JP2015196660A - 徐放性抗菌剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】水酸化アルミニウムゲルの影響を受けずに抗菌剤を徐放し続けてスライムの発生を抑制し、アルミニウムフィンの腐食を促進しない徐放性抗菌剤を提供すること。
【解決手段】抗菌剤と、水酸化マグネシウム及び難水溶性キレート剤から選択される少なくとも一種とを含むことを特徴とする徐放性抗菌剤である。この徐放性抗菌剤では、表面全体が水酸化アルミニウムゲルで覆われてしまうことがなく抗菌剤の徐放が継続する。水酸化マグネシウム及び難水溶性キレート剤から選択される少なくとも一種の添加量は、固化した徐放性抗菌剤に接する水のpHが11以下になる量であることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】抗菌剤と、水酸化マグネシウム及び難水溶性キレート剤から選択される少なくとも一種とを含むことを特徴とする徐放性抗菌剤である。この徐放性抗菌剤では、表面全体が水酸化アルミニウムゲルで覆われてしまうことがなく抗菌剤の徐放が継続する。水酸化マグネシウム及び難水溶性キレート剤から選択される少なくとも一種の添加量は、固化した徐放性抗菌剤に接する水のpHが11以下になる量であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、空調機器のドレンパン等における微生物による汚損を抑制することのできる徐放性抗菌剤に関する。
長期に渡り空調機器の運転を行った場合、凝縮水が集まるドレンパン内などにスライムが発生する。スライムにより配水管が詰まることがあるほか、見た目にも悪く衛生上の不安もあることが懸念される。ドレンパン内のスライム発生を抑制する方法が多種検討されている。例えば、特許文献1には、可撓性のあるメッシュ部材により構成した容器に抗菌剤を入れこと及び水溶性のある合成樹脂に粒状又はペレット状の抗菌剤を練り込むことが開示されている。また、特許文献2には、抗菌剤を水硬化性基剤(例えば焼石膏)とからなる成形体を水中徐放性腐敗防止剤とすることが開示されている。これらの方法は、ドレンパン上のドレン水に対して抗菌剤を徐放し、その抗菌作用でスライムの発生を抑制することができるとされている。
しかし、上記のような従来方法では、抗菌剤の徐放が行えずにスライム発生を抑制することができない場合がある。本発明者らは、この原因の解明に取り組んだところ、ドレン水に含まれる不純物の影響であることを解明した。不純物のうち最も大きな影響を与えるのが、熱交換器のアルミニウムフィン等から発生する水酸化アルミニウムである。水酸化アルミニウムは中性の水中ではゲル状となる。ゲル状の水酸化アルミニウムは、上記の抗菌剤の表面に付着し、抗菌剤の溶出を阻害するためである。
水酸化アルミニウムゲルは、水溶液が酸性やアルカリ性になると溶解する。特許文献2に水硬性基剤として開示される水硬性石灰又はポルトランドセメントを用いると、成分として含まれるCaO及びCaOHの溶解によってドレン水はアルカリ性になり、水酸化アルミニウムゲルは溶解する。しかし、この場合、ドレン水のアルカリ性が高くなりすぎ、熱交換器のアルミニウムフィンを腐食させてしまうという問題が起こる。
従って、本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、水酸化アルミニウムゲルの影響を受けずに抗菌剤を徐放し続けてスライムの発生を抑制し、アルミニウムフィンの腐食を促進しない徐放性抗菌剤を提供することを目的とする。
水酸化アルミニウムゲルは、水溶液が酸性やアルカリ性になると溶解する。特許文献2に水硬性基剤として開示される水硬性石灰又はポルトランドセメントを用いると、成分として含まれるCaO及びCaOHの溶解によってドレン水はアルカリ性になり、水酸化アルミニウムゲルは溶解する。しかし、この場合、ドレン水のアルカリ性が高くなりすぎ、熱交換器のアルミニウムフィンを腐食させてしまうという問題が起こる。
従って、本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、水酸化アルミニウムゲルの影響を受けずに抗菌剤を徐放し続けてスライムの発生を抑制し、アルミニウムフィンの腐食を促進しない徐放性抗菌剤を提供することを目的とする。
凝縮水がドレン水として排出されるドレンパンや排水管等は、長時間湿潤した状態となるため、微生物が繁殖してスライムが発生する。そこで、本発明者らは、抗菌剤あるいは抗かび剤(以下、これらをまとめて抗菌剤と呼ぶ)をドレン水中に徐放し続けることができれば、スライムの発生あるいは成長を抑制することができると考え、鋭意研究を続けたところ、抗菌剤と、水酸化マグネシウム及び難水溶性キレート剤から選択される少なくとも一種とを含む徐放性抗菌剤が有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、抗菌剤と、水酸化マグネシウム及び難水溶性キレート剤から選択される少なくとも一種とを含むことを特徴とする徐放性抗菌剤である。
即ち、本発明は、抗菌剤と、水酸化マグネシウム及び難水溶性キレート剤から選択される少なくとも一種とを含むことを特徴とする徐放性抗菌剤である。
本発明によれば、水酸化アルミニウムゲルの影響を受けずに抗菌剤を徐放し続けてスライムの発生を抑制し、アルミニウムフィンの腐食を促進しない徐放性抗菌剤を提供することができる。
実施の形態1.
本発明による徐放性抗菌剤は、抗菌剤と、水酸化マグネシウム及び難水溶性キレート剤から選択される少なくとも一種とを含むことを特徴とするものである。実施の形態1では、水酸化マグネシウムを必須成分として含む徐放性抗菌剤について説明する。図1は、本発明による徐放性抗菌剤が、水酸化アルミニウムゲルによる抗菌剤の徐放阻害を受けないことを説明するための模式図である。図1中の(a)は、抗菌剤1中に水酸化マグネシウム2が混合されている状態を模式的に示したものである。抗菌剤1表面の各所に水酸化マグネシウム2の粒子が露出した状態となっている。作用を分かりやすく説明するために、図1では、抗菌剤1がマトリックスとして形成された状態を示しているが、抗菌剤1及び水酸化マグネシウム2が他の材料中に混在している状態、あるいは抗菌剤1が粒子状であっても、徐放性抗菌剤の表面から水酸化マグネシウム2の粒子が露出している状態であれば、以降の説明と同様の効果が得られる。図1中の(b)は、徐放性抗菌剤の表面が水酸化アルミニウムゲル3で覆われてしまった状態を示している。ドレン水中に水酸化アルミニウムゲルが存在する状態で、水酸化マグネシウム2が効果を発揮しないような状態であれば、徐放性抗菌剤の表面全体が水酸化アルミニウムゲル3で覆われるようになる。水酸化アルミニウムゲル3を通して抗菌剤1が拡散する速度は非常に遅いため、このような状態ではスライムの発生あるいは成長を抑制することはできない。図1中の(c)は、水酸化マグネシウム2の効果が発揮された状態を示している。水酸化マグネシウム2が露出した表面に水酸化アルミニウムゲル3が付着した場合、付着部分のpHが上昇し、水酸化アルミニウムゲル3は溶解する。この作用で徐放性抗菌剤の表面全体が水酸化アルミニウムゲル3で覆われてしまうことが無く徐放が継続する。抗菌剤1が溶解するに従い、水酸化マグネシウム2が新たに露出するため、水酸化アルミニウムゲル3の溶解も拡大し、徐放が持続することになる。
本発明による徐放性抗菌剤は、抗菌剤と、水酸化マグネシウム及び難水溶性キレート剤から選択される少なくとも一種とを含むことを特徴とするものである。実施の形態1では、水酸化マグネシウムを必須成分として含む徐放性抗菌剤について説明する。図1は、本発明による徐放性抗菌剤が、水酸化アルミニウムゲルによる抗菌剤の徐放阻害を受けないことを説明するための模式図である。図1中の(a)は、抗菌剤1中に水酸化マグネシウム2が混合されている状態を模式的に示したものである。抗菌剤1表面の各所に水酸化マグネシウム2の粒子が露出した状態となっている。作用を分かりやすく説明するために、図1では、抗菌剤1がマトリックスとして形成された状態を示しているが、抗菌剤1及び水酸化マグネシウム2が他の材料中に混在している状態、あるいは抗菌剤1が粒子状であっても、徐放性抗菌剤の表面から水酸化マグネシウム2の粒子が露出している状態であれば、以降の説明と同様の効果が得られる。図1中の(b)は、徐放性抗菌剤の表面が水酸化アルミニウムゲル3で覆われてしまった状態を示している。ドレン水中に水酸化アルミニウムゲルが存在する状態で、水酸化マグネシウム2が効果を発揮しないような状態であれば、徐放性抗菌剤の表面全体が水酸化アルミニウムゲル3で覆われるようになる。水酸化アルミニウムゲル3を通して抗菌剤1が拡散する速度は非常に遅いため、このような状態ではスライムの発生あるいは成長を抑制することはできない。図1中の(c)は、水酸化マグネシウム2の効果が発揮された状態を示している。水酸化マグネシウム2が露出した表面に水酸化アルミニウムゲル3が付着した場合、付着部分のpHが上昇し、水酸化アルミニウムゲル3は溶解する。この作用で徐放性抗菌剤の表面全体が水酸化アルミニウムゲル3で覆われてしまうことが無く徐放が継続する。抗菌剤1が溶解するに従い、水酸化マグネシウム2が新たに露出するため、水酸化アルミニウムゲル3の溶解も拡大し、徐放が持続することになる。
徐放性抗菌剤の形態は、ドレン水に対して抗菌剤を徐放することができるものであればよく、例えば、固体化して一定形状を維持できる形態、又は粉末(粒子状)の徐放性抗菌剤を多孔性容器に封入した形態とすることでドレンパンへの設置が容易になる。また、硫酸カルシウム2水和物(以下、石膏と呼ぶ)を含ませることによって徐放性抗菌剤を固化すれば、ドレンパンへの設置を容易にすることもできる。このような固化形態は、硫酸カルシウム1/2水和物(以下、焼石膏と呼ぶ)粉末と抗菌剤粉末と水酸化マグネシウム粉末との混合物を水と混合すれば得ることができる。ここで硫酸カルシウム2水和物を使う利点は、固化が容易であること、適度な溶解性を有することのほか、人体に安全であり、水溶液が中性であるため、アルミニウムフィンの腐食を促進しないということである。
石膏は水に徐々に溶解するため、抗菌剤及び水酸化マグネシウムを石膏中に固化したものをドレン水に浸漬した場合、石膏が表面から徐々に溶解すると共に、抗菌剤及び水酸化マグネシウムも溶解する。さらに、石膏の溶解が進むにつれ粉末状態の抗菌剤も徐々に固化体より放出する効果もあり、放出された抗菌剤粉末からの溶出により、難水溶性の抗菌剤であってもドレン水中の抗菌剤濃度を高くすることができる。
石膏で固化した徐放性抗菌剤においても水酸化アルミニウムゲルが表面に付着する場合がある。このような場合においても、図1で説明したのと同様に、ゲル付着部分において、水酸化マグネシウムの溶解によりpHの上昇が起こりゲルは溶解する。そのため、水酸化アルミニウムゲルによる抗菌剤の徐放阻害を受けない徐放性抗菌剤とすることができる。
また、水酸化マグネシウムを必須成分として含む徐放性抗菌剤の成形を容易にするために徐放性抗菌剤を水溶性フィルムからなる容器に封入する場合、徐放性抗菌剤に焼石膏をさらに含ませることが好ましい。粉末の徐放性抗菌剤を水溶性フィルムからなる容器に封入するには、ヒートシール等の簡便な方法で可能である。粉末の徐放性抗菌剤を封入した水溶性フィルムからなる容器は、ドレンパン中への設置も容易である。設置後、ドレン水に触れることで、容器内部に水が浸透し焼石膏が石膏として固化することになる。この固化により、緻密なものではないが崩壊してドレンパン上に拡がったり、流出してしまったりすることの無い固さを有する徐放性抗菌剤が形成される。この場合においても、水酸化アルミニウムゲルによる抗菌剤の徐放阻害に対しては、前記の通り水酸化マグネシウムの作用で抑制できる。
図2は、本発明による徐放性抗菌剤が水溶性フィルムからなる容器に封入されている場合の抗菌剤の徐放を説明するための模式図である。図2中の(a)は、粉末の抗菌剤1と粉末の焼石膏5とが水溶性フィルム4からなる容器に封入されている状態である。簡略化のため水酸化マグネシウム等の成分は記していない。図2中の(b)は、水溶性フィルム4からなる容器に封入された粉末がドレン水に浸された後の状態である。水溶性フィルム4は溶解して消失し、焼石膏5は水と反応して石膏6となり、抗菌剤等を抱き込んで固化したり、粗い粒状になったりしてその形状を維持する。このことで、ドレンパン等への設置状態が維持できることになる。図2中の(c)は、石膏6で固化された抗菌剤1の徐放時の状態を示している。抗菌剤1より石膏6の溶解性が大きい場合には、石膏6の溶解に伴い、抗菌剤1の粒子が少しずつ遊離する。抗菌剤1の溶出速度が低い場合においては、こうして遊離した抗菌剤1の粒子からの溶出があることが好ましい。遊離した抗菌剤1の粒子が、ドレンパンの各所に拡散し、その部位で徐放することで効率的にスライムの発生あるいは成長を抑制することが可能になる。このことは、水溶性フィルムからなる容器に封入した形態のものに限らず、石膏で固化した徐放性抗菌剤に共通するものである。
徐放性抗菌剤の表面あるいはその容器の表面には、ドレン水中の水酸化アルミニウムゲルが付着し、徐放性抗菌剤からの抗菌剤の溶出を阻害する場合がある。抗菌剤に水酸化マグネシウムを混合しておくことで、水酸化アルミニウムゲルが表面に付着した場合、水酸化マグネシウムの溶解によりゲルの付着部分のpHが高くなりゲルが溶解する。多孔性容器の外側にゲルが付着した場合においても、容器内部に封鎖されたドレン水に水酸化マグネシウムが溶解してpHを高くして付着ゲルを溶解させることができる。水酸化マグネシウムは、水に徐々に溶解し、飽和時のpHは10.5程度まで上昇させることができる。容器を目詰りさせる水酸化アルミニウムゲルを溶解させるには十分なpHとすることができる。しかし、容器外のドレン水に拡散する場合には、pHは低下しアルミニウムフィンの腐食を促進させることはない。
本発明の実施の形態で用いる抗菌剤としては、人体に対する毒性が低く、臭気や着色が少ないものであれば各種のものが使用可能であるが、水に対する溶解性が高すぎないものが好ましい。25℃における水への溶解度が0.5ppm以上5000ppm以下である抗菌剤が好ましく、1ppm以上1000ppm以下である抗菌剤がさらに好ましい。溶解度が5000ppmを超えるような抗菌剤では、ドレン水への溶出が速すぎ、長期間にわたってスライムの発生あるいは成長を抑制する効果が得られない場合がある。また、0.5ppm未満の場合は、ドレン水中の抗菌剤濃度を高めることが困難で効果が得られないことが多い。
このような抗菌剤の例としては、特に限定されるものではないが、チアベンダゾール(TBZ)、ジンクピリチオン(ZPT)、ベンズイミダゾールカルバミンサンメチルエステル(BCM)、メチルスルホニルテトラクロロピリジン、オクチリノン、トリクロサン、塩酸クロルヘキシジン、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、ヨードプロピルブチルカーバメート(IPBC)やその類似の化合物が挙げられる。これらの抗菌剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
このような抗菌剤の例としては、特に限定されるものではないが、チアベンダゾール(TBZ)、ジンクピリチオン(ZPT)、ベンズイミダゾールカルバミンサンメチルエステル(BCM)、メチルスルホニルテトラクロロピリジン、オクチリノン、トリクロサン、塩酸クロルヘキシジン、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、ヨードプロピルブチルカーバメート(IPBC)やその類似の化合物が挙げられる。これらの抗菌剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の実施の形態で用いる水酸化マグネシウムは、表面に特殊な処理が施されていない微粒子状であり、Ca等のアルカリ性の不純物が少ないものが好ましい。レーザ回折式の粒度分布測定により得られる平均粒径が0.5μm以上500μm以下である水酸化マグネシウムが好ましく、2μm以上250μm以下である水酸化マグネシウムがさらに好ましい。平均粒径が0.5μmより小さい場合には、溶解速度が速くなりすぎ水酸化アルミニウムゲルの付着抑制効果が得られ難い。平均粒径が500μmを超えるような大きさでは、徐放性抗菌剤の表面に露出する水酸化マグネシウム粒子の密度が低くなりすぎたり、溶解速度が低くなりすぎるという理由で、良好なゲル付着抑制効果が得られないため好ましくない。
抗菌剤と水酸化マグネシウムとの混合物を固体化して一定の形状とする方法として、最も好ましい方法は、抗菌剤の粉末と水酸化マグネシウムの粉末とを混合し、圧縮して成形する方法である。有機物の抗菌剤の場合、適度な圧縮により粒子同士が一体化する。こうして作製した徐放性抗菌剤の固体は、バインダーや賦形剤を添加した場合に比べ、含有される抗菌剤の量が多くなるため、徐放性を長期間持続させやすい。また、圧縮の圧力を十分に高くすることで、固体を緻密にすることができ、水中で崩壊することなく、表面より徐放しながら溶解するようなものとなる。最適な圧縮圧力は、圧縮時の温度や抗菌剤の種類により異なる場合があるが、20kg/cm2以上が好ましく、30kg/cm2以上がさらに好ましい。20kg/cm2未満の圧力であると、一定の形状のものが形成されたとしても水に浸漬された場合崩壊してしまう場合が多い。
この場合の徐放性抗菌剤における水酸化マグネシウムの添加量は、固化する物質全体の質量に対して、0.5質量%以上30質量%以下が好ましく、2質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。0.5質量%未満の添加量では、添加の効果が少なすぎゲル付着の抑制が十分に得られない場合が多い。30質量%を超える添加量では、圧縮成形した固体が水に浸漬したときに崩壊しやすくなり好ましくない。
この場合における水酸化マグネシウムの添加量は、固化した徐放性抗菌剤に接する水がpH11以下になる量であることが望ましい。ここでのpHは、徐放性抗菌剤をその約10倍量の水に浸漬し、30℃で30分間静置した後のpHを測定した値である。水酸化マグネシウムの不純物が多い場合や平均粒径が小さすぎる場合のほかは、pH11を超えることはほとんどない。しかし、徐放性抗菌剤に接する水のpHが11を超えるような場合には、徐放性抗菌剤近傍のアルミニウムフィンの腐食を促進してしまう可能性があり好ましくない。
抗菌剤と水酸化マグネシウムとを固化させずに、粉末や粒子の状態で多孔性の容器に封入する場合、多孔性の容器としては、粉末を漏出させないものとなっていればよいが、袋状の不織布の使用が好ましい。不織布は、ポリオレフィン、ポリエステル、セルロース、金属等の水不溶性の繊維からなるもので、粉末を保持できるものであればよい。
多孔性容器に封入する場合の徐放性抗菌剤における水酸化マグネシウムの添加量は、抗菌剤の質量に対して、2質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。2質量%未満の添加量では、添加の効果が少なすぎ容器表面へのゲル付着の抑制が十分に得られない場合が多い。20質量%を超える添加量では、水酸化マグネシウムが粉体のままであるため溶出量が多くなってpHが高くなりやすく、アルミニウムフィンに悪影響を与える恐れがあるため好ましくない。
焼石膏を含む徐放性抗菌剤における抗菌剤の添加量は、焼石膏の質量に対して、5質量%以上90質量%以下が好ましく、10質量%以上80質量%以下がさらに好ましい。5質量%未満では、添加量が少なすぎ長期間にわたってスライムの発生あるいは成長を抑制する効果を得ることが困難になる。90質量%を超えるような添加量の場合には、石膏による固化が起こりにくく好ましくない。この範囲の抗菌剤添加量においても、添加量がおおよそ50質量%を超えない場合と、超える場合では、徐放の状況が異なる。超えない場合では、石膏の溶解に伴い、抗菌剤が溶解すると共に粉末状の抗菌剤が遊離する場合が多い。このような状態では、粉末がドレンパン内に拡がることでより効率的にスライムの発生あるいは成長を抑制する効果を得ることができる。50質量%を超える場合では、石膏の溶解に伴い、抗菌剤も溶解するが粉末の遊離は起こりにくく抗菌剤の多孔体が残留する。この場合には、ドレンパン内部を粉末で汚すことなく、長期にわたって安定な抗菌剤の徐放が可能になる。
焼石膏を含む徐放性抗菌剤における水酸化マグネシウムの添加量は、焼石膏の質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、2質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。0.5質量%未満の添加量では、添加の効果が少なすぎゲル付着の抑制が十分に得られない場合が多い。10質量%を超える添加量では、石膏溶解時に水酸化マグネシウムの粉末が残留することになり好ましくない。
この場合における水酸化マグネシウムの添加量は、固化した徐放性抗菌剤に接する水がpH11以下になる量であることが望ましい。ここでのpHは、徐放性抗菌剤をその約10倍量の水に浸漬し、30℃で30分間静置した後のpHを測定した値である。水酸化マグネシウムの不純物が多い場合や平均粒径が小さすぎる場合のほかは、pH11を超えることはほとんどない。しかし、徐放性抗菌剤に接する水のpHが11を超えるような場合には、徐放性抗菌剤近傍のアルミニウムフィンの腐食を促進してしまう可能性があり好ましくない。
また、石膏を固化する時に加える水の量により、得られる徐放性抗菌剤の溶解性が異なる。水の添加量は、焼石膏の質量に対して、20質量%以上100質量%以下が好ましく、30質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。20質量%未満の添加量では、固化が困難である。100質量%を超える添加量では、得られる石膏が柔らかく溶解速度が速すぎる場合があり好ましくない。
本発明の実施の形態で用いる水溶性フィルムは、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、プルラン、アルギン酸塩等からなるフィルム、耐水化されていない紙等が使用できる。
水溶性フィルムは、種類によって溶解速度が異なるため、厚さ等で最適なものを規定することは困難である。20℃程度の水に浸漬した時、溶解して穴を生じるのに要する時間が1分間以上であるものが好ましく、5分間以上であるものがさらに好ましい。一分未満で溶解してしまうようなものでは、石膏による固化が始まる前に水溶性フィルムが無くなってしまい、固化が困難である場合が多い。一般的な水溶性フィルムは、水に浸漬した場合、数十秒程度で溶解してしまうものが多い。上記の溶解速度とするために、数枚のフィルムを重ね合わせる方法、フィルムを難溶化する方法がある。
フィルムの難溶化の方法としては、各種の非水溶性塗料を塗布する方法がある。塗料中の樹脂分が10質量%以下になるように希釈し、フィルムに塗布することでフィルムの溶解速度を遅くすることができる。塗布はスプレーを用い、ドライ状態で塗膜を形成することで、溶解後にフィルム上の残渣が残らず、好ましい結果が得られることが多い。その他の方法として、フィルムを150℃以上で加熱する方法、Ca、Mg、Al等のイオンを含む水溶液を塗布する方法もある。この場合の水溶液は、Ca、Mg、Al等のイオン濃度が0.1mol%以上のものを塗布することが好ましい。
また、フィルムを適度に延伸することで難溶化させる方法も利用できる。未延伸水溶性フィルムを、一軸あるいは二軸の延伸によって、面積を10%以上80%以下の範囲で拡大させることが好ましい。10%未満では、フィルムの難溶化が十分ではないことがあり好ましくない。一方、80%を超える場合には、フィルムの溶解性が低下しすぎて、徐放を阻害する恐れがある。
また、フィルムを適度に延伸することで難溶化させる方法も利用できる。未延伸水溶性フィルムを、一軸あるいは二軸の延伸によって、面積を10%以上80%以下の範囲で拡大させることが好ましい。10%未満では、フィルムの難溶化が十分ではないことがあり好ましくない。一方、80%を超える場合には、フィルムの溶解性が低下しすぎて、徐放を阻害する恐れがある。
水溶性フィルムに封入する場合の徐放性抗菌剤における抗菌剤の添加量は、焼石膏の質量に対して、5質量%以上70質量%以下が好ましく、10質量%以上50質量%以下がさらに好ましい。5質量%未満では、添加量が少なすぎて、長期間にわたってスライムの発生あるいは成長を抑制する効果を得ることが困難になる。70質量%を超えるような添加量の場合には、石膏による固化が起こりにくく好ましくない。
この場合の水酸化マグネシウムの添加量は、焼石膏の質量に対して、0.2質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。0.2質量%未満の添加量では、添加の効果が少なすぎて、ゲル付着の抑制が十分に得られない場合が多い。10質量%を超える添加量では、石膏溶解時に水酸化マグネシウムの粉末が残留することになり好ましくない。
この場合においても水酸化マグネシウムの添加量は、固化した徐放性抗菌剤に接する水がpH11以下になる量であることが望ましい。ここでのpHは、徐放性抗菌剤をその約10倍量の水に浸漬し、30℃で30分間静置した後のpHを測定した値である。水酸化マグネシウムの不純物が多い場合や平均粒径が小さすぎる場合のほかは、徐放性抗菌剤に接する水がpH11を超えることはほとんどない。しかし、徐放性抗菌剤に接する水のpHが11を超えるような場合には、徐放性抗菌剤近傍のアルミニウムフィンの腐食を促進してしまう可能性があり好ましくない。
実施の形態2.
実施の形態2では、水酸化マグネシウムの代わりに、難水溶性キレート剤を必須成分として含む徐放性抗菌剤について説明する。難水溶性キレート剤を用いた場合も、水酸化アルミニウムゲルの影響を抑制できる。抗菌剤と難水溶性キレート剤を固めたもの、石膏で抗菌剤と難水溶性キレート剤を固めたもの、いずれについても同様である。固化させた徐放性抗菌剤の表面に水酸化アルミニウムゲルが付着した場合、表面から徐々に放出される難水溶性キレート剤により、水酸化アルミニウムゲル中のアルミニウムイオンがキレート化される。このことによりゲルが溶解あるいは収縮し、徐放性抗菌剤の表面がゲルで覆われることがなくなり、徐放性が維持される。以上の考え方は、水酸化マグネシウムの場合と同様に、図1による説明が理解の助けになる。
実施の形態2では、水酸化マグネシウムの代わりに、難水溶性キレート剤を必須成分として含む徐放性抗菌剤について説明する。難水溶性キレート剤を用いた場合も、水酸化アルミニウムゲルの影響を抑制できる。抗菌剤と難水溶性キレート剤を固めたもの、石膏で抗菌剤と難水溶性キレート剤を固めたもの、いずれについても同様である。固化させた徐放性抗菌剤の表面に水酸化アルミニウムゲルが付着した場合、表面から徐々に放出される難水溶性キレート剤により、水酸化アルミニウムゲル中のアルミニウムイオンがキレート化される。このことによりゲルが溶解あるいは収縮し、徐放性抗菌剤の表面がゲルで覆われることがなくなり、徐放性が維持される。以上の考え方は、水酸化マグネシウムの場合と同様に、図1による説明が理解の助けになる。
通常、ドレン水中にキレート剤が存在するとアルミニウムフィンの腐食を促進してしまうが、難水溶性のキレート剤を使用することで、ドレン水中のキレート剤濃度が高くならず、アルミニウムフィンの腐食を回避できる。
また、難水溶性キレート剤を必須成分として含む徐放性抗菌剤の成形を容易にするために徐放性抗菌剤を水溶性フィルムからなる容器に封入する場合、徐放性抗菌剤に焼石膏をさらに含ませることが水酸化マグネシウムの場合と同様に好ましい。
本発明の実施の形態で用いる難水溶性キレート剤としては、アミノカルボン酸系の有機化合物が挙げられる。難水溶性キレート剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(Ethylene Diamine Tetraacetic Acid(EDTA))、ニトリロ三酢酸(Nitrilo Triacetic Acid(NTA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(1,3-Propanediamine Tetraacetic Acid(PDTA))、ジエチレントリアミン五酢酸(Diethylene Triamine Pentaacetic Acid(DTPA))、トリエチレンテトラミン六酢酸(Triethylene Tetramine Hexaacetic Acid(TTHA))、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(Hydroxyethyl Ethylene Diamine Triacetic Acid(HEDTA))、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(1,3-Diamino-2-hydroxypropane Tetraacetic Acid)等のアルカリ金属塩でないもの、あるいは、部分的にアルカリ金属塩となっているものが利用できる。複数以上のアルカリ金属が塩となったものは一般に水溶性が高くなるため、本発明では好ましくない。
難水溶性キレート剤は粒子状となっているものが好ましく、平均粒径が3μm以上500μm以下が好ましく、5μm以上250μm以下がさらに好ましい。平均粒径が3μmより小さい場合には、溶解速度が速く先に溶解してしまい、ゲルの付着抑制効果が得られにくい。平均粒径が500μmを超えるような大きさでは、徐放性抗菌剤の表面に露出する難水溶性キレート剤粒子の密度が低くなりすぎ、良好なゲル付着抑制効果が得られないため好ましくない。
抗菌剤と難水溶性キレート剤との混合物を固体化して一定の形状とする方法は、水酸化マグネシウムを用いる実施の形態1と同様である。
徐放性抗菌剤における難水溶性キレート剤の添加量は、固化する物質全体の質量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、2質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。1質量%未満の添加量では、添加の効果が少なすぎゲル付着の抑制が十分に得られない場合が多い。30質量%を超える添加量では、本来の有効成分である抗菌剤の添加量が少なくなってしまうため好ましくない。
石膏による固化方法及び抗菌剤の添加量は、水酸化マグネシウムを用いる実施の形態1と同様である。
焼石膏を含む徐放性抗菌剤における難水溶性キレート剤の添加量は、焼石膏の質量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましく、2質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。1質量%未満の添加量では、添加の効果が少なすぎゲル付着の抑制が十分に得られない場合が多い。10質量%を超える添加量では、石膏溶解時に難水溶性キレート剤の粉末が残留することになり好ましくない。
焼石膏を含む徐放性抗菌剤における難水溶性キレート剤の添加量は、焼石膏の質量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましく、2質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。1質量%未満の添加量では、添加の効果が少なすぎゲル付着の抑制が十分に得られない場合が多い。10質量%を超える添加量では、石膏溶解時に難水溶性キレート剤の粉末が残留することになり好ましくない。
水溶性フィルムからなる容器に封入する場合の徐放性抗菌剤における抗菌剤の添加量は、水酸化マグネシウムを用いる実施の形態1と同様である。
この場合の難水溶性キレート剤の添加量は、焼石膏の質量に対して、0.2質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。0.2質量%未満の添加量では、添加の効果が少なすぎゲル付着の抑制が十分に得られない場合が多い。10質量%を超える添加量では、石膏溶解時に難水溶性キレート剤の粉末が残留することになり好ましくない。
この場合の難水溶性キレート剤の添加量は、焼石膏の質量に対して、0.2質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。0.2質量%未満の添加量では、添加の効果が少なすぎゲル付着の抑制が十分に得られない場合が多い。10質量%を超える添加量では、石膏溶解時に難水溶性キレート剤の粉末が残留することになり好ましくない。
<実施例1〜5及び比較例2〜3(圧縮成形体)>
表1に示す配合で抗菌剤及び水酸化マグネシウム粉末(平均粒径7μm)を混合し、錠剤成形機にて30kg/cm2の圧力で直径18mmの円筒形のペレットを作製した。
スライム抑制試験として、同一フロアの事務所のパッケージエアコンの室内機のドレンパンを清掃後、一個のドレンパンに対して各ペレットサンプルを2個設置した。夏季2ヶ月運転後、ドレンパン表面の汚損状態を確認した。ドレンパン底部の面積10cm2部分を不織布の小片で拭き取り、これを100mLの水で洗浄した。洗浄後の水の汚濁状態で、スライムの生成状態を比較した。水の濁りの無い状態を1、比較例1(ペレットサンプルを設置しなかった場合)を5として、5段階の目視判定を行った。その結果を表1に示す。
表1に示す配合で抗菌剤及び水酸化マグネシウム粉末(平均粒径7μm)を混合し、錠剤成形機にて30kg/cm2の圧力で直径18mmの円筒形のペレットを作製した。
スライム抑制試験として、同一フロアの事務所のパッケージエアコンの室内機のドレンパンを清掃後、一個のドレンパンに対して各ペレットサンプルを2個設置した。夏季2ヶ月運転後、ドレンパン表面の汚損状態を確認した。ドレンパン底部の面積10cm2部分を不織布の小片で拭き取り、これを100mLの水で洗浄した。洗浄後の水の汚濁状態で、スライムの生成状態を比較した。水の濁りの無い状態を1、比較例1(ペレットサンプルを設置しなかった場合)を5として、5段階の目視判定を行った。その結果を表1に示す。
徐放性抗菌剤をそのまま圧縮成形したペレットでのスライム抑制においては、水酸化マグネシウムを添加しない例(比較例2及び3)に比べ、水酸化マグネシウムを混合したものの方が明確に良好なスライム抑制効果が得られている。評価後の徐放性抗菌剤のペレットを観察すると、比較例2及び3のものについては、湿潤状態で水酸化アルミニウムと考えられる薄いゲルが付着していることが確認されたが、実施例1〜5では明確なゲル状物質は認められなかった。この結果から、徐放性抗菌剤に水酸化マグネシウムを混合することで、水酸化アルミニウムゲルの付着を抑制でき、高いスライム抑制効果が得られることが分かる。
<実施例6〜9及び比較例4(石膏固化体)>
焼石膏粉末10g及び水5gに対して、表2に示す配合で抗菌剤及び水酸化マグネシウム粉末(平均粒径7μm)を混合し、28mm×28mm×8mmの型に入れて3日間乾燥することで、徐放性抗菌剤を成形した。実施例1〜5及び比較例2〜3と同様のスライム抑制試験を行った。その結果を表2に示す。
焼石膏粉末10g及び水5gに対して、表2に示す配合で抗菌剤及び水酸化マグネシウム粉末(平均粒径7μm)を混合し、28mm×28mm×8mmの型に入れて3日間乾燥することで、徐放性抗菌剤を成形した。実施例1〜5及び比較例2〜3と同様のスライム抑制試験を行った。その結果を表2に示す。
石膏で固化した実施例6〜9の徐放性抗菌剤においてもスライムの発生は抑制されている。水酸化マグネシウムの添加の有無でスライムの発生量が異なっており、添加により抑制効果が確認できる。徐放試験後の徐放性抗菌剤は、実施例6及び8では、ドレンパン内に微量の抗菌剤の粉末が生じていたが、実施例7及び9では粉末の発生は無かった。
<実施例10〜12(水溶性フィルム容器に封入)>
ポリビニルアルコールフィルム(ソルブロン(登録商標)KA#40)を約20%程度延伸し、3枚に重ねたもの(80mm×80mm)の3方をヒートシールして水溶性フィルム容器とした。焼石膏10gに対して、表3に示す配合で抗菌剤及び水酸化マグネシウム粉末(平均粒径7μm)を混合したものを水溶性フィルム容器に封入した。なお、ポリビニルアルコールフィルムには、針を用いて1cm2あたり2個程度の微細孔を形成した。
ポリビニルアルコールフィルムに封入した徐放性抗菌剤を20℃の脱イオン水に浸漬し、1週間放置した後の形状を観察した。その形状を表3に記した。
ポリビニルアルコールフィルム(ソルブロン(登録商標)KA#40)を約20%程度延伸し、3枚に重ねたもの(80mm×80mm)の3方をヒートシールして水溶性フィルム容器とした。焼石膏10gに対して、表3に示す配合で抗菌剤及び水酸化マグネシウム粉末(平均粒径7μm)を混合したものを水溶性フィルム容器に封入した。なお、ポリビニルアルコールフィルムには、針を用いて1cm2あたり2個程度の微細孔を形成した。
ポリビニルアルコールフィルムに封入した徐放性抗菌剤を20℃の脱イオン水に浸漬し、1週間放置した後の形状を観察した。その形状を表3に記した。
実施例10〜12では、ポリビニルアルコールフィルムが溶解した後には、塊状を維持し徐放性抗菌剤として機能することが分かった。なお、ポリビニルアルコールフィルムの溶解速度は、延伸していないものでは、20℃の水に浸漬した場合30秒程度で穴が開いてしまうのに対し、延伸したものでは、2分以上膜形状を保持できるものであった。
<実施例13〜15及び比較例5(圧縮成形体)>
表4に示す配合で抗菌剤と難水溶性キレート剤又は水溶性キレート剤とを混合し、錠剤成形機にて30kg/cm2の圧力で直径18mmの円筒形のペレットを作製した。実施例1〜5及び比較例2〜3と同様のスライム抑制試験を行った。その結果を比較例2及び3の結果とともに表4に示す。
表4に示す配合で抗菌剤と難水溶性キレート剤又は水溶性キレート剤とを混合し、錠剤成形機にて30kg/cm2の圧力で直径18mmの円筒形のペレットを作製した。実施例1〜5及び比較例2〜3と同様のスライム抑制試験を行った。その結果を比較例2及び3の結果とともに表4に示す。
実施例13〜15では、難水溶性キレート剤を添加しているため、スライムの発生が抑制されている。比較例5は、水溶性キレート剤を使用したものであるが、スライム汚染の抑制効果が比較例2のキレート剤を添加していないものと変らない結果となっている。キレート剤の水溶性が高すぎ、初期にドレン水に溶解してしまうことが効果を得られない原因であると考えられる。
1 抗菌剤、2 水酸化マグネシウム、3 水酸化アルミニウムゲル、4 水溶性フィルム、5 硫酸カルシウム1/2水和物(焼石膏)、6 硫酸カルシウム2水和物(石膏)。
Claims (4)
- 抗菌剤と、水酸化マグネシウム及び難水溶性キレート剤から選択される少なくとも一種とを含むことを特徴とする徐放性抗菌剤。
- 硫酸カルシウム2水和物(石膏)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の徐放性抗菌剤。
- 圧縮成形体であるか、又は多孔性容器に封入された粉末であることを特徴とする請求項1に記載の徐放性抗菌剤。
- 硫酸カルシウム1/2水和物(焼石膏)をさらに含み、水溶性フィルムからなる容器に封入されていることを特徴とする請求項1に記載の徐放性抗菌剤。
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US11498766B2 (en) | 2020-10-10 | 2022-11-15 | Hai Robotics Co., Ltd. | Warehousing system, material transporting method, control terminal, robot, and storage medium |
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2014
- 2014-04-01 JP JP2014075241A patent/JP2015196660A/ja active Pending
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