JP2015197980A - 有機デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】無機封止層との密着性に優れ、更に、優れた低水蒸気透過性を有する有機封止層を有する有機デバイスを提供する。【解決手段】無機封止層と有機封止層とが積層された積層構造を有する有機デバイスであって、前記有機封止層は、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体を含むことを特徴とする有機デバイス。【選択図】図1

Description

本発明は、有機デバイスに関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の有機デバイスが注目されている。有機EL素子は、有機発光層、電子輸送層、正孔輸送層等の有機層を有しているが、これらの有機層は大気中の水蒸気や酸素と反応して劣化することがあり、有機EL素子等の有機デバイスを保護するために、薄膜によってガスバリア層を形成する薄膜封止技術が求められている。
例えば、特許文献1には、高分子フィルム上に、20〜150℃の温度域において液体である有機珪素化合物を原料として、600〜1520Torrの圧力下で発生するプラズマを用いたCVD法により、SiO(x=1.0〜2.0)で表される酸化珪素を主成分とする薄膜を形成させることを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法が記載されている。特許文献2には、Cat−CVDで堆積されたSiCNFH層、SiOCNH層、およびSiCNH層のいずれかのガスバリア層を有するガスバリアフィルムが記載されている。特許文献3には、窒化珪素からなるバリア膜であって、窒素Nと珪素Siの原子比率を表す比率N/(Si+N)が0.60から0.65の間であることを特徴とするバリア膜が記載されている。
また、素子本体部の上に窒化シリコン等の無機薄膜を形成し、更にその上にスピンコーティング法やディップ法により樹脂を塗布することにより、素子本体部を水分や酸素から保護する方法も提案されている。このような方法では、無機薄膜に充分なバリア性を持たせるために、緻密な無機薄膜を形成する必要があるが、素子本体部の有機材料を封止する関係で、無機薄膜の製膜温度を高くすることができない。そのため、無機薄膜に欠陥が生じたり、緻密な薄膜を形成することができなかったりするため、充分なバリア性を付与するためには無機薄膜を厚く形成する必要がある。
一方で、無機薄膜を厚くすると応力の増大などによりクラックが発生しやすくなり、却ってバリア性を低下させる問題がある。
そこで、有機材料と無機材料とを交互に積層することで、無機薄膜に生じる応力を緩和することが提案されている。
例えば、特許文献4には、有機層と無機層とが交互に成膜され積層された構造を有するバリア層を備えた有機電界発光素子が記載されている。
特許文献5には、交互に積層された複数のバリア層及び複数のバッファ層からなるパッシベーション層を備え、前記バリア層が、金属または半導体の活性酸化物、活性窒化物または活性酸窒化物から選択される1以上の物質を含み、前記バッファ層は、有機高分子または有機低分子を含むことを特徴とする有機EL素子が記載されている。
特許文献6には、基材フィルム上に、少なくとも1層の無機層と少なくとも1層のアクリルモノマーの重合物を主成分とする有機層とを有するガスバリア性積層フィルムであって、前記有機層に少なくとも1種類のスルホニル基を有する二官能以上の重合性モノマーの重合生成物が含まれていることを特徴とするガスバリア性積層フィルムが記載されている。
特許文献7には、少なくとも1つの第一バリア層と少なくとも1つの第一ポリマー層とを含む第一バリアースタックを含む封入された有機発光デバイスが記載されている。
特開平11−256338号公報 特開2010−235979号公報 特開2011−231357号公報 特開2003−17244号公報 特開2007−317646号公報 特開2008−87163号公報 特表2002−532850号公報
特許文献4〜7に記載された有機EL素子のバリア層は、無機層と有機層とが交互に積層されたものであり、これらの有機層は2層の無機層間の密着と、無機層に生じる応力を緩和する役割で使用されている。
上記有機層には無機層との良好な密着性が必要とされるため、無機材料との密着性に重点をおいた有機材料の選定がなされており、有機層を形成する材料としては水蒸気透過性が高い有機材料が使用されているのが現状であった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、無機封止層との密着性に優れ、更に、優れた低水蒸気透過性を有する有機封止層を有する有機デバイスを提供することを目的とする。
本発明者等は、無機封止層との密着性に優れるとともに、優れた低水蒸気透過性を有する有機封止層について鋭意検討したところ、含フッ素重合体に着目した。
含フッ素重合体は一般的に他材と密着しにくく、密着性が必要となる用途には適用しづらい。しかしながら、本発明者等の検討によって、特定の構造を有する含フッ素重合体を含む有機封止層が、無機封止層との良好な密着性を有するとともに、優れた低水蒸気透過性をも有することが見出され、本発明は完成したものである。
すなわち本発明は、無機封止層と有機封止層とが積層された積層構造を有する有機デバイスであって、上記有機封止層は、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体を含むことを特徴とする有機デバイスである。
上記含フッ素オレフィンは、テトラフルオロエチレンであることが好ましい。
上記含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位の含有率は40モル%以上であることが好ましい。
上記含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位との交互率は94%以下であることが好ましい。
上記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位を有することも好ましい。
上記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位及びビニルエステルモノマー単位を有する共重合体を水酸基化して得られた共重合体であることが好ましい。
本発明の有機デバイスは、有機エレクトロルミネッセンス素子であることが好ましい。
本発明によれば、無機封止層との密着性及び低水蒸気透過性に優れる有機封止層を有する有機デバイスを提供することができる。
本発明の有機デバイス(有機EL素子)の一例を示す断面模式図である。 本発明の有機デバイス(有機EL素子)の一例を示す断面模式図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の有機デバイスは、無機封止層と有機封止層とが積層された積層構造を有する有機デバイスであって、上記有機封止層は、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体を含む。
本発明の有機デバイスは、有機封止層を有する。上記有機封止層は、上記特定の含フッ素共重合体から形成されたものであるので、低水蒸気透過性に優れる。そのため、本発明の有機デバイスは有機発光層等の有機素子部が劣化しにくいものである。
また、上記有機封止層は、上記特定の含フッ素共重合体から形成されたものであるので、無機封止層との密着性に優れる。そのため、本発明の有機デバイスは耐久性にも優れる。上記有機封止層は、無機材料から形成される電極等との密着性にも優れる。
本発明の有機デバイスにおいて、無機材料から形成される無機封止層と有機封止層とを交互に積層してバリア層を形成した場合、上記有機封止層は、無機封止層との密着、無機封止層間の応力の緩和に寄与するだけでなく、優れた低水蒸気透過性をバリア層に付与することができる。
例えば、有機EL素子のバリア層には10−5オーダーの低水蒸気透過性が要求されるが、無機封止層の積層数を従来の技術より低減したとしても、優れた低水蒸気透過性を有機デバイスに付与することができ、上記要求を達成することができる。また、積層数を低減できるため、製造工程の簡略化も可能となる。
更に、上記有機封止層は、光透過性及び耐プラズマ性にも優れるため、有機デバイスに使用される封止層として特に好適である。
上記有機封止層の厚みは特に限定されず、有機デバイスの種類、構造、要求特性等により適宜設定すればよい。例えば、デバイス保護の観点からは、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。生産性の観点からは、150μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
上記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位(−CH−CH(OH)−)を有する。
上記含フッ素オレフィン単位とは、含フッ素オレフィンに基づく重合単位を表している。該含フッ素オレフィンは、フッ素原子を有する単量体である。
上記含フッ素オレフィンとしては、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、フッ化ビニリデン〔VdF〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、フッ化ビニル、へキサフルオロプロピレン〔HFP〕、へキサフルオロイソブテン、CH=CZ(CFn1(式中、ZはH、F又はCl、ZはH、F又はCl、n1は1〜10の整数である。)で示される単量体、CF=CF−ORf(式中、Rfは、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素オレフィンであることが好ましい。
上記CH=CZ(CFn1で示される単量体としては、CH=CFCF、CH=CHCF、CH=CFCHF、CH=CClCF等が挙げられる。
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)等が挙げられ、なかでも、PMVE、PEVE又はPPVEがより好ましい。
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−OCH−CFCFがより好ましい。
上記含フッ素オレフィンとしては、TFE、CTFE及びHFPからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、TFEが更に好ましい。
上記含フッ素共重合体は、含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位の含有率が40モル%以上であることが好ましく、含フッ素オレフィン単位が40モル%以上80モル%以下であり、ビニルアルコール単位が20モル%以上60モル%以下であることがより好ましい。上記含フッ素共重合体の各モノマー単位の含有率がこのような範囲であることによって、低水蒸気透過性及び無機封止層との密着性が優れた有機封止層が得られる。各モノマー単位の含有率としては、含フッ素オレフィン単位が45モル%以上75モル%以下であり、ビニルアルコール単位が25モル%以上55モル%以下であることが更に好ましく、含フッ素オレフィン単位が50モル%以上70モル%以下であり、ビニルアルコール単位が30モル%以上50モル%以下であることが特に好ましい。
上記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位との交互率が94%以下であることが好ましい。交互率がこのような範囲であると、溶剤溶解性が高いという効果が得られる。より好ましくは90%以下であり、特に好ましくは80%以下である。また、好ましくは30%以上であり、より好ましくは35%以上であり、更に好ましくは40%以上である。交互率が低いと耐熱性が低下するおそれがあるため、好ましくない。
含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位との交互率は、重アセトン等の含フッ素共重合体が溶解する溶媒を用いて、含フッ素共重合体のH−NMR測定を行い、以下の式より3連鎖の交互率として算出できる。
交互率(%)=C/(A+B+C)×100
A:−V−V−V−のように2つのVと結合したVの個数
B:−V−V−T−のようにVとTとに結合したVの個数
C:−T−V−T−のように2つのTに結合したVの個数
(T:含フッ素オレフィン単位、V:ビニルアルコール単位)
A、B、CのV単位の数は、H−NMR測定のビニルアルコール単位(−CH−CH(OH)−)の3級炭素に結合する主鎖のHの強度比より算出する。H−NMR測定による主鎖のHの強度比の見積もりは、水酸基化前の含フッ素共重合体で実施する。
上記含フッ素共重合体は、更に、−CH−CH(O(C=O)R)−(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜17の炭化水素基を表す。)で表されるビニルエステルモノマー単位を有するものであってもよい。このように、上記含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位を有することも好ましい。そして更には、実質的に含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位のみからなる含フッ素オレフィン/ビニルアルコール/ビニルエステルモノマー共重合体であることもまた好ましい。
上記ビニルエステルモノマー単位は、−CH−CH(O(C=O)R)−(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜17の炭化水素基を表す。)で表されるモノマー単位であるが、上記式中のRとしては、炭素数1〜11のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましい。特に好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基である。
上記ビニルエステルモノマー単位としては、中でも、以下のビニルエステルに由来するモノマー単位などが例示される。
ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、バレリン酸ビニル、イソバレリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、へプチル酸ビニル、カプリル酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ペラルゴン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、ペンタデシル酸ビニル、パルチミン酸ビニル、マルガリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、ベオバ−9(昭和シェル石油(株)製)、ベオバ−10(昭和シェル石油(株)製)、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル。
これらの中でも、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルに由来するモノマー単位が好ましい。より好ましくは、酢酸ビニルモノマー単位、プロピオン酸ビニルモノマー単位であり、更に好ましくは、酢酸ビニルモノマー単位である。
上記含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位を有する場合の、各モノマー単位の含有率としては、含フッ素オレフィン単位が40モル%以上80モル%以下であり、ビニルアルコール単位が0モル%より多く60モル%未満であり、ビニルエステルモノマー単位が0モル%より多く60モル%未満であることが好ましい。各モノマー単位の含有率がこのような範囲であることによって、有機封止層の低水蒸気透過性及び無機材料との密着性が優れたものとなる。各モノマー単位の含有率としては、含フッ素オレフィン単位が45モル%以上75モル%以下であり、ビニルアルコール単位が5モル%以上50モル%以下であり、ビニルエステルモノマー単位が5モル%以上50モル%以下であることがより好ましく、含フッ素オレフィン単位が50モル%以上70モル%以下であり、ビニルアルコール単位が10モル%以上40モル%以下であり、ビニルエステルモノマー単位が10モル%以上40モル%以下であることが更に好ましい。
上記含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位を有する場合、含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位との交互率は、94%以下であることが好ましい。交互率がこのような範囲であると、溶剤溶解性が高いという効果が得られる。より好ましくは90%以下であり、特に好ましくは80%以下である。また、好ましくは30%以上であり、より好ましくは35%以上であり、更に好ましくは40%以上である。交互率が低いと耐熱性が低下するおそれがあるため、好ましくない。
含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位との交互率は、重アセトン等の含フッ素共重合体が溶解する溶媒を用いて、含フッ素共重合体のH−NMR測定を行い、以下の式より3連鎖の交互率として算出できる。
交互率(%)=C/(A+B+C)×100
A:−V−V−V−のように2つのVと結合したVの個数
B:−V−V−T−のようにVとTとに結合したVの個数
C:−T−V−T−のように2つのTに結合したVの個数
(T:含フッ素オレフィン単位、V:ビニルアルコール単位又はビニルエステルモノマー単位)
A、B、CのV単位の数は、H−NMR測定のビニルアルコール単位(−CH−CH(OH)−)及びビニルエステルモノマー単位(−CH−CH(O(C=O)R)−)の3級炭素に結合する主鎖のHの強度比より算出する。H−NMR測定による主鎖のHの強度比の見積もりは、水酸基化前の含フッ素共重合体で実施する。
上記含フッ素共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位以外の他の単量体単位を有していてもよい。
上記他の単量体としては、フッ素原子を含まない単量体(但し、ビニルアルコール及びビニルエステル単量体を除く)として、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルエーテル単量体、及び、不飽和カルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素非含有エチレン性単量体が好ましい。
上記他の単量体単位の合計含有率は、含フッ素共重合体の全単量体単位の0〜50モル%であることが好ましく、0〜40モル%であることがより好ましく、0〜30モル%であることが更に好ましい。
本明細書において、含フッ素共重合体を構成する各単量体単位の含有量は、NMR、FT−IR、元素分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
上記含フッ素共重合体の重量平均分子量は、特に制限されないが、9,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましい。更に好ましくは、20,000〜2,000,000であり、特に好ましくは、30,000〜1,000,000である。
上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
上記含フッ素共重合体は、後述するように、含フッ素オレフィン単位及びビニルエステルモノマー単位を有する共重合体を水酸基化することにより製造することができる。すなわち、上記含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位及びビニルエステルモノマー単位を有する共重合体を水酸基化して得られた共重合体であることも好ましい。
以下に、上記含フッ素共重合体の製造方法について説明する。
通常、上記含フッ素共重合体は、テトラフルオロエチレン等の含フッ素オレフィンと酢酸ビニル等のビニルエステルモノマーとを共重合して、その後、得られた共重合体を水酸基化することにより製造することができる。上記含フッ素共重合体の交互率を94%以下とする場合には、含フッ素オレフィンとビニルエステルモノマーの組成比を、ほぼ一定に保つ条件下で重合を行うことが好ましい。すなわち、上記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィンとビニルエステルモノマーの組成比を、ほぼ一定に保つ条件下で重合して、含フッ素オレフィン単位とビニルエステルモノマー単位とを有する共重合体を得る工程、及び、得られた共重合体を水酸基化して、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する共重合体を得る工程、からなる製造方法により得られたものであることが好ましい。
上記ビニルエステルモノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、バレリン酸ビニル、イソバレリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、へプチル酸ビニル、カプリル酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ペラルゴン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、ペンタデシル酸ビニル、パルチミン酸ビニル、マルガリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、ベオバ−9(昭和シェル石油(株)製)、ベオバ−10(昭和シェル石油(株)製)、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、中でも入手が容易で安価である点から、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルが好ましく用いられる。
上記ビニルエステルモノマーとしてはこれらの1種を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
含フッ素オレフィンとビニルエステルモノマーとを共重合させる方法としては、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の重合方法を挙げることができ、工業的に実施が容易であることから乳化重合、溶液重合又は懸濁重合により製造することが好ましいが、この限りではない。
乳化重合、溶液重合又は懸濁重合においては、重合開始剤、溶媒、連鎖移動剤、界面活性剤、分散剤等を使用することができ、それぞれ通常用いられるものを使用することができる。
溶液重合において使用する溶媒は、含フッ素オレフィンとビニルエステルモノマー、及び、合成される含フッ素共重合体を溶解することができるものが好ましく、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、tert−ブタノール、イソプロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;HCFC−225等の含フッ素溶媒;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、又はこれらの混合物等が挙げられる。
乳化重合において使用する溶媒としては、例えば、水、水とアルコールとの混合溶媒等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)等のパーオキシカーボネート類に代表される油溶性ラジカル重合開始剤や、例えば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性ラジカル重合開始剤等を使用できる。特に乳化重合においては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが好ましい。
上記界面活性剤としては、通常用いられる界面活性剤が使用でき、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が使用できる。また、含フッ素系界面活性剤を用いてもよい。
懸濁重合においては、分散剤を使用してもよい。分散剤としては、通常の懸濁重合に用いられる部分鹸化ポリ酢酸ビニル、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性セルロースエーテル、アクリル酸系重合体、ゼラチンなどの水溶性ポリマーを例示できる。懸濁重合は、水/単量体の比率が通常重量比で1.5/1〜3/1である条件で行なわれ、分散剤は単量体100重量部に対し0.01〜0.1重量部が用いられる。また、必要に応じて、ポリリン酸塩のようなpH緩衝剤を用いることもできる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、エタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族類;アセトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
上記連鎖移動剤の添加量は用いる化合物の連鎖移動定数の大きさにより変わりうるが、通常重合溶媒に対して0.001〜10質量%の範囲で使用される。
重合温度としては、含フッ素オレフィンとビニルエステルモノマーの反応中の組成比がほぼ一定になる範囲であればよく、0〜100℃であってよい。
重合圧力としては、含フッ素オレフィンとビニルエステルモノマーの反応中の組成比がほぼ一定になる範囲であればよく、0〜10MPaGであってよい。
酢酸ビニルに由来するアセテート基の水酸基化は従来よく知られており、アルコリシス、酸や塩基を用いた加水分解等の従来公知の方法によって行うことができる。この中で塩基を用いた加水分解を一般にケン化と呼ばれているが、この明細書においては、以降、ビニルエステルモノマーの水酸基化を方法によらず、ケン化と呼ぶ。このケン化によって、アセテート基(−OCOCH)は、水酸基(−OH)に変換される。他のビニルエステルモノマーにおいても同様に、従来公知の方法によってケン化され、水酸基を得ることができる。
含フッ素オレフィン単位とビニルエステルモノマー単位とを有する共重合体をケン化して上記含フッ素共重合体を得る場合のケン化度は、上記含フッ素共重合体の各モノマー単位の含有率が上述した範囲となるような範囲であればよく、具体的には50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましい。
上記ケン化度は、含フッ素共重合体のIR測定又はH−NMR測定により、以下の式から算出される。
ケン化度(%)=D/(D+E)×100
D:含フッ素共重合体中のビニルアルコール単位数
E:含フッ素共重合体中のビニルエステルモノマー単位数
上記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィンと脱保護反応によりビニルアルコールに変換されうる保護基(R)が結合したビニルエーテル単量体(CH=CH−OR)(以下、単にビニルエーテル単量体と記述する)とを共重合させて含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体を得る工程、及び、上記含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体を脱保護することにより含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体を得る工程、からなる製造方法によっても得ることができる。
上記含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体とを共重合させる方法、及び、上記含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体を脱保護する方法は、従来からよく知られており、従来公知の方法を本発明でも行うことができる。含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体を脱保護反応させることによって、保護基アルコキシ基が水酸基に変換され、含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体が得られる。
上記含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体とを共重合させて得られる含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体は、含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体とのモル比である(含フッ素オレフィン)/(ビニルエーテル単量体)が(40〜60)/(60〜40)であることが好ましく、(45〜55)/(55〜45)であることがより好ましい。モル比が上記範囲内にあって、かつ、脱保護が後述の範囲内にあることにより、各重合単位のモル比が上述した範囲にある含フッ素共重合体を製造することができる。
上記含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体の脱保護は、脱保護度が1〜100%になるように行うことが好ましく、30〜100%になるように行うことがより好ましい。
上記脱保護度は、H−NMRにより、脱保護前後での2.1ppm付近のアセチル基(CHC(=O)O−)由来のプロトンの積分値と、0.8〜1.8ppmの主鎖メチレン基(−CH−CH−)由来のプロトンの積分値を定量することにより測定できる。
H−NMR:Varian社製のGEMINI−300
上記ビニルエーテル単量体は、フッ素原子を含まないことが好ましい。当該ビニルエーテル単量体としては、脱保護されるものであれば特に制限はないが、入手の容易さから、ターシャルブチルビニルエーテルが好ましい。
上記含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエーテル単位を有する場合、含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位及びビニルエーテル単位との交互率は、94%以下であることが好ましい。交互率がこのような範囲であると、溶剤溶解性が高いという効果が得られる。また、好ましくは30%以上であり、より好ましくは35%以上であり、更に好ましくは40%である。交互率が低いと耐熱性が低下して好ましくない。
含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位及びビニルエーテル単位との交互率は、重アセトン等の含フッ素共重合体が溶解する溶媒を用いて、含フッ素共重合体のH−NMR測定を行い、以下の式より3連鎖の交互率として算出できる。
交互率(%)=C/(A+B+C)×100
A:−V−V−V−のように2つのVと結合したVの個数
B:−V−V−T−のようにVとTとに結合したVの個数
C:−T−V−T−のように2つのTに結合したVの個数
(T:含フッ素オレフィン単位、V:ビニルアルコール単位又はビニルエーテル単位)
A、B、CのV単位の数は、H−NMR測定のビニルアルコール単位(−CH−CH(OH)−)及びビニルエーテル単位(−CH−CH(OR))の3級炭素に結合する主鎖のHの強度比より算出する。H−NMR測定による主鎖のHの強度比の見積もりは、水酸基化前の含フッ素共重合体で実施する。
上記含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体とを共重合させる方法としては、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の重合方法を挙げることができ、工業的に実施が容易であることから乳化重合、溶液重合又は懸濁重合により製造することが好ましいが、この限りではない。
上記乳化重合、溶液重合又は懸濁重合においては、重合開始剤、溶媒、連鎖移動剤、界面活性剤、分散剤等を使用することができ、それぞれ通常用いられるものを使用することができる。
上記溶液重合において使用する溶媒は、含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体、及び、合成される含フッ素共重合体を溶解することができるものが好ましく、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、tert−ブタノール、イソプロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;HCFC−225等の含フッ素溶媒;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、又はこれらの混合物等が挙げられる。
乳化重合において使用する溶媒としては、例えば、水、水とアルコールとの混合溶媒等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)等のパーオキシカーボネート類に代表される油溶性ラジカル重合開始剤や、例えば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性ラジカル重合開始剤等を使用できる。特に乳化重合においては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが好ましい。
上記界面活性剤としては、通常用いられる界面活性剤が使用でき、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が使用できる。また、含フッ素系界面活性剤を用いてもよい。
懸濁重合においては、分散剤を使用してもよい。分散剤としては、通常の懸濁重合に用いられる部分鹸化ポリ酢酸ビニル、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性セルロースエーテル、アクリル酸系重合体、ゼラチンなどの水溶性ポリマーを例示できる。懸濁重合は、水/単量体の比率が通常重量比で1.5/1〜3/1である条件で行なわれ、分散剤は単量体100重量部に対し0.01〜0.1重量部が用いられる。また、必要に応じて、ポリリン酸塩のようなpH緩衝剤を用いることもできる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、エタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族類;アセトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
上記連鎖移動剤の添加量は用いる化合物の連鎖移動定数の大きさにより変わりうるが、通常重合溶媒に対して0.001〜10質量%の範囲で使用される。
重合温度としては、含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体の反応中の組成比がほぼ一定になる範囲であればよく、0〜100℃であってよい。
重合圧力としては、含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体の反応中の組成比がほぼ一定になる範囲であればよく、0〜10MPaGであってよい。
上記ビニルエーテル単量体の脱保護は、酸、熱、光等の従来公知の方法によって行うことができる。この脱保護によって、脱離基(例えば、−C(CH)は、水素に置換され、水酸基を得ることができる。
上記含フッ素オレフィン単位とビニルエーテル単量体単位とを有する共重合体を脱保護して上記含フッ素共重合体を得る場合の脱保護度は、上記含フッ素共重合体の各モノマー単位の含有率が上述した範囲となるような範囲であればよく、具体的には50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましい。
上記脱保護度は、含フッ素共重合体のIR測定又は前述のH−NMR測定により、以下の式から算出される。
脱保護度(%)=D/(D+E)×100
D:含フッ素共重合体中のビニルアルコール単位数
E:含フッ素共重合体中のビニルエーテル単量体単位数
上記有機封止層は、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体を含む有機デバイス封止剤から形成できる。
上記有機デバイス封止剤は、溶剤型塗料、水性型塗料、粉体塗料等の形態に、常法により調製することができる。なかでも成膜の容易さ、乾燥性の良好さ等の点からは溶剤型塗料の形態が好ましい。
すなわち、上記有機デバイス封止剤は、更に、溶剤を含むことが好ましい。溶剤を含むことにより、薄膜コーティングが一層容易になり、得られる塗膜を一層薄膜化することができる。
上記溶剤としては、有機溶剤が好ましく、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;キシレン、トルエン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;プロピレングリコールメチルエーテル、エチルセロソルブ等のグリコールエーテル類;カルビトールアセテート等のジエチレングリコールエステル類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;これらの混合溶剤等が挙げられる。
中でも、エステル類が好ましく、酢酸ブチルが特に好ましい。
上記有機デバイス封止剤を溶剤型塗料とする場合、有機デバイス封止剤の総量100質量%に対する含フッ素共重合体の濃度を0.1〜95質量%とすることが好ましく、10〜70質量%とすることがより好ましい。
上記有機デバイス封止剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、要求特性に応じて、含フッ素重合体に加えて、更に、各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、シランカップリング剤、無機充填剤、硬化剤、硬化触媒等が挙げられる。上記硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤、アミノ樹脂系硬化剤等が挙げられる。
上記有機デバイス封止剤から有機封止層を形成する方法としては、塗布による方法、真空成膜法等を挙げることができる。
塗布により有機封止層を形成する場合、従来用いられる種々の塗布方法、例えば、スピンコート、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンフローコート、スプレーコート、バーコート等の方法を用いることができる。
真空成膜法としては、例えば、真空蒸着、分子線蒸着(MBE)、イオンプレーティング、イオンビーム蒸着、コンベンショナル・スパッタリング、マグネトロン・スパッタリング、イオンビーム・スパッタリング、ECRスパッタリング等の成膜方法が好ましく、成膜速度を制御しやすい抵抗加熱蒸着法がより好ましい。
上記有機封止層を形成する方法としては、プロセスの簡便さの観点から、塗布による方法が好ましく、スピンコート法がより好ましい。
本発明の有機デバイスは、有機封止層と無機封止層とが積層された積層構造を有する。上記有機封止層は、無機封止層との密着性に優れるため、無機封止層と併用することによって特に優れた低水蒸気透過性を有機デバイスに付与することができる。
本発明の有機デバイスは、1層の有機封止層と1層の無機封止層が積層されたものであってもよいし、2層以上の有機封止層と2層以上の無機封止層とが交互に積層されたものであってもよい。
有機封止層の積層数は、要求される低水蒸気透過性や、有機封止層及び無機封止層の厚みに応じて適宜設定すればよいが、例えば、1〜10であることが好ましい。
無機封止層の積層数も同様に、1〜10であることが好ましい。
上記無機封止層は、無機物からなる層である。無機封止層は、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ等の金属の酸化物、窒化物または酸窒化物からなる層であることが好ましく、それらの複合物で形成されたものであってもよい。
無機封止層の低水蒸気透過性が優れる点、無機封止層と有機封止層との密着性が優れる点から、無機封止層を形成する材料は、ケイ素、アルミニウム又はジルコニウムの酸化物、窒化物又は酸窒化物であることが好ましく、ケイ素の酸化物、窒化物又は酸窒化物であることがより好ましい。
無機封止層の厚みは、要求されるバリア性、無機封止層を構成する材料等により適宜設定すればよい。例えば、無機封止層が厚過ぎる場合、応力によるクラックが発生するおそれがあるため、200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましい。
また、低水蒸気透過性が優れることから、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。
上記無機封止層の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法若しくはイオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、種々の化学的気相成長法(CVD)若しくはめっきやゾルゲル法等の液相成長法がある。このうち、無機封止層形成時の素子部や基板への熱の影響を回避し、生産速度が速く、均一な薄膜層を得やすい点で、化学的気相成長法(CVD)や物理的気相成長法(PVD)が好ましい。また、厚めの膜が得やすいことからゾルゲル法により無機封止層を形成することもできる。厚めの膜とは、ここでは100nm〜1μmの範囲の膜を示す。
本発明の有機デバイスとしては、例えば、電極及び発光層からなる有機EL素子;有機薄膜太陽電池、有機トランジスタ、有機電界効果トランジスタ等が挙げられる。
本発明の有機デバイスは、電極及び発光層からなる有機EL素子本体部;電極、絶縁膜及び有機半導体からなる有機トランジスタ素子部;p−n接合部、p−i−n接合部等の接合部と電極からなる有機薄膜太陽電池素子部;等の有機素子本体部を有することが好ましい。
本発明の有機デバイスの好適な形態の一つは、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子である。
上記有機EL素子は、基板上に形成された対向する2つの電極と、対向する2つの電極間に配置された発光層と、上記有機デバイス封止剤から形成された有機封止層と、無機封止層と、を有することが好ましい。
上記有機封止層は、通常、発光層の基板とは反対側に設けられる。有機封止層は、発光層上に形成された電極上に形成されてもよいし、電極上に形成された無機封止層上に形成されたものであってもよい。
有機封止層と無機封止層はそれぞれ1層であってもよいし、それぞれ2以上の層が積層されていてもよい。有機封止層と無機封止層の積層数は適宜決定すればよいが、例えば、それぞれ1〜10である。
有機EL素子に使用される電極としては、通常、金属からなる金属電極と、酸化物等からなる透明電極が使用される。
金属電極を形成する材料としては、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、銀、カルシウム、バリウム、リチウム等の金属が挙げられる。金属電極の材料としては、これらの金属を単体で用いてもよいし、これらの金属の2種以上、若しくは、これらの金属と他の金属との合金を使用してもよい。
有機封止層との密着性が優れることから、上記金属は、アルミニウム、インジウム又はマグネシウムであることが好ましい。
透明電極を形成する材料としては、透明電極の材料として一般に知られているものを使用することができる。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)が好適に用いられるが、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)等も使用することができる。
有機EL素子に使用される基板、有機発光層としては、公知のものを採用することができる。例えば、基板としては、ガラス基板を用いることもできるし、可撓性を有するプラスチック基板を用いることもでき、特に限定されない。有機発光層は、正孔注入輸送層、電子注入輸送層等を含むものであってもよい。
図1は、有機EL素子の一例を示す断面模式図である。
有機EL素子100は、基板1上に、透明電極層2、有機発光層3、金属電極層4からなる有機素子本体部10と、有機素子本体部10上に形成されたバリア層20と、バリア層20上に形成された保護層30とを有する。
バリア層20は、上記有機デバイス封止剤から形成される有機封止層Fと無機封止層Mとが積層された構造を有している。
有機封止層Fと無機封止層Mとが積層されたバリア層20は、無機封止層Mが有する低水蒸気透過性と有機封止層Fが有する低水蒸気透過性とによって、優れた低水蒸気透過性を有する。また、有機封止層Fを設けることによって、無機封止層Mの厚みを薄くすることもできる。
上記有機EL素子100において、有機封止層Fの厚みは0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがより好ましい。
無機封止層Mの厚みは、10〜200nmであることが好ましく、30〜150nmであることがより好ましい。
上記有機EL素子100は、例えば、一般的な方法で基板1上に透明電極層2、有機発光層3、金属電極層4を形成した後、スパッタリング法やキャスト法により有機封止層Fを形成し、プラズマCVD法により無機封止層Mを形成し、その後、一般的な方法で保護層30を形成することによって形成することができる。
なお、上記有機EL素子100は、金属電極層4、有機封止層F、無機封止層Mの順に積層されたものであるが、本発明の有機EL素子である有機デバイスは、無機封止層と有機封止層との順番が逆のものであってもよい。
図2は、有機EL素子の別の一例を示す断面模式図である。
有機EL素子200は、基板1上に、透明電極層2、有機発光層3、金属電極層4からなる有機素子本体部10と、有機素子本体部10上に形成されたバリア層20と、バリア層20上に形成された保護層30とを有する。
バリア層20は、上記有機デバイス封止剤から形成される有機封止層F1〜Fnと無機封止層M1〜Mnとが交互に積層された構造を有している。
上記積層数は、要求される低水蒸気透過率や、有機封止層及び無機封止層の厚み等によって適宜設定すればよいが、例えば、有機封止層と無機封止層の層数は、それぞれ、1〜10であることが好ましい。
上記有機EL素子200において、有機封止層の厚みは0.1〜20μmであることが好ましく、0.2〜10μmであることがより好ましい。
無機封止層の厚みは、10〜200nmであることが好ましく、30〜150nmであることがより好ましい。
上記有機EL素子200は、例えば、一般的な方法で基板1上に透明電極層2、有機発光層3、金属電極層4を形成した後、スパッタリング法やキャスト法により有機封止層F1を形成し、プラズマCVD法により無機封止層M1を形成し、この工程をn回繰り返すことでバリア層20を形成し、その後、一般的な方法で保護層30を形成することによって形成することができる。
なお、図2に示されるバリア層20は、上記有機デバイス封止剤から形成される有機封止層と無機封止層とが交互に積層されたものであるが、本発明の有機EL素子である有機デバイスにおいて、有機デバイス封止剤から形成される有機封止層は少なくとも一層含まれていればよい。例えば、本発明の有機EL素子である有機デバイスは、有機EL素子200における有機封止層の一部を、他の有機材料からなる層に置き換えたものであってもよい。
次に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
〔NMR(核磁気共鳴法)によるフルオロポリマーの組成、および交互率の測定〕
H−NMR(核磁気共鳴法)測定には、JNM−EX270(JEOL社製:270MHz)を用いた。溶媒は重アセトンを用いた。
〔分子量及び分子量分布〕
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、東ソー(株)製のGPC HLC−8020を用い、Shodex社製のカラム(GPC KF−801を1本、GPC KF−802を1本、GPC KF−806Mを2本直列に接続)を使用し、溶媒としてテトラハイドロフラン(THF)を流速1ml/分で流して測定したデータより、平均分子量を算出した。
また、THFにサンプルが溶解しない場合は、以下の方法にて平均分子量を算出した。日本分光社製の高速液体クロマトグラフを用い、分析カラムセットは、ガードカラム(Shodex GPC KD−G [4.6mm I.D.× 10mm L])1本、分析カラム(KD−806M [8.0mm I.D.× 300mm L])3本を使用した。移動溶媒に10mM LiBrを含むN−メチル−2−ピロリドンを、検出器にはRI、検量線サンプルはポリスチレン標準サンプルを使用し、流速1ml/分、サンプル打込量200μLで測定を行った。データ解析にはデータステーション(ChromNAV)を使用した。
〔ガラス転移温度(Tg)〕
DSC(示差走査熱量計:SEIKO社製、RTG220)を用いて、−50℃から200℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温(ファーストラン)−降温−昇温(セカンドラン)させ、セカンドランにおける吸熱曲線の中間点をTg(℃)とした。
〔融点(Tm)〕
DSC(示差走査熱量計:SEIKO社製、RTG220)を用いて、10℃/分の条件で昇温(ファーストラン)−降温−昇温(セカンドラン)させ、セカンドランにおける昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度をTm(℃)とした。
〔IR分析〕
Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計1760Xで室温にて測定した。
〔フッ素含有率〕
酸素フラスコ燃焼法により試料10mgを燃焼し、分解ガスを脱イオン水20mlに吸収させ、吸収液中のフッ素イオン濃度をフッ素選択電極法(フッ素イオンメーター、オリオン社製 901型)で測定することにより求めた(質量%)。
合成例1
2.5Lステンレス製オートクレーブ中に溶媒として酢酸ブチル980gとビニルエステル単量体として酢酸ビニル17gを仕込み、重合開始剤としてパーブチルPV(製品名、日油株式会社製)6.2gを加え、フランジを締め、オートクレーブを真空置換して、槽温を60℃まで昇温した。これに攪拌下、フッ素オレフィンガスとしてテトラフルオロエチレンを93g封入して反応を開始した。このとき槽内の圧力は0.740MPaとなり、攪拌速度は200rpmであった。
反応開始時に酢酸ビニルの追加を開始し、4時間かけて93gの酢酸ビニルを追加した。反応中は酢酸ビニル/テトラフルオロエチレンの比率が一定になるように、電磁弁を用いてテトラフルオロエチレンを連続供給した。撹拌速度は200rpmであった。
具体的には、テトラフルオロエチレンが消費されて槽内が0.720MPaになると自動的に電磁弁を開いてテトラフルオロエチレンを供給し、0.740MPaになると自動的に電磁弁を閉じてテトラフルオロエチレンの供給を停止するサイクルでテトラフルオロエチレンの供給と圧力を制御しながら、テトラフルオロエチレンの消費量に合わせて酢酸ビニルを追加した。
反応開始から4時間後にテトラフルオロエチレンと酢酸ビニルの供給を停止した。その後槽内を常温常圧に戻して重合を停止し、酢酸ビニル/テトラフルオロエチレン共重合体の酢酸ブチル溶液1110g(固形分濃度21.0質量%)を得た。
反応終了後、ポリマー溶液を大量のメタノール溶液に再沈させ、ポリマーの精製を行い、ポリマーA1を得た。
ポリマーA1の組成をフッ素の元素分析から求め、フッ素オレフィンとビニルエステルとの交互率をH−NMRから計算し、重量平均分子量および分子量分布(Mw/Mn)をGPCから求めた。またガラス転移温度をDSCから測定した。結果を表2に示す。
合成例2
3Lステンレス製オートクレーブに純水1000g、酢酸ビニル23.2g、ネオコールP(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムの76.4質量%イソプロピルアルコール溶液:第一工業製薬(株)製)を入れ、窒素置換し、テトラフルオロエチレン37gを加え、槽内を80℃まで昇温した。その後、テトラフルオロエチレンを30g加えた。このとき槽内の圧力は0.809MPaとなった。これに撹拌下、過硫酸アンモニウム(APS)の1質量%水溶液22gを加え、反応を開始した。反応開始時に酢酸ビニルの追加を開始し、6時間かけて283gの酢酸ビニルを追加した。反応中は酢酸ビニル/テトラフルオロエチレンの比率が一定になるように、電磁弁を用いてテトラフルオロエチレンを連続供給した。撹拌速度は500rpmであった。
具体的には、テトラフルオロエチレンが消費されて槽内が0.775MPaになると自動的に電磁弁を開いてテトラフルオロエチレンを供給し、0.800MPaになると自動的に電磁弁を閉じてテトラフルオロエチレンの供給を停止するサイクルでテトラフルオロエチレンの供給と圧力を制御しながら、テトラフルオロエチレンの消費量に合わせて酢酸ビニルを追加した。
反応開始から6時間後にテトラフルオロエチレンと酢酸ビニルの供給を停止した。その後1時間反応させた後に、槽内を常温常圧に戻して重合を停止し、酢酸ビニル/テトラフルオロエチレン共重合体のエマルション1661g(固形分濃度38.5質量%)を得た。
得られた酢酸ビニル/テトラフルオロエチレン共重合体(ポリマーA2)のガラス転移温度は40℃であり、粒子径は116nmであった。
なお、粒子径は、レーザー光散乱粒径測定装置(大塚電子(株)製、商品名ELS−3000)を用いて測定した。
合成例3
3Lステンレス製オートクレーブ中に溶媒として酢酸ブチル1200gとビニルエステル単量体として酢酸ビニル140gを仕込み、重合開始剤としてパーブチルPV(製品名、日油株式会社製)7.2gを加え、フランジを締め、オートクレーブを真空置換して、槽温を60℃まで昇温した。これに攪拌下、フッ素オレフィンガスとしてテトラフルオロエチレンを封入して反応を開始した。このとき槽内の圧力は1.00MPaとなり、攪拌速度は500rpmであった。重合圧力が降下していることからガスモノマーの消費を確認し、6時間で槽内を常温常圧に戻して重合を停止し、残ガスをブローして反応を終了した。
反応終了後、ポリマー溶液を大量のメタノール溶液に再沈させ、ポリマーの精製を行い、ポリマーA3を得た。
ポリマーA3の組成をフッ素の元素分析から求め、フッ素オレフィンとビニルエステルとの交互率をH−NMRから計算し、重量平均分子量および分子量分布(Mw/Mn)をGPCから求めた。またガラス転移温度をDSCから測定した。結果を表2に示す。
合成例4
300mLステンレス製オートクレーブ中に酢酸ブチル溶媒50gとステアリン酸ビニルモノマー10gを仕込み、重合開始剤としてパーブチルPV(製品名、日油株式会社製)を0.4g加え、フランジを締め、オートクレーブを真空置換して、フッ素オレフィンガスとして、8.0gのテトラフルオロエチレンを封入し、引き続いて2.6gのヘキサフルオロプロピレンを封入し60℃の振とう式恒温槽に入れて反応を開始した。重合圧力が降下していることからガスモノマーの消費を確認し、15時間で振とうを止め、残ガスをブローして反応を終了した。
反応終了後、ポリマー溶液を大量のメタノール溶液に再沈させ、ポリマーの精製を行い、ポリマーB1を得た。
ガラス転移温度の代わりに融点を測定した以外は合成例1と同様の分析をおこなった。結果を表2に示す。
合成例5
300mLステンレス製オートクレーブ中に溶媒として酢酸ブチル50gとビニルエステル単量体として酢酸ビニル10gを仕込み、重合開始剤としてパーブチルPV(製品名、日油株式会社製)を0.4g加え、フランジを締め、オートクレーブを真空置換して、フッ素オレフィンガスとして、17gのクロロトリフルオロエチレンを封入し、60℃の振とう式恒温槽に入れて反応を開始した。重合圧力が降下していることからガスモノマーの消費を確認し、4時間で振とうを止め、残ガスをブローして反応を終了し、ポリマーB2を得た。反応条件を表1に、得られたポリマーの物性を表2にまとめる。
合成例6
(t−ブチルビニルエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体の合成)
300mlステンレス製オートクレーブ中にt−ブタノール150gとt−ブチルビニルエーテル26.7g、炭酸カリウム0.48gを仕込み、触媒のパーブチルPVの70%イソオクタン溶液0.46gを加え、フランジを締め、オートクレーブを真空置換して、テトラフルオロエチレンを26.7g封入し、60℃の振とう式恒温槽に入れて反応を開始した。重合圧力が降下していることからガスモノマーの消費を確認し、3時間で振とうを止め、残ガスをブローして反応を終了した。
反応終了後、ポリマー溶液を大量のメタノール溶液に再沈させ、ポリマーの精製を行い、t−ブチルビニルエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体(ポリマーC1)を得た。フッ素の元素分析より求めた、t−ブチルビニルエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体の組成は、52/48(モル比)であった。反応条件を表1に、得られたポリマーの物性を表2にまとめる。
Figure 2015197980
Figure 2015197980
合成例7(ケン化 均一系)
合成例3で得られたTFE/酢酸ビニルポリマーA3を50gTHF溶媒中に濃度が10質量%になるように均一溶解させた。その後、0.6NのNaOH溶液をポリマー中の酢酸ビニル当量になるように添加し、30分後にポリマーを大量の水中に再沈させた。1NのHClで洗浄後、イオン交換水でよく洗浄し、再沈したポリマーを吸引ろ過し、乾燥機で80℃2時間乾燥させた。IRにより、カルボニルピークの相対強度より、加水分解率を計算した結果、加水分解率が34%であるTFE/ビニルアルコール/酢酸ビニルポリマーA3−34を得た。結果を表3にまとめる。
合成例8〜10(ケン化 均一系)
合成例7のケン化時間を変えることにより、TFE/ビニルアルコール/酢酸ビニルポリマーであるA3−45、A3−86、A3−96を得た。結果を表3にまとめる。
合成例11〜13(ケン化 均一系)
合成例7のケン化時間を1日とし、合成例1および合成例4〜5で得られたポリマーを用いる以外は合成例7と同様にして、ケン化ポリマー、A1−98、B1−97およびB2−96を得た。結果を表3にまとめる。
合成例14
合成例2で得られた酢酸ビニル/テトラフルオロエチレン共重合体のエマルションを凍結凝析させ、純水で洗い流した後乾燥させたTFE/酢酸ビニルポリマー(ポリマーA2)を50gTHF溶媒中に濃度が10質量%になるように均一溶解させた。その後、0.6NのNaOH溶液をポリマー中の酢酸ビニル当量になるように添加し、24時間攪拌後に1NのHClで中和後、大量の純水に再沈させ、イオン交換水でよく洗浄し、再沈したポリマーを吸引ろ過し、乾燥機で80℃2時間乾燥させた。IRにより、カルボニルピークの相対強度より、加水分解率を計算した結果、加水分解率が96%であるTFE/ビニルアルコール/酢酸ビニルポリマー(A2−96)を得た。結果を表3にまとめる。
合成例15(脱保護工程):
(加水分解:ビニルアルコール/テトラフルオロエチレン共重合体の合成)
100mlナスフラスコに、合成例6で得たt−ブチルビニルエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体(t−ブチルビニルエーテル/テトラフルオロエチレン=52/48(モル比))5.26g、1,4−ジオキサン2.4ml、4N HCl水溶液100mlを入れ、80℃で加熱撹拌した。2時間後、加熱を止め放冷し、析出したポリマーを純水で3回洗浄した。ポリマーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、エタノール/水(50/50体積%)の溶液に再沈殿し、真空乾燥することで精製したビニルアルコール/テトラフルオロエチレン共重合体を得た(C1−95)。脱保護度は95%であった。結果を表3にまとめる。
Figure 2015197980
実施例1
合成例11で得られたポリマーA1−98を酢酸ブチル溶媒に55質量%となるよう溶解させた。その後、架橋剤としてイソシアネート系硬化剤であるスミジュールN3300(住化バイエルウレタン株式会社製)を溶液100質量部に対して12質量部添加し、硬化性組成物とした。この組成物をバーコート(#24)を用いて、表面に約80nmのSiO膜を成膜したPET基板上に塗布した。塗布後、室温で60分予備乾燥後、100℃で送風式乾燥機中で60分間硬化させた。それぞれのサンプルは50℃の条件でさらに2日間エージングさせた。硬化後の膜厚をマイクロメーターで測定した。膜厚は、102μmであった。
また、得られたサンプルについて、碁盤目密着試験を行い密着性を評価した。また、ヘイズ値、全光線透過率を測定した。結果を表4に示す。
(碁盤目密着試験)
JIS K5600の碁盤目セロハンテープ剥離試験により評価した。塗膜にカッターナイフで1mm間隔の碁盤目状の切込みを入れ、セロハンテープを貼り付けた後剥離し、剥離部分が無いものを10点、0%を超え5%未満のものを8点、5%以上15%未満のものを6点、15%以上35%未満のものを4点、35%以上65%未満のものを2点、65%以上のものを0点と評価した。
(ヘイズ値、全光線透過率の測定)
ヘイズメーター(東洋精機社製 ヘイズガードII)を用いてASTM D1003に従
い、ヘイズ値、および全光線透過率を測定した。
Figure 2015197980
実施例2〜9
実施例1と同様にしてポリマー A3−45、A3−86、A3−96、A1−98、B1−97、B2−96、A2−96、C1−95に関しても、表面にSiO膜を成膜したPETフィルムに塗布後、各種物性を測定した。結果を表5に示す。
Figure 2015197980
実施例10
合成例14でえられたポリマーA2−96を酢酸ブチル溶液に40質量%になるように溶解させた。その後、キャスト製膜することにより、厚み400μmの自立フィルムを得た。
得られたフィルムのヘイズ値、全光線透過率を実施例1と同様に測定した。
また、紫外線透過率に関しても測定した。結果を表6に示す。
Figure 2015197980
実施例11(耐プラズマ性)
実施例10で得られた自立フィルムをICP高密度プラズマ装置((株)サムコインターナショナル研究所製、MODEL RIE−101iPH)を用いてAr量:50sccm、O量:40sccm、1Pa、100W(250mW/cm)の条件にて3分間プラズマ処理を行い、外観を目視で評価した結果、まったく損傷を受けていなかった。
無機封止層を形成するプロセスにおいても問題が無いと考えられる。
実施例12〜14
合成例7、9又は10で得られたポリマー1gを、それぞれ酢酸ブチル溶媒に溶解させ、全体を5gとした。その後、0.45μmのPTFE製フィルターを用いて濾過後、バーコート(#24)を用いて厚み104μmのPETフィルム(東レ社製ルミラー)上に塗布した。室温で1時間予備乾燥後、60℃の条件で送風式乾燥機中で1日間乾燥させ、積層フィルムを得た。
硬化後の積層フィルム全体の膜厚をマイクロメーターで10点測定し、その平均値をもとめ、基材のPETフィルムとの差から、積層したポリマーの厚みを求めた。結果を表7にまとめる。
作製したそれぞれの積層フィルムを100mm×100mmのサイズにカットして、JIS K7129(A法)に基づく、Dr.Lyssy社製水蒸気透過度計L80−5000を用いて、積層フィルムの水蒸気透過度を測定した。なお、水蒸気が直接接する面側はPETで、乾燥空気側が合成例7、9又は10で得られたポリマーから形成された膜である。
また、得られた水蒸気透過度の値を積層フィルムの全体の厚みで割った値を水蒸気透過係数とした。結果を表7にまとめる。
比較例1
基板のPETフィルムのみの水蒸気透過度を測定した。結果を表7にまとめる。
あきらかに積層膜はPET単独膜より、低い水蒸気透過係数を示した。
Figure 2015197980
実施例15
実施例10で得られた自立フィルム上に低温プラズマCVD法によりSiO膜を成膜した。JIS K7129 B法に準じて、水蒸気透過度試験装置(PERMATRAN W3/33(MOCON社製)を用い、温度40℃、湿度90%RHの条件で水蒸気透過度を測定した。結果を表8にしめす。
なお、厚みはジェイエーウーラムジャパン社製の分光エリプソメーターM−2000Dを用い解析ソフトウェアにはWVASE32を用いて実測した。
Figure 2015197980
1:基板
2:透明電極層
3:有機発光層
4:金属電極層
F、F1、F2〜Fn:有機デバイス封止剤から形成される有機封止層
M、M1、M2〜Mn:無機封止層
10:有機素子本体部
20:バリア層
30:保護層
100、200:有機EL素子

Claims (7)

  1. 無機封止層と有機封止層とが積層された積層構造を有する有機デバイスであって、
    前記有機封止層は、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体を含む
    ことを特徴とする有機デバイス。
  2. 前記含フッ素オレフィンは、テトラフルオロエチレンである請求項1記載の有機デバイス。
  3. 前記含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位の含有率が40モル%以上である請求項1又は2記載の有機デバイス。
  4. 前記含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位との交互率が94%以下である請求項1、2又は3記載の有機デバイス。
  5. 前記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位を有する請求項1、2、3又は4記載の有機デバイス。
  6. 前記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位及びビニルエステルモノマー単位を有する共重合体を水酸基化して得られた共重合体である請求項1、2、3、4又は5記載の有機デバイス。
  7. 有機エレクトロルミネッセンス素子である請求項1、2、3、4、5又は6記載の有機デバイス。
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