JP2010150181A - 徐放性スライムコントロール組成物の製造方法及びその設置方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄バクテリア等細菌類に対する殺菌成分を含有する徐放性スライムコントロール組成物の安全かつ効率的な製造方法と淡水海水関係なく具体的に設置できる方法の提供。
【解決手段】(a)結合剤として常温で固体の高級脂肪酸及びポリエチレングリコールと、(b)殺菌成分としてジメチルジデシルアンモニウムクロライド、ジメチルイソノニルデシルアンモニウムクロライド、ジメチルジオクチルアンモニウムクロライド、塩化ベンゼトニウム、硫酸銅、テレフタル酸銅からなる群から選択される一種又は二種以上と、(c)助剤としてポリビニルアルコール、吸油性微粉末、物理化学性調節剤からなる群から選択された一種又は二種以上と、を加熱混合する工程、次いで、加熱混合して得られる液状組成物を型枠に流し込み、自然放置、又は強制的に品温低下させることで固体化させて成型する工程を有することを特徴とする徐放性スライムコントロール組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、トンネル、ダム等の集水経路で、鉄バクテリア、硫酸塩還元菌等の細菌類が増殖して、寒天状物質(スライム)を生産することで集水孔や排水路を塞ぐ等の有害現象に対して、それを長期にわたって抑制及び阻止する徐放性スライムコントロール組成物を安全且つ効率的に製造する製造方法と、それを長期に安全且つ有効的に効果発現させる設置方法に関する。
トンネルは一種の巨大なコンクリートの筒である。この筒が土砂又は岩盤中に埋没した時、何の手段も施さないと土砂又は岩盤中より流れ出た水は、トンネルの背面(外側)を圧迫し、その圧力でコンクリートの筒に変調を起こし不測の事故を発生させる危険がある。そこで、トンネル内部と背面を通じた孔(以下、集水パイプと称する)を開けると、その流れ出た水は集水パイプを通じて排除されるために不測の事故の発生を未然に阻止することができる。一方、ダムについても同様に、貯められた水の圧力を逃すために集水パイプ同様の孔が設置されている。従って、多くのトンネルやダムには集水パイプが設置され、そこに集められた水は、排水溝を通って排水池(槽)に貯められた後、外部に廃棄される。
トンネル内では漏水箇所に鉄バクテリア等の細菌による茶褐色の寒天状汚泥(スライム)が発生する。これは、地中に生息していた鉄バクテリアが漏水に伴ってトンネル側壁面に堆積したもので、塩水、淡水に拘らず発生する。この汚泥はトンネル内の美観を損なうばかりでなく、樋掛部や排水溝を詰まらせるなどの問題を生じる。また、排水障害により滞留した水が塩分を含む場合、コンクリート構造物の鉄筋腐食の原因になる。従来は定期的な清掃でこの汚泥を取り除く作業が行われるが、現実には定期的な清掃は多くの労力を要する。よって、これを長期にわたって防ぐ方法が強く望まれている。
このスライムの発生は、トンネルやダムに対して多くの有害作用を起こしている。例えば、スライムが多量に生産されると最終的には集水パイプを閉塞してしまう。そうなるとトンネルやダムでは集水パイプがない状態と同じになり、水の圧力によってトンネルやダムのコンクリート壁面に変調を起こして不測の事故を起こすこととなる。そればかりでなく、スライムにより排水溝が詰まって水が溢れ、排水溝以外に漏水したり、悪影響を及ぼすことになる。それを取り除くには多くの人力を要する。また、トンネル内では走行する列車の風圧でスライムが飛び散り、列車、設備、トンネルを汚すことになり、その掃除も大変である。また、排水池に溜まった水は汲み上げてトンネル外に廃棄するが、これにスライムが流れ込んでいると、スライムは分別して処理しなければならず、余計な手間が掛かることとなる。また、近年では海底トンネルもあり、集水パイプには海水が流れ、ここにおいても同様の細菌が繁殖する。
トンネル構築に影響を与えるバクテリアとしては、鉄バクテリア(Gallionella ferrugineaなど)、硫酸塩還元細菌(Desulfovibrio desulfuricansなど)、硫黄酸化細菌(Thiobacillus thioparusなど)などである。特に、鉄バクテリアは漏水が空気と接触した箇所で生じるため、漏水箇所のできる限り上流側に薬剤を設置するか、空気に触れずに防除薬剤と接触させる方法が望まれている。
本発明において増殖阻止を目的とする鉄バクテリアは、鉄酸化バクテリアともいわれる。分子状酸素を用いて2価鉄イオン(Fe2+)を3価の鉄イオン(Fe3+)に酸化し、そのエネルギーを利用して炭酸固定する好気性の化学独立栄養生物である。同バクテリアが繁殖すると、スライム(褐色寒天状物質)を生成し、多量に生成すると例えば、トンネル内のコンクリートに開けた集水孔を塞ぐようになる。18℃以下の低温が至適増殖温度である。
本願発明において増殖阻止を目的とする硫酸塩還元菌は、硫酸還元菌ともいわれる。硫酸塩を最終電子受容体として有機物或いは水素を酸化してエネルギーを得て、生活する細菌である。鉄バクテリアの共生菌であり、スライムは生成しないといわれているが、本菌の増殖を阻止することにより鉄バクテリアの増殖も阻止できるとされている。
従来、鉄バクテリア、硫酸塩還元菌等の細菌の繁殖を阻止する殺菌有効成分を含有する薬剤として、例えば、特許文献1に開示された徐放性スライムコントロール組成物が提案されている。
この特許文献1に開示された徐放性スライムコントロール組成物は、塩化ベンゼトニウム、硫酸銅、テレフタル酸銅、ジメチルジデシルアンモニウムクロライドなどの殺菌有効成分と、ポリビニルアルコールと、高級脂肪酸並びにポリエチレングリコール及び無機中性塩から選択される1種又は2種以上の添加剤とを含有することを特徴としている。
また、この組成物の製造方法としては、クロロホルムのような有機溶媒に材料を溶解して練合し、練合物を顆粒状、円柱状又は板状に成型後、乾燥する製造方法が記載されている。
さらに、その使用方法としては、トンネルで使用する場合、集水パイプ内、集水口又は集水口下、又はその周辺に放置することが記載されている。
特開平11−246309号公報
しかし、特許文献1に開示された従来技術では、徐放性スライムコントロール組成物を製造する際に、劇物であるクロロホルムを用いて乾燥した場合には吸入等による毒性問題やその排気対策等に重大な問題があり、安全な製造方法とはいえない。クロロホルム以外の有機溶剤を用いても、揮発性溶剤を使用することになるので、その引火性対策も問題である。
また、該組成物をトンネル内に放置しただけでは、水圧で流されたり、トンネル内を通過する車両の風圧で吹き飛ばされたりする懸念があるが、特許文献1には、長期にわたって有効な効果を示し、かつ安全に使用する設置方法については記載されていない。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、寒天状物質(スライム)を生産することで有害作用を示す鉄バクテリア、硫酸塩還元菌等の細菌類の増殖を阻止する物質を含有する徐放性スライムコントロール組成物の安全かつ効率的な製造方法と淡水海水関係なく具体的に設置できる方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、
(a)結合剤として常温で固体の高級脂肪酸及びポリエチレングリコールと、
(b)殺菌成分としてジメチルジデシルアンモニウムクロライド、ジメチルイソノニルデシルアンモニウムクロライド、ジメチルジオクチルアンモニウムクロライド、塩化ベンゼトニウム、硫酸銅、テレフタル酸銅からなる群から選択される一種又は二種以上と、
(c)助剤としてポリビニルアルコール、吸油性微粉末、物理化学性調節剤からなる群から選択された一種又は二種以上と、
を加熱混合する工程、次いで、加熱混合して得られる液状組成物を型枠に流し込み、自然放置、又は強制的に品温低下させることで固体化させて成型する工程を有することを特徴とする徐放性スライムコントロール組成物の製造方法を提供する。
また本発明は、
(a)結合剤として常温で固体の高級脂肪酸及びポリエチレングリコールを融点以上に加温して溶融した中に、
(b)殺菌成分としてジメチルジデシルアンモニウムクロライド、ジメチルイソノニルデシルアンモニウムクロライド、ジメチルジオクチルアンモニウムクロライド、塩化ベンゼトニウム、硫酸銅、テレフタル酸銅からなる群から選択される一種又は二種以上と、
(c)助剤としてポリビニルアルコール、吸油性微粉末、物理化学性調節剤からなる群から選択された一種又は二種以上と、を添加して混合する工程、次いで、得られる液状組成物を型枠に流し込み、自然放置、又は強制的に品温低下させて固体化させて成型する工程を有することを特徴とする徐放性スライムコントロール組成物の製造方法を提供する。
本発明の徐放性スライムコントロール組成物の製造方法において、(b)殺菌成分がジメチルジデシルアンモニウムクロライドであることが好ましい。
本発明の徐放性スライムコントロール組成物の製造方法において、使用する型枠が紙製型枠、木製型枠、樹脂製型枠、金属製型枠からなる群から選択される一種、又はこれら型枠の二種以上を複合した複合型枠からなることが好ましい。
本発明の徐放性スライムコントロール組成物の製造方法において、使用する型枠に水溶性、又は水分散性のフィルムを敷き詰め、その上に前記液状組成物を流し込み、品温低下によって固体状に成型することが好ましい。
また本発明は、有害物生産細菌類を含む水の流出箇所に、本発明に係る前記製造方法で得られる徐放性スライムコントロール組成物を入れた型枠のまま、又は水溶性もしくは水分散性のフィルムと共に取り出し、水と前記徐放性スライムコントロール組成物とが直接接触するように固定設置することを特徴とする徐放性スライムコントロール組成物の設置方法を提供する。
また本発明は、有害物生産細菌類を含む水の流出箇所に、本発明に係る前記製造方法で得られる徐放性スライムコントロール組成物を入れた型枠のまま、又は水溶性もしくは水分散性のフィルムと共に取り出し、水と前記徐放性スライムコントロール組成物との間に吸水性資材を挟んで固定設置することを特徴とする徐放性スライムコントロール組成物の設置方法を提供する。
また本発明は、有害物生産細菌類を含む水の流出箇所と、入水口と排水口を有する容器とをホースで連結し、その容器内に本発明に係る前記製造方法で得られる徐放性スライムコントロール組成物を入れた型枠のまま、又は水溶性もしくは水分散性のフィルムと共に型枠から取り出して設置することを特徴とする徐放性スライムコントロール組成物の設置方法を提供する。
また本発明は、有害物生産細菌類を含む水が入り込むように設置された貯水槽に、本発明に係る前記製造方法で得られる徐放性スライムコントロール組成物を入れた型枠のまま、又は水溶性もしくは水分散性のフィルムと共に型枠から取り出して設置することを特徴とする徐放性スライムコントロール組成物の設置方法を提供する。
本発明に係る徐放性スライムコントロール組成物の製造方法によれば、毒性、引火性及び環境汚染が心配される有機溶媒を使うことなく、安全且つ効率的に製造することができ、トンネル内に設置した場合には設置場所としてコンクリート壁面、水路、貯水槽を問わず、設置することができる。
本発明に係る徐放性スライムコントロール組成物の設置方法によれば、水力や風圧による被害を受けずに徐放性スライムコントロール組成物を確実かつ有効に設置でき、長期間トンネル内で鉄バクテリア及び/又はその共生菌である硫酸還元菌の増殖及びそれらによるスライムの発生を長期間有効に阻止することができる。
本発明者らは鋭意研究した結果、結合剤として常温で固体の高級脂肪酸及びポリエチレングリコールを用い、殺菌成分にジメチルジデシルアンモニウムクロライド、ジメチルイソノニルデシルアンモニウムクロライド、ジメチルジオクチルアンモニウムクロライド、塩化ベンゼトニウム、硫酸銅、テレフタル酸銅から選択された一種又は二種以上を用い、助剤にポリビニルアルコール、吸油性微粉末、物理化学性調節剤から選択された1種又は二種以上を用い、全原料を加熱混合して液状化した後に、型枠に直接流し込み成型する。又は、型枠に水溶性若しくは水分散性のフィルムを敷き詰め、その上に流し込み成型する。使用方法としては組成物を入れた型枠のまま、又は水溶性若しくは水分散性のフィルムと共に組成物を取り出して、標記細菌類が含まれる水の流出箇所に、直接或いはスポンジ等の吸水性資材を組成物との間に挟み、固定バンド等で設置する。又は細菌類を含む水を取り込む入口と排水口を有する容器中に設置する。又は細菌類を含む水が溜まる貯水槽に入れて使用する。これらの知見を得て、本発明を完成させた。
本発明に係る徐放性スライムコントロール組成物の製造方法は、
(a)結合剤として常温で固体の高級脂肪酸及びポリエチレングリコールと、
(b)殺菌成分としてジメチルジデシルアンモニウムクロライド、ジメチルイソノニルデシルアンモニウムクロライド、ジメチルジオクチルアンモニウムクロライド、塩化ベンゼトニウム、硫酸銅、テレフタル酸銅からなる群から選択される一種又は二種以上と、
(c)助剤としてポリビニルアルコール、吸油性微粉末、物理化学性調節剤からなる群から選択された一種又は二種以上と、
を加熱混合する工程、次いで、加熱混合して得られる液状組成物を型枠に流し込み、自然放置、又は強制的に品温低下させることで固体化させて成型する工程を有することを特徴とする。
本発明の製造方法において、(a)結合剤として常温で固体の高級脂肪酸及びポリエチレングリコールを融点以上に加温して溶融した中に、前記(b)殺菌成分と、前記(c)助剤とを添加して混合し、得られる液状組成物を型枠に流し込み、自然放置、又は強制的に品温低下させて固体化させて成型することもできる。
本発明の製造方法において、(a)結合剤として用いられる高級脂肪酸は、炭素数が11以上の一般式CCOOH(n,mは整数を示す。)で表せる1価のカルボン酸であり、好適には、ヒマシ油、ヒマシ硬化油、牛脂硬化油、牛脂脂肪酸及び牛脂微水添脂肪酸から選択された1種又は2種であり、更に好適には、ヒマシ硬化油又はヒマシ硬化油及び牛脂硬化油である。高級脂肪酸の含量は、1乃至50質量%の範囲が好ましく、3乃至40質量%の範囲が更に好ましい。ヒマシ硬化油及び牛脂硬化油の好適な含有比率は1:1から1:3の範囲である。
ヒマシ硬化油は、ヒマシ油を接触還元して得られた融点:85℃を有するワックス状物質である。C16−C20のヒドロキシ飽和高級脂肪酸(12−ヒドロキシステアリン酸を80%以上含む)又はC16−C20のヒドロキシ不飽和高級脂肪酸を含んでいる。牛脂硬化油は、牛の脂肪酸を接触還元して得られたワックス状物質である。主にC14−C18の飽和高級脂肪酸又はC14−C18不飽和高級脂肪酸を含む。融点が43℃乃至55℃を示すものがあるが、融点51℃程度のものが好ましい。
本発明の製造方法において、(a)結合剤として用いられるポリエチレングリコールは、酸化エチレンを重合して製造したものであり、その分子量は1000及至20000の範囲が好ましく、1500及至6000の範囲が更に好ましい。その含量は殺菌成分、他の添加物によって異なるが、15及至60質量%の範囲が好ましく、20及至50質量%の範囲が更に好ましいが、特に限定されるものではない。
本発明の製造方法において、(b)殺菌成分としては、ジメチルジデシルアンモニウムクロライド、ジメチルイソノニルデシルアンモニウムクロライド、ジメチルジオクチルアンモニウムクロライド、塩化ベンゼトニウム、硫酸銅、テレフタル酸銅からなる群から選択される一種又は二種以上の化合物が挙げられる。特に好適な殺菌成分は、ジメチルジデシルアンモニウムクロライドである。
この(b)殺菌成分の含量は、成分や他の添加物の量によって異なるが、10及至70質量%の範囲が好ましく、30及至50質量%の範囲が更に好ましいが、特に限定されるものではない。塩化ベンゼトニウム、硫酸銅、ジメチルジデシルアンモニウムクロライドについては、特に好適には、40質量%程度である。
本発明の製造方法において、(c)助剤としては、ポリビニルアルコール、吸油性微粉末、物理化学性調節剤からなる群から選択された一種又は二種以上が挙げられる。
このうち、ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルを重合させて生成したポリ酢酸ビニルをケン化して製造した物質であり、重合度は100及至2000の範囲が好ましく、500及至1000の範囲が更に好ましい。ケン化度は70及至90モル%の範囲が好ましく、85及至90モル%の範囲が更に好ましい。その含量は有効成分、他の添加物によって異なるが、1及至25質量%の範囲が好ましく、5及至20質量%の範囲が更に好ましいが、特に限定されるものではない。
本発明において、(c)助剤として用いる吸油性微粉としては、含水無晶形酸化ケイ素であるホワイトカーボン、α化澱粉や酵素変性デキストリンである特殊加工澱粉、針葉樹やケナフなどの植物由来の微粉等が挙げられる。これらの中でもホワイトカーボンが好ましい。その含量は、殺菌成分、他の添加物によって異なるが、5及至25質量%の範囲が好ましく、10及至20質量%の範囲が更に好ましいが、特に限定されるものではない。
本発明において、(c)助剤としては、得られる徐放性スライムコントロール組成物の物理化学性を更に最適化するために界面活性剤、液体溶媒、その他補助剤等の物理化学性調節剤を含有できる。
徐放性スライムコントロール組成物に添加できる界面活性剤としては、組成物の製造分野で一般に用いている各種の界面活性剤が使用でき、例えば、ポリエチレングリコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、ソルビタンモノアルキレート、アセチレンアルコールおよびアセチレンジオール並びにそれらのアルキレンオキシドを付加物等のノニオン系界面活性剤、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩及びその縮合物、アルキル硫酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルアリール燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリカルボン酸型高分子活性剤等のアニオン系界面活性剤等、更にはシリコーン系やフッ素系の界面活性剤等を挙げることができ、その中でもノニオン系界面活性剤が好ましい。また、界面活性剤は一種又は二種以上を混合して用いることができる。界面活性剤の含量は、0.1及至20質量%の範囲が好ましく、0.5及至10質量%の範囲がさらに好ましいが、特に限定されるものではない。
徐放性スライムコントロール組成物に添加できる液体溶媒としては、(b)殺菌成分と反応しない液体溶媒が適当であり、一般に用いている液体溶媒の中から選択して一種又は二種以上を使用できる。例えば、エタノール、フタル酸エステル、アルキルナフタレン、アルキルピロリドン、フェニルキシリールエタン、グリセリン、アルキレングリコール、キシレン、ケロシンを始めとして、その他にアルコール類、メタン列炭化水素類、脂肪酸エステル類、多塩基酸類等の有機溶剤及び水を用いることができるが、これらに限定されるものではない。使用する液体溶媒は、できるだけ毒性が低く、生分解され易く、環境に優しいものが好適であり、例えば、水とエチルアルコール等の低級アルコールとの併用が優れる。液体溶媒の含量は、0.1及至20質量%の範囲が好ましく、0.5及至10質量%の範囲が更に好ましいが、特に限定されるものではない。尚、水と低級アルコールを併用して用いる場合には、局所排気装置を用いた閉鎖系装置で製造することが望ましい。
本発明において、徐放性スライムコントロール組成物には、物理化学性を更に最適化するために界面活性剤、液体溶媒以外に、鉱物質微粉、塩類、水溶性高分子、物理性向上剤、成分安定化剤、増量剤等の補助剤を添加することができる。尚、これら補助剤は性状が固体或いは液体でも良く、水に対して難溶性或いは易溶性でも良い。例えば、クレー、炭酸カルシウム、ベントナイト、タルク、珪藻土等の鉱物質微粉、硫酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の有機又は無機酸の塩類、クエン酸、コハク酸等の有機酸類、蔗糖、ラクトース、キサンタンガム、デンプン、デキストリン等の糖類、尿素、キサンタンガム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。補助剤の含量は、0.1及至20質量%の範囲が好ましく、0.5及至10質量%の範囲が更に好ましいが、特に限定されるものではない。
更に、貯水槽などに入れて使用する場合、水面に浮遊させて使用するために浮遊性補助剤を用いることもできる。このような浮遊性補助剤としては、例えば、軽石、バーミキュライト、パーライト等の鉱物質、籾、サトウキビ、稲藁、麦藁、椰子、バナナ、竹、葦、トウモロコシ芯、木材等の植物質などの補助剤が挙げられ、それ以外にはシラスより成る発泡シラス、アルミノシリケート系で焼成してなるフィライト、珪酸ソーダ或いは硼砂を発泡させたマイクロバルーン、フライアッシュ、セラミック中空体等の無機物、フェノール樹脂よりなるフェノールマイクロバルーン、エポキシ樹脂よりなるエコスフェアー、ポリウレタンよりなるポリウレタンフォーム、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体よりなるマイクロスフェアー等の有機物が挙げられる。マイクロスフェアーは通常、水或いは炭酸カルシウム、酸化チタン等により5〜10倍に希釈されたものを用いることができる。浮遊性補助剤の含量は、0.1及至20質量%の範囲が好ましく、0.5及至10質量%の範囲が更に好ましいが、特に限定されるものではない。
本発明に係る徐放性スライムコントロール組成物の製造方法の実施形態としては、
(1) 徐放性スライムコントロール組成物の必須成分である前記(a)結合剤、(b)殺菌成分、(c)助剤、さらに必要に応じて添加される他の添加剤を加熱混合し、得られる液状組成物を型枠に流し込み、自然放置、又は強制的に品温低下させて固体化し、成型する方法、
(2) 前記(a)結合剤を予め融点以上に加温して溶融し、その中に、前記(b)殺菌成分と、前記(c)助剤とを添加して混合し、得られる液状組成物を型枠に流し込み、自然放置、又は強制的に品温低下させて固体化し、成型する方法、
が挙げられる。
加温条件は、原材料にもよるが、40〜100℃の範囲が好ましく、50〜90℃の範囲が更に好ましく、その温度範囲で取扱い可能な粘性が得られる原料を用いるのが良い。
各材料を加熱混合するための装置は、製薬分野や合成樹脂製造分野等で一般に使用されている温水ジャケット付撹拌混合機などの各種のミキサーや押出機を用いることができ、特に限定されない。
本発明の製造方法において用いる型枠は、紙製型枠、木製型枠、樹脂製型枠、金属製からなる群から選択される一種、又はこれら型枠の二種以上を複合した複合型枠を用いることができる。好適には樹脂製型枠であり、特に好適にはポリエチレン製型枠、ポリプロピレン製型枠、ポリスチレン製型枠である。また、型枠は組成物製造時の品温以上に耐え得る程度の耐熱性を有することが好ましい。耐久温度としては好適には100℃以上、更に好適には150℃以上である。使用する型枠は、好適には蓋付きのものが良く、内部が分割されているものも使用できる。蓋付きの場合は、加温した組成物の流し込み直後に蓋をして、自然状態で積み重ねができるし、冷却水中に浸けて強制的に品温低下させて固体化させることも可能である。
本発明の製造方法において、前記型枠は、水溶性或いは水分散性のフィルムを敷き詰め、その上に加熱混合した組成物を流し込み成型することができる。こうすることで、型枠から固体化した組成物を取り出し易くなり、また、人の手で直接薬剤と接触しないために取り扱い上での安全性が確保できる利点がある。使用時には細菌類を含む水と接触すると、水分散性フィルムは水に溶解もしくは分散し、固体化した徐放性スライムコントロール組成物が細菌類を含む水と接触するので有効である。
型枠に入れる本発明組成物の量は20g〜400gの範囲であり、40g〜200gの範囲が好ましく、60〜150gの範囲が更に好ましい。型枠内が分割されている場合は、単独枠の入れる量が該当する。本発明において、製造する徐放性スライムコントロール組成物の形状は型枠で選択でき、通常は円柱状、直方体状、半球状、板状又は塊状が適当であるが、特に限定されない。
型枠に敷き詰める水溶性或いは水分散性のフィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール製フィルム、ポリオキシポリアルキレングリコール製フィルム、ヒドロキシプロピルセルロース製フィルム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース製フィルム、メチルセルロース製フィルム、カルボキシメチルセルロースナトリウム製フィルム、ポリアクリル酸ナトリウム製フィルム、アルギン酸製フィルム、ゼラチン製フィルム、プルラン製フィルム、可溶化澱粉製フィルム、紙等が挙げられるが、好適には水に溶解するポリビニルアルコール製フィルムである。フィルムの厚さは特に限定されないが、一般に20μm〜100μmであり、25μm〜40μmの範囲が好ましい。又、同一或いは異なる組成のフィルムを用いて多重包装しても良い。
本発明に係る徐放性スライムコントロール組成物の設置方法は、前述した本発明に係る製造方法によって得られた徐放性スライムコントロール組成物を、安全かつ有効に目的位置に設置し、長期間安定に殺菌作用を発揮させることを特徴とし、具体的には、以下の(1)〜(4)の実施形態が挙げられる。
(1) 有害物生産細菌類を含む水の流出箇所に、前述した本発明に係る製造方法で得られる徐放性スライムコントロール組成物を入れた型枠のまま、又は水溶性もしくは水分散性のフィルムと共に取り出し、水と前記徐放性スライムコントロール組成物とが直接接触するように固定設置する設置方法。
(2) 有害物生産細菌類を含む水の流出箇所に、前述した本発明に係る製造方法で得られる徐放性スライムコントロール組成物を入れた型枠のまま、又は水溶性もしくは水分散性のフィルムと共に取り出し、水と前記徐放性スライムコントロール組成物との間に吸水性資材を挟んで固定設置する徐放性スライムコントロール組成物の設置方法。
(3) 有害物生産細菌類を含む水の流出箇所と、入水口と排水口を有する容器とをホースで連結し、その容器内に前述した本発明に係る製造方法で得られる徐放性スライムコントロール組成物を入れた型枠のまま、又は水溶性もしくは水分散性のフィルムと共に型枠から取り出して設置する徐放性スライムコントロール組成物の設置方法。
(4) 有害物生産細菌類を含む水が入り込むように設置された貯水槽に、前述した本発明に係る製造方法で得られる徐放性スライムコントロール組成物を入れた型枠のまま、又は水溶性もしくは水分散性のフィルムと共に型枠から取り出して設置する徐放性スライムコントロール組成物の設置方法。
設置する徐放性スライムコントロール組成物の量としては、流れ出る水の流出量、そこに含まれる細菌量により異なる。例えば、流出する延べ水量26kL(0.2L/分×3ヶ月)当たり、50〜150gの範囲の徐放性スライムコントロール組成物を、通常1〜10個、好ましくは4〜7個を設置するが、これに限定されるものではない。
以下、本発明の効果を実施例及び比較例にて詳細に説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。尚、以下の実施例および比較例において、「部」は質量部を表す。
[実施例1]
温水ジャケット付撹拌混合機に90℃の温水を通し、高級脂肪酸(日本油脂社製:牛脂硬化油/融点51℃)12部、高級脂肪酸(日本油脂社製:ひまし油硬化油/融点81℃)4部及びポリエチレングリコール(三洋化成工業社製:PEG#4000S/融点56℃)16部を順次入れて融解混合する。そこにジメチルジデシルアンモニウムクロライド(ケイアイ化成製:ケイサニットBP−80)50部(有効殺菌成分80%、残部水等から成る)、ポリビニルアルコール(日本合成化学製:ゴーセノールGL−05S)8部及び塩化ナトリウム(関東化学社製:試薬一級)10部を順次添加して得られた混合物を、蓋付きポリエチレン製型枠(内径縦15cm×横20cm×深さ2cm:容量100ml×4分割)の四箇所に100gずつ計400gを流し込み、自然冷却し、本発明に係る徐放性スライムコントロール組成物を得た。
[実施例2]
温水ジャケット付撹拌混合機に90℃の温水を通し、高級脂肪酸(日本油脂社製:牛脂硬化油/融点51℃)10部、高級脂肪酸(日本油脂社製:ひまし油硬化油/融点81℃)5部及びポリエチレングリコール(三洋化成社製:PEG#4000S/融点56℃)20部を順次入れて融解混合する。そこにジメチルジデシルアンモニウムクロライド(ケイアイ化成工業社製:ケイサニットBP−80)50部(有効殺菌成分80%、残部水等から成る)、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製:ゴーセノールGL−05S)5部、ホワイトカーボン(東ソーシリカ社製:ニプシールNS)10部を順次添加して得られた混合物を、蓋付きポリエチレン製型枠(内径縦15cm×横20cm×深さ2cm:容量100ml×4分割)に水溶性フィルム(日本合成化学社製:ハイセロンS−400厚み30μm、縦30cm×横40cm)を敷き詰め、そこに100gずつ四箇所に流し込み、水溶性フィルムで包んでポリプロピレン製の蓋で密封した後で、水温20℃の冷却水中に冷却水が入らないように浸して冷却し、本発明に係る徐放性スライムコントロール組成物を得た。
[実施例3]
温水ジャケット付撹拌混合機に90℃の温水を通し、高級脂肪酸(日本油脂社製:牛脂硬化油/融点51℃)15部、高級脂肪酸(日本油脂社製:ひまし油硬化油/融点81℃)10部及びポリエチレングリコール(三洋化成社製:PEG#4000S/融点56℃)30部を順次入れて融解混合する。そこにジメチルジデシルアンモニウムクロライド(ケイアイ化成社製:ケイサニットBP−80)25部(有効殺菌成分80%、残部水等から成る)、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製:ゴーセノールGL−05S)10部、ホワイトカーボン(東ソーシリカ社製:ニプシールNS)10部を順次添加して得られた混合物を、紙コップ製型枠(内直径8cm×深さ10cm:容量約500ml)に400g流し込み、自然冷却し、本発明に係る徐放性スライムコントロール組成物を得た。
[実施例4]
温水ジャケット付撹拌混合機に90℃の温水を通し、高級脂肪酸(日本油脂社製:牛脂硬化油/融点51℃)15部、高級脂肪酸(日本油脂社製:ひまし油硬化油/融点81℃)5部及びポリエチレングリコール(三洋化成工業社製:PEG#4000S/融点56℃)13部を順次入れて融解混合する。そこにジメチルジデシルアンモニウムクロライド(ケイアイ化成社製:ケイサニットBP−80)25部(有効殺菌成分80%、残部水等から成る)、塩化ベンゼトニウム(ロンザジャパン社製)20部、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製:ゴーセノールGL−05S)10部、ホワイトカーボン(東ソーシリカ製:ニプシールNS)10部及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(三洋化成工業社製:ニューポールPE−68/融点53℃)2部を順次添加して得られた混合物を、紙コップ製型枠(内直径8cm×深さ10cm:容量500ml)に400g流し込み、自然冷却し、本発明に係る徐放性スライムコントロール組成物を得た。
[実施例5]
温水ジャケット付撹拌混合機に90℃の温水を通し、高級脂肪酸(日本油脂社製:牛脂硬化油/融点51℃)10部、高級脂肪酸(日本油脂社製:ひまし油硬化油/融点81℃)10部及びポリエチレングリコール(三洋化成工業社製:PEG#4000S/融点56℃)20部を順次入れて融解混合する。そこに塩化ベンゼトニウム(ロンザジャパン社製)40部、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製:ゴーセノールGL−05S)10部及びホワイトカーボン(東ソーシリカ社製:ニプシールNS)10部を順次添加して得られた混合物を、紙コップ製型枠(内直径8cm×深さ10cm:容量500ml)に400g流し込み、自然冷却し、本発明に係る徐放性スライムコントロール組成物を得た。
[実施例6]
温水ジャケット付撹拌混合機に90℃の温水を通し、高級脂肪酸(日本油脂社製:牛脂硬化油/融点51℃)25部、高級脂肪酸(日本油脂社製:ひまし油硬化油/融点81℃)10部及びポリエチレングリコール(三洋化成社製:PEG#4000S/融点56℃)8部を順次入れて融解混合する。そこに硫酸銅(関東化学社製:一級試薬)40部、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製:ゴーセノールGL−05S)10部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(三洋化成工業社製:ニューポールPE−68/融点53℃)2部及び塩化ナトリウム(関東化学社製:一級試薬)5部を順次添加して得られた混合物を、蓋付きポリエチレン製型枠(内径縦15cm×横20cm×深さ2cm:容量100ml×4分割)の四箇所に100gずつ計400gを流し込み、自然冷却し、本発明に係る徐放性スライムコントロール組成物を得た。
[比較例1]
この比較例1は、特許文献1(特開平11−246309号公報)の実施例に記載された組成物「C−5」に対応したものである。
ジメチルジデシルアンモニウムクロライド(ケイアイ化成社製:ケイサニットBP−80)50部(有効殺菌成分80%、残部水等から成る)、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製:ゴーセノールGL−05S)8部、ホワイトカーボン(日本合成化学社製:ニプシールNS)13部、高級脂肪酸(日本油脂社製:ひまし油硬化油/融点81℃)4部、高級脂肪酸(日本油脂社製:牛脂微水添脂肪酸/融点51℃)4部及びポリエチレングリコール(三洋化成社製:PEG#4000S)21部を順次添加した後、クロロホルム30部を添加して溶解練合し、円柱状に成型した後、局所排気装置付きチャンバー内でクロロホルムを留去乾燥し、比較例1の組成物を得た。
[比較例2]
この比較例2は、特許文献1(特開平11−246309号公報)の実施例に記載された組成物「A−5」に対応したものである。
塩化ベンゼトニウム(ロンザジャパン社製)40部、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製:ゴーセノールGL−05S)10部、高級脂肪酸(日本油脂社製:ひまし油硬化油/融点81℃)10部、ポリエチレングリコール(三洋化成社製:PEG#4000S)36部、ポリエチレングリコール(三洋化成社製:PEG#1540)2部、ポリエチレングリコール(三洋化成社製:PEG#1000)2部を順次添加した後、クロロホルム30部を添加して溶解練合し、円柱状に成型した後、局所排気装置付きチャンバー内でクロロホルムを留去乾燥し、比較例2の組成物を得た。
[比較例3]
この比較例3は、特許文献1(特開平11−246309号公報)の実施例に記載された組成物「B−2」に対応したものである。
硫酸銅(関東化学社製:一級試薬)40部、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製:ゴーセノールGL−05S)15部、高級脂肪酸(日本油脂社製:ひまし油硬化油/融点81℃)35部及び塩化ナトリウム(関東化学社製:一級試薬)10部を順次添加した後、クロロホルム30部を添加して溶解練合し、円柱状に成型した後、局所排気装置付きチャンバー内でクロロホルムを留去乾燥し、比較例3の組成物を得た。
<防菌試験>
コンクリートブロックを積み重ね、高さ100cmのコンクリート壁面を作製し、高さ80cmの位置に直径1cmの穴を開け、この穴に直径1cmのホースを通した。人工海水湧水装置を用い、ホースから鉄バクテリアを含む人工海水を通して、コンクリート壁面の穴から毎分0.2L(288L/日)流した。そこに前述した実施例1〜6及び比較例1〜3で製造した組成物をそれぞれ400gとなるように設置した。設置方法としては以下の(1)〜(5)に示す設置方法のいずれかとした。
設置法(1):コンクリート壁面水出口の周辺四箇所にアンカーを打ち、水出口に組成物を型枠に入れたまま設置し、四方から針金で固定した。
設置法(2):コンクリート壁面水出口の周辺四箇所にアンカーを打ち、水出口に組成物を型枠に入れたまま、厚み2cmのスポンジを挟んで設置し、四方から針金で固定した。
設置法(3):コンクリート壁面水出口の周辺四箇所にアンカーを打ち、水出口に組成物を型枠から水溶性フィルムで包んだままで設置し、四方から金属バンドで固定した。比較例はそのまま、四方から金属バンドで固定した。
設置法(4):水の流出箇所から、入水口と排水口を有する5L容器にホースで連結した。その容器内に組成物を型枠から水溶性フィルムと共に取り出して入れて設置した。
設置法(5):水の流出箇所から、ホースで50Lバケツに水を溜めた。そこへ組成物を入れた型枠から水溶性フィルムと共に取り出して入れて設置した。比較例はそのまま、50Lバケツに入れて設置した。
観察は15日毎に行い、菌(鉄バクテリア)の繁殖とスライムの生成状態を肉眼観察し、表1の「抑制効果の判定基準に従って判定した。その結果を表1にまとめて記す。
また、実施例1〜6の各組成物の成分を表2にまとめて記す。
さらに、比較例1〜3の各組成物の成分を表3にまとめて記す。
Figure 2010150181
Figure 2010150181
Figure 2010150181
表1の結果から、本発明に係る製造方法によって製造した実施例1〜6の徐放性スライムコントロール組成物は、特許文献1に記載された従来技術に基づいた比較例1〜3の組成物と比べ、いずれも菌抑制効果が長くなった。従って、本発明によれば、長期間安定した菌抑制効果を発揮し得る徐放性スライムコントロール組成物を提供できる。
また、実施例1〜6の徐放性スライムコントロール組成物は、比較例1〜3において製造の際に用いたクロロホルムのような有毒な溶媒を使用せず、各材料を加熱混合することで製造しているので、製造が安全に実施でき、溶媒回収などの余分な作業を省くことができる。
また、実施例1〜6の徐放性スライムコントロール組成物は、設置法(1)〜(5)のいずれにも適用させることができ、全て良好な菌抑制効果を得ることができた。

Claims (9)

  1. (a)結合剤として常温で固体の高級脂肪酸及びポリエチレングリコールと、
    (b)殺菌成分としてジメチルジデシルアンモニウムクロライド、ジメチルイソノニルデシルアンモニウムクロライド、ジメチルジオクチルアンモニウムクロライド、塩化ベンゼトニウム、硫酸銅、テレフタル酸銅からなる群から選択される一種又は二種以上と、
    (c)助剤としてポリビニルアルコール、吸油性微粉末、物理化学性調節剤からなる群から選択された一種又は二種以上と、
    を加熱混合する工程、次いで、加熱混合して得られる液状組成物を型枠に流し込み、自然放置、又は強制的に品温低下させることで固体化させて成型する工程を有することを特徴とする徐放性スライムコントロール組成物の製造方法。
  2. (a)結合剤として常温で固体の高級脂肪酸及びポリエチレングリコールを融点以上に加温して溶融した中に、
    (b)殺菌成分としてジメチルジデシルアンモニウムクロライド、ジメチルイソノニルデシルアンモニウムクロライド、ジメチルジオクチルアンモニウムクロライド、塩化ベンゼトニウム、硫酸銅、テレフタル酸銅からなる群から選択される一種又は二種以上と、
    (c)助剤としてポリビニルアルコール、吸油性微粉末、物理化学性調節剤からなる群から選択された一種又は二種以上と、を添加して混合する工程、次いで、得られる液状組成物を型枠に流し込み、自然放置、又は強制的に品温低下させて固体化させて成型する工程を有することを特徴とする徐放性スライムコントロール組成物の製造方法。
  3. (b)殺菌成分がジメチルジデシルアンモニウムクロライドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の徐放性スライムコントロール組成物の製造方法。
  4. 使用する型枠が紙製型枠、木製型枠、樹脂製型枠、金属製型枠からなる群から選択される一種、又はこれら型枠の二種以上を複合した複合型枠からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の徐放性スライムコントロール組成物の製造方法。
  5. 使用する型枠に水溶性、又は水分散性のフィルムを敷き詰め、その上に前記液状組成物を流し込み、品温低下によって固体状に成型することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の徐放性スライムコントロール組成物の製造方法。
  6. 有害物生産細菌類を含む水の流出箇所に、請求項1〜5のいずれか1項に記載した製造方法で得られる徐放性スライムコントロール組成物を入れた型枠のまま、又は水溶性もしくは水分散性のフィルムと共に取り出し、水と前記徐放性スライムコントロール組成物とが直接接触するように固定設置することを特徴とする徐放性スライムコントロール組成物の設置方法。
  7. 有害物生産細菌類を含む水の流出箇所に、請求項1〜5のいずれか1項に記載した製造方法で得られる徐放性スライムコントロール組成物を入れた型枠のまま、又は水溶性もしくは水分散性のフィルムと共に取り出し、水と前記徐放性スライムコントロール組成物との間に吸水性資材を挟んで固定設置することを特徴とする徐放性スライムコントロール組成物の設置方法。
  8. 有害物生産細菌類を含む水の流出箇所と、入水口と排水口を有する容器とをホースで連結し、その容器内に請求項1〜5のいずれか1項に記載した製造方法で得られる徐放性スライムコントロール組成物を入れた型枠のまま、又は水溶性もしくは水分散性のフィルムと共に型枠から取り出して設置することを特徴とする徐放性スライムコントロール組成物の設置方法。
  9. 有害物生産細菌類を含む水が入り込むように設置された貯水槽に、請求項1〜5のいずれか1項に記載した製造方法で得られる徐放性スライムコントロール組成物を入れた型枠のまま、又は水溶性もしくは水分散性のフィルムと共に型枠から取り出して設置することを特徴とする徐放性スライムコントロール組成物の設置方法。
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