JP2015196015A - 車両用シートパッド、車両用シートパッドの製造方法及びそれに用いる金型 - Google Patents

車両用シートパッド、車両用シートパッドの製造方法及びそれに用いる金型 Download PDF

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Abstract

【課題】車両用シートパッドに埋設される樹脂製の線材を、破断に至らないように折り曲げ賦形しながら作業性良く発泡成形用金型に装着して発泡成形を行うことができる車両用シートパッド、車両用シートパッドの製造方法及びそれに用いる金型を提供する。
【解決手段】車両用シートパッド10は、発泡樹脂に樹脂製の線材20が埋設されてなり、線材20は、シートパッド10の幅方向に沿うと共に、幅方向の一端側及び他端側がシートパッド10の長さ方向に向けて屈曲されて平面視でコ字状を成すように埋設されており、発泡樹脂は、屈曲の内角側に、シートパッド10の厚さ方向に沿って柱状の空孔部110を残すように成形される。シートパッド10は、屈曲の支点となる柱状部を有する金型を用いることによって、線材20の一端側及び他端側を柱状部を支点として屈曲させる工程と、発泡成形を行う工程とを含む製造方法で製造される。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用シートパッド、車両用シートパッドの製造方法及びそれに用いる金型に関する。
自動車等の車両に備えられる乗員が着座するための車両用シートは、一般に、ウレタンフォーム等の発泡樹脂が発泡成形された樹脂成形体であるシートパッドと、そのシートパッドを覆う布製の表皮体と、樹脂成形体を補強するための任意に備えられるワディング材とから形成されている。このようなシートパッドには、表皮体を係止するための線材が埋設されるのが一般的であり、埋設される線材は、表皮体を係止する機能の他、車両用シートを補強する機能を兼ねることもある。
シートパッドには、単一本の線材が、シートパッドの幅方向に沿って横架されると共に、その両端側がシートパッドの長さ方向に向けてそれぞれ屈曲され、略コ字状の形状を成すように折り曲げ賦形されて埋設されることが多い。このような線材は、シートパッドの発泡成形時においては、発泡成形用の金型にあらかじめ賦形されて装着される。そして、線材が装着された状態のキャビティに発泡樹脂が注入され、その発泡樹脂が発泡及び硬化することによって、線材が埋設されたシートパッドが成形される。
従来、シートパッドに埋設する線材としては、鉄製や鋼製の金属ワイヤが主流とされてきた。金属ワイヤでは、発泡成形用の金型への装着を行う際に、金型内に配設した磁石による磁力や、屈曲に対する反力を活用することができる。そのため、金属ワイヤは、折り曲げ賦形しながら比較的容易に金型に装着することが可能であった。また、磁力や反力を活用することができるため、金属ワイヤを金型内に固定するための固定点が少なくても、折り曲げ賦形に支障を来すことは少なかった。通常、このような金属ワイヤを利用して発泡成形されたシートパッドは、金属ワイヤごと金型から離型され、シートパッドの廃棄時には、金属ワイヤと分別されて各別に廃棄処理されるのが一般的であった。
近年では、こうしたシートパッドの廃棄処理の簡便化や、廃棄される金属ワイヤの削減等を図るために、金属ワイヤに代えて、樹脂製の線材が用いられることが多くなっている。例えば、特許文献1には、ポリエステル系樹脂でなるリステイングワイヤをシートパッドに装着すると共に、ポリエステル系樹脂でなる吊込みコードをトリムカバーの内側に備え付け、その吊込みコードをリステイングワイヤに着脱可能に掛け止めてトリムカバーをシートパッドに取外し可能に被着することが開示されている。
また、特許文献2には、複数の表皮ピースを縫製したシートカバーの特定の縫製部に吊り袋を縫着してモールドウレタンパッド側に吊り袋を引込んで同縫製部を所定のパターンの装飾用溝に引込み形成するため、モールドウレタンパッド側には縫製部のパターンに倣って引込み溝を凹設するとともに、この引込み溝にはその底部のほぼ中心位置に沿って埋設される合成樹脂材よりなる芯材とこの芯材に一体状に取付けられて引込み溝の左右の側壁側に延出して埋設される繊維材からなるヒレ部材を設けた樹脂ワイヤをインサート成形して、吊り袋を芯材に引込み固定し、この芯材をヒレ部材により抜け止め可能に構成したパッドインサート用樹脂ワイヤが開示されている。
特開2000−004993号公報 特開平8−206376号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されるような樹脂製の線材では、シートパッドの発泡成形において線材を金型に装着する際に、磁力を活用することができないという問題がある。また、樹脂製の線材では、屈曲に対する反力を活用しようとしても、樹脂製の線材を屈曲させると屈曲部の断面の一部が容易に破断してしまうため、金型への装着に利用できるような反力を得ることは困難である。そのため、樹脂製の線材では、屈曲されて反力が低下し、ふらつきを生じている状態であっても適切に固定されるように、金型に多数の固定点を設ける必要が生じる。また、そのような多数の固定点に線材を固定する作業は煩雑なものとなるため、線材の装着の作業性が優れないという問題がある。
そこで、本発明は、車両用シートパッドに埋設される樹脂製の線材を、破断に至らないように折り曲げ賦形しながら作業性良く発泡成形用金型に装着して発泡成形を行うことができる車両用シートパッド、車両用シートパッドの製造方法及びそれに用いる金型を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために請求項1に記載の車両用シートパッドは、発泡樹脂に樹脂製の線材が埋設されてなる車両用シートパッドであって、前記線材は、前記車両用シートパッドの幅方向に沿って埋設されると共に、前記幅方向の一端側及び他端側が前記車両用シートパッドの長さ方向に向けてそれぞれ屈曲されて平面視でコ字状を成しており、前記発泡樹脂は、前記屈曲の内角側に、前記車両用シートパッドの厚さ方向に沿って、柱状の空孔部を残すように成形されていることを特徴とする。
この発明は、車両用シートパッドに埋設される樹脂製の線材を、破断に至らないように折り曲げ賦形しながら作業性良く発泡成形用金型に装着して発泡成形することができる。そして、この発明によれば、前記発泡樹脂が、柱状の空孔部を残すように成形されていることによって、乗員からの荷重を受けた発泡樹脂が、空孔部に逃げることができるようになり、線材からの反発力を受け難くさせることができる。そのため、埋設されている線材に対して乗員が感じる異和感を低減させることができる。
また、請求項2に記載の車両用シートパッドは、前記空孔部が、前記車両用シートパッドの厚さ方向に貫通していることを特徴とする。
この発明によれば、空孔部が、車両用シートパッドの厚さ方向に貫通していることによって、車両用シートパッドの通気性を向上させることができる。そのため、湿気等に起因する乗員にとっての快適性の悪化や、発泡樹脂の劣化を抑制することができる。
また、請求項3に記載の車両用シートパッドは、前記柱状の空孔部が、横断面視で楔形状を有することを特徴とする。
この発明によれば、柱状の空孔部が、横断面視で楔形状を有することによって、空孔部が残されていながらも、発泡樹脂と線材との接触面積を大きく採ることができる。そのため、発泡樹脂の成形体が線材によって適切に支持されるようにすることができ、車両用シートパッドの耐久性を向上させることができる。
また、請求項4に記載の車両用シートパッドの製造方法は、発泡樹脂に樹脂製の線材が
埋設されてなる車両用シートパッドを金型で発泡成形して製造する製造方法であって、前記線材は、前記車両用シートパッドの幅方向に沿って埋設されると共に、前記幅方向の一端側及び他端側が前記車両用シートパッドの長さ方向に向けてそれぞれ屈曲されて平面視でコ字状を成しており、前記金型は、キャビティの幅方向の一端側及び他端側の底部に、前記線材の屈曲の支点となる複数の柱状部をそれぞれ有し、前記製造方法は、前記線材を前記キャビティの幅方向に沿って横架させると共に、前記横架させた線材の一端側及び他端側を前記柱状部を屈曲の支点として前記キャビティの長さ方向に向けて屈曲させる工程と、前記キャビティに発泡樹脂を注入し、前記発泡樹脂を発泡させて発泡成形を行う工程とを含むことを特徴とする。
この発明によれば、キャビティの幅方向の一端側及び他端側の底部に、複数の柱状部をそれぞれ有する金型を用いて、樹脂製の線材を屈曲させるため、樹脂製の線材の折り曲げ賦形を容易且つ正確に行うことができる。また、屈曲させた線材が位置ずれを生じ難くなるため、線材の位置決めを容易に行うことができるようになる。
また、請求項5に記載の車両用シートパッドの製造方法は、前記金型が、キャビティの幅方向の一端側及び他端側の底部に、前記線材の屈曲の支点となる複数の柱状部をそれぞれ有すると共に、前記柱状部同士の間に、前記車両用シートパッドの幅方向に沿って埋設される線材を固定する固定部を有し、前記製造方法が、前記線材を前記固定部に固定して前記キャビティの幅方向に沿って横架させる共に、前記横架させた線材の一端側及び他端側を前記柱状部を屈曲の支点として前記キャビティの長さ方向に向けて屈曲させる工程を含むことを特徴とする。
この発明によれば、柱状部同士の間に、固定部を有する金型を用いて、樹脂製の線材を固定させるため、線材を横架させ易くすることができ、樹脂製の線材の両端側の折り曲げ賦形を容易に行うことができる。また、屈曲させる線材が位置ずれを生じ難くなるため、線材の位置決めを容易に行うことができるようになる。
また、請求項6に記載の金型は、車両用シートパッドの発泡成形に用いる金型であって、前記車両用シートパッドは、発泡樹脂に樹脂製の線材が埋設されてなり、前記線材は、前記車両用シートパッドの幅方向に沿って埋設されると共に、前記幅方向の一端側及び他端側が前記車両用シートパッドの長さ方向に向けてそれぞれ屈曲されて平面視でコ字状を成しており、前記金型は、キャビティの幅方向の一端側及び他端側の底部に、前記線材の屈曲の支点となる柱状部をそれぞれ有することを特徴とする。
この発明によれば、金型が、キャビティの幅方向の一端側及び他端側の底部に、複数の柱状部をそれぞれ有していることによって、樹脂製の線材の折り曲げ賦形を容易且つ正確に行うことができる。また、屈曲させる線材が位置ずれを生じ難くなるため、線材の位置決めを容易に行うことができるようになる。
また、請求項7に記載の金型は、前記金型が、キャビティの幅方向の一端側及び他端側の底部に、前記線材の屈曲の支点となる複数の柱状部をそれぞれ有すると共に、前記柱状部同士の間に、前記車両用シートパッドの幅方向に沿って埋設される線材を固定する固定部を有することを特徴とする。
この発明によれば、金型が、柱状部同士の間に、固定部を有していることによって、樹脂製の線材の両端側の折り曲げ賦形を容易に行うことができる。また、屈曲させる線材が位置ずれを生じ難くなるため、線材の位置決めを容易に行うことができるようになる。
また、請求項8に記載の金型は、前記柱状部が、横断面視で楔形状を有することを特徴
とする。
この発明によれば、柱状部が、横断面視で楔形状を有することによって、柱状部によって排除される発泡樹脂と線材との接触面積を大きく採ることができる。そのため、車両用シートパッドの耐久性を向上させることができる。
本発明によれば、車両用シートパッドに埋設される樹脂製の線材を、破断に至らないように折り曲げ賦形しながら作業性良く発泡成形用金型に装着して発泡成形を行うことができる車両用シートパッド、車両用シートパッドの製造方法及びそれに用いる金型を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る車両用シートパッドを適用した車両用シートの概略斜視図である。 本発明の一実施形態に係る車両用シートパッドの平面図である。 本発明の一実施形態に係る車両用シートパッドの断面図である。 本発明の一実施形態に係る車両用シートパッドの発泡成形に用いる金型の断面図である。 本発明の一実施形態に係る車両用シートパッドの発泡成形に用いる金型(下型)の平面図である。 本発明の一実施形態に係る車両用シートパッドの発泡成形に用いる金型(下型)の要部断面図である。(a)は図5におけるX−X線断面図、(b)は図5におけるY−Y線断面図、(c)は図5におけるZ−Z線断面図である。 本発明の一実施形態に係る車両用シートパッドの発泡成形に用いる金型(下型)に線材を装着する工程を示す流れ図である。 本発明の他の実施形態に係る車両用シートパッドの断面図である。 本発明の他の実施形態に係る車両用シートパッドの発泡成形に用いる金型の断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る車両用シートパッド、車両用シートパッドの製造方法及びそれに用いる金型について、図を参照しながら詳細に説明する。なお、共通する構成については、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用シートパッドを適用した車両用シートの概略斜視図である。
[車両用シート]
車両用シート1は、図1に示すように、シート基部2と、シート基部2に支持され乗員が着座するシートクッション3と、シートクッション3の後部から立ち上げられ、乗員の背中を支えるシートバック4と、シートバック4の先端に設けられるヘッドレスト5とからなる。このような車両用シート1に備えられるシートクッション3やシートバック4は、ウレタンフォーム等の発泡樹脂によって発泡成形された樹脂成形体であるシートパッドと、このシートパッドを覆う表皮体とからなっている。本実施形態に係る車両用シートパッドは、このようなシートクッション用又はシートバック用のシートパッドとして好適である。なお、以下の図においては、着座する乗員から視た方向を基準に、上下前後左右方向を定めるものとする。
はじめに、本実施形態に係る車両用シートパッドの概略構成について、シートクッショ
ンへの適用を例に採って説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る車両用シートパッドの平面図である。また、図3は、本発明の一実施形態に係る車両用シートパッドの断面図であり、図2におけるA−A線断面図である。
[車両用シートパッド]
本実施形態に係る車両用シートパッド10は、図2及び図3に示すように、発泡樹脂に樹脂製の線材20が埋設されてなる樹脂成形体である。なお、図2及び図3では、埋設された線材20を破線で示している。シートパッド10は、図2に示すように、その幅方向の中央側には、乗員が着座する平面状の着座面11を有し、幅方向の左右側方側には、着座する乗員をホールドする膨出面12を有している。膨出面12は、着座面11の左右側端からシートパッド10の厚さ方向にせり上がり、シートパッド10の左右側端において、シートパッド10の側面とそれぞれ連なっている(図1参照)。着座面11には、図2に示すように、シートパッド10の後方寄りに、シートパッド10の幅方向に沿って横溝13が形成されている。また、シートパッド10の左右側方寄りには、横溝13と交わるようにして、シートパッド10の前後長さ方向に沿って縦溝14,14がそれぞれ形成されている。これらの縦溝14,14は、着座面11と膨出面12との間の境界上にそれぞれ形成されている。なお、符号110は、空孔部であり、詳細は後記する。
樹脂製の線材20は、シートパッド10の幅方向に沿ってシートパッド10の後方端近傍に埋設された状態で横架されていると共に、横架された線材20の一端側及び他端側は、シートパッド10の幅方向の左右側端近傍において、シートパッド10の長さ方向に向けてそれぞれ屈曲されており、単一本の線材20が着座面11に対する平面視でコ字状を成すようにして埋設されている。このようにシートパッド10では、折り曲げ賦形された単一本の線材20を埋設することによって、発泡成形体の剛性が高められており、着座する乗員のホールド性も確保されるようになっている。
折り曲げ賦形された樹脂製の線材20は、シートパッド10の幅方向に沿って埋設される横設部20aと、シートパッドの長さ方向に沿って埋設される左右一対の縦設部20b,20bと、横設部20aと縦設部20bとの間に介在する左右一対の屈曲部20c,20cとからなっている。横設部20aは、横溝13に沿って配向し、横溝13の溝底部の皮下に埋設されている。また、左右一対の縦設部20b,20bは、それぞれ縦溝14に沿って配向し、縦溝14,14の溝底部の皮下に埋設されている。これら横設部20aと縦設部20bとには、横溝13や縦溝14に不図示の表皮体が吊り込まれ係止されることになる。他方、屈曲部20cは、横設部20aと縦設部20bとが略垂直の関係となるように屈曲の角度が段階的に大きくなる複数の変曲点を有し、変曲点の間を繋ぐ複数の短尺の直線領域が組み合わされた形状を有している。樹脂製の線材20は、このように複数の変曲点を有する屈曲部20cで鈍角の屈曲が重ねられて多段折り曲げされることによって、折り曲げ賦形時において破断の発生が抑制されている。また、鈍角で屈曲することによって裂け(クラック)の進展が抑えられ、屈曲に対する反力が確保できるようにされており、発泡成形用の金型への装着時に反力を活用することができるようになっている。
図2に示すように、シートパッド10においては、発泡樹脂が、折り曲げ賦形された樹脂製の線材20の屈曲部20cの内角側に、シートパッドの厚さ方向に沿って柱状の空孔部110を残すように成形されている。この空孔部110は、発泡成形において充填される発泡樹脂が、後記する金型30の柱状部38によって排除されることで形成されるものである。詳細には、空孔部110は、横溝13及び縦溝14に沿うようにして複数形成されており、複数の空孔部110は、シートパッド10の長さ方向において異なる位置にそれぞれ形成されている。そして、シートパッド10の幅方向の一端側及び他端側の縦溝1
4のそれぞれにおいては、シートパッド10の長さ方向において略一致する位置となるように対称に配設されている。
また、空孔部110は、シートパッド10の一端側(後部側)の各角部近傍に複数ずつ(3個づつ)が位置するように形成されている。これら角部近傍に形成されている複数の空孔部110についてみると、シートパッド10の長さ方向において他端側(前部側)に形成された空孔部110ほど、シートパッド10の幅方向の左右の外側寄りに配設されている。そして、複数の空孔部110は、図2に示すように、横溝13から縦溝14の方向に湾曲する仮想円弧曲線R上に位置するように配設され、一部の空孔部110は、横溝13や縦溝14が形成されていない着座面11上に形成されている。そのため、この着座面11上に形成された空孔部110は、横溝13や縦溝14に吊り込まれる不図示の表皮体には近接することなく、着座面11上に開放されることになる。これによって、着座により押圧された樹脂成形体がこの空孔部110に逃げることが可能となり、乗員が着座した際には、埋設された線材11による樹脂成形体の隆起を異和感として感じにくくなるという作用が得られる。
また、空孔部110は、図2に示すように、着座面11に対する平面視で楔形状を下部側に有しており、図3に示すように、着座面11の表面側には開口している。詳細には、空孔部110は、着座面11の表面側近傍では略円柱形状の空孔であり、線材20が埋設されている深さ近傍からは、楔形状を有する柱状の空孔となって、シートパッド10の深さ方向に連なっている。すなわち、シートパッド10の深部に及んでいる楔形状を有する柱状の空孔が、空孔部110を主に占めており、空孔部110の主な任意横断面は楔形状となっている。また、空孔部110の楔形状の鋭角となった頂点は、埋設された線材20と略接触する位置に配置されている。このように柱状の空孔部110が楔形状とされていることによって、埋設された線材20は空孔部110の楔形状の頂点に対して近接し、屈曲された線材20の内角側が空孔部110の内部に露出し難くなるようにされている。換言すると、空孔部110が形成されているにも拘らず、線材20と発泡樹脂との接触面積が確保されるようになっており、埋設された線材20の賦形された形状が安定するようになっている。
このようなシートパッド10を組成する発泡樹脂としては、従来から一般的に使用されている軟質ポリウレタンフォームや、半硬質ポリウレタンフォーム等の発泡樹脂が用いられている。このような発泡樹脂からなるシートパッド10は、図3に示すように、不織布等のワディング材18が、下面に貼合ないし片面埋設されるように形成される。ワディング材18を備えることによって、樹脂成形体であるシートパッド10が補強され形状安定性が確保されるようになっている。また、横溝13や縦溝14の皮下に埋設された線材20には、ホグリング、ホック等の係止具を介して表皮体が吊り込み係止されたり、横溝13や縦溝14の皮下に埋設された線材20が一部引き出されると共に、表皮体に設けられた吊り袋に挿通されたりして、着座面11を覆う不図示の表皮体と互いに固定される。なお、表皮体は、縫製された複数の布材や皮革材等によって形成される。
一方で、線材(ワイヤ又はインサートワイヤ)20としては、従来から一般的に用いられている金属ワイヤに代えて、樹脂を主成分とした樹脂製の線材20(樹脂ワイヤ)が用いられる。樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂や、PA12、PA11等のポリアミド樹脂や、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の熱可塑性エラストマーや、アラミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン・ジエン−スチレン共重合体(AES樹
脂)等が挙げられる。また、この樹脂製の線材20は、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維等の有機繊維や、ガラス繊維、炭素繊維、バサルト繊維、ロックウール、セラミック繊維等の無機繊維を芯材として有し、そのような芯材に樹脂が被覆ないし含浸されて形成される複合化線材としてもよい。
線材20としては、具体的には、ガラス繊維、バサルト繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維からなる群より選択される一種以上の繊維を芯材とし、このような芯材に、ポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂を被覆ないし含浸した複合化線材が好ましい。また、芯材は、100体積%の複合化線材に対して、10体積%以上含まれることが好ましい。このような複合化線材を用いると、屈曲に対する反力が十分に得られると共に、柔軟性も得られるようになり、折り曲げ賦形における線材20の破断がより抑えられ、小径であっても所望の賦形を行い易くすることができる。
このような発泡樹脂に樹脂製の線材20が埋設されてなるシートパッド10は、発泡成形用の金型のキャビティに、あらかじめ線材20を装着し、そのキャビティに発泡樹脂の原液を注入し、発泡樹脂を発泡させてキャビティに充填させて硬化させることで成形可能である。そして、発泡成形されたシートパッド10には、線材20を介して、シートパッドを覆う表皮体が固定されてシートクッション3とされる。
次に、本実施形態に係る車両用シートパッドの発泡成形に用いる金型について説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る車両用シートパッドの発泡成形に用いる金型の断面図である。
[発泡成形用金型]
金型30は、発泡樹脂に樹脂製の線材20が埋設されてなる車両用シートパッド10の発泡成形用の金型であって、下型30Aと上型30Bとからなっている。なお、この金型30においては、シートパッド10の着座面11側が下型30A側を向いて発泡成形されるようになっているが、下型30Aと上型30Bとの上下の関係は特に制限されるものではない。
下型30Aは、シートパッド10の厚さ方向の略一半部と略同一の形状に凹設された凹部31Aを有している。この下型30Aは、例えば、ボルスタ等に固定され、地面に対して静止状態で保持される。一方で、上型30Bは、シートパッド10の厚さ方向の略他半部と略同一の形状に凹設された凹部31Bを有している。上型30Bは、上型30Bの凹部31Bが下型30Aの凹部31Aに臨むように対向して配置され、下型30Aの上面と上型30Bの下面とが離間した位置から、下型30Aの上面と上型30Bの下面とが密着する図4に示す位置まで相対移動可能に備えられる。
この金型30においては、上型30Bが、図4に示すように、下型30Aの上面と上型30Bの下面とが密着する位置まで降下すると、下型30Aの凹部31Aと上型30Bの凹部31Bとによって、空洞状のキャビティ32が形成される。このキャビティ32において、注入された発泡樹脂が発泡及び硬化することによって、シートパッド10が発泡成形されることになる。なお、本明細書においては、下型30A又は上型30Bの凹部31A,31Bとキャビティ32とを同義で用いることがある。
図5は、本発明の一実施形態に係る車両用シートパッドの発泡成形に用いる金型(下型)の平面図である。
図5及び図4に示すように、下型30Aの凹部31Aは、主として、下型30Aの幅方向の中央側に形成された中央凹部31A1と、下型30Aの幅方向の左右側方側に形成された側方凹部31A2とからなっている。中央凹部31A1は、シートパッド10の幅方向の中央側に形成される着座面11に対応して、略平面状の底面を有している。また、側方凹部31A2は、シートパッドの幅方向の左右側方側に形成される膨出面12に対応して、幅方向の中央側よりも深い湾曲した底面を有している。
下型30Aの凹部31Aには、これら中央凹部31A1と側方凹部31A2との間の境界上に、下型30Aの長さ方向に沿って、中央凹部31A1よりも高さが高い縦突条34,34がそれぞれ形成されている。これらの各縦突条34,34は、発泡成形されるシートパッド10の各縦溝14,14にそれぞれ対応しており、図5に示すように、下型30Aの凹部31Aの一端側(後部側)近傍から他端側(前部側)近傍まで及んでいる。
また、下型30Aの凹部31Aには、これら左右の各縦突条34,34とそれぞれ交わるように、下型30Aの幅方向に沿って、中央凹部31A1よりも高さが高い横突条33が形成されている。この横突条33は、発泡成形されるシートパッド10の横溝13に対応しており、図5に示すように、下型30Aの凹部31Aの一端側(後部側)近傍に配置されている。
下型30Aは、凹部31Aの底面に、各縦突条34,34や横突条33に沿うようにして、支持部36と、固定部37a,37bと、柱状部38とを有している。これら支持部36と、固定部37a,37bと、柱状部38とは、シートパッド10の発泡成形時において、発泡樹脂に埋設される線材20を案内し、線材20を金型に装着させるために備えられている。
具体的には、支持部36は、各縦突条34,34のそれぞれの上面に形成されており、下型30Aの長さ方向の他端側(前部側)に形成された固定部37bと、下型30Aの長さ方向の最も他端(前端)寄りに形成されている柱状部38との間に配設されている。
また、固定部37aは、横突条33の上面に形成されており、下型30Aの幅方向において最も中央側に配設されている左右の柱状部38同士の間に配置されている。また、下型30Aの長さ方向については、これらの各柱状部38と略同一の位置にあって、下型30Aの長さ方向の一端側(後部側)に配置されている。さらに、下型30Aの長さ方向の他端側(前部側)には、左右のそれぞれの縦突条34,34の上面に、固定部37b,37bがそれぞれ形成されている。
また、柱状部38は、横突条33及び縦突条34,34に沿うようにして複数形成されており、複数の柱状部38は、下型30Aの長さ方向において異なる位置にそれぞれ配置されている。そして、下型30Aの幅方向の一端側及び他端側の各縦突条34,34のそれぞれにおいては、下型30Aの長さ方向において略一致する位置となるように対称に配設されている。また、これら複数の柱状部38は、下型30Aの長さ方向の一端側(後部側)にある各角部近傍に複数ずつ(3個づつ)が位置するように配設されている。これら角部近傍に配設されている複数の柱状部38についてみると、下型30Aの長さ方向において他端側(前部側)に配置された柱状部38ほど、下型30Aの幅方向の左右の外側寄りになるように配設されており、複数の柱状部38が、横突条33から縦突条34,34の方向に湾曲する仮想円弧曲線R上にそれぞれ位置するような配置で配設されている。
図6は、本発明の一実施形態に係る車両用シートパッドの発泡成形に用いる金型(下型)の要部断面図である。(a)は図5におけるX−X線断面図、(b)は図5におけるY
−Y線断面図、(c)は図5におけるZ−Z線断面図である。
支持部36は、図6(a)に示すように、線材20が載置される支持面を有する台座46からなっている。台座46は、図4にも示すように、略円柱形状を有し、縦突条34の上面に固設されている。台座46は、例えば、下型30Aと接合可能な金属で構成して下型30Aと接合する構造としてよいが、下型30Aと一体成形された構造としてもよい。台座46の上面は、図6(a)に示すように、縦突条34の上面から所定高さを有している。
金型30の下型30Aでは、このような支持部36を有することによって、発泡樹脂に埋設される線材20を、下型30Aの凹部31Aの高さ方向について、確実に位置決めすることができるようにされている。また、埋設される線材20が、縦突条34の上面から所定高さに維持されるようにしている。そのため、台座46の上面に載置される線材20の縦設部20bは、縦突条34に沿って凹部31Aに縦架されることになり、縦架された線材20の周囲に発泡樹脂が充填されることによって、線材20の縦設部20bは、縦溝14の溝底部の皮下に埋設される。
固定部37aは、図6(b)に示すように、台座46と、固定部材47とからなっている。台座46は、支持部36におけるものと同様の構造であり、横突条33の上面に固設されている。一方で、固定部材47は、下型30Aに装着される線材20を着脱自在に固定する構造を有しており、台座46の上面に起立するように固定されている。固定部材47は、例えば、金属、樹脂等の硬質材料や、ゴム等の弾性材料からなり、台座46の上面と平行な方向の荷重を受けても変形し難い一方で、線材20の着脱の操作は容易に行われ得るような材料及び形状からなっている。固定部材47は、図6(b)においては、台座46の上面の中央を通る溝部を残すように設けられており、溝部に挿通される線材20を挟持可能な構造とされている。しかしながら、これに代えて、例えば、鉤状の固定部材を設けて線材20を片持固定するような構造等としてもよい。なお、左右のそれぞれの縦突条34,34の上面に形成される固定部37bについても、前記の固定部37aと同様の構成とされる。
金型30の下型30Aでは、このような固定部37a,37bを有することによって、発泡樹脂に埋設される線材20を、下型30Aの凹部31Aに簡便に固定することができるようにされている。また、下型30Aの幅方向において最も中央寄りに配置されている左右の柱状部38同士の間に配設された固定部37aによれば、線材20を凹部31Aの幅方向に沿って容易に横架させることができる。そして、横架された線材20に対して折り曲げ賦形を施すことによって、その線材20の一端側及び他端側を発泡成形されるシートパッド10の長さ方向に向けてそれぞれ屈曲させることも、位置ずれすること無く容易に行うことが可能となる。なお、前記の図2では、発泡成形された樹脂成形体中に、固定部37a,37bによって形成される空孔部の形状は、台座46により形成される円形状のみを概略として示している。
柱状部38は、図6(c)に示すように、台座46と、柱状部材48とからなっている。台座46は、支持部36におけるものと同様の構造であり、縦突条34の上面や中央凹部31A1の底面に固設されている。一方で、柱状部材48は、横断面が楔形状を有する柱状の部材であって、台座46の上面に起立するように固定されている。柱状部材48は、例えば、金属、樹脂等の硬質材料や、ゴム等の弾性材料からなり、台座46の上面と平行な方向の荷重を受けても変形し難い材料からなっている。柱状部材48の高さは、線材20の線径よりも長く、下型30Aの凹部31Aの深さよりも短い寸法とされている。なお、柱状部材48の横断面は、図5においては、鋭角三角形状を有するものとされているが、例えば、V字状、菱形状、直方形状等としてもよい。また、任意高さの横断面が常に
同一形状となる部材に限られず、非同一形状となる部材とされてもよい。
金型30の下型30Aでは、このような柱状部38を有することによって、下型30Aの凹部31Aの幅方向に沿って横架される線材20の一端側及び他端側を、下型30Aの凹部31Aの長さ方向に向けて容易且つ正確に折り曲げ賦形することができるようにされている。すなわち、複数の柱状部38は、折り曲げ賦形される線材20の屈曲の支点として機能させることができる。特に、凹部31Aの角部近傍に配設されている複数の柱状部38が、横突条33から縦突条34,34の方向に湾曲する仮想円弧曲線R上にそれぞれ位置するように配設されていることによって、折り曲げ賦形される線材20が鈍角で屈曲されることになるため、破断が良好に防止されるようになる。また、鈍角で屈曲されるため、線材20の屈曲に対する反力も確保し易くなっており、屈曲された線材20の両末端を固定部37bに固定することも容易となっている。そして、このような柱状部38は、鋳型30によって発泡成形された樹脂成形体中に、前記の空孔部110が残されるように作用することになる。
柱状部38において、台座46に固定された柱状部材48は、図5に示すように、その横断面の形状が有する鋭角となった頂点が、下型30Aの凹部31Aの外側を向くと共に、略円柱形状を有する台座46の中心と略一致するように、台座46上において、下型30Aの凹部31Aの中央寄りに偏配置されている。このように柱状部材48を配置させることによって、下型30Aに装着される線材20が、台座46の上面の略中央を通るように載置されるようになり、屈曲されたときには、複数の柱状部38の柱状部材48の各頂点に略当接するように賦形されることになる。そのため、発泡樹脂に埋設される線材20の厚さ方向、長さ方向及び幅方向における位置決めがより正確になされると共に、埋設された線材20を乗員が異和感として感じにくくなるようになっている。
[製造方法]
次に、本実施形態に係る車両用シートパッドの製造方法について説明する。
本実施形態に係る車両用シートパッドの製造方法は、前記のシートパッド用金型を使用して、発泡樹脂に樹脂製の線材が埋設されてなる車両用シートパッドを製造する方法である。この製造方法は、金型に線材を装着する工程と、発泡樹脂を発泡成形する工程とを含んでなる。
図7は、本発明の一実施形態に係る車両用シートパッドの発泡成形に用いる金型(下型)に線材を装着する工程を示す流れ図である。
金型に線材を装着する工程では、図7に示すように、線材20を金型30内に形成されるキャビティ32の幅方向に沿って横架させると共に、横架させた線材20の一端側及び他端側を柱状部38を屈曲の支点としてキャビティ32の長さ方向に向けて屈曲させる。すなわち、まず、金型30を開けて、金型30の下型30Aの凹部31Aを開放された状態とし、図7(a)に示すように、空洞状の凹部31Aの固定部37aに、線材20の中央側を固定することで、線材20を凹部31Aの幅方向に沿って横架させる。続いて、図7(b)に示すように、横架させた線材20の一端側及び他端側を、下型30Aの幅方向の中央側に配設されている柱状部38から、幅方向の左右外側寄りに配設されている柱状部38までが順次屈曲の支点となるようにして、線材20の中央側から左右外側に向かって多段折り曲げを施すことによって、線材20の両末端側が凹部31Aの長さ方向に向けて屈曲するように賦形する。そして、折り曲げ賦形された線材20の両末端を、左右のそれぞれの縦突条34,34の上面に形成される固定部37bに固定することで、図7(c)に示すように、線材20を金型30(下型30A)に装着する。
発泡樹脂を発泡成形する工程では、金型30のキャビティ32に発泡樹脂を注入し、注入した発泡樹脂を発泡させてシートパッド10の発泡成形を行う。すなわち、図7(c)に示すように線材20が装着された金型30を、下型30Aの上面と上型30Bの下面とが密着するように閉じた後、不図示の注入口等からキャビティ32に発泡樹脂の原液を注入する。次いで、型締めを行いつつ発泡させることで発泡樹脂をキャビティ32に充填させ、充填させた発泡樹脂を硬化剤や加熱による作用で硬化させる。そして、金型30を開けて、発泡成形されたシートパッド10を離型し、適宜、研磨、バリ取り、裁断等を行うと共に、線材20を介して表皮体を係止してシートクッション3とする。
[他の実施形態]
次に、本発明の他の実施形態に係る車両用シートパッド、車両用シートパッドの製造方法及びそれに用いる金型について説明する。なお、前記の実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図8は、本発明の他の実施形態に係る車両用シートパッドの断面図である。
他の実施形態に係る車両用シートパッド100は、発泡樹脂に樹脂製の線材が埋設されてなる車両用シートパッドである。このシートパッド100において線材20は、前記のシートパッド10においてと同様、シートパッド100の幅方向に沿って埋設された状態で横架されると共に、幅方向の一端側及び他端側がシートパッド100の長さ方向に向けてそれぞれ屈曲されて平面視でコ字状を成すようにして埋設されており、発泡樹脂は、線材20の屈曲部の変曲点の内角側に、シートパッド100の厚さ方向に沿って柱状の空孔部(210)を残すように成形されているものである。
シートパッド100が、前記のシートパッド10と異なるのは、空孔部210が、図8に示すように、シートパッド100の厚さ方向に貫通している点である。すなわち、空孔部210は、着座面11の表面側に開口していると共に、樹脂成形体を貫通し、着座面11の反対側にあるワディング材18の側にも開口している。なお、シートパッド100のその他の構成は、前記のシートパッド10におけるものと同様であり、この空孔部210の主要部分の横断面は楔形状を有するものとなっている。
図9は、本発明の他の実施形態に係る車両用シートパッドの発泡成形に用いる金型の断面図である。
シートパッド100は、前記の金型30における柱状部38に代えて、図9に示すような柱状部138を備える金型130を用いることで成形可能である。図9では、金型130における柱状部138を横断する断面が示されている。柱状部138は、図9に示すように、下型130Aの凹部131Aの底面に垂設され、金型130が閉じられて、下型130Aの上面と上型130Bの下面とが密着する位置となったとき、下型130Aの凹部131Aと上型130Bの凹部131Bとによって形成される空洞状のキャビティ132を横断して、上型130Bの凹部131Bの底面(天井面)に当接する形状となるように備えられている。なお、柱状部138は、下型130Aの凹部131Aの底面に垂設される柱状部と、上型130Bの凹部131Bの底面に垂設される柱状部とによって構成し、これらの柱状部同士が、金型130が閉じられて、下型130Aの上面と上型130Bの下面とが密着する位置となったときに、互いに頂面で密着するように備えてもよい。
このような柱状部138を備える金型130を用いて製造されるシートパッド100は、厚さ方向に貫通した空孔部210を備えることによって、車両用シートパッドの厚さ方向の一端側と他端側との間の通気性が向上されるようになる。そのため、着座した乗員による蒸れ等を解消して、快適性を向上することができるようになっている。また、湿気の
停滞が低減されることによって、ウレタンフォーム等の発泡樹脂の劣化が抑制され、耐久性が良好な車両用シートパッドとすることができる。
10 シートパッド
11 着座面
12 膨出面
13 横溝
14 縦溝
20 線材
20a 横設部
20b 縦設部
20c 屈曲部
110 空孔

Claims (8)

  1. 発泡樹脂に樹脂製の線材が埋設されてなる車両用シートパッドであって、
    前記線材は、前記車両用シートパッドの幅方向に沿って埋設されると共に、前記幅方向の一端側及び他端側が前記車両用シートパッドの長さ方向に向けてそれぞれ屈曲されて平面視でコ字状を成しており、
    前記発泡樹脂は、前記屈曲の内角側に、前記車両用シートパッドの厚さ方向に沿って柱状の空孔部を残すように成形されている
    ことを特徴とする車両用シートパッド。
  2. 前記空孔部が、前記車両用シートパッドの厚さ方向に貫通している
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用シートパッド。
  3. 前記柱状の空孔部が、横断面視で楔形状を有する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用シートパッド。
  4. 車両用シートパッドを金型で発泡成形して製造する製造方法であって、
    前記車両用シートパッドは、発泡樹脂に樹脂製の線材が埋設されてなり、
    前記線材は、前記車両用シートパッドの幅方向に沿って埋設されると共に、前記幅方向の一端側及び他端側が前記車両用シートパッドの長さ方向に向けてそれぞれ屈曲されて平面視でコ字状を成しており、
    前記金型は、キャビティの幅方向の一端側及び他端側の底部に、前記線材の屈曲の支点となる複数の柱状部をそれぞれ有し、
    前記製造方法は、
    前記線材を前記キャビティの幅方向に沿って横架させると共に、前記横架させた線材の一端側及び他端側を前記柱状部を屈曲の支点として前記キャビティの長さ方向に向けて屈曲させる工程と、
    前記キャビティに発泡樹脂を注入し、前記発泡樹脂を発泡させて発泡成形を行う工程とを含むことを特徴とする車両用シートパッドの製造方法。
  5. 前記金型が、キャビティの幅方向の一端側及び他端側の底部に、前記線材の屈曲の支点となる複数の柱状部をそれぞれ有すると共に、前記柱状部同士の間に、前記車両用シートパッドの幅方向に沿って埋設される線材を固定する固定部を有し、
    前記製造方法が、
    前記線材を前記固定部に固定して前記キャビティの幅方向に沿って横架させる共に、前記横架させた線材の一端側及び他端側を前記柱状部を屈曲の支点として前記キャビティの長さ方向に向けて屈曲させる工程
    を含むことを特徴とする請求項4に記載の車両用シートパッドの製造方法。
  6. 発泡樹脂に樹脂製の線材が埋設されてなる車両用シートパッドの発泡成形に用いる金型であって、
    前記線材は、前記車両用シートパッドの幅方向に沿って埋設されると共に、前記幅方向の一端側及び他端側が前記車両用シートパッドの長さ方向に向けてそれぞれ屈曲されて平面視でコ字状を成しており、
    前記金型は、キャビティの幅方向の一端側及び他端側の底部に、前記線材の屈曲の支点となる複数の柱状部をそれぞれ有する
    ことを特徴とする金型。
  7. 前記金型が、キャビティの幅方向の一端側及び他端側の底部に、前記線材の屈曲の支点となる複数の柱状部をそれぞれ有すると共に、前記一端側及び他端側の柱状部同士の間に
    、前記車両用シートパッドの幅方向に沿って埋設される線材を固定する固定部を有する
    ことを特徴とする請求項6に記載の金型。
  8. 前記柱状部が、横断面視で楔形状を有する
    ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の金型。
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