして、細線化した積層体の外周に、以下に示す条件でめっき処理を行い、電流密度を調整することにより、表1のそれぞれに示す最大高さRzでCu安定化層を形成して、実験例1〜7の試験体を作製した。
・めっき液
組成:硫酸銅 100g/l
硫酸 150g/l
・電流密度:1〜10A/dm
2.評価
(1)クラック有無評価試験
次に、各実験例の酸化物超電導薄膜線材を、超電導層が外側になるように曲げ径10cmの曲げを加えた状態で冷却し、5分後に取り出して室温に戻し、クラックの発生の有無を確認した。結果を表1に示す。
(2)焼損試験
77K,自己磁場下での臨界電流値Icが450〜500A/cmである各実験例の酸化物超電導薄膜線材を2本用意して、図2に示すように、ハンダを介して端部同士を接合した後、接合された酸化物超電導薄膜線材の両端より電流を徐々に大きくして印加し、接合部に焼損が発生したときの電流値を測定した。なお、流す電流の最大値は、2本の線材のうちIcの小さい方のIcに相当する値までとした。結果を表1に示す。
Figure 2015198017
表1より、最大高さRzが50μm以下の実験例1〜6は、冷却時のクラックの基点となるような部位が無いため、クラックの発生を防止できることが確認された。
また、最大高さRzが0.5μm以上の実験例2〜7は、ハンダを介して接合した際に、接合部における接触抵抗が抑制されており、接合した2本の線材のうちIcの小さい方のIc値に相当する電流を流した場合でも、接合部の焼損の発生が適切に防止できることが確認された。
このことから、Cu安定化層の上面と下面の表面粗さが、最大高さRzで0.5〜50μmである実験例2〜6の場合、冷却時のクラック発生と、接合部の焼損の発生の両方を確実に防止できることが確認された。
さらに、Cu安定化層の上面と下面の表面粗さが、最大高さRzで1μm未満、または25μmよりも大きい場合、上記した冷却と室温に戻す操作が1回ではクラックの発生が見られなかったが、複数回繰り返すと発生していることがあった。一方、最大高さRzが1〜25μmである実験例3〜5の場合には、複数回繰り返した場合でもクラックの発生が見られなかった。
そして、実験例2〜6の表面粗さを、算術平均粗さRaで測定した結果、実験例2〜4は、算術平均粗さRaも0.05〜1μmの範囲内であり、Cu安定化層の外表面に樹脂コートを形成しても、樹脂コートの膨れや剥がれの発生も確実に防止できることが確認された。
そして、上記の結果は、酸化物超電導層をGdBCO酸化物超電導層からYBCO酸化物超電導層に変更しても、GdBCO酸化物超電導層の場合と同様であった。
本願発明は、レア・アース系などの酸化物超電導層を備える酸化物超電導薄膜線材において、冷却時のクラックや接合部の焼損の発生を確実に防止することを可能にするものであり、酸化物超電導薄膜線材の実用化の一層の推進に寄与する。
1 酸化物超電導薄膜線材
11 金属基板
12 中間層
13 超電導層
14 Ag保護層
15 Cu安定化層
16 上面
17 下面
18 側面
21 ハンダ
31 樹脂コート

Claims (3)

  1. 金属基板上にセラミック製の中間層が形成された2軸配向性の基板と、
    前記基板上に形成された酸化物超電導層と、
    前記酸化物超電導層上に形成されたAg保護層と、
    前記基板、前記酸化物超電導層、前記Ag保護層を積層させた積層体の外周に形成されたCu安定化層とを備え、
    前記積層体の外周に形成された前記Cu安定化層の上面と下面の表面粗さが、JIS B0601 2001の最大高さRzで0.5〜50μmである酸化物超電導薄膜線材。
  2. 前記Cu安定化層の上面と下面の表面粗さが、JIS B0601 2001の最大高さRzで1〜25μmである請求項1に記載の酸化物超電導薄膜線材。
  3. 前記Cu安定化層の上面と下面の表面粗さが、JIS B0601 2013の算術平均粗さRaで0.05〜1μmである請求項1または請求項2に記載の酸化物超電導薄膜線材。
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