JP2015195709A - 電磁波模擬装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成でワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁波を模擬して発生する電磁波模擬装置を提供する。
【解決手段】ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁波を模擬して発生する電磁波模擬装置100は、第1の高周波信号を発生する第1の信号発生手段101と、第2の高周波信号を発生する第2の信号発生手段102と、第1の信号発生手段が発生した信号を増幅して出力する第1の増幅器103と、第2の信号発生手段102が発生した信号を増幅して出力する第2の増幅器104と、第1の増幅器の出力を空間へ放射する第1の放射部107と、第2の増幅器の出力を空間へ放射する第2の放射部108と、第1の信号発生手段101または第2の信号発生手段102の発生する信号の周波数の制御、および第1の増幅器103または第2の増幅器104の増幅レベルの制御を行う制御部109とを備える。
【選択図】図1

Description

本開示は、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁波を模擬して発生する電磁波模擬装置に関する。
近年、ワイヤレス電力伝送システムの分野において電力伝送技術が注目されている。実用化が予定されているワイヤレス電力伝送システムとして、電気自動車用の数kWの大電力を伝送するものや、家電機器用の数100Wの中電力を伝送するものなど、多種多様な方式の開発が進められ、実用化が開始されている。
図2は、電磁誘導方式を用いたワイヤレス電力伝送システムの一般的な構成の例を示す図である。電力伝送の高周波信号を発生する信号発生手段1003と送電コイル1004を備えた電力送信装置1001と、受電コイル1005と負荷部1006を備えた電力受信装置1002とで構成される。電力送信装置1001に入力された入力電力は信号発生手段1003により電力伝送用の高周波信号に変換される。変換された高周波信号は送電コイル1004に入力される。高周波信号が送電コイル1004に作用することで磁界が発生する。送電コイル1004と受電コイル1005は誘導結合した状態にある。送電コイル1004が発生した磁界により受電コイル1005には電流が発生する。受電コイル1005が発生させた電流により負荷部1006に電力が供給される。これにより、電力送信装置1001から電力受信装置1002へケーブルやコネクタなどの接触部が無くても、電力を伝送することができる。負荷部1006は、電力を蓄積する電池や、電気自動車や家電装置のモータなどである。負荷部1006の用途に応じてその電力を蓄積または直接利用することが可能となる。図2では、電磁誘導方式を用いたワイヤレス電力伝送システムの構成で説明したが、送電コイル、受電コイルを共振回路構成にした磁界共鳴方式や、放射部間の誘導結合を電極間の電界結合にした電界結合方式などについても実用化が進められており、同様の効果が得られる。
この様なワイヤレス電力伝送システムを実現することによって、ケーブルの接続なしに簡単に電子機器や電気自動車などに電力を伝送することができ、より便利にこれらの機器を使用することが可能になる。
しかし、ワイヤレス電力伝送システムは空間に放射する磁界や電界を利用して電力を伝送するため、このシステムから近接した空間に漏えい電磁波が発生する。
図3は、図2に示すワイヤレス電力伝送システムにおける漏えい磁界の距離に対する減衰特性の例を示す図である。図4は、図2に示すワイヤレス電力伝送システムにおける漏えい磁界のスペクトラムの例を示す図である。図3に示す様に、ワイヤレス電力伝送システムからの漏えい磁界は、距離に従って減衰する。図4に示す様に、そのスペクトラムは電力伝送に用いる高周波信号の基本波及び、その高調波成分が空間に漏えいする。図3及び図4は漏えいする磁界強度を示しているが、電界強度においても同様に漏えいが生じる。この漏えい電磁波が、ワイヤレス電力伝送システムに近接して使用する放送受信機や無線機などの電子機器への干渉となり、その品質を劣化させる課題がある。
また、複数の機器に電力を伝送するためにワイヤレス電力伝送システムが複数個同時に用いられる場合がある。例えばテレビジョン受信機への給電と携帯電話への給電が同一個室内で同時に行われる場合がある。このような場合はそれぞれのワイヤレス電力伝送システムが独立に、又は同調して他の電子機器に対して干渉などの悪影響を与えるおそれがある。
図5は2台のワイヤレス電力伝送システムが近接して設置された場合の漏えい磁界のスペクトラムを示す図である。図5において、ワイヤレス電力伝送システム1は100kHzの周波数を用いて電力伝送を行う。ワイヤレス電力伝送システム2は150kHzの周波数を用いて電力伝送を行う。このような場合は特に900kHz帯において、ワイヤレス電力伝送システム1およびワイヤレス電力伝送システム2の高調波が同時に漏えいしていることがわかる。
従来、ワイヤレス電力伝送システムを含み、電子・電気機器の漏えい電磁波の評価は専用の電波暗室やオープンサイトに被評価装置を設置して、その漏えい電磁波の評価を行っている。特に、漏えい電磁波の放射源からの放射強度を正確に把握するため、金属壁内で電力を測定するようにした放射電力測定装置が提案されている(特許文献1)。
また、実際の被評価装置を用いずに電磁波の分布や強度を正確に把握する方法として、電磁界シミュレーションを用いた電磁ノイズ評価システムが提案されている(特許文献2)。
国際公開第2009/041513号 特開2012−103045号公報
このように電子・電気機器から漏えいする電磁波の特性を評価する技術が知られており、このような技術を用いることで、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁波の特性を評価することができるが、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁波が、放送受信機などの電子機器に及ぼす影響を実機を用いて検証することも必要であり、このとき、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁波を模擬して発生する電磁波模擬装置を用いることで、漏えい電磁波の電子機器に及ぼす影響の検証を、ワイヤレス電力伝送システムを用いずに行うことができるようにすることが望まれる。
そこで、本開示は、簡単な構成でワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁波を模擬して発生する電磁波模擬装置を提供することを目的とする。
本開示における電磁波模擬装置は、第1の高周波信号を発生する第1の信号発生手段と、第2の高周波信号を発生する第2の信号発生手段と、第1の信号発生手段が発生した第1の高周波信号を増幅して出力する第1の増幅器と、第2の信号発生手段が発生した第2の高周波信号を増幅して出力する第2の増幅器と、第1の増幅器から出力された信号を電磁波として空間に放射する第1の放射部と、第2の増幅器から出力された信号を電磁波として空間に放射する第2の放射部と、第1の信号発生手段および第2の信号発生手段の発生する第1の高周波信号および第2の高周波信号の少なくともいずれかの周波数の制御、ならびに第1の増幅器および第2の増幅器の少なくともいずれかの増幅レベルの制御、を行う制御部と、を備える。
本開示における電磁波模擬装置は、簡単な構成でワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁波を模擬して発生するのに有効である。
実施の形態1における電磁波模擬装置を示す図 電磁誘導方式を用いたワイヤレス電力伝送システムの一般的な構成の例を示す図 図2に示すワイヤレス電力伝送システムにおけるにおける漏えい磁界の距離に対する減衰特性の例を示す図 図2に示すワイヤレス電力伝送システムにおける漏えい磁界のスペクトラムの例を示す図 2台のワイヤレス電力伝送システムが近接して設置された場合の漏えい磁界のスペクトラムを示す図 図2に示すワイヤレス電力電送システムの一般的な構成を一部詳細に記載した図 図6に示すワイヤレス電力伝送システムの漏えい磁界強度を示す図 実施の形態2における電磁波模擬装置を示す図 他の実施の形態における電磁波模擬装置の外観を示す図 他の実施の形態における電磁波模擬装置の外観を示す図 他の実施の形態における電磁波模擬装置の外観を示す図 他の実施の形態における電磁波模擬装置の一部の構成を示す図 他の実施の形態における電磁波模擬装置の外観を示す図 他の実施の形態における電磁波模擬装置の外観を示す図
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(実施の形態1)
以下、図1〜7を用いて、実施の形態1を説明する。
[1−1.構成および動作]
図1は、実施の形態1における電磁波模擬装置を示す図である。
電磁波模擬装置100は、第1の信号発生手段101、第2の信号発生手段102、第1の増幅器103、第2の増幅器104、第1の整合回路105、第2の整合回路106、第1の放射部107、第2の放射部108、制御部109を備える。
第1の信号発生手段101および第2の信号発生手段102は、任意の周波数を発生する発振回路を備えた信号発生器やディジタル信号により任意の信号を発生する信号発生器である。本実施の形態において、第1の信号発生手段101と第2の信号発生手段102がそれぞれ発生する第1の高周波信号と第2の高周波信号の周波数帯はそれぞれ異なる。
第1の増幅器103および第2の増幅器104は、入力した信号をトランジスタ等のスイッチング動作を用いて増幅する増幅器である。第1の増幅器103は第1の信号発生手段101の出力した第1の高周波信号を増幅する。第2の増幅器104は第2の信号発生手段102の出力した第2の高周波信号を増幅する。
第1の整合回路105および第2の整合回路106は入力と出力との間のインピーダンス整合を行う回路である。第1の整合回路105および第2の整合回路106は、インピーダンス整合を行うことで第1の増幅器103および第2の増幅器104の出力における反射による損失を小さくする。第1の整合回路105および第2の整合回路106がインピーダンス調整を行うことで第1の増幅器103および第2の増幅器104の出力は、第1の放射部107および第2の放射部108へ効率よく出力される。第1の整合回路105には第1の増幅器103の出力が入力される。第2の整合回路106には第2の増幅器104の出力が入力される。
第1の放射部107および第2の放射部108は、入力した電気信号を電磁波として空間に放射する放射素子である。第1の放射部107は、第1の整合回路105から伝達される高周波信号を電磁波として空間に放射する。第2の放射部108は、第2の整合回路106から伝達される高周波信号を電磁波として空間に放射する。第1の放射部107および第2の放射部108は所望の電磁波を空間へ放射することができるものであれば良い。例えば、コイル、ループアンテナ、モノポールアンテナ、電界アンテナなどを使用することができる。
制御部109は、信号処理回路や電源回路を備えた制御回路である。制御部109は出力制御信号を出力して、第1の増幅器103および第2の増幅器104の電源電圧を制御する。制御部109が第1の増幅器103および第2の増幅器104の電源電圧を制御することで、第1の増幅器103および第2の増幅器104の増幅レベルが制御される。結果として制御部109の出力する出力制御信号によって、第1の放射部107および第2の放射部108から放射される電磁波の出力レベルが制御される。また、制御部109は周波数制御信号を出力することで、第1の信号発生手段101および第2の信号発生手段102の発生する高周波信号の周波数を制御する。制御部109が出力制御信号および周波数制御信号で制御する増幅レベル、周波数は任意の値を設定することが可能である。これらの値は例えば、電磁波模擬装置100に備えられたキーボード(図示しない)を介して使用者から入力されてもよい。また、これらの値は例えば制御部109備えられたメモリ(図示しない)に書き込まれた値であってもよい。また、本実施の形態では制御部109は、第1の増幅器103および第2の増幅器104の両方を制御したがいずれか片方のみを制御するようにしても良い。同じく、本実施の形態では制御部109は、第1の信号発生手段101と第2の信号発生手段102の両方を制御したがいずれか片方のみを制御するようにしても良い。
また第1の信号発生手段101と第2の信号発生手段102は、それぞれ個別の信号発生装置で構成される必要は無い。第1の信号発生手段101と第2の信号発生手段102は、任意の周波数を発生する発振回路を備えた信号発生器やディジタル信号により任意の信号を発生する信号発生器であればよく、例えば2以上の複数チャネルの信号発生出力をもつ単一の信号発生装置により構成されるようにしてもよい。このようにすると、第1の信号発生手段101と第2の信号発生手段102とが占有する体積または底面積、または重量を低減させることができるため、電磁波模擬装置100の小型軽量化が容易になるので、電磁波模擬装置100を使用する際の利便性が向上する。
[1−2.効果等]
以上のように本実施の形態において、電磁波模擬装置100は、第1の高周波信号を発生する第1の信号発生手段101と、第2の高周波信号を発生する第2の信号発生手段102と、第1の信号発生手段101が発生した第1の高周波信号を増幅して出力する第1の増幅器103と、第2の信号発生手段が発生した第2の高周波信号を増幅して出力する第2の増幅器104と、第1の増幅器103の出力を空間へ放射する第1の放射部107と、第2の増幅器の出力を空間へ放射する第2の放射部108とを備える。更に電磁波模擬装置100は、第1の信号発生手段101または第2の信号発生手段102の発生する高周波信号の周波数の制御、および第1の増幅器103または第2の増幅器104の増幅レベルの制御を行う制御部を備える。
このようにすると、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁波と同様の電磁波を放射部107,108から放射することができる。特に本実施の形態における電磁波模擬装置100は、複数の高周波信号の周波数および強度を制御することでワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁波を模擬するので、図5に示されるような2つ以上のワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁波を精度良く模擬することができる。また、このように構成された電磁波模擬装置100は実際のワイヤレス電力伝送システムよりも小型で簡易な構成である。
本開示の電磁波模擬装置が実際のワイヤレス電力伝送システムよりも小型で簡易な構成であることを図6および図7を用いて説明する。
図6は、図2に示すワイヤレス電力電送システムの一般的な構成を一部詳細に記載した図である。
図7は、図6に示すワイヤレス電力伝送システムの漏えい磁界強度を示す図である。
図6において、図2で説明した部分についてはその説明を省略する。図6では図2における信号発生手段1003の内容を詳細に記載している。
信号発生手段1003は信号発生器1007と整合回路1008を有する。
信号発生器1007はワイヤレス電力伝送に用いる高周波信号を発生する。
整合回路1008は、信号発生器1007と送電コイル1004とをインピーダンス整合する。
図6に示したワイヤレス電力伝送システムでは、送電コイル1004と受電コイル1005の放射部間ギャップdgによって、送電コイル1004の入力インピーダンスが変化する。これは、送電コイル1004と受電コイル1005の結合度が変化するためであるが、この詳細な説明は省略する。また、放射部間ギャップdgの変化に伴い、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする磁界強度も変化する。
図7の実線は、放射部間ギャップdg=0.1mの時に、整合回路1008の整合条件を最適化し、この状態においてdgを変化させた時の漏えい磁界強度を示す。放射部間ギャップdg=0.1mの時に、整合回路1008の整合条件を最適化するとは、ワイヤレス電力伝送システムにおいて、dg=0.1mで、効率良く電力を伝送するように整合回路を調整することである。一般的なワイヤレス電力伝送システムではこのようにdg=0.1m程度の一定のdgを想定して整合条件を最適化することが多い。この時の漏えい磁界強度はdgを大きくすると大きくなり、0.5m程度で、概ねそのレベルが飽和していることがわかる。
図7の点線は、放射部間ギャップdgを変化させた際、各ギャップにおいて整合回路1008の整合条件を最適化した場合の漏えい磁界強度を示す。
図7の破線は、受電コイルが無く、送電コイルのみの状態で整合をとって一次側のみで整合して電力を送信した場合の漏えい磁界強度のレベルを示す(破線においてはdgが定義できないため、グラフ上での値は一定である)。dg=1mにおいて整合回路1008の整合条件を最適化した場合と送電コイルのみの状態で整合をとった場合とで、漏えい磁界強度は概ね一致している。
図7から、ワイヤレス電力電送システムの漏えい磁界強度は、整合回路の状態や送電コイルと受電コイルの位置によって変化することが分かる。更に、図7から実際にワイヤレス電力伝送システムとして使用される実線で示した強度より、一次側のみで整合して出力した場合の方が、漏えい磁界強度が大きくなることが分かる。例えば、dg=0.1mの条件で整合して受電コイルに1Wの電力を出力した状態の漏えい磁界強度(約−59dBA/m)は、一次側のみの状態で1W電力を供給した場合の漏えい磁界強度(約−40dBA/m)より、約19dB程度小さくなることがわかる。これは、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする磁界強度のレベルが、一次側を開放した際に漏えいする磁界強度の100分の1程度であることを示す。
以上の事実から、本実施の形態における電磁波模擬装置100を構成するのに必要な構成は、一般的なワイヤレス電力伝送システムの1次側よりも小型で簡易な構成で足りることが分かる。なぜなら電磁波模擬装置100が備えるべき漏えい磁界性能は一般的なワイヤレス電力伝送システムの1次側のおよそ100分の1で足りるからである。
よって、本実施の形態における電磁波模擬装置100は簡単な構成でワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁波を模擬して発生する。
(実施の形態2)
以下、図8を用いて、実施の形態2を説明する。
[2−1.構成]
本実施の形態において、実施の形態1と実質的に同等の作用機能を有する要素については同一の符号を付けることでその説明を省略する場合がある。しかし、本実施の形態において、実施の形態1と同一の符号を付けた場合であってもその要素が実施の形態1とは異なる動作を行う場合があることを妨げる趣旨ではない。
図8は、実施の形態2における電磁波模擬装置を示す図である。
本実施の形態における電磁波模擬装置200は実施の形態1に示す電磁波模擬装置100に比べて第2の増幅器104の後段に切換部110を備える点が主として異なる。
切換部110は第2の増幅器104で出力された信号を、第2の放射部108と第1の放射部107とのいずれかに向けて選択的に切り換えて出力する。切換部110はダイオード、FET、高周波リレーなどで構成することができる。
特にこの実施の形態2では、第2の放射部108は、第1の放射部107と放射特性(周波数特性)が異なる。第2の放射部108は所望の電磁波を空間へ放射することができるものであれば良い。例えば、コイル、ループアンテナ、モノポールアンテナ、電界アンテナなどを使用することができる。ここで放射特性が異なるとは、整合している周波数帯が異なることをいう。
[2−2.動作]
以上のように開示した電磁波模擬装置200の動作を説明する。
以下では、電磁波模擬装置200を用いて複数の周波数帯における漏えい電磁波の影響を評価する場合を例に挙げて説明する。具体的には100kHzの高周波信号を用いたワイヤレス電力伝送システムからの漏えい電磁波を模擬して、1MHz帯の放送周波数を受信するラジオ受信機と13MHz帯の無線周波数を利用する非接触カードリーダ・ライタへの干渉影響への評価を行う場合を例に挙げて説明する。上述した状況においては、最も漏えい電磁波のレベルの大きい電力伝送の基本波の100kHzの成分と、漏えい電磁波が直接被干渉機器の利用周波数となる1MHz帯の高調波成分と、13MHz帯の高調波成分との3つの帯域における漏えい電磁波を、電磁波模擬装置200を用いて模擬することが望まれる。
まず、第1の信号発生手段101は、100kHzの信号を発生して出力する。第1の増幅器103は第1の信号発生手段101が発生した出力を増幅する。第1の増幅器103で増幅された信号は第1の整合回路105を介して、第1の放射部107から空間に放射される。第1の放射部107は、第1の整合回路105によって概して100kHzに整合されている。これによって、電磁波模擬装置200は100kHzの高周波信号を用いたワイヤレス電力伝送システムから漏えいする100kHzの基本波の電磁波を模擬することができる。
また、第2の信号発生手段102は、1MHzの信号を発生して出力する。第2の増幅器104は第2の信号発生手段102が発生した出力を増幅する。第2の増幅器104で増幅された信号は、切換部110に入力される。切換部110は入力された信号を第1の整合回路105へ切り換えて出力する。切換部110から出力された信号は第1の整合回路105を介して、第1の放射部107から空間に放射される。第1の放射部107は上述したように100kHzに整合されている為、1MHz帯において、最適な整合となっていない。しかし、1MHzと100kHzとは周波数が比較的近く、またワイヤレス電力伝送システムから漏えいする高調波のレベルは基本波に比べて低い。よって、第1の放射部107は、100kHzの高周波信号を用いたワイヤレス電力伝送システムから漏えいする1MHz帯の次高調波の電磁波を模擬するには十分な性能を有する。つまり、電磁波模擬装置200は、100kHzの高周波信号を用いたワイヤレス電力伝送システムからの漏えい電磁波のうち、基本波の周波数成分と基本波の周波数成分に対応する高調波である1MHz帯の周波数成分を第1の放射部107から出力することができる。
次に、第2の信号発生手段102は、13MHzの信号を発生して出力する。第2の増幅器104は第2の信号発生手段102が発生した出力を増幅する。第2の増幅器104で増幅された信号は、切換部110に入力される。切換部110はその出力を第2の整合回路106へ切り換えて出力する。切換部110から出力された信号は第2の整合回路106を介して、第2の放射部108から空間に放射される。第2の放射部108は、第2の整合回路106によって概して13MHzに整合されている。これによって、電磁波模擬装置200は100kHzの高周波信号を用いたワイヤレス電力伝送システムから漏えいする13MHz帯の高調波の電磁波を模擬することができる。つまり、電磁波模擬装置200は、100kHzの高周波信号を用いたワイヤレス電力伝送システムからの漏えい電磁波のうち、基本波の周波数成分と13MHz帯の周波数成分を第1の放射部107と第2の放射部108から出力することができる。
[2−3.効果等]
以上のように、本実施の形態において電磁波模擬装置200は、第1の放射部107と周波数特性の異なる第2の放射部108を備える。さらに電磁波模擬装置200は第2の信号発生手段102の後段であって、第2の放射部の前段に配置される切換部110を備える。切換部110は、第2の信号発生手段102又は第2の増幅器104で出力された信号を、第2の放射部108と第1の放射部107とのいずれかに向けて選択的に切り換えて出力する。なお、図8に示す例では、切換部110を第2の増幅器104の後段に設けたが、切換部110を第2の増幅器104の前段に設けることもできる。
このようにすることで、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする高周波信号の異なる周波数の信号を、放射部を取り替えることや、複数の電磁波模擬装置を準備する必要性を低減させ、1台の電磁波模擬装置によって、より精度良く模擬することができる。特に電磁波模擬装置200は第1の放射部107の整合の度合いを利用して、異なる強度で異なる周波数帯の高周波信号を放射することができるので高周波と高調波の再現性に優れる。
なお、本実施の形態では、ワイヤレス電力伝送システムの基本波と基本波に対応する高調波を電磁波模擬装置200を用いて模擬する例を示したが、電磁波模擬装置200の用途はこれに限られない。電磁波模擬装置200はそれぞれ異なる周波数帯の漏えい電磁波を模擬することができるので、電磁波模擬装置200によればそれぞれ異なる周波数帯を用いる2以上のワイヤレス電力伝送システムを模擬することもできる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1、2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1、2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
他の実施の形態において、実施の形態1、2と実質的に同等の作用機能を有する要素については同一の符号を付けることでその説明を省略する場合がある。しかし、本実施の形態において、実施の形態1と同一の符号を付けた場合であってもその要素が実施の形態1、2とは異なる動作を行う場合があることを妨げる趣旨ではない。
実施の形態1、2では、電磁波模擬装置の構成について説明した。以下においては電磁波模擬装置が筐体の内部に備えられる際の実施の形態について述べる。
図9は他の実施の形態における電磁波模擬装置の外観を示す図である。
図9に示す電磁波模擬装置300は、第1の放射部107と、第2の放射部108と、筐体112と、回路部113とを含む。回路部113は、前記の実施の形態1、2で示した第1の信号発生手段101、第2の信号発生手段102、第1の増幅器103、第2の増幅器104、第1の整合回路105、第2の整合回路106、制御部109、および切換部110などで構成される。
筐体112は第1の放射部107と、第2の放射部108と、回路部113とを内包する筐体である。
回路部113は実施の形態1における電磁波模擬装置100から第1の放射部107と、第2の放射部108をのぞいた要素である。
ここで、筐体112において少なくとも第1の放射部107および第2の放射部108が電磁波を放射する面107a,108aに対向する面(放射面)112aは樹脂等の非金属物質で形成されている。
このようにすると、第1の放射部107または第2の放射部108から放射する電磁波に対して筐体112が影響を与えるおそれが軽減されるので、電磁波模擬装置400はより精度良くワイヤレス電力伝送システムを模擬することができる。
図10は他の実施の形態における電磁波模擬装置の外観を示す図である。
図10に示す電磁波模擬装置400は、電磁波模擬装置300に比べて、筐体112において第1の放射部107および第2の放射部108を内包する部分が支持部114によって空間的に離隔されている点が異なる。
支持部114は、筐体112において回路部113を内包する部分と、第1の放射部107および第2の放射部108を内包する部分とを接続する棒状の中空体である。支持部114は樹脂等の非金属物質で形成されている。支持部114の内部には回路部113と第1の放射部107および第2の放射部108とを電気的に接続して高周波信号を伝達するための同軸ケーブルが内包されている。
このようにすると、第1の放射部107および第2の放射部108と、回路部113との距離を離して配置することができるので、第1の放射部107および第2の放射部108から放射する電磁波に対する回路部113の影響を小さくすることができる。結果として電磁波模擬装置400はより精度よくワイヤレス電力伝送システムを模擬することができる。
図11は他の実施の形態における電磁波模擬装置の外観を示す図である。
図11に示す電磁波模擬装置500は、電磁波模擬装置400に比べて支持部114そのものを同軸ケーブル115で形成した点が異なる。
このようにすると、第1の放射部107および第2の放射部108を設置する場所を移動させることが容易になるので、電磁波模擬装置500を使用する際の利便性が向上する。
なお、以上に述べた他の実施の形態においては回路部113の構成について電磁波模擬装置100の要素を備える例を挙げたが、電磁波模擬装置200の要素を備えても良い。
図12は、他の実施の形態における電磁波模擬装置の一部の構成を示す図である。
本実施の形態における電磁波模擬装置600は実施の形態1に示す電磁波模擬装置100または実施の形態2に示す電磁波模擬装置200に比べて、第2の信号発生手段602が第1の信号発生手段601が発生した第1の高周波信号の周波数の任意の整数倍の周波数の信号を第2の高周波信号として出力する点が主として異なる。
つまり、実施の形態1、2においては第1の信号発生手段101、第2の信号発生手段、102、第1の増幅器103、第2の増幅器104、制御部109が、図12に示す第1の信号発生手段601、第2の信号発生手段602、第1の増幅器603、第2の増幅器604、制御部609と置き換え可能である。
第2の信号発生手段602は第1の信号発生手段601に対する、いわゆる逓倍器として動作する。つまり第2の信号発生手段602が出力する高周波信号の周波数は、第1の信号発生手段601が発生した高周波信号の周波数の整数倍となる。
第2の信号発生手段602は、第1の信号発生手段601が発生した第1の高周波信号そのものを原信号として第2の高周波信号を生成するように構成することができる。また、第1の信号発生手段601が発生した第1の高周波信号の周波数情報のみを受け取ってその任意倍の周波数である第2の高周波信号を生成する形態としてもよい。前者の形態の場合、第2の信号発生手段602の構成には周知の逓倍器を使用することができる。逓倍器としては位相同期回路(Phase Locked Loop:PLL)の使用が好ましい。後者の形態の場合、第2の信号発生手段602の構成には、第1の信号発生手段601の周波数に応じて任意の周波数を発生する発振回路を備えた信号発生器やディジタル信号により任意の信号を発生する信号発生器を使用することができる。
このようにすることで、第1の信号発生手段601の出力周波数に応じて第2の信号発生手段602が出力する第2の高周波信号の周波数が決定できる。よって、倍数nを与えることで第2の信号発生手段602が出力する第2の高周波信号の周波数が、第1の信号発生手段601の出力する第1の高周波信号の周波数に応じて一義に決定される。したがって、2つの信号発生器に出力させる高周波信号の設定を容易に行うことができる。
特に、実施の形態1、2に示すように、第1の放射部107がワイヤレス電力伝送システムからの漏えい電磁波のうち基本波の周波数成分を放射し、第2の放射部108がワイヤレス電力伝送システムからの漏えい電磁波のうち高調波の周波数成分を放射するよう動作する場合には、倍数nを高調波の次数に設定することで、異なる強度で異なる周波数帯の高周波信号を放射することがより平易にできる。よって、高周波と高調波の再現性をより高めることができる。
図13は他の実施の形態における電磁波模擬装置の外観を示す図である。
図13に示す電磁波模擬装置700は、図10に示す電磁波模擬装置300に比べて、回路部113を第2の回路部116と第3の回路部117とに分割した点が異なる。
第2の回路部116は、少なくとも、前記の実施の形態1、2で示した第1の増幅器103、第2の増幅器104、第1の整合回路105、第2の整合回路106、および切換部110などで構成される。第2の回路部116は支持部114によって筐体112と空間的に離隔した箇所に配置される。
第3の回路部117は、少なくとも、前記の実施の形態1、2で示した第1の信号発生手段101および第2の信号発生手段102で構成される。第3の回路部117は筐体112の内部に配置される。
制御部109は、第2の回路部116または第3の回路部117の何れかに備えられるよう構成される。
このようにすると、第1の増幅器103および第2の増幅器104で増幅される前のレベルの小さな信号が支持部114の内部に存在する同軸ケーブルを通過する。よって、同軸ケーブルからの意図しない電磁波の漏洩を抑制することができる。結果として電磁波模擬装置700はより一層精度よくワイヤレス電力伝送システムを模擬することができる。
図14は他の実施の形態における電磁波模擬装置の外観を示す図である。
図14に示す電磁波模擬装置800は、電磁波模擬装置700に比べて支持部114そのものを同軸ケーブル115で形成した点が異なる。
このようにすると、電磁波模擬装置700と同様に、同軸ケーブルからの意図しない電磁波の漏洩を抑制することができる。また更にこのようにすると、放射部104を設置する場所を移動させることが容易になる。結果として、電磁波模擬装置800の模擬精度の向上と使用する際の利便性の向上をともに図ることができる。
また、以上に述べた実施の形態においては電磁波模擬装置を駆動するための電源については図示および説明を省略した。なお、当業者に明らかなように、電磁波模擬装置を駆動するための電源としては、交流商用電源や電池等を用いることができる。
また、本開示の電磁波模擬装置は第2の回路部116を駆動するための電源と、第3の回路部117を駆動するための電源を、それぞれ別に備えてもよい。特に第2の回路部116を駆動するための電源としては、電池を用いることが、放射部104の設置性の観点から、より好ましい。
電池には1次電池や2次電池、燃料電池や生物電池などを使用することができる。中でも、平易に充電ができる再利用性の観点から、リチウムイオン電池などの2次電池を用いることが好ましい。
以上に述べた実施の形態において、同軸ケーブル115は高周波信号を伝達するケーブルとして説明したが、同軸ケーブルの機能はこれに限定されない。同軸ケーブル115は電磁波模擬装置を駆動するための電源を供給することもできる。制御部105が第3の回路部117に備えられる場合には、同軸ケーブル115を用いて、制御部105から第3の回路部117に制御信号を送るようにしてもよい。上記の各同軸ケーブルは、信号と電源が重畳される形で構成される形態でも、機能ごとに別の同軸ケーブルが複数本用いられる形で構成される形態でも、本開示の電磁波模擬装置に適用可能である。
本開示は、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁波を模倣する装置に適用可能である。
100 電磁波模擬装置
101 第1の信号発生手段
102 第2の信号発生手段
103 第1の増幅器
104 第2の増幅器
105 第1の整合回路
106 第2の整合回路
107 第1の放射部
108 第2の放射部
109 制御部
110 切換部
112 筐体
113 回路部
114 支持部
116 第2の回路部
117 第3の回路部
200 電磁波模擬装置
300 電磁波模擬装置
400 電磁波模擬装置
500 電磁波模擬装置
600 電磁波模擬装置
700 電磁波模擬装置
800 電磁波模擬装置
1001 電力送信装置
1002 電力受信装置
1003 信号発生手段
1004 送電コイル
1005 受電コイル
1006 負荷部
1007 信号発生器
1008 整合回路

Claims (4)

  1. ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁波を模擬して発生する電磁波模擬装置であって、
    第1の高周波信号を発生する第1の信号発生手段と、
    第2の高周波信号を発生する第2の信号発生手段と、
    前記第1の信号発生手段が発生した前記第1の高周波信号を増幅して出力する第1の増幅器と、
    前記第2の信号発生手段が発生した前記第2の高周波信号を増幅して出力する第2の増幅器と、
    前記第1の増幅器から出力された信号を電磁波として空間に放射する第1の放射部と、
    前記第2の増幅器から出力された信号を電磁波として空間に放射する第2の放射部と、
    前記第1の信号発生手段および前記第2の信号発生手段の発生する前記第1の高周波信号および前記第2の高周波信号の少なくともいずれかの周波数の制御、ならびに前記第1の増幅器および前記第2の増幅器の少なくともいずれかの増幅レベルの制御、を行う制御部と、を備える電磁波模擬装置。
  2. 前記第1の放射部と前記第2の放射部とは周波数特性が異なり、
    前記第2の信号発生手段の後段であって、前記第2の放射部の前段には、前記第2の高周波信号又は前記第2の増幅器から出力された信号を、前記第2の放射部と前記第1の放射部とのいずれかに向けて選択的に切り換えて出力する切換部が配置された、請求項1に記載の電磁波模擬装置。
  3. 前記放射部を内包する筐体を更に有する電磁波模擬装置であって、
    前記筐体において前記放射部が電磁波を放射する面に対向する面は非金属で構成されている、請求項1から2の何れか一項に記載の電磁波模擬装置。
  4. 前記第2の信号発生手段は前記第1の高周波信号の整数倍の周波数の信号を第2の高周波信号として出力する、請求項1に記載の電磁波模擬装置。
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