JP2015196708A - 蛍光体、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置 - Google Patents

蛍光体、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置 Download PDF

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宏之 伊村
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Abstract

【課題】発光輝度の高い蛍光体及び該蛍光体を含む蛍光体含有組成物を提供する。更に、該蛍光体を含有する発光装置、並びに高品質の画像表示装置及び照明装置を提供する。
【解決手段】下記式[1]で表される蛍光体であって、更に下記式(I)を満たすことを特徴とする、蛍光体。MSrCaAlSi[1](Mは付活元素;また、a〜fは各々下記の範囲;0.00001≦a≦0.15、0.6<b≦0.99999、0≦c<0.4、a+b+c=1、0.5≦d≦1.5、0.5≦e≦1.5、2.5≦f≦3.5)y≦0.0136c+0.0088(I)(式(I)中、yは原子変位パラメータ(nm)cはCaのモル比)]
【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光体、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置に存する。
近年、省エネルギーの流れを受け、LEDを用いた照明やバックライトの需要が増加している。ここで用いられるLEDは、青または近紫外波長の光を発するLEDチップ上に、蛍光体を配置した白色発光LEDである。
このようなタイプの白色発光LEDとしては、青色LEDチップ上に、青色LEDチップからの青色光を励起光として赤色に発光する窒化物蛍光体と緑色に発光する蛍光体を用いたものが近年用いられている。
特に、赤色に発光する窒化物蛍光体としては、(Sr,Ca)AlSiNで表される母体に賦活剤を添加した蛍光体(以下、「SCASN蛍光体」と称する場合がある)などが開発されている(特許文献1及び2参照)。
特許文献1には、CASN蛍光体において種々の組成が検討されており、酸素添加量を調整してNの一部をOで置き換えた組成の無機化合物が開示されている。
また、特許文献2及び3には、SCASN蛍光体において、特定の不純物を低減させた蛍光体について開示されている。
特開2006−008721号公報 特開2013−142134号公報 特開2013−142135号公報
しかしながら、本発明者らの検討では、特許文献1〜3に開示されているSCASN蛍光体は、発光輝度が不十分な場合があることが判った。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、発光輝度の高い蛍光体を提供する。
更に、該蛍光体を含む蛍光体含有組成物、並びに該発光装置を含む画像表示装置及び照明装置を提供する。
本発明者等は鋭意検討を行った結果、特定式を満たすSCASN蛍光体とすることによって、上記課題を解決しうることを見出して本発明に到達した。
即ち、本発明は、下記式[1]で表される蛍光体であって、更に下記式(I)を満たすことを特徴とする蛍光体、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置に存する。
SrCaAlSi [1]
(上記式[1]中、
Mは、付活元素を表し、
また、a、b、c、d、e、fは、それぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a≦0.15
0.6<b≦0.99999
0≦c<0.4
a+b+c=1
0.5≦d≦1.5
0.5≦e≦1.5
2.5≦f≦3.5)
y≦0.0136c+0.0088 (I)
(式(I)中、y及びcは、各々下記を示す。
y:原子変位パラメータ、
c:Caのモル比)
本発明により、発光輝度の高い蛍光体及び該蛍光体を含む蛍光体含有組成物を提供することが可能となる。
この為、本発明の蛍光体を含む発光装置、並びに該発光装置を含む画像表示装置及び照明装置は高品質である。
特に、画像表示装置に発光装置を用いた場合は、エネルギー効率が向上するため、省エネルギー化に繋がる。
本発明の発光装置の一実施例を示す模式的斜視図である。 図2(a)は、本発明の砲弾型発光装置の一実施例を示す模式的断面図であり、図2(b)は、本発明の表面実装型発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。 本発明の照明装置の一実施例を示す模式的断面図である。 実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた蛍光体について、原子変位パラメータとCaとの関係を示す図である。縦軸は、原子変位パラメータ(nm)を表し、横軸は、Caのモル比を表す。 実施例1〜3及び比較例1〜3で用いた合金原料に関し、XRDにおける002ピークの半値幅とCaのモル比との関係を示す図である。縦軸は、合金原料のXRD002ピークの半値幅(nm)、横軸は、Caのモル比を表す。
以下、本発明について実施形態や例示物を示して説明するが、本発明は以下の実施形態や例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
また、本明細書中の蛍光体の組成式において、各組成式の区切りは読点(、)で区切って表わす。また、カンマ(,)で区切って複数の元素を列記する場合には、列記された元素のうち一種又は二種以上を任意の組み合わせ及び組成で含有していてもよいことを示している。例えば、「(Ca,Sr,Ba)Al:Eu」という組成式は、「CaAl:Eu」と、「SrAl:Eu」と、「BaAl:Eu」と、「Ca1−xSrAl:Eu」と、「Sr1−xBaAl:Eu」と、「Ca1−xBaAl:Eu」と、「Ca1−x−ySrBaAl:Eu」とを全て包括的に示しているものとする(但し、前記式中、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)。
<蛍光体について>
本発明の蛍光体は、下記式[1]で表される蛍光体である。
SrCaAlSi [1]
(上記式[1]中、
Mは、付活元素を表し、
また、a、b、c、d、e、fは、それぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a≦0.15
0.6<b≦0.99999
0≦c<0.4
a+b+c=1
0.5≦d≦1.5
0.5≦e≦1.5
2.5≦f≦3.5)
前記式[1]において、「M」は付活元素を表す。付活元素としては、ユーロピウム(Eu)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホロミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)及びイッテルビウム(Yb)を含むことが好ましく、少なくともEuを含むことがより好ましい。
さらに、Euに加えて、Ce、Pr、Sm、Tb及びYbよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含んでいてもよく、発光量子効率の点でCeがより好ましい。
つまり、Mは、Eu及び/又はCeであることが更に好ましく、特に好ましくは、Eu及び/又は、Eu及びCeである。
付活元素全体に対するユーロピウム(Eu)の割合は、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上が特に好ましい。
前記式[1]において、「Al」はアルミニウム元素を表す。Alは、一部その他の元素、例えば、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)等を含有していてもよい。
前記式[1]において、「Si」はケイ素元素を表す。Siは、一部その他の元素、例えば、ゲルマニウム(Ge)等を含有していてもよい。
前記式[1]において、「N」は、窒素である。Nは、一部その他の元素、例えば、酸素(O)、ハロゲン原子(フッ素(F)、塩素(Cl))等を含有していてもよい。
また、本発明の蛍光体は、上述した各構成元素の他に、本発明の効果に影響を与えない範囲内で他の元素を含有していてもよい。
aは、0.0001≦a≦0.15を満たす数であり、その下限値は好ましくは0.001、より好ましくは0.003、さらに好ましくは0.005であり、また、その上限値は好ましくは0.03、より好ましくは0.025である。
上記範囲内であると、濃度消光や、吸収効率の低下に伴う発光輝度の低下が起こり難い点で好ましい。
bの範囲は、通常0.6<b≦0.99999であり、その下限値は好ましくは0.7、より好ましくは0.8、最も好ましくは0.85である。
cの範囲は、通常0≦c<0.4あり、その上限値は、好ましくは0.3、より好ましくは0.15である。
a、b、c、相互の関係は、
a+b+c=1
を満足する。
dの範囲は通常、0.5≦d≦1.5であり、好ましくは0.8≦d≦1.2、より好ましくは0.9≦d≦1.1である。
eの範囲は通常、0.5≦e≦1.5であり、好ましくは0.8≦e≦1.2、より好ましくは0.9≦e≦1.1である。
fの範囲は、通常2.5≦f≦3.5であり、その下限は好ましくは2.6、更に好ましくは2.8、またその上限は好ましくは3.3、更に好ましくは3.1である。
また、式[1]で表される蛍光体は、発光特性に影響を及ぼさない範囲で、式[1]で記載した以外の元素を含んでいてもよい。
例えば、式[1]で表される本発明の蛍光体は、酸素(O)元素を含んでいてもよく、その場合、本発明の蛍光体の酸素元素の含有量は、蛍光体の発光特性低下が容認できる範囲で通常10重量%以下、好ましくは6重量%以下、更に好ましくは4重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。
また、式[1]で表される本発明の蛍光体は、ハロゲン元素を含有していてもよい。
式[1]で表される本発明の蛍光体中に、ハロゲン元素が含まれる場合、その由来としては、原料金属中の不純物としての混入や、粉砕工程、窒化工程などの製造プロセス時に導入される場合などが考えられる。
混入されるハロゲン元素としては、フッ素(F)元素、塩素(Cl)元素、臭素(B)元素、ヨウ素(I)元素などが挙げられる。本発明の蛍光体がハロゲン元素を含有する場合、ハロゲン元素の含有量は、蛍光体の発光特性が容認できる点で、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。
<式(I)について>
本発明のSCASN蛍光体は、下記式(I)を満たす。
y≦0.0136c+0.0088 (I)
(式(I)中、y及びcは、各々下記を示す。
y:原子変位パラメータ(nm)、
c:Caのモル比)
(原子変位パラメータの測定)
本発明における原子変位パラメータとは、「Sr、Ca、Eu」サイトの原子変位パラメータである。
原子変位パラメータは、下記の測定により得られる値である。
先ず、蛍光体の試料を、粉末X線回折測定により、XRDパターンを得る。得られたXRDパターンに関し、リートベルト解析を行う。この際には、CASN属結晶構造を初期構造とする。つまり、CASN属結晶構造の空間群、格子定数、座標を用いる(特開2006−008721号公報等に記載)。
尚、解析の際には、下記を前提とする。
先ず、SrとEuは、CASN結晶構造中、Caサイトを占有するとの条件で行う。即ち、Sr、Eu、Caの原子座標は、同じものとする。
二つ目に、各構成元素(Sr、Ca、Eu、Al、Si)の比率は、仕込み組成又は元素分析の値を用いる。
三つ目に、「Al、Si」サイトと「N」サイトの占有率は、各々1とする。
上記を前提として、リートベルト解析により、「Sr、Eu、Ca」サイトの占有率を精密化する。この際、格子定数、プロファイル関数なども精密化を行い、各値の精密化が収束した時点での、原子変位パラメーターを用いる。
(効果を奏する理由)
以下に、式(I)に関する説明、及び本発明の構成とすることにより効果が得られる理由について、下記の通り推測する。
先ず、SCASN蛍光体の結晶構造について説明する。
SCASN蛍光体の結晶構造は、アルミニウム原子(Al)又はケイ素原子(Si)と窒素原子(N)が三角錐を形成し、Nを共有してCaAlSiN骨格を形成し、それらが三次元のネットワークを構築している。
更に、四面体構造のネットワークの間には間隙が存在し、そこに2価の金属元素であるカルシウム原子(Ca)、ストロンチウム原子(Sr)又は付活元素(例えばEu)が存在する構造である。
SrとCaはイオン半径が大きく異なるため、SrやCaがそれぞれ結晶構造中で局在化すると、SCASNの結晶構造が不均一化し、発光ピーク強度や発光輝度の低下につながる、というSCASN蛍光体における、特有の現象を見出した。
即ち、従来のSCASN蛍光体の輝度が不十分であった理由は、結晶構造が不均一になっていると推測される。
本発明における上記式(I)は、SCASN蛍光体において、Caのモル比が特定値である時に、SCASN結晶構造の不均一性を示す「Sr、Ca、Euサイト」の原子変位パラメータの値が特定値以下であることを示す。
原子変位パラメータの値が大きいことは、結晶格子内のエネルギーバンドギャップの分布が大きいことを意味する。これは、蛍光体の結晶構造において、例えば、Caが局在化している部分と、Srが局在化している部分とがあると、それぞれの近くに存在するEu周りの結晶場分裂の幅に大きな差が生まれていることになる。つまり、蛍光体の原子変位の値が大きいことは、結晶の不均一性が大きいことを意味する。
その為、本発明において、Sr、Ca、Euサイトの原子変位パラメーター(B)は、上記のSCASN蛍光体における特有の現象を改善した高品質のSCASN蛍光体を規定する一指標である。
尚、Caのモル比により、取り込まれるべきSr量が異なり、イオン半径の異なるSrとCaの比率が異なるとSCASN結晶構造における均一性(原子変位パラメーター)の最適値が異なるため、式(I)の関係式が導かれる。
<式(II)で表される蛍光体について>
本発明のSCASN蛍光体は、前記式[1]で表される結晶相を含み、下記式(II)を満たす。
y≦−47c+69c+72.6 (II)
(y:波長455nmの励起光による発光スペクトルの半値幅(nm)
c:Caのモル比)
本発明の蛍光体は、上記式(II)で表される蛍光体であることが好ましい。
上記式(II)は、SCASN蛍光体において、Caモル比が特定値の時に、波長455nmの励起光による発光スペクトルの半値幅が、特定値以下であることを意味する。
発光スペクトルの半値幅は、蛍光体の結晶構造の均一性と関連する。
具体的には、蛍光体の結晶構造が均一であると、発光スペクトルの半値幅が狭くなる傾向にある。SCASN蛍光体において、結晶構造が均一であるとは、Srが蛍光体格子中に取り込まれにくいことにより生じる、Sr、Caの局在化や結晶構造中の欠損、などが挙げられる。
これら、SCASN蛍光体において特有の現象を改善した高品質のSCASN蛍光体を規定する一指標として、Caモル比と発光スペクトルの半値幅を用いたに過ぎない。
<蛍光体の製造方法について>
本発明の蛍光体の製造方法としては、蛍光体原料用合金を用いる製造方法(合金法)や原料窒化物を用いる製造方法(窒化物法)などが挙げられる。
蛍光体原料用合金を用いる製造方法としては、例えば、特開2009−132916号や国際公開2006/106948号などの各公報に記載に準じて製造することが可能である。
また、原料窒化物を用いる製造方法としては、例えば、国際公開2005/052087号公報などに記載の方法が挙げられる。
本発明の蛍光体とするに、これは、SCASN蛍光体の結晶が均一になるような方法であれば、いずれの方法であってもよい。
合金法により、本発明の蛍光体を製造する場合、SCASN蛍光体の結晶性が均一となるように下記の条件を適宜選択することができるが、特に、後述の合金原料において、均特定の合金原料を用いることが好ましい。
また、SCASN蛍光体の結晶性が均一になる方法としては、焼成温度や圧力の調整が挙げられる。
更に、原料窒化物を用いる製造方法としては、フラックスを用いることが挙げられる。このフラックスとして好適に用いられるものとしては、母体を構成する元素の酸化物,窒化物,ハロゲン化物が挙げられる。
本発明の蛍光体とするには、合金法において特定の蛍光体原料用合金を用いる方法が好ましく挙げられる。
以下に、本発明の蛍光体の製造方法の一例として、合金法を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[合金法]
以下、合金法による蛍光体の製造方法について詳述する。
合金法を用いて本発明の蛍光体を製造するには、例えば、前記式[1]で表される組成を有する蛍光体を製造する場合、下記式[1−1]の組成となるように、原料となる金属やその合金(以下、単に「原料金属」と言う場合がある。)を秤量する。次いで、これを融解させて合金化して蛍光体原料用合金を製造し、その後、この蛍光体原料用合金を粉砕して合金粉末を製造し、窒素含有雰囲気中で加熱することにより窒化を行う。
合金法について、以下にさらに詳しく説明するが、下記式[1−1]で表される蛍光体原料用合金を製造する場合、後述するように原料金属を融解する際に、高融点(高沸点)のSi金属及び/又はSiを含む合金を融解させた後、低融点(低沸点)のアルカリ土類金属を融解させることが好ましい。
a1Srb1Cac1Ald1Sie1 [1−1]
(上記式[1−1]中、
Mは、付活元素を表し、
また、a1、b1、c1、d1、e1は、それぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a1≦0.15
0.6<b1≦0.99999
0≦c1<0.4
a1+b1+c1=1
0.5≦d1≦1.5
0.5≦e1≦1.5)

尚、本発明の合金原料は、下記式(III)を満たす原料であることが好ましい。
y’≦0.5512c+0.1519 (III)
(上記式(III)中、
y’は、XRDにおける002ピークの半値幅(nm)を表し、
cは、Caのモル比を表す。)
上記式中、y’は、XRD(粉末X線回折測定)における002ピークの半値幅を表す。
ここで、002ピークの「002」とは、XRDパターンにおけるミラー指数を示す。
ミラー指数とは特定の結晶構造における結晶面(結晶面の方位)を示す。X線回折において観測される回折ピークはこれらの結晶面に由来しており、それぞれの結晶面に対応するミラー指数が回折ピーク毎に帰属されている。
上記式(III)を満たす合金原料を用いると、本発明の蛍光体としやすい理由について下記の通り推測する。
原料金属の純度を考慮すると不純物欠陥が少なく結晶子サイズが大きく粒界が少ないこと、すなわち結晶性が高いことが好ましいが、原料金属の反応性という観点では、結晶子サイズが小さく粒界が多いこと、すなわち結晶性が低いことが好ましい。c軸方向に積層構造をもつ原料合金は、c軸方向の反応性が低いため、反応性を高めるという点では、c軸方向の結晶子サイズを小さくすることが有効であると推測する。
c軸方向の結晶子サイズは、XRDの002ピークの半値幅と相関する。
結晶子サイズが小さいほど002ピークの半値幅は広くなるため、半値幅はある一定の値より大きな値を取ることが好ましい。
しかし、002ピークの半値幅は、Sr/Caの比率にも影響を受ける。その為、Ca率と002ピークの半値幅の関係式で導かれた式(III)より導かれた値以上をとることが好ましい。
上記の合金原料とするためには、例えば、合金原料を作成する際に、原料金属の融解を十分行う方法や原料金属の融解後、降温速度を低くする方法などが挙げられる。
尚、上記式(III)の各値は、本発明の実験により導出された値である。
(原料金属の融解)
原料金属を、目的の組成となるように秤量し、これを融解する。原料金属を融解する方法に特に制限はないが、例えば、抵抗加熱法、電子ビーム法、アーク融解法、高周波誘導加熱法等を用いることができる。また、融解時に用いることのできるルツボの材質としては、アルミナ、カルシア、黒鉛、モリブデン等が挙げられる。
原料金属の秤量にあたっては、融解時に揮発やルツボ材質との反応等により損失する金属元素については、必要に応じて、予め過剰に秤量し添加してもよい。
また、原料金属の融解にあたっては、下記の理由により、高融点(高沸点)のSi金属及び/又はSiを含む合金を融解させた後、低融点(低沸点)のCa元素、Sr元素を融解させることが好ましい。
Siの融点は1410℃であり、アルカリ土類金属の沸点と同程度である(例えば、Caの沸点は1494℃、Srの沸点は1350℃、Baの沸点は1537℃である)。特に、Srの沸点がSiの融点より低いため、SrとSiを同時に融解させることは極めて困難である。
これに対して、Si金属を先に融解させて好ましくは母合金を製造し、次いでCa金属、Sr金属を融解することによって、この問題点を解決することができる。
さらに、このようにSi金属を融解した後にCa金属、Sr金属の融解を行うことにより、得られる合金の純度が向上し、それを原料とする蛍光体の特性が著しく向上するという効果も奏される。
本発明における原料金属の融解法については、特に制限はないが、通常、抵抗加熱法、電子ビーム法、アーク融解法、高周波誘導加熱法(以下、「高周波融解法」と称する場合がある。)等を用いることができる。中でも、アーク融解法、高周波融解法を用いることが好ましく、製造コストを考えると高周波融解法を用いることが特に好ましい。
(溶湯の鋳造)
原料金属の融解により製造された合金溶湯を金型に注入して成型する鋳造工程を経て、凝固体(合金塊)を得ることが好ましい。ただし、この鋳造工程において溶融金属の冷却速度によって偏析が生じ、溶融状態で均一組成であったものが組成分布に偏りが生じることもある為、冷却速度はできるだけ速いことが望ましい。また、金型は銅などの熱伝導性のよい材料を使用することが好ましく、熱が放散しやすい形状であることが好ましい。また、必要に応じて水冷などの手段により金型を冷却することも好ましい。
上記の方法により、例えば厚さに対して底面積の大きい金型を用い、溶湯を金型へ注湯後、できるだけ早く凝固させることが好ましい。
また、合金の組成によって偏析の程度は異なるので必要な分析手段、例えばICP発光分光分析法などによって、得られた凝固体の数箇所より試料を採取して組成分析を行い、偏析の防止に必要な冷却速度を定めることが好ましい。
(鋳塊の粉砕)
鋳造工程で得られた合金塊は次いで粉砕することにより、所望の粒径、粒度分布を有する合金粉末を調製することができる。粉砕方法としては、乾式法や、エチレングリコール、ヘキサン、アセトン等の有機溶媒を用いる湿式法で行うことが可能である。
(合金粉末の分級)
粉砕工程で粉砕された合金粉末は、バイブレーティングスクリーン、シフターなどの網目を使用した篩い分け装置、エアセパレータ等の慣性分級装置、サイクロン等の遠心分離機を使用して、後述の所望の重量メジアン径D50及び粒度分布に調整される。
後述の一次窒化工程前の合金粉末は、当該合金粉末を構成する金属元素の活性度により粒径を調整する必要があり、その重量メジアン径D50は、通常の場合、100μm以下、好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下、また、0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは1μm以上である。また、Srを含有する場合は、雰囲気ガスとの反応性が高いため、合金粉末の重量メジアン径D50は、通常5μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは13μm以上とすることが望ましい。
上記範囲内であると、窒化等の反応時の制御がしやすく、また合金粒子内部での窒化等の反応が十分に行われる点で好ましい。
(蛍光体の製造)
上記の合金粉末を用いて、蛍光体を製造する方法には特に制限はなく、窒化物、酸窒化物など蛍光体の種類に応じて反応条件が設定されるが、以下に窒化反応を例にとって説明する。
合金粉末の窒化処理は例えば以下の様にして行われる。
即ち、まず、窒化処理原料である合金粉末をるつぼ、或いはトレイに充填する。ここで使用するるつぼ或いはトレイの材質としては、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミニウム、モリブデン、タングステン等が挙げられるが、耐食性に優れる点で窒化ホウ素が好ましい。
この合金粉末を充填したるつぼ或いはトレイを、雰囲気制御が可能な加熱炉に納めた後、窒素を含むガスを流通して系内を十分にこの窒素含有ガスで置換する。必要に応じて、系内を真空排気した後、窒素含有ガスを流通してもよい。
窒化処理の際に使用する窒素含有ガスとしては、窒素を含むガス、例えば窒素、アンモニア、或いは窒素と水素の混合気体等が挙げられる。系内の酸素濃度は製造される蛍光体の酸素含有量に影響し、余り高い含有量となると高い発光が得られなくなるため、窒化処理雰囲気中の酸素濃度は、低いほど好ましく、通常1000ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下とする。また、必要に応じて、炭素、モリブデン等の酸素ゲッターを系内加熱部分に入れて、酸素濃度を低下させても良い。
窒化処理は、窒素含有ガスを充填した状態或いは流通させた状態で加熱することにより行うが、その圧力は大気圧よりも幾分減圧、大気圧或いは加圧の何れの状態でも良い。大気中の酸素の混入を防ぐためには大気圧以上とするのが好ましい。大気圧未満にすると加熱炉の密閉性が悪い場合には多量の酸素が混入して、得られる蛍光体の特性が低下する場合がある。窒素含有ガスの圧力は少なくともゲージ圧で、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは10MPa以上、更に好ましくは100MPa以上、最も好ましくは150MPa以上、また通常200MPa以下である。
合金粉末の加熱温度は、通常800℃以上、好ましくは1000℃以上、更に好ましくは1200℃以上で、通常2200℃以下、好ましくは2100℃以下、更に好ましくは2000℃以下の温度で実施する。
上記範囲内であると、窒化処理に要する時間が短くなる傾向にあり、また蛍光体の分解などがし難く、特性の高い蛍光体が得られやすい点で好ましい。
窒化処理時の加熱時間(最高温度での保持時間)は、合金粉末と窒素との反応に必要な時間でよいが、通常1分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは60分以上とする。加熱時間が1分より短いと窒化反応が充分に進行せず特性の高い蛍光体が得られない場合がある。加熱時間の上限は生産効率の面から、通常24時間以下であることが好ましい。
合金の窒化処理後、得られた蛍光体について粉砕、分級処理を行なうことが好ましい。例えば、得られた蛍光体粒子の90%以上が5μm以上、20μm以下の粒子となるように粉砕、分級処理を行うことが特に好ましい。
<蛍光体の物性について>
[発光色]
本発明の蛍光体の発光色は、化学組成等を調整することにより、波長360nm〜480nmといった近紫外領域〜青色領域の光で励起され、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色等、所望の発光色とすることができる。
[発光スペクトル]
蛍光体の化学組成や付活元素の種類によって発光ピーク波長及びその形状は異なるが、例えば、本発明の蛍光体が、Sr含有量が多い蛍光体であり、かつ、付活元素M1’としてEuを含有する場合、橙色ないし赤色蛍光体としての用途に鑑みて、ピーク波長455nmの光で励起した場合における発光スペクトルを測定した場合に、以下の特徴を有することが好ましい。
本発明の蛍光体は、上述の発光スペクトルにおけるピーク波長λp(nm)が、通常590nmより大きく、中でも600nm以上、また、通常650nm以下、中でも640nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長λpが短過ぎると黄味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると暗赤味を帯びる傾向があり、何れも橙色ないし赤色光としての特性が低下する場合があるので好ましくない。
なお、上記の蛍光体をピーク波長455nmの光で励起するには、例えば、GaN系発光ダイオードを用いることができる。また、本発明の蛍光体の発光スペクトルの測定は、例えば、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)等を用いて行うことができる。発光ピーク波長、及び発光ピークの半値幅は、得られる発光スペクトルから算出することができる。
<蛍光体含有組成物>
本発明の蛍光体は、液体媒体と混合して用いることもできる。特に、本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液体媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液体媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
[蛍光体]
本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体の種類に制限は無く、上述したものから任意に選択することができる。また、本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体は、1種のみであってもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。更に、本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、本発明の蛍光体以外の蛍光体を含有させてもよい。
[液体媒体]
本発明の蛍光体含有組成物に使用される液体媒体としては、該蛍光体の性能を目的の範囲で損なわない限りにおいて特に限定されない。例えば、所望の使用条件下において液状の性質を示し、本発明の蛍光体を好適に分散させるとともに、好ましくない反応を生じないものであれば、任意の無機系材料及び/又は有機系材料が使用できる。
これら、無機材料及び有機材料の具体例としては、例えば、特開2007−291352号公報の[蛍光体含有組成物]<液体媒体>の項に記載のものが挙げられる。
尚、液体媒体及び蛍光体の含有率も、上記公報に記載の態様が挙げられる。
<発光装置>
本発明の発光装置(以下、適宜「発光装置」という)は、第1の発光体(励起光源)と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを有する発光装置であって、該第2の発光体として本発明の蛍光体の1種以上を、第1の蛍光体として含有するものである。ここで、本発明の蛍光体は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の蛍光体としては、例えば、励起光源からの光の照射下において、黄色ないし赤色領域の蛍光を発する蛍光体を使用する。具体的には、発光装置を構成する場合、本発明の黄色蛍光体としては、530nm〜620nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましく、本発明の橙色ないし赤色蛍光体としては、580nm〜680nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましい。
この場合、本発明の発光装置は、例えば、次の(A)又は(B)の態様とすることができる。
(A) 第1の発光体として、420nm以上500nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用い、第2の発光体の第2の蛍光体として、500nm以上580nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体を用いる。
(B) 第1の発光体として、300nm以上420nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用い、第2の発光体の第2の蛍光体として、420nm以上470nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体と、500nm以上580nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体とを用いる。
本発明の蛍光体を使用することにより、本発明の発光装置は、紫外から青色領域までの発光を有する励起光源(第1の発光体)に対して高い発光効率、及び高い耐久性を示し、更には、照明装置、液晶ディスプレイ用光源等の白色発光装置に使用した場合に優れた発光装置となる。
本発明の発光装置は、第1の発光体(励起光源)を有し、且つ、第2の発光体として少なくとも本発明の蛍光体を使用している他は、その構成は制限されず、公知の装置構成を任意にとることが可能である。
装置構成及び発光装置の実施形態としては、例えば、特開2007−291352号公報に記載のものが挙げられる。
<発光装置の用途>
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、色再現範囲が広く、且つ、演色性も高いことから、中でも照明装置や画像表示装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。
また、本発明の発光装置は、リモートフォスファーなどにも好適に用いられる。
[照明装置]
本発明の発光装置を照明装置に適用する場合には、前述のような発光装置を公知の照明装置に適宜組み込んで用いればよい。例えば、図3に示されるような、前述の発光装置(4)を組み込んだ面発光照明装置(11)を挙げることができる。
図3は、本発明の照明装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。この図3に示すように、該面発光照明装置は、内面を白色の平滑面等の光不透過性とした方形の保持ケース(12)の底面に、多数の発光装置(13)(前述の発光装置(4)に相当)を、その外側に発光装置(13)の駆動のための電源及び回路等(図示せず。)を設けて配置し、保持ケース(12)の蓋部に相当する箇所に、乳白色としたアクリル板等の拡散板(14)を発光の均一化のために固定してなる。
そして、面発光照明装置(11)を駆動して、発光装置(13)の励起光源(第1の発光体)に電圧を印加することにより光を発光させ、その発光の一部を、蛍光体含有部(第2の発光体)としての蛍光体含有樹脂部における前記蛍光体が吸収し、可視光を発光し、一方、蛍光体に吸収されなかった青色光等との混色により演色性の高い発光が得られ、この光が拡散板(14)を透過して、図面上方に出射され、保持ケース(12)の拡散板(14)面内において均一な明るさの照明光が得られることとなる。
[画像表示装置]
本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、その画像表示装置の具体的構成に制限は無いが、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置とする場合は、上記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、下記の実施例に限定されるものではない。
<測定方法>
[発光輝度・色度測定]
455nm励起における発光スペクトルを、室温(25℃)において、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置FP6500(日本分光社製)を用いて測定した。
x、y表色系(CIE 1931表色系)の色度座標は、上述の方法で得られた発光スペクトルの480nm〜780nmの波長領域のデータから、JIS Z8724に準じた方法で、JIS Z8701で規定されるXYZ表色系における色度座標xとyとして算出した。なお、相対輝度は、比較例2を波長455nmの光で励起した時のXYZ表色系におけるY値を102とした際の相対値で表している。
[原子変位パラメータの測定方法]
蛍光体試料のXRDパターンを取得した。
XRD測定装置には、X’Pert Pro(PANalytical社製)を用いた。X線源にCuKα線(出力:40kV,45mA)を用いた。検出器にはX’Celeratorを用い、読み込みステップ幅は0.008゜、操作速度は9.728sec/stepとした。
測定の範囲(2theta)は、10゜〜150゜とした。可変スリットモードを用いX線照射幅は10mm、測定後のデータは可変スリットモードから固定スリットモードへのデータ補正を行った。
続いてRietveld解析を行った。Rietveld解析には、RIETAN-FPを用いた。初期構造には、CASNの結晶構造(空間群、格子定数、原子座標)を用いた。SrとEuはCASN構造のCaサイトを占有するとし、同じ原子座標と原子変位パラメータに束縛を掛けた。Sr/Ca/EuおよびAl/Siの比率は仕込み組成(又は元素分析値)に固定した。占有率はSrCaEuサイトのみ精密化した。AlSiサイトと二つのNサイトの占有率は1に固定した。原子座標は全原子サイトの結晶学的に精密化が必要なすべての座標について精密化した。等方性の原子変位パラメータを使用し、SrCaEuサイトとAlSiサイトはそれぞれ独立に精密化した。二つのNサイトの原子変位パラメータは同じ値になるように束縛を掛けた上で精密化した。その他、プロファイル関数、バックグランド関数、スケールファクター、格子定数などについても適宜精密化を行った。
最終的に精密化が十分に収束した時点でのSrCaEuサイトの原子変位パラメータを使用した。なお原子変位パラメータは、一般的にB=8π2Uの関係式で導かれるBおよびUのどちらかの値が用いられることが多いが、本件においてはBの値を使用することとした。
[XRDにおける002ピークの特定について]
SrAlSiのパターン(PDF♯04−16−2226、P6/mmm)に帰属した場合の002ピークについてプロファイルフィッティング法により半値幅を算出した。プロファイルフィッティングはJADE9.4.5(MDI社製)を用いた。フィッティング関数にはPeason−VII関数を用い、ピーク位置(2θ)、高さ(height)、半値幅(FWHM)、形定数(shape)、非対称(skew)の全てを精密化した。
002ピークがKα1とKα2以外の原因で分裂している場合(格子定数が異なる合金相由来のピークで構成されている場合)は、必要に応じてピーク本数を2本に増やしてフィッティングを行った。
尚、この時に各ピークの半値幅、形定数、非対称は同じ値になるよう束縛を掛けた。最終的にフィッティングが十分に収束したところでの半値幅の値を使用した。ここで計算された半値幅(B0)は試料由来の半値幅(β)だけでなく装置由来の半値幅(b0)が含まれているため、同一の条件でXRD測定を行ったNIST製のLaB6(660a)のXRDパターンについて、同一の条件でプロファイルフィッティングを行い半値幅曲線を作成し、β=(B02−b02)1/2、の式に基づき補正を行った。
(実施例1)
組成がCa0.050Sr0.944 Eu0.006AlSiであるCa−Sr−Eu−Al−Si合金(高純度化学社製)を粉砕後BN坩堝に入れ、窒素雰囲中、200MPa、1950℃で2時間焼成した。得られた焼成物を乳鉢で粉砕後、0.5N−HClで1時間洗浄した。こうして得られた蛍光体を水洗、乾燥し、常圧大気雰囲気中、400℃で12時間熱処理を行い、本発明の赤色蛍光体(1)を得た。原料合金の002半値幅は0.196゜(補正後:0.189゜),蛍光体(1)の発光スペクトルの半値幅は74nmだった。
(実施例2及び3、比較例1〜3)
表1に上げた原料と焼成温度を変更した以外は実施例1と同様にして赤色蛍光体(2)、(3)、比較蛍光体(1)、(2)、(3)を得た。実施例1とこれらの原料合金のXRDで測定した002半値幅と発光スペクトルの半値幅を併せて表1に記載した。
尚、得られる蛍光体のCaのモル比については、原料合金組成と実質同一である。
また、実施例1〜3及び比較例1〜3の原子変位パラメータとCaモル比について、グラフ化したものを図4に示した。
また、実施例及び比較例で用いた合金原料に関し、XRDにおける原料合金の002ピークの半値幅とCaモル比とをグラフ化したものを図5に示した。
尚、図4、図5における「閾値」とは、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3の、各々の原子変位パラメータの平均値(図4)、又は原料合金の002ピーク半値幅の平均値をプロットして、近似したものである。
表1に示すが如く、本発明の蛍光体は、発光輝度が高い。より具体的には、Caモル比が同じである実施例1と比較例1とを比較した場合、実施例1の発光輝度は167%であるのに対して、比較例1は129%である。
実施例2と比較例2、実施例3と比較例3とを、各々比較しても、いずれも本発明の蛍光体の方が輝度が高い。

Claims (6)

  1. 下記式[1]で表される蛍光体であって、
    更に下記式(I)を満たすことを特徴とする、蛍光体。

    SrCaAlSi [1]
    (上記式[1]中、
    Mは、付活元素を表し、
    また、a、b、c、d、e、fは、それぞれ下記の範囲の値である。
    0.00001≦a≦0.15
    0.6<b≦0.99999
    0≦c<0.4
    a+b+c=1
    0.5≦d≦1.5
    0.5≦e≦1.5
    2.5≦f≦3.5)

    y≦0.0136c+0.0088 (I)
    (式(I)中、y及びcは、各々下記を示す。
    y:原子変位パラメータ(nm
    c:Caのモル比)
  2. 更に、酸素を含むことを特徴とする、請求項1に記載の蛍光体。
  3. 請求項1又は2に記載の蛍光体と、液体媒体とを含有することを特徴とする、蛍光体含有組成物。
  4. 第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備え、
    該第2の発光体が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体の1種以上を、第1の蛍光体として含むことを特徴とする発光装置。
  5. 請求項4に記載の発光装置を光源として含むことを特徴とする画像表示装置。
  6. 請求項4に記載の発光装置を光源として含むことを特徴とする照明装置。
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